日本が常設の「統合司令部」:攻撃能力の強化と米軍との防衛協力の深化2025年03月28日 07:41

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【桃源寸評】

 此の国は土台付き合う相手を間違えているのだ。その根本原因は大大久保利通・木戸孝允などの陰謀・謀略に遡れる。

 彼らの卑劣さ(が)を第二次世界大戦まで引き摺ってきたのだが、未だ見果てぬ夢を追い求める亡霊が、現在に至るまで、憑依している。

 つまり、更なる"生け贄"に餓えているのだ。

 日本よ、友を選ぶのを、誤るな。

【寸評 完】

【概要】

 中国の軍機関紙「解放軍報」は27日、日本が常設の「統合司令部」(Joint Operations Command, JOC)を創設したことについて、日本の攻撃能力の強化と米軍との防衛協力の深化を示すものであると指摘した。

 この論評は、中国人民解放軍軍事科学院の専門家によって執筆されたものであり、日本が地上・海上・航空自衛隊を統合する新司令部を正式に発足させた2日後に発表された。

 「ジャパンタイムズ」によると、この統合司令部の設立により、「民主的な台湾を巡る緊急事態を含む、あらゆる事態への迅速かつ統合的な対応」が可能になるとされている。

 中国の政府関係者や軍事専門家は、この動きを「米国主導による対中包囲網の一環」として捉え、地域の安定に対する懸念を表明するとともに、日本が平和憲法の原則から離れつつあると指摘している。

 「解放軍報」の論評では、日本の統合司令部は「自衛隊の指揮効率と領域横断的な統合作戦能力の向上を目的とする」としつつ、「攻撃的戦闘能力の強化にも寄与する」と分析している。

 また、日米同盟の観点から見れば、「統合司令部の設立は、日米軍事協力が新たな段階に入り、より深い統合が進んでいることを意味する」としている。

 さらに、「解放軍報」は、日本の攻撃能力の拡大、とりわけ敵ミサイル基地に対する先制攻撃の可能性についても懸念を示している。これらの動きは、日本が2022年に改定した国家安全保障戦略に基づくものであり、「反撃能力」の強化を掲げつつ、その運用範囲に明確な制限を設けていない点が指摘されている。

【詳細】

 日本が設立した統合司令部(Joint Operations Command, JOC)は、自衛隊の陸・海・空の各部門を統括する常設の司令部であり、これまで個別に指揮されていた各自衛隊の統合作戦を一元的に指揮・調整する役割を持つ。2025年3月25日に正式に発足し、その司令官には南雲憲一郎(Kenichiro Nagumo)陸将が就任した。

 統合司令部の設立背景

 日本政府は、自衛隊の統合運用を強化し、迅速な意思決定と即応態勢を確立するため、2022年の国家安全保障戦略(NSS)改定でこの司令部の設立を決定した。特に、中国の軍事的台頭や北朝鮮のミサイル開発、台湾海峡の緊張の高まりを踏まえ、有事の際により効果的な軍事対応を行うための組織改革が求められていた。

 統合司令部は、日本の自衛隊が単独で作戦を遂行する際の指揮・統制能力を向上させるだけでなく、米軍との協力を強化することを目的としている。従来、日本の自衛隊は陸上・海上・航空それぞれの幕僚監部を中心に指揮されており、統合運用が課題とされていたが、この新司令部により、各自衛隊の指揮系統が一本化され、統合的な作戦遂行能力が強化される。

 中国側の反応と「解放軍報」の主張

 中国の軍機関紙「解放軍報」は、日本の統合司令部の設立について、「攻撃的能力の強化」と捉え、日本の軍事戦略の変化に対する警戒を示している。

「日米軍事協力の深化」

 解放軍報の論評によれば、統合司令部の設立は日米軍事協力の新たな段階を示すものであり、日本と米国の軍事統合が進んでいることを意味するとしている。

 これは、2023年1月の日米安全保障協議委員会(2+2)で合意された**「日米統合運用の深化」**の方針に基づくものであり、米軍と自衛隊の連携を強化するための具体的な施策の一環である。

「攻撃能力の拡大」

 解放軍報は、日本が2022年に改定した国家安全保障戦略(NSS)、防衛戦略(NDS)、防衛力整備計画に基づき、「反撃能力(counterstrike capabilities)」を強化している点を指摘している。

 これにより、日本は敵のミサイル基地などを攻撃する能力を獲得しつつあり、「統合司令部の設立もその一環」としている。

 日本政府は、反撃能力を「専守防衛」の枠組み内と説明しているが、中国側は「先制攻撃の可能性がある」と警戒している。

 「地域安定への影響」

 解放軍報の論評では、日本の統合司令部の設立が台湾海峡の緊張を高める可能性についても言及している。

 「ジャパンタイムズ」によると、統合司令部は台湾有事を含む緊急事態に迅速に対応する能力を向上させる」としており、中国側はこれを「台湾問題への関与強化」と受け止めている。

 解放軍報は、統合司令部が米軍との一体化を進めることで、日本が「対中軍事包囲網」の一部として積極的な役割を果たそうとしていると警戒している。

 日本の公式な立場

 日本政府は、統合司令部の設立について、あくまで「自衛隊の指揮・統制を強化し、迅速かつ効果的な防衛対応を可能にするための措置」と説明している。また、政府関係者は「統合司令部の目的は専守防衛の強化であり、攻撃的な意図はない」としている。

 今後の展望

 米軍との一体運用強化: 統合司令部の発足により、日米の統合運用がさらに進む可能性が高い。米軍との共同演習や情報共有の強化が予想される。

 台湾有事への対応強化: 統合司令部は、台湾海峡の緊張に対応するための指揮能力を強化する役割を担うとみられている。

 中国との関係悪化の可能性: 中国側は、日本の軍事強化を「対中包囲の一環」と見なしており、統合司令部の発足が日中関係に影響を及ぼす可能性がある。

 以上のように、日本の統合司令部は、自衛隊の作戦指揮を統合し、日米同盟のさらなる強化を目指すものである。しかし、中国側はこれを「攻撃能力の向上」と警戒し、地域の軍事バランスへの影響を懸念している。

