パハールガーム地区で発生したテロ事件 ― 2025年04月28日 00:02
【概要】
2025年4月22日にインドのジャム・カシミール連邦直轄領パハールガーム地区で発生したテロ事件において、26人のヒンドゥー教徒観光客が殺害された。これにより、インドとパキスタン間で新たな緊張が生じた。インドは、カシミールにおける分離主義武装勢力に対するパキスタンの従来からの支援を背景に、今回の攻撃へのパキスタンの関与を非難した。
パキスタン政府はインド側の非難を否定したが、パキスタンの要人が2つの相互に矛盾する発言を行ったため、注目を集めた。1つ目は、イシャク・ダール副首相兼外相の発言であり、同氏は「4月22日にジャム・カシミールのパハールガーム地区で攻撃を行った者たちは、自由の闘士(freedom fighters)である可能性がある」と述べた。記事によれば、観光客を宗教的理由で標的にして殺害する行為は、一般的にテロ行為と見なされるものであり、解放運動に携わる自由の闘士がとるべき行動ではないと指摘されている。
本来、真正な自由の闘士は軍事目標のみを攻撃対象とし、民間人を標的にするべきではないとされる。民間人を標的とする行為は、原因となる問題の解決に資するどころか、さらなる暴力の連鎖と地域の不安定化を招く恐れがある。過去において、自称自由の闘士たちが民間人を攻撃した例は存在するが、それらは民族浄化や報復攻撃を誘発することを目的としたものであり、自由の達成とは無関係であったとされる。
2つ目は、カワジャ・アスィフ国防相の発言である。同氏はアルジャジーラに対して、今回の事件は「偽旗作戦(false flag operation)」の可能性があると主張した。偽旗作戦とは、攻撃対象となった国自身が自らに対して攻撃を仕掛けたか、あるいは事前に攻撃を察知していながらそれを故意に見逃したとする陰謀論的な主張である。
記事によれば、インドが自国の民間人を標的にしたテロ攻撃を自作自演する動機は考えにくいとされる。今回の攻撃により、パハールガーム地区の観光業界に深刻な打撃が生じ、ホテル予約や観光のキャンセルが相次ぎ、地域経済への悪影響が懸念されている。さらに、地元住民の失業と貧困が増大すれば、過激派組織に参加する者が出る可能性もある。また、インド経済全体への外国投資家の信頼が損なわれる懸念や、大規模な戦争に発展するリスクも存在するため、インド側が故意にこうした事態を引き起こす合理的理由はないとされる。
イシャク・ダール外相の発言は、犯行を容認するかのような趣旨であり、カワジャ・アスィフ国防相の発言は犯行をインド側の仕業とする趣旨であった。この2つの主張は論理的に両立せず、記事はこれを指摘している。また、パキスタン政府高官たちが矛盾した説明をしている事実は、彼らの側に何らかの隠蔽意図があるのではないかとの疑念を生じさせる要因となっていると記事は述べている。
【詳細】
2025年4月22日、インドのジャム・カシミール連邦直轄領パハールガーム地区で、観光に訪れていたヒンドゥー教徒を標的としたテロ事件が発生し、26人が殺害された。この事件により、インドとパキスタンの間の緊張が一層高まった。インドは、伝統的にカシミール地方の分離主義過激派を支援してきたとするパキスタンに対して、今回の攻撃への関与を非難した。
この非難に対して、パキスタン政府は予想通り否定の立場を取ったが、注目すべきは、パキスタン政府の要人2名が互いに矛盾する発言を行った点である。これらの発言は、事件に対するパキスタン側の姿勢や説明に一貫性を欠くものとして、記事において分析されている。
まず、イシャク・ダール副首相兼外相は、「4月22日にジャム・カシミールのパハールガーム地区で発生した攻撃を行った者たちは、自由の闘士(freedom fighters)である可能性がある」と述べた。この発言は、一般的に国際社会が受け入れている「自由の闘士」と「テロリスト」の区別に照らして問題があるとされる。
真正な自由の闘士とは、軍事目標のみを攻撃対象とし、民間人に対して武力行使を行わない者たちを指す。民間人を標的とする行為は、政治的・道徳的正統性を失墜させ、逆に自由闘争の大義そのものを損なう結果を招くとされる。過去においても、ある勢力が民間人に対する暴力を行った例は存在するが、それは往々にして民族浄化を目的としたものであり、あるいは治安機関や一般住民による報復を誘発し、暴力の連鎖を生み出すことを狙ったものであった。
このような戦術は、紛争地域にさらなる混乱と不安定化をもたらし、結果的に国家機能を麻痺させる意図を持つ場合が多い。しかし、そうした行為は国際的にはテロリズムと認識され、自由闘争の正当性を損なうため、現在では多くの本物の解放運動において忌避されていると記事は指摘している。
次に、カワジャ・アスィフ国防相は、アルジャジーラの取材に対し、今回の事件について「偽旗作戦(false flag operation)」の可能性があるとの見解を示した。「偽旗作戦」とは、ある国が自己の利益のために自国民を標的にして攻撃を行ったとするものであり、陰謀論的な主張とされる。
インドが自らこのような惨事を引き起こす合理的な理由は存在しないとされる。第一に、パハールガーム地区は観光地としての再生を目指し、インド政府が長年にわたり多大な努力と資金を投入してきた地域である。今回の事件により、観光業界は大きな打撃を受け、ホテル予約や旅行計画のキャンセルが相次ぎ、地域経済の停滞が懸念されている。
第二に、観光収入の減少によって地元住民の生活が悪化し、失業者や貧困層が増加すれば、社会的混乱が拡大し、過激派組織へのリクルート活動が容易になる可能性がある。インド政府にとっては、地域の安定と経済発展こそが優先課題であり、自らそれを損なう動機は存在しないとされる。
第三に、今回のような事件による印パ間の緊張激化は、インド経済全体にも悪影響を及ぼす可能性がある。特に、外国からの直接投資(FDI)の減少や、国際市場におけるインド経済への信頼低下といったリスクが想定される。また、最悪の場合には、偶発的な軍事衝突が大規模な戦争に発展する恐れもあり、これはインドが目指す「大国化路線」にとって重大な障害となる。
以上を踏まえると、インドが自作自演でこのような事件を引き起こすという仮説は、戦略的合理性を欠くと記事は述べている。
最後に、イシャク・ダール外相とカワジャ・アスィフ国防相の発言内容は、互いに矛盾している。前者は、犯行者が自由の闘士である可能性を示唆し、間接的に事件を肯定する立場を取っているのに対し、後者は、インド側が偽旗作戦を行ったとする、犯行に対する否定的立場を取っている。これら2つの立場は論理的に両立せず、記事はこの矛盾に注目している。
さらに、パキスタン政府の要人たちがこのように一貫性を欠いた説明をしている事実は、彼らが自国側の関与を隠そうとしている可能性を示唆するものと記事は指摘している。
【要点】
1.パハールガーム事件の概要
・発生日時・場所
⇨ 2025年4月22日、インド・ジャム・カシミール連邦直轄領パハールガーム地区
・事件内容
⇨ ヒンドゥー教徒の観光客26人が殺害されたテロ事件
⇨ 宗教を理由に標的とした襲撃であり、インドとパキスタンの緊張が再び高まる要因となった
2.インド側の主張
・パキスタンへの非難
⇨ パキスタンが従来からカシミールの分離主義武装勢力を支援していることから、事件への関与を指摘
・パキスタン政府の反応
⇨ インド側の非難を否定
3.パキスタン要人による矛盾した発言
・イシャク・ダール副首相兼外相の発言
⇨ 「攻撃者は自由の闘士(freedom fighters)である可能性がある」と発言
⇨ 観光客への攻撃はテロ行為であり、自由の闘士の定義から逸脱
⇨ 民間人攻撃は暴力の連鎖や地域不安定化を招く手法であり、正当な解放運動とは異なる
・カワジャ・アスィフ国防相の発言
⇨ 「偽旗作戦(false flag operation)」の可能性に言及
⇨ インドが自国民を標的にした攻撃を自作自演したとする陰謀論的主張
⇨ 記事では戦略的合理性が欠如していると分析
4.「自由の闘士」と「テロリスト」の区別
・自由の闘士の特徴
⇨ 軍事目標を攻撃対象とし、民間人を標的にしない
⇨ 解放運動の正統性を維持するため、民間人攻撃を忌避
・民間人攻撃の目的・影響
⇨ 民族浄化や報復誘発による暴力の連鎖
⇨ 地域のさらなる不安定化と国家機能の麻痺
⇨ 解放運動の正当性喪失
5.偽旗作戦説の非合理性
・地域への悪影響
⇨ パハールガーム地区の観光業への甚大な打撃
⇨ ホテル予約や観光計画のキャンセルによる経済停滞
⇨ 地元住民の失業・貧困増加に伴う過激派へのリクルートリスク
・国家的リスク
⇨ 外国直接投資(FDI)の減少や経済信頼の低下
⇨ 印パ間の緊張激化による大規模戦争のリスク
⇨ インドの「大国化路線」への障害
6.矛盾点とその意味合い
・矛盾する発言内容
⇨ ダール外相:犯行を「自由の闘士」として容認する趣旨
⇨ アスィフ国防相:犯行をインドの偽旗作戦とする否定的趣旨
・論理的不整合
⇨ 両者の主張は相互に排他的であり、両立しない
・記事の指摘
⇨ パキスタン政府の説明に一貫性が欠けることから、関与を隠そうとする意図の可能性に言及
まとめ
・パハールガーム事件はインド・パキスタン間の緊張を再燃させた
・パキスタン要人の発言は互いに矛盾し、説明の一貫性を欠く
・これらの矛盾がパキスタン側の関与隠蔽の疑念を生じさせる要因と分析されている
【引用・参照・底本】
Top Pakistani Officials Made Two Self-Discrediting Claims About The Pahalgam Terrorist Attack Andrew Korybko's Newsletter 2025.04.25
