トランプ大統領令:「公共サービス貸付金免除プログラムの復元」 PSLF) ― 2025年03月16日 20:05
【概要】
2025年3月7日、アメリカ合衆国のドナルド・トランプ大統領は、第79号の大統領令「公共サービス貸付金免除プログラムの復元(Restoring Public Service Loan Forgiveness)」を発表した。この命令は、アメリカ政府が市民社会を支援する政府機関または非政府組織(NGO)で働く100万人以上の人々に対し、780億ドルの学生ローンを免除してきたプログラムのアクセス制限を目的としている。
新しい規制では、「重大な違法目的の活動」に従事している非政府組織に従事する個人は、公共サービス貸付金免除プログラム(PSLF)から除外されることになる。具体的には、違法移民、テロリズム、児童虐待、差別、公衆秩序の破壊を助長する活動を行っているNGOが対象となる。ホワイトハウスは、このプログラムの目的を「アメリカ人が看護などの重要な公共サービス職に就くことを促進すること」とし、また「アメリカの価値観に害を及ぼす団体に対する連邦政府の支援を終了すること」と述べている。
共和党議員はこの命令を支持する一方で、「アメリカの価値観」や「国家利益を損なう」という曖昧な表現に対して懸念を示している。学生ローンの専門家たちは、学生が大学進学時に公共サービス貸付金免除を期待していた場合、突然その免除が受けられなくなる可能性があり、またNGOで働く分野を選ぶ学生が減少する恐れがあると警告している。
この命令が発表される前、PSLFプログラムは2007年にジョージ・W・ブッシュ大統領の下で設立され、10年間の最低支払いと公共サービス職で10年間勤務することで学生ローンが免除される仕組みとなっていた。バイデン政権は、PSLFプログラムを活用して約780億ドルの学生ローンを免除することを成果として掲げているが、トランプ政権の新しい命令により、このプログラムが再び制限されることとなった。
また、トランプ政権のこの行動は、より広範な教育政策の一環として、学校教育や文化活動への制限が加えられることとも関連していると指摘されている。特に、公共サービスとしての教育分野や社会的活動に対する締め付けが強化されている。
学生ローンの借り手たちは、PSLFプログラムに関する不安や混乱を感じており、これが大学進学意欲に影響を与える可能性もあると懸念されている。
【詳細】
2025年3月7日、アメリカ合衆国のドナルド・トランプ大統領は79番目の大統領令「公務員ローン返済免除の復活」(Restoring Public Service Loan Forgiveness, PSLF)を発表した。この大統領令は、アメリカ政府が提供する学生ローン返済免除プログラム、特に「公務員ローン返済免除」プログラム(PSLF)の範囲を制限する内容であり、その影響は広範囲にわたると見られている。
PSLFは、10年間の公務員または非営利団体での勤務を経て、学生ローンの一部または全額が免除される制度である。これまで、政府や非営利団体で働く100万人以上の人々が、このプログラムを利用して7億8,000万ドルの学生ローン免除を受けてきた。しかし、トランプ大統領の大統領令は、このプログラムへのアクセスを制限する内容となっており、その影響は学生や教育機関、非営利団体などに及ぶ。
大統領令では、新たな規制が提案されており、特に「違法な目的を持つ活動を行う非政府組織(NGO)」の職員はPSLFプログラムから除外されることが明記されている。ホワイトハウスは、「違法な移民、テロリズム、児童虐待、差別、公共の秩序の乱れを助長する活動への税金による助成を停止する」と述べ、特に移民問題や人権問題に関連する非営利団体が対象となる可能性があると指摘している。
例えば、アメリカ国内で移民の権利を守る団体や、人種平等を促進する活動を行っている団体、またはハマス支持の活動を行っている団体に従事している個人は、この免除プログラムの対象外となる可能性が高い。このような団体が「アメリカの価値観」に反すると見なされると、学生ローン免除の対象から外れることになる。
この大統領令には、アメリカの教育機関や学生ローンに関する専門家から懸念の声が上がっている。例えば、学生ローンの返済免除を期待して大学に進学した学生が、プログラムの変更によって返済免除を受けられなくなることを危惧する意見が多い。また、NGOでの勤務を前提に進学した学生が、突然その職業選択に対する不安を抱くことになる可能性がある。
一方、共和党議員はこの大統領令を支持しており、特に「アメリカの価値観」を守るためにNGO活動の制限が必要であると主張している。しかし、民主党の議員や教育関係者、学生団体からは反発が強く、トランプ大統領の政策が特定の団体や活動を不当に制限するものであるとして批判されている。
具体的には、ワシントン州選出の民主党上院議員パティ・マレーは、トランプ大統領が学生ローン返済免除を取り消し、億万長者への減税を要求していると批判した。また、学生ローンを支援する団体「学生負債危機センター」の代表であるナタリー・エイブラムスは、この大統領令が非営利団体の活動を萎縮させ、学生の進学意欲を削ぐ可能性があると警告している。
