米国は世界的の安定よりも自己の覇権を優先 ― 2024年11月22日 21:48
【概要】
ロシアのプーチン大統領は、木曜日の夜にクレムリンからテレビ演説を行い、ウクライナ紛争の最近のエスカレーションに対するモスクワの対応を示した。プーチン大統領は、ロシアが新型の極超音速ミサイルシステムをウクライナ領土に対する攻撃で使用したことを明かし、アメリカを非難するとともに、ウクライナ紛争の世界的拡大の責任はワシントンにあると強調した。また、モスクワは平和的解決への意欲を示しつつも、アメリカとその同盟国に対して強硬な姿勢を見せた。
新型極超音速ミサイル「オレシュニク」の配備
プーチン大統領は、ロシアが最新の極超音速弾道ミサイル「オレシュニク」(英語で「ハゼ」)を使用し、ウクライナのドニプロペトロフスクの防衛産業施設を攻撃したことを確認した。このミサイルはモスクワの新世代の中距離兵器の一部で、時速マッハ10(毎秒2.5~3キロメートル)の速さで飛行するという。プーチン大統領は、このミサイルは米国のヨーロッパにおける防空システムを含む既存の防空・ミサイルシステムでは迎撃できないと述べ、「このような武器に対抗する手段は現在、存在しない」と強調した。また、この攻撃がウクライナのソ連時代のロケット技術を生産する大規模な工業施設に対して成功したことを明言した。
ウクライナ紛争の世界的拡大を招いたアメリカ
プーチン大統領は、米国とNATOがウクライナに長距離・高精度の武器を供給することによって、紛争がエスカレートしていると批判した。今週、ウクライナはアメリカ製のATACMSミサイルとイギリス製のストームシャドウシステムを使用して、ロシアのブリャンスクおよびクルスク地域に攻撃を仕掛けた。プーチン大統領は、これらの攻撃が西側の意図を示しており、ウクライナ紛争を世界規模の戦争へと拡大させるものであると警告した。また、これらの兵器は、アメリカおよびNATOの軍事専門家が直接関与していなければ使用できないものであるとも述べ、「西側によって引き起こされたこの地域的紛争は、今や世界的な要素を持つようになった」と宣言した。
米国の防空システムがロシアの極超音速兵器に無力
プーチン大統領は、ロシアの新しいミサイル技術の戦略的優位性を強調し、アメリカおよびその同盟国の防空システム、特にヨーロッパの米軍基地に配備されたものがロシアの極超音速兵器には無力であることを指摘した。また、INF(中距離核戦力)全廃条約からのアメリカの離脱(2019年)を含むNATOの攻撃的な行動への反応として、「オレシュニクのようなミサイルは、ヨーロッパおよびアジア太平洋地域で中距離および短距離ミサイルを配備しようとするNATOの計画への私たちの答えだ」と述べた。
国際安全保障体制を壊したのはアメリカ
プーチン大統領は、国際安全保障体制の崩壊を米国に責任があるとし、「国際安全保障システムを壊したのはロシアではなくアメリカだ」と非難した。INF条約をはじめとする重要な武器制限協定が崩壊したことに触れ、アメリカは「自国の覇権を維持するために世界の安定を犠牲にしている」と述べ、アメリカが世界をグローバルな紛争に向かわせていると批判した。
ロシアのミサイル配備に関する立場
プーチン大統領は、ロシアが中距離および短距離ミサイルを世界に配備することは控えてきたが、アメリカの行動に応じてこの方針を再考する可能性があることを示唆した。また、ロシアの先進的なミサイルシステムの未来の目標は、国家安全保障に対する脅威と見なされる対象に基づいて選ばれるだろうと述べた。さらに、攻撃対象地域の民間人に対しては事前に避難の警告が行われるとの「人道的」措置も発表された。
平和への呼びかけと西側への警告
プーチン大統領は、強硬な言葉を使いながらも、ロシアは依然として交渉に応じる意向を示した。しかし、攻撃がエスカレートすれば決定的な報復を行うことを警告した。「私たちは常に、そして今もすべての争いごとを平和的に解決する用意がある」と述べる一方、「ロシアへの攻撃には必ず答えがある」と西側の指導者に警告した。
【詳細】
プーチン大統領の木曜日の演説では、ウクライナ紛争のエスカレートに対するロシアの立場と対応が明確に示された。以下にその内容をさらに詳細に説明する。
1. 新型極超音速ミサイル「オレシュニク」の配備