https://korybko.substack.com/p/top-pakistani-officials-made-two?utm_source=post-email-title&publication_id=835783&post_id=162118471&utm_campaign=email-post-title&isFreemail=true&r=2gkj&triedRedirect=true&utm_medium=email
2025年4月22日にインドのジャム・カシミール連邦直轄領パハールガーム地区で発生したテロ事件において、26人のヒンドゥー教徒観光客が殺害された。これにより、インドとパキスタン間で新たな緊張が生じた。インドは、カシミールにおける分離主義武装勢力に対するパキスタンの従来からの支援を背景に、今回の攻撃へのパキスタンの関与を非難した。
パキスタン政府はインド側の非難を否定したが、パキスタンの要人が2つの相互に矛盾する発言を行ったため、注目を集めた。1つ目は、イシャク・ダール副首相兼外相の発言であり、同氏は「4月22日にジャム・カシミールのパハールガーム地区で攻撃を行った者たちは、自由の闘士(freedom fighters)である可能性がある」と述べた。記事によれば、観光客を宗教的理由で標的にして殺害する行為は、一般的にテロ行為と見なされるものであり、解放運動に携わる自由の闘士がとるべき行動ではないと指摘されている。
本来、真正な自由の闘士は軍事目標のみを攻撃対象とし、民間人を標的にするべきではないとされる。民間人を標的とする行為は、原因となる問題の解決に資するどころか、さらなる暴力の連鎖と地域の不安定化を招く恐れがある。過去において、自称自由の闘士たちが民間人を攻撃した例は存在するが、それらは民族浄化や報復攻撃を誘発することを目的としたものであり、自由の達成とは無関係であったとされる。
2つ目は、カワジャ・アスィフ国防相の発言である。同氏はアルジャジーラに対して、今回の事件は「偽旗作戦(false flag operation)」の可能性があると主張した。偽旗作戦とは、攻撃対象となった国自身が自らに対して攻撃を仕掛けたか、あるいは事前に攻撃を察知していながらそれを故意に見逃したとする陰謀論的な主張である。
記事によれば、インドが自国の民間人を標的にしたテロ攻撃を自作自演する動機は考えにくいとされる。今回の攻撃により、パハールガーム地区の観光業界に深刻な打撃が生じ、ホテル予約や観光のキャンセルが相次ぎ、地域経済への悪影響が懸念されている。さらに、地元住民の失業と貧困が増大すれば、過激派組織に参加する者が出る可能性もある。また、インド経済全体への外国投資家の信頼が損なわれる懸念や、大規模な戦争に発展するリスクも存在するため、インド側が故意にこうした事態を引き起こす合理的理由はないとされる。
イシャク・ダール外相の発言は、犯行を容認するかのような趣旨であり、カワジャ・アスィフ国防相の発言は犯行をインド側の仕業とする趣旨であった。この2つの主張は論理的に両立せず、記事はこれを指摘している。また、パキスタン政府高官たちが矛盾した説明をしている事実は、彼らの側に何らかの隠蔽意図があるのではないかとの疑念を生じさせる要因となっていると記事は述べている。
【詳細】
2025年4月22日、インドのジャム・カシミール連邦直轄領パハールガーム地区で、観光に訪れていたヒンドゥー教徒を標的としたテロ事件が発生し、26人が殺害された。この事件により、インドとパキスタンの間の緊張が一層高まった。インドは、伝統的にカシミール地方の分離主義過激派を支援してきたとするパキスタンに対して、今回の攻撃への関与を非難した。
この非難に対して、パキスタン政府は予想通り否定の立場を取ったが、注目すべきは、パキスタン政府の要人2名が互いに矛盾する発言を行った点である。これらの発言は、事件に対するパキスタン側の姿勢や説明に一貫性を欠くものとして、記事において分析されている。
まず、イシャク・ダール副首相兼外相は、「4月22日にジャム・カシミールのパハールガーム地区で発生した攻撃を行った者たちは、自由の闘士(freedom fighters)である可能性がある」と述べた。この発言は、一般的に国際社会が受け入れている「自由の闘士」と「テロリスト」の区別に照らして問題があるとされる。
真正な自由の闘士とは、軍事目標のみを攻撃対象とし、民間人に対して武力行使を行わない者たちを指す。民間人を標的とする行為は、政治的・道徳的正統性を失墜させ、逆に自由闘争の大義そのものを損なう結果を招くとされる。過去においても、ある勢力が民間人に対する暴力を行った例は存在するが、それは往々にして民族浄化を目的としたものであり、あるいは治安機関や一般住民による報復を誘発し、暴力の連鎖を生み出すことを狙ったものであった。
このような戦術は、紛争地域にさらなる混乱と不安定化をもたらし、結果的に国家機能を麻痺させる意図を持つ場合が多い。しかし、そうした行為は国際的にはテロリズムと認識され、自由闘争の正当性を損なうため、現在では多くの本物の解放運動において忌避されていると記事は指摘している。
次に、カワジャ・アスィフ国防相は、アルジャジーラの取材に対し、今回の事件について「偽旗作戦(false flag operation)」の可能性があるとの見解を示した。「偽旗作戦」とは、ある国が自己の利益のために自国民を標的にして攻撃を行ったとするものであり、陰謀論的な主張とされる。
インドが自らこのような惨事を引き起こす合理的な理由は存在しないとされる。第一に、パハールガーム地区は観光地としての再生を目指し、インド政府が長年にわたり多大な努力と資金を投入してきた地域である。今回の事件により、観光業界は大きな打撃を受け、ホテル予約や旅行計画のキャンセルが相次ぎ、地域経済の停滞が懸念されている。
第二に、観光収入の減少によって地元住民の生活が悪化し、失業者や貧困層が増加すれば、社会的混乱が拡大し、過激派組織へのリクルート活動が容易になる可能性がある。インド政府にとっては、地域の安定と経済発展こそが優先課題であり、自らそれを損なう動機は存在しないとされる。
第三に、今回のような事件による印パ間の緊張激化は、インド経済全体にも悪影響を及ぼす可能性がある。特に、外国からの直接投資(FDI)の減少や、国際市場におけるインド経済への信頼低下といったリスクが想定される。また、最悪の場合には、偶発的な軍事衝突が大規模な戦争に発展する恐れもあり、これはインドが目指す「大国化路線」にとって重大な障害となる。
以上を踏まえると、インドが自作自演でこのような事件を引き起こすという仮説は、戦略的合理性を欠くと記事は述べている。
最後に、イシャク・ダール外相とカワジャ・アスィフ国防相の発言内容は、互いに矛盾している。前者は、犯行者が自由の闘士である可能性を示唆し、間接的に事件を肯定する立場を取っているのに対し、後者は、インド側が偽旗作戦を行ったとする、犯行に対する否定的立場を取っている。これら2つの立場は論理的に両立せず、記事はこの矛盾に注目している。
さらに、パキスタン政府の要人たちがこのように一貫性を欠いた説明をしている事実は、彼らが自国側の関与を隠そうとしている可能性を示唆するものと記事は指摘している。
【要点】
1.パハールガーム事件の概要
・発生日時・場所
⇨ 2025年4月22日、インド・ジャム・カシミール連邦直轄領パハールガーム地区
・事件内容
⇨ ヒンドゥー教徒の観光客26人が殺害されたテロ事件
⇨ 宗教を理由に標的とした襲撃であり、インドとパキスタンの緊張が再び高まる要因となった
2.インド側の主張
・パキスタンへの非難
⇨ パキスタンが従来からカシミールの分離主義武装勢力を支援していることから、事件への関与を指摘
・パキスタン政府の反応
⇨ インド側の非難を否定
3.パキスタン要人による矛盾した発言
・イシャク・ダール副首相兼外相の発言
⇨ 「攻撃者は自由の闘士(freedom fighters)である可能性がある」と発言
⇨ 観光客への攻撃はテロ行為であり、自由の闘士の定義から逸脱
⇨ 民間人攻撃は暴力の連鎖や地域不安定化を招く手法であり、正当な解放運動とは異なる
・カワジャ・アスィフ国防相の発言
⇨ 「偽旗作戦(false flag operation)」の可能性に言及
⇨ インドが自国民を標的にした攻撃を自作自演したとする陰謀論的主張
⇨ 記事では戦略的合理性が欠如していると分析
4.「自由の闘士」と「テロリスト」の区別
・自由の闘士の特徴
⇨ 軍事目標を攻撃対象とし、民間人を標的にしない
⇨ 解放運動の正統性を維持するため、民間人攻撃を忌避
・民間人攻撃の目的・影響
⇨ 民族浄化や報復誘発による暴力の連鎖
⇨ 地域のさらなる不安定化と国家機能の麻痺
⇨ 解放運動の正当性喪失
5.偽旗作戦説の非合理性
・地域への悪影響
⇨ パハールガーム地区の観光業への甚大な打撃
⇨ ホテル予約や観光計画のキャンセルによる経済停滞
⇨ 地元住民の失業・貧困増加に伴う過激派へのリクルートリスク
・国家的リスク
⇨ 外国直接投資(FDI)の減少や経済信頼の低下
⇨ 印パ間の緊張激化による大規模戦争のリスク
⇨ インドの「大国化路線」への障害
6.矛盾点とその意味合い
・矛盾する発言内容
⇨ ダール外相:犯行を「自由の闘士」として容認する趣旨
⇨ アスィフ国防相:犯行をインドの偽旗作戦とする否定的趣旨
・論理的不整合
⇨ 両者の主張は相互に排他的であり、両立しない
・記事の指摘
⇨ パキスタン政府の説明に一貫性が欠けることから、関与を隠そうとする意図の可能性に言及
まとめ
・パハールガーム事件はインド・パキスタン間の緊張を再燃させた
・パキスタン要人の発言は互いに矛盾し、説明の一貫性を欠く
・これらの矛盾がパキスタン側の関与隠蔽の疑念を生じさせる要因と分析されている
【引用・参照・底本】