【要点】 

 日本の統合司令部(Joint Operations Command, JOC)の概要

 ・発足日: 2025年3月25日

 ・目的: 陸・海・空の自衛隊を統合的に指揮し、迅速な意思決定と防衛対応を可能にする

 ・司令官: 南雲憲一郎(Kenichiro Nagumo)陸将

 ・背景: 2022年の国家安全保障戦略(NSS)改定に基づき、統合運用の強化を目的に設立

 統合司令部の役割と特徴

 ・指揮系統の統合: 従来、個別指揮だった陸・海・空自衛隊の作戦運用を一本化

 ・迅速な防衛対応: 台湾有事や北朝鮮のミサイル発射などの緊急事態に即応可能

 ・米軍との協力強化: 米軍との共同作戦や統合運用の深化

 中国の反応(解放軍報の主張)

 1.「日米軍事協力の深化」

 ・日米の軍事統合が新たな段階に進んだと警戒

 ・2023年の日米安全保障協議(2+2)の合意に基づく動き

 2.「攻撃能力の拡大」

 ・日本の「反撃能力(counterstrike capabilities)」強化の一環とみなす

 ・敵のミサイル基地攻撃能力を獲得し、「先制攻撃の可能性がある」と指摘

 3.「地域安定への影響」

 ・台湾問題への関与が強まり、中国との緊張を高める可能性

 ・日米の「対中軍事包囲網」の一環と見なされる

 日本政府の立場

 ・統合司令部の目的は「専守防衛」の強化であり、「攻撃的な意図はない」と説明

 ・自衛隊の指揮・統制を強化し、より効果的な防衛対応を可能にするための措置

 今後の展望

 ・米軍との一体運用強化: 共同演習や情報共有がさらに進む見込み

 ・台湾有事への対応強化: 指揮能力を向上させ、緊急事態に備える

 ・中国との関係悪化の可能性: 軍事バランスへの影響をめぐり緊張が高まる恐れ

【引用・参照・底本】

Japan goes on the offensive with Joint Operations Command, China’s PLA Daily says scmp 2025.03.27
https://www.scmp.com/news/china/military/article/3304057/japan-goes-offensive-joint-operations-command-chinas-pla-daily-says?utm_medium=email&utm_source=cm&utm_campaign=enlz-china&utm_content=20250327&tpcc=enlz-china&UUID=5147fda4-c483-4061-b936-ccd0eb7929aa&next_article_id=3303923&article_id_list=3304122,3304109,3304062,3304057&tc=11

EU・中国との外交関係50周年:「貿易および投資協力の深化」2025年03月28日 08:49

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【概要】

 欧州連合(EU)は、中国との外交関係50周年を迎えるにあたり、「貿易および投資協力の深化」に意欲を示している。これは、EUのマロシュ・シェフチョビッチ(Maros Sefcovic)通商担当委員が3月27日、北京で中国の何立峰(He Lifeng)副首相と会談した際に述べたものであり、中国国営通信の新華社が報じた。

 この会談は、シェフチョビッチ氏の2日間にわたる訪中の初日に行われ、両者は釣魚台迎賓館で会食した。欧州委員会はこの会談に関する公式声明を発表していない。

 同日、シェフチョビッチ氏は中国税関総署の孫梅君(Sun Meijun)署長と会談し、その後、EU中国商工会議所(EU Chamber of Commerce in China)が主催する欧州企業との交流イベントに出席した。

 このイベントにおいて、シェフチョビッチ氏は、欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン(Ursula von der Leyen)委員長が今年複数の演説で示してきた方針を強調した。フォン・デア・ライエン委員長はこれまで中国に対して厳しい姿勢を取ってきたが、最近の演説では、EUが中国との貿易関係を拡大し、新たな合意の可能性を模索できることを示唆する表現を用いている。

 これらの発言は、米国のドナルド・トランプ大統領の2期目を見据え、EUが選択肢を持っていることを示す意図があるとされる。また、EU筋によれば、これと同時に中国側に対し、ブリュッセルが「信頼に足る提案」に対して前向きであることを伝える目的もあるという。

【詳細】

 欧州連合(EU)は、中国との外交関係50周年を迎えるにあたり、「貿易および投資協力の深化」を目指している。これは、EUのマロシュ・シェフチョビッチ(Maros Sefcovic)通商担当委員が3月27日、北京で中国の何立峰(He Lifeng)副首相と会談した際に述べたものであり、中国国営通信の新華社が報じた。

 会談の詳細と背景

 シェフチョビッチ氏の訪中は2日間の日程で行われ、その初日に何立峰副首相と会談した。両者は、北京の釣魚台迎賓館で会食をともにし、貿易や投資に関する協力関係の深化について意見を交わした。

 EU側はこの会談の内容について公式声明を発表していないが、中国側の報道によれば、EUは中国との経済関係を強化し、協力を深める意向を示したとされる。

 シェフチョビッチ氏は、何立峰氏との会談に先立ち、中国税関総署の孫梅君(Sun Meijun)署長とも会談を行い、貿易手続きや関税に関する協力について議論した。その後、EU中国商工会議所(EU Chamber of Commerce in China)が主催する欧州企業との交流イベントに参加した。

 EUの対中政策の変化

 この訪問の背景には、EUの対中政策の変化がある。欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン(Ursula von der Leyen)委員長は、これまで中国に対して厳しい姿勢を取っていたが、今年に入ってからの複数の演説において、対話や協力の可能性に言及するようになった。

 フォン・デア・ライエン委員長は2023年に「デリスキング(リスク低減)」という方針を掲げ、中国依存を減らしつつも完全に関係を断つ「デカップリング(切り離し)」は避けるという姿勢を示していた。しかし、2024年以降は、さらに柔軟な対応を示唆する発言が増えている。

 シェフチョビッチ氏も、今回の訪問でその流れを引き継ぎ、EUが中国との貿易や投資の拡大に前向きであることを強調したとみられる。

 米国との関係とEUの戦略

 このようなEUの姿勢の変化には、米国の影響もある。EUはこれまで、中国に対して厳しい姿勢を取る米国と足並みをそろえる場面が多かった。しかし、ドナルド・トランプ氏が再び米大統領に就任し、EUは独自の選択肢を模索している。

