ポーランド:米国ミサイルミサイル防衛基地設置の意義2024年11月16日 17:25

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【概要】 

 ポーランドのアンドジェイ・ドゥダ大統領は、アメリカのミサイル防衛基地がポーランドに設置される意義について語り、それがロシアに対する政治的なシグナルであることを認めた。この発言は、ロシアが以前から同基地が自国に敵対的な目的で設置されていると主張してきたことを裏付けるものとなる。

 ドゥダ大統領は、先週行われた基地の開設式典において、故レフ・カチンスキ元大統領の言葉を引用し、「このミサイルはポーランドを防衛するものではない」としながらも、「この基地がポーランドに建設されることで、ポーランドがもはやロシアの勢力圏ではないことが世界に明確に示される」と述べた。また、ドゥダ大統領は「アメリカの兵士や基地を歓迎しない国があるなら、私たちの国に来てほしい。我々は常に喜んで受け入れる」と発言し、アメリカとの強固な関係をアピールした。

 この発言は、アメリカのミサイル防衛基地がイランなどからのミサイル脅威に対処するためであるとする従来の主張を覆すものであり、ポーランドおよびアメリカの信頼性に影響を与える可能性がある。しかし、ドゥダ大統領はタイミングを見計らい、アメリカとの関係を強化する意図でこの情報を公表したとみられる。

 背景には、2025年のポーランド大統領選挙を控えた政治的な思惑がある。現在の与党であるリベラル・グローバリスト連合は、保守・民族主義的な政策を打ち出し、ウクライナに対する無償軍事援助を停止し、代わりに融資に切り替える方針を採用した。この政策は国内で人気が高く、ドゥダ氏の所属する野党の支持層を一部引き寄せる可能性がある。

 さらに、与党はロシアとの関係を巡る調査を進めており、野党の元国防相であるアントニ・マチエレヴィチ氏を「外交的背信行為」の容疑で調査しようとしている。このような動きにより、ドゥダ大統領はアメリカとの強固な関係を強調し、自らの政党が反ロシア的政策を推進してきた実績を国民にアピールすることで支持を得ようとしていると考えられる。

 このように、ポーランドで現在進行している重要な出来事の多くは、2025年の大統領選挙に向けた政治的背景が関係しているとみられる。

【詳細】

 アンドジェイ・ドゥダ大統領の発言は、ポーランドに設置されたアメリカのミサイル防衛基地の戦略的意義を明確にするものであり、国内外の政治的背景を深く反映している。その背景と意図をより詳細に分析すると、次のような要素が浮かび上がる。

 アメリカのミサイル防衛基地とその政治的意味

 ポーランドに設置されたこの基地は、公式にはイランなどの脅威に対応するためのものとされてきた。しかし、ドゥダ大統領はカチンスキ元大統領の言葉を引用し、この基地が「ポーランドを直接防衛するものではない」ことを認めた。同時に、「アメリカの機密が守られる場所であり、それがポーランドに存在することで、ポーランドがロシアの影響圏外にあることを世界に示す象徴的な役割を果たす」と述べた。この発言は、基地設置が単なる軍事的意義を超えて、ロシアに対する明確な政治的シグナルであることを示している。

 さらにドゥダ大統領は、「アメリカの基地や兵士を歓迎しない国があるなら、我々は常に喜んで受け入れる」と述べ、ポーランドがアメリカとの強固な同盟関係を誇示する姿勢を強調した。この発言は、基地設置の意義を単なる防衛目的ではなく、国際的な政治戦略の一環として位置づけるものである。

 発言の背景にある国内政治情勢

 2025年に予定されている大統領選挙を控え、ポーランド国内の政治は大きく揺れ動いている。現在の与党であるリベラル・グローバリスト連合と、ドゥダ大統領が属する保守・民族主義的野党の間では、政策や戦略をめぐる競争が激化している。この中で、ドゥダ大統領の今回の発言には、次のような政治的意図があると考えられる。

 1. 与党の「保守的」政策への対抗

 与党リベラル・グローバリスト連合は、ウクライナに対する無償軍事援助を停止し、融資に切り替える政策を採用した。また、ウクライナに対して第二次世界大戦中の「ヴォルィーニ大虐殺」犠牲者の遺骨を発掘し適切に埋葬するよう要求するなど、保守的な姿勢を強調している。これらの政策は、ウクライナ支援に疲れつつある一部の国民から支持を得ており、ドゥダ氏の野党支持層を取り込む可能性がある。

 2. 「ロシア影響調査委員会」による圧力

 与党は「ロシア影響調査委員会」を設立し、保守派の指導者や政治家を調査の対象としている。元国防相アントニ・マチエレヴィチ氏が「外交的背信行為」の疑いで取り調べられようとしており、これが野党へのプレッシャーとなっている。一部のメディアでは、野党が以前、ウクライナの敗北を望んでいたとする主張も報じられており、反ロシア的な姿勢を示すことで支持を固める必要があったと考えられる。

