石破内閣の支持率が急落 ― 2024年11月26日 12:14
【桃源寸評】
別に石破首相を贔屓するつもりはない。しかし、現在の彼も含めて、前任者のカボチャ頭連が、米国追随一辺倒の政策を推し進めてきた"附け"を引き続き回されているだけである。
何故なら、石破政権を評価するには未だ早すぎるからだ。
が、自民党という、"権化"が既に国民のある種の固定評価になっている。
【寸評 完】
【概要】
2024年11月25日、石破茂首相率いる石破内閣の支持率が急落し、不支持率が支持率を上回った。毎日新聞が報じた世論調査によれば、支持率は10月3日に実施された前回調査の46%から15ポイント減少し、31%となった。一方で、不支持率は前回の37%から13ポイント増加し、50%に達した。
石破内閣は10月1日に発足した。同月27日に行われた衆議院選挙では与党が大敗を喫し、過半数を割り込む結果となった。しかし、石破首相は11月11日の特別国会で再び首相に指名された。これにより、内閣は「少数与党」として政権運営を行うこととなった。「少数与党」での政権運営は、1994年の羽田孜内閣以来およそ30年ぶりである。
【詳細】
2024年11月25日、毎日新聞が報じた最新の世論調査によると、石破茂首相が率いる石破内閣の支持率が大幅に低下した。この調査では、内閣支持率は31%と、10月3日に実施された前回調査の46%から15ポイント減少した。一方で、不支持率は50%となり、前回の37%から13ポイント増加している。不支持率が支持率を上回る「逆転現象」が確認され、内閣への国民の信任が急速に低下していることが浮き彫りとなった。
石破内閣の発足と背景
石破内閣は2024年10月1日に発足した。石破茂首相は、自民党総裁選での勝利を経て首相に就任し、同時に新内閣を発足させた。発足当初、内閣は比較的高い支持率(46%)を獲得していたが、10月27日に行われた衆議院選挙で与党自民党は大敗を喫し、単独で過半数を維持できなくなった。この結果、石破首相は「少数与党」の立場で政権運営を迫られる状況となった。これは1994年の羽田孜内閣以来30年ぶりの出来事である。
衆議院選挙後の展開
衆議院選挙の敗北後も、石破首相は党内外の調整を経て11月11日の特別国会で再び首相に指名された。しかし、選挙での敗北が響き、与党内では不満や不安が高まり、野党からも強い批判を浴びている。「少数与党」という立場では、法案の成立や政策の実現が困難であり、野党との協力や妥協が不可欠である。こうした不安定な政権基盤が、支持率の急落につながった一因と考えられる。
支持率低下の要因
支持率の低下は、選挙の敗北だけでなく、政策に対する評価や国民の不満も影響しているとされる。特に、石破首相が掲げる経済政策や外交方針について、具体性や実効性を疑問視する声がある。また、選挙後に明らかとなった与党内の内紛や、政策実現に向けた見通しの不透明さも、国民の不信感を招いている。
今後の課題
石破内閣が直面する最大の課題は、不安定な政権基盤の中でどのように政策を実現し、国民の信頼を取り戻すかである。少数与党として、野党との協調を模索する一方で、党内の結束を強化する必要がある。また、経済や社会保障、外交といった主要課題について、具体的かつ効果的な政策を示し、国民に説明することが求められる。石破首相がこの危機的状況を打開できるかどうかは、今後の内閣の存続に大きく影響すると考えられる。
【要点】
石破内閣の支持率急落について
1.支持率と不支持率の変動
・支持率:前回調査(10月3日)の46%から15ポイント減少し、31%に低下。
・不支持率:前回の37%から13ポイント増加し、50%となり支持率を上回る。
2.石破内閣の発足
・2024年10月1日に発足。自民党総裁選を経て石破茂首相が就任。
・発足当初は46%の支持率でスタート。
3.衆議院選挙での与党の敗北
・10月27日の衆議院選挙で与党自民党が大敗し、単独で過半数を割り込む。
・結果として、石破内閣は「少数与党」として政権運営を余儀なくされる。
・「少数与党」の政権運営は、1994年の羽田孜内閣以来約30年ぶり。
4.再任と不安定な政権基盤
・衆議院選挙後、石破首相は11月11日の特別国会で再び首相に指名される。
・政権基盤が不安定なため、法案の成立や政策実現に困難が予想される。
5.支持率低下の主な要因
・衆議院選挙での敗北が国民の失望感を招く。
・経済政策や外交方針への具体性や実効性の疑問。
・与党内の内紛や政策実現の見通しの不透明さ。
6.今後の課題
・野党との協調による政策実現が必須。
・党内結束の強化と不満の解消。
・経済や社会保障、外交など主要課題での効果的な政策提示と国民への説明。
・支持率回復のため、国民の信頼を取り戻す努力が急務。
【引用・参照・底本】
石破内閣の支持率が急落、不支持率が支持率を超える sputnik 日本 2024.11.25
https://sputniknews.jp/20241125/19350569.html
別に石破首相を贔屓するつもりはない。しかし、現在の彼も含めて、前任者のカボチャ頭連が、米国追随一辺倒の政策を推し進めてきた"附け"を引き続き回されているだけである。
何故なら、石破政権を評価するには未だ早すぎるからだ。
が、自民党という、"権化"が既に国民のある種の固定評価になっている。
【寸評 完】
【概要】
2024年11月25日、石破茂首相率いる石破内閣の支持率が急落し、不支持率が支持率を上回った。毎日新聞が報じた世論調査によれば、支持率は10月3日に実施された前回調査の46%から15ポイント減少し、31%となった。一方で、不支持率は前回の37%から13ポイント増加し、50%に達した。
石破内閣は10月1日に発足した。同月27日に行われた衆議院選挙では与党が大敗を喫し、過半数を割り込む結果となった。しかし、石破首相は11月11日の特別国会で再び首相に指名された。これにより、内閣は「少数与党」として政権運営を行うこととなった。「少数与党」での政権運営は、1994年の羽田孜内閣以来およそ30年ぶりである。
【詳細】
2024年11月25日、毎日新聞が報じた最新の世論調査によると、石破茂首相が率いる石破内閣の支持率が大幅に低下した。この調査では、内閣支持率は31%と、10月3日に実施された前回調査の46%から15ポイント減少した。一方で、不支持率は50%となり、前回の37%から13ポイント増加している。不支持率が支持率を上回る「逆転現象」が確認され、内閣への国民の信任が急速に低下していることが浮き彫りとなった。
石破内閣の発足と背景
石破内閣は2024年10月1日に発足した。石破茂首相は、自民党総裁選での勝利を経て首相に就任し、同時に新内閣を発足させた。発足当初、内閣は比較的高い支持率(46%)を獲得していたが、10月27日に行われた衆議院選挙で与党自民党は大敗を喫し、単独で過半数を維持できなくなった。この結果、石破首相は「少数与党」の立場で政権運営を迫られる状況となった。これは1994年の羽田孜内閣以来30年ぶりの出来事である。
衆議院選挙後の展開
衆議院選挙の敗北後も、石破首相は党内外の調整を経て11月11日の特別国会で再び首相に指名された。しかし、選挙での敗北が響き、与党内では不満や不安が高まり、野党からも強い批判を浴びている。「少数与党」という立場では、法案の成立や政策の実現が困難であり、野党との協力や妥協が不可欠である。こうした不安定な政権基盤が、支持率の急落につながった一因と考えられる。
支持率低下の要因
支持率の低下は、選挙の敗北だけでなく、政策に対する評価や国民の不満も影響しているとされる。特に、石破首相が掲げる経済政策や外交方針について、具体性や実効性を疑問視する声がある。また、選挙後に明らかとなった与党内の内紛や、政策実現に向けた見通しの不透明さも、国民の不信感を招いている。
今後の課題
石破内閣が直面する最大の課題は、不安定な政権基盤の中でどのように政策を実現し、国民の信頼を取り戻すかである。少数与党として、野党との協調を模索する一方で、党内の結束を強化する必要がある。また、経済や社会保障、外交といった主要課題について、具体的かつ効果的な政策を示し、国民に説明することが求められる。石破首相がこの危機的状況を打開できるかどうかは、今後の内閣の存続に大きく影響すると考えられる。
【要点】
石破内閣の支持率急落について
1.支持率と不支持率の変動
・支持率:前回調査(10月3日)の46%から15ポイント減少し、31%に低下。
・不支持率:前回の37%から13ポイント増加し、50%となり支持率を上回る。
2.石破内閣の発足
・2024年10月1日に発足。自民党総裁選を経て石破茂首相が就任。
・発足当初は46%の支持率でスタート。
3.衆議院選挙での与党の敗北
・10月27日の衆議院選挙で与党自民党が大敗し、単独で過半数を割り込む。
・結果として、石破内閣は「少数与党」として政権運営を余儀なくされる。
・「少数与党」の政権運営は、1994年の羽田孜内閣以来約30年ぶり。
4.再任と不安定な政権基盤
・衆議院選挙後、石破首相は11月11日の特別国会で再び首相に指名される。
・政権基盤が不安定なため、法案の成立や政策実現に困難が予想される。
5.支持率低下の主な要因
・衆議院選挙での敗北が国民の失望感を招く。
・経済政策や外交方針への具体性や実効性の疑問。
・与党内の内紛や政策実現の見通しの不透明さ。
6.今後の課題
・野党との協調による政策実現が必須。
・党内結束の強化と不満の解消。
・経済や社会保障、外交など主要課題での効果的な政策提示と国民への説明。
・支持率回復のため、国民の信頼を取り戻す努力が急務。
【引用・参照・底本】
石破内閣の支持率が急落、不支持率が支持率を超える sputnik 日本 2024.11.25
https://sputniknews.jp/20241125/19350569.html
宇:兵士の約7割が戦闘停止と領土の放棄を望む ― 2024年11月26日 12:27
【概要】