プーチン大統領は、ロシアが最新の極超音速弾道ミサイル「オレシュニク」をウクライナのドニプロペトロフスクにある防衛産業施設に対して使用したと発表した。このミサイルは、ロシアの新世代の中距離兵器に位置づけられ、最大時速マッハ10(約3キロメートル/秒)で飛行できるとされている。プーチン大統領は、「オレシュニク」のような兵器が現代の防空システムでは迎撃できないことを強調し、その優れた技術力を誇示した。特に、米国がヨーロッパに展開している防空システムやミサイル防衛網では「オレシュニク」に対抗することはできないと指摘し、これがロシアの軍事技術の新たな優位性を証明するものだと述べた。この攻撃は、ウクライナのソ連時代のロケット技術を製造する重要な工業施設をターゲットにしたもので、ロシアの軍事力が一段と強化されていることを示すものとなった。
2. ウクライナ紛争の世界的拡大
プーチン大統領は、ウクライナによるロシア領への攻撃が、紛争を単なる地域的なものから世界的な規模に拡大させる危険性があると警告した。ウクライナは、アメリカ製のATACMS(アメリカ陸軍の戦術弾道ミサイル)やイギリス製のストームシャドウ巡航ミサイルを使って、ロシアのブリャンスクおよびクルスク地域に攻撃を行っている。このような兵器は、米国やNATOの軍事専門家が支援しなければ使用できないものであり、プーチン大統領は西側諸国の介入が紛争の世界的拡大を招いていると批判した。また、アメリカやNATOの支援がなければ、ウクライナがこれらの高精度武器を使用することはできないと指摘し、これが西側の直接的な関与を意味するものだと述べた。
3. ロシアの極超音速兵器の戦略的優位性
プーチン大統領は、「オレシュニク」のようなロシアの新型兵器が、アメリカやNATOの防空システムを無力化すると主張した。特に、アメリカが2019年にINF(中距離核戦力全廃)条約を離脱したことを挙げ、NATOがヨーロッパやアジア太平洋地域において中距離・短距離ミサイルの配備を進める中で、ロシアはこれに対抗するために「オレシュニク」のような新たな兵器を開発したと述べた。これにより、ロシアはNATOのミサイル防御計画に対する明確な反応を示していると強調した。プーチン大統領は、これがロシアの自衛策であり、NATOの攻撃的な姿勢に対する防衛手段であると強調した。
4. アメリカの国際安全保障体制破壊の責任
プーチン大統領は、国際的な軍縮協定や安全保障体制を壊したのはアメリカであると強く非難した。特に、INF条約や新START(戦略兵器削減条約)の破棄を挙げ、アメリカの行動が国際的な安全保障の秩序を乱していると述べた。「アメリカは、グローバルな安定を犠牲にして、自己の覇権を維持しようとしている」とし、これが最終的には世界的な紛争を引き起こす原因になると警告した。プーチン大統領は、アメリカがこのような行動を取ることで、ロシアやその他の国々が自衛のために新たな軍事技術を開発せざるを得ない状況を生み出していると指摘した。
5. ロシアのミサイル配備方針の見直し
プーチン大統領は、ロシアが中距離および短距離ミサイルの配備を控えていたが、アメリカの行動に応じてこの方針を再考する可能性があることを示唆した。具体的には、NATOがロシアの周辺地域にミサイルを配備した場合、ロシアはこれに対抗するために同様の兵器を配備することになるという。さらに、ロシアがターゲットとする地域には、事前に民間人に避難の警告を出すなどの「人道的措置」が取られることも伝えられた。
6. 平和的解決の呼びかけと西側への警告
プーチン大統領は、強硬な発言を続ける一方で、ロシアは依然として平和的な解決を望んでいると強調した。過去にロシアは、交渉による解決を重視してきたとし、今回も「争いごとを平和的に解決する意志は変わらない」と述べた。しかし、同時に、ウクライナや西側諸国による攻撃がエスカレートすれば、ロシアは「決定的な報復」を行う準備があることを明言した。また、プーチン大統領は西側諸国、特にアメリカに対して「ロシアへの攻撃には必ず答えがある」と警告し、紛争がさらなる拡大を見せる可能性について警鐘を鳴らした。
この演説は、ロシアの軍事力を誇示するとともに、西側諸国への強い警告が込められた内容であり、ウクライナ紛争が地域的な争いから世界規模の衝突に発展する可能性について強い懸念を示すものであった。
【要点】
1.新型極超音速ミサイル「オレシュニク」の使用
・ロシアは新型極超音速ミサイル「オレシュニク」をウクライナのドニプロペトロフスクの防衛産業施設に使用。
