CA連邦判事:数千人の試用期間中職員の即時復職を命じる2025年03月20日 11:21

Ainovaで作成
【概要】
 
 カリフォルニア州の連邦判事ウィリアム・アルサップは、退役軍人省(VA)、国防総省(DOD)、内務省、エネルギー省、財務省、農務省の6省庁で解雇された数千人の試用期間中の職員の即時復職を命じた。これは、米国人事管理庁(OPM)およびその代理局長チャールズ・エゼルが、新規採用職員の大量解雇を指示したことが違法であると判断したためである。

 この解雇は、ドナルド・トランプ大統領の行政命令に基づく連邦政府の人員削減の一環として実施された。米国政府は200万人以上の職員を雇用しており、今回の措置では約3万人が解雇された。アメリカ州郡市職員連盟(AFSCME)をはじめとする複数の労働組合が、カリフォルニア州北部地区連邦地裁に対して、この大量解雇の違法性を訴える訴訟を提起した。

 訴訟には、AFSCMEのほか、アメリカ国立公園保護連盟、カリフォルニア看護師協会/医療専門家組合、米国公衆衛生協会、米国地球物理学連盟などが原告として名を連ねた。訴状によると、OPMは各省庁に対し、「テンプレートメール」を使用して職員に解雇通知を送るよう指示し、その理由として「業績不良」を挙げるよう求めていた。

 アルサップ判事は、OPMには6省庁に対し新規職員を解雇させる権限がないと判断し、各省庁に対し、解雇された職員の復職手続きを裁判所へ報告し、今後の追加解雇を即時停止するよう命じた。

 ホワイトハウス報道官のキャロライン・リービットは、「トランプ政権はこの不当で違憲な判決に直ちに対抗する」との声明を発表した。

 エゼルは裁判所に提出した書面で、自身の指示はあくまで「助言」だったと主張したが、アルサップ判事は、OPMが実際に全省庁に対し試用期間中の職員を解雇するよう指示したと認定した。司法省はエゼルの証言を求めた裁判所の要求を拒否し、彼を証人として出廷させなかった。

 判決では、今後の解雇は各省庁が独自に実施し、「公務員制度改革法」と「人員削減法」に基づく適正な手続きを踏むことを義務付けた。また、OPMが今後、省庁に対して解雇に関する指示を出すことを禁じた。

 解雇された職員を代表する弁護士のダニエル・レナードは、この判決を「トランプ政権の違法行為に対する重要な一歩」と評価した。米国政府雇用者連盟(AFGE)のエヴェレット・ケリー会長は、「不当に解雇されたすべての連邦職員が職を取り戻すまで闘い続ける」と述べた。

【詳細】 
 
 カリフォルニア州の連邦判事ウィリアム・アルサップは、米国人事管理局(OPM)が新規採用の試用期間中の職員を一斉に解雇するよう命じたことが違法であると判断し、即時の復職を命じた。対象となるのは、退役軍人省(VA)、国防総省(DOD)、内務省、エネルギー省、財務省、農務省の6省庁で解雇された数万人の職員である。判決は、これらの省庁が直ちに復職措置を実施し、今後の試用期間中の職員の一斉解雇を停止するよう求めている。

 背景と経緯

 この解雇は、ドナルド・トランプ大統領(当時)が連邦政府の人員削減を目的として発令した大統領令に基づくものである。OPMは、この方針に従い、6省庁に対して試用期間中の職員を一斉解雇するよう指示した。訴訟を起こした労働組合の主張によれば、解雇の際に各省庁は「テンプレート化された電子メール」を使用し、「職務遂行能力が不十分である」との理由を挙げて解雇を通知していた。

 これに対し、アメリカ州郡市職員連盟(AFSCME)、アメリカ連邦政府職員連盟(AFGE)、全米看護師協会(UNAC/UHCP)、アメリカ地球物理学連盟(AGU)、アメリカ公衆衛生協会(APHA)、および「アメリカの国立公園を守る会」などの団体が、OPMの決定は違法であるとしてカリフォルニア北部地区連邦地裁に訴訟を提起した。

 判決の詳細

 アルサップ判事は、OPMが6省庁に対し、新規採用の職員を解雇するよう「直接指示」していたと判断した。OPMの現職代理局長であるチャールズ・エゼルは、各省庁に対して解雇を指示するメモを送り、電話でも解雇の実行を促していた。メモには、解雇通知のための具体的な文言が示されており、「職員のパフォーマンスを考慮した結果、今後の雇用継続は公益に適さない」と記されていた。