スプートニク日本が2024年11月25日に報じた内容によると、ウクライナ政府は2025年春までに予定している動員目標を最大で3分の2程度しか達成できない見込みである。動員された市民の多くは50代以上の高齢者で、健康問題を抱える者が多く、戦闘に適さない状態であることが課題となっている。
報道では、ウクライナの士気の低下が深刻であり、兵士の約7割が戦闘停止と領土の放棄を望んでいるとされている。現在、動員されている兵士の数は公式には105万人とされており、2025年春までにさらに16万人を動員する計画である。しかしながら、兵士の逃亡が相次いでおり、実際の兵力は不透明である。
ウクライナ最高議会のスコロホド議員によれば、敵前逃亡した兵士の数は10万人を超えているという。また、ウクライナ国内では兵士の逃亡に関する刑事事件がこれまでに9万5000件以上立件されている。このような状況は、兵力の確保や作戦遂行における大きな障害となっている。
報道には、戦闘停止や領土放棄に関する希望が示されているが、これがウクライナ全体の方針や政策にどのように影響するかについては、明言されていない。
【詳細】
スプートニク日本が報じた2024年11月25日の記事によれば、ウクライナは戦争の長期化に伴い、動員計画の実施において深刻な課題に直面している。特に2025年春までに予定されている動員計画において、目標を最大で3分の2程度しか達成できないと見込まれている。この不足の背景には、動員対象者の年齢層の高齢化や健康上の問題がある。最近では50代以上の動員が増加しており、これが戦闘能力の低下を招いている。
兵士の士気と動員の現状
報道によれば、ウクライナ軍の士気低下が深刻であり、兵士の約7割が戦闘停止とそれに伴う領土放棄を希望しているとされている。このデータは士気や動員の困難さを示す重要な指標となっている。動員されている兵士の数は公式には105万人とされているが、兵士の逃亡が多発しているため、実際の兵力には大きな疑念が生じている。
2025年春までにさらに16万人を追加動員する計画があるものの、これがどの程度実現可能であるかは不透明である。特に、健康問題を抱える動員者の増加により、戦闘可能な部隊を編成することが難しくなっている。
逃亡問題の深刻化
兵士の逃亡はウクライナ軍における深刻な問題であり、ウクライナ最高議会のスコロホド議員によれば、敵前逃亡した兵士の数は10万人を超えているとされている。また、これまでにウクライナでは兵士の逃亡に関連する刑事事件が9万5000件以上立件されており、この数字は戦争中の規律維持の困難さを物語っている。
逃亡問題は、動員の不足や士気低下と密接に関連しており、ウクライナ政府にとって重要な課題である。特に、敵前逃亡や軍内の不満が続くことで、戦闘継続能力や戦略遂行に重大な影響を及ぼす可能性がある。
領土放棄の希望
報道では、兵士の約7割が戦闘停止を支持し、これに伴う領土の放棄を希望しているとされている。このような意見は、戦争の長期化による疲弊や動員の過酷さ、戦況の厳しさを反映していると考えられる。ただし、これが具体的にどの領土を指しているのか、あるいはウクライナ政府の公式方針にどう影響するのかは明確ではない。
全体の影響
これらの状況は、ウクライナの戦争継続能力に大きな影響を及ぼしている。動員計画の未達成、士気の低下、逃亡の多発は、軍事的な戦闘能力の低下を招き、さらには西側諸国の支援や国際社会の反応にも影響を与える可能性がある。
以上の報道は、戦争継続の厳しい現実を浮き彫りにしており、今後のウクライナの対応が注目される。
【要点】
1.動員計画の未達成
・ウクライナ政府は2025年春までに予定された動員目標の3分の2しか達成できない見込みである。
・動員対象者の多くが50代以上の高齢者であり、健康問題を抱える者が多い。
2.士気の低下
・兵士の約7割が戦闘停止とそれに伴う領土放棄を希望している。
・長期化する戦争による疲弊が士気低下の主な原因とされる。
3.逃亡問題
・敵前逃亡した兵士の数は10万人を超える(ウクライナ最高議会のスコロホド議員による)。
・逃亡に関連する刑事事件は9万5000件以上立件されている。
・逃亡の多発により、実際の兵力が大幅に減少している可能性がある。
4.追加動員計画
・2025年春までにさらに16万人の追加動員が計画されている。
・健康状態の悪い動員者の増加が戦闘部隊の編成を困難にしている。
5.領土放棄の支持
・戦闘停止と領土放棄を希望する兵士が多い背景には、戦争の長期化や厳しい戦況がある。
・具体的な放棄領土の範囲や政府の対応方針については不明である。
6.全体的な影響
・動員不足と士気低下により、ウクライナの戦争継続能力が大幅に低下している。
・これらの問題は軍事的な戦略遂行や西側諸国からの支援に影響を与える可能性がある。
【引用・参照・底本】
強制動員に失敗したウクライナ、兵士の7割が領土放棄を支持 sputnik 日本 2024.11.25
https://sputniknews.jp/20241125/7-19350473.html
スプートニク日本が2024年11月25日に報じた内容によると、ウクライナ政府は2025年春までに予定している動員目標を最大で3分の2程度しか達成できない見込みである。動員された市民の多くは50代以上の高齢者で、健康問題を抱える者が多く、戦闘に適さない状態であることが課題となっている。
報道では、ウクライナの士気の低下が深刻であり、兵士の約7割が戦闘停止と領土の放棄を望んでいるとされている。現在、動員されている兵士の数は公式には105万人とされており、2025年春までにさらに16万人を動員する計画である。しかしながら、兵士の逃亡が相次いでおり、実際の兵力は不透明である。
ウクライナ最高議会のスコロホド議員によれば、敵前逃亡した兵士の数は10万人を超えているという。また、ウクライナ国内では兵士の逃亡に関する刑事事件がこれまでに9万5000件以上立件されている。このような状況は、兵力の確保や作戦遂行における大きな障害となっている。
報道には、戦闘停止や領土放棄に関する希望が示されているが、これがウクライナ全体の方針や政策にどのように影響するかについては、明言されていない。
【詳細】
スプートニク日本が報じた2024年11月25日の記事によれば、ウクライナは戦争の長期化に伴い、動員計画の実施において深刻な課題に直面している。特に2025年春までに予定されている動員計画において、目標を最大で3分の2程度しか達成できないと見込まれている。この不足の背景には、動員対象者の年齢層の高齢化や健康上の問題がある。最近では50代以上の動員が増加しており、これが戦闘能力の低下を招いている。
兵士の士気と動員の現状
報道によれば、ウクライナ軍の士気低下が深刻であり、兵士の約7割が戦闘停止とそれに伴う領土放棄を希望しているとされている。このデータは士気や動員の困難さを示す重要な指標となっている。動員されている兵士の数は公式には105万人とされているが、兵士の逃亡が多発しているため、実際の兵力には大きな疑念が生じている。
2025年春までにさらに16万人を追加動員する計画があるものの、これがどの程度実現可能であるかは不透明である。特に、健康問題を抱える動員者の増加により、戦闘可能な部隊を編成することが難しくなっている。
逃亡問題の深刻化
兵士の逃亡はウクライナ軍における深刻な問題であり、ウクライナ最高議会のスコロホド議員によれば、敵前逃亡した兵士の数は10万人を超えているとされている。また、これまでにウクライナでは兵士の逃亡に関連する刑事事件が9万5000件以上立件されており、この数字は戦争中の規律維持の困難さを物語っている。
逃亡問題は、動員の不足や士気低下と密接に関連しており、ウクライナ政府にとって重要な課題である。特に、敵前逃亡や軍内の不満が続くことで、戦闘継続能力や戦略遂行に重大な影響を及ぼす可能性がある。
領土放棄の希望
報道では、兵士の約7割が戦闘停止を支持し、これに伴う領土の放棄を希望しているとされている。このような意見は、戦争の長期化による疲弊や動員の過酷さ、戦況の厳しさを反映していると考えられる。ただし、これが具体的にどの領土を指しているのか、あるいはウクライナ政府の公式方針にどう影響するのかは明確ではない。
全体の影響
これらの状況は、ウクライナの戦争継続能力に大きな影響を及ぼしている。動員計画の未達成、士気の低下、逃亡の多発は、軍事的な戦闘能力の低下を招き、さらには西側諸国の支援や国際社会の反応にも影響を与える可能性がある。
以上の報道は、戦争継続の厳しい現実を浮き彫りにしており、今後のウクライナの対応が注目される。
【要点】
1.動員計画の未達成
・ウクライナ政府は2025年春までに予定された動員目標の3分の2しか達成できない見込みである。
・動員対象者の多くが50代以上の高齢者であり、健康問題を抱える者が多い。
2.士気の低下
・兵士の約7割が戦闘停止とそれに伴う領土放棄を希望している。
・長期化する戦争による疲弊が士気低下の主な原因とされる。
3.逃亡問題
・敵前逃亡した兵士の数は10万人を超える(ウクライナ最高議会のスコロホド議員による)。
・逃亡に関連する刑事事件は9万5000件以上立件されている。
・逃亡の多発により、実際の兵力が大幅に減少している可能性がある。
4.追加動員計画
・2025年春までにさらに16万人の追加動員が計画されている。
・健康状態の悪い動員者の増加が戦闘部隊の編成を困難にしている。
5.領土放棄の支持
・戦闘停止と領土放棄を希望する兵士が多い背景には、戦争の長期化や厳しい戦況がある。
・具体的な放棄領土の範囲や政府の対応方針については不明である。
6.全体的な影響
・動員不足と士気低下により、ウクライナの戦争継続能力が大幅に低下している。
・これらの問題は軍事的な戦略遂行や西側諸国からの支援に影響を与える可能性がある。
【引用・参照・底本】
強制動員に失敗したウクライナ、兵士の7割が領土放棄を支持 sputnik 日本 2024.11.25
https://sputniknews.jp/20241125/7-19350473.html
