バイデン:戦争屋の最後っ屁か2024年11月25日 10:26

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【概要】

 2024年11月24日のWorldTribuneによる記事は、ジョー・バイデン大統領が退任間近にもかかわらず、米国を第三次世界大戦に巻き込む可能性のある行動をとったと批判する内容である。この批判を展開したのは、ポッドキャスターのジョー・ローガンと映画監督のマイケル・ムーアである。

 バイデン大統領は2024年11月5日の大統領選挙後、わずか2週間以内にウクライナがロシア領内を攻撃するための米国製ミサイルの使用を許可し、さらに地雷(非永続的な対人地雷)のウクライナへの供給を承認した。この政策について、バイデン自身は過去に「無謀」と批判していた経緯がある。

 ジョー・ローガンは11月22日の発言で「退任間近の大統領が、どうしてこれほど重大な行動をとることが許されるのか。第三次世界大戦を引き起こす可能性のある行動については何らかの制限があるべきだ」と述べた。

 一方、マイケル・ムーアはバイデンに宛てた公開書簡で、「ホワイトハウスを去る際に恐怖の炎を巻き起こそうとしている」と非難し、バイデンの行動を「戦争屋としてのレガシーを確立しようとしている」と断じた。ムーアは、「あなたが去る前にアメリカ国民を助けるための時間を活用してほしいと期待していたが、逆にウクライナへの60億ドル以上の武器供与を迅速に進め、ロシア国内への長距離弾道ミサイル攻撃をゼレンスキーに許可し、さらに地雷の使用まで承認した」と批判した。

 地雷に関してムーアは、「東南アジアでは50年前のベトナム戦争時に残された地雷で子供たちが今も負傷している。それがバイデンのレガシーなのか」と述べている。

 バイデン政権の関係者は、これに対し「ウクライナに供給される地雷は、ロシアが使用する地雷とは異なり、設定された期間(4時間から2週間)後に無効化され、電池が切れると爆発しない設計になっているため、民間人にとって長期的な危険は少ない」と説明した。さらに、この地雷は迅速に設置可能であり、地上部隊の進行を阻止するために設計されているため、ウクライナ東部での防衛を強化するうえで有効だと述べた。

 しかし、2020年の大統領選挙キャンペーン中、バイデンは当時のトランプ大統領が地雷を戦略的に使用する方針を支持したことを「無謀な行為」として強く非難していた。このことから、一貫性の欠如も批判の対象となっている。

 ローガンはまた、ウクライナのゼレンスキー大統領にも批判を向け、「プーチンが恐れていると言うが、それは信用できない。君たちの行動が第三次世界大戦を始める可能性がある」と述べた。ローガンはさらに、「退任間近の高齢の大統領がそれに拍車をかけるのは避けたい」と皮肉を込めて述べた。

【詳細】

 この記事では、ジョー・バイデン大統領が退任を間近に控えた状況での一連の政策決定が、米国内外で論争を巻き起こしている点について詳述されている。以下にその背景や批判の具体的内容を整理する。

 背景

 2024年11月5日に実施されたアメリカ大統領選挙で、現職のジョー・バイデン大統領は再選を果たせず、2025年1月に政権を後継者に引き継ぐことが確定している。そのような「レームダック(任期終了間近の権力低下した)期間」において、バイデンは複数の重要な軍事政策を決定した。これが、政治的中立を保つべき時期において「無謀かつ無責任」だとする批判を呼んでいる。

 具体的には以下のような政策が問題視されている。

 1.ウクライナによるロシア領内への攻撃を許可

 バイデン政権は、ウクライナがアメリカ製の長距離ミサイルを使用してロシア領内を攻撃することを許可した。この決定は、ロシアとの直接対立を招く可能性があるとして懸念されている。

 2.非永続的な対人地雷(APLs)の供与

 バイデン政権はウクライナに対し、特定の期間が過ぎると無効化する設計の対人地雷を供与することを承認した。これにより、地雷を用いてウクライナ東部での防衛を強化する意図が示された。

 批判の詳細

 ジョー・ローガンの批判

 著名なポッドキャスターであるジョー・ローガンは、バイデンの行動について以下の点を指摘した。

 ・退任間際での重大な決定に対する疑問
バイデンが残り任期わずかの中で戦争を誘発しかねない政策を実行することに対し、「退任直前にこれほど重大な行動を許可する仕組みが問題だ」と述べた。

 ・ウクライナ指導部への不信感

 ウクライナのゼレンスキー大統領がロシア軍の動揺やプーチン大統領の恐れを指摘していることについて、「信用できない発言」として退け、「君たちの行動が第三次世界大戦を引き起こす」と厳しく批判した。

 マイケル・ムーアの批判

 映画監督であり、進歩的な活動家として知られるマイケル・ムーアは、公開書簡を通じてバイデンを厳しく非難した。その主な主張は以下の通りである。

 1.「戦争屋」としてのレガシーの確立

 ムーアは、バイデンが退任直前の限られた時間をアメリカ国民の福祉向上に使わず、軍事行動に注力していることを問題視。「武器供与と軍事エスカレーションにより、戦争屋としての遺産を築こうとしている」と批判した。

 2.地雷使用への非難

 バイデンが対人地雷を供与する決定をしたことについて、「ベトナム戦争から50年が経過しても、東南アジアでは米国の残した地雷による負傷者が続出している」と述べ、この決定が歴史的に繰り返される過ちだと非難した。