 エゼルは裁判所に対し、これらの指示はあくまで「ガイダンス(助言)」に過ぎないと主張したが、判事はこの主張を退けた。司法省は、エゼルを証人として出廷させることを拒否したため、判事は「OPMは各省庁に対し、試用期間中の職員を解雇するよう直接指示した」と結論づけた。

 アルサップ判事は判決の中で、「政府が職員を解雇する際に、パフォーマンスが理由であると虚偽の説明をするのは許されない」「これは合法的な手続きを回避するための偽装行為であり、容認できない」と強く批判した。また、今後の解雇手続きは、各省庁が**「公務員制度改革法(Civil Service Reform Act)」および「人員削減法(Reduction in Force Act)」の規定に従って実施しなければならない**と命じた。

さらに、OPMが今後、連邦機関に対して特定の職員の解雇を指示することを禁じた。

 各関係者の反応

 労働組合と原告側

 原告側の弁護士であるダニエル・レナードは、「この判決は、トランプ政権の違法な行為を追及する上で重要な第一歩である」と評価した。また、AFGEの全国会長であるエベレット・ケリーは、「違法かつ不当な解雇に遭った連邦職員全員が職場復帰するまで、われわれは闘い続ける」と声明を発表した。

 トランプ政権の対応

 ホワイトハウス報道官のキャロライン・リーヴィットは、「この判決は不合理かつ違憲であり、トランプ政権は直ちに異議を申し立てる」と述べた。

 今後の展開

 アルサップ判事の決定は即時に効力を持つため、6省庁は速やかに復職措置を取る必要がある。加えて、各省庁は復職状況の報告書を裁判所に提出するよう命じられている。

 今後、司法省は控訴する可能性が高いが、現時点ではアルサップ判事の命令が有効であり、連邦政府は対応を迫られている。

【要点】

 カリフォルニア州連邦判事の判決概要

 1. 判決内容

 ・カリフォルニア州の連邦判事ウィリアム・アルサップが、新規採用の試用期間中の職員を一斉解雇するOPMの決定を違法と判断。
 ・6省庁(退役軍人省、国防総省、内務省、エネルギー省、財務省、農務省)に対し、解雇された職員の即時復職を命令。
 ・OPMが今後、連邦機関に対して特定の職員の解雇を指示することを禁止。

 2. 背景

 ・トランプ政権が発令した大統領令に基づき、OPMが新規採用の職員の一斉解雇を指示。
 ・各省庁は「職務遂行能力が不十分」というテンプレート化された理由を使用して解雇通知を送付。
 ・労働組合(AFSCME、AFGE、UNAC/UHCP など)と環境団体が違法性を訴え、カリフォルニア北部地区連邦地裁に提訴。

 3. 判決の詳細

 ・OPMの指示は「ガイダンス」ではなく、各省庁に対する「直接命令」であったと認定。
 ・OPMの代理局長チャールズ・エゼルが、解雇を強制するメモを送付し、電話でも実行を指示していた。
 ・司法省はエゼルを証人として出廷させることを拒否。
 ・判事は、「職員のパフォーマンスが理由」という説明は虚偽であり、政府の違法行為を隠すためのものと指摘。

 4. 各関係者の反応

 ・労働組合側(AFGE会長エベレット・ケリー):「違法な解雇に遭った全員が復職するまで闘う」。
 ・原告弁護士(ダニエル・レナード):「トランプ政権の違法行為を追及する重要な一歩」。
 ・トランプ政権(ホワイトハウス報道官キャロライン・リーヴィット):「不合理で違憲な判決、異議を申し立てる」。

 5. 今後の展開

 ・6省庁は即時に復職措置を実施し、報告書を裁判所に提出する義務を負う。
 ・司法省は控訴する可能性が高いが、判決は即時適用されるため、連邦政府は対応を迫られる。

【引用・参照・底本】

Federal judge orders thousands of fired federal workers to be reinstated to their jobs Stars & Stripes 2025.03.14
https://www.stripes.com/theaters/us/2025-03-13/federal-workers-fired-lawsuit-17132206.html?utm_source=Stars+and+Stripes+Emails&utm_campaign=0e6f494ddd-Newsletter+-+Veterans+news&utm_medium=email&utm_term=0_0ab8697a7f-0e6f494ddd-296258881

コメント

トラックバック