ロシアとタリバン ― 2024年11月26日 14:14
【概要】
2024年11月25日、ロシア安全保障会議のセルゲイ・ショイグ書記がアフガニスタンの首都カブールを訪問し、同国のタリバン暫定政権の高官らと会談を実施した。タリバンは国連の制裁下にあるが、この会談は貿易・経済協力の発展を中心に進められた。
会談に関し、タリバン側のヌールディン・アジジ貿易相代行はスプートニク通信に対して「会談の結果は双方に利益をもたらすだろう」と述べ、双方が前向きな姿勢を示したと評価した。また、ロシアのアレクセイ・オベルチュク副首相との会談では、これまでの成果や今後の貿易・経済関係の発展について話し合われた。アジジ氏は「非常に高いレベルで合意を強化したい」と述べ、協力の拡大に向けた努力がなされていることを強調した。
さらに、アブドゥル・カビール・モハンマド副首相も、ロシアとの二国間関係強化に期待を寄せる発言を行った。同氏は「国際舞台でロシアがアフガニスタン・イスラム首長国を支援していることに感謝する」と述べた。
この会談は、ロシアとタリバン暫定政権との間で貿易・経済協力を深化させる動きを示しており、双方にとって重要な意義を持つものとみられる。
【詳細】
2024年11月25日、ロシア安全保障会議のセルゲイ・ショイグ書記がアフガニスタンを訪問し、タリバン暫定政権の高官らと一連の会談を行った。訪問先のカブールでは、タリバン側との間で主に貿易・経済協力の深化に関する議題が中心に話し合われた。この動きは、国際社会の制裁下にあるタリバンとロシアの接触が、経済分野で実質的な成果を目指す段階に達したことを示唆するものである。
主な会談の内容
タリバン暫定政権を代表するヌールディン・アジジ貿易相代行は、今回の会談の成果について「両国に利益をもたらす内容であり、双方が前向きな姿勢を示している」とコメントした。具体的には、ロシアのアレクセイ・オベルチュク副首相との間で、貿易・経済関係の進展に関する議論が行われ、既存の協力体制を基盤にして、更なる合意を高レベルで強化する方針が確認された。これにはエネルギー、輸送、商品取引を含む分野が含まれるとみられる。
また、アブドゥル・カビール・モハンマド副首相も会談に出席し、「国際舞台でのロシアの支援に感謝する」と述べた。同氏の発言は、ロシアがタリバン政権に対して外交的な支持を示している点を評価したものであり、二国間の友好関係強化への期待感が強調された。
背景と意図
ロシアはアフガニスタンにおけるタリバン政権との関係を強化することで、地域の安全保障と経済的影響力の確保を狙っているとみられる。一方、タリバン側としては、制裁や国際的孤立から脱却し、ロシアとの協力を通じて経済的利益を引き出す意図がある。特に、貿易やエネルギー供給の安定確保が優先課題とされている。
さらに、地政学的観点では、ロシアがアフガニスタンを含む中央アジアでの影響力を維持・拡大しようとする動きが背景にあると考えられる。特に、アメリカやNATO諸国がアフガニスタンから撤退した後、ロシアはこの地域での主導権を握ることを目指している可能性がある。
今後の展望
今回の会談は、ロシアとタリバン暫定政権の関係がより実務的な協力段階に移行する兆しを示している。これには以下の点が含まれると予想される:
1.貿易協定の具体化:両国間での商取引の枠組みを正式に確立し、エネルギーや資源の輸出入を拡大する。
2.インフラ整備の協力:アフガニスタン国内のインフラ開発においてロシアの技術支援を取り入れる。
3.安全保障分野での協議:テロ対策や国境管理の協力に関する意見交換を進める可能性。
ロシアが今後どのような具体的支援を提供するか、また国際社会がこれにどのように反応するかが注目される。タリバン政権の正当性を巡る国際的な議論が続く中、今回の会談は地域のパワーバランスにも影響を与える重要な出来事となる可能性が高い。
【要点】
会談の概要
・日時と場所:2024年11月25日、アフガニスタンの首都カブール。
・主な出席者:ロシア安全保障会議のセルゲイ・ショイグ書記、アレクセイ・オベルチュク副首相、タリバン暫定政権のヌールディン・アジジ貿易相代行、アブドゥル・カビール・モハンマド副首相。
・会談の目的:ロシアとタリバン暫定政権間の貿易・経済関係の深化と高レベル合意の強化。
会談内容
1.貿易・経済協力
・貿易や経済分野の発展について議論。
・過去の成果を基盤に、更なる協力を拡大する方針を確認。
・高レベル合意を目指す動きを示唆。
2.ロシアの支援に対する感謝
・タリバン側はロシアが国際舞台で同政権を支持している点を評価。
・特にアブドゥル・カビール副首相が、ロシアの支援が関係強化に寄与していると述べた。
背景と意図
1.ロシアの意図
・中央アジアでの影響力拡大。
・アフガニスタンを含む地域の安定化と経済的主導権の確保。
2.タリバンの意図
・制裁下における経済的孤立を緩和し、ロシアとの協力で利益を引き出す。
・貿易やインフラ整備での実利確保を重視。
今後の展望
1.貿易協定の具体化:商取引の枠組みを確立し、エネルギーや資源の輸出入を拡大。
2.インフラ協力:アフガニスタン国内の開発にロシアの技術や資金を活用する可能性。
3.安全保障分野の協議:テロ対策や国境管理における協力深化の可能性。
国際的影響
・ロシアがタリバン暫定政権への支援を強化することで、地域のパワーバランスに影響を与える。
・タリバン政権の国際的地位向上を巡る議論の焦点になる可能性がある。
【引用・参照・底本】
ショイグ露安保会議書記がタリバンと会談 タリバン高官「高レベルでの合意強化目指す」 sputnik 日本 2024.11.26
https://sputniknews.jp/20241126/19353612.html
2024年11月25日、ロシア安全保障会議のセルゲイ・ショイグ書記がアフガニスタンの首都カブールを訪問し、同国のタリバン暫定政権の高官らと会談を実施した。タリバンは国連の制裁下にあるが、この会談は貿易・経済協力の発展を中心に進められた。
会談に関し、タリバン側のヌールディン・アジジ貿易相代行はスプートニク通信に対して「会談の結果は双方に利益をもたらすだろう」と述べ、双方が前向きな姿勢を示したと評価した。また、ロシアのアレクセイ・オベルチュク副首相との会談では、これまでの成果や今後の貿易・経済関係の発展について話し合われた。アジジ氏は「非常に高いレベルで合意を強化したい」と述べ、協力の拡大に向けた努力がなされていることを強調した。
さらに、アブドゥル・カビール・モハンマド副首相も、ロシアとの二国間関係強化に期待を寄せる発言を行った。同氏は「国際舞台でロシアがアフガニスタン・イスラム首長国を支援していることに感謝する」と述べた。
この会談は、ロシアとタリバン暫定政権との間で貿易・経済協力を深化させる動きを示しており、双方にとって重要な意義を持つものとみられる。
【詳細】
2024年11月25日、ロシア安全保障会議のセルゲイ・ショイグ書記がアフガニスタンを訪問し、タリバン暫定政権の高官らと一連の会談を行った。訪問先のカブールでは、タリバン側との間で主に貿易・経済協力の深化に関する議題が中心に話し合われた。この動きは、国際社会の制裁下にあるタリバンとロシアの接触が、経済分野で実質的な成果を目指す段階に達したことを示唆するものである。
主な会談の内容
タリバン暫定政権を代表するヌールディン・アジジ貿易相代行は、今回の会談の成果について「両国に利益をもたらす内容であり、双方が前向きな姿勢を示している」とコメントした。具体的には、ロシアのアレクセイ・オベルチュク副首相との間で、貿易・経済関係の進展に関する議論が行われ、既存の協力体制を基盤にして、更なる合意を高レベルで強化する方針が確認された。これにはエネルギー、輸送、商品取引を含む分野が含まれるとみられる。
また、アブドゥル・カビール・モハンマド副首相も会談に出席し、「国際舞台でのロシアの支援に感謝する」と述べた。同氏の発言は、ロシアがタリバン政権に対して外交的な支持を示している点を評価したものであり、二国間の友好関係強化への期待感が強調された。
背景と意図
ロシアはアフガニスタンにおけるタリバン政権との関係を強化することで、地域の安全保障と経済的影響力の確保を狙っているとみられる。一方、タリバン側としては、制裁や国際的孤立から脱却し、ロシアとの協力を通じて経済的利益を引き出す意図がある。特に、貿易やエネルギー供給の安定確保が優先課題とされている。
さらに、地政学的観点では、ロシアがアフガニスタンを含む中央アジアでの影響力を維持・拡大しようとする動きが背景にあると考えられる。特に、アメリカやNATO諸国がアフガニスタンから撤退した後、ロシアはこの地域での主導権を握ることを目指している可能性がある。
今後の展望
今回の会談は、ロシアとタリバン暫定政権の関係がより実務的な協力段階に移行する兆しを示している。これには以下の点が含まれると予想される:
1.貿易協定の具体化:両国間での商取引の枠組みを正式に確立し、エネルギーや資源の輸出入を拡大する。
2.インフラ整備の協力:アフガニスタン国内のインフラ開発においてロシアの技術支援を取り入れる。
3.安全保障分野での協議:テロ対策や国境管理の協力に関する意見交換を進める可能性。
ロシアが今後どのような具体的支援を提供するか、また国際社会がこれにどのように反応するかが注目される。タリバン政権の正当性を巡る国際的な議論が続く中、今回の会談は地域のパワーバランスにも影響を与える重要な出来事となる可能性が高い。
【要点】
会談の概要
・日時と場所:2024年11月25日、アフガニスタンの首都カブール。
・主な出席者:ロシア安全保障会議のセルゲイ・ショイグ書記、アレクセイ・オベルチュク副首相、タリバン暫定政権のヌールディン・アジジ貿易相代行、アブドゥル・カビール・モハンマド副首相。
・会談の目的:ロシアとタリバン暫定政権間の貿易・経済関係の深化と高レベル合意の強化。
会談内容
1.貿易・経済協力
・貿易や経済分野の発展について議論。