 EU筋によれば、フォン・デア・ライエン委員長の最近の発言やシェフチョビッチ氏の訪中には、米国に対して「EUは独自の外交・経済政策を持ち、中国との関係を柔軟に調整できる」というメッセージを送る意図もあるという。

 また、これは中国に対しても「EUは協力に前向きであるため、信頼できる提案を持ちかけるべきだ」というシグナルを送る狙いがあるとされる。

 今後の展望

 シェフチョビッチ氏の訪中は、中国とEUの経済関係が新たな局面に入る可能性を示している。EUは中国に対して「公平な競争環境の確保」や「市場アクセスの改善」を求めているが、一方で中国市場の重要性を認識し、対話を重視する姿勢に転じつつある。

 今後、EUと中国の間で新たな貿易協定の締結や、投資に関する協議の進展が見込まれる可能性がある。ただし、EU域内では中国への警戒感も根強く、一部の加盟国は経済的な依存度を高めることに慎重な立場を取っているため、今後の交渉の行方は不透明な部分もある。

【要点】 

 EUと中国の貿易協力深化に関する概要

 1. 訪中の概要

 ・EUのマロシュ・シェフチョビッチ通商担当委員が3月27日に北京を訪問。

 ・2日間の訪問の初日に中国の何立峰副首相と会談。

 ・釣魚台迎賓館で会食し、貿易・投資協力の深化について議論。

 ・中国税関総署の孫梅君署長とも会談し、貿易手続きや関税に関する協力を協議。

 ・EU中国商工会議所(EU Chamber of Commerce in China)主催の欧州企業との交流イベントにも出席。

 2. EUの対中政策の変化

 ・欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長はこれまで対中強硬姿勢を取っていたが、最近の演説では協力拡大の可能性に言及。

 ・2023年は「デリスキング(リスク低減)」を掲げていたが、2024年以降はさらに柔軟な対応へシフト。

 ・シェフチョビッチ氏も今回の訪中で、EUが中国との貿易・投資拡大に前向きであることを強調。

 3. 米国との関係とEUの戦略

 ・EUはこれまで米国と足並みをそろえ、中国に対して厳しい立場を取ることが多かった。

 ・しかし、ドナルド・トランプ氏の米大統領再選で、EUは独自の選択肢を模索。

 ・フォン・デア・ライエン委員長の最近の発言やシェフチョビッチ氏の訪中は、米国に対し「EUは独自の外交・経済政策を持つ」と示す狙いがあるとされる。

 ・また、中国に対しても「EUは協力に前向きなので、信頼できる提案を行うべき」とのシグナルを送る意図もある。

 4. 今後の展望

 ・EUは中国に対し、公平な競争環境の確保や市場アクセスの改善を求める方針。

 ・今後、新たな貿易協定の締結や投資協議の進展が期待される。

 ・ただし、EU域内には中国への警戒感も根強く、一部加盟国は経済的な依存度を高めることに慎重な姿勢を取っている。

 ・そのため、EUと中国の交渉の行方には不透明な要素も残る。

【引用・参照・底本】

EU trade commissioner says bloc seeks to deepen cooperation with China scmp 2025.03.28
https://www.scmp.com/news/china/diplomacy/article/3304180/eu-trade-commissioner-says-bloc-seeks-deepen-cooperation-china?module=top_story&pgtype=homepage

Valdai Discussion Club:「共同発展の空間:グローバルおよびユーラシアの次元」2025年03月28日 10:16

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【概要】

 2025年3月31日から4月1日にかけて、ヴァルダイ・ディスカッション・クラブは華東師範大学ロシア研究センターと共同で、上海において「共同発展の空間:グローバルおよびユーラシアの次元」と題したロシア・中国会議を開催する。

 本会議には、ロシアと中国から60名以上の専門家が参加し、その多くは両国の専門家会議や地域会議、ヴァルダイ・クラブの年次総会にも定期的に出席している。開会式では、ヴァルダイ・ディスカッション・クラブ発展支援財団理事長のアンドレイ・ビストリツキー氏、華東師範大学党委書記の梅兵氏、同大学ロシア研究センター所長の馮紹雷氏が挨拶を行う予定である。

 ヴァルダイ・クラブと華東師範大学ロシア研究センターは、15年間にわたり高い水準の協力関係を維持し、ロシアと中国の専門家対話の議題を形成してきた。本年の会議の目的は、グローバル、地域、および二国間の課題を議論し、ロシアと中国の社会が未来に備えるための方策を模索することである。

 ロシアと中国の関係はかつてない強固なものとなっており、政治的交流の頻度がその証左となっている。2024年には両国首脳が3回会談し、政府首脳級の会談も2回実施された。経済関係も近年飛躍的に拡大し、2024年末には貿易額が過去最高の2448億ドルに達した。両国政府が掲げた貿易額2500億ドルの目標達成も近いと見られている。

 ロシアと中国は、ウクライナ危機、中東情勢、保護主義の台頭、国際機関の機能不全など、主要な国際問題に関して共通の見解を持っている。モスクワと北京は、BRICSや上海協力機構(SCO)といった枠組みの下で協力を深め、これらのプラットフォームを発展途上国の提案を推進・実行するための場として活用している。

 現在、国際秩序の多極化が進む中で、ロシアと中国は戦略的パートナーシップを活かし、国際関係の民主化と、公正かつ合理的な世界秩序の構築に向けた取り組みを強化している。

 このプロセスにおいて、ユーラシアはロシア、中国、その他多くの発展途上国にとって共同発展の場として重要な役割を果たす。特に、上海協力機構の役割や、「大ユーラシア構想(大ユーラシア・パートナーシップ)」および「共通運命共同体」といったイニシアチブの展望は、ロシアと中国の協力によって大きく影響を受けると考えられる。

 会議は2日間にわたり、開会式、4つのテーマ別セッション、閉会セッションが実施される。各セッションでは以下のテーマが議論される予定である。

 ・ロシアと中国:多極化する世界における戦略的パートナーシップ

 ・ユーラシアにおけるグローバルおよび地域的課題

 ・二国間協力の有望分野:ユーラシアにおける大規模プロジェクト、人工知能、新たな決済メカニズム

 ・国際機関と国際法の未来

 本会議には、ロシア側から以下の著名な政治学者・経済学者が参加する予定である。

 ・イーゴリ・マカロフ(国立研究大学高等経済学院 世界経済学部 学部長)