PSLFプログラムは、2007年にジョージ・W・ブッシュ大統領のもとで創設され、アメリカの公務員や非営利団体で働く人々に学生ローン免除の機会を提供してきた。バイデン政権は、PSLFプログラムを改革し、より多くの人々が恩恵を受けられるようにしたが、トランプ大統領の新しい大統領令はその進展を逆行させる形となっている。
学生ローン返済プログラムの改革は、学生たちにとって極めて重要な問題であり、トランプ大統領の新たな規制によって、アメリカの教育制度や社会的な価値観に対する影響が懸念されるところである。
【要点】
1.トランプ大統領令(2025年3月7日)
・79番目の大統領令「公務員ローン返済免除の復活(PSLF)」が発表され、学生ローン返済
免除プログラムに新たな規制を導入。
2.PSLFプログラム
・公務員や非営利団体で10年間働くことで学生ローンの一部または全額免除されるプログラム。
・100万人以上が利用し、7億8,000万ドルの免除が行われた。
3.新規制内容
・非政府組織(NGO)で働く職員に対して、違法活動を助長する団体に従事している場合、PSLF免除が適用されない。
・対象となる団体:違法移民支援、テロリズム、人権侵害などを助長する団体。
4.例示された団体
・移民の権利保護団体、人権活動団体、ハマス支援団体などがPSLF対象外となる可能性。
5.政治的反応
・共和党議員は、この大統領令を支持し「アメリカの価値観」を守るために必要だと主張。
・民主党議員や学生団体は反発。学生ローン免除の制限を批判。
6.学生への影響
・特に非営利団体での勤務を前提に進学した学生が返済免除を受けられなくなる可能性。
・学生ローン免除を期待して進学した学生に対する不安が高まる。
7.バイデン政権との対立
・バイデン政権はPSLFプログラムの改革を進めていたが、トランプ大統領の大統領令はその進展を逆行させる。
8.教育制度への影響
・政策変更がアメリカの教育制度に及ぼす影響、特に進学意欲やNGOでの活動に対する影響が懸念される。
【引用・参照・底本】
Trump causes alarm with student loans forgiveness order University World News 2025.03.13
https://www.universityworldnews.com/post.php?story=20250313151107415&utm_source=newsletter&utm_medium=email&utm_campaign=GLNL0823
2025年3月7日、アメリカ合衆国のドナルド・トランプ大統領は、第79号の大統領令「公共サービス貸付金免除プログラムの復元(Restoring Public Service Loan Forgiveness)」を発表した。この命令は、アメリカ政府が市民社会を支援する政府機関または非政府組織(NGO)で働く100万人以上の人々に対し、780億ドルの学生ローンを免除してきたプログラムのアクセス制限を目的としている。
新しい規制では、「重大な違法目的の活動」に従事している非政府組織に従事する個人は、公共サービス貸付金免除プログラム(PSLF)から除外されることになる。具体的には、違法移民、テロリズム、児童虐待、差別、公衆秩序の破壊を助長する活動を行っているNGOが対象となる。ホワイトハウスは、このプログラムの目的を「アメリカ人が看護などの重要な公共サービス職に就くことを促進すること」とし、また「アメリカの価値観に害を及ぼす団体に対する連邦政府の支援を終了すること」と述べている。
共和党議員はこの命令を支持する一方で、「アメリカの価値観」や「国家利益を損なう」という曖昧な表現に対して懸念を示している。学生ローンの専門家たちは、学生が大学進学時に公共サービス貸付金免除を期待していた場合、突然その免除が受けられなくなる可能性があり、またNGOで働く分野を選ぶ学生が減少する恐れがあると警告している。
この命令が発表される前、PSLFプログラムは2007年にジョージ・W・ブッシュ大統領の下で設立され、10年間の最低支払いと公共サービス職で10年間勤務することで学生ローンが免除される仕組みとなっていた。バイデン政権は、PSLFプログラムを活用して約780億ドルの学生ローンを免除することを成果として掲げているが、トランプ政権の新しい命令により、このプログラムが再び制限されることとなった。
また、トランプ政権のこの行動は、より広範な教育政策の一環として、学校教育や文化活動への制限が加えられることとも関連していると指摘されている。特に、公共サービスとしての教育分野や社会的活動に対する締め付けが強化されている。
学生ローンの借り手たちは、PSLFプログラムに関する不安や混乱を感じており、これが大学進学意欲に影響を与える可能性もあると懸念されている。
【詳細】