Top Pakistani Officials Made Two Self-Discrediting Claims About The Pahalgam Terrorist Attack Andrew Korybko's Newsletter 2025.04.25
https://korybko.substack.com/p/top-pakistani-officials-made-two?utm_source=post-email-title&publication_id=835783&post_id=162118471&utm_campaign=email-post-title&isFreemail=true&r=2gkj&triedRedirect=true&utm_medium=email
セルゲイ・ショイグ:ロシアは特定条件下で停戦に応じる用意がある ― 2025年04月28日 00:15
【概要】
元ロシア国防相であり現ロシア安全保障会議書記のセルゲイ・ショイグは、ロシアの安全保障上の利益に関する詳細なインタビューをタス通信に対して行った。本稿は、そのインタビューから特に重要な五つの論点についてまとめたものである。
1. ロシアは特定条件下で停戦に応じる用意がある
ショイグは、「停戦は、ウクライナ軍の再編成や態勢立て直しのための休止ではなく、長期的な平和の始まりである場合に限り可能である」と明言した。また、「停戦、休戦、和平交渉に応じる用意があるが、ロシアの利益と現地の現実が完全に考慮されることが前提である」とも述べた。ただし、EUがウクライナを引き続き支援し、「エネルギー停戦」や復活祭期間の一時休戦を繰り返し破ったことが、停戦の見通しを複雑にしていると指摘されている。
2. 西側諸国軍のウクライナ派遣は第三次世界大戦に繋がりうる
ショイグは、ロシアが特別軍事作戦開始以前から「歴史的領土」におけるNATO諸国の軍事的存在に反対してきたことを改めて強調した。そして、西側諸国が「平和維持軍」の名目で軍隊をウクライナに派遣し、実際にはウクライナの資源を支配し反ロシア的な政権を維持しようとする試みは、第三次世界大戦につながる可能性があるため、絶対に行うべきではないと警告した。
3. NATOは依然としてロシアに対する深刻な脅威である
ショイグによれば、過去一年間でロシア連邦西側国境付近に展開するNATO軍の兵力が約2.5倍に増加したという。また、有事の際にはさらに10万人規模の兵力を30日以内に増派する訓練も実施済みであると述べた。さらに、EU指導部は8000億ユーロ規模の「欧州再軍備計画(ReArm Europe Plan)」を通じて、EU自体をロシアに対抗する軍事組織へと転換しようとしており、EUは事実上NATOの付属組織になりつつあると指摘した。
4. 戦略兵器管理はロシアの優先事項である
ショイグは、ロシアが米国との間で新たな戦略兵器管理条約を締結する意思があると述べた。しかし、これは過去よりも困難な課題となっている。その理由として、NATOの拡大、ミサイル防衛システム、地上発射型中短距離ミサイルの配備問題、さらにはフランスとイギリスの核戦力も交渉対象に含める必要がある点を挙げた。また、アメリカがドイツへのミサイル配備を取りやめ、NATOからの脅威が低減した場合には、ロシアがベラルーシから戦術核兵器(オレシュニクス)を撤収させる可能性も排除しないと述べた。
5. ユーラシア安全保障には組織間協力が不可欠である
最後にショイグは、ユーラシア大陸の安全保障を確保するためには、複数の国際組織間の協力が重要であると強調した。具体的には、独立国家共同体(CIS)、集団安全保障条約機構(CSTO)、ユーラシア経済連合(EAEU)、上海協力機構(SCO)などが既に連携を進めており、さらにEUにも参加を呼びかけた。また、これらの組織とASEAN諸国、その他のユーラシア大陸諸国・組織が、ベラルーシが提唱する「21世紀ユーラシア多様性と多極化憲章」に参加することを目指していると述べた。
以上を総合すると、ウクライナにおいて停戦が成立し、西側諸国の軍隊が派遣されない場合、米国との間で戦略兵器管理交渉が再開される可能性が高まると見られる。これらの交渉には、NATOからの脅威低減策も含まれる可能性があり、それにより将来的にはEUもロシア主導のユーラシア安全保障構想に参加する道が開けると考えられる。このため、米国がウクライナに停戦を受け入れさせることができなければ、世界全体の安全保障状況は引き続き悪化することが懸念される。
【詳細】
元ロシア国防相であり、現在ロシア連邦安全保障会議書記を務めるセルゲイ・ショイグは、タス通信とのインタビューにおいて、ロシアの安全保障上の利益に関する包括的な見解を示した。このインタビューは長文であるが、ここではその中でも特に重要な五つの要素について、各項目ごとに詳細に説明する。
1. ロシアは特定の条件下で停戦に応じる用意がある
ショイグは、ロシアが停戦を拒否しているという見方を否定し、むしろ特定の条件が満たされれば停戦に応じる意向があることを明らかにした。ここで言う条件とは、単なる一時的な小休止ではなく、長期的で持続可能な平和への移行を意味する。特に、「現地の現実」と「ロシアの利益」が全面的に考慮されることが必要不可欠であると述べた。
これに対して、EU諸国は現在もウクライナ支援を継続しており、特に「エネルギーインフラに対する攻撃を控える」という合意、ならびに復活祭期間中の一時的な休戦合意を、ウクライナ側が繰り返し破ってきたことが、停戦交渉の障害となっている。
2. 西側諸国軍のウクライナ派遣は第三次世界大戦に繋がりうる
ショイグは、NATO諸国が自国の「歴史的領土」に軍事的影響力を及ぼすことに対して、特別軍事作戦以前から一貫して反対してきたことを強調した。現在の特別軍事作戦の目的の一つにも、こうした外部勢力の排除が含まれていると説明した。
その文脈で、仮に西側諸国が「平和維持軍」の名目でウクライナに軍を派遣し、実態としてはウクライナ国内の資源支配および反ロシア政権の維持を図る場合、それはロシアにとって直接的な脅威と見なされ、第三次世界大戦に発展する可能性があると警告した。したがって、こうした行為は極めて危険であり、断固として回避されなければならないと主張している。
3. NATOは依然としてロシアに対する深刻な脅威である
ショイグは、NATOの脅威が過去一年で質量両面において増大した事実を示した。具体的には、ロシア西部国境付近に展開するNATO軍の兵力が約2.5倍に増加したことを指摘した。また、緊急時には追加で10万人規模の部隊を30日以内に展開できる即応態勢を訓練している点も明らかにした。
さらに、EUが8000億ユーロを投じる「欧州再軍備計画(ReArm Europe Plan)」についても言及し、これによりEUは独自の軍事組織というよりも、NATOの軍事的下部組織として機能する方向に進んでいると述べた。この傾向はロシアに対する脅威をさらに増大させるものであるとされる。
4. 戦略兵器管理はロシアの優先事項である
ショイグは、米国との間で新たな戦略兵器制限交渉を行う意向を表明したが、これには従来以上に多くの要素が絡むことを指摘した。特に、単に戦略核兵器の制限にとどまらず、NATO拡大問題、ミサイル防衛システム配備、地上発射型中短距離ミサイル配備禁止条項、さらには英仏の核戦力をも交渉対象に含めるべきであると述べた。
また、ロシアがベラルーシ領内に配備した戦術核兵器(オレシュニクス)についても、条件が整えば撤収を検討する余地があると明言した。具体的には、アメリカがドイツ国内へのミサイル配備計画を取り下げ、NATOからの脅威が実質的に低下した場合である。
5. ユーラシア安全保障には組織間協力が不可欠である
ショイグは、広大なユーラシア大陸の安定を維持するためには、国際組織間の協力が不可欠であるとの認識を示した。具体的には、独立国家共同体(CIS)、集団安全保障条約機構(CSTO)、ユーラシア経済連合(EAEU)、上海協力機構(SCO)といった既存組織間の連携強化が進められている。
さらに、EUにもこれらの枠組みへの参加を呼びかけ、ベラルーシが提唱する「21世紀ユーラシア多様性と多極化憲章」への包括的参加を促している。この構想には、ASEAN諸国やその他のユーラシア・アフリカ諸国、国際機関も含める意図があり、全ユーラシア規模での新たな安全保障・多極秩序の構築を目指している。
以上の各論点を統合的に捉えると、ウクライナで停戦が成立し、西側諸国が軍隊を派遣しないという条件が整えば、米国とロシアとの間で戦略兵器管理を含む安全保障交渉が本格的に再開される可能性が高いことが示唆されている。この交渉は、単なる核兵器削減にとどまらず、NATOの軍事的脅威低減策や、EUをも巻き込んだユーラシア安全保障体制構築にまで波及する可能性がある。
逆に言えば、米国がウクライナに対して停戦合意を受け入れさせることに失敗すれば、ロシアと西側諸国との対立はさらに先鋭化し、世界全体の安全保障状況は悪化の一途をたどることが懸念される。
【要点】
1.ロシアは条件付きで停戦に応じる意向を示している
・「現地の現実」と「ロシアの利益」が尊重されることが前提である。
・ウクライナ側の停戦合意違反が、停戦を難しくしている。
2.西側諸国軍のウクライナ派遣は第三次世界大戦に繋がる恐れがある
・西側の「平和維持軍」派遣は、資源支配と政権維持を目的としたものであると認 識している。
・ロシアにとって直接的脅威であり、全面戦争を引き起こす可能性があると警告している。
3.NATOは依然として深刻な脅威である
・NATOのロシア国境付近の兵力が2.5倍に増強された。
・EUは「欧州再軍備計画」により、事実上NATOの下部組織化している。
4.戦略兵器管理はロシアの優先事項である
・新たな軍備管理交渉には、NATO拡大、ミサイル防衛、英仏核戦力も含めるべきと主張している。