 ・ワシリー・カシン(国立研究大学高等経済学院 欧州・国際包括研究センター 所長)

 ・アレクセイ・クプリヤノフ(ロシア科学アカデミー 世界経済・国際関係研究所 インド洋地域センター 所長)

 ・アレクサンドル・ロマノフ(ロシア科学アカデミー 世界経済・国際関係研究所 研究副所長)

 ・フョードル・ルキヤノフ(ヴァルダイ・ディスカッション・クラブ 研究ディレクター)

ティモフェイ・ボルダチェフ(国立研究大学高等経済学院 教授、ヴァルダイ・ディスカッション・クラブ プログラムディレクター)

 一方、中国側からは以下の専門家が参加する予定である。

 ・Wang Haiyan(華東師範大学ロシア・ユーラシア研究学院 副学長、ロシア研究センター准教授)

  Fu Ying(中国外交部副部長 2010–2013)

  Gao Fei(浙江樹人学院ベラルーシ研究センター 特別教授、外交学院副学長)

 Ding Jie(現代中国・世界研究院 国際関係センター 所長)

 Xing Guangcheng(中国国境問題研究所 所長)

 Li Yongquan(中国国務院発展研究センター ユーラシア社会発展研究所 所長)

 本会議は、ロシアと中国の戦略的対話を深化させるとともに、ユーラシア地域における協力の新たな枠組みを構築するための重要な場となる。

【詳細】

 2025年3月31日から4月1日にかけて、上海で開催されるロシア・中国会議は、ヴァルダイ・ディスカッション・クラブと華東師範大学ロシア研究センターの共同主催で行われる。テーマは「共同発展の空間:グローバルおよびユーラシアの次元」であり、ロシアと中国の専門家が集まり、両国の協力を強化し、ユーラシア地域と世界の課題について議論することを目的としている。

 会議の背景と目的

 ヴァルダイ・ディスカッション・クラブと華東師範大学ロシア研究センターは、15年間にわたり高いレベルでの協力を維持してきた。これらの組織は、ロシアと中国の間での専門家対話の形成に重要な役割を果たしており、双方の協力を促進してきた。会議の主要な目標は、グローバル、地域、および二国間の課題に対処し、ロシアと中国の社会が将来の挑戦に備えるための知見を交換することにある。

 ロシア・中国関係の現状

 ロシアと中国の関係は近年、前例のないほど強化されており、政治的な交流の頻度がその証拠である。2024年には両国の首脳が3回、政府首脳も2回会談を行った。経済的な協力も急速に進展しており、貿易額は2024年末に2448億ドルに達した。この貿易額は過去最高であり、両国の指導者は貿易額を2500億ドルに増加させるという目標を掲げており、この目標は近い将来達成される見込みである。

 また、ロシアと中国は、ウクライナ危機や中東情勢、保護主義の台頭、国際機関の機能不全といった重大な国際問題において共通の立場を取っており、BRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)や上海協力機構(SCO)などの国際枠組みの中で協力を強化している。これらの枠組みは、発展途上国の提案を実行するための重要なプラットフォームとして機能しており、ロシアと中国はその推進役となっている。

 多極化する国際秩序の中でのロシア・中国の役割

 現在、国際秩序は多極化が進行しており、ロシアと中国はその中心的な役割を果たすとともに、国際関係の民主化に向けた取り組みを進めている。両国は、より公正で合理的な世界秩序の構築を目指している。この新たな国際秩序の中で、ユーラシアは重要な位置を占める地域であり、ロシアと中国は、この地域における共同発展を加速させる役割を担っている。

 ユーラシア地域では、「大ユーラシア構想」や「共通運命共同体」などのイニシアチブが進行中であり、これらはロシアと中国の協力によって大きく形作られている。この協力により、ユーラシアはロシア、中国、その他の発展途上国にとって重要な発展の場となっている。

 会議の内容と議論されるテーマ

 会議は2日間にわたり、以下の主要なテーマを議論するセッションが開催される。

 1.ロシアと中国:多極化する世界における戦略的パートナーシップ
このセッションでは、ロシアと中国の戦略的パートナーシップの現状と、国際的な多極化が進む中での両国の役割について議論される。

 2.ユーラシアにおけるグローバルおよび地域的課題
ユーラシア地域における主要な課題—例えば経済的な発展、地政学的な緊張、環境問題など—が取り上げられる。

 3.二国間協力の有望分野:ユーラシアにおける大規模プロジェクト、人工知能、新たな決済メカニズム
両国の協力が進む分野、特にインフラ、人工知能、デジタル通貨や新しい決済システムなどの分野に焦点を当てた議論が行われる。

 4.国際機関と国際法の未来
現在の国際機関や国際法の枠組みが抱える課題と、それらをどのように改善し、未来に対応させるかについて議論される。

 参加者と専門家

 会議には、ロシア側と中国側の両方から多くの著名な専門家が参加する。ロシア側からは、国立研究大学高等経済学院の学者やヴァルダイ・ディスカッション・クラブの研究者、ロシア科学アカデミーの研究者などが参加し、経済、国際関係、地域問題についての議論を行う。中国側からは、華東師範大学の専門家や元外交官が参加し、中国の視点からの意見が提供される。

 結論と今後の展望

 この会議は、ロシアと中国の協力をさらに深め、ユーラシア地域における共同発展のための新たなアイデアや戦略を生み出すことを目指している。また、両国がどのようにして国際秩序の多極化を推進し、発展途上国の利益を守るかについての議論が重要な位置を占める。この会議を契機に、ロシア・中国の戦略的パートナーシップが一層強化されることが期待されている。