・ミサイルは最大マッハ10(約3キロメートル/秒)で飛行し、現在の防空システムでは迎撃不可能。
・ロシアはソ連時代のロケット技術を製造する施設をターゲットにした。
2.ウクライナ紛争の世界的拡大に対する警告
・ウクライナがアメリカ製のATACMSミサイルやイギリス製のストームシャドウミサイルを使用してロシア領に攻撃。
・これにより、紛争が地域的なものから世界的な規模に拡大する危険性があると警告。
・西側諸国の介入がなければ、ウクライナが高精度兵器を使用することはできない。
3.ロシアの極超音速兵器の優位性
・「オレシュニク」のようなロシアの新型兵器は、西側の防空システムに対抗できない。
・これにより、ロシアはNATOのミサイル防御に対抗するための新たな手段を確保。
・アメリカがINF条約を離脱したことにより、ロシアは新たな兵器開発を加速。
4.アメリカの国際安全保障体制破壊の責任
・INF条約や新START条約の破棄はアメリカの責任であり、これが国際安全保障の秩序を壊す原因となった。
・アメリカは世界的な安定よりも自己の覇権を優先していると批判。
5.ロシアのミサイル配備方針の見直し
・アメリカの行動に応じて、ロシアは中距離・短距離ミサイルの配備を再考する可能性がある。
・西側のミサイル配備に対抗する形で、ロシアは同様の兵器を配備する方針。
6.平和的解決の呼びかけと西側への警告
・ロシアは依然として平和的解決を望んでいるが、攻撃がエスカレートすれば決定的な報復を行う準備がある。
・西側諸国、特にアメリカに対し、攻撃に対して必ず「答えがある」と警告。
これらの内容は、ロシアの軍事的優位性を示すとともに、ウクライナ紛争がさらに拡大するリスクについて警戒を呼びかけるものとなっている。
【引用・参照・底本】
A new hypersonic missile, conflict escalation and a warning for NATO: What you need to know from Putin’s latest address RT 2024.11.21
https://www.rt.com/russia/608005-putin-speech-missile-escalation/
ロシアのプーチン大統領は、木曜日の夜にクレムリンからテレビ演説を行い、ウクライナ紛争の最近のエスカレーションに対するモスクワの対応を示した。プーチン大統領は、ロシアが新型の極超音速ミサイルシステムをウクライナ領土に対する攻撃で使用したことを明かし、アメリカを非難するとともに、ウクライナ紛争の世界的拡大の責任はワシントンにあると強調した。また、モスクワは平和的解決への意欲を示しつつも、アメリカとその同盟国に対して強硬な姿勢を見せた。
新型極超音速ミサイル「オレシュニク」の配備
プーチン大統領は、ロシアが最新の極超音速弾道ミサイル「オレシュニク」(英語で「ハゼ」)を使用し、ウクライナのドニプロペトロフスクの防衛産業施設を攻撃したことを確認した。このミサイルはモスクワの新世代の中距離兵器の一部で、時速マッハ10(毎秒2.5~3キロメートル)の速さで飛行するという。プーチン大統領は、このミサイルは米国のヨーロッパにおける防空システムを含む既存の防空・ミサイルシステムでは迎撃できないと述べ、「このような武器に対抗する手段は現在、存在しない」と強調した。また、この攻撃がウクライナのソ連時代のロケット技術を生産する大規模な工業施設に対して成功したことを明言した。
ウクライナ紛争の世界的拡大を招いたアメリカ
プーチン大統領は、米国とNATOがウクライナに長距離・高精度の武器を供給することによって、紛争がエスカレートしていると批判した。今週、ウクライナはアメリカ製のATACMSミサイルとイギリス製のストームシャドウシステムを使用して、ロシアのブリャンスクおよびクルスク地域に攻撃を仕掛けた。プーチン大統領は、これらの攻撃が西側の意図を示しており、ウクライナ紛争を世界規模の戦争へと拡大させるものであると警告した。また、これらの兵器は、アメリカおよびNATOの軍事専門家が直接関与していなければ使用できないものであるとも述べ、「西側によって引き起こされたこの地域的紛争は、今や世界的な要素を持つようになった」と宣言した。
米国の防空システムがロシアの極超音速兵器に無力