・ベラルーシに配備した戦術核兵器も、条件次第で撤収を検討する用意がある。
5.ユーラシア安全保障には組織間協力が不可欠である
・CIS、CSTO、EAEU、SCO間の連携を強化している。
・EUにも参加を呼びかけ、全ユーラシア規模の安全保障体制構築を目指している。
【引用・参照・底本】
The Top Five Takeaways From Shoigu’s Latest Interview About Russia’s Security Interests Andrew Korybko's Newsletter 2025.04.25
https://korybko.substack.com/p/the-top-five-takeaways-from-shoigus?utm_source=post-email-title&publication_id=835783&post_id=162180126&utm_campaign=email-post-title&isFreemail=true&r=2gkj&triedRedirect=true&utm_medium=email
元ロシア国防相であり現ロシア安全保障会議書記のセルゲイ・ショイグは、ロシアの安全保障上の利益に関する詳細なインタビューをタス通信に対して行った。本稿は、そのインタビューから特に重要な五つの論点についてまとめたものである。
1. ロシアは特定条件下で停戦に応じる用意がある
ショイグは、「停戦は、ウクライナ軍の再編成や態勢立て直しのための休止ではなく、長期的な平和の始まりである場合に限り可能である」と明言した。また、「停戦、休戦、和平交渉に応じる用意があるが、ロシアの利益と現地の現実が完全に考慮されることが前提である」とも述べた。ただし、EUがウクライナを引き続き支援し、「エネルギー停戦」や復活祭期間の一時休戦を繰り返し破ったことが、停戦の見通しを複雑にしていると指摘されている。
2. 西側諸国軍のウクライナ派遣は第三次世界大戦に繋がりうる
ショイグは、ロシアが特別軍事作戦開始以前から「歴史的領土」におけるNATO諸国の軍事的存在に反対してきたことを改めて強調した。そして、西側諸国が「平和維持軍」の名目で軍隊をウクライナに派遣し、実際にはウクライナの資源を支配し反ロシア的な政権を維持しようとする試みは、第三次世界大戦につながる可能性があるため、絶対に行うべきではないと警告した。
3. NATOは依然としてロシアに対する深刻な脅威である
ショイグによれば、過去一年間でロシア連邦西側国境付近に展開するNATO軍の兵力が約2.5倍に増加したという。また、有事の際にはさらに10万人規模の兵力を30日以内に増派する訓練も実施済みであると述べた。さらに、EU指導部は8000億ユーロ規模の「欧州再軍備計画(ReArm Europe Plan)」を通じて、EU自体をロシアに対抗する軍事組織へと転換しようとしており、EUは事実上NATOの付属組織になりつつあると指摘した。
4. 戦略兵器管理はロシアの優先事項である
ショイグは、ロシアが米国との間で新たな戦略兵器管理条約を締結する意思があると述べた。しかし、これは過去よりも困難な課題となっている。その理由として、NATOの拡大、ミサイル防衛システム、地上発射型中短距離ミサイルの配備問題、さらにはフランスとイギリスの核戦力も交渉対象に含める必要がある点を挙げた。また、アメリカがドイツへのミサイル配備を取りやめ、NATOからの脅威が低減した場合には、ロシアがベラルーシから戦術核兵器(オレシュニクス)を撤収させる可能性も排除しないと述べた。
5. ユーラシア安全保障には組織間協力が不可欠である
最後にショイグは、ユーラシア大陸の安全保障を確保するためには、複数の国際組織間の協力が重要であると強調した。具体的には、独立国家共同体(CIS)、集団安全保障条約機構(CSTO)、ユーラシア経済連合(EAEU)、上海協力機構(SCO)などが既に連携を進めており、さらにEUにも参加を呼びかけた。また、これらの組織とASEAN諸国、その他のユーラシア大陸諸国・組織が、ベラルーシが提唱する「21世紀ユーラシア多様性と多極化憲章」に参加することを目指していると述べた。
以上を総合すると、ウクライナにおいて停戦が成立し、西側諸国の軍隊が派遣されない場合、米国との間で戦略兵器管理交渉が再開される可能性が高まると見られる。これらの交渉には、NATOからの脅威低減策も含まれる可能性があり、それにより将来的にはEUもロシア主導のユーラシア安全保障構想に参加する道が開けると考えられる。このため、米国がウクライナに停戦を受け入れさせることができなければ、世界全体の安全保障状況は引き続き悪化することが懸念される。
【詳細】
元ロシア国防相であり、現在ロシア連邦安全保障会議書記を務めるセルゲイ・ショイグは、タス通信とのインタビューにおいて、ロシアの安全保障上の利益に関する包括的な見解を示した。このインタビューは長文であるが、ここではその中でも特に重要な五つの要素について、各項目ごとに詳細に説明する。
1. ロシアは特定の条件下で停戦に応じる用意がある
ショイグは、ロシアが停戦を拒否しているという見方を否定し、むしろ特定の条件が満たされれば停戦に応じる意向があることを明らかにした。ここで言う条件とは、単なる一時的な小休止ではなく、長期的で持続可能な平和への移行を意味する。特に、「現地の現実」と「ロシアの利益」が全面的に考慮されることが必要不可欠であると述べた。
これに対して、EU諸国は現在もウクライナ支援を継続しており、特に「エネルギーインフラに対する攻撃を控える」という合意、ならびに復活祭期間中の一時的な休戦合意を、ウクライナ側が繰り返し破ってきたことが、停戦交渉の障害となっている。
2. 西側諸国軍のウクライナ派遣は第三次世界大戦に繋がりうる
ショイグは、NATO諸国が自国の「歴史的領土」に軍事的影響力を及ぼすことに対して、特別軍事作戦以前から一貫して反対してきたことを強調した。現在の特別軍事作戦の目的の一つにも、こうした外部勢力の排除が含まれていると説明した。
その文脈で、仮に西側諸国が「平和維持軍」の名目でウクライナに軍を派遣し、実態としてはウクライナ国内の資源支配および反ロシア政権の維持を図る場合、それはロシアにとって直接的な脅威と見なされ、第三次世界大戦に発展する可能性があると警告した。したがって、こうした行為は極めて危険であり、断固として回避されなければならないと主張している。
3. NATOは依然としてロシアに対する深刻な脅威である
ショイグは、NATOの脅威が過去一年で質量両面において増大した事実を示した。具体的には、ロシア西部国境付近に展開するNATO軍の兵力が約2.5倍に増加したことを指摘した。また、緊急時には追加で10万人規模の部隊を30日以内に展開できる即応態勢を訓練している点も明らかにした。
さらに、EUが8000億ユーロを投じる「欧州再軍備計画(ReArm Europe Plan)」についても言及し、これによりEUは独自の軍事組織というよりも、NATOの軍事的下部組織として機能する方向に進んでいると述べた。この傾向はロシアに対する脅威をさらに増大させるものであるとされる。
4. 戦略兵器管理はロシアの優先事項である
ショイグは、米国との間で新たな戦略兵器制限交渉を行う意向を表明したが、これには従来以上に多くの要素が絡むことを指摘した。特に、単に戦略核兵器の制限にとどまらず、NATO拡大問題、ミサイル防衛システム配備、地上発射型中短距離ミサイル配備禁止条項、さらには英仏の核戦力をも交渉対象に含めるべきであると述べた。
また、ロシアがベラルーシ領内に配備した戦術核兵器(オレシュニクス)についても、条件が整えば撤収を検討する余地があると明言した。具体的には、アメリカがドイツ国内へのミサイル配備計画を取り下げ、NATOからの脅威が実質的に低下した場合である。
5. ユーラシア安全保障には組織間協力が不可欠である
ショイグは、広大なユーラシア大陸の安定を維持するためには、国際組織間の協力が不可欠であるとの認識を示した。具体的には、独立国家共同体(CIS)、集団安全保障条約機構(CSTO)、ユーラシア経済連合(EAEU)、上海協力機構(SCO)といった既存組織間の連携強化が進められている。
さらに、EUにもこれらの枠組みへの参加を呼びかけ、ベラルーシが提唱する「21世紀ユーラシア多様性と多極化憲章」への包括的参加を促している。この構想には、ASEAN諸国やその他のユーラシア・アフリカ諸国、国際機関も含める意図があり、全ユーラシア規模での新たな安全保障・多極秩序の構築を目指している。
以上の各論点を統合的に捉えると、ウクライナで停戦が成立し、西側諸国が軍隊を派遣しないという条件が整えば、米国とロシアとの間で戦略兵器管理を含む安全保障交渉が本格的に再開される可能性が高いことが示唆されている。この交渉は、単なる核兵器削減にとどまらず、NATOの軍事的脅威低減策や、EUをも巻き込んだユーラシア安全保障体制構築にまで波及する可能性がある。
逆に言えば、米国がウクライナに対して停戦合意を受け入れさせることに失敗すれば、ロシアと西側諸国との対立はさらに先鋭化し、世界全体の安全保障状況は悪化の一途をたどることが懸念される。
【要点】
1.ロシアは条件付きで停戦に応じる意向を示している
・「現地の現実」と「ロシアの利益」が尊重されることが前提である。
・ウクライナ側の停戦合意違反が、停戦を難しくしている。
2.西側諸国軍のウクライナ派遣は第三次世界大戦に繋がる恐れがある
・西側の「平和維持軍」派遣は、資源支配と政権維持を目的としたものであると認 識している。
・ロシアにとって直接的脅威であり、全面戦争を引き起こす可能性があると警告している。
3.NATOは依然として深刻な脅威である
