カナダ・ケベック州ラ・マルベイ :G7加盟国とEUの外相が会合2025年03月15日 14:56

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【概要】 

 2025年3月13日、カナダ・ケベック州ラ・マルベイで、G7加盟国とEUの外相が会合を開いた。この会合は、ドナルド・トランプ米大統領の外交政策に関する緊張の高まりを受けてのもので、特にウクライナ問題や関税措置に関する対立が焦点となっている。会議は2日間にわたって行われる予定で、これまでG7の会議では概ね一致した見解が示されてきたが、今回は最終声明の作成が難航している。

 主要議題の一つは、米国のマルコ・ルビオ国務長官がサウジアラビア・ジェッダでウクライナ側と行った会談内容の報告である。ウクライナは、30日間の停戦案を支持する意向を示した。カナダが議長を務めるG7の最初の会合に向けて、関係国は調整に難航している。

 米国は、鉄鋼およびアルミニウムの輸入に対して25%の関税を課す決定を下し、これによりカナダとEUは報復措置を取った。さらに、米国はウクライナに関する言及の仕方に対して赤線を引き、ロシアの影の艦隊に関する独立した声明に反対し、中国に関するより強硬な言葉を求めている。ルビオ長官は、ロシアとウクライナを交渉の場に引き込む努力を損なうような表現は避けるべきだと警告した。

 米国がウクライナ戦争を早期に終結させるべきだとする立場を強調する一方で、欧州諸国に対しては戦争負担を増やすよう求め、その後の交渉での役割について明確な支持を示していない。

 また、米国とカナダの関係は極めて冷え込んでおり、トランプ大統領のカナダに対する関税措置やカナダを米国の51番目の州にするという発言がその原因である。この問題についてカナダのメラニー・ジョリー外相は、G7の場で欧州と協調してアメリカに対する圧力を強める意向を示している。

【詳細】 

 2025年3月13日、カナダのケベック州ラ・マルベイで、G7加盟国とEUの外相が会合を開いた。この会合は、ドナルド・トランプ米大統領の外交政策に関する深刻な緊張が高まる中で行われたもので、特にウクライナ問題や米国が課した関税に関する対立が主要な焦点となっている。会議は2日間の日程で行われ、従来のG7外相会議では問題に対する共通の立場を確認することが多かったが、今回は最終声明をまとめるのが非常に困難な状況となっている。

 主要な議題と背景

 ウクライナ問題の進展と米国の立場 会議の主要な議題の一つは、ウクライナとロシアの戦争に関する進展であり、特に米国のマルコ・ルビオ国務長官がサウジアラビアのジェッダでウクライナ政府と行った会談についての報告が重要なポイントとなった。この会談では、ウクライナ側が30日間の停戦に向けて前向きな姿勢を示していることが伝えられた。停戦案には、戦争の終結を目指す一時的な合意を含む可能性があり、これがG7外相会議の議論を円滑に進める一因となることが期待された。しかし、米国がウクライナ戦争の早期終結を強く求める一方で、ヨーロッパ諸国に対しては戦争の負担を一層増やすように要求しており、この点での意見の相違が浮き彫りとなっている。

 関税問題と米国の対カナダ政策 米国が2025年初頭に鉄鋼とアルミニウムの輸入に対して25%の関税を課したことは、特にカナダとEUとの関係を悪化させた。これによりカナダとEUは報復措置を取ることを決定し、両国との外交的対立が激化した。関税問題は、米国がその貿易政策において一方的な態度を取ることを反映しており、この姿勢に対してG7加盟国は懸念を表明している。特にカナダは、米国からの関税措置が自国経済に大きな影響を与えているとして強い不満を示しており、ジョリー外相はG7会議でこれに対して欧州諸国と連携し、米国に対する圧力を強化する方針を示した。

 トランプ大統領の対カナダ政策 トランプ大統領はカナダに対して、経済的な圧力をかける一環として関税を課すだけでなく、カナダを米国の51番目の州に併合するという過激な発言を繰り返している。このような発言は、米国とカナダの間で過去に例を見ないほどの外交的緊張を引き起こしている。カナダ政府は、このような発言を強く反発しており、特にメラニー・ジョリー外相はG7の場で、関税問題を真剣に取り上げ、欧州諸国と共に米国に対する圧力を強化する方針を表明している。この問題がカナダと米国の外交関係における大きな障害となっている。

 G7での合意形成の難航 G7外相会議は、伝統的に外交的に調整の取れた声明を発表することが多かったが、今回は米国と他のG7加盟国との間で意見の相違が大きく、最終的な合意形成に苦しんでいる。特に、米国がウクライナ問題に関してロシアとの交渉を早期に進めることを望んでいるのに対し、欧州諸国はその進展を慎重に見守り、戦争の早期終結に向けた具体的な措置を求める姿勢を見せている。さらに、米国がロシアの影の艦隊(制裁を逃れるために使用される海上輸送網)に関する独立した声明を求めるなど、具体的な問題についても意見が対立しており、合意に至るのは難しい状況である。

トランプの「G8復帰」提案 トランプ大統領は、ロシアが再びG8に参加することを提案している。ロシアは2014年にクリミア併合を受けてG8から追放されているが、トランプ大統領はその後の国際的な環境においてロシアの再参加を模索している。これに対して、欧州諸国はロシアの国際舞台への復帰に慎重であり、特にウクライナ問題を巡るロシアの行動がその背景にあるため、意見が分かれている。

結論

 G7外相会議では、ウクライナ問題や米国との貿易摩擦を巡る緊張が最も注目されている問題であり、これらの問題に対する共通の立場を見出すことが難しくなっている。特に米国の一方的な外交政策が、G7加盟国との協調を難しくしており、会議の成果がどれほど実質的な進展をもたらすかは不透明である。

【要点】

 ・G7外相会議

 2025年3月13日にカナダ・ケベック州ラ・マルベイで開催。参加国はG7(英国、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、日本、アメリカ)とEU。

 ・ウクライナ問題

 米国のマルコ・ルビオ国務長官がサウジアラビア・ジェッダでウクライナ政府と会談。ウクライナは30日間の停戦に前向きな姿勢を示し、G7の議論を円滑に進める可能性。

 ・米国の関税問題

 米国が鉄鋼・アルミニウムの輸入に25%の関税を課し、カナダとEUが報復措置を取る。関税問題は外交的緊張を高めている。

 ・カナダとの関係

 トランプ大統領がカナダを米国の51番目の州にする可能性について発言。カナダ政府は強く反発し、ジョリー外相はG7会議で関税問題を取り上げて圧力を強化。

 ・G7の合意形成の難航

 米国と他のG7加盟国間で意見の相違があり、ウクライナ戦争の早期終結に関する合意が難航。米国はロシアとの交渉を早急に進めることを望む一方、欧州は慎重な姿勢を取る。

 ・トランプ大統領の「G8復帰」提案

 トランプはロシアのG8再参加を提案。ロシアは2014年にクリミア併合で追放されており、欧州諸国は慎重な態度を示している。

 ・結論

 G7外相会議は、ウクライナ問題や米国との貿易摩擦を巡る対立が最も注目され、共通の立場を見出すのが難しい状況。会議の成果は不透明。

【引用・参照・底本】

G7 foreign ministers meet in Canada amid rising tensions with Trump FRANCE24 2025.03.13
https://korybko.substack.com/p/what-comes-next-after-the-jaffar?utm_source=post-email-title&publication_id=835783&post_id=158988758&utm_campaign=email-post-title&isFreemail=true&r=

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