・過去の成果を基盤に、更なる協力を拡大する方針を確認。
・高レベル合意を目指す動きを示唆。
2.ロシアの支援に対する感謝
・タリバン側はロシアが国際舞台で同政権を支持している点を評価。
・特にアブドゥル・カビール副首相が、ロシアの支援が関係強化に寄与していると述べた。
背景と意図
1.ロシアの意図
・中央アジアでの影響力拡大。
・アフガニスタンを含む地域の安定化と経済的主導権の確保。
2.タリバンの意図
・制裁下における経済的孤立を緩和し、ロシアとの協力で利益を引き出す。
・貿易やインフラ整備での実利確保を重視。
今後の展望
1.貿易協定の具体化:商取引の枠組みを確立し、エネルギーや資源の輸出入を拡大。
2.インフラ協力:アフガニスタン国内の開発にロシアの技術や資金を活用する可能性。
3.安全保障分野の協議:テロ対策や国境管理における協力深化の可能性。
国際的影響
・ロシアがタリバン暫定政権への支援を強化することで、地域のパワーバランスに影響を与える。
・タリバン政権の国際的地位向上を巡る議論の焦点になる可能性がある。
【引用・参照・底本】
ショイグ露安保会議書記がタリバンと会談 タリバン高官「高レベルでの合意強化目指す」 sputnik 日本 2024.11.26
https://sputniknews.jp/20241126/19353612.html
タリバンのバラダル経済担当副首相 ― 2024年11月26日 16:44
【概要】
2024年11月25日、アフガニスタンのカブールで、タリバンのアブドゥル・ガニ・バラダル経済担当副首相はロシア安全保障会議のセルゲイ・ショイグ書記率いるロシア代表団との会談を行った。その中で、バラダル氏は、アフガニスタンに対する西側諸国の経済的圧力を取り除くために、ロシアが協力してくれることに期待を表明した。
バラダル氏は、タリバンがカブールを掌握した後、米国および西側諸国からの圧力が強まったことを指摘し、その中でロシアがこの圧力を軽減する手助けをしてくれることを期待していると述べた。また、アフガニスタンの製品を海外に輸出する増加や外国投資の誘致に向けた努力を続けていることも説明した。アフガニスタンが信頼できる経済パートナーになる可能性があると強調した。
さらに、バラダル氏は、アフガニスタンの治安部隊が治安を安定させるために多大な努力をしており、その結果、ISISがアフガニスタンで壊滅し、他国に移動したことを成果として挙げた。
ロシア安全保障会議のセルゲイ・ショイグ書記は、25日にアフガニスタンの首都カブールを訪れ、タリバン暫定政権の高官らと会談を行った。
【詳細】
2024年11月25日、アフガニスタンの首都カブールで、タリバンのアブドゥル・ガニ・バラダル経済担当副首相はロシア安全保障会議のセルゲイ・ショイグ書記率いるロシア代表団との重要な会談を行った。この会談で、バラダル副首相は、アフガニスタンに対する西側諸国、特にアメリカ合衆国とその同盟国による経済的圧力を取り除くために、ロシアが協力してくれることに強い期待を示した。
西側諸国による圧力
バラダル氏は、タリバンが2021年にカブールを掌握した後、米国および西側諸国から厳しい経済的制裁や圧力を受けていると述べた。特に、国際的な取引における制限、金融支援の停止、そして国連によるタリバンへの制裁がアフガニスタンの経済に大きな影響を与えていると指摘した。このような制裁措置は、タリバン政権が国際的な正当性を得ることを困難にし、アフガニスタンの経済復興の障害となっている。
ロシアの協力への期待
バラダル副首相は、ロシアに対して、アフガニスタンが経済的に自立するための支援を求めていることを強調した。ロシアが、アフガニスタンに対する西側からの圧力を緩和し、経済的な協力を促進するための役割を果たしてくれることに期待を表明した。この背景には、ロシアとアフガニスタンの間に存在する歴史的な関係や、ロシアの国際的な立場が関係していると考えられる。
アフガニスタンの経済状況と改革努力
バラダル氏は、アフガニスタンが経済的な困難を乗り越えるための取り組みを行っていると説明した。特に、アフガニスタン製品の海外輸出を増加させ、外国からの投資を引き寄せるための条件を整えるための努力を続けていることを強調した。バラダル氏は、アフガニスタンが信頼できる経済パートナーとなり得ると述べ、国際社会に対して協力を呼びかけた。
治安状況の改善
さらに、バラダル氏は、アフガニスタン国内の治安情勢が改善されていることを報告した。特に、タリバンの治安部隊が ISIS(イスラム国)などの過激派勢力に対して壊滅的な打撃を与え、ISISがアフガニスタンから撤退したことを強調した。この治安の安定化は、アフガニスタンにおける投資環境や経済成長の基盤を作るために不可欠な要素とされている。
ロシア代表団との会談
ロシア安全保障会議のセルゲイ・ショイグ書記は、アフガニスタンにおけるタリバン暫定政権の高官との会談を通じて、両国間の協力関係を強化する意向を示した。ショイグ書記は、アフガニスタンの安全保障や地域の安定に関する問題についても言及し、ロシアとしてタリバン政権との協力を進める意欲を示した。
この会談は、ロシアとアフガニスタンの関係強化に向けた一環として、特に経済的な支援や投資誘致、治安維持の協力において重要な意味を持っている。ロシアは、アフガニスタンに対する西側諸国の圧力が続く中で、独自の立場を強化し、アフガニスタンとの関係を深化させる戦略を採っている。
このように、バラダル副首相とショイグ書記の会談は、アフガニスタンの経済的な自立と治安の安定に向けた重要なステップとなる可能性がある。
【要点】
・会談の日時と場所: 2024年11月25日、アフガニスタン・カブールでタリバンのアブドゥル・ガニ・バラダル経済担当副首相とロシア安全保障会議のセルゲイ・ショイグ書記率いるロシア代表団が会談。
・タリバンへの西側圧力: バラダル副首相は、タリバンがカブールを掌握した後、米国および西側諸国からの経済的圧力を受けていることを指摘。
・ロシアの協力への期待: バラダル副首相は、ロシアが西側からの経済的圧力を取り除くための協力をしてくれることに期待を表明。
・アフガニスタンの経済改革努力: アフガニスタンは、製品の海外輸出を増加させ、外国投資を誘致するために努力しており、信頼できる経済パートナーとしての可能性を強調。
・治安の改善: アフガニスタンの治安部隊は、ISISなどの過激派勢力を壊滅させ、国内の治安を安定させるために多大な努力をしていると報告。
・ロシアとの協力強化: ロシアはアフガニスタンの治安や経済問題に関して協力を進める意向を示し、タリバン政権との関係強化を図っている。
・ショイグ書記の訪問: 25日にセルゲイ・ショイグ書記がカブールを訪れ、タリバン暫定政権との会談を行い、両国間の協力を深化させることを確認。
【参考】
☞ タリバン(Taliban)は、アフガニスタンのイスラム過激派組織で、1990年代後半にアフガニスタンで政権を掌握した後、2001年にアメリカの軍事介入により一時的に政権を失うも、2021年に再びカブールを掌握した。
以下はタリバンに関する主な特徴でである。
・設立: 1994年にアフガニスタン南部で、ムジャヒディーンの元戦士やイスラム神学校(マドラサ)出身者によって結成された。タリバンという名前はアラビア語で「学者」を意味し、メンバーは多くが宗教学校出身の若者である。
・初回の政権: 1996年から2001年にかけて、アフガニスタンを支配し、厳格なシャリア法(イスラム法)を施行した。女性の教育や公共の場での活動を厳しく制限し、国際的な非難を浴びた。
・2001年のアメリカの軍事介入: 9/11のアメリカ同時多発テロを受け、アメリカはタリバン政権がアルカイダに庇護を与えているとして、アフガニスタンに軍事介入。これによりタリバン政権は崩壊し、アメリカの支援を受けた親西側の政権が樹立された。
・再興: 2000年代後半からタリバンはアフガニスタン各地でゲリラ戦を展開し、アメリカ軍およびアフガニスタン政府軍との戦闘を続けた。2018年から2021年にかけて、タリバンとアメリカとの間で和平交渉が行われ、最終的に2021年8月、アメリカ軍の撤退とともに再びカブールを掌握した。
・2021年の再掌握: アメリカ軍の撤退が完了する直前、タリバンはアフガニスタン全土を制圧し、再び政権を掌握。タリバンのリーダーであるハイバトラ・アフンザダが指導しており、政権名は「アフガニスタン・イスラム首長国」となった。
・現在の状況: タリバンはアフガニスタンの統治を再開し、イスラム法に基づいた厳格な支配を継続している。女性の権利制限やメディア活動の規制、政治的反対派の弾圧が行われており、国際的には認知を得るための努力が続いているが、経済的には困難を抱えている。
・国際社会との関係: タリバンはアフガニスタンを支配しているが、国際的にはその正当性が認められていない。アメリカや西側諸国からの圧力や制裁が続き、国連による制裁対象となっている。
・タリバンはその過激な宗教的政策と、国際社会との対立の中でアフガニスタンの治安や経済に重大な影響を与え続けている。
☞ アフガン戦争(またはアフガニスタン戦争)は、アフガニスタンにおける複数の軍事紛争を指し、特に1979年から続く戦争を中心に話されることが多い。以下は主な歴史的な戦争についての概要である。
1. ソビエト連邦のアフガニスタン侵攻(1979–1989)
・背景: 1978年、アフガニスタンの社会主義政権が成立し、ソビエト連邦の支援を受けた。しかし、急速に社会主義改革が進んだ結果、国内で広範な反発が生じ、政府に対する武力反乱が勃発した。
・ソビエト介入: 1979年12月、ソビエト連邦はアフガニスタンの親ソ政府を支援するために軍事介入を開始した。ソビエト軍は、国内の反政府勢力(ムジャヒディーン)と戦った。
・ムジャヒディーンの戦い: ソビエト軍は激しいゲリラ戦に直面し、アフガニスタン全土を制圧することはできなかった。ムジャヒディーンは、パキスタンやアメリカ、サウジアラビアから支援を受けながら、ソビエト軍に対抗した。