・NATOのロシア国境付近の兵力が2.5倍に増強された。
・EUは「欧州再軍備計画」により、事実上NATOの下部組織化している。
4.戦略兵器管理はロシアの優先事項である
・新たな軍備管理交渉には、NATO拡大、ミサイル防衛、英仏核戦力も含めるべきと主張している。
・ベラルーシに配備した戦術核兵器も、条件次第で撤収を検討する用意がある。
5.ユーラシア安全保障には組織間協力が不可欠である
・CIS、CSTO、EAEU、SCO間の連携を強化している。
・EUにも参加を呼びかけ、全ユーラシア規模の安全保障体制構築を目指している。
【引用・参照・底本】
The Top Five Takeaways From Shoigu’s Latest Interview About Russia’s Security Interests Andrew Korybko's Newsletter 2025.04.25
https://korybko.substack.com/p/the-top-five-takeaways-from-shoigus?utm_source=post-email-title&publication_id=835783&post_id=162180126&utm_campaign=email-post-title&isFreemail=true&r=2gkj&triedRedirect=true&utm_medium=email
NATO:戦争を促進する機関 ― 2025年04月28日 12:19
【概要】
NATO(北大西洋条約機構)からの脱退方法について、特にワシントン条約の第13条に焦点を当てて説明している。NATOは「平和と安全」、「個人の自由と法の支配」、そして「自由と民主主義の保障」を目的としているとされるが、著者はNATOが継続的な戦争を促進する道具であり、国際的な人道的戦争を引き起こしていると批判している。
ワシントン条約第13条について
ワシントン条約第13条は、NATO加盟国が脱退するための手続きを定めている。この条文によれば、NATO加盟国は条約発効後20年経過した時点から脱退の意思を表明し、アメリカ合衆国政府に通知することができる。通知から1年後にその加盟国はNATOの「党」でなくなる。この手続きが簡単に思えるが、著者はNATO脱退には圧力や不正行為が伴う可能性があると指摘している。
NATOの目的とその実態
NATOの公式な目的は、国際連合憲章の原則に基づき、平和で安全な世界を築くことだが、著者はNATOが戦争を促進する機関であり、各国に対して戦争行為を強制し続けていると主張している。具体例として、パレスチナ、ベトナム、アフガニスタン、イラク、シリア、リビア、ウクライナなど、NATOが関与した戦争や介入の歴史を挙げている。
NATO脱退に向けたアクション
NATOからの脱退を実現するためには、いくつかのステップが必要であると提案されている。
1.草の根運動
NATO脱退を訴える大衆運動を起こすことが重要である。
2.立法機関での行動
各加盟国の議会で「NATOの党であることを停止する」という提案を可決させることが目指される。
3.防衛予算の凍結と兵力の撤退
2014年のNATOサミットで、防衛費を国内総生産(GDP)の2%に設定することが決まったが、これを凍結させ、戦争地域から兵士を撤退させる圧力をかけることが提案されている。
4.腐敗した国家指導者への抵抗
NATOを支持する腐敗した指導者に対して、民主的なプロセスを通じて反対運動を起こし、NATOからの脱退を実現させる。
5.メディアの民主化
NATOの戦争犯罪や人道的犯罪を擁護するメディアに対して、抵抗運動を起こすことが提案されている。
6.国際連合システム内での行動
国際連合を通じて、NATOに対抗するための実質的な行動を取る。
7.法的措置
軍産複合体や戦争を支援する億万長者、NATO加盟国政府に対して法的措置を講じることが求められる。
8.NATOの戦争支出
NATOの戦争活動は巨額の費用を伴い、その一部は核兵器開発に充てられている。アメリカ合衆国は1.3兆ドルの核兵器計画を進めており、2030年までにその規模を2兆ドルに増加させる予定である。このような戦争支出に対する批判が述べられている。
結論
著者は、NATOからの脱退が戦争の潮流を逆転させるための鍵であり、NATO加盟国が脱退することで、他国にその前例を示すことができると考えている。また、草の根運動を通じて、NATOの戦争政策に反対し、平和の回復を目指すべきだと訴えている。
【詳細】
NATO(北大西洋条約機構)からの脱退方法とその背景について詳しく説明されている。主に、NATOの本来の目的と実態、脱退手続き、そして脱退が戦争に与える影響について述べられている。以下は、各ポイントをさらに詳細に解説した内容である。
1. NATOの目的と実態
NATOの公式な目的は「平和と安全の維持」、そして「個人の自由と法の支配」の保障にあるとされる。しかし、著者はこれを強く批判している。NATOは、表向きは平和の維持を謳いながら、実際には戦争を促進する機関であり、その活動が数多くの国々に対する軍事的介入に結びついていると指摘している。
特に、NATOの関与があった国々として、以下の例が挙げられている。
・パレスチナ:NATOの支援する立場が、人道的な戦争を引き起こしたとして批判されている。
・ベトナムやカンボジア:アメリカ主導の軍事介入がNATOの方針に基づいて行われた。
・ソマリア、スーダン、アフガニスタン:これらの国々での戦争や人道的危機がNATOの介入に関連しているとされている。
・イラク、シリア、リビア:これらの地域での戦争も、NATOの介入が関与しているとして、戦争の延長や人道的危機を助長したとする主張がなされている。
・ウクライナ:ウクライナの戦争も、NATOの戦略や軍事的介入が影響を与えたとして論じられている。
著者は、これらの事例を挙げて、NATOが平和を守るどころか、戦争を引き起こし、戦争犯罪や人道的犯罪を助長していると主張している。
2. ワシントン条約第13条による脱退手続き
ワシントン条約第13条に基づき、NATO加盟国は、一定の手続きを踏むことで脱退することができる。この手続きは次の通りである。
・20年間の有効期間後:NATO加盟国は、条約発効後20年を経過した後に脱退の意思表示を行うことができる。
・通知手続き:脱退を希望する国は、アメリカ合衆国政府に対して「脱退通知」を提出する。この通知を受けて、アメリカ政府は他のNATO加盟国に通知を行うことになる。
・1年間の猶予期間:通知が行われてから1年後に、脱退が正式に承認される。
著者は、脱退手続きが形式的には簡単に見えるが、実際には加盟国が脱退を試みる場合、政治的な圧力や不正な行動が働くことが予想されると警告している。
3. 脱退を実現するためのアクション
NATOからの脱退を実現するためには、草の根運動から政府の立法機関での行動まで、さまざまなアクションが必要だと述べている。具体的なアクションプランは次の通りである:
A. 草の根運動
NATO脱退を目指す草の根運動を社会全体で広めることが重要である。市民レベルでの支持を得ることが、脱退を実現するための第一歩となる。
B. 立法機関での提案
各国の議会で、「NATOの党であることを停止する」という提案を可決させることが目標となる。議会を通じて、脱退に向けた正式な手続きを進めることが求められる。
C. 防衛予算の凍結
2014年のNATOサミットで、加盟国は防衛費をGDPの2%以上にすることに合意した。しかし、この防衛予算を凍結し、戦争地域から兵力を撤退させるための圧力をかけるべきだと訴えている。
D. 腐敗した指導者への抵抗
NATOを支持する腐敗した国家指導者に対して、政治的な抵抗運動を起こし、脱退を促す。また、民主的なプロセスを通じて、脱退を支持する政治家を選出することが求められる。
E. メディアへの対応
NATOの戦争犯罪や人道的犯罪を支持するメディアに対して、反対運動を起こすことが提案されている。
F. 国際連合での行動
国際連合を通じて、NATOに対抗するための実質的な行動を起こすべきだと述べている。また、NATOを支持するNGOに対する対応が必要である。
G. 法的措置
NATO加盟国政府や軍産複合体に対して法的措置を講じ、戦争犯罪や人道的犯罪を行った責任を追及するべきだと提案されている。
4. NATOの軍事支出とその影響
NATOは、膨大な軍事支出を必要とし、その一部は核兵器開発に充てられている。アメリカ合衆国は、1.3兆ドルの核兵器プログラムを進めており、2030年までにその規模を2兆ドルに増加させる計画がある。このような支出は、戦争を助長するための資金源となり、平和を脅かす要因となっていると批判されている。
5. 結論
著者は、NATOからの脱退が戦争の潮流を逆転させるための重要な手段であり、脱退の前例が他の加盟国に影響を与える可能性があると述べている。また、草の根運動や立法機関での行動を通じて、NATOの戦争政策に反対し、平和を回復するための活動が必要であると訴えている。
【要点】
1. NATOの目的と実態
・NATOの目的は「平和と安全の維持」、そして「個人の自由と法の支配」の保障。
・実際には、NATOは戦争を助長する機関であり、戦争犯罪や人道的犯罪を引き起こしていると批判されている。
・NATOの介入例:パレスチナ、ベトナム、カンボジア、ソマリア、アフガニスタン、イラク、シリア、リビア、ウクライナ。
2. ワシントン条約第13条による脱退手続き
・20年間の有効期間後、加盟国は脱退の意思表示を行うことができる。
・脱退希望国は、アメリカ合衆国に「脱退通知」を出す。
・通知後1年以内に脱退が正式に承認される。
3. 脱退を実現するためのアクション
・A. 草の根運動
NATO脱退を目指す社会全体での運動を広める。