【要点】 

 ・開催日時・場所

 2025年3月31日~4月1日、上海で開催されるロシア・中国会議

 ・主催者

 ヴァルダイ・ディスカッション・クラブ、華東師範大学ロシア研究センター

 ・会議のテーマ

 「共同発展の空間:グローバルおよびユーラシアの次元」

 ・目的

 ロシアと中国の協力を強化し、グローバル、地域、および二国間の課題に対する解決策を議論 ロシアと中国の社会が将来の挑戦に備えるための知見を交換

 ・背景

  ⇨ ロシアと中国の関係は急速に強化され、貿易額は2024年に2448億ドルに達する

  ⇨ 両国はウクライナ危機や中東情勢など、重要な国際問題で共通の立場を取っている

  ⇨ BRICSやSCOなどで協力し、発展途上国の提案を実行

 ・会議の主要テーマ

 (1)ロシアと中国の戦略的パートナーシップ: 多極化する世界での役割

 (2)ユーラシアの課題: 経済発展、地政学的緊張、環境問題

 (3)二国間協力の分野: インフラ、大規模プロジェクト、人工知能、新しい決済システム

(4)国際機関と国際法の未来: 現在の課題と改善策

 ・参加者

  ⇨ ロシア側: 高等経済学院、ヴァルダイ・ディスカッション・クラブ、ロシア科学アカデミーの専門家

  ⇨ 中国側: 華東師範大学の専門家、元外交官など

 ・期待される成果

  ⇨ ロシアと中国の協力強化

  ⇨ ユーラシア地域の共同発展に向けた新たな戦略やアイデアの提案

  ⇨ 国際秩序の多極化を推進し、発展途上国の利益を守るための議論

【参考】

 ☞ ヴァルダイ・ディスカッション・クラブ(Valdai Discussion Club)は、ロシアの政治、経済、国際関係に関する重要な問題を議論するために設立された国際的なシンクタンクである。このクラブは、2004年に設立され、ロシアおよび世界中の専門家、学者、外交官、政治家などが集まり、国際的な問題について意見を交換する場として機能している。

 主な目的は、ロシアの外交政策と国際関係に関する深い議論を提供し、ロシアとその他の国々、特に主要なパートナー国との関係に対する理解を深めることである。ヴァルダイ・ディスカッション・クラブは、年に一度の会議を開催することが多く、特にロシアの高官や国際的なリーダーが参加する場として知られている。

 クラブの活動は、以下のような特徴を持っている。

 ・国際的な会議: 毎年、ロシア国内外の専門家が集まり、グローバルな問題やロシアの外交政策について議論する。

 ・広範なテーマ: 世界政治、経済、地政学、エネルギー問題、国際法、環境問題など、幅広い分野を対象とした議論が行われる。

 ・参加者: 政府関係者、学者、専門家、ジャーナリスト、外交官などが参加し、意見交換が行われる。

 ・ロシアとの関係強化: ロシアの外交戦略や国際的な役割を理解するための重要な情報源となっており、特にロシア政府の見解に影響を与えることがある。

 ヴァルダイ・ディスカッション・クラブは、ロシアが国際的な舞台での地位を強化するために重要な役割を果たしており、ロシアの外交政策に対する理解を深め、国際社会との対話を促進している。

 ☞ 「ヴァルダイ(Valdai)」は、ロシアの地域名に由来する言葉で、ロシアの「ヴァルダイ高原(Valdai Hills)」を指す。この高原は、モスクワとサンクトペテルブルクの間に位置し、ヴァルダイ湖を中心に広がっている地域である。

 ヴァルダイという名前は、ヴァルダイ・ディスカッション・クラブの名称において象徴的な意味を持っており、クラブの設立者がこの地域にちなんで名付けた。特に、ヴァルダイ高原は、ロシアの歴史的、文化的背景と結びついており、その名前はロシアの伝統や歴史的な価値観を反映していると考えられている。

 したがって、「ヴァルダイ(Valdai)」は地名であり、ロシアにおける特定の地域を指す言葉であり、ヴァルダイ・ディスカッション・クラブの名称もこの地域に由来している。

【参考はブログ作成者が付記】

【引用・参照・底本】

Russian-Chinese Conference of the Valdai Discussion Club and the Center for Russian Studies at East China Normal University Valdai 2025.03.28
https://www.scmp.com/news/china/diplomacy/article/3304180/eu-trade-commissioner-says-bloc-seeks-deepen-cooperation-china?module=top_story&pgtype=homepage

G1ヒューマノイドロボット:側転やキックアップを成功2025年03月28日 10:49

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【概要】

 中国の浙江省に拠点を置くUnitree Roboticsは、同社のG1ヒューマノイドロボットが側転やキックアップを成功させる映像を公開し、注目を集めている。これは、前年にH1が後方宙返りを披露した際からの大きな進歩である。

 3月19日、UnitreeはG1が直立した状態から側転を行う映像を公開した。同社は「プログラミングや撮影中に一切の故障や損傷が発生しなかった」と強調している。さらに3月22日には、G1が「世界初のキップアップ」、つまり仰向けの状態から素早く起き上がる動作を成功させた映像も公開した。このロボットは回し蹴りや太極拳の動作も可能であり、背後から蹴られてもバランスを維持することができる。

 このUnitree G1の映像公開後、アメリカのBoston DynamicsもAtlasロボットの側転やブレイクダンスの動きを披露する映像を公開した。同社は、これらの動作がRobotics and AI Institute(RAI Institute)との研究協力の一環であると説明している。

 ロボット愛好家の間では、G1とAtlasの特性について議論が交わされている。G1は軽量でコストが低く、機敏な動きが可能である一方で、Atlasはより正確な作業をこなせる実用性を持つと評価されている。Boston Dynamicsは長年の研究開発経験を積み重ねており、その技術的優位性は依然として確立されている。しかし、NvidiaのIsaac Sim技術の進展により、中国とアメリカのヒューマノイドロボット技術の差は縮まりつつある。

 Nvidiaによれば、Isaac Simは同社のOmniverse上で動作するシミュレーションアプリケーションであり、物理ベースの仮想環境でAI駆動のロボットソリューションを開発・テストできる。これにより、ヒューマノイドロボットは人間の動きを模倣する能力を向上させることが可能となる。この技術の最新バージョンを効率的に実行するには、NvidiaのGeForce RTX 4080 GPUが必要である。現在、アメリカ政府はRTX 4090以上のモデルの中国輸出を禁止しているが、RTX 4080は引き続き輸出が許可されている。