2025年3月7日、アメリカ合衆国のドナルド・トランプ大統領は79番目の大統領令「公務員ローン返済免除の復活」(Restoring Public Service Loan Forgiveness, PSLF)を発表した。この大統領令は、アメリカ政府が提供する学生ローン返済免除プログラム、特に「公務員ローン返済免除」プログラム(PSLF)の範囲を制限する内容であり、その影響は広範囲にわたると見られている。
PSLFは、10年間の公務員または非営利団体での勤務を経て、学生ローンの一部または全額が免除される制度である。これまで、政府や非営利団体で働く100万人以上の人々が、このプログラムを利用して7億8,000万ドルの学生ローン免除を受けてきた。しかし、トランプ大統領の大統領令は、このプログラムへのアクセスを制限する内容となっており、その影響は学生や教育機関、非営利団体などに及ぶ。
大統領令では、新たな規制が提案されており、特に「違法な目的を持つ活動を行う非政府組織(NGO)」の職員はPSLFプログラムから除外されることが明記されている。ホワイトハウスは、「違法な移民、テロリズム、児童虐待、差別、公共の秩序の乱れを助長する活動への税金による助成を停止する」と述べ、特に移民問題や人権問題に関連する非営利団体が対象となる可能性があると指摘している。
例えば、アメリカ国内で移民の権利を守る団体や、人種平等を促進する活動を行っている団体、またはハマス支持の活動を行っている団体に従事している個人は、この免除プログラムの対象外となる可能性が高い。このような団体が「アメリカの価値観」に反すると見なされると、学生ローン免除の対象から外れることになる。
この大統領令には、アメリカの教育機関や学生ローンに関する専門家から懸念の声が上がっている。例えば、学生ローンの返済免除を期待して大学に進学した学生が、プログラムの変更によって返済免除を受けられなくなることを危惧する意見が多い。また、NGOでの勤務を前提に進学した学生が、突然その職業選択に対する不安を抱くことになる可能性がある。
一方、共和党議員はこの大統領令を支持しており、特に「アメリカの価値観」を守るためにNGO活動の制限が必要であると主張している。しかし、民主党の議員や教育関係者、学生団体からは反発が強く、トランプ大統領の政策が特定の団体や活動を不当に制限するものであるとして批判されている。
具体的には、ワシントン州選出の民主党上院議員パティ・マレーは、トランプ大統領が学生ローン返済免除を取り消し、億万長者への減税を要求していると批判した。また、学生ローンを支援する団体「学生負債危機センター」の代表であるナタリー・エイブラムスは、この大統領令が非営利団体の活動を萎縮させ、学生の進学意欲を削ぐ可能性があると警告している。
PSLFプログラムは、2007年にジョージ・W・ブッシュ大統領のもとで創設され、アメリカの公務員や非営利団体で働く人々に学生ローン免除の機会を提供してきた。バイデン政権は、PSLFプログラムを改革し、より多くの人々が恩恵を受けられるようにしたが、トランプ大統領の新しい大統領令はその進展を逆行させる形となっている。
学生ローン返済プログラムの改革は、学生たちにとって極めて重要な問題であり、トランプ大統領の新たな規制によって、アメリカの教育制度や社会的な価値観に対する影響が懸念されるところである。
【要点】
1.トランプ大統領令(2025年3月7日)
・79番目の大統領令「公務員ローン返済免除の復活(PSLF)」が発表され、学生ローン返済
免除プログラムに新たな規制を導入。
2.PSLFプログラム
・公務員や非営利団体で10年間働くことで学生ローンの一部または全額免除されるプログラム。
・100万人以上が利用し、7億8,000万ドルの免除が行われた。
3.新規制内容
・非政府組織(NGO)で働く職員に対して、違法活動を助長する団体に従事している場合、PSLF免除が適用されない。
・対象となる団体:違法移民支援、テロリズム、人権侵害などを助長する団体。
4.例示された団体
・移民の権利保護団体、人権活動団体、ハマス支援団体などがPSLF対象外となる可能性。
5.政治的反応
・共和党議員は、この大統領令を支持し「アメリカの価値観」を守るために必要だと主張。
・民主党議員や学生団体は反発。学生ローン免除の制限を批判。
6.学生への影響
・特に非営利団体での勤務を前提に進学した学生が返済免除を受けられなくなる可能性。
・学生ローン免除を期待して進学した学生に対する不安が高まる。
7.バイデン政権との対立
・バイデン政権はPSLFプログラムの改革を進めていたが、トランプ大統領の大統領令はその進展を逆行させる。
8.教育制度への影響
・政策変更がアメリカの教育制度に及ぼす影響、特に進学意欲やNGOでの活動に対する影響が懸念される。
【引用・参照・底本】
Trump causes alarm with student loans forgiveness order University World News 2025.03.13
https://www.universityworldnews.com/post.php?story=20250313151107415&utm_source=newsletter&utm_medium=email&utm_campaign=GLNL0823