 3.矛盾した姿勢

 バイデンが2020年の選挙キャンペーン中にトランプ政権の地雷使用政策を「無謀」として批判していた点を指摘し、「過去の自らの発言と矛盾している」と主張した。

 政権の反論

 バイデン政権側はこれらの批判に対し、以下のように反論している。

 1.非永続的な地雷の特徴

 供与する地雷は電池式で、一定時間が経過すると無効化されるため、長期的な民間人への危険性は軽減されていると主張している。また、地雷の目的はロシア軍の地上部隊の進行を食い止め、ウクライナ東部での防衛力を強化することだと説明している。

 2.軍事的必要性の強調

 地雷や長距離ミサイルの使用は、ロシア軍の攻撃を阻止するために不可欠な手段だと位置づけており、供与がウクライナの主権防衛を支援する正当な行為だと述べた。

 バイデンの過去の発言との対比

 バイデンは2020年の大統領選挙中、トランプ政権が地雷使用を容認したことについて「民間人に不必要なリスクを与える」と批判していた。このため、今回の政策変更は、彼の過去の発言と矛盾する行動と見なされている。この矛盾が、軍事政策における一貫性を欠いているというさらなる批判を招いている。

 結論

 この記事は、バイデン政権が退任間際においても重大な軍事政策を決定し続けていることに焦点を当てている。この行動は、国内外の批判を引き起こしており、特に第三次世界大戦のリスクを高める可能性があると懸念されている。さらに、バイデンの過去の発言との矛盾が、政策の正当性や彼の指導者としての信頼性を損なう要因として強調されている。

【要点】 
 
 背景

 1.バイデン大統領の任期終了間際

 ・2024年11月5日の大統領選挙で敗北し、2025年1月に退任予定。
 ・この「レームダック」期間中に重要な軍事政策を決定。

 問題視される政策

 1.ウクライナによるロシア領内攻撃の許可

 ・アメリカ製長距離ミサイルを使った攻撃を容認。
 ・ロシアとの直接対立を招く可能性が指摘されている。

 2.非永続的な対人地雷(APLs)の供与

 ・特定期間後に無効化される設計の地雷をウクライナに提供。
 ・ウクライナ東部での防衛強化が目的。

 批判の詳細

 1.ジョー・ローガンの意見

 ・任期終了間際に戦争を誘発する行動は「無謀」。
 ・ゼレンスキー大統領やウクライナの行動が「第三次世界大戦を引き起こしかねない」と非難。

 2.マイケル・ムーアの意見

 ・バイデンは退任前に「戦争屋」としてのレガシーを確立しようとしていると批判。
 ・ベトナム戦争時の地雷使用の悲劇が今なお続いている点を挙げ、地雷供与を強く非難。
 ・過去にトランプ政権の地雷政策を「無謀」と批判していたこととの矛盾を指摘。

 政権の反論

 1.地雷の安全性

 ・電池式で一定期間後に無効化されるため、民間人への長期的危険性は少ないと主張。

 2.軍事的必要性
 
 ・ロシア軍の地上進行を阻止するために不可欠と説明。

 過去の発言との矛盾

 ・バイデンは2020年の選挙時、地雷使用を「無謀」としてトランプ政権を批判していた。
 ・現在の政策変更が、過去の発言と矛盾し、信頼性を損なう要因とされている。

 結論

 ・バイデン政権の行動は、軍事的エスカレーションのリスクを高め、国内外で批判を呼んでいる。
 ・特に第三次世界大戦の懸念と、政策の一貫性を欠く点が問題視されている。

【引用・参照・底本】

It’s left to Rogan and Moore to slam Biden for pushing U.S. into World War III ‘on his way out’WorldTribune 2024.11.24
https://www.worldtribune.com/its-left-to-rogan-and-moore-to-slam-biden-for-pushing-u-s-into-world-war-iii-on-his-way-out/

アップル:中国市場は海外売上高の16%近くを占める2024年11月25日 11:08

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【概要】

 米アップルは、中国で最近終了した「ダブル11」(11月11日のオンラインショッピング祭)において、iPhoneの販売台数が前年比で2桁減少した。しかし、iPhone 16 ProおよびiPhone 16 Pro Maxは引き続き販売数トップの機種となったことが、市場調査機関カウンターポイント・リサーチの報告書で明らかになった。

 同報告書によれば、この大幅な販売減少は、米国のテクノロジー大手であるアップルが、中国国内で「ダブル11」に合わせて競合各社が多数のフラッグシップモデルを発表したことに起因する「異常な競争圧力」に直面したためであると分析されている。

 業界関係者は、競争が激化している一方で、中国市場がアップルにとって依然として重要な海外市場であると指摘している。アップルの2024年9月末で終了した最新の四半期財務報告によれば、米国市場を除くと、中国市場はアップルの海外売上高の16%近くを占め、欧州全体に次ぐ規模となっている。

 今年の「ダブル11」に向けて、中国の主要スマートフォンメーカー(Huaweiを除く)は、祭りに先立ち最新のフラッグシップモデルを発表した。一例として、OPPOは10月24日にFind X8シリーズやその他のエコシステム製品を発表し、「ダブル11」期間中の販売は前年比6%増加した。これは、廉価版Aシリーズ、Reno 12、そして新たに発売されたFind X8シリーズの販売によるものである。一方、Huaweiは前年比7%増と最も顕著な成長を見せた。