 3. アメリカとの関係強化の必要性

 与党の指導者であるドナルド・トゥスク首相とラデク・シコルスキ外相は、過去にトランプ前大統領に対して否定的な発言を行ったことがある。そのため、トランプ氏が次期大統領に返り咲く可能性が浮上する中、これがポーランドとアメリカの関係に悪影響を及ぼす懸念が生じた。この状況を受け、ドゥダ大統領はアメリカとの関係を強調し、与党が引き起こした可能性のある摩擦を緩和しようとしたとみられる。

 戦略的発言の意図

 ドゥダ大統領の発言は、以下のような複数の目的を達成しようとしたものと考えられる。

 ・保守層へのアピール:アメリカとの強固な関係を打ち出すことで、野党が反ロシア的政策を推進してきた実績を強調し、保守的な有権者の支持を固めようとした。
 ・与党への牽制:与党が採用する保守的政策に対抗し、自らの政治的立場を再定義する狙いがある。
 ・国際的信頼の確保:アメリカとの同盟関係を強調し、ポーランドが欧米の重要な一員であることを示すことで、国際社会におけるポーランドの地位を維持しようとした。

 結論

 ドゥダ大統領の発言は、単なる個人的見解ではなく、ポーランド国内外の複雑な政治状況に対応した戦略的な動きである。2025年の大統領選挙を見据え、与党との競争を優位に進めると同時に、アメリカとの関係をさらに強化することで、国際的および国内的な支持基盤を拡大しようとしている。このような背景を考慮すると、ポーランドで現在行われている主要な政治的出来事の多くは、来年の選挙に向けた布石と見なすべきである。

【要点】

 ドゥダ大統領の発言とその背景を整理

 アメリカのミサイル防衛基地の意義

 ・公式説明:イランなどのミサイル脅威への防衛が目的とされてきた。
 ・ドゥダの発言:実際にはポーランド防衛ではなく、アメリカの利益を守る基地であり、ロシアの影響圏外であることを示す象徴的意味を持つ。
 ・目的:反ロシア的なシグナルを国際社会に発信するとともに、アメリカとの同盟強化を目指す。

 発言の国内政治的背景

 1.2025年大統領選挙を意識した動き

 ・ドゥダ大統領の所属する野党は、次回選挙で与党に対抗する必要がある。
 ・アメリカとの関係強化をアピールすることで、保守派有権者の支持を確保したい意図がある。
 
 2.与党リベラル・グローバリスト連合の保守的政策

 ・与党はウクライナに対し「ヴォルィーニ大虐殺」の犠牲者の埋葬要求や、無償軍事援助の停止(融資への切り替え)など、保守的政策を採用。
 ・これが一部の保守層から支持を集め、野党支持層の分散を招く可能性。

 3.「ロシア影響調査委員会」の圧力

 ・与党は「ロシア影響調査委員会」を設置し、保守派の指導者を追及。
 ・元国防相アントニ・マチエレヴィチ氏を外交的背信行為で調査する動きも、野党にとっての脅威。

 4.アメリカとの関係改善の必要性

 ・与党指導者(トゥスク首相、シコルスキ外相)の過去のトランプ批判が問題化。
 ・トランプが大統領に復帰する可能性を見据え、ドゥダ大統領が関係修復を
図った。

 発言の戦略的意図

 ・保守層へのアピール:反ロシア的姿勢とアメリカとの同盟を強調し、支持基盤を固める。
 ・与党への対抗:与党が採用する保守政策に対抗し、自らの実績を示す。
 ・国際的信頼の維持:アメリカとの同盟関係を通じて、ポーランドの地位を強化。

 結論

 ・ドゥダ大統領の発言は、国内外の政治的状況を踏まえた選挙対策とアメリカへのシグナル。
 ・ポーランドの現在の重要な政治的出来事は、2025年の大統領選挙に向けた動きと考えられる。
 
【引用・参照・底本】

Duda Admitted That Hosting America’s Missile Defense Base Is All About Anti-Russian Optics Andrew Korybko's Newsletter 2024.11.16
https://korybko.substack.com/p/duda-admitted-that-hosting-americas?utm_source=post-email-title&publication_id=835783&post_id=151732180&utm_campaign=email-post-title&isFreemail=true&r=2gkj&triedRedirect=true&utm_medium=email

ロシアとインド:インド洋地域における戦略的協力2024年11月16日 18:37

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【概要】 

 アンドリュー・コリブコ氏がSputnik Indiaに対して行ったインタビューの内容は、ロシアとインドがインド洋地域(IOR)における戦略的協力を深めることで、新冷戦下のアジアにおける緊張緩和と多極的秩序の構築に寄与する可能性について述べている。

 1. ロシアのIORにおける関与拡大が、米国との戦略的力学にどのような影響を与えるか?