・B. 立法機関での提案
議会で「NATOの党であることを停止する」提案を可決させる。
・C. 防衛予算の凍結
各国政府に対して、防衛予算の凍結と戦争地域からの撤退を要求。
・D. 腐敗した指導者への抵抗
NATO支持の腐敗した指導者に対して、政治的な抵抗を行い、民主的な選挙で脱退を支持する政治家を選出。
・E. メディアへの対応
NATOの戦争犯罪を支持するメディアに対して反対運動を起こす。
・F. 国際連合での行動
国際連合を通じて、NATOに反対する実質的な行動を行う。
・G. 法的措置
NATO加盟国政府や軍産複合体に対して法的措置を講じ、戦争犯罪の責任を追及。
4. NATOの軍事支出とその影響
・NATOは膨大な軍事支出を必要とし、その一部は核兵器開発に使われている。
・アメリカは1.3兆ドルの核兵器プログラムを進め、2030年までに2兆ドルに増加させる計画。
5. 結論
・NATOからの脱退は戦争の潮流を逆転させるための重要な手段。
・脱退の前例が他の加盟国に影響を与える可能性があり、草の根運動や立法機関での活動を通じてNATOに反対する必要がある。
【桃源寸評】
・「ワシントン条約第13条」という呼び方は、正式には「北大西洋条約(NATO条約)」の第13条を指している。この条約は、1949年4月4日にアメリカ合衆国のワシントンD.C.で署名されたため、一般的に「ワシントン条約」とも呼ばれている。
なぜ「ワシントン条約第13条」と呼ばれるのか。
署名地に由来: NATO条約は、ワシントンD.C.で署名されたことから、「ワシントン条約」という呼び方が定着している。
正式名称との関係: 正式には「北大西洋条約」と呼ばれるが、署名地にちなんで通称として「ワシントン条約」と呼ばれ、このように表現されることが一般的である。
したがって、「ワシントン条約第13条」という呼称は、NATO条約の第13条に該当する規定を指している。
・NATOからの脱退手続きには、やくざの世界で「杯を返す」ような難しさがあると言えるかもしれない。やくざの世界において、組織を抜けることや、忠誠を裏切ることは非常に困難であり、社会的、物理的なリスクが伴うのと同じように、NATOからの脱退も一国にとって大きな政治的、外交的リスクを伴うことになる。
・比較点
(1)政治的・経済的な圧力: やくざの組織から離れることには大きな代償が伴うのと同様、NATOからの脱退には多くの圧力がある。脱退した国は、経済的、軍事的に孤立する可能性があり、他の加盟国からの反発も予想される。
(2)影響の広がり: やくざが一度関わった世界から完全に抜け出すことが難しいように、NATOも非常に深い結びつきのある組織であり、その一員としての立場を完全に捨てることは、国際的な影響を大きく変える可能性がある。軍事的な協力、経済的な連携、外交的なパートナーシップなど、さまざまな分野でのつながりを一度切ることは容易ではない。
(3)過去の関与: やくざの世界でも、過去の関与があると「戻れない」とされるように、NATOにも長い間関わってきた国々にとって、その脱退は過去の戦略的な選択を否定することにもなり、非常に難しい決断を迫られることになる。
まとめ
「杯を返す」という比喩は、まさにNATOのような国際的な枠組みからの脱退における困難さをよく表していると言えるだろう。外交的、経済的なリスクを避けるためには、脱退の決断には非常に慎重な対応が求められるのである。
・日米安保条約
日米安保条約(日本とアメリカ合衆国との安全保障条約)の場合、脱退の難しさもやはりあるが、NATOとは少し異なる背景や状況がある。日米安保条約における脱退も非常に大きな政治的、外交的リスクを伴うが、その難しさは次の点でNATOからの脱退とは異なる側面を持っている。
日米安保条約の脱退における難しさ
(1)日本の安全保障の基盤
日米安保条約は、日本の安全保障政策の中心となっており、日本が直面する安全保障上の脅威(特に北朝鮮や中国など)に対して、アメリカの軍事的支援を受けることが大きな意味を持っている。このため、安保条約を破棄することは、日本の防衛体制の根本的な変更を意味する。
日本の防衛力が制約されている中で、アメリカとの同盟が重要な役割を果たしており、安保条約の脱退はその防衛体制を崩壊させる可能性があるため、現実的には非常に難しい選択肢である。
(2)政治的・経済的影響
日本が日米安保条約を一方的に破棄すると、アメリカとの関係が極端に悪化する可能性が高い。アメリカの安全保障の枠組みから外れることで、経済的な制裁や外交的な孤立が生じる恐れがある。これによって、日本の経済や国際的な立場に深刻な影響を及ぼすことになる。
(3)国民の意識と国内政治
日本国内で安保条約を破棄することには非常に高い政治的ハードルがある。過去の戦争の経験を持つ日本において、アメリカとの同盟は平和の維持に重要な役割を果たしてきたと考えられており、安保条約を廃止することは国民感情や政治的な支持を失うリスクがある。
さらに、安保条約の廃止を掲げる政治勢力は日本の外交政策に大きな変革を求めるため、その実現には国内の大きな変革が必要となる。
(4)地域安全保障への影響
日米安保条約は、アジア太平洋地域におけるアメリカの軍事的プレゼンスを確保するための柱でもある。日本が脱退すると、アメリカの戦略において重要な拠点を失うことになり、アメリカの外交政策や地域の安全保障に大きな影響を与えることになる。アメリカは、日米同盟を維持することで中国や北朝鮮の脅威に対抗し、インド太平洋地域での影響力を確保している。
(5)条約破棄の手続き
日米安保条約にも脱退に関する条項はあるが、条約を破棄するためには両国の合意が必要である。日本が一方的に破棄を申し入れる場合、その後1年以内に通告することが必要であり、その間に外交的な調整が行われることになる。しかし、アメリカとの関係を悪化させるリスクを考えると、実際には非常に難しい決断となるだろう。
(6)NATOとの違い
地域的な枠組みの違い: NATOは主にヨーロッパを中心とした軍事同盟であり、冷戦時代の西側陣営を支える役割を果たしてきたが、日米安保条約は日本の安全保障とアジア太平洋地域の安定に深く関わっている。したがって、日米安保条約を破棄することは、地域全体の安全保障に対する影響が大きく、NATOよりも日本の戦略的立場が強く関わる。
同盟国としての関係性: NATOは32か国が加盟する多国籍の防衛同盟であり、加盟国の脱退は一国にとっては重大であるが、全体に対する影響は比較的小さい場合もある。一方、日米安保条約は日本とアメリカという二国間の条約であり、脱退がもたらす影響は直接的で重大である。
(6)まとめ
日米安保条約の脱退は、NATO条約からの脱退と同様に政治的、経済的な困難が伴うが、特に日本の安全保障体制にとって極めて重要な意味を持っているため、その実現は非常に難しいと言える。また、脱退に伴うリスクが大きいため、現実的にはそのような選択肢は避けられる可能性が高い。
・アメリカによる圧力のシナリオ
日米安保条約に関して、仮に日本が脱退を試みた場合、アメリカはさまざまな手段で日本に圧力をかける可能性が高い。その背景には、アメリカが日本を重要な戦略的拠点と見なしており、日本の地理的な位置や経済的な重要性から、安保条約の維持がアメリカの利益に直結しているという事実がある。もし日本が脱退の意志を示すような場合、アメリカがどのような行動を取るか、いくつかの側面で考えられるシナリオは以下のようになる。
(1)経済的圧力
日本はアメリカにとって主要な貿易相手国であり、特に日本の自動車産業や電子機器などの産業は、アメリカの経済にも大きな影響を与えている。もし日本が安保条約を破棄すると、アメリカは経済的な制裁や貿易摩擦を強化する可能性がある。例えば、日本製品への高い関税を課すことで、経済的に日本を圧迫することが考えられる。
また、アメリカは日本への投資を制限したり、日米間の経済協力を縮小したりすることで、日本経済に対する圧力を強めることができるだろう。
(2)外交的圧力
アメリカは日本との関係を強化するため、国際舞台での日本の立場に影響を与える可能性がある。国際的な枠組み(例えば、国連やG7)で日本の立場が弱まるような手を打つかもしれない。アメリカが日本に対して強い外交的圧力をかけることで、日本は孤立するリスクを負うことになる。
また、アメリカは日本が安保条約を破棄することで、アジア太平洋地域の安定を脅かすと主張し、国際社会でその立場を訴える可能性もある。
(3)軍事的圧力
安保条約の枠組みの中で、日本にはアメリカの軍事的プレゼンスが重要な役割を果たしている。仮に日本が脱退し、アメリカの軍事的存在が日本から撤退する場合、アメリカは日本の防衛力や地域の安全保障に対して不安を抱くことになる。そのため、アメリカは日本に対して軍事的な選択肢を提示したり、他国との軍事協力を強化するような圧力をかけたりする可能性がある。
(4)防衛の依存度
・日本は防衛能力が限られており、アメリカとの安保条約によってその防衛を担保している。脱退することで日本の防衛が不安定になり、周辺国との対立が激化するリスクがある。特に、北朝鮮や中国との関係が緊迫している現状では、安保条約の破棄が日本の安全保障に重大な影響を与えることになる。
(5)アメリカとの強固な経済関係
日本とアメリカは経済的にも強い結びつきがあり、特に貿易や投資面で相互依存が深い。日米安保条約の破棄が経済面での利益にどれほどの影響を与えるかを考えると、脱退は現実的に難しいと言える。
(6)国際的な影響
日本の脱退がアジアや世界に与える影響は非常に大きく、特にアジア太平洋地域の安定にとって重要な役割を果たしている日本が安保条約を破棄することは、地域全体の安全保障環境を大きく変えることになる。その結果、国際社会からの非難や圧力が強まる可能性がある。