 全体として、中国における今年の「ダブル11」期間中のスマートフォン販売は、前年同期比で9%減少した。

 中国国内ブランドは強力な競争力を確立しており、アップルはここ数年一定の進展を遂げているものの、他の主要な中国ブランドの急速な技術革新に比べると、主に漸進的な改良に留まっているとされる。ベテラン業界観察者であるLiu Dingding氏は、特に中国の消費者が高級スマートフォンへの多様な嗜好を持つようになったため、今後アップルの市場シェアがさらに低下する可能性が高いと述べている。現在は依然としてプレミアムセグメントでリードしているものの、以前のような支配的地位は失いつつあり、中国ブランドが急速に追い上げているという。

 その一方で、中国市場は依然としてアップルにとって重要であり、毎年数十億ドル規模の売上をもたらしている。劉氏は、中国市場が同社にとって引き続き重要な戦略的拠点であると述べた。

 なお、アップルのティム・クックCEOは1か月前に中国を訪問しており、北京で中国工業情報化部のJin Zhuanglong部長と会談を行った。その際、クック氏は中国市場での投資拡大を継続する意向を表明し、中国の改革開放がもたらす機会を積極的に活用し、サプライチェーンの高品質な発展に貢献する意向を示した。

【詳細】

 アップルが中国の「ダブル11」オンラインショッピング祭で直面した販売減少について、さらに詳しく説明する。

 販売減少の背景

 カウンターポイント・リサーチの報告によれば、iPhoneの販売台数が前年比で2桁減少した主な理由として、競合他社が多数のフラッグシップモデルを「ダブル11」の販売期間前後に投入したことが挙げられている。このタイミングでの新製品の集中投入が、アップルの販売に直接的な影響を与えたと考えられる。具体的には、OPPOやXiaomiを含む中国の主要メーカーが積極的に市場攻勢をかけ、特にコストパフォーマンスに優れた中高価格帯製品が多くの消費者の関心を引いた。特筆すべきは、Huaweiが前年同時期比で7%の成長を記録し、他社を上回る販売増加を実現したことである。

 さらに、競争が激化する中で、アップルは主に漸進的な改良(インクリメンタルアップデート)に依存しており、特に中国市場で求められる革新的な要素を十分に提供できなかったとの指摘がある。これは、中国国内の消費者が新しい技術や機能への要求が高まる一方で、アップルの製品が比較的保守的なアップデートにとどまる傾向があるためである。

 iPhoneの地位とプレミアムセグメントでの強み

 販売減少にもかかわらず、iPhone 16 ProおよびiPhone 16 Pro Maxは依然として「ダブル11」期間中のベストセラー機種であった。このことは、アップルがプレミアムセグメント(高価格帯)で依然として強い競争力を持っていることを示している。ただし、同セグメントにおける競争も激化しており、特にHuaweiのMateシリーズやOPPOのFindシリーズなど、技術的革新やデザイン性を打ち出す中国メーカーが急速に追い上げている。

 特に、消費者の高級スマートフォンに対する嗜好が多様化していることが、アップルの市場シェア縮小の一因となっている。これにより、プレミアム市場での優位性も徐々に揺らぎつつあると見られている。

 中国市場の重要性

 アップルにとって中国市場は米国に次ぐ重要な市場であり、欧州全体の売上を超える規模に迫るものである。同社の最新の四半期報告では、中国市場が全体売上の16%を占めており、この市場からの収益は年間で数十億ドルに達する。これにより、アップルが中国市場を戦略的に重視する姿勢を維持していることが明確である。

 ティム・クックCEOは、2024年10月に中国を訪問し、工業情報化部のJin Zhuanglong部長と会談を行った。この際、クック氏は中国市場への継続的な投資拡大を約束し、以下のような発言を行った。

 ・改革開放の機会を積極的に活用する:中国が進める市場開放政策を活用し、アップルの事業拡大を図る。
 ・サプライチェーンの高品質な発展に貢献:中国国内での生産と物流ネットワークを強化し、品質向上を図る。
 ・現地パートナーシップの深化:現地企業や機関との協力を強化し、相互利益を追求する。

 業界の動向と今後の展望

 「ダブル11」全体でのスマートフォン市場は、前年比9%の減少を記録した。これは、消費者の購買力の低下や市場全体の成熟化、さらには一部の製品での価格引き下げ競争が影響しているとみられる。

 しかし、中国のスマートフォンメーカーは、技術革新、デザイン、価格競争力を武器に国際市場でもシェアを拡大しており、アップルのような国外メーカーにとって依然として強力な競争相手となっている。Liu Dingding氏は、アップルがプレミアムセグメントでのリーダーシップを維持するには、単なる製品改良ではなく、革新的な新技術や消費者の嗜好に合った戦略的製品開発が必要であると指摘している。

 結論

 アップルは「ダブル11」で前年比2桁減少という厳しい結果に直面したものの、依然として高価格帯での競争力を持つ。また、中国市場が同社の成長にとって不可欠であることを認識し、現地での投資と事業展開を強化している。しかし、競争の激化により、将来的な市場シェア維持にはさらなる革新と戦略的対応が求められる状況にある。

【要点】 
 
 販売減少の背景と要因

 ・アップルは「ダブル11」期間中、iPhone販売台数が前年比で2桁減少。
 ・競合他社(Huawei、OPPO、Xiaomiなど)が同期間前後に多数のフラッグシップモデルを発表。
 ・特に中国メーカーが技術革新や価格競争力を強化した結果、アップルの競争力が低下。
 ・iPhoneの改良が漸進的(インクリメンタルアップデート)にとどまり、中国市場での消費者の高い期待に応えきれなかった。

 プレミアムセグメントでの地位

 ・iPhone 16 Proおよび16 Pro Maxは「ダブル11」期間中のベストセラー機種。
 ・しかし、中国メーカー(HuaweiのMateシリーズ、OPPOのFindシリーズなど)が高価格帯市場で急速に追い上げ。