 ロシアとインドが長らく待ち望まれている「相互ロジスティクス支援協定(RELOS)」を締結すれば、双方の施設を後方支援目的で使用できるようになり、ロシアの関与が拡大する可能性がある。

 ロシアのIORにおける関与が増加することで、中国と米国の競争に対し、ロシアが信頼できる第三の協力相手として機能し、両国間のゼロサム的な選択を避ける選択肢を提供する可能性がある。

 ロシアと米国はウクライナでのNATOとの代理戦争にもかかわらず直接的な戦争状態にはない。また、中国はロシアの親密なパートナーではあるが軍事同盟ではない。このため、米中いずれかとではなくロシアと協力することは、双方にとって敵対的な行動と見なされるべきではない。むしろ、他国が自国の競争相手ではなくロシアと協力する方が好ましいと見なされる可能性がある。

 したがって、ロシアのIORでの関与拡大は、新冷戦下の緊張を悪化させるのではなく、むしろこれを緩和し得る。特に、新冷戦の主戦場が欧州からアジアへと移行すると予想される「トランプ政権2期目」においてその役割が重要になる。

 2. ロシアとインドがIORでの協力を通じて、地域の安全保障におけるより多極的なアプローチをどのように促進するか?

 ウクライナでのNATOとロシアの代理戦争が終結すれば、その合意条件に関わらず、欧州での圧力が軽減され、新冷戦の主戦場がアジアに移行することが予測される。この移行は、ロシアとインド双方の負担を軽減する。

 現在、ロシアは多面的な圧力を受けており、インドも経済的制裁や政治的非難を通じた西側諸国からの圧力を受けているが、IOR(Indian Ocean Region)におけるロシアとインドの協力、とりわけRELOS締結による海軍分野での連携は、両国の共同目標である多極的な影響力の「第三極」を形成する上で加速剤となる。

 これにより、IOR内で米中どちらかに与しない第三の選択肢を求める他国にとって、ロシアとインドが中立的で信頼できる協力相手として浮上する可能性が高まる。このプロセスは、米中による二極的な圧力を和らげ、より複雑で多極的な国際秩序の形成を促進することが期待される。

 また、ウクライナ戦争終結後に段階的な西側制裁の緩和がロシアの中国への依存を減少させれば、ロシア・インド間の協力がさらに強化される可能性がある。

 3. インド海軍が支配的なIORにおいて、ロシアはどのような役割を果たすことができるか?また、インドはロシアの関与拡大からどのような利益を得られるか?

 IOR内で、インドは一部の国から米国寄りと見なされている。この認識は先月のヒマラヤにおける国境合意にもかかわらず根強い。しかし、中国に友好的なロシアと協力することで、この見方を転換することが可能である。

 同様に、ロシアも一部の国から中国寄りと見られているが、インドと協力することでこの認識を変えることができる。このようにして、ロシアとインドはIORで再浮上する米中対立の中で、親中・反米や親米・反中といったイメージを払拭し、中立的なバランサーとしての地位を確立することができる。

 この戦略的目標は、ロシア・インド戦略的パートナーシップを基盤として「アフロ・ユーラシア新非同盟運動(Neo-NAM)」の形成を促進し、米中間の緊張が悪化する中でシステムの安定性を維持することにある。

 このネットワークは、ロシア、インド、および両国を中心とするミニラテラル(小規模多国間協力)の形で構成され、より複雑な多極性の実現を目指して米中の二極化圧力に対抗する役割を果たすことができる。

 以上が、コリブコ氏が述べたロシアとインドのIORにおける協力の戦略的重要性とその潜在的な影響についての詳細である。この内容は、Sputnik Indiaの記事「Indo-Russian Naval Alliance Key to Creating Multipolar Global Order」に一部抜粋されている。

【詳細】

 以下に、アンドリュー・コリブコ氏のインタビュー内容について、背景情報や各回答の意味を掘り下げ、より詳細に説明する。

 1. ロシアのIOR(インド洋地域)への関与拡大が、米国との戦略的力学にどのような影響を与えるか?

 背景: インド洋地域(IOR)は、世界の海上貿易の要所であり、アジア・アフリカ・中東の交差点に位置する戦略的に重要な海域である。この地域では、米国がインドを中心とした「クアッド(QUAD)」やその他の同盟を通じて影響力を拡大している。一方、中国は「一帯一路」構想に基づく港湾開発や海軍力の増強を通じてIORでの存在感を高めている。この中で、ロシアの関与がどのように影響を与えるかが問われている。

 回答の詳細: ロシアのIORにおける役割が拡大するには、インドとの「相互ロジスティクス支援協定(RELOS)」の締結が鍵となる。この協定により、両国は互いの軍事基地や港湾をロジスティクス目的で利用できるようになり、ロシアの海軍の展開能力が強化される。これにより、IORにおける米中の競争にロシアが「第三勢力」として関与し、他国に対して米中どちらかに与する以外の選択肢を提供することができる。

 さらに、米ロ間の関係については、ウクライナ戦争を含む欧州での代理戦争が続いているものの、直接的な軍事衝突には至っていない。そのため、IORでのロシアの関与が米国との全面的な対立を引き起こす可能性は低い。むしろ、ロシアが中国とも軍事同盟を結んでいないことを踏まえれば、IORでの活動は中立的な役割として位置付けられ、地域の緊張を緩和する可能性がある。

 意義: ロシアがIORに関与することで、米中の二極構造に依存しない地域の安定的な枠組みを模索する契機となる。これにより、アジアにおける新冷戦の緊張を緩和し、最終的にはグローバルな安定性を高めると期待される。

 2. ロシアとインドの協力が、IORにおける多極的な安全保障のアプローチをどのように促進するか?

