ドイツのメルツ:米国との協調を捨て、ヨーロッパの対米国政策を推進 ― 2025年03月21日 20:13
【桃源寸評】
ルツ氏がアメリカとの強い関係に依存していることが、グローバルサウス(中国、インド、ブラジル、サウジアラビア)との関係に適応できない原因であり、その結果、アメリカの緊張緩和政策に反対する立場を取っていると考えられる。この背景には、アメリカが取る外交政策、特に緊張緩和に向けたアプローチが、ドイツにとっては必ずしも最適でないと感じられていることがある。
そのため、メルツ氏は代替策としてフランスとの関係強化を模索している可能性がある。フランスは、特に欧州内で独自の外交路線を取ることが多く、グローバルサウス諸国との関係においても独自のアプローチを持っている。メルツ氏は、フランスとの協力を通じて、アメリカ依存を避け、ドイツの独自性を強調しようとしていると考えられる。
要するに、アメリカの影響力を重視しつつも、フランスを一種の代替的パートナーとして位置づけ、グローバルサウスにおけるドイツの立場を強化しようとしている、という理解もできる。
【寸評 完】
【概要】
ドイツの次期首相フリードリヒ・メルツ氏が、アメリカとの関係を変え、ドイツをフランス主導のヨーロッパ防衛システムに組み込むことで、米国への挑戦を目指しているという内容である。著者であるマクシミリアン・クラは、メルツがドイツの財政規律を破り、ロシアの脅威に対してフランスと連携することを選び、アメリカとの歴史的な友好関係を裏切っていると批判している。
メルツはこれまで、アメリカとの強い関係を重視していたが、ウクライナ戦争を巡る戦争継続の立場を取る一方で、ドナルド・トランプの平和努力には反対している。さらに、彼はドイツの憲法を変更し、新たな巨額の借金を容認するために、旧議会を利用してその決定を進めたとされる。これにより、ドイツの財政規律が事実上破られ、今後の経済政策に大きな影響を及ぼす可能性がある。
クラはまた、メルツがフランスの核の傘の下にドイツを位置づけ、欧州防衛共同体を作ることを提案していることに対し、これが実質的にフランスの支配を強化するだけだと批判している。さらに、メルツが現代の地政学や人工知能といった新しい課題に無関心であり、古いユーロ中心的な考えに固執していることを指摘している。
クラは、メルツの政策に賛成する主流派や既存の政治エリートに対して、アフD(ドイツの右翼政党)がアメリカとの新たな協定を結び、EUの枠組みを超えてドイツの利益を優先するべきだと主張している。アフDは、アメリカとの新たな協力関係を重視し、ウクライナや中東での無限の戦争を終わらせるべきだとする立場を取っている。
ドイツの政治と経済における大きな転換を警告するものであり、特にメルツの政策がドイツをフランスの影響下に置き、アメリカとの関係を疎遠にする可能性を指摘している。
【詳細】
ドイツの政治における動向と、特にフリードリヒ・メルツ(Friedrich Merz)氏に関する批判を中心に展開されている。筆者のマクシミリアン・クラフ(Maximilian Krah)氏は、ドイツの新たに選ばれた議会である連邦議会(Bundestag)の議員であり、ドイツの右派政党である「ドイツのための選択肢(AfD)」に所属している。この主張において、彼はメルツ氏の政策を強く批判し、ドイツの未来に対する懸念を表明している。
メルツの登場とアメリカとの関係
フリードリヒ・メルツ氏は、ドイツの伝統的な保守派を象徴する人物として、アメリカとの強い関係を持っていた過去がある。メルツ氏は、ドイツのブラックロック(BlackRock)のドイツ支部の会長として活動し、アメリカの大手資産運用会社をドイツに深く組み入れる役割を果たしてきた。このような背景から、メルツ氏はアメリカとの親密な関係を築いていたとされる。しかし、筆者は現在のメルツ氏が、アメリカとの協調を捨て、ヨーロッパの対アメリカ政策を推進している点を批判している。
財政政策の変更
メルツ氏の財政政策について、筆者は彼がドイツの財政規律を破壊しようとしていると指摘している。ドイツの憲法は、政府の新たな借金に上限を設けているが、メルツ氏はこの上限を事実上撤廃するために憲法改正を試みた。彼は、まだ新しい議会が発足する前の旧議会を利用して、この重要な決定を下した。筆者はこの手法を「非民主的なトリック」として強く非難しており、メルツ氏がこれまでの財政規律を破ることを受け入れたことを重大な問題として捉えている。
ウクライナ戦争とアメリカとの関係
メルツ氏はウクライナ戦争におけるドイツの役割について、アメリカと強調しつつ、ドイツが進んでウクライナに支援を続けるべきだと主張している。しかし、筆者はメルツ氏がアメリカの和平努力を支持せず、ドイツがもっと積極的にアメリカとの協力を再考すべきだと主張している。特に、ドイツがウクライナ戦争を永遠に続けるべきだという考えには疑問を呈しており、ドイツが和平と経済の繁栄を追求すべきだと強調している。