 中国市場の重要性

 ・中国市場はアップルにとって米国に次ぐ売上規模を誇り、2024年第3四半期には全売上の約16%を占める。
 ・欧州全体に次ぐ規模であり、年間数十億ドルの収益をもたらしている。
 ・ティム・クックCEOは2024年10月に中国を訪問し、工業情報化部のJin Zhuanglong部長と会談。
  ⇨ 中国の改革開放の機会を活用し、投資を拡大する意向を表明。
  ⇨ 中国でのサプライチェーンの高品質化に貢献する姿勢を示した。

 業界全体の動向

 ・2024年の「ダブル11」における中国全体のスマートフォン販売は前年比9%減少。
 ・OPPOやHuaweiなどの中国メーカーが前年比で成長(OPPOは6%、Huaweiは7%増加)。
特にHuaweiは最も高い成長率を記録。
 
 今後の展望

 ・アップルは中国市場で引き続きプレミアムセグメントをリードする可能性があるが、競争は激化。
 ・中国メーカーの技術革新や消費者ニーズへの迅速な対応がアップルにとっての課題。
Liu Dingding氏は、アップルが市場シェアを維持するためには革新的な製品開発が必要であると指摘。

【引用・参照・底本】

Apple sees double-digit y-o-y decline in iPhone sales during China’s ‘Double 11’shopping festival, models retain top spot: report GT 2024.11.21

中国とEU:EVの関税に関し解決に近づいている2024年11月25日 17:17

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【概要】

 2024年11月24日、中国とEUは中国製電気自動車(EV)の関税に関する問題の解決に近づいていると報じられた。ドイツの放送局n-tvは、欧州議会の貿易委員会委員長ベルント・ランゲ氏の発言を引用し、中国がEUでのEV販売価格の最低価格を設定することを約束することで合意に至る可能性があると伝えている。この合意は、EUが中国製EVに課している関税を撤廃する条件となる可能性がある。

 中国の専門家によれば、ランゲ氏の発言が正確である場合、これは貿易紛争が早期に解決される可能性を示す良い兆候であり、対話と協議が双方の貿易問題解決において正しい方法であることを改めて示している。

 合意内容の背景

 報道によれば、中国側はEU市場で販売するEVの最低価格を設定する提案を行ったとされる。この提案は、EUが当初関税を導入した理由とされる「不公正な補助金による競争の歪み」を解消することを目的としている。現在、欧州委員会(EC)および中国商務省(MOFCOM)は、この件について公式コメントを出していない。

 中国社会科学院の研究員である周密氏は、対話を通じて貿易問題を解決することが常に最善の選択肢であり、EU側もこれを初期段階から採用すべきだったと述べた。また、中国国際貿易促進委員会の胡建国副会長は、EU経済が大きなプレッシャーに直面している現状を踏まえ、貿易摩擦のエスカレーションを回避することがEUの利益に適う合理的な選択であると指摘した。

 中国とEUの対話の進展

 11月初旬、中国とEUの技術チームは北京で5回にわたり協議を行い、価格約束案の具体的内容について詳細な議論を行った。この取り組みは、中国機械電子製品進出口商会が提出した案を基にしている。両者は今後もビデオ会議などを通じて協議を継続することで合意した。

 また、EU側は11月8日の声明で、北京での「集中的な議論」において、価格約束が関税措置の代替となり得る合意として効果的かつ実施可能であることを確認するための「技術的進展」があったと述べている。

 さらに、CCTV関連のソーシャルメディアアカウント「Yuyuan Tantian」は、11月16日に投稿で、中国とEUの技術チームがEV価格約束案について「技術的な合意」に達したと報告している。

 G20首脳会議における議論

 11月19日、リオデジャネイロで開催されたG20首脳会議の際、中国の習近平国家主席はドイツのオラフ・ショルツ首相との会談で、EV関税問題が国際的な注目を集めていることを指摘したうえで、中国は常に対話と協議を通じて違いを解消することを主張していると述べた。

 今後の期待

 両者の協議が進展しつつある中、ランゲ氏の発言は、貿易摩擦のエスカレーションを防ぎ、中国とEUの経済貿易関係の安定化を目指す双方の共通利益を示唆している。中国は、EV技術やサプライチェーンのEUへの移転を促進することで、EUの経済利益およびグリーン化に寄与できる可能性がある。

 中国商務部の王文濤部長も9月以降、欧州委員会の貿易担当副委員長ヴァルディス・ドンブロフスキス氏やドイツ、イタリアの政府関係者と協議を重ねてきた。10月26日には、ドンブロフスキス氏とのビデオ会談を行い、さらなる協議の実施で合意している。

 中国とEUの貿易関係が長期的な視点で発展し、グリーンかつ持続可能な発展へと寄与する結果となることが期待される。

【詳細】

 中国とEUが進める電気自動車(EV)関税問題に関する交渉は、両者の経済的利益を背景に非常に重要な意味を持つ。以下に、今回の問題の背景、交渉の進展、そして今後の影響についてさらに詳しく説明する。

 背景

 EUは2023年、中国製EVが「不当な政府補助」を受けているとして調査を開始し、関税を課す方針を発表した。この関税措置は、EU域内のEV産業を保護することを目的としており、特にフランスやドイツといった主要自動車生産国が強く支持していた。一方、中国はこれを「保護主義的な対応」と批判し、自由貿易の原則に反するものであると主張していた。