 背景: ロシアとインドは、冷戦時代以来の長い戦略的パートナーシップを持ち、両国は共に多極的な国際秩序を推進する重要なプレーヤーである。特に、新冷戦の主戦場が欧州からアジアに移行する兆候が見られる中で、このパートナーシップの重要性が増している。

 回答の詳細: ウクライナ戦争の終結がいつであれ、またどのような条件で合意されるかに関わらず、欧州での軍事的圧力が緩和されることで、ロシアはアジアでの戦略的行動を活発化させる余地を得る。一方、インドも、ウクライナ戦争への中立的立場を維持していることを理由に西側諸国からの経済的・政治的圧力を受けているが、ロシアとの協力を通じてこれを緩和することができる。

 IORにおけるロシアとインドの協力は、米中の二極的な圧力を回避したいと考える他国にとって、信頼できる「第三極」としての役割を提供する。また、ロシアが中国への過度な依存を減らすことで、ロシア・インドの協力がよりバランスの取れた形で進展し、地域の多極性が強化される可能性がある。

 意義: 両国の協力は、IOR全体の安全保障環境をより安定的かつ多極的なものに変革し得る。また、これがさらに発展すれば、IORを超えたグローバルな安全保障秩序の枠組みを形成する土台となる。

 3. IORにおけるロシアの役割と、インドが享受できる利益とは何か?

 背景: IORでは、インドが主要な海軍大国として機能しており、特に米国との協力を通じて地域の安全保障を支えている。しかし、中国がこの地域での影響力を拡大する中で、インドは特定の陣営に与するよう求められる圧力に直面している。

 回答の詳細: ロシアとインドがIORで協力することで、両国はそれぞれのイメージを修正することができる。インドは米国寄りと見なされがちであり、ロシアは中国寄りと見なされているが、両国が協力することで中立性を強調し、第三勢力としての信頼を構築できる。

 さらに、この協力は、「新非同盟運動(Neo-NAM)」の基盤として機能し得る。この運動は、米中の二極的な圧力に対抗し、より多極的な国際秩序を構築することを目指すものであり、特にIORにおける安全保障や経済的安定性を高める役割を果たす。
 
 意義: ロシア・インド協力は、米中の緊張が高まる中で、IORにおける新たな秩序の構築を可能にする。これにより、他国も巻き込む形で、地域的およびグローバルな安定性を向上させる土台が築かれる。

 全体の意義:

 アンドリュー・コリブコ氏が提唱する「ロシアとインドの戦略的パートナーシップ」は、IORを中心とした地域的な安定性の確保に留まらず、アジア全体における新冷戦の緊張緩和、さらにはグローバルな多極的秩序の構築に寄与する可能性を秘めている。この協力は、地域内外の他国にとっても米中に依存しない新たな選択肢を提供するものであり、地政学的な変化を牽引する重要な要素となり得る。

【要点】

 1. ロシアのインド洋地域(IOR)への関与拡大と米国との戦略的力学

 ・ロジスティクス支援協定(RELOS):インドとロシアが相互に軍事施設を利用できる協定を結べば、ロシアのIORでの関与が拡大。
 ・第三勢力としての役割:ロシアの関与が、米中の競争における中立的な選択肢を提供し、米国と中国が支配する二極構造から脱却できる。
 ・米ロの関係:ウクライナ戦争の代理戦争にもかかわらず、米ロは直接的な軍事衝突を避けており、ロシアのIORでの存在は米国との対立を激化させない可能性が高い。

 2. ロシアとインドの協力による多極的な地域安全保障の推進

 ・新冷戦のアジアへの移行:ウクライナ戦争の終結後、冷戦の主戦場が欧州からアジアに移る予測があり、この変化に伴いロシアとインドの協力が重要に。
 ・インドとロシアの共通の立場:両国は西側の圧力から独立し、多極的な国際秩序を推進するために協力。
 ・信頼できる第三極:米中の二極的圧力に悩む国々に対して、インドとロシアは中立的な第三極としての役割を果たす。

 3. IORにおけるロシアの役割とインドの利益

 ・インディアの中立的なイメージ:インドは米国寄りと見なされがちだが、ロシアと協力することで中立的な印象を強化できる。
ロシアの中国寄りイメージの修正:ロシアは中国寄りと見なされるが、インドと協力することでその印象も変わり、よりバランスの取れた立場を強調できる。
 ・新非同盟運動(Neo-NAM:Non-Aligned Movement):ロシア・インド協力が新たな「非同盟運動」の基盤となり、米中の二極的圧力に対抗して多極的秩序を構築。

全体的な意義

 ・地域の安定:ロシアとインドの協力は、IORを中心に地域の安全保障を安定させ、グローバルな多極秩序の推進に寄与。
 ・新冷戦の緩和:アジアでの米中の対立が激化する中、ロシアとインドの協力が地域内外で新たな選択肢を提供し、二極構造からの脱却を支援する。
 