 Unitreeは2024年5月に公開した文書で、自社のIsaac Gym(Isaac Simプラットフォーム上のオープンソースアプリケーション)にNvidiaのRTX A4000を使用していることを明らかにした。RTX A4000はRTX 4080より処理速度が遅いとされている。

 一部の中国の論評では、G1の側転がAtlasの側転よりも優れているとの見解が示されている。3月21日にThePaper.cnに掲載された記事では、「UnitreeはすでにBoston Dynamicsを大きく超えている」とする河北省のITコラムニストの意見が紹介された。

 同記事によると、Unitreeの創業者である王星星(ワン・シンシン)は2009年にヒューマノイドロボットの開発を試みたものの、当時は商業化が難しいと判断して断念したという。そのため、同社はロボット犬の開発に注力し、2023年には23,700台を販売し、世界市場の70%を占めた。一方、Boston DynamicsのSpotは2,000台の販売にとどまったとされる。価格面でも、UnitreeのGo2ロボット犬は約10,000元(1,376米ドル)であるのに対し、Boston DynamicsのSpotは75,000米ドルと50倍の価格差がある。

 Unitreeが2023年にヒューマノイドロボットの開発を再開した背景には、AI技術の進歩があると指摘されている。Boston DynamicsはAIの導入が遅れ、従来のアルゴリズムに依存しすぎていたとの批判もある。また、Boston Dynamicsは過去30年間にわたり油圧システムを使用し続けたが、Unitreeは電動モーターを採用し、中国の電子製造業の優位性を活かした開発を進めている。

 Boston Dynamicsは2024年5月に油圧式のAtlasロボットの引退を発表し、新たに全電動式のAtlasを公開した。同社は「Farewell to HD Atlas」という映像を公開し、油圧式ロボットの課題を振り返っている。

 一方、Goldman Sachsの最新レポートでは、Unitreeのロボットはジャンプやダンスなどの動作は得意とするものの、ネジ締めや溶接といった精密作業はまだ苦手であり、産業用途での本格的な導入には5年ほどかかる可能性があると分析している。

 また、中国国内では、元Huaweiの「天才少年」プログラムに参加したPeng Zhihui(ポン・ジーフイ)が共同創業したAgibot(Zhiyuan Robotics)に期待を寄せる声もある。Agibotは2024年12月に二足歩行ロボットA2と、倉庫や工場での作業向けにAI搭載のアームを備えたA2-Wの量産を開始している。

【詳細】

 Unitree Roboticsは、浙江省に本社を構える中国のロボット開発企業で、特にそのヒューマノイドロボットにおける進歩が注目されている。2025年3月19日、同社は自社のG1ヒューマノイドロボットが立った状態から側転を行う映像を公開し、世界中で大きな反響を呼んだ。この映像は、G1ロボットが完全に成功した動作として、故障や損傷が一切発生しなかったことが強調されている。この技術的な成果は、前年のH1ロボットが披露した後方宙返りの成功に続くものであり、ロボット技術の大きな進展を意味する。

 さらにUnitreeは、2025年3月22日、G1が「キップアップ」(仰向けから立ち上がる動作)を初めて成功させる映像を公開した。この動作は、ヒューマノイドロボットにとって非常に難易度が高いものであり、これも大きな技術的進歩と見なされている。加えて、G1は回し蹴りや太極拳の動作を行う能力も持ち、背後から蹴られた際に自らバランスを保つことができる。このような動作の多様性は、ロボットの機敏さと柔軟性を示しており、より複雑な動作をこなす能力を証明している。

 これに対抗して、アメリカのBoston Dynamicsも自社のAtlasロボットの新たな動作を披露した。Atlasは側転やブレイクダンスの動きをする映像を公開したが、これらは同社がRobotics and AI Institute(RAI Institute)との研究協力の一環として行った成果であると述べている。Atlasは技術的に精密な作業を行う能力に優れているとされているが、UnitreeのG1はその軽量さ、低価格、そして機敏さで優れており、両者の特徴には明確な違いがある。

 ロボットファンや専門家の間では、UnitreeのG1とBoston DynamicsのAtlasは、それぞれ異なる強みを持つと評価されている。具体的には、UnitreeのG1は軽量でコストが低いため、より多くの人々にアクセスできるが、精密な作業に関してはAtlasが優れているとされている。また、Boston Dynamicsは数十年にわたるロボット工学の経験を持ち、その技術的優位性が依然として存在しているが、UnitreeはAI技術の進展と中国の電子製造業の利点を活かして急速に追いついてきている。

 特に、NvidiaのIsaac Simという技術がこの進展を加速させているとされている。Isaac Simは、物理的に基づいた仮想環境でAI駆動のロボットソリューションをテスト・シミュレーションするためのプラットフォームであり、これを利用することでヒューマノイドロボットは人間の動きを模倣する能力が高まる。この技術を活用するためには、NvidiaのGeForce RTX 4080 GPUが必要であるが、アメリカ政府はRTX 4090以上のモデルの中国への輸出を禁止している。しかし、RTX 4080は引き続き中国に輸出可能であり、Unitreeはこれを利用して自社の技術をさらに発展させている。

 Unitreeは、2024年5月に自社のIsaac Gymというオープンソースアプリケーションを開発し、そのためにNvidiaのRTX A4000を使用していると報告している。ただし、RTX A4000はRTX 4080よりも処理速度が遅いため、今後さらに技術を進化させるためには、より高性能なGPUの利用が求められる可能性がある。

 また、中国の一部の評論家は、UnitreeのG1が側転を行ったことで、Atlasを超えたとの意見を表明している。河北省のITコラムニストは、「UnitreeはすでにBoston Dynamicsを大きく超えている」と述べ、Unitreeの創業者である王星星(Wang Xingxing)がヒューマノイドロボットの開発を一度は断念したが、AI技術の進展により再開したことに触れ、その決断が正しかったと評価している。王は2009年にヒューマノイドロボットの開発を試みたが、商業化が難しいと判断してロボット犬の開発に転換した。しかし、2023年にAI技術が進化したことで、再びヒューマノイドロボットの開発を始めたという。