プーチン大統領は、ロシアの新しいミサイル技術の戦略的優位性を強調し、アメリカおよびその同盟国の防空システム、特にヨーロッパの米軍基地に配備されたものがロシアの極超音速兵器には無力であることを指摘した。また、INF(中距離核戦力)全廃条約からのアメリカの離脱(2019年)を含むNATOの攻撃的な行動への反応として、「オレシュニクのようなミサイルは、ヨーロッパおよびアジア太平洋地域で中距離および短距離ミサイルを配備しようとするNATOの計画への私たちの答えだ」と述べた。
国際安全保障体制を壊したのはアメリカ
プーチン大統領は、国際安全保障体制の崩壊を米国に責任があるとし、「国際安全保障システムを壊したのはロシアではなくアメリカだ」と非難した。INF条約をはじめとする重要な武器制限協定が崩壊したことに触れ、アメリカは「自国の覇権を維持するために世界の安定を犠牲にしている」と述べ、アメリカが世界をグローバルな紛争に向かわせていると批判した。
ロシアのミサイル配備に関する立場
プーチン大統領は、ロシアが中距離および短距離ミサイルを世界に配備することは控えてきたが、アメリカの行動に応じてこの方針を再考する可能性があることを示唆した。また、ロシアの先進的なミサイルシステムの未来の目標は、国家安全保障に対する脅威と見なされる対象に基づいて選ばれるだろうと述べた。さらに、攻撃対象地域の民間人に対しては事前に避難の警告が行われるとの「人道的」措置も発表された。
平和への呼びかけと西側への警告
プーチン大統領は、強硬な言葉を使いながらも、ロシアは依然として交渉に応じる意向を示した。しかし、攻撃がエスカレートすれば決定的な報復を行うことを警告した。「私たちは常に、そして今もすべての争いごとを平和的に解決する用意がある」と述べる一方、「ロシアへの攻撃には必ず答えがある」と西側の指導者に警告した。
【詳細】
プーチン大統領の木曜日の演説では、ウクライナ紛争のエスカレートに対するロシアの立場と対応が明確に示された。以下にその内容をさらに詳細に説明する。
1. 新型極超音速ミサイル「オレシュニク」の配備
プーチン大統領は、ロシアが最新の極超音速弾道ミサイル「オレシュニク」をウクライナのドニプロペトロフスクにある防衛産業施設に対して使用したと発表した。このミサイルは、ロシアの新世代の中距離兵器に位置づけられ、最大時速マッハ10(約3キロメートル/秒)で飛行できるとされている。プーチン大統領は、「オレシュニク」のような兵器が現代の防空システムでは迎撃できないことを強調し、その優れた技術力を誇示した。特に、米国がヨーロッパに展開している防空システムやミサイル防衛網では「オレシュニク」に対抗することはできないと指摘し、これがロシアの軍事技術の新たな優位性を証明するものだと述べた。この攻撃は、ウクライナのソ連時代のロケット技術を製造する重要な工業施設をターゲットにしたもので、ロシアの軍事力が一段と強化されていることを示すものとなった。
2. ウクライナ紛争の世界的拡大
プーチン大統領は、ウクライナによるロシア領への攻撃が、紛争を単なる地域的なものから世界的な規模に拡大させる危険性があると警告した。ウクライナは、アメリカ製のATACMS(アメリカ陸軍の戦術弾道ミサイル)やイギリス製のストームシャドウ巡航ミサイルを使って、ロシアのブリャンスクおよびクルスク地域に攻撃を行っている。このような兵器は、米国やNATOの軍事専門家が支援しなければ使用できないものであり、プーチン大統領は西側諸国の介入が紛争の世界的拡大を招いていると批判した。また、アメリカやNATOの支援がなければ、ウクライナがこれらの高精度武器を使用することはできないと指摘し、これが西側の直接的な関与を意味するものだと述べた。
3. ロシアの極超音速兵器の戦略的優位性
プーチン大統領は、「オレシュニク」のようなロシアの新型兵器が、アメリカやNATOの防空システムを無力化すると主張した。特に、アメリカが2019年にINF(中距離核戦力全廃)条約を離脱したことを挙げ、NATOがヨーロッパやアジア太平洋地域において中距離・短距離ミサイルの配備を進める中で、ロシアはこれに対抗するために「オレシュニク」のような新たな兵器を開発したと述べた。これにより、ロシアはNATOのミサイル防御計画に対する明確な反応を示していると強調した。プーチン大統領は、これがロシアの自衛策であり、NATOの攻撃的な姿勢に対する防衛手段であると強調した。
4. アメリカの国際安全保障体制破壊の責任