【引用・参照・底本】

Korybko To Sputnik India: Russia & India Jointly Stabilize The New Cold War’s Asian Front Andrew Korybko's Newsletter 2024.11.16
https://korybko.substack.com/p/korybko-to-sputnik-india-russia-and?utm_source=post-email-title&publication_id=835783&post_id=151732690&utm_campaign=email-post-title&isFreemail=true&r=2gkj&triedRedirect=true&utm_medium=email

ジェノサイドの犠牲者を決して忘れないでほしい2024年11月16日 19:23

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【概要】 

 国連パレスチナ問題担当特別報告官のフランチェスカ・アルバネーゼ氏は、国際社会に対し、イスラエルがガザで行っているジェノサイドに関心を持つよう呼びかけた。アルバネーゼ氏は、ガザのパレスチナ人医師の証言を自身のXで引用し、「ジェノサイドの犠牲者を決して忘れないでほしい」と訴えた。また、国連のジョイス・ムスヤ人道問題担当事務次長は安保理会合で、イスラエル軍の攻撃による犠牲者の7割が女性と子供であると報告した。

 スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥーンベリ氏は、いくつかの国がイスラエルのガザでの行動に加担していると非難し、トルコやアゼルバイジャンがイスラエルにエネルギー供給していることに抗議する集会をトルコ大使館前で開くよう呼びかけた。

 パレスチナのマンスール国連大使は安保理に対し、ガザで進行する飢餓問題に対して措置を講じるよう訴えた。マンスール氏は、「現地に来て自分の目で見てほしい。イスラエルは飢餓を戦争の手段として利用し、民族浄化・植民地化を実行しようとしている」と述べた。

 また、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の担当者は、ガザへの人道支援物資の搬入量が過去数カ月で最低水準に達しており、「子供や大人たちが日々亡くなっている。人々はあらゆるものを必要としている」と述べた。

【詳細】

 国連パレスチナ問題担当特別報告官であるフランチェスカ・アルバネーゼ氏は、現在のガザにおける状況に深い懸念を示し、国際社会に対してイスラエルの行為に対する関心を強く呼びかけている。アルバネーゼ氏は、ガザにおけるパレスチナ人医師の証言を引用し、ガザの人々が直面しているジェノサイドの現実を世界に伝え、「この証言を物語にしてほしい。ジェノサイドの犠牲者を決して忘れないでほしい」と訴えた。この呼びかけは、イスラエルによる軍事行動がパレスチナ人にとって壊滅的な影響を与えているとする主張に基づいている。

 さらに、国連のジョイス・ムスヤ人道問題担当事務次長は、国連安全保障理事会(安保理)の会合で、ガザ地区における人道的状況の深刻さについて報告を行った。ムスヤ氏は、イスラエル軍の攻撃によって犠牲になった人々の約7割が女性や子供であることを伝え、この点が特に人道的な問題として注目されている。ガザ地区では、民間人の犠牲が拡大し、その多くが非武装の女性や子供であるため、国際社会による対応が急務であるとの指摘がなされている。

 また、スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥーンベリ氏は、いくつかの国がイスラエルのガザでの行動に加担していると非難している。トゥーンベリ氏は、特にトルコとアゼルバイジャンがイスラエルに対してエネルギー供給を行っていることに反発し、各国で集会を開き、これに抗議するよう呼びかけている。トゥーンベリ氏の主張は、国際社会がイスラエルの行動に対して十分な圧力をかけていないことへの批判を含んでいる。

 パレスチナのマンスール国連大使は、安保理の理事国に対して、ガザ地区で進行する飢餓の問題に対処するよう求めている。彼は、「現地に来て自分の目で見てほしい」と強調し、イスラエルが飢餓を戦争の手段として利用していると述べた。また、イスラエルの行動が民族浄化と植民地化を目的としているとし、これに対して国際社会が行動を起こす必要があると訴えている。

 加えて、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の担当者は、ガザに搬入される人道支援物資の量が過去数カ月で最低水準に達していることを報告し、ガザの住民が日々命を落としている現実を指摘した。担当者は、子供や大人が食料や医療、その他の基本的な物資を欠いた状態で亡くなっていることに対する深刻な懸念を示し、ガザ地区の人々が今最も必要としているのは援助の増加だと強調している。

このように、ガザの人道的危機は国際社会からの厳しい批判を受けており、国連や各国の活動家たちは、イスラエルの軍事行動を非難し、人道的な支援を強化するよう求めている。しかし、ガザでの状況は依然として厳しく、援助の制限や戦闘の激化が住民たちに深刻な影響を与え続けている。

【要点】

 1.フランチェスカ・アルバネーゼ氏(国連パレスチナ問題担当特別報告官)

 ・ガザでのジェノサイドに対する国際社会の関心を呼びかけ。
 ・ガザのパレスチナ人医師の証言を引用し、ジェノサイドの犠牲者を忘れないよう訴えた。

 2.ジョイス・ムスヤ氏(国連人道問題担当事務次長)

