英国が中国との関係を断ち切ることは「非常に愚かなこと」2025年04月20日 21:23

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【概要】

 英国の財務大臣レイチェル・リーブスは、2025年4月18日(金)に英紙『テレグラフ』のインタビューにおいて、英国が中国との関係を断ち切ることは「非常に愚かなこと」であると述べ、経済協力の継続の重要性を強調した。

 リーブス大臣は、中国との関係強化を支持する立場を明確にし、新たな障壁を築くのではなく、連携を深めるべきであると述べた。彼女は「中国は世界第2位の経済大国であり、関与しないことは非常に愚かなことであると考える。これが本政府の方針である」と語った。これは、彼女が来週予定しているワシントン訪問を前にした発言である。

 また、彼女は今年初めに行われた訪中についても言及し、HSBC、ロンドン証券取引所グループ、スタンダードチャータード、プルデンシャルといった英国の主要金融サービス企業とともに第11回中英経済財政対話に参加したことを明らかにした。その訪問は、英国企業が中国市場でより多くのライセンスや割当枠を得て事業展開を拡大できるよう支援することを目的としていた。リーブス大臣によれば、その訪中の成果は英国経済に対しておよそ6億ポンド(約7億9,593万米ドル)の価値をもたらしたという。

 さらに彼女は、中国のファストファッション企業「Shein(シーイン)」がロンドン証券取引所に上場することを支持していると述べたほか、いわゆる「スパイ行為に関する懸念」がある中でも、中国製の電気自動車に喜んで乗ると発言した。

 『テレグラフ』によれば、リーブス大臣のこれらの発言は、キア・スターマー首相が主導する現政権が中国との貿易・金融関係の深化に引き続き注力していることを示すものである。

【詳細】

 2025年4月18日、英国財務大臣レイチェル・リーブスは英紙『テレグラフ』のインタビューに応じ、英国が中国との経済的な関係を断絶することについて、「非常に愚かなこと(very foolish)」であると明言した。リーブス大臣は、中国との関係において対立や切り離しではなく、関与と協力の継続が望ましいという明確な立場を示している。

 リーブス大臣は発言の中で、中国が「世界第2位の経済大国」であることに触れ、そのような重要な経済パートナーとの関係を断つことは英国の国益に反すると述べた。さらに、「関与しないという選択肢は政府として取るべきではない」とし、スターマー政権の外交・経済政策の基本的な姿勢として、中国との協力関係の維持と深化が位置づけられていることを示唆した。

 この発言は、リーブス大臣が来週予定している米ワシントンへの公式訪問に先立ってなされたものであり、英国政府の対外経済方針をあらためて国内外に示す狙いがあると見られる。

 また、リーブス大臣は今年初めに中国を訪問し、第11回中英経済財政対話(China-UK Economic and Financial Dialogue)に参加した。そこには、HSBC、ロンドン証券取引所グループ、スタンダードチャータード銀行、プルデンシャルといった英国の代表的金融機関も同行しており、政府と民間が連携して中国市場へのアクセス拡大を模索したことがうかがえる。

 この訪問の目的は、英国の金融サービス企業が中国で事業展開する上で必要となるライセンス(営業許可)やクォータ(事業枠)の取得を促進し、規制の緩和を引き出すことであった。リーブス大臣は、この対話により約6億ポンド(日本円換算でおよそ1,200億円規模、米ドル換算で約7億9,593万ドル)相当の経済的利益が英国にもたらされる見込みであると述べた。

 さらに、リーブス大臣は中国の大手ファストファッション企業「Shein(シーイン)」がロンドン証券取引所に上場することへの支持を表明した。これは、国際的な企業の誘致によってロンドン市場の競争力を強化する意図を示すものである。また、いわゆる「中国製電気自動車に対するスパイ行為の懸念」に対しても、彼女は「中国製のEVに喜んで乗る」と述べ、冷静かつ現実的な姿勢を取っている。

 『テレグラフ』紙によれば、これら一連の発言は、キア・スターマー政権が中国との経済・金融関係を戦略的に深化させる方針を継続していることを裏付けるものである。このような姿勢は、イデオロギー的対立よりも実利を優先する現実主義的外交アプローチの一環と位置づけられる。

 このように、リーブス大臣の発言は、英国が中国との関係を「切る」のではなく、むしろ積極的に「結ぶ」ことで国益を追求しようとする政策の延長線上にあるものである。
 
【要点】

 ・英国財務大臣レイチェル・リーブスは、『テレグラフ』紙のインタビューで、英国が中国との関係を断つことは「非常に愚かなこと(very foolish)」であると発言した。

 ・彼女は「中国は世界第2位の経済大国であり、関与しないのは賢明ではない」と述べ、現政権の基本方針として関与と協力の姿勢を強調した。

 ・この発言は、リーブス大臣が翌週予定しているワシントン訪問に先立ち、英国の対外経済政策を明確に示す意図があるとみられる。

 ・彼女は今年初めに中国を訪問し、第11回中英経済財政対話に参加した。

 ・同対話には、HSBC、ロンドン証券取引所グループ、スタンダードチャータード、プルデンシャルといった英国の主要金融機関が同行した。

 ・この訪問の目的は、英国の金融サービス企業が中国市場でより多くのライセンスやクォータを取得し、事業活動を拡大するための支援であった。

 ・訪問の成果として、リーブス大臣は約6億ポンド(約7億9,593万米ドル)規模の経済効果が期待されると述べた。

 ・リーブス大臣は、中国のファストファッション企業「Shein(シーイン)」のロンドン証券取引所上場を支持している。

 ・「Shein」の上場支持は、ロンドン市場の国際競争力を高める戦略の一環であるとみられる。

 ・中国製の電気自動車に対して一部に存在する「スパイ行為の懸念」に関して、リーブス大臣は「喜んで乗る」と述べた。

 ・この姿勢は、過度な警戒よりも現実的・実利的判断を優先するものである。

 ・『テレグラフ』は、これらの発言を、キア・スターマー首相の指導のもと、英国政府が中国との貿易・金融関係を深める政策を継続している証左として報じた。

 ・以上のように、リーブス大臣の発言および行動は、中国との経済的関与を強化し、英国の国益に資する協力体制を維持・拡大しようとする政府の姿勢を明確に示すものである。

【引用・参照・底本】

Cutting ties with China would be "very foolish," says British chancellor GT 2025.04.19
https://www.globaltimes.cn/page/202504/1332427.shtml

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