 また、Unitreeはロボット犬の分野でも成功を収めており、2023年には23,700台を販売し、世界市場で70%のシェアを獲得した。これに対し、Boston Dynamicsのロボット犬「Spot」は2,000台にとどまり、価格差も非常に大きい。UnitreeのGo2ロボット犬は約10,000元(1,376米ドル)で販売されているが、Spotは75,000米ドルと50倍以上の価格差がある。

 さらに、Unitreeのロボットは電動モーターを採用している点が重要であり、これにより中国の電子製造業の強みを活かした開発が可能となっている。対して、Boston Dynamicsは長年にわたって油圧システムを使用しており、この点が技術的に限界をもたらしていた。2024年5月には、同社は油圧式のAtlasロボットを引退させ、完全電動式の新Atlasを発表した。

 Unitreeのロボットは現在、ジャンプやダンスなどの動作には優れているが、精密作業(例えば、ネジを締める、溶接するなど)にはまだ限界があり、これらの作業を行うためにはさらに数年の技術開発が必要とされている。これにより、Unitreeのロボットの商業化は5年後を見込んでいるが、今後の発展には大きな期待がかかっている。

 さらに、中国国内では、元Huaweiの「天才少年」プログラムに参加していたPeng Zhihui(Peng Zhihui)が共同創業したAgibot(Zhiyuan Robotics)が注目されている。Agibotは2024年12月に、AI搭載の二足歩行ロボットA2や、倉庫や工場で使用されるA2-Wの量産を開始した。このように、中国のロボット産業は急速に成長しており、今後も技術的な進展が期待されている。

【要点】 

 1.Unitree Robotics(浙江省の企業)は、G1ヒューマノイドロボットを開発し、その能力を進化させている。

 ・2025年3月19日、G1が立った状態から側転を成功させた映像を公開。

 ・同年3月22日、G1がキップアップ(仰向けから立ち上がる動作)を成功させた映像も公開。

 ・回し蹴りや太極拳の動作も可能で、背後から蹴られてもバランスを保つことができる。

 2.Boston Dynamicsは、Atlasロボットの新しい動作(側転やブレイクダンス)を公開。

 ・Atlasは精密な作業能力に優れており、UnitreeのG1と比較される。

 ・両者の強み:G1は軽量、安価、機敏、Atlasは精密な作業が得意。

 3.技術的な進展

 ・NvidiaのIsaac Simを利用して、AI技術を活かしたロボット開発が進んでいる。

 ・UnitreeはNvidiaのRTX A4000を使用して開発しており、RTX 4080に匹敵する性能を活かしている。

 4.Unitreeの成長

 ・2023年、ロボット犬Go2の販売が好調で、23,700台を販売し、世界市場で70%のシェアを獲得。

 ・Go2は1万人民元(約1,376米ドル)で販売され、Boston DynamicsのSpot(価格75,000米ドル)と比較して安価。

 5.技術の違い

 ・Unitreeは電動モーターを使用し、中国の電子製造業を活かした開発を行っている。

 ・Boston Dynamicsは長年油圧システムを使用しており、2024年に電動式Atlasを発表。

 ・ロボットの商業化

 ・Unitreeのロボットはジャンプやダンスが得意だが、精密作業(ネジ締め、溶接など)には限界があり、商業化には5年後が予想される。

 6.Agibotの登場

 ・Agibot(Zhiyuan Robotics)は、元HuaweiのPeng Zhihuiが共同創業し、AI搭載のA2やA2-Wロボットを量産。

 ・A2は倉庫や工場向けのロボットで、今後のロボット市場における新たなプレイヤーとして注目されている。

【引用・参照・底本】

Unitree’s humanoid robot a great side-flip forward for China ASIA TIMES 2025.03.27
https://asiatimes.com/2025/03/unitrees-humanoid-robot-a-great-side-flip-forward-for-china/?utm_source=The+Daily+Report&utm_campaign=259963eb9a-DAILY_27_03_2025&utm_medium=email&utm_term=0_1f8bca137f-259963eb9a-16242795&mc_cid=259963eb9a&mc_eid=69a7d1ef3c

沖縄に本部を置く「南西諸島共同タスクフォース」を創設2025年03月28日 11:18

Microsoft Designerで作成
【桃源寸評】

 <豚もおだてりゃ木に登る>、そして<猿も木から落ちる>か。

 さらに、"The cat does not think of being beaten when it sees milk"、気を付けよう、日本。

 中国と代理戦争に駆り出される"バカ"にはなるな。ウクライナを観よ!

【寸評 完】

【概要】

 2025年3月27日、グラント・ニューシャムによる記事では、アメリカ合衆国国防長官ピート・ヘグセスが日本を訪問することについて述べている。この訪問は、アメリカと日本の同盟関係を再確認するだけの形式的な会談に終わらせるべきではなく、実際にアメリカと日本が戦闘力を向上させるために何を達成したいのかを明確に示すべきだと強調している。ヘグセス長官は、米軍が日本に求めている具体的な要求を持ち帰るべきであり、それはおそらくインド太平洋軍(USINDOPACOM)から提供されるべきであるとされている。

 アメリカの友人が日本側に対して厳しい真実を伝えることを求めている中で、ヘグセス長官も日本に対して同様に意見を述べる必要がある。過去25年間の両国の協力は、中国人民解放軍(PLA)の急速な軍事拡張に追いついておらず、PLAは現在、台湾東方や日本南部で航空母艦を運用し、沖縄周辺で威圧的な行動を強化している。

 ヘグセス長官には、これまでの「演習中心」の協力から一歩進んだ実戦的な共同軍事力を構築するための提案が求められている。具体的には、沖縄に本部を置く「南西諸島共同タスクフォース」を創設し、米軍と自衛隊が連携して南西諸島を守る任務を果たすという案が挙げられている。このタスクフォースは、定期的な演習や巡回を行い、中国やロシアの侵入に対抗する役割を果たすことが期待されている。

 また、2006年に締結された「防衛政策見直しイニシアティブ(DPRI)」の再検討も求められている。DPRIは、沖縄に駐留する米軍が日本にとっての負担であるとの理由から、米軍の一部をグアムやハワイなどに移転させることを目的としていた。しかし、現在の中国の脅威の増大を鑑みると、この政策は再考の余地があると指摘されている。