・アメリカの関与: アメリカ合衆国は、冷戦時代にソビエト連邦の影響力拡大を阻止するため、ムジャヒディーンに武器や資金を提供。アフガニスタンは、ソ連との代理戦争の場となった。
・撤退と影響: ソビエト連邦は1989年にアフガニスタンから撤退。ソ連はこの戦争で約1万3千人の兵士を失い、戦争の結果、アフガニスタンは混乱と内戦の状態に陥った。戦争後、アフガニスタンは次第にタリバンの登場に繋がる。
2. アメリカ主導のアフガン戦争(2001–2021)
・背景: 2001年9月11日、アメリカ同時多発テロ(9/11)が発生。このテロ事件の実行犯であるアルカイダは、当時タリバン政権が支配していたアフガニスタンに拠点を置いていた。
・アメリカの軍事介入: 9/11の後、アメリカ合衆国はタリバン政権に対して即座に軍事行動を開始。アメリカ主導の連合軍は、タリバン政権を迅速に崩壊させ、アルカイダのリーダーであるオサマ・ビンラディンの捕獲を目指した。
・長期的な戦争: 2001年にタリバン政権が崩壊した後も、アフガニスタンではタリバンやその他の反乱勢力との激しい戦闘が続いた。アメリカは、アフガニスタンにおける民主主義の確立と治安の回復を目指して戦争を続けたが、戦争は長期化した。
・アメリカ軍の撤退: 2011年にアメリカ軍はビンラディンをパキスタンで殺害したものの、アフガニスタンでの戦闘は続き、アメリカ国内では戦争への反対意見が強まり、アメリカは段階的に撤退を進めた。最終的に、2021年8月にアメリカ軍はアフガニスタンから完全に撤退し、タリバンは再びカブールを制圧した。
・タリバンの再掌握: アメリカ軍撤退に伴い、タリバンは2021年8月に再びアフガニスタン全土を制圧。タリバンは再びアフガニスタンを支配することになり、これが現在のアフガニスタンの状況に繋がっている。
3. 現在の状況
・タリバンの支配: 2021年のタリバンの再掌握以降、アフガニスタンはタリバン政権の下で統治されているが、西側諸国との関係は依然として緊張しており、国際的な認知が得られていない。
・経済的困難: アフガニスタンは経済的に困難な状況にあり、西側諸国による制裁や支援の停止が影響している。国際社会はタリバン政権に対して人権状況や女性の権利問題を指摘しており、支援の提供には慎重な態度を取っている。
・治安問題: アフガニスタンでは依然としてISISやその他の過激派組織の活動が続いており、国内の治安は不安定な状態にある。
アフガン戦争は、冷戦時代から続く大国間の対立、そして長期にわたる内戦の結果、アフガニスタンに深刻な社会的・経済的影響を与え、その後の国際情勢にも多大な影響を与えた。
☞ ムジャヒディーン(Mujahideen)は、イスラム教の「ジハード(聖戦)」を行う戦士を意味するアラビア語の複数形で、特に1970年代から1990年代にかけてアフガニスタンで活動した反ソビエト勢力を指す際に使われることが多い。
以下にムジャヒディーンの背景や特徴を説明する。
1. 語源と基本的な意味
・語源: アラビア語の「ムジャーヒド(Mujahid, مجاهد)」の複数形で、「ジハード(努力や戦い)を行う者」を意味する。元々はイスラム教の文脈で、神のために奮闘する人を指していた。
・現代的な用法: 特にイスラム教徒の武装戦闘員を指す場合に使われることが多い。
2. アフガニスタンでのムジャヒディーン
(1)ソビエト連邦に対する抵抗
・1979年、ソビエト連邦がアフガニスタンに軍事介入を開始すると、国内で反共産主義的な反乱が発生した。
・この反乱勢力の主要な構成員が「ムジャヒディーン」と呼ばれた。
(2)支援と連携
・国際的支援: ムジャヒディーンは、アメリカ合衆国、パキスタン、サウジアラビア、イランなどから資金や武器の提供を受けた。特にアメリカは、ソビエト連邦の影響力拡大を防ぐため、CIAを通じて支援を行った(チャーリー・ウィルソンズ・ウォーで知られる)。
・パキスタンの役割: パキスタンの諜報機関ISIは、ムジャヒディーンへの支援を管理し、武器や物資の供給拠点となった。
(3)ゲリラ戦術
・ムジャヒディーンはソビエト軍に対してゲリラ戦を展開し、山岳地帯を利用した柔軟な戦術で戦闘を行った。彼らは地雷やスティンガーミサイルを効果的に使用し、ソビエト軍に多大な損害を与えた。
3. ムジャヒディーンの多様性
(1)宗教的・民族的背景: ムジャヒディーンはパシュトゥーン人、タジク人、ハザーラ人など、様々な民族から構成されていた。また、スンニ派やシーア派など、イスラム教の宗派も多様であった。
(2)派閥の分裂: 各地域や指導者ごとに異なる派閥が形成され、内部での対立もあった。
・有力な指導者には、グルブディン・ヘクマティヤール(ヒズビ・イスラミ)やアフマド・シャー・マスード(北部同盟)などがいる。
4. 戦争後のムジャヒディーン
(1)ソビエト連邦撤退後(1989年)
・ムジャヒディーンは一時的に勝利したが、アフガニスタン政府軍との戦闘や内部対立により、アフガニスタンは長期的な内戦に突入した。
(2)タリバンの台頭(1990年代)
・一部のムジャヒディーン勢力がタリバンに吸収される一方で、他の勢力はタリバンと対立する北部同盟として活動を続けた。
(3)国際テロ組織との関係
・一部のムジャヒディーン戦士が後にアルカイダやその他のイスラム過激派組織に参加。これが後の9/11テロやグローバルテロリズムの一因となった。
5. ムジャヒディーンの影響と評価
(1)冷戦期の重要性
・ソビエト連邦のアフガニスタン侵攻を阻止したムジャヒディーンは、冷戦における象徴的な存在となった。
(2)長期的な影響
・アフガニスタンの内戦や混乱の原因の一端を担ったともされる。
・アメリカや西側諸国がムジャヒディーンを支援した結果、後に反米感情を持つ過激派組織の台頭を助長したとの批判もある。
ムジャヒディーンは、アフガニスタンの近現代史における重要な役割を果たした存在であり、彼らの活動はその後の世界的な安全保障問題に繋がる歴史的な転換点となった。
☞ アルカイダ(Al-Qaeda, القاعدة)は、イスラム過激派組織であり、1988年頃にソビエト連邦のアフガニスタン侵攻への対抗を目的として結成された。後に国際的なジハード(聖戦)運動を展開し、9.11同時多発テロを含む多数のテロ攻撃を主導したことで知られる。
以下に、アルカイダの背景、組織構造、活動内容、影響について詳しく説明する。
1. 結成の背景
・創設者: オサマ・ビン・ラーディン(サウジアラビア出身)とアブドゥラ・アッザーム(パレスチナ出身)らが創設。
・結成の目的
⇨ ソビエト連邦に対抗するため、アフガニスタンに集まったムスリム義勇兵を組織化。
⇨ 戦争終了後、ムスリム諸国における「不信仰な」政権の打倒や西側諸国への聖戦を掲げる国際ネットワークへ発展。
2. アルカイダの基本的な理念
・ジハードの推進
⇨ イスラムの純粋な支配を取り戻すために戦い、西側諸国の影響力を排除する。
・目標
⇨ イスラム世界における西側の軍事的・経済的支配を排除。
⇨ イスラム法(シャリーア)に基づく政権を樹立。
3. 組織構造
・リーダーシップ
⇨ 初代リーダーはオサマ・ビン・ラーディン(2011年にアメリカ軍により殺害)。
⇨ 後継者としてアイマン・ザワヒリ(エジプト出身)がリーダーとなった。
・分散型ネットワーク
⇨ 各地に支部を持ち、指導部の指揮下で活動を行うが、地域ごとに独立性も高い。
⇨ 主な支部: アルカイダ・アラビア半島(AQAP)、アルカイダ・マグリブ諸国支部(AQIM)、アルシャバブ(ソマリア)など。
4. 主な活動とテロ攻撃
・1990年代初頭
⇨ ソマリアやサウジアラビアでの攻撃を開始。
⇨ 米国を「敵」と見なし、対米テロの計画を本格化。
・1998年: アメリカ大使館爆破事件(ケニア・タンザニア)。
・2000年: 米軍艦コール襲撃事件(イエメン)。
・2001年: 9.11同時多発テロ(アメリカ)。
⇨ ニューヨークの世界貿易センタービル、ワシントンD.C.のペンタゴンを標的とし、約3,000人が犠牲となった。
5. 影響力の変遷
・アフガニスタン戦争(2001年~)
⇨ 9.11テロを受けたアメリカの報復として開始された戦争で、アルカイダの本拠地が攻撃を受ける。
⇨ リーダーシップや拠点を失うが、ネットワーク型組織としての活動は継続。
・シリアやイラクでの活動
⇨ アルカイダに触発されたグループが各地で活動を展開。
⇨ イスラム国(IS, ISIS)の台頭により一部勢力がそちらに移行するが、アルカイダ自体も存続。
6. アルカイダの現状
・分散化と地域的拡大
⇨ アルカイダの影響力はイエメン、北アフリカ、ソマリアなどで根強い。
⇨ 特に紛争地域や政情不安の続く国で、アルカイダ系のグループが活動を活発化。
・指導力の低下
⇨ オサマ・ビン・ラーディンとアイマン・ザワヒリの死後、中心的なリーダーシップは弱まったとされる。
7. アルカイダの世界的な影響
・テロ対策の強化: アメリカやヨーロッパ諸国を中心に、テロ対策政策が強化され、国際的な協力が進んだ。
・イスラム過激派への影響
⇨ アルカイダは、他の過激派組織や個人テロリストの模範となり、ジハード主義の象徴的存在となった。
アルカイダは、近代史における国際テロの象徴的存在であり、その活動は世界的な安全保障の課題を深刻化させた。現在も各地で分散的な活動を続けており、国際社会の注視を集めている。
【参考はブログ作成者が付記】
【引用・参照・底本】
タリバン、西側諸国による圧力除去に向けたロシアの協力を期待 sputnik 日本 2024.11.26
https://sputniknews.jp/20241126/19353612.html
2024年11月25日、アフガニスタンのカブールで、タリバンのアブドゥル・ガニ・バラダル経済担当副首相はロシア安全保障会議のセルゲイ・ショイグ書記率いるロシア代表団との会談を行った。その中で、バラダル氏は、アフガニスタンに対する西側諸国の経済的圧力を取り除くために、ロシアが協力してくれることに期待を表明した。
