台湾海峡周辺での中国人民解放軍の軍事演習2025年03月26日 21:57

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【概要】

 中国大陸の国務院台湾事務弁公室の報道官であるChen Binhua氏は、3月26日の定例記者会見において、台湾海峡周辺で実施されている中国人民解放軍(PLA)の軍事演習について、「台湾独立」分裂勢力の試みと外部勢力の干渉に対する抑止措置であり、国家の主権と領土の完全性を守るための正当な行動であると述べた。

 Chen氏は、台湾海峡の緊張の根本的な原因は、民進党当局と「台湾独立」勢力が外部勢力と結託し、「独立」を図る挑発行為にあると指摘した。そして、中国は「台湾独立」分裂勢力のいかなる形の試みも阻止し、国家の主権と領土の完全性を守り、国家統一の大業を着実に推進する強い意志と十分な自信、能力を持っていると強調した。

 また、台湾軍が毎年実施する「漢光演習」が2027年に「中国大陸が台湾に対して攻撃を仕掛ける」という仮定の下で行われること、さらに今年初めて「ミニ漢光」と称する「迅速対応演習」を実施し、PLAの軍事演習が実戦へと移行する可能性に備えるとした点についても言及した。Chen氏は、このような演習は民進党当局が自らを鼓舞するための見せかけに過ぎず、新たな形を装った従来の手法であり、一撃で崩れ去る脆弱な虚構であると批判した。

 台湾の「防衛当局」が最近、「灰色地帯戦術」とされるPLAの活動に対応するため、5日間の迅速対応演習を実施したと主張し、さらに3月17日には数十機のPLA軍用機が台湾海峡の「中間線」を越え、「台湾の空域」に進入し、軍艦と協力して「合同戦備警戒パトロール」を実施したと発表した。

 これに対し、Chen氏は、PLAの演習は頼清徳氏および民進党当局が「台湾独立」の主張を誇張し、両岸対立を煽る行為に対する断固たる報復であり、「台湾独立」分裂勢力の挑発行為に対する強力な抑止策であり、国家主権を守り、台湾海峡の平和を維持するために必要な措置であると述べた。

 Chen氏はさらに、中国大陸と台湾は共に「一つの中国」に属し、台湾は中国の不可分の領土であり、台湾海峡には「中間線」なるものは存在しないと強調した。台湾軍がどのような「演習」を行おうとも、それは単なる誇示に過ぎず、自らの実力を過大評価する行為に過ぎないと述べた。

【詳細】

 中国人民解放軍(PLA)は、最近、台湾海峡周辺で一連の軍事演習を実施した。これについて、中国大陸の国務院台湾事務弁公室の報道官であるChen Binhua氏は、3月26日の定例記者会見で詳細を説明した。

 PLAの軍事演習の目的

 Chen氏は、今回の軍事演習について、「台湾独立」分裂勢力の試みと外部勢力の干渉に対する抑止措置であり、国家の主権と領土の完全性を守るための正当な行動であると述べた。具体的には、次の三点を強調した。

 1.「台湾独立」勢力への警告

 ・民進党(DPP)当局や「台湾独立」を掲げる勢力が、外部勢力と結託して独立の動きを進めることに対し、強い警告を発している。
 
 ・PLAの演習は、これらの勢力に対し、「独立」を目指すいかなる試みも阻止されることを示すものとなっている。

 2.外部勢力の干渉を排除

 ・外部勢力(主にアメリカやその同盟国)が台湾問題に介入し、軍事的支援を行うことを牽制する狙いがある。

 ・PLAの演習は、外部勢力が台湾問題に関与することが中国の強い反発を招くことを示し、軍事的介入を抑止するためのものである。

 3.国家主権と領土の完全性を守る決意の表明

 ・中国政府は、「一つの中国」原則を堅持し、台湾を中国の不可分の領土と位置づけている。

 ・PLAの行動は、国家の統一を妨げるいかなる動きも許さないという強い姿勢を示すものである。

 台湾海峡の緊張の原因

 Chen氏は、台湾海峡の緊張が高まっている主な原因について、民進党当局と「台湾独立」勢力の挑発行為にあると指摘した。特に、彼らが外部勢力と結託し、「台湾独立」の主張を強めていることが、中国大陸側の強い反発を招いていると述べた。

 さらに、中国政府は、国家の統一を守るための意志と能力を持っており、「台湾独立」を目指すいかなる試みも成功しないと強調した。Chen氏は、「我々は断固として『台湾独立』勢力のいかなる形の試みも阻止し、国家の主権と領土の完全性を守り、国家統一の大業を着実に推進する」と述べた。

 台湾軍の「漢光演習」と中国の対応

 台湾軍は、毎年「漢光演習」と呼ばれる軍事演習を実施しており、今年の演習では「2027年に中国大陸が台湾に攻撃を仕掛ける」という仮定のもと、対策を講じる内容となっている。特に今年は、新たに「ミニ漢光」と称する「迅速対応演習」が加えられ、PLAの演習が実戦へと移行する可能性に備える形となっている。