ヨーロッパの軍事的独立とフランスとの協力
筆者は、メルツ氏がフランスとの軍事的な協力を推進していることについても懸念を表明している。メルツ氏は、フランスの核の傘をドイツにも広げ、ヨーロッパの防衛共同体を築くことを提案している。しかし、筆者はフランスの核兵器を「旧式で効果的ではない」と批判し、実際にはフランスが軍事指導権を維持し、ドイツが支払いを続けることになると警告している。このようなメルツ氏の政策は、ドイツが再びフランスの保護領に戻るような状況を招きかねないと指摘している。
アメリカとの新たなパートナーシップ
一方、筆者はAfD(ドイツのための選択肢)党が新たな対アメリカのパートナーシップを提案していると述べている。AfDは、アメリカとの二国間合意を重視し、EUの枠組みから独立した外交政策を進めるべきだと主張している。特に、AfDはフランスの核兵器ではなく、アメリカの核の傘を重視し、ウクライナや中東の戦争を終結させることがドイツにとって重要だと強調している。また、AfDは、EUのCO2規制に縛られない公正な貿易を推進する立場を取っている。
メルツの政治的立場とAfDの対立
メルツ氏の政策は、ドイツの伝統的なエリート層に支持されているが、筆者はこのエリート層が現代のグローバルな変化に適応できていないと指摘している。特に、グローバルサウス(中国、インド、ブラジル、サウジアラビアなど)の台頭による世界的な変化に対応できていないとし、これがメルツ氏の外交政策に悪影響を与えていると述べている。また、メルツ氏はトランプ前大統領のアメリカに対する理解を欠いているとし、新たな時代に対応するためには、ドイツ-アメリカ間の新しい友好関係が必要だと主張している。
結論
メルツ氏がドイツの未来にとって危険な道を進んでいるとし、AfDがドイツを救う唯一の党だと主張している。AfDは、アメリカとの新たなパートナーシップを築き、ドイツが安定と繁栄を取り戻すためには、戦争を終わらせ、公正な貿易を促進する必要があると強調している。また、メルツ氏の政策は、過去の枠組みに固執して新たな機会を逃すものだと批判している。
この主張全体を通して、筆者はドイツの将来について悲観的な見方を示し、メルツ氏が推進する政策がドイツを不安定にし、結果としてアメリカとの協力関係が危機に瀕する可能性があることを警告している。
【要点】
1.フリードリヒ・メルツの批判
・メルツ氏は、アメリカとの強い関係を持っていたが、現在はアメリカとの協調を捨て、ヨーロッパの対アメリカ政策を推進していると批判。
・メルツ氏はドイツのブラックロックの会長を務め、アメリカ企業の影響を強めていた。
2.財政政策の変更
・メルツ氏はドイツ憲法に定められた財政規律を破壊しようとした。
・旧議会で憲法改正を通し、ドイツの新たな借金の上限を事実上撤廃しようとした。
3.ウクライナ戦争への対応
・メルツ氏はウクライナへの支援を続けるべきだと主張し、アメリカとの協力を強調している。
・ドイツが和平と経済の繁栄を追求すべきだとし、メルツ氏の考えに疑問を呈している。
4.フランスとの軍事協力
・メルツ氏はフランスとの防衛協力を推進し、フランスの核の傘をドイツにも広げるべきだと提案。
・フランスの核兵器を批判し、ドイツが再びフランスの保護領に戻る危険があると警告。
5.AfD(ドイツのための選択肢)の立場
・AfDはアメリカとの新たな二国間合意を重視し、EU枠組みから独立した外交政策を推進すべきだと主張。
・ウクライナ戦争の終結と公正な貿易の促進を強調。
6.メルツとグローバルな変化への対応
・メルツ氏はグローバルサウス(中国、インド、ブラジル、サウジアラビア)の台頭に適応できていないと批判。
・メルツ氏はアメリカに対する理解が欠けているとの指摘。
結論
・メルツ氏の政策がドイツを不安定にし、アメリカとの協力関係を危機に陥れる可能性があると警告。
・AfDはドイツの安定と繁栄を取り戻すための唯一の党だと主張。
【引用・参照・底本】
Germany turns against America ASIA TIMES 2025.03.20
https://asiatimes.com/2025/03/germany-turns-against-america/?utm_source=The+Daily+Report&utm_campaign=0eb5d59746-DAILY_20_03_2025&utm_medium=email&utm_term=0_1f8bca137f-0eb5d59746-16242795&mc_cid=0eb5d59746&mc_eid=69a7d1ef3c#