バラダル氏は、タリバンがカブールを掌握した後、米国および西側諸国からの圧力が強まったことを指摘し、その中でロシアがこの圧力を軽減する手助けをしてくれることを期待していると述べた。また、アフガニスタンの製品を海外に輸出する増加や外国投資の誘致に向けた努力を続けていることも説明した。アフガニスタンが信頼できる経済パートナーになる可能性があると強調した。
さらに、バラダル氏は、アフガニスタンの治安部隊が治安を安定させるために多大な努力をしており、その結果、ISISがアフガニスタンで壊滅し、他国に移動したことを成果として挙げた。
ロシア安全保障会議のセルゲイ・ショイグ書記は、25日にアフガニスタンの首都カブールを訪れ、タリバン暫定政権の高官らと会談を行った。
【詳細】
2024年11月25日、アフガニスタンの首都カブールで、タリバンのアブドゥル・ガニ・バラダル経済担当副首相はロシア安全保障会議のセルゲイ・ショイグ書記率いるロシア代表団との重要な会談を行った。この会談で、バラダル副首相は、アフガニスタンに対する西側諸国、特にアメリカ合衆国とその同盟国による経済的圧力を取り除くために、ロシアが協力してくれることに強い期待を示した。
西側諸国による圧力
バラダル氏は、タリバンが2021年にカブールを掌握した後、米国および西側諸国から厳しい経済的制裁や圧力を受けていると述べた。特に、国際的な取引における制限、金融支援の停止、そして国連によるタリバンへの制裁がアフガニスタンの経済に大きな影響を与えていると指摘した。このような制裁措置は、タリバン政権が国際的な正当性を得ることを困難にし、アフガニスタンの経済復興の障害となっている。
ロシアの協力への期待
バラダル副首相は、ロシアに対して、アフガニスタンが経済的に自立するための支援を求めていることを強調した。ロシアが、アフガニスタンに対する西側からの圧力を緩和し、経済的な協力を促進するための役割を果たしてくれることに期待を表明した。この背景には、ロシアとアフガニスタンの間に存在する歴史的な関係や、ロシアの国際的な立場が関係していると考えられる。
アフガニスタンの経済状況と改革努力
バラダル氏は、アフガニスタンが経済的な困難を乗り越えるための取り組みを行っていると説明した。特に、アフガニスタン製品の海外輸出を増加させ、外国からの投資を引き寄せるための条件を整えるための努力を続けていることを強調した。バラダル氏は、アフガニスタンが信頼できる経済パートナーとなり得ると述べ、国際社会に対して協力を呼びかけた。
治安状況の改善
さらに、バラダル氏は、アフガニスタン国内の治安情勢が改善されていることを報告した。特に、タリバンの治安部隊が ISIS(イスラム国)などの過激派勢力に対して壊滅的な打撃を与え、ISISがアフガニスタンから撤退したことを強調した。この治安の安定化は、アフガニスタンにおける投資環境や経済成長の基盤を作るために不可欠な要素とされている。
ロシア代表団との会談
ロシア安全保障会議のセルゲイ・ショイグ書記は、アフガニスタンにおけるタリバン暫定政権の高官との会談を通じて、両国間の協力関係を強化する意向を示した。ショイグ書記は、アフガニスタンの安全保障や地域の安定に関する問題についても言及し、ロシアとしてタリバン政権との協力を進める意欲を示した。
この会談は、ロシアとアフガニスタンの関係強化に向けた一環として、特に経済的な支援や投資誘致、治安維持の協力において重要な意味を持っている。ロシアは、アフガニスタンに対する西側諸国の圧力が続く中で、独自の立場を強化し、アフガニスタンとの関係を深化させる戦略を採っている。
このように、バラダル副首相とショイグ書記の会談は、アフガニスタンの経済的な自立と治安の安定に向けた重要なステップとなる可能性がある。
【要点】
・会談の日時と場所: 2024年11月25日、アフガニスタン・カブールでタリバンのアブドゥル・ガニ・バラダル経済担当副首相とロシア安全保障会議のセルゲイ・ショイグ書記率いるロシア代表団が会談。
・タリバンへの西側圧力: バラダル副首相は、タリバンがカブールを掌握した後、米国および西側諸国からの経済的圧力を受けていることを指摘。
・ロシアの協力への期待: バラダル副首相は、ロシアが西側からの経済的圧力を取り除くための協力をしてくれることに期待を表明。
・アフガニスタンの経済改革努力: アフガニスタンは、製品の海外輸出を増加させ、外国投資を誘致するために努力しており、信頼できる経済パートナーとしての可能性を強調。
・治安の改善: アフガニスタンの治安部隊は、ISISなどの過激派勢力を壊滅させ、国内の治安を安定させるために多大な努力をしていると報告。
・ロシアとの協力強化: ロシアはアフガニスタンの治安や経済問題に関して協力を進める意向を示し、タリバン政権との関係強化を図っている。
・ショイグ書記の訪問: 25日にセルゲイ・ショイグ書記がカブールを訪れ、タリバン暫定政権との会談を行い、両国間の協力を深化させることを確認。
【参考】
☞ タリバン(Taliban)は、アフガニスタンのイスラム過激派組織で、1990年代後半にアフガニスタンで政権を掌握した後、2001年にアメリカの軍事介入により一時的に政権を失うも、2021年に再びカブールを掌握した。
以下はタリバンに関する主な特徴でである。
・設立: 1994年にアフガニスタン南部で、ムジャヒディーンの元戦士やイスラム神学校(マドラサ)出身者によって結成された。タリバンという名前はアラビア語で「学者」を意味し、メンバーは多くが宗教学校出身の若者である。
・初回の政権: 1996年から2001年にかけて、アフガニスタンを支配し、厳格なシャリア法(イスラム法)を施行した。女性の教育や公共の場での活動を厳しく制限し、国際的な非難を浴びた。
・2001年のアメリカの軍事介入: 9/11のアメリカ同時多発テロを受け、アメリカはタリバン政権がアルカイダに庇護を与えているとして、アフガニスタンに軍事介入。これによりタリバン政権は崩壊し、アメリカの支援を受けた親西側の政権が樹立された。
・再興: 2000年代後半からタリバンはアフガニスタン各地でゲリラ戦を展開し、アメリカ軍およびアフガニスタン政府軍との戦闘を続けた。2018年から2021年にかけて、タリバンとアメリカとの間で和平交渉が行われ、最終的に2021年8月、アメリカ軍の撤退とともに再びカブールを掌握した。
・2021年の再掌握: アメリカ軍の撤退が完了する直前、タリバンはアフガニスタン全土を制圧し、再び政権を掌握。タリバンのリーダーであるハイバトラ・アフンザダが指導しており、政権名は「アフガニスタン・イスラム首長国」となった。
・現在の状況: タリバンはアフガニスタンの統治を再開し、イスラム法に基づいた厳格な支配を継続している。女性の権利制限やメディア活動の規制、政治的反対派の弾圧が行われており、国際的には認知を得るための努力が続いているが、経済的には困難を抱えている。
・国際社会との関係: タリバンはアフガニスタンを支配しているが、国際的にはその正当性が認められていない。アメリカや西側諸国からの圧力や制裁が続き、国連による制裁対象となっている。
・タリバンはその過激な宗教的政策と、国際社会との対立の中でアフガニスタンの治安や経済に重大な影響を与え続けている。
☞ アフガン戦争(またはアフガニスタン戦争)は、アフガニスタンにおける複数の軍事紛争を指し、特に1979年から続く戦争を中心に話されることが多い。以下は主な歴史的な戦争についての概要である。
1. ソビエト連邦のアフガニスタン侵攻(1979–1989)
・背景: 1978年、アフガニスタンの社会主義政権が成立し、ソビエト連邦の支援を受けた。しかし、急速に社会主義改革が進んだ結果、国内で広範な反発が生じ、政府に対する武力反乱が勃発した。
・ソビエト介入: 1979年12月、ソビエト連邦はアフガニスタンの親ソ政府を支援するために軍事介入を開始した。ソビエト軍は、国内の反政府勢力(ムジャヒディーン)と戦った。
・ムジャヒディーンの戦い: ソビエト軍は激しいゲリラ戦に直面し、アフガニスタン全土を制圧することはできなかった。ムジャヒディーンは、パキスタンやアメリカ、サウジアラビアから支援を受けながら、ソビエト軍に対抗した。
・アメリカの関与: アメリカ合衆国は、冷戦時代にソビエト連邦の影響力拡大を阻止するため、ムジャヒディーンに武器や資金を提供。アフガニスタンは、ソ連との代理戦争の場となった。
・撤退と影響: ソビエト連邦は1989年にアフガニスタンから撤退。ソ連はこの戦争で約1万3千人の兵士を失い、戦争の結果、アフガニスタンは混乱と内戦の状態に陥った。戦争後、アフガニスタンは次第にタリバンの登場に繋がる。
2. アメリカ主導のアフガン戦争(2001–2021)
・背景: 2001年9月11日、アメリカ同時多発テロ(9/11)が発生。このテロ事件の実行犯であるアルカイダは、当時タリバン政権が支配していたアフガニスタンに拠点を置いていた。
・アメリカの軍事介入: 9/11の後、アメリカ合衆国はタリバン政権に対して即座に軍事行動を開始。アメリカ主導の連合軍は、タリバン政権を迅速に崩壊させ、アルカイダのリーダーであるオサマ・ビンラディンの捕獲を目指した。
・長期的な戦争: 2001年にタリバン政権が崩壊した後も、アフガニスタンではタリバンやその他の反乱勢力との激しい戦闘が続いた。アメリカは、アフガニスタンにおける民主主義の確立と治安の回復を目指して戦争を続けたが、戦争は長期化した。
・アメリカ軍の撤退: 2011年にアメリカ軍はビンラディンをパキスタンで殺害したものの、アフガニスタンでの戦闘は続き、アメリカ国内では戦争への反対意見が強まり、アメリカは段階的に撤退を進めた。最終的に、2021年8月にアメリカ軍はアフガニスタンから完全に撤退し、タリバンは再びカブールを制圧した。
・タリバンの再掌握: アメリカ軍撤退に伴い、タリバンは2021年8月に再びアフガニスタン全土を制圧。タリバンは再びアフガニスタンを支配することになり、これが現在のアフガニスタンの状況に繋がっている。