 ・安保理会合で、イスラエル軍の攻撃による犠牲者の7割が女性と子供であると報告。
 ・ガザの人道的危機の深刻さを伝え、国際社会の対応を求めた。

 3.グレタ・トゥーンベリ氏(環境活動家)

 ・イスラエルによるガザでの行動に加担している国々を非難。
 ・トルコやアゼルバイジャンがイスラエルにエネルギー供給していることに抗議し、集会を開くよう呼びかけた。

 4.パレスチナのマンスール国連大使

 ・ガザで進行する飢餓に対する措置を安保理に求めた。
 ・イスラエルが飢餓を戦争の手段として利用していること、民族浄化と植民地化を進めていると指摘。

 5.国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の担当者

 ・ガザに搬入される人道支援物資が過去数カ月で最低水準に達していると報告。
 ・子供や大人が日々命を落としている現状に対し、支援の増加を強調。
 
【引用・参照・底本】

国連特別報告官「ガザ犠牲者の大半は女性や子供」 ParsToday 2024.11.16
https://parstoday.ir/ja/news/world-i126272-%E5%9B%BD%E9%80%A3%E7%89%B9%E5%88%A5%E5%A0%B1%E5%91%8A%E5%AE%98_%E3%82%AC%E3%82%B6%E7%8A%A0%E7%89%B2%E8%80%85%E3%81%AE%E5%A4%A7%E5%8D%8A%E3%81%AF%E5%A5%B3%E6%80%A7%E3%82%84%E5%AD%90%E4%BE%9B

イスラエル社会に広がる「ジェノサイド文化」2024年11月16日 19:39

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【概要】 

 2024年11月7日にオランダ・アムステルダムで発生したイスラエル人サポーターと地元住民の衝突は、イスラエル社会における人種差別や優越思想の問題を浮き彫りにした出来事であった。アラブ系イスラエル市民であり、テルアビブ大学の政治学修士であるアービド・アブーシュハーダ氏は、この事件を「ジェノサイド文化」をアムステルダムに持ち込んだ例として批判した。

 衝突の中で、イスラエル人サポーターらはアラブ人差別的なスローガンを叫び、パレスチナ国旗を引きずり下ろし、試合前にはスペイン洪水被害者への黙とうを妨害する行動を取った。このような行為は、イスラエル社会内で浸透している「ジェノサイド文化」と密接に関連しているとされ、特にイスラエル社会ではガザやレバノンでの民間人虐殺を正当化する声が大半を占めている。

 イスラエル国内では、過激なヘイトスピーチや暴力的な言動が公然と行われており、「アラブ人を殺せ」「村を焼き払え」といった極端な言説が日常的に使われるようになった。この状況は、社会全体において批判の声がほとんど上がらないことからも明らかであり、特にガザ戦争を巡る民間人への攻撃が支持される傾向が強い。

 また、イスラエル社会ではパレスチナ人の死を祝う行為さえ見られ、例えば、パレスチナ人の死を祝うためにお菓子を振る舞う者もいる。このような文化は、イスラエルの政治・文化エリートが促進しており、彼らは軍事技術や拷問技術を開発して、パレスチナ人に対して使用することを公然と行っている。

 加えて、アラブ諸国との関係正常化が進む中で、イスラエルの「ジェノサイド文化」がさらに拡大していると指摘されている。この文化の激化は、米国のトランプ前大統領の再選によってさらに進む可能性があると懸念されている。トランプ氏がイスラエルへの支援を強化し、戦争やジェノサイドを煽ることが予想されているため、イスラエルの右派は彼の当選を歓迎している。

【詳細】

 2024年11月7日にオランダ・アムステルダムで発生したイスラエル人サポーターと地元住民との衝突は、イスラエル社会内で広がっている人種差別や優越思想、さらには「ジェノサイド文化」の問題を鮮明に浮き彫りにした。この記事は、アラブ系イスラエル市民で政治学修士を持つアービド・アブーシュハーダ氏の視点から、イスラエル社会におけるジェノサイドや人種差別的な文化を批判的に描いている。

 アムステルダムの衝突

 アムステルダムで起きた衝突では、イスラエル人サポーターがアラブ人差別的なスローガンを叫び、街中に掲げられていたパレスチナ国旗を引きずり下ろした。さらに、試合前にはスペインでの洪水被害者に対する黙とうを妨害する行動も見られた。これらの行動は、イスラエル社会における過激な言動が他国では許容されないことを、サポーターたちが理解していなかったことを示唆している。

 「ジェノサイド文化」の広がり

 アブーシュハーダ氏は、この衝突を単なる偶発的な事件ではなく、イスラエル社会に広がる「ジェノサイド文化」の一部として捉えている。彼は、ガザやレバノンで行われる破壊や虐殺を平然と支持する声が、イスラエル社会内で力を持ちつつあることに警鐘を鳴らしている。特に、昨年10月7日以降、イスラエル社会では「アラブ人を殺せ」「村を焼き払え」といった過激なヘイトスピーチが公然と語られ、これが社会的に容認されている状況が続いている。