ルツ氏がアメリカとの強い関係に依存していることが、グローバルサウス(中国、インド、ブラジル、サウジアラビア)との関係に適応できない原因であり、その結果、アメリカの緊張緩和政策に反対する立場を取っていると考えられる。この背景には、アメリカが取る外交政策、特に緊張緩和に向けたアプローチが、ドイツにとっては必ずしも最適でないと感じられていることがある。
そのため、メルツ氏は代替策としてフランスとの関係強化を模索している可能性がある。フランスは、特に欧州内で独自の外交路線を取ることが多く、グローバルサウス諸国との関係においても独自のアプローチを持っている。メルツ氏は、フランスとの協力を通じて、アメリカ依存を避け、ドイツの独自性を強調しようとしていると考えられる。
要するに、アメリカの影響力を重視しつつも、フランスを一種の代替的パートナーとして位置づけ、グローバルサウスにおけるドイツの立場を強化しようとしている、という理解もできる。
【寸評 完】
【概要】
ドイツの次期首相フリードリヒ・メルツ氏が、アメリカとの関係を変え、ドイツをフランス主導のヨーロッパ防衛システムに組み込むことで、米国への挑戦を目指しているという内容である。著者であるマクシミリアン・クラは、メルツがドイツの財政規律を破り、ロシアの脅威に対してフランスと連携することを選び、アメリカとの歴史的な友好関係を裏切っていると批判している。
メルツはこれまで、アメリカとの強い関係を重視していたが、ウクライナ戦争を巡る戦争継続の立場を取る一方で、ドナルド・トランプの平和努力には反対している。さらに、彼はドイツの憲法を変更し、新たな巨額の借金を容認するために、旧議会を利用してその決定を進めたとされる。これにより、ドイツの財政規律が事実上破られ、今後の経済政策に大きな影響を及ぼす可能性がある。
クラはまた、メルツがフランスの核の傘の下にドイツを位置づけ、欧州防衛共同体を作ることを提案していることに対し、これが実質的にフランスの支配を強化するだけだと批判している。さらに、メルツが現代の地政学や人工知能といった新しい課題に無関心であり、古いユーロ中心的な考えに固執していることを指摘している。
クラは、メルツの政策に賛成する主流派や既存の政治エリートに対して、アフD(ドイツの右翼政党)がアメリカとの新たな協定を結び、EUの枠組みを超えてドイツの利益を優先するべきだと主張している。アフDは、アメリカとの新たな協力関係を重視し、ウクライナや中東での無限の戦争を終わらせるべきだとする立場を取っている。
ドイツの政治と経済における大きな転換を警告するものであり、特にメルツの政策がドイツをフランスの影響下に置き、アメリカとの関係を疎遠にする可能性を指摘している。
【詳細】
ドイツの政治における動向と、特にフリードリヒ・メルツ(Friedrich Merz)氏に関する批判を中心に展開されている。筆者のマクシミリアン・クラフ(Maximilian Krah)氏は、ドイツの新たに選ばれた議会である連邦議会(Bundestag)の議員であり、ドイツの右派政党である「ドイツのための選択肢(AfD)」に所属している。この主張において、彼はメルツ氏の政策を強く批判し、ドイツの未来に対する懸念を表明している。
メルツの登場とアメリカとの関係
フリードリヒ・メルツ氏は、ドイツの伝統的な保守派を象徴する人物として、アメリカとの強い関係を持っていた過去がある。メルツ氏は、ドイツのブラックロック(BlackRock)のドイツ支部の会長として活動し、アメリカの大手資産運用会社をドイツに深く組み入れる役割を果たしてきた。このような背景から、メルツ氏はアメリカとの親密な関係を築いていたとされる。しかし、筆者は現在のメルツ氏が、アメリカとの協調を捨て、ヨーロッパの対アメリカ政策を推進している点を批判している。
財政政策の変更
メルツ氏の財政政策について、筆者は彼がドイツの財政規律を破壊しようとしていると指摘している。ドイツの憲法は、政府の新たな借金に上限を設けているが、メルツ氏はこの上限を事実上撤廃するために憲法改正を試みた。彼は、まだ新しい議会が発足する前の旧議会を利用して、この重要な決定を下した。筆者はこの手法を「非民主的なトリック」として強く非難しており、メルツ氏がこれまでの財政規律を破ることを受け入れたことを重大な問題として捉えている。
ウクライナ戦争とアメリカとの関係
メルツ氏はウクライナ戦争におけるドイツの役割について、アメリカと強調しつつ、ドイツが進んでウクライナに支援を続けるべきだと主張している。しかし、筆者はメルツ氏がアメリカの和平努力を支持せず、ドイツがもっと積極的にアメリカとの協力を再考すべきだと主張している。特に、ドイツがウクライナ戦争を永遠に続けるべきだという考えには疑問を呈しており、ドイツが和平と経済の繁栄を追求すべきだと強調している。