3. 現在の状況
・タリバンの支配: 2021年のタリバンの再掌握以降、アフガニスタンはタリバン政権の下で統治されているが、西側諸国との関係は依然として緊張しており、国際的な認知が得られていない。
・経済的困難: アフガニスタンは経済的に困難な状況にあり、西側諸国による制裁や支援の停止が影響している。国際社会はタリバン政権に対して人権状況や女性の権利問題を指摘しており、支援の提供には慎重な態度を取っている。
・治安問題: アフガニスタンでは依然としてISISやその他の過激派組織の活動が続いており、国内の治安は不安定な状態にある。
アフガン戦争は、冷戦時代から続く大国間の対立、そして長期にわたる内戦の結果、アフガニスタンに深刻な社会的・経済的影響を与え、その後の国際情勢にも多大な影響を与えた。
☞ ムジャヒディーン(Mujahideen)は、イスラム教の「ジハード(聖戦)」を行う戦士を意味するアラビア語の複数形で、特に1970年代から1990年代にかけてアフガニスタンで活動した反ソビエト勢力を指す際に使われることが多い。
以下にムジャヒディーンの背景や特徴を説明する。
1. 語源と基本的な意味
・語源: アラビア語の「ムジャーヒド(Mujahid, مجاهد)」の複数形で、「ジハード(努力や戦い)を行う者」を意味する。元々はイスラム教の文脈で、神のために奮闘する人を指していた。
・現代的な用法: 特にイスラム教徒の武装戦闘員を指す場合に使われることが多い。
2. アフガニスタンでのムジャヒディーン
(1)ソビエト連邦に対する抵抗
・1979年、ソビエト連邦がアフガニスタンに軍事介入を開始すると、国内で反共産主義的な反乱が発生した。
・この反乱勢力の主要な構成員が「ムジャヒディーン」と呼ばれた。
(2)支援と連携
・国際的支援: ムジャヒディーンは、アメリカ合衆国、パキスタン、サウジアラビア、イランなどから資金や武器の提供を受けた。特にアメリカは、ソビエト連邦の影響力拡大を防ぐため、CIAを通じて支援を行った(チャーリー・ウィルソンズ・ウォーで知られる)。
・パキスタンの役割: パキスタンの諜報機関ISIは、ムジャヒディーンへの支援を管理し、武器や物資の供給拠点となった。
(3)ゲリラ戦術
・ムジャヒディーンはソビエト軍に対してゲリラ戦を展開し、山岳地帯を利用した柔軟な戦術で戦闘を行った。彼らは地雷やスティンガーミサイルを効果的に使用し、ソビエト軍に多大な損害を与えた。
3. ムジャヒディーンの多様性
(1)宗教的・民族的背景: ムジャヒディーンはパシュトゥーン人、タジク人、ハザーラ人など、様々な民族から構成されていた。また、スンニ派やシーア派など、イスラム教の宗派も多様であった。
(2)派閥の分裂: 各地域や指導者ごとに異なる派閥が形成され、内部での対立もあった。
・有力な指導者には、グルブディン・ヘクマティヤール(ヒズビ・イスラミ)やアフマド・シャー・マスード(北部同盟)などがいる。
4. 戦争後のムジャヒディーン
(1)ソビエト連邦撤退後(1989年)
・ムジャヒディーンは一時的に勝利したが、アフガニスタン政府軍との戦闘や内部対立により、アフガニスタンは長期的な内戦に突入した。
(2)タリバンの台頭(1990年代)
・一部のムジャヒディーン勢力がタリバンに吸収される一方で、他の勢力はタリバンと対立する北部同盟として活動を続けた。
(3)国際テロ組織との関係
・一部のムジャヒディーン戦士が後にアルカイダやその他のイスラム過激派組織に参加。これが後の9/11テロやグローバルテロリズムの一因となった。
5. ムジャヒディーンの影響と評価
(1)冷戦期の重要性
・ソビエト連邦のアフガニスタン侵攻を阻止したムジャヒディーンは、冷戦における象徴的な存在となった。
(2)長期的な影響
・アフガニスタンの内戦や混乱の原因の一端を担ったともされる。
・アメリカや西側諸国がムジャヒディーンを支援した結果、後に反米感情を持つ過激派組織の台頭を助長したとの批判もある。
ムジャヒディーンは、アフガニスタンの近現代史における重要な役割を果たした存在であり、彼らの活動はその後の世界的な安全保障問題に繋がる歴史的な転換点となった。
☞ アルカイダ(Al-Qaeda, القاعدة)は、イスラム過激派組織であり、1988年頃にソビエト連邦のアフガニスタン侵攻への対抗を目的として結成された。後に国際的なジハード(聖戦)運動を展開し、9.11同時多発テロを含む多数のテロ攻撃を主導したことで知られる。
以下に、アルカイダの背景、組織構造、活動内容、影響について詳しく説明する。
1. 結成の背景
・創設者: オサマ・ビン・ラーディン(サウジアラビア出身)とアブドゥラ・アッザーム(パレスチナ出身)らが創設。
・結成の目的
⇨ ソビエト連邦に対抗するため、アフガニスタンに集まったムスリム義勇兵を組織化。
⇨ 戦争終了後、ムスリム諸国における「不信仰な」政権の打倒や西側諸国への聖戦を掲げる国際ネットワークへ発展。
2. アルカイダの基本的な理念
・ジハードの推進
⇨ イスラムの純粋な支配を取り戻すために戦い、西側諸国の影響力を排除する。
・目標
⇨ イスラム世界における西側の軍事的・経済的支配を排除。
⇨ イスラム法(シャリーア)に基づく政権を樹立。
3. 組織構造
・リーダーシップ
⇨ 初代リーダーはオサマ・ビン・ラーディン(2011年にアメリカ軍により殺害)。
⇨ 後継者としてアイマン・ザワヒリ(エジプト出身)がリーダーとなった。
・分散型ネットワーク
⇨ 各地に支部を持ち、指導部の指揮下で活動を行うが、地域ごとに独立性も高い。
⇨ 主な支部: アルカイダ・アラビア半島(AQAP)、アルカイダ・マグリブ諸国支部(AQIM)、アルシャバブ(ソマリア)など。
4. 主な活動とテロ攻撃
・1990年代初頭
⇨ ソマリアやサウジアラビアでの攻撃を開始。
⇨ 米国を「敵」と見なし、対米テロの計画を本格化。
・1998年: アメリカ大使館爆破事件(ケニア・タンザニア)。
・2000年: 米軍艦コール襲撃事件(イエメン)。
・2001年: 9.11同時多発テロ(アメリカ)。
⇨ ニューヨークの世界貿易センタービル、ワシントンD.C.のペンタゴンを標的とし、約3,000人が犠牲となった。
5. 影響力の変遷
・アフガニスタン戦争(2001年~)
⇨ 9.11テロを受けたアメリカの報復として開始された戦争で、アルカイダの本拠地が攻撃を受ける。
⇨ リーダーシップや拠点を失うが、ネットワーク型組織としての活動は継続。
・シリアやイラクでの活動
⇨ アルカイダに触発されたグループが各地で活動を展開。
⇨ イスラム国(IS, ISIS)の台頭により一部勢力がそちらに移行するが、アルカイダ自体も存続。
6. アルカイダの現状
・分散化と地域的拡大
⇨ アルカイダの影響力はイエメン、北アフリカ、ソマリアなどで根強い。
⇨ 特に紛争地域や政情不安の続く国で、アルカイダ系のグループが活動を活発化。
・指導力の低下
⇨ オサマ・ビン・ラーディンとアイマン・ザワヒリの死後、中心的なリーダーシップは弱まったとされる。
7. アルカイダの世界的な影響
・テロ対策の強化: アメリカやヨーロッパ諸国を中心に、テロ対策政策が強化され、国際的な協力が進んだ。
・イスラム過激派への影響
⇨ アルカイダは、他の過激派組織や個人テロリストの模範となり、ジハード主義の象徴的存在となった。
アルカイダは、近代史における国際テロの象徴的存在であり、その活動は世界的な安全保障の課題を深刻化させた。現在も各地で分散的な活動を続けており、国際社会の注視を集めている。
【参考はブログ作成者が付記】
【引用・参照・底本】
タリバン、西側諸国による圧力除去に向けたロシアの協力を期待 sputnik 日本 2024.11.26
https://sputniknews.jp/20241126/19353612.html
F35:設計は要件レベルで破綻していた ― 2024年11月26日 16:54
【概要】
イーロン・マスク氏は、自身のSNSプラットフォーム「X」において、F35戦闘機の設計に関して批判的な見解を示した。「F35の設計は要件レベルで破綻していた」と述べ、その理由として「非常に多くの人々に、非常に多くの要求を同時に満たすことを求められた」点を挙げた。マスク氏は、これがF35を「高価で複雑な、いわば何でも屋のような存在にしてしまった」と指摘し、「その結果、F35は特定の分野での優位性を持たず、成功の見込みがなかった」と評価した。
さらに、マスク氏は「有人戦闘機は、ドローン技術が進展する現代において時代遅れである」との認識を示し、「有人機はパイロットの命を危険にさらすだけである」として、無人航空機の時代への移行を支持する姿勢を明らかにした。
日本国内では、防衛省が2023年度末時点で38機のF35戦闘機を配備しており、今後147機を追加購入する計画を進めている。しかし、F35はこれまでにも技術的トラブルや墜落事故が各国で発生している。特に、2019年4月には青森県沖で航空自衛隊のF35A戦闘機が墜落し、パイロット1名が死亡する事故が発生した。この事故は、機体の安全性や技術的信頼性に対する懸念を引き起こしている。
【詳細】
イーロン・マスク氏のF35戦闘機に対する批判は、戦闘機の設計思想や運用上の根本的な問題にまで及んでいる。同氏は「F35の設計は、開発段階における要件設定の時点で破綻していた」と述べた。この発言の背景には、F35戦闘機が当初から複数の任務を1機種でこなす「マルチロール」機として開発された点がある。F35は空軍向けのF35A、短距離離陸・垂直着陸能力を持つ海兵隊向けのF35B、艦載機仕様のF35Cという3つのバリエーションを持ち、それぞれ異なる運用環境や要求を満たすことが求められていた。このような設計の多様性が、機体を複雑かつ高コストなものにした原因とされている。