 中国のEV市場は急速に成長しており、EUにおける競争力も高い。特にBYDやNIO、Xpengといった企業が、価格競争力と技術的優位性を背景に市場でのシェアを拡大している。このため、EU内の自動車メーカーにとって中国製EVは脅威と見なされている。

 交渉の進展

 現在の交渉は、中国がEU市場で販売するEVの価格に最低価格を設定する「価格約束」案に基づいて進められている。価格約束とは、特定の商品が一定の価格を下回らないようにするという輸出国側の保証であり、これにより貿易摩擦の緩和を目指している。以下に交渉の具体的な進展を示す。

 1.協議の回数と内容

 2024年11月初旬、中国とEUの技術チームは北京で計5回の集中協議を行い、価格約束案の詳細を議論した。この協議では、中国機械電子製品進出口商会が提案した内容について技術的な調整が行われた。

 2.技術的合意の確認

 中国の国営メディアであるCCTV関連のソーシャルメディアアカウント「Yuyuan Tantian」によれば、両者はEV価格約束案について「技術的な合意」に達しており、この点が後の交渉進展に向けた基盤となっている。

 3.EUの公式コメント

 欧州委員会(EC)は11月8日に声明を発表し、「価格約束」が関税の代替措置として効果的かつ実行可能であることを確認するための「技術的進展」があったと認めた。

 4.G20での中国とドイツの対話

 11月19日に開催されたG20首脳会議では、中国の習近平国家主席がドイツのショルツ首相と会談し、対話を通じてEV関税問題を解決する重要性を強調した。この会談は、交渉における政治的な後押しとなった可能性がある。

 現在の状況

 ドイツのベルント・ランゲ氏の発言によれば、交渉は最終段階に近づいており、中国が最低価格を設定することで関税撤廃に向かう可能性がある。これに対し、EUと中国双方の公式コメントはまだ出されていないが、両者とも貿易摩擦のエスカレーションを避け、安定的な経済関係を構築することに共通の利益があると見られている。

 今後の影響

 この交渉が成功裏に終了すれば、以下のような影響が期待される。

 1.中国のEVメーカーのEU市場進出

 中国製EVが最低価格を設定しても、競争力のある価格帯を維持できる場合、中国企業は
 
 2.EU市場でさらなるシェア拡大が可能となる。

 EUの産業保護政策と自由貿易のバランス
EUは、自国の自動車産業を守るための保護政策と、自由貿易を推進する原則の間でバランスを取る必要がある。今回の価格約束案は、関税を回避しつつ競争の公平性を確保する一つの手段と考えられる。

 3.グリーン経済の促進

 EV市場の拡大は、EUのグリーン政策と一致しており、中国との協力はEUが電動モビリティを加速するための技術移転や投資を引き付ける可能性がある。

 4.中国-EU関係の改善

 この合意は、経済面における両者の緊張緩和に寄与し、長期的な戦略的パートナーシップの基盤を強化する可能性がある。

 結論

 中国とEUが進めるEV関税問題の交渉は、両者にとって経済的、環境的に重要な意味を持つ。価格約束を通じた合意が実現すれば、中国のEVメーカーのEU市場での競争力が維持される一方、EUは自国産業の保護とグリーン化を両立させることが可能となる。この問題の解決は、貿易摩擦の軽減だけでなく、持続可能な経済発展に向けた中国とEUの協力の象徴ともなり得る。

【要点】 
 
 背景

 ・EUの関税導入: 2023年、EUは中国製EVが「不当な補助」を受けていると主張し、関税を課す方針を発表。EU域内産業保護が目的。
 ・中国の批判: 中国はこれを「保護主義」と非難し、自由貿易の原則に反すると主張。

 現在の交渉の進展

 1.価格約束案

 ・中国がEVの最低価格を保証することで、EUが関税を撤廃する方向で協議。

 2.集中協議の実施

 ・2024年11月初旬、北京で5回の技術協議を実施。詳細について調整。
 ・双方が技術的な合意に達したと報道されている。

 3.EUの公式声明

 ・欧州委員会は「技術的進展」を認め、価格約束が関税代替措置として有効になる可能性を指摘。

 4.G20首脳会談での議論

 ・習近平国家主席とショルツ首相が、対話を通じた解決の重要性を確認。

 今後の影響

 1.中国EVメーカーのEU進出

 ・最低価格を維持しながらEU市場でのシェア拡大が可能。

 2.EUの保護政策と自由貿易のバランス

 ・自国産業の保護と自由貿易推進を両立する試み。

 3.グリーン経済の促進

 ・中国との協力で、EUの電動モビリティ推進や技術移転が進む可能性。

 4.中国-EU関係の改善

 ・経済面の緊張緩和と長期的な戦略的パートナーシップ強化の期待。

 結論

 ・交渉成功の意義: 貿易摩擦の解消、グリーン政策推進、両者の経済的利益の実現を可能にする。
 ・協力の象徴: 中国とEUの持続可能な経済発展に向けた連携が強調される。

【引用・参照・底本】

China, EU reportedly nearing a solution over Chinese EV tariffs GT 2024.11.24
https://www.globaltimes.cn/page/202411/1323691.shtml

AppleCEOティム・クック:今年3回目の中国訪問2024年11月25日 18:14

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【概要】

 AppleのCEOであるティム・クック氏は、2024年11月25日に北京市で開催される第2回中国国際サプライチェーン博覧会を視察した。これは彼にとって今年3回目の中国訪問であり、視察の様子は国営放送CCTV関連のソーシャルメディアアカウント「Yuyuan Tantian」による映像で報じられた。