 これに対し、Chen氏は「民進党当局が自らを鼓舞するための見せかけに過ぎず、新たな形を装った従来の手法であり、一撃で崩れ去る脆弱な虚構である」と批判した。つまり、台湾軍の演習は実際の戦闘能力の向上にはつながらず、対外的なアピールに過ぎないという見解を示した。

 台湾の「防衛当局」の主張への反論

 台湾の「防衛当局」は最近、次のような主張を行った。

 ・PLAが「灰色地帯戦術」(通常戦争に至らない範囲での軍事的圧力)を強化している。

 ・これに対応するため、台湾軍が5日間の「迅速対応演習」を実施した。

 ・3月17日には、数十機のPLA軍用機が台湾海峡の「中間線」を越え、「台湾の空域」に進入し、軍艦と協力して「合同戦備警戒パトロール」を行った。

 これに対し、Chen氏は次のように述べた。

 1.PLAの演習は頼清徳氏と民進党当局の「台湾独立」路線への報復措置である

 ・彼らが「台湾独立」の主張を強め、両岸の対立を煽っていることに対し、強い警告を発している。

 2.「台湾独立」勢力の挑発行為に対する抑止策である

 ・台湾側の動きが中国の国家統一を妨げるものであるため、PLAは強硬な対応を取る必要がある。

 3.国家主権を守り、台湾海峡の平和を維持するための措置である

 ・PLAの軍事演習は、単なる威嚇ではなく、中国政府の一貫した方針に基づく行動である。

 「台湾海峡の中間線」の否定

 Chen氏は、台湾海峡には「中間線」なるものは存在しないと明言した。

 ・台湾は中国の不可分の領土であり、中国が台湾海峡で軍事活動を行うことは正当である。

 ・「中間線」という概念は、外部勢力によって一方的に設定されたものであり、中国政府はそれを認めない。

 ・台湾軍がどのような「演習」を行おうとも、それは単なる誇示に過ぎず、実際の防衛能力には影響を与えない。

 まとめ

 中国人民解放軍の台湾海峡周辺での軍事演習は、「台湾独立」勢力の動きと外部勢力の干渉に対する抑止措置であり、国家の主権と領土の完全性を守るための行動である。中国政府は、台湾海峡の緊張の原因は民進党当局と「台湾独立」勢力にあると指摘し、PLAはあらゆる「台湾独立」分裂勢力の試みを阻止する決意を示している。

また、台湾軍の「漢光演習」や「迅速対応演習」について、中国政府はそれを「実効性のない見せかけ」とみなし、台湾側の過大評価を批判している。さらに、「台湾海峡の中間線」の存在を否定し、台湾は中国の不可分の領土であることを強調している。

このように、今回のPLAの軍事演習は、台湾問題に対する中国の一貫した立場を示し、台湾側の動きを抑制するための重要な措置と位置づけられている。

【要点】

 中国人民解放軍(PLA)の台湾海峡周辺での軍事演習について

 1. 軍事演習の目的

 (1)「台湾独立」勢力への警告

  ・民進党(DPP)当局や「台湾独立」を掲げる勢力に対する抑止。

  ・「独立」の試みは許されないことを示す。

 (2)外部勢力(主にアメリカ)への牽制

  ・台湾問題への軍事的介入を防ぐための措置。

  ・外部勢力の関与が中国の強い反発を招くことを明確化。

 (3)国家主権と領土の完全性の維持

  ・「一つの中国」原則の堅持。

  ・国家統一を妨げるいかなる動きも許さない姿勢の表明。

 2. 台湾海峡の緊張の原因(中国政府の主張)

 (1)民進党当局と「台湾独立」勢力の挑発

  ・外部勢力と結託し、独立を進めようとしている。

 (2)台湾海峡の安定を損なう動きに対する対応

  ・PLAの演習は、緊張を高める要因に対する抑止策。

 3. 台湾軍の「漢光演習」に対する批判

 ・台湾の「防衛当局」はPLAの軍事的圧力に対抗するための演習を実施。

 ・中国側の反論

  ⇨ 「台湾軍の演習は見せかけに過ぎず、実戦能力には影響を与えない。」

  ⇨ 「台湾側の自信過剰な対応は、一撃で崩れる虚構である。」

 4. 「台湾海峡の中間線」に対する中国政府の立場

 ・「中間線」は存在しないと明言。

 ・台湾は中国の不可分の領土であり、中国が台湾海峡で軍事活動を行うのは正当である。

 ・外部勢力による一方的な設定であり、中国はこれを認めない。

 5. まとめ

 ・PLAの演習は「台湾独立」勢力の活動と外部勢力の干渉を阻止するための措置。

 ・台湾海峡の緊張は民進党当局と「台湾独立」勢力の挑発行為によるもの(中国側の主張)。

 ・台湾軍の「漢光演習」は実効性がなく、政治的アピールに過ぎないと中国は批判。

 ・中国は「台湾海峡の中間線」の存在を否定し、台湾は中国の不可分の領土であると強調。

【引用・参照・底本】

PLA drills around Taiwan deterrence against secessionist attempts, external interference: Taiwan Affairs Office spokesperson GT 2025.03.26
https://www.globaltimes.cn/page/202503/1330889.shtml

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