ヨーロッパの軍事的独立とフランスとの協力
筆者は、メルツ氏がフランスとの軍事的な協力を推進していることについても懸念を表明している。メルツ氏は、フランスの核の傘をドイツにも広げ、ヨーロッパの防衛共同体を築くことを提案している。しかし、筆者はフランスの核兵器を「旧式で効果的ではない」と批判し、実際にはフランスが軍事指導権を維持し、ドイツが支払いを続けることになると警告している。このようなメルツ氏の政策は、ドイツが再びフランスの保護領に戻るような状況を招きかねないと指摘している。
アメリカとの新たなパートナーシップ
一方、筆者はAfD(ドイツのための選択肢)党が新たな対アメリカのパートナーシップを提案していると述べている。AfDは、アメリカとの二国間合意を重視し、EUの枠組みから独立した外交政策を進めるべきだと主張している。特に、AfDはフランスの核兵器ではなく、アメリカの核の傘を重視し、ウクライナや中東の戦争を終結させることがドイツにとって重要だと強調している。また、AfDは、EUのCO2規制に縛られない公正な貿易を推進する立場を取っている。
メルツの政治的立場とAfDの対立
メルツ氏の政策は、ドイツの伝統的なエリート層に支持されているが、筆者はこのエリート層が現代のグローバルな変化に適応できていないと指摘している。特に、グローバルサウス(中国、インド、ブラジル、サウジアラビアなど)の台頭による世界的な変化に対応できていないとし、これがメルツ氏の外交政策に悪影響を与えていると述べている。また、メルツ氏はトランプ前大統領のアメリカに対する理解を欠いているとし、新たな時代に対応するためには、ドイツ-アメリカ間の新しい友好関係が必要だと主張している。
結論
メルツ氏がドイツの未来にとって危険な道を進んでいるとし、AfDがドイツを救う唯一の党だと主張している。AfDは、アメリカとの新たなパートナーシップを築き、ドイツが安定と繁栄を取り戻すためには、戦争を終わらせ、公正な貿易を促進する必要があると強調している。また、メルツ氏の政策は、過去の枠組みに固執して新たな機会を逃すものだと批判している。
この主張全体を通して、筆者はドイツの将来について悲観的な見方を示し、メルツ氏が推進する政策がドイツを不安定にし、結果としてアメリカとの協力関係が危機に瀕する可能性があることを警告している。
【要点】
1.フリードリヒ・メルツの批判
・メルツ氏は、アメリカとの強い関係を持っていたが、現在はアメリカとの協調を捨て、ヨーロッパの対アメリカ政策を推進していると批判。
・メルツ氏はドイツのブラックロックの会長を務め、アメリカ企業の影響を強めていた。
2.財政政策の変更
・メルツ氏はドイツ憲法に定められた財政規律を破壊しようとした。
・旧議会で憲法改正を通し、ドイツの新たな借金の上限を事実上撤廃しようとした。
3.ウクライナ戦争への対応
・メルツ氏はウクライナへの支援を続けるべきだと主張し、アメリカとの協力を強調している。
・ドイツが和平と経済の繁栄を追求すべきだとし、メルツ氏の考えに疑問を呈している。
4.フランスとの軍事協力
・メルツ氏はフランスとの防衛協力を推進し、フランスの核の傘をドイツにも広げるべきだと提案。
・フランスの核兵器を批判し、ドイツが再びフランスの保護領に戻る危険があると警告。
5.AfD(ドイツのための選択肢)の立場
・AfDはアメリカとの新たな二国間合意を重視し、EU枠組みから独立した外交政策を推進すべきだと主張。
・ウクライナ戦争の終結と公正な貿易の促進を強調。
6.メルツとグローバルな変化への対応
・メルツ氏はグローバルサウス(中国、インド、ブラジル、サウジアラビア)の台頭に適応できていないと批判。
・メルツ氏はアメリカに対する理解が欠けているとの指摘。
結論
・メルツ氏の政策がドイツを不安定にし、アメリカとの協力関係を危機に陥れる可能性があると警告。
・AfDはドイツの安定と繁栄を取り戻すための唯一の党だと主張。
【引用・参照・底本】
Germany turns against America ASIA TIMES 2025.03.20
https://asiatimes.com/2025/03/germany-turns-against-america/?utm_source=The+Daily+Report&utm_campaign=0eb5d59746-DAILY_20_03_2025&utm_medium=email&utm_term=0_1f8bca137f-0eb5d59746-16242795&mc_cid=0eb5d59746&mc_eid=69a7d1ef3c#