 クック氏は中国のサプライチェーンパートナーに関する質問に対し、「Appleは中国のパートナーを非常に高く評価しており、彼らなしではAppleの事業は成り立たない」と述べた。Appleの主要サプライヤーは約200社あり、そのうち80%以上が中国国内で製品を生産していることが、博覧会でのAppleの展示ブースで明らかになった。

 また、クック氏は「ここに来ること、そしてパートナーとともにAppleがこの博覧会に出展していることを誇りに思う」と述べ、今回初めてこの博覧会を訪問したと語った。

 クック氏は先月も中国を訪問しており、その際には北京の王府井ショッピングエリアにあるAppleの小売店舗や、iPhoneやiPadを活用して農業の効率化や持続可能性を向上させる取り組みを行っている農場を視察した。また、中国工業情報化部の金壮竜部長とも会談し、「Appleは引き続き中国への投資を拡大し、サプライチェーンの高品質な発展を支援していく」と述べた。

 クック氏の今年最初の中国訪問は3月であり、その際には上海に新しいフラッグシップストアを開店し、「世界のどのサプライチェーンよりも中国のサプライチェーンが我々にとって重要である」と語った。

 第2回中国国際サプライチェーン博覧会は11月26日から30日まで北京で開催される。今年の展示面積は12万平方メートルに拡大し、600社以上が出展する。外国企業の出展割合は32%で、昨年から増加している。その中で、米国からの出展企業数が最多となり、欧州や日本からの出展企業数も2023年から大幅に増加している。

 博覧会では先端製造業、グリーン農業、デジタル技術など6つの重要な産業チェーンが注目されており、70以上の最先端製品が発表される予定である。

【詳細】

 AppleのCEOであるティム・クック氏は、2024年11月25日、北京市で開催される第2回中国国際サプライチェーン博覧会を訪問し、同イベントの視察を行った。この訪問は、クック氏にとって2024年における3回目の中国訪問であり、国営放送CCTV関連のソーシャルメディアアカウント「Yuyuan Tantian」による映像でその様子が公開された。

 クック氏のコメントとAppleの展示内容

 クック氏は、中国のサプライチェーンパートナーについて、「Appleは中国のパートナーを非常に高く評価しており、Appleの事業は彼らなしでは成立し得ない」と述べ、中国における協力体制の重要性を強調した。Appleの展示ブースでは、Appleの主要なサプライヤーが約200社存在し、その80%以上が中国国内で製品を製造していることが明らかにされた。このことは、中国がAppleにとって欠かせない製造拠点であることを示している。

 クック氏は、Appleが博覧会に参加することに大きな意義を見出していることを強調し、「ここに来ること、そしてAppleがパートナーと共に博覧会に出展できることを誇りに思う」と語った。今回の訪問は、クック氏にとって初めての同博覧会への参加となる。

 クック氏の過去の中国訪問

 1.10月の訪問

 クック氏は2024年10月にも中国を訪問しており、北京の王府井ショッピングエリアにあるAppleの直営店を視察したほか、農業分野でのテクノロジー活用を進める現場を訪問した。具体的には、iPhoneやiPadを活用して農場経営の効率化や持続可能な農業を支援する取り組みを紹介する場所を視察した。また、中国の工業情報化部の金壮竜部長と会談し、「Appleは今後も中国への投資を拡大し、高品質なサプライチェーンの発展を支援していく」と表明した。

 2.3月の訪問

 2024年3月には上海を訪れ、新しいフラッグシップAppleストアのオープニングイベントに参加。「世界中のどのサプライチェーンよりも中国のサプライチェーンがAppleにとって重要である」と述べ、中国との長期的な協力体制を改めて示した。

 第2回中国国際サプライチェーン博覧会の概要

 博覧会は11月26日から30日まで北京市で開催され、今年は前年を上回る規模で実施される。展示面積は12万平方メートルに拡大し、600社以上の企業が参加する。そのうち外国企業の出展割合は32%であり、前年から増加した。特に米国企業が最多の出展数を誇り、欧州や日本からの出展企業数も大幅に増加していることが、中国国際貿易促進委員会(CCPIT)の発表で明らかになっている。

 主要な展示分野と発表内容

 博覧会では以下の6つの主要な産業チェーンが注目されている。

 1.先端製造業

 ハイテク製品や革新的な生産技術を展示。

 2.グリーン農業

 持続可能な農業技術や関連製品を紹介。

 3.デジタル技術

 新しいITソリューションや通信技術を展示。

 4.その他の重点産業

 環境技術、輸送、物流なども含まれる。

 さらに、70以上の最新技術を用いた製品が発表される予定であり、来場者に対して多様な分野での技術革新が紹介される。博覧会は中国国内外のビジネス関係者にとって、情報共有や協力機会を模索する重要な場となっている。

【要点】 
 
 Apple CEO ティム・クック氏の中国訪問と博覧会関連情報

 クック氏の訪問について

 ・訪問日時: 2024年11月25日、第2回中国国際サプライチェーン博覧会の視察。
 ・訪問回数: 2024年で3回目の中国訪問。
 ・視察内容: Appleの展示ブースやサプライチェーンパートナーとの協力体制を確認。

 ・コメント

  ⇨ 「Appleは中国のパートナーを非常に高く評価しており、彼らなしでは事業は成り立たない」と発言。
  ⇨ 「博覧会に参加し、パートナーと共に出展していることを誇りに思う」と述べた。

 Appleのサプライチェーン

 ・主要サプライヤー数: 約200社。
 ・製造拠点: 80%以上が中国国内で製品を生産。
 ・博覧会出展の目的: 中国との協力関係をさらに強化し、重要性を再確認。