 最終的に、ヘグセス長官は日本に対して率直に必要な支援を伝え、逆に日本もアメリカに対して自国の要求を明確にする必要がある。両国が共に戦うためには、形式的な友好関係ではなく、実際に協力して戦闘力を高めるための具体的な取り組みが求められている。

【詳細】

 アメリカ合衆国の国防長官ピート・ヘグセスが日本を訪問する際に必要な具体的な行動と提案について詳細に述べている。記事の主な焦点は、アメリカと日本の防衛協力を進化させ、現代の中国やロシアの脅威に対応するために、両国の関係をただの形式的なものに終わらせるべきではないという点にある。

 1. 米日同盟の実質的な強化

 ヘグセス長官が日本を訪問する際、単なる親善訪問で終わるのではなく、アメリカと日本が共に戦闘能力を向上させるためにどのような具体的な成果を上げるかが問われている。日本との関係が「岩のように堅固である」と再確認するだけでなく、実際に日本の防衛力とアメリカ軍の協力体制を強化する必要があると強調されている。

 特に、アメリカのインド太平洋軍(USINDOPACOM)が、日本側に何を求めているか、つまり、日本の防衛体制をどのように強化できるかについて明確なリストを持っていくべきだと述べられている。このリストには、日本の防衛力を向上させるために米軍が何を期待しているのかが具体的に記載されている必要がある。

 2. 日本に対して率直な要求をすること

 ヘグセス長官は、日本側に対しても率直に要求を伝えるべきだと述べている。過去には、アメリカは日本に対して遠慮しがちな姿勢を取ることがあったが、現在の中国やロシアの脅威の増大に対しては、そんな配慮は意味をなさない。この記事では、元日本の首相田中角栄の言葉が引用されており、アメリカは日本に対して必要なことをはっきりと伝えるべきだというメッセージが強調されている。

 さらに、最近の日本の高官からも「アメリカの友人は、私たちが間違っていることを教えてくれる」という言葉が紹介されており、アメリカは日本に対しても改善点を指摘し、協力関係を深めるための具体的な提案をする必要があると述べられている。

 3. 演習ではなく実際の戦闘力の構築

 この記事では、日米の防衛協力がこれまで主に「演習」の形で行われてきたことが問題視されている。定期的な演習は、表面的には協力を示すものの、実際の戦闘における効果的な対応能力を高めるものではないと指摘されている。実際に有効な協力関係を築くためには、日米の軍が共同で戦闘準備を整える「常設の共同任務部隊」を編成することが提案されている。

 具体的には、「南西諸島共同タスクフォース」の設立が提案されている。これは、沖縄を拠点にした、米軍と自衛隊が共同で運営するタスクフォースであり、南西諸島の防衛を目的とする。この地域は、中国による領土的な圧力が強まっており、実戦的な防衛態勢が求められている。このタスクフォースは、定期的な演習にとどまらず、実際に防衛任務を遂行する能力を持つことが求められている。

 4. DPRI(防衛政策見直しイニシアティブ)の再考

 次に取り上げられているのは、2006年に合意された「防衛政策見直しイニシアティブ(DPRI)」に関する問題である。DPRIは、沖縄に駐留する米軍が日本に対する負担となっているという理由で、多くの米軍部隊を日本から移転させることを目的としていた。しかし、当時は中国を大きな脅威と見なしていなかったため、この政策は今の中国の急速な軍事拡張を前提にしたものではない。

 現在、PLA(人民解放軍)の脅威が増大し、沖縄からの米軍撤退が日本の防衛に対する不安を生んでいるため、DPRIの再検討が強く求められている。特に、グアムへの米軍移転が進んでいるものの、アメリカの海兵隊はそのままでは必要な任務を遂行できないと懸念しており、DPRIの実施がアメリカ軍の戦力に支障をきたす可能性がある。

 5. 日本との真剣な協力

 ヘグセス長官が日本を訪れる理由は、単なる形式的な外交的関係の確認ではなく、日米が実際に戦闘能力を高めるためにどのような措置を講じるかを具体的に話し合い、実行に移すことにある。両国が真剣に協力し合い、演習や交流だけでなく、実際の戦闘任務に備えるための準備を進めることが求められている。

 最終的に、この記事は日米関係を強化するためには、言葉だけでなく実際の行動が必要であり、両国が共に戦うための準備を進めるべきだというメッセージを伝えている。

【要点】 

 ・実質的な防衛協力の強化: ヘグセス長官は、形式的な会談に終わることなく、米日同盟を実際に強化するための具体的な成果を上げるべきだと述べられている。両国の戦闘能力を向上させる具体的な方法を検討する必要がある。

 ・率直な要求の伝達: 日本に対して必要なことをはっきりと伝え、遠慮せずに要求をするべきだ。過去のような配慮ではなく、今の中国やロシアの脅威に対応するためには、実際に必要な協力を求める必要がある。

 ・演習ではなく実戦準備: 日米の防衛協力はこれまで主に演習にとどまっており、実際の戦闘に備えるためには、「常設の共同任務部隊」の設立が必要と提案されている。具体的には、沖縄を拠点にした「南西諸島共同タスクフォース」の設立が提案されている。

 ・DPRIの再考: 2006年の防衛政策見直しイニシアティブ(DPRI)で進められた米軍撤退計画は、当時の中国の脅威を考慮していなかった。現在、PLAの脅威が増大しており、DPRIを再考するべきだという主張がなされている。

 ・真剣な協力と準備: ヘグセス長官は、日米が真剣に協力し合い、実際の戦闘任務に備える準備を進める必要があると強調されている。形式的な外交関係の確認に終わるのではなく、実行可能な協力を進めるべきだというメッセージが伝えられている。

【引用・参照・底本】

Secretary of Defense Pete Hegseth needs a to-do list for Japan ASIA TIMES 2025.03.27
https://asiatimes.com/2025/03/secretary-of-defense-pete-hegseth-needs-a-to-do-list-for-japan/?utm_source=The+Daily+Report&utm_campaign=259963eb9a-DAILY_27_03_2025&utm_medium=email&utm_term=0_1f8bca137f-259963eb9a-16242795&mc_cid=259963eb9a&mc_eid=69a7d1ef3c