 イスラエルのサッカーサポーターによる差別的行動も、この「ジェノサイド文化」の一端を表しているとされる。ヘイトスピーチを叫ぶことが、国内ではほとんど問題視されないどころか、むしろ支持される状況が続いている。

 ガザ戦争と暴力の正当化

 「ジェノサイド文化」が広がる背景には、ガザ戦争を正当化する声が多数を占めていることがある。イスラエルでは、戦争における民間人虐殺を支持する意見が大勢を占め、特にガザの民間人に対する攻撃が正当化される傾向が強い。アブーシュハーダ氏は、こうした暴力的なスローガンが広まる中、批判の声はほとんど上がらず、むしろそれが社会の一部として定着していることに対して深刻な懸念を表明している。

 また、イスラエル社会では、パレスチナ人の死を祝う行為さえ見受けられ、例えばパレスチナ人が殺された際にお菓子を配るなどの行動が起きている。このような行為は、戦争の中でパレスチナ人を殺害することが一種の祝祭的な行為として受け入れられていることを示しており、非常に非人道的な価値観が根付いているとされる。

 イスラエルの政治・文化エリートの責任

 アブーシュハーダ氏は、こうした「ジェノサイド文化」を促進しているのは、イスラエルの政治的・文化的エリートだと指摘している。イスラエルの政治家や文化人は、パレスチナ人に対する暴力を公然と支持し、またイスラエル軍による弾圧技術の開発を誇示するなどして、国際社会に対してもその正当性を主張している。

 イスラエルの大学や研究機関も、パレスチナ人に対する弾圧を支援するような研究活動を行っており、その結果として「ジェノサイド文化」の拡大が助長されているとされる。さらに、アラブ諸国がイスラエルとの関係正常化を進める中で、イスラエル社会はより強硬な立場を取るようになり、この文化の拡大に拍車をかけている。

 トランプ氏の復帰とその影響

 アブーシュハーダ氏は、米国のトランプ前大統領が再選した場合、イスラエルの「ジェノサイド文化」がさらに激化する懸念を示している。トランプ氏は、イスラエルへの支援を強化し、イスラエル政府がガザ市民をさらに困窮させ、非民主的な法律を成立させることを容認する可能性が高いとされている。トランプ氏がイスラエルを支持する立場を強めることで、イスラエルの右派は彼の当選を祝う姿勢を見せており、これは軍事支援や外交支援を期待しているためではなく、ガザに対する厳しい措置を支持してくれることへの期待からである。

 このように、イスラエル社会の中で「ジェノサイド文化」が浸透し、政治や社会の各層でそれを助長する言説が広がる中、国際社会や他国での反応に対しても無理解や軽視が見られることが問題視されている。

【要点】

 1.アムステルダムの衝突(2024年11月7日):

 ・イスラエル人サポーターと地元住民の衝突が発生。
 ・イスラエル人サポーターはアラブ人差別的なスローガンを叫び、パレスチナ国旗を引きずり下ろす。
 ・試合前にスペイン洪水被害者への黙とうを妨害。
 ・これらの行為が他国では受け入れられないことに驚いた。

 2.「ジェノサイド文化」の広がり:

 ・イスラエル社会に「ジェノサイド文化」が広がっている。
 ・ガザやレバノンでの虐殺が公然と支持される状況。
 ・ヘイトスピーチ(「アラブ人を殺せ」など)が社会で容認されている。

 3.ガザ戦争と暴力の正当化

 ・ガザ戦争における民間人虐殺が正当化され、多くのイスラエル市民が支持。
 ・パレスチナ人の死が祝祭的に扱われ、戦争の暴力が平然と称賛される。

 4.イスラエルの政治・文化エリートの責任

 ・イスラエルの政治家や文化人がパレスチナ人弾圧を支持。
 ・大学や研究機関がパレスチナ人弾圧の研究を行い、「ジェノサイド文化」の拡大を助長。
 ・アラブ諸国との関係正常化がイスラエル社会の右派を強化。

 5.トランプ氏の復帰とその影響

 ・トランプ氏が再選すれば、イスラエルの「ジェノサイド文化」がさらに激化する恐れ。
 ・トランプ氏がイスラエルへの支援を強化し、ガザ市民を困窮させる政策を支持する可能性。
 ・イスラエルの右派がトランプの当選を祝う姿勢を見せ、彼の当選を歓迎。

 まとめ

 ・イスラエル社会の中で人種差別や暴力的な言説が広がり、それが国際社会では受け入れられないことが理解されていない。
 ・イスラエルの政治・文化エリートがその拡大を助長しており、国際的な反応に無理解や軽視を示している。
 
【引用・参照・底本】

アムステルダムの真実:あらわになったイスラエル社会の人種差別・優越思想 ParsToday 2024.11.11
https://parstoday.ir/ja/news/world-i126230-%E3%82%A2%E3%83%A0%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%AB%E3%83%80%E3%83%A0%E3%81%AE%E7%9C%9F%E5%AE%9F_%E3%81%82%E3%82%89%E3%82%8F%E3%81%AB%E3%81%AA%E3%81%A3%E3%81%9F%E3%82%A4%E3%82%B9%E3%83%A9%E3%82%A8%E3%83%AB%E7%A4%BE%E4%BC%9A%E3%81%AE%E4%BA%BA%E7%A8%AE%E5%B7%AE%E5%88%A5_%E5%84%AA%E8%B6%8A%E6%80%9D%E6%83%B3