 クック氏の過去の訪問

 1.2024年10月

 ・北京のApple直営店と農場を視察。
 ・農業分野でのApple製品活用例(効率化・持続可能性向上)を確認。
 ・工業情報化部の金壮竜部長と会談し、中国へのさらなる投資を表明。

 2.2024年3月

 ・上海のフラッグシップストアを開店。
 ・「中国のサプライチェーンが最も重要」と発言。

 第2回中国国際サプライチェーン博覧会の概要

 ・開催期間: 2024年11月26日~30日。
 ・開催地: 北京市。
 ・展示規模: 12万平方メートル。
 ・参加企業数: 600社以上。
 ・外国企業の割合: 出展企業の32%が海外企業。

  ⇨ 国別参加状況: 米国企業が最多、欧州・日本からの出展数も増加。

 注目分野

 1.先端製造業: ハイテク製品や革新技術。
 2.グリーン農業: 持続可能な農業技術。
 3.デジタル技術: ITソリューションや通信技術。
 4.その他産業: 環境技術、輸送、物流など。

 発表内容

 ・新製品: 70以上の最先端製品が発表予定。
 ・目的: 技術革新の共有と国際的な協力促進。

 主催者の見解

 ・中国国際貿易促進委員会(CCPIT)によると、前年を上回る規模と参加率を記録。

【引用・参照・底本】

Apple CEO Cook visits 2nd China International Supply Chain Expo, says Apple values Chinese partners ‘very highly’ GT 2024.11.24
https://www.globaltimes.cn/page/202411/1323728.shtml

米国:新疆での「強制労働」に関し虚偽情報を広める2024年11月25日 19:46

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【概要】

 アメリカ合衆国は現地時間の金曜日、新疆ウイグル自治区に関連する「強制労働」の疑惑を理由に、中国企業29社の輸入を禁止すると発表した。この措置は月曜日から発効する。アメリカ国土安全保障省(DHS)は、ウイグル強制労働防止法(UFLPA)の「エンティティリスト」に新たに29社を追加すると発表した。このリストには、合計107社が登録されており、今回追加された企業は農産物、アルミニウム製品、ポリシリコン材料、銅、金、ニッケルなどの非鉄金属を生産または加工している。

 この法律は2021年12月、ジョー・バイデン大統領により署名され成立した。今回の禁止措置について、中国社会科学院アメリカ研究所の研究員であるLiu Weidong氏は、アメリカが「人権」を口実に中国企業の発展を抑制し、新疆の安定を損なうことを目的としていると述べた。また、これによりアメリカ国内の関連産業や消費者の利益が損なわれるとも指摘している。

Liu氏は、アメリカ政府が国内産業への補助金を提供し、サプライチェーンの再構築を図っているものの、中国からの分離はコストが高く、長期的には持続不可能であると述べた。中国は多くの国々にとって重要な貿易相手国であり、アメリカが完全な「デカップリング」を達成するのは困難であるとの見解を示した。さらに、このような措置は短期的には効果を発揮するかもしれないが、長期的には世界経済の安定とアメリカ自身の利益に悪影響を及ぼすと述べた。

 一方、中国外務省の林剣報道官は、今年6月に同様のリスト追加が行われた際、アメリカが新疆に関する虚偽情報を流布し、人権を名目に中国企業を違法に制裁していると批判した。林氏は、アメリカの目的は新疆を不安定化させ、中国を中傷し、その発展を妨げることであると述べた。また、このような措置は、中国の内政への深刻な干渉であり、市場秩序を混乱させ、国際貿易規則や国際関係の基本的な規範に違反していると強調した。

 さらに、林氏は、アメリカの行為は事実上、新疆における「強制失業」を生み出し、「人権」の名の下に新疆の人々の生存権、雇用権、発展権を侵害していると非難した。加えて、アメリカに対して中国への中傷を直ちにやめること、不法な一方的制裁を撤回すること、中国の内政への干渉を停止すること、そして「人権」を名目に中国の利益を損なう行為をやめるよう要求した。

【詳細】

 アメリカ合衆国が発表した今回の措置は、ウイグル強制労働防止法(UFLPA)の一環として行われたものであり、新たに29の中国企業をエンティティリストに追加した。このリストに登録された企業が生産した製品は、全体または一部に「強制労働」によって製造されたとされ、アメリカへの輸入が禁止される。具体的には、これらの企業は農産物(例えば綿花やトマト製品など)、アルミニウム製品、ポリシリコン(太陽光発電の主要材料として使われる)、さらには銅、金、ニッケルなどの非鉄金属を生産または加工している。

 法律と背景

 ウイグル強制労働防止法(UFLPA)は2021年12月にバイデン大統領の署名により成立した法律であり、主に中国の新疆ウイグル自治区で行われているとされる「強制労働」を理由にした経済制裁を含む。法律の目的は、アメリカ市場から「強制労働」に関連する製品を排除することであるが、これには新疆の発展に関与する中国企業を経済的に圧迫する意図があると指摘されている。

法律の適用範囲には「新疆で製造された製品は強制労働に関連しているとみなされる」という推定規定が含まれる。このため、エンティティリストに記載された企業は、その疑いを晴らす具体的な証拠を提示する必要があり、実質的にはアメリカ市場から締め出される可能性が高い。

 専門家の見解

 中国社会科学院アメリカ研究所の Liu Weidong 氏は、この措置が表向きは「人権」を理由としているものの、実際には中国企業の発展を抑制し、新疆の安定を損ない、中国全体の経済的・社会的発展を牽制することを目的としていると指摘している。また、アメリカ国内の産業や消費者にも悪影響を与えるとし、次の点を挙げている。

