水文気象観測用ブイ:中国の国内法および国際法に適合2025年02月11日 21:39

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【概要】

 中国外交部報道官のGuo Jiakunは、日本政府が沖縄県の尖閣諸島(中国名:釣魚島)周辺に設置されていたブイが中国によって撤去されたと考えていることに関連し、台湾島の北東に設置されていたブイが現在存在しないとの指摘について回答した。

 Guo報道官は、中国が関連海域において設置した水文気象観測用ブイは、中国の国内法および国際法に適合していると述べた。また、これらのブイは当初の設置地点での運用任務を完了しており、科学観測の実際の必要性に基づき、中国の関連機関が自主的に技術的調整を行ったと説明した。

【詳細】

 中国外交部の報道官であるGuo Jiakunは、日本政府が沖縄県の尖閣諸島(中国名:釣魚島)周辺に設置されていたブイが中国によって撤去された可能性があると考えていることに関連し、台湾島の北東に設置されていたブイが現在存在しないとの指摘について、2月11日の定例記者会見で回答した。

 Guo報道官は、中国が関連海域に設置した水文気象観測用ブイは、主に気象・海洋環境の観測を目的としており、その設置および運用は中国の国内法および国際法に適合していると述べた。これらのブイは、海洋環境の変化をリアルタイムで監視し、気象や海象のデータを収集する役割を果たしており、海洋災害の予測や航行の安全確保などにも貢献するものであると説明した。

 また、Guo報道官は、当該ブイについて「当初の設置地点での運用任務を完了した」とした上で、今後の科学観測の実際の必要性に基づき、中国の関連機関が自主的に技術的調整を行ったと述べた。これにより、一部のブイは撤去・移動される場合があるが、これは通常の技術運用の一環であり、特定の政治的意図によるものではないと強調した。

 さらに、中国政府は一貫して海洋科学観測活動を進めており、今後も国際法に基づき、必要な科学研究や環境モニタリングを実施していく方針を示した。

【要点】

 1.発言の背景

 ・日本政府は、沖縄県の尖閣諸島(中国名:釣魚島)周辺に設置されていたブイが中国により撤去された可能性があると考えている。
 ・台湾島の北東に設置されていたブイが現在存在しないことが指摘された。

 2.中国外交部の対応

 ・2月11日の定例記者会見で、中国外交部報道官のGuo Jiakunが質問に回答。
 ・中国が関連海域に設置した水文気象観測用ブイは、国際法および中国の国内法に適合していると説明。

 3.ブイの設置目的

 ・海洋環境の変化をリアルタイムで監視するため。
 ・気象・海象データの収集を行い、海洋災害の予測や航行の安全確保に貢献。

 4.ブイの撤去・移動の理由

 ・当初の設置地点での運用任務を完了したため。
 ・科学観測の実際の必要性に基づき、中国の関連機関が自主的に技術的調整を実施。
 ・技術運用の一環であり、特定の政治的意図によるものではないと強調。

 5.今後の方針

 ・中国は引き続き、国際法に基づき海洋科学観測活動を継続。
 ・必要な科学研究や環境モニタリングを実施していく方針を示した。

【参考】

 ☞ 日本政府は、2024年7月に中国が沖縄県尖閣諸島(中国名:釣魚島)周辺の日本の排他的経済水域(EEZ)内に設置したとみられるブイを確認し、これに対して中国政府に抗議し、即時撤去を求めた。

 その後、2024年12月25日の日中外相会談においても、日本側は中国に対し、ブイの即時撤去を求めました。

 さらに、2024年11月16日に行われた日中首脳会談においても、岸田文雄内閣総理大臣は中国の習近平国家主席に対し、ブイの即時撤去を要求しました。

これらの発言を通じて、日本政府は一貫して中国に対し、ブイの設置に抗議し、即時撤去を求める姿勢を示しています。

 (参考)

 ・7カ月以上放置!日本政府はなぜ中国の「不法ブイ」を撤去しないのか「潜水艦運用に利用される」
https://www.dailyshincho.jp/article/2024/03040557/?all=1&page=2&utm_source=chatgpt.com

 ・新たなブイ確認は極めて遺憾、中国に撤去要求=林官房長官 https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/VL6RK25E5VOLBOIBAWZC4FRQTI-2024-12-26/?utm_source=chatgpt.com)

 ・我が国の排他的経済水域への中国による浮遊式障害物の設置に関する再質問主意書
 https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/212/syuh/s212065.htm?utm_source=chatgpt.com

 ☞ 日本政府が問題視している可能性のある政治的意図として、以下の点が考えられる。

 1.尖閣諸島(釣魚島)における中国の主権主張の強化

 ・日本は尖閣諸島を自国の領土と主張しており、中国が周辺海域で独自にブイを設置・運用することを「既成事実化」の一環と見なしている可能性がある。
 ・そのため、中国がブイを撤去した場合、日本政府は「中国が一時的に撤収したのか」「新たな動きの準備か」などを警戒している可能性がある。

 2.日本の排他的経済水域(EEZ)内での活動

 ・日本政府は、中国がEEZ内で許可なくブイを設置することを問題視しており、今回の撤去が「日本の抗議に対する対応だったのかどうか」を確認しようとしている可能性がある。

 3.日中間の摩擦の管理

 ・日本側が中国によるブイの撤去を「技術的な調整」と見るか、それとも「圧力に屈した撤退」と見るかによって、今後の外交姿勢が変わる可能性がある。
 ・逆に、中国側がブイを撤去した後、新たな形でプレゼンスを強める動きを見せる場合、日本はさらなる対応を迫られることになる。

 4.東シナ海全体の安全保障環境

 ・ブイの撤去が一時的なものであれば、中国が今後別の場所で新たな観測装置や施設を設置する可能性がある。

 ・日本政府はこの動きを監視し、東シナ海の安全保障環境にどのような影響を与えるかを注視していると考えられる。

 日本政府は、今回のブイ撤去を単なる技術的調整と見るか、中国の戦略的な動きの一環と見るかについて慎重に分析していると考えられる。

 ☞ 水文気象観測用とは、水文(海洋や河川の流れ、潮汐、波浪など)および気象(気温、気圧、風速、降水量など)に関するデータを収集・解析する目的で使用される設備や装置を指す。

 水文気象観測用ブイの主な目的

 1.海洋環境の監視

 ・海水温、塩分濃度、潮流、波高などのデータを収集し、海洋環境の変化を観測。

 2.気象データの収集

 ・風速・風向、気温、気圧、湿度などを測定し、気象予測に活用。

 3.海洋災害の監視・予測

 ・台風や津波の発生・影響を早期に察知し、防災・減災に役立てる。

 4.航行の安全確保

 ・船舶の運航支援として、海況や気象情報を提供し、航行の安全を確保。

 5.科学研究および環境保護

 ・気候変動や海洋生態系への影響を調査し、長期的な環境モニタリングに貢献。

 中国が尖閣諸島(釣魚島)周辺に設置したとされるブイも、これらの目的のために運用されている可能性がある。

【参考はブログ作成者が付記】

【引用・参照・底本】

Chinese FM responds to inquiry over removal of buoy around Diaoyu Dao GT 2025.02.11
https://www.globaltimes.cn/page/202502/1328233.shtml

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