日本、レールガンの実戦への課題2023年10月21日 20:52

見立多以尽 はやくもらひたい (見立多以尽) 国立国会図書館デジタルコレクション
 日本の防衛省の傘下である防衛装備庁が、世界で初めて海上でレールガンの発射実験を成功させた出来事について解説している。

 レールガンの概要

 レールガンは、電気エネルギーを使用して弾丸を高速で発射する武器の一種である。この実験で使用されたレールガンの口径は40ミリで、初速は毎秒2230メートルと非常に高速である。

 レールガンの利点

 レールガンは従来の火薬銃に比べて初速が非常に高く、発射体を秒速10万メートルまで加速できる理論的な能力を持っている。この高速度は射程距離の拡大、装甲貫通力の向上、一般的な打撃力など、戦術的・技術的な利点をもたらす。

 レールガンの実戦への課題

 この成功した実験モデルはまだ実戦で使用できる段階には達していない。実戦で使用するためには、いくつかの課題が克服される必要がある。

 a. 連続射撃: 航空機やミサイルに対して有効な戦術として、連続射撃が可能であるかどうかが問題であるが、その発射速度は不明である。

 b. 摩耗: レールガンの使用に伴い、弾丸と砲身の摩擦による金属の摩耗が発生し、発射精度に影響を及ぼす可能性がある。

 c. 電気的な安全性: レールガンの発射時には電気系統の絶縁が重要であり、悪天候条件下での使用に関連するリスクも考慮する必要がある。

 d. 生存性: レールガンは損傷した場合にも発射できる必要があり、この点が解決されなければ実戦での使用が難しいだろう。

 e. 射撃管制: レールガンを高射砲として使用する場合、複雑な戦闘用砲塔の開発が必要である。

 結論

 日本の成功した海上でのレールガン実験を評価し、その潜在的な利点を強調している。ただし、実戦での使用にはまだ多くの技術的課題が残っており、その実現時期は不明である。

 この実験は未来の海軍兵器の可能性を示すものであり、実戦での運用にはまだ多くの研究と開発が必要であることが強調されている。

【要点】

日本の防衛装備庁は、世界で初めてレールガンの海上発射実験に成功した。しかし、このレールガンは、まだ実戦に使えるレベルではない。

まず、連続射撃が可能かどうかは不明である。航空機やミサイルに確実に命中させるためには、何発も撃つ必要があるが、レールガンでバースト射撃が可能かどうか、その発射速度はどの程度なのかは、まだ明らかになっていない。

また、消耗の問題もある。レールガンは、発射時に弾丸と砲身が摩擦によって金属が摩耗していく。その摩耗は従来の砲弾よりもはるかに激しいことが判明しており、命中精度に大きく影響する。

さらに、電気的な安全性にも問題がある。レールガンは、大量の電力を必要とする。そのため、波や塩水噴霧、雨や霧の中では、電気系統の絶縁が破壊され、短絡やボルトアーク(電弧)、その他同様の現象を引き起こす可能性がある。

また、生存性も問題である。レールガンは、艦船自体に損傷が生じた場合と同様に、一定の損傷が生じた場合にも発射能力を保持しなければならない。しかし、弾丸や砲弾で簡単に破壊され、船室に水が入っても発射できないのであれば、海戦には適さない。

射撃管制の問題もある。レールガンを高射砲として位置づける場合、仰角90度までの円形発射を実現しなければならない。同時に大砲は回転、上昇、下降、つまりポインティングを素早く変更しなければならない。レールガンが実際に高射砲になるためには、複雑な戦闘用砲塔の開発が必要である。

連続射撃能力については、レールガンは従来の砲弾よりも摩耗が激しいため、連続して発射すると命中精度が低下する可能性がある。また、電気的な安全性については、レールガンは大量の電力を使用するため、雷や波などの自然現象によって故障するリスクがある。さらに、生存性については、レールガンは砲身や弾丸が損傷を受けやすいため、戦闘で損傷を受けた場合には使用できなくなる可能性がある。

射撃管制についても、レールガンは仰角90度までの円形発射を実現する必要があり、そのための複雑な砲塔を開発する必要がある。

日本は、レールガンの研究開発に積極的に取り組んでおり、今後も技術的な進歩を続けていくと思われる。しかし、実戦で使用できるレールガンが開発されるまでにはまだ、数年から数十年の時間がかかると考えられる。

なお、レールガンの射程距離が49.1キロメートルとされている。これは、口径40ミリのレールガンを水平線に対して15度の仰角で発射した場合の射程距離である。レールガンの口径や仰角を変えれば、射程距離はさらに伸びる。例えば、口径60ミリのレールガンを水平線に対して45度の仰角で発射した場合の射程距離は、約200キロメートルとされている。

これらの問題が解決されれば、レールガンは軍艦に装備するのに適した海軍兵器となる可能性がある。しかし、それまでにはまだ長い道のりがある。

日本は、レールガンの開発において世界をリードしている。今後も、さらなる研究開発を進めることで、レールガンの実用化に向けた大きな前進を図ることが期待される。

・弾丸の速度が速いため、射程距離が長く、装甲貫通力が高い
・火薬を使わないため、発射時の爆音や振動が少ない
・弾丸を再利用できる

・連続射撃が難しい
・砲身が摩耗しやすい
・電気的な安全性が低い
・生存性が低い
・射撃管制が難しい

・連続射撃を可能にする技術の開発
・砲身摩耗を抑える技術の開発
・電気的な安全性を高める技術の開発
・生存性を高める技術の開発
・射撃管制を容易にする技術の開発

引用・参照・底本

【解説】日本のレールガンは壮大に見えるが、まだ戦闘には使えない SPUTNIK 2023.10.21

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