 1.産業への影響

 制裁対象となった製品の多くは、アメリカの企業が中国から輸入している重要な原材料や中間財である。これらの製品の供給が滞ることで、アメリカ国内の製造業や関連産業が打撃を受ける可能性がある。例えば、ポリシリコンは太陽光パネルの製造に必要不可欠な素材であり、これにより再生可能エネルギー関連のプロジェクトが遅延する可能性がある。

 2.消費者への影響

 中国製品がアメリカ市場から排除されることで、アメリカ国内での製品価格が上昇する懸念がある。特に、低コストで提供されていた農産物や金属製品が入手しづらくなることは、消費者の負担増に直結する。

 3.デカップリングの持続可能性

 アメリカ政府が国内産業への補助金提供やサプライチェーンの再構築を進めているが、中国を完全に排除することは現実的には困難であると Liu氏は指摘している。中国は多くの国にとって最大の貿易相手国であり、世界経済において重要な位置を占めている。そのため、中国との経済的分離(デカップリング)はコストが高く、長期的には持続不可能であるという見解を示した。

 中国政府の反応

 中国外務省の林剣報道官は、アメリカの措置に対して強く反発している。林氏は、以下の点を挙げてアメリカの行動を批判した。

 1.虚偽情報の流布

 アメリカが新疆における「強制労働」に関する虚偽の情報を広め、それを基にした制裁を実施していると非難。これにより、アメリカは中国のイメージを傷つけようとしていると述べた。

 2.新疆地域への影響

 このような措置は、新疆における雇用の機会を奪い、現地住民の生活基盤を破壊している。林氏はこれを「強制失業」と呼び、人権を口実にした行動が、実際には新疆の人々の生存権、雇用権、発展権を侵害していると主張した。

 3.国際規範の違反

 アメリカの行動は、中国の内政に対する深刻な干渉であり、国際貿易規則および国際関係の基本原則に反している。さらに、市場秩序を混乱させる結果を招いていると批判している。

 長期的な影響

 このような制裁措置は短期的にはアメリカ政府の政策目標を達成するかもしれないが、長期的には以下のようなリスクがあると専門家は指摘している。

 ・世界経済の不安定化:経済の相互依存が強い現代において、大規模な経済制裁は供給チェーンの混乱を引き起こし、国際市場の安定を損なう可能性がある。
 ・アメリカの信頼性の低下:アメリカが人権を名目にした制裁を繰り返すことで、国際社会からの批判や反発を招く可能性がある。

 林氏は、アメリカに対して不法な制裁を即時に撤回し、中国への内政干渉を停止するよう要求している。中国政府は、アメリカの行動が中国の発展を阻害しようとする試みであると認識しつつ、国際社会と連携しながら適切な対応を行う姿勢を示している。

【要点】 
 
 アメリカの措置概要

 ・法的背景:2021年に成立したウイグル強制労働防止法(UFLPA)の一環として、中国の29企業を新たにエンティティリストに追加。
 ・対象製品:農産物(綿花、トマト製品など)、アルミニウム製品、ポリシリコン、非鉄金属(銅、金、ニッケルなど)。
 ・施行日:2024年11月25日からアメリカへの輸入禁止。
 ・目的:表向きは「人権保護」だが、実際には中国企業の発展抑制や新疆の安定妨害を狙っていると専門家が指摘。

 専門家の見解(Liu Weidong 、中国社会科学院)

 1.産業への影響

 ・中国からの原材料や中間財の輸入停止により、アメリカの製造業や関連産業が打撃を受ける。
 ・太陽光パネルの材料であるポリシリコンの供給不足が再生可能エネルギー計画に遅れを生じさせる可能性。

 2.消費者への影響

 ・中国製品排除による製品価格の上昇がアメリカ国内消費者の負担増につながる。

 3.デカップリングの限界

 ・アメリカの補助金政策やサプライチェーン再構築は進行中だが、中国との経済的分離は高コストかつ持続困難。

 ・中国は世界的に重要な貿易相手国であり、完全な分離は不可能に近い。

 4.長期的な悪影響

 ・世界経済の不安定化を招き、アメリカ自身の経済や国際的地位にも悪影響を及ぼす。

 中国政府の反応(林剣報道官)

 1.虚偽情報の批判

 ・アメリカが新疆における「強制労働」に基づく虚偽情報を拡散し、それを理由に不当な制裁を課していると非難。

 2.新疆地域への影響

 ・雇用機会を奪い、「強制失業」を生じさせ、新疆住民の生存権、雇用権、発展権を侵害。

 3.国際規範違反

 ・アメリカの行動は中国の内政干渉であり、市場秩序の混乱や国際貿易規則違反に該当。

 4.要求

 ・アメリカに対し、制裁の即時撤回、中国への内政干渉や不当な貿易制限の停止を要求。

 まとめ

 ・アメリカの今回の措置は短期的な経済制裁として効果を持つ可能性があるが、長期的には国際経済の不安定化や自国産業・消費者への悪影響を招く恐れがある。
 ・中国政府はアメリカの行動を「中国発展への妨害」と捉え、国際社会と連携しつつ適切な対応を進める意向を示している。

【引用・参照・底本】

US ban on 29 more Chinese entities over alleged 'forced labor' in China’s Xinjiang harms interests of American firms, customers: experts GT 2024.11.25
https://www.globaltimes.cn/page/202411/1323729.shtml