プーチン大統領は、国際的な軍縮協定や安全保障体制を壊したのはアメリカであると強く非難した。特に、INF条約や新START(戦略兵器削減条約)の破棄を挙げ、アメリカの行動が国際的な安全保障の秩序を乱していると述べた。「アメリカは、グローバルな安定を犠牲にして、自己の覇権を維持しようとしている」とし、これが最終的には世界的な紛争を引き起こす原因になると警告した。プーチン大統領は、アメリカがこのような行動を取ることで、ロシアやその他の国々が自衛のために新たな軍事技術を開発せざるを得ない状況を生み出していると指摘した。
5. ロシアのミサイル配備方針の見直し
プーチン大統領は、ロシアが中距離および短距離ミサイルの配備を控えていたが、アメリカの行動に応じてこの方針を再考する可能性があることを示唆した。具体的には、NATOがロシアの周辺地域にミサイルを配備した場合、ロシアはこれに対抗するために同様の兵器を配備することになるという。さらに、ロシアがターゲットとする地域には、事前に民間人に避難の警告を出すなどの「人道的措置」が取られることも伝えられた。
6. 平和的解決の呼びかけと西側への警告
プーチン大統領は、強硬な発言を続ける一方で、ロシアは依然として平和的な解決を望んでいると強調した。過去にロシアは、交渉による解決を重視してきたとし、今回も「争いごとを平和的に解決する意志は変わらない」と述べた。しかし、同時に、ウクライナや西側諸国による攻撃がエスカレートすれば、ロシアは「決定的な報復」を行う準備があることを明言した。また、プーチン大統領は西側諸国、特にアメリカに対して「ロシアへの攻撃には必ず答えがある」と警告し、紛争がさらなる拡大を見せる可能性について警鐘を鳴らした。
この演説は、ロシアの軍事力を誇示するとともに、西側諸国への強い警告が込められた内容であり、ウクライナ紛争が地域的な争いから世界規模の衝突に発展する可能性について強い懸念を示すものであった。
【要点】
1.新型極超音速ミサイル「オレシュニク」の使用
・ロシアは新型極超音速ミサイル「オレシュニク」をウクライナのドニプロペトロフスクの防衛産業施設に使用。
・ミサイルは最大マッハ10(約3キロメートル/秒)で飛行し、現在の防空システムでは迎撃不可能。
・ロシアはソ連時代のロケット技術を製造する施設をターゲットにした。
2.ウクライナ紛争の世界的拡大に対する警告
・ウクライナがアメリカ製のATACMSミサイルやイギリス製のストームシャドウミサイルを使用してロシア領に攻撃。
・これにより、紛争が地域的なものから世界的な規模に拡大する危険性があると警告。
・西側諸国の介入がなければ、ウクライナが高精度兵器を使用することはできない。
3.ロシアの極超音速兵器の優位性
・「オレシュニク」のようなロシアの新型兵器は、西側の防空システムに対抗できない。
・これにより、ロシアはNATOのミサイル防御に対抗するための新たな手段を確保。
・アメリカがINF条約を離脱したことにより、ロシアは新たな兵器開発を加速。
4.アメリカの国際安全保障体制破壊の責任
・INF条約や新START条約の破棄はアメリカの責任であり、これが国際安全保障の秩序を壊す原因となった。
・アメリカは世界的な安定よりも自己の覇権を優先していると批判。
5.ロシアのミサイル配備方針の見直し
・アメリカの行動に応じて、ロシアは中距離・短距離ミサイルの配備を再考する可能性がある。
・西側のミサイル配備に対抗する形で、ロシアは同様の兵器を配備する方針。
6.平和的解決の呼びかけと西側への警告
・ロシアは依然として平和的解決を望んでいるが、攻撃がエスカレートすれば決定的な報復を行う準備がある。
・西側諸国、特にアメリカに対し、攻撃に対して必ず「答えがある」と警告。
これらの内容は、ロシアの軍事的優位性を示すとともに、ウクライナ紛争がさらに拡大するリスクについて警戒を呼びかけるものとなっている。
【引用・参照・底本】
A new hypersonic missile, conflict escalation and a warning for NATO: What you need to know from Putin’s latest address RT 2024.11.21
https://www.rt.com/russia/608005-putin-speech-missile-escalation/