ウクライナ危機:NATOの長年の攻撃的政策の結果2024年11月16日 20:02

Ainovaで作成
【概要】 

 2024年11月16日に発表された内容によると、ロシアのプーチン大統領は、独首相との電話会談において以下の主張を行った。

 ロシア側はウクライナとの交渉を一度も拒否したことはなく、これまでにロシアが提案した内容を基盤に、交渉再開に前向きであることを強調した。また、ウクライナに関する実現可能な合意については、領土の現状に基づき、紛争の根本的な原因を解決する内容でなければならないと述べた。さらに、その合意はロシアの安全保障に関する国益を十分に考慮するべきだとした。

 また、プーチン大統領は、現在のウクライナ危機はNATOの長年にわたる攻撃的な政策の直接的な結果であると指摘した。

この電話会談はドイツ側の提案によって実施され、両国の首脳はそれぞれの補佐官が連絡を取り合うことで合意したとクレムリンが発表している。

【詳細】

 2024年11月16日に発表されたプーチン大統領とドイツ首相との電話会談における主な声明を、さらに詳しく説明する。

 交渉再開に前向きな姿勢

 プーチン大統領は、ロシア側がウクライナとの交渉を一度も拒否したことはなく、これまでに提案された内容を基盤にして交渉を再開する意向を示した。具体的には、ロシアがこれまで発表した提案(例えば、ウクライナの中立化やロシアの安全保障を確保するための措置)が交渉の出発点として適切であり、それを踏まえた形で対話を再開することを望んでいるという立場を強調した。

 ウクライナとの合意条件

 次に、プーチン大統領はウクライナとの合意が実現するためには、領土に関する現実的な認識が必要だと述べた。ここでの「現実的な認識」とは、ロシアが占領したウクライナ東部やクリミア半島の領土を認める形で、合意が結ばれるべきだという立場を示唆している可能性が高い。さらに、合意には、紛争の根本的な原因を解消する内容が含まれるべきだとした。プーチンは、ウクライナ危機が起こった背景には、NATOの東方拡大やロシアに対する攻撃的な政策があると認識しているため、これを解決するための合意が必要だと主張している。

 ロシアの安全保障を考慮した合意

 合意においては、ロシアの安全保障に関する国益が十分に考慮されるべきだと強調した。具体的には、NATOの東方拡大の停止や、ウクライナがNATOに加盟しないという保障を含む内容が含まれる可能性がある。ロシアにとって、ウクライナのNATO加盟は極めて敏感な問題であり、その防衛政策がロシアにとって脅威となると見なしているため、これを避けることが重要だと考えている。

 ウクライナ危機の原因としてのNATO

 プーチン大統領は、現在のウクライナ危機がNATOの「長年にわたる攻撃的な政策の直接的な結果」であると強調した。この発言は、ウクライナ危機がNATOの東方拡大に起因しているというロシアの立場を反映している。ロシアは、NATOがソ連崩壊後に東欧諸国を加盟させ、さらにウクライナへの影響力を強化しようとしたことが、ロシアにとっての安全保障上の懸念を引き起こし、最終的には紛争を引き起こしたという見解を持っている。

 会談の発端と合意された協議の仕組み

 この会談はドイツ側の提案によって行われたことが発表されている。つまり、ドイツがプーチン大統領との対話を求めた形で実施された会談であり、両首脳はその後、互いの補佐官を通じて継続的な連絡を取ることで合意した。このことは、今後の外交交渉の進展に向けた予兆として解釈できる。両国は公式な交渉再開に向けて準備を整える意向を示しており、ウクライナ問題に関しては引き続き協議を重ねることになるだろう。

 この会談は、ロシアがウクライナとの和平交渉の再開を主張し、NATOの政策を批判する一方で、ドイツとの外交的な接触を通じて解決の道を模索し続けていることを示している。

【要点】

 1.交渉再開の意向

 ・ロシア側はウクライナとの交渉を一度も拒否していない。
 ・これまでのロシアの提案を基盤に交渉を再開する意向。

 2.ウクライナとの合意条件

 ・合意は領土の現実に基づくものでなければならない。
 ・紛争の根本的な原因を解消する内容が必要。

 3.ロシアの安全保障を考慮した合意

 ・合意はロシアの安全保障に関する国益を考慮するべき。
 
 4.ウクライナ危機の原因としてのNATO

 ・現在のウクライナ危機はNATOの長年の攻撃的な政策の結果である。

 5.会談の発端と協議の仕組み

 ・会談はドイツ側の提案で実施。
 ・両首脳は補佐官を通じて継続的な連絡を取ることに合意。
 
【引用・参照・底本】

プーチン大統領 独首相との電話会談における主な声明 sputnik 日本 2024.11.16
https://sputniknews.jp/20241116/19317687.html