結論
仮に日本が日米安保条約から脱退を試みると、アメリカは経済的、外交的、軍事的な手段を駆使して日本に圧力をかけることが予想される。これらの理由から、日本が安保条約から脱退することは非常に難しく、現実的にはその実現は極めて困難であると言える。
【寸評 完】
【引用・参照・底本】
Peace on Planet Earth: Cancel Your NATO Membership. It’s Easy? “Say Goodbye” to the North Atlantic Treaty Organization (NATO)
Michel Chossudovsky 2025.04.19
https://michelchossudovsky.substack.com/p/peace-planet-earth-cancel-membership-nato?utm_source=post-email-title&publication_id=1910355&post_id=161614352&utm_campaign=email-post-title&isFreemail=true&r=2gkj&triedRedirect=true&utm_medium=email
NATO(北大西洋条約機構)からの脱退方法について、特にワシントン条約の第13条に焦点を当てて説明している。NATOは「平和と安全」、「個人の自由と法の支配」、そして「自由と民主主義の保障」を目的としているとされるが、著者はNATOが継続的な戦争を促進する道具であり、国際的な人道的戦争を引き起こしていると批判している。
ワシントン条約第13条について
ワシントン条約第13条は、NATO加盟国が脱退するための手続きを定めている。この条文によれば、NATO加盟国は条約発効後20年経過した時点から脱退の意思を表明し、アメリカ合衆国政府に通知することができる。通知から1年後にその加盟国はNATOの「党」でなくなる。この手続きが簡単に思えるが、著者はNATO脱退には圧力や不正行為が伴う可能性があると指摘している。
NATOの目的とその実態
NATOの公式な目的は、国際連合憲章の原則に基づき、平和で安全な世界を築くことだが、著者はNATOが戦争を促進する機関であり、各国に対して戦争行為を強制し続けていると主張している。具体例として、パレスチナ、ベトナム、アフガニスタン、イラク、シリア、リビア、ウクライナなど、NATOが関与した戦争や介入の歴史を挙げている。
NATO脱退に向けたアクション
NATOからの脱退を実現するためには、いくつかのステップが必要であると提案されている。
1.草の根運動
NATO脱退を訴える大衆運動を起こすことが重要である。
2.立法機関での行動
各加盟国の議会で「NATOの党であることを停止する」という提案を可決させることが目指される。
3.防衛予算の凍結と兵力の撤退
2014年のNATOサミットで、防衛費を国内総生産(GDP)の2%に設定することが決まったが、これを凍結させ、戦争地域から兵士を撤退させる圧力をかけることが提案されている。
4.腐敗した国家指導者への抵抗
NATOを支持する腐敗した指導者に対して、民主的なプロセスを通じて反対運動を起こし、NATOからの脱退を実現させる。
5.メディアの民主化
NATOの戦争犯罪や人道的犯罪を擁護するメディアに対して、抵抗運動を起こすことが提案されている。
6.国際連合システム内での行動
国際連合を通じて、NATOに対抗するための実質的な行動を取る。
7.法的措置
軍産複合体や戦争を支援する億万長者、NATO加盟国政府に対して法的措置を講じることが求められる。
8.NATOの戦争支出
NATOの戦争活動は巨額の費用を伴い、その一部は核兵器開発に充てられている。アメリカ合衆国は1.3兆ドルの核兵器計画を進めており、2030年までにその規模を2兆ドルに増加させる予定である。このような戦争支出に対する批判が述べられている。
結論
著者は、NATOからの脱退が戦争の潮流を逆転させるための鍵であり、NATO加盟国が脱退することで、他国にその前例を示すことができると考えている。また、草の根運動を通じて、NATOの戦争政策に反対し、平和の回復を目指すべきだと訴えている。
【詳細】
NATO(北大西洋条約機構)からの脱退方法とその背景について詳しく説明されている。主に、NATOの本来の目的と実態、脱退手続き、そして脱退が戦争に与える影響について述べられている。以下は、各ポイントをさらに詳細に解説した内容である。
1. NATOの目的と実態
NATOの公式な目的は「平和と安全の維持」、そして「個人の自由と法の支配」の保障にあるとされる。しかし、著者はこれを強く批判している。NATOは、表向きは平和の維持を謳いながら、実際には戦争を促進する機関であり、その活動が数多くの国々に対する軍事的介入に結びついていると指摘している。
特に、NATOの関与があった国々として、以下の例が挙げられている。
・パレスチナ:NATOの支援する立場が、人道的な戦争を引き起こしたとして批判されている。
・ベトナムやカンボジア:アメリカ主導の軍事介入がNATOの方針に基づいて行われた。
・ソマリア、スーダン、アフガニスタン:これらの国々での戦争や人道的危機がNATOの介入に関連しているとされている。
・イラク、シリア、リビア:これらの地域での戦争も、NATOの介入が関与しているとして、戦争の延長や人道的危機を助長したとする主張がなされている。
・ウクライナ:ウクライナの戦争も、NATOの戦略や軍事的介入が影響を与えたとして論じられている。
著者は、これらの事例を挙げて、NATOが平和を守るどころか、戦争を引き起こし、戦争犯罪や人道的犯罪を助長していると主張している。
2. ワシントン条約第13条による脱退手続き
ワシントン条約第13条に基づき、NATO加盟国は、一定の手続きを踏むことで脱退することができる。この手続きは次の通りである。
・20年間の有効期間後:NATO加盟国は、条約発効後20年を経過した後に脱退の意思表示を行うことができる。
・通知手続き:脱退を希望する国は、アメリカ合衆国政府に対して「脱退通知」を提出する。この通知を受けて、アメリカ政府は他のNATO加盟国に通知を行うことになる。
・1年間の猶予期間:通知が行われてから1年後に、脱退が正式に承認される。
著者は、脱退手続きが形式的には簡単に見えるが、実際には加盟国が脱退を試みる場合、政治的な圧力や不正な行動が働くことが予想されると警告している。
3. 脱退を実現するためのアクション
NATOからの脱退を実現するためには、草の根運動から政府の立法機関での行動まで、さまざまなアクションが必要だと述べている。具体的なアクションプランは次の通りである:
A. 草の根運動
NATO脱退を目指す草の根運動を社会全体で広めることが重要である。市民レベルでの支持を得ることが、脱退を実現するための第一歩となる。
B. 立法機関での提案
各国の議会で、「NATOの党であることを停止する」という提案を可決させることが目標となる。議会を通じて、脱退に向けた正式な手続きを進めることが求められる。
C. 防衛予算の凍結
2014年のNATOサミットで、加盟国は防衛費をGDPの2%以上にすることに合意した。しかし、この防衛予算を凍結し、戦争地域から兵力を撤退させるための圧力をかけるべきだと訴えている。
D. 腐敗した指導者への抵抗
NATOを支持する腐敗した国家指導者に対して、政治的な抵抗運動を起こし、脱退を促す。また、民主的なプロセスを通じて、脱退を支持する政治家を選出することが求められる。
E. メディアへの対応
NATOの戦争犯罪や人道的犯罪を支持するメディアに対して、反対運動を起こすことが提案されている。
F. 国際連合での行動
国際連合を通じて、NATOに対抗するための実質的な行動を起こすべきだと述べている。また、NATOを支持するNGOに対する対応が必要である。
G. 法的措置
NATO加盟国政府や軍産複合体に対して法的措置を講じ、戦争犯罪や人道的犯罪を行った責任を追及するべきだと提案されている。
4. NATOの軍事支出とその影響
NATOは、膨大な軍事支出を必要とし、その一部は核兵器開発に充てられている。アメリカ合衆国は、1.3兆ドルの核兵器プログラムを進めており、2030年までにその規模を2兆ドルに増加させる計画がある。このような支出は、戦争を助長するための資金源となり、平和を脅かす要因となっていると批判されている。
5. 結論
著者は、NATOからの脱退が戦争の潮流を逆転させるための重要な手段であり、脱退の前例が他の加盟国に影響を与える可能性があると述べている。また、草の根運動や立法機関での行動を通じて、NATOの戦争政策に反対し、平和を回復するための活動が必要であると訴えている。
【要点】
1. NATOの目的と実態
・NATOの目的は「平和と安全の維持」、そして「個人の自由と法の支配」の保障。
・実際には、NATOは戦争を助長する機関であり、戦争犯罪や人道的犯罪を引き起こしていると批判されている。
・NATOの介入例:パレスチナ、ベトナム、カンボジア、ソマリア、アフガニスタン、イラク、シリア、リビア、ウクライナ。
2. ワシントン条約第13条による脱退手続き
・20年間の有効期間後、加盟国は脱退の意思表示を行うことができる。
・脱退希望国は、アメリカ合衆国に「脱退通知」を出す。
・通知後1年以内に脱退が正式に承認される。
3. 脱退を実現するためのアクション
・A. 草の根運動
NATO脱退を目指す社会全体での運動を広める。
・B. 立法機関での提案
議会で「NATOの党であることを停止する」提案を可決させる。
・C. 防衛予算の凍結
各国政府に対して、防衛予算の凍結と戦争地域からの撤退を要求。
・D. 腐敗した指導者への抵抗