マスク氏は、このような設計方針が結果として「何でも屋でありながら、特定の分野での突出した能力を持たない戦闘機」を生み出したと指摘している。また、「設計段階での過剰な要求」が、F35の開発費用の膨張や技術的課題の頻発につながり、結果として「高額で複雑だが、特定の分野で特化していない」機体となったと述べた。
さらに、マスク氏は、有人戦闘機の存在意義そのものに疑問を呈している。彼は「ドローン技術が発展した現代において、有人戦闘機は時代遅れである」とし、「有人機は、パイロットを無用なリスクにさらすだけだ」と批判した。この主張は、無人機の技術進歩やその運用コストの低さ、リスク軽減の観点から、軍事技術の未来が無人航空機にシフトすべきだとの意見を支持するものである。
日本国内では、F35戦闘機は航空自衛隊において重要な役割を担っている。防衛省の発表によれば、2023年度末の時点で日本には38機のF35戦闘機が配備されている。さらに、今後147機を購入する計画が進行中であり、この大規模な調達には防衛予算の相当部分が割り当てられている。しかし、F35は運用開始以降、世界中で技術的なトラブルや事故が報告されている。
特に2019年4月には、青森県沖で航空自衛隊所属のF35A戦闘機が墜落する事故が発生した。この事故では、パイロット1名が死亡しており、事故原因としてパイロットの「空間識失調」が指摘された。この現象は、パイロットが視覚や感覚の混乱により自機の姿勢や高度を誤認するものであり、F35の高性能ながら複雑なコックピット設計や運用環境が間接的な要因として議論されている。この事故以降も、F35の技術的信頼性や運用上の課題に関する懸念が続いている。
さらに、F35プログラムはコスト面でも批判を浴びている。「史上最も高額な兵器システム」とされるF35の開発には、2020年時点で推定1.7兆ドル(約190兆円)が投入されており、1機あたりの単価も継続的に上昇している。これにより、開発を主導するアメリカのロッキード・マーティン社への依存や、参加国の予算負担が問題視されている。
こうした背景を踏まえ、F35戦闘機に対するイーロン・マスク氏の批判は、技術的問題、運用上の課題、そして有人機の存在意義そのものに対する疑問を包括的に提起するものである。彼の主張は、有人戦闘機と無人航空機の将来的な役割分担や、防衛費の効率的な配分をめぐる議論に新たな視点を提供しているといえる。
【要点】
1.イーロン・マスク氏の批判内容
・F35の設計は「要件レベルで破綻していた」と指摘。
複数の用途(空軍・海兵隊・海軍)を1機種で満たす設計が過剰な要求を生み、高コスト化・複雑化を招いた。
結果として、「特定の分野で突出した能力を持たない何でも屋」に終わったと評価。
有人戦闘機は時代遅れであり、無人航空機の方が効率的かつ安全だと主張。
2.F35の特徴と課題
・空軍向けのF35A、垂直離着陸能力を持つF35B、艦載機仕様のF35Cと3バリエーションを持つ多用途戦闘機。
・高性能ながら設計・運用の複雑さが課題となり、技術トラブルや事故が頻発。
・2019年、青森県沖で航空自衛隊所属のF35Aが墜落し、パイロットが死亡。原因は「空間識失調」とされる。
3.コストの問題
・F35プログラムの総開発費は2020年時点で約1.7兆ドル(約190兆円)とされ、史上最も高額な兵器システムと評価される。
・参加国の防衛予算への負担が大きく、1機あたりの単価上昇が問題視されている。
4.日本国内の状況
・2023年度末時点で38機が配備済み。今後147機を追加購入予定。
・防衛予算の相当部分をF35に割り当てる方針。
5.マスク氏の結論
・F35は「高額・複雑・非効率」な有人戦闘機の典型例であり、無人機技術にシフトすべきだと提言。
・現在の有人機開発思想が持続可能でないことを示唆。
【引用・参照・底本】
マスク氏、F35戦闘機を批判 「要件レベルで破綻していた」 sputnik 日本 2024.11.26
https://sputniknews.jp/20241126/f35-19353870.html?rcmd_alg=collaboration2
イーロン・マスク氏は、自身のSNSプラットフォーム「X」において、F35戦闘機の設計に関して批判的な見解を示した。「F35の設計は要件レベルで破綻していた」と述べ、その理由として「非常に多くの人々に、非常に多くの要求を同時に満たすことを求められた」点を挙げた。マスク氏は、これがF35を「高価で複雑な、いわば何でも屋のような存在にしてしまった」と指摘し、「その結果、F35は特定の分野での優位性を持たず、成功の見込みがなかった」と評価した。
さらに、マスク氏は「有人戦闘機は、ドローン技術が進展する現代において時代遅れである」との認識を示し、「有人機はパイロットの命を危険にさらすだけである」として、無人航空機の時代への移行を支持する姿勢を明らかにした。
日本国内では、防衛省が2023年度末時点で38機のF35戦闘機を配備しており、今後147機を追加購入する計画を進めている。しかし、F35はこれまでにも技術的トラブルや墜落事故が各国で発生している。特に、2019年4月には青森県沖で航空自衛隊のF35A戦闘機が墜落し、パイロット1名が死亡する事故が発生した。この事故は、機体の安全性や技術的信頼性に対する懸念を引き起こしている。
【詳細】
イーロン・マスク氏のF35戦闘機に対する批判は、戦闘機の設計思想や運用上の根本的な問題にまで及んでいる。同氏は「F35の設計は、開発段階における要件設定の時点で破綻していた」と述べた。この発言の背景には、F35戦闘機が当初から複数の任務を1機種でこなす「マルチロール」機として開発された点がある。F35は空軍向けのF35A、短距離離陸・垂直着陸能力を持つ海兵隊向けのF35B、艦載機仕様のF35Cという3つのバリエーションを持ち、それぞれ異なる運用環境や要求を満たすことが求められていた。このような設計の多様性が、機体を複雑かつ高コストなものにした原因とされている。
マスク氏は、このような設計方針が結果として「何でも屋でありながら、特定の分野での突出した能力を持たない戦闘機」を生み出したと指摘している。また、「設計段階での過剰な要求」が、F35の開発費用の膨張や技術的課題の頻発につながり、結果として「高額で複雑だが、特定の分野で特化していない」機体となったと述べた。
さらに、マスク氏は、有人戦闘機の存在意義そのものに疑問を呈している。彼は「ドローン技術が発展した現代において、有人戦闘機は時代遅れである」とし、「有人機は、パイロットを無用なリスクにさらすだけだ」と批判した。この主張は、無人機の技術進歩やその運用コストの低さ、リスク軽減の観点から、軍事技術の未来が無人航空機にシフトすべきだとの意見を支持するものである。
日本国内では、F35戦闘機は航空自衛隊において重要な役割を担っている。防衛省の発表によれば、2023年度末の時点で日本には38機のF35戦闘機が配備されている。さらに、今後147機を購入する計画が進行中であり、この大規模な調達には防衛予算の相当部分が割り当てられている。しかし、F35は運用開始以降、世界中で技術的なトラブルや事故が報告されている。
特に2019年4月には、青森県沖で航空自衛隊所属のF35A戦闘機が墜落する事故が発生した。この事故では、パイロット1名が死亡しており、事故原因としてパイロットの「空間識失調」が指摘された。この現象は、パイロットが視覚や感覚の混乱により自機の姿勢や高度を誤認するものであり、F35の高性能ながら複雑なコックピット設計や運用環境が間接的な要因として議論されている。この事故以降も、F35の技術的信頼性や運用上の課題に関する懸念が続いている。
さらに、F35プログラムはコスト面でも批判を浴びている。「史上最も高額な兵器システム」とされるF35の開発には、2020年時点で推定1.7兆ドル(約190兆円)が投入されており、1機あたりの単価も継続的に上昇している。これにより、開発を主導するアメリカのロッキード・マーティン社への依存や、参加国の予算負担が問題視されている。
こうした背景を踏まえ、F35戦闘機に対するイーロン・マスク氏の批判は、技術的問題、運用上の課題、そして有人機の存在意義そのものに対する疑問を包括的に提起するものである。彼の主張は、有人戦闘機と無人航空機の将来的な役割分担や、防衛費の効率的な配分をめぐる議論に新たな視点を提供しているといえる。
【要点】
1.イーロン・マスク氏の批判内容
・F35の設計は「要件レベルで破綻していた」と指摘。
複数の用途(空軍・海兵隊・海軍)を1機種で満たす設計が過剰な要求を生み、高コスト化・複雑化を招いた。
結果として、「特定の分野で突出した能力を持たない何でも屋」に終わったと評価。
有人戦闘機は時代遅れであり、無人航空機の方が効率的かつ安全だと主張。
2.F35の特徴と課題
・空軍向けのF35A、垂直離着陸能力を持つF35B、艦載機仕様のF35Cと3バリエーションを持つ多用途戦闘機。
・高性能ながら設計・運用の複雑さが課題となり、技術トラブルや事故が頻発。
・2019年、青森県沖で航空自衛隊所属のF35Aが墜落し、パイロットが死亡。原因は「空間識失調」とされる。
3.コストの問題
・F35プログラムの総開発費は2020年時点で約1.7兆ドル(約190兆円)とされ、史上最も高額な兵器システムと評価される。
・参加国の防衛予算への負担が大きく、1機あたりの単価上昇が問題視されている。
4.日本国内の状況
・2023年度末時点で38機が配備済み。今後147機を追加購入予定。
・防衛予算の相当部分をF35に割り当てる方針。
5.マスク氏の結論
・F35は「高額・複雑・非効率」な有人戦闘機の典型例であり、無人機技術にシフトすべきだと提言。
・現在の有人機開発思想が持続可能でないことを示唆。
【引用・参照・底本】
マスク氏、F35戦闘機を批判 「要件レベルで破綻していた」 sputnik 日本 2024.11.26
https://sputniknews.jp/20241126/f35-19353870.html?rcmd_alg=collaboration2