PLA:「常に戦闘準備を整え、いつでも戦うことができる」2025年03月16日 22:55

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【概要】 

 中国人民解放軍(PLA)は、台湾独立を阻止するために「常に戦闘準備を整え、いつでも戦うことができる」と警戒態勢を維持していると、台湾海峡を管轄する東部戦区の司令官であるLin Xiangyangが述べた。

 この発言は、北京で金曜日に開催された「反国家分裂法」制定20周年記念シンポジウムにおいてなされたものである。反国家分裂法は、中国が台湾を自国の一部と見なし、必要に応じて武力による統一を正当化する法的根拠とされる。この法律は、台湾独立に対抗し統一を促進するための法的枠組みを提供し、特定の条件下で「非平和的手段」を用いることを可能としている。

 今回のシンポジウムで、最前線のPLA司令官が演説を行ったのは初めてである。林の発言は、台湾で民進党(DPP)の頼清徳が昨年5月に指導者に就任して以来、両岸関係の緊張が高まる中でなされた。北京は、頼清徳を「危険な分離主義者」と位置付けており、両岸の軍事的対立が激化する可能性を指摘している。

 中国共産党の機関紙である『人民日報』が土曜日に掲載した林の演説の抜粋によれば、林は「台湾独立勢力が頑固に分離の姿勢を維持し、あるいは破れかぶれの行動を取る場合、また外部勢力が両岸関係を不安定化させようとする場合、中国軍は必要なあらゆる措置を講じて、これを強く抑止し、懲罰する」と警告した。

 さらに、PLAは「より信頼性の高い手段と強力な能力を構築し、祖国の完全統一を守るための十分かつ具体的な軍事的準備を進める」との方針を示した。

【詳細】 
 
 中国人民解放軍(PLA)の東部戦区司令官であるLin Xiangyangは、台湾独立の阻止に向けて「常に戦闘準備を整え、いつでも戦うことができる」との立場を示し、PLAが高い警戒態勢を維持していることを強調した。

 この発言は、北京で3月15日(金)に開催された「反国家分裂法」制定20周年記念シンポジウムにおいてなされたものである。同法は2005年に制定され、中国政府が台湾を自国の一部とみなし、必要に応じて武力行使を含む統一の手段を正当化するための法的根拠となっている。具体的には、台湾が正式な独立を宣言する、あるいは独立への明確な動きを見せた場合、中国は「非平和的手段」を講じる権利を有すると規定している。このため、台湾海峡の緊張が高まるたびに同法の適用が議論されることがある。

 Lin Xiangyangの発言は、台湾海峡の緊張が高まる中で行われた。特に、台湾では2024年5月に民進党(DPP)の頼清徳が指導者として就任して以降、中国政府は彼を「危険な分離主義者」と見なし、対抗措置を強化している。頼清徳は、過去に「台湾はすでに独立国家である」と発言した経緯があり、中国政府はこれを独立志向の表れと捉えている。

 シンポジウムでの演説においてLin Xiangyangは、台湾独立を目指す勢力やそれを支援する外部勢力に対して警告を発した。彼は「台湾独立勢力が頑固に分離の姿勢を維持し、あるいは破れかぶれの行動を取る場合、また外部勢力が両岸関係を不安定化させようとする場合、中国軍は必要なあらゆる措置を講じて、これを強く抑止し、懲罰する」と述べた。ここで言及された「外部勢力」とは、主にアメリカやその同盟国を指すと考えられる。アメリカは台湾に対し、武器供与や軍事訓練などを通じて支援を続けており、中国政府はこれを「台湾独立勢力への支援」と見なしている。

 さらにLin Xiangyangは、PLAが台湾統一に向けた軍事的準備を着実に進めていることを強調し、「より信頼性の高い手段と強力な能力を構築し、祖国の完全統一を守るための十分かつ具体的な軍事的準備を進める」と述べた。この発言は、PLAが台湾侵攻を想定した軍事演習や装備の強化を続けていることを示唆している。PLAは近年、台湾周辺での軍事演習を活発化させており、特に台湾を包囲する形での大規模な演習を繰り返している。これにより、台湾に対する軍事的圧力を強めると同時に、実戦を想定した準備を加速させている。

 今回のシンポジウムで、最前線のPLA司令官が演説を行ったのは初めてであり、中国軍が台湾問題を重視していることを強く印象付けた。Lin Xiangyangの発言は、中国政府およびPLAが台湾統一に向けた強硬姿勢を維持していることを改めて示すものであり、今後の台湾海峡情勢に影響を及ぼす可能性がある。

【要点】

 1.発言の概要

 ・中国人民解放軍(PLA)東部戦区司令官・Lin Xiangyangが「常に戦闘準備を整え、いつでも戦うことができる」と強調。
 ・台湾独立阻止を目的とし、PLAが高い警戒態勢を維持していると発言。

 2.発言の背景

 ・3月15日(金)、北京で「反国家分裂法」制定20周年記念シンポジウムが開催。
 ・反国家分裂法(2005年制定)は、台湾の独立阻止および統一実現のための法的枠組みを提供。
 ・同法により、中国は台湾が正式に独立を宣言する、または独立に向けた明確な動きを示した場合、武力行使を含む「非平和的手段」を講じることが可能。

 3.台湾海峡の緊張

 ・2024年5月、民進党(DPP)の頼清徳が台湾指導者に就任。
 ・頼清徳は過去に「台湾はすでに独立国家である」と発言しており、中国は彼を「危険な分離主義者」と見なしている。
 ・これにより、両岸関係の緊張が一層高まっている。

 4.Lin Xiangyangの警告

 ・台湾独立勢力が分離の姿勢を維持、または独立に向けた行動を取る場合、中国軍は「必要なあらゆる措置」を講じ、強く抑止・懲罰すると発言。
 ・「外部勢力が両岸関係を不安定化させようとする場合」も、同様に強い対抗措置を取ると警告。
 ・ここでの「外部勢力」は主にアメリカおよびその同盟国を指すと考えられる。

 5.軍事的準備の強調

 ・PLAは「より信頼性の高い手段と強力な能力を構築」し、「祖国の完全統一を守るための十分かつ具体的な軍事的準備」を進めると表明。
 ・近年、台湾周辺での大規模軍事演習を活発化させており、台湾を包囲する形での演習を繰り返している。

 6.意義と影響

 ・今回のシンポジウムで最前線のPLA司令官が演説を行ったのは初めて。
 ・中国政府およびPLAが台湾統一に向けた強硬姿勢を維持していることを明確に示すもの。
 ・今後の台湾海峡情勢に大きな影響を与える可能性がある。

【引用・参照・底本】

Mainland China’s PLA ‘ready to fight’ for Taiwan at any time, commander warns SCMP 2025.03.16
https://www.scmp.com/news/china/military/article/3302588/mainland-chinas-pla-ready-fight-taiwan-any-time-commander-warns?module=top_story&pgtype=homepage

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