NATO支持の腐敗した指導者に対して、政治的な抵抗を行い、民主的な選挙で脱退を支持する政治家を選出。
・E. メディアへの対応
NATOの戦争犯罪を支持するメディアに対して反対運動を起こす。
・F. 国際連合での行動
国際連合を通じて、NATOに反対する実質的な行動を行う。
・G. 法的措置
NATO加盟国政府や軍産複合体に対して法的措置を講じ、戦争犯罪の責任を追及。
4. NATOの軍事支出とその影響
・NATOは膨大な軍事支出を必要とし、その一部は核兵器開発に使われている。
・アメリカは1.3兆ドルの核兵器プログラムを進め、2030年までに2兆ドルに増加させる計画。
5. 結論
・NATOからの脱退は戦争の潮流を逆転させるための重要な手段。
・脱退の前例が他の加盟国に影響を与える可能性があり、草の根運動や立法機関での活動を通じてNATOに反対する必要がある。
【桃源寸評】
・「ワシントン条約第13条」という呼び方は、正式には「北大西洋条約(NATO条約)」の第13条を指している。この条約は、1949年4月4日にアメリカ合衆国のワシントンD.C.で署名されたため、一般的に「ワシントン条約」とも呼ばれている。
なぜ「ワシントン条約第13条」と呼ばれるのか。
署名地に由来: NATO条約は、ワシントンD.C.で署名されたことから、「ワシントン条約」という呼び方が定着している。
正式名称との関係: 正式には「北大西洋条約」と呼ばれるが、署名地にちなんで通称として「ワシントン条約」と呼ばれ、このように表現されることが一般的である。
したがって、「ワシントン条約第13条」という呼称は、NATO条約の第13条に該当する規定を指している。
・NATOからの脱退手続きには、やくざの世界で「杯を返す」ような難しさがあると言えるかもしれない。やくざの世界において、組織を抜けることや、忠誠を裏切ることは非常に困難であり、社会的、物理的なリスクが伴うのと同じように、NATOからの脱退も一国にとって大きな政治的、外交的リスクを伴うことになる。
・比較点
(1)政治的・経済的な圧力: やくざの組織から離れることには大きな代償が伴うのと同様、NATOからの脱退には多くの圧力がある。脱退した国は、経済的、軍事的に孤立する可能性があり、他の加盟国からの反発も予想される。
(2)影響の広がり: やくざが一度関わった世界から完全に抜け出すことが難しいように、NATOも非常に深い結びつきのある組織であり、その一員としての立場を完全に捨てることは、国際的な影響を大きく変える可能性がある。軍事的な協力、経済的な連携、外交的なパートナーシップなど、さまざまな分野でのつながりを一度切ることは容易ではない。
(3)過去の関与: やくざの世界でも、過去の関与があると「戻れない」とされるように、NATOにも長い間関わってきた国々にとって、その脱退は過去の戦略的な選択を否定することにもなり、非常に難しい決断を迫られることになる。
まとめ
「杯を返す」という比喩は、まさにNATOのような国際的な枠組みからの脱退における困難さをよく表していると言えるだろう。外交的、経済的なリスクを避けるためには、脱退の決断には非常に慎重な対応が求められるのである。
・日米安保条約
日米安保条約(日本とアメリカ合衆国との安全保障条約)の場合、脱退の難しさもやはりあるが、NATOとは少し異なる背景や状況がある。日米安保条約における脱退も非常に大きな政治的、外交的リスクを伴うが、その難しさは次の点でNATOからの脱退とは異なる側面を持っている。
日米安保条約の脱退における難しさ
(1)日本の安全保障の基盤
日米安保条約は、日本の安全保障政策の中心となっており、日本が直面する安全保障上の脅威(特に北朝鮮や中国など)に対して、アメリカの軍事的支援を受けることが大きな意味を持っている。このため、安保条約を破棄することは、日本の防衛体制の根本的な変更を意味する。
日本の防衛力が制約されている中で、アメリカとの同盟が重要な役割を果たしており、安保条約の脱退はその防衛体制を崩壊させる可能性があるため、現実的には非常に難しい選択肢である。
(2)政治的・経済的影響
日本が日米安保条約を一方的に破棄すると、アメリカとの関係が極端に悪化する可能性が高い。アメリカの安全保障の枠組みから外れることで、経済的な制裁や外交的な孤立が生じる恐れがある。これによって、日本の経済や国際的な立場に深刻な影響を及ぼすことになる。
(3)国民の意識と国内政治
日本国内で安保条約を破棄することには非常に高い政治的ハードルがある。過去の戦争の経験を持つ日本において、アメリカとの同盟は平和の維持に重要な役割を果たしてきたと考えられており、安保条約を廃止することは国民感情や政治的な支持を失うリスクがある。
さらに、安保条約の廃止を掲げる政治勢力は日本の外交政策に大きな変革を求めるため、その実現には国内の大きな変革が必要となる。
(4)地域安全保障への影響
日米安保条約は、アジア太平洋地域におけるアメリカの軍事的プレゼンスを確保するための柱でもある。日本が脱退すると、アメリカの戦略において重要な拠点を失うことになり、アメリカの外交政策や地域の安全保障に大きな影響を与えることになる。アメリカは、日米同盟を維持することで中国や北朝鮮の脅威に対抗し、インド太平洋地域での影響力を確保している。
(5)条約破棄の手続き
日米安保条約にも脱退に関する条項はあるが、条約を破棄するためには両国の合意が必要である。日本が一方的に破棄を申し入れる場合、その後1年以内に通告することが必要であり、その間に外交的な調整が行われることになる。しかし、アメリカとの関係を悪化させるリスクを考えると、実際には非常に難しい決断となるだろう。
(6)NATOとの違い
地域的な枠組みの違い: NATOは主にヨーロッパを中心とした軍事同盟であり、冷戦時代の西側陣営を支える役割を果たしてきたが、日米安保条約は日本の安全保障とアジア太平洋地域の安定に深く関わっている。したがって、日米安保条約を破棄することは、地域全体の安全保障に対する影響が大きく、NATOよりも日本の戦略的立場が強く関わる。
同盟国としての関係性: NATOは32か国が加盟する多国籍の防衛同盟であり、加盟国の脱退は一国にとっては重大であるが、全体に対する影響は比較的小さい場合もある。一方、日米安保条約は日本とアメリカという二国間の条約であり、脱退がもたらす影響は直接的で重大である。
(6)まとめ
日米安保条約の脱退は、NATO条約からの脱退と同様に政治的、経済的な困難が伴うが、特に日本の安全保障体制にとって極めて重要な意味を持っているため、その実現は非常に難しいと言える。また、脱退に伴うリスクが大きいため、現実的にはそのような選択肢は避けられる可能性が高い。
・アメリカによる圧力のシナリオ
日米安保条約に関して、仮に日本が脱退を試みた場合、アメリカはさまざまな手段で日本に圧力をかける可能性が高い。その背景には、アメリカが日本を重要な戦略的拠点と見なしており、日本の地理的な位置や経済的な重要性から、安保条約の維持がアメリカの利益に直結しているという事実がある。もし日本が脱退の意志を示すような場合、アメリカがどのような行動を取るか、いくつかの側面で考えられるシナリオは以下のようになる。
(1)経済的圧力
日本はアメリカにとって主要な貿易相手国であり、特に日本の自動車産業や電子機器などの産業は、アメリカの経済にも大きな影響を与えている。もし日本が安保条約を破棄すると、アメリカは経済的な制裁や貿易摩擦を強化する可能性がある。例えば、日本製品への高い関税を課すことで、経済的に日本を圧迫することが考えられる。
また、アメリカは日本への投資を制限したり、日米間の経済協力を縮小したりすることで、日本経済に対する圧力を強めることができるだろう。
(2)外交的圧力
アメリカは日本との関係を強化するため、国際舞台での日本の立場に影響を与える可能性がある。国際的な枠組み(例えば、国連やG7)で日本の立場が弱まるような手を打つかもしれない。アメリカが日本に対して強い外交的圧力をかけることで、日本は孤立するリスクを負うことになる。
また、アメリカは日本が安保条約を破棄することで、アジア太平洋地域の安定を脅かすと主張し、国際社会でその立場を訴える可能性もある。
(3)軍事的圧力
安保条約の枠組みの中で、日本にはアメリカの軍事的プレゼンスが重要な役割を果たしている。仮に日本が脱退し、アメリカの軍事的存在が日本から撤退する場合、アメリカは日本の防衛力や地域の安全保障に対して不安を抱くことになる。そのため、アメリカは日本に対して軍事的な選択肢を提示したり、他国との軍事協力を強化するような圧力をかけたりする可能性がある。
(4)防衛の依存度
・日本は防衛能力が限られており、アメリカとの安保条約によってその防衛を担保している。脱退することで日本の防衛が不安定になり、周辺国との対立が激化するリスクがある。特に、北朝鮮や中国との関係が緊迫している現状では、安保条約の破棄が日本の安全保障に重大な影響を与えることになる。
(5)アメリカとの強固な経済関係
日本とアメリカは経済的にも強い結びつきがあり、特に貿易や投資面で相互依存が深い。日米安保条約の破棄が経済面での利益にどれほどの影響を与えるかを考えると、脱退は現実的に難しいと言える。
(6)国際的な影響
日本の脱退がアジアや世界に与える影響は非常に大きく、特にアジア太平洋地域の安定にとって重要な役割を果たしている日本が安保条約を破棄することは、地域全体の安全保障環境を大きく変えることになる。その結果、国際社会からの非難や圧力が強まる可能性がある。
結論
仮に日本が日米安保条約から脱退を試みると、アメリカは経済的、外交的、軍事的な手段を駆使して日本に圧力をかけることが予想される。これらの理由から、日本が安保条約から脱退することは非常に難しく、現実的にはその実現は極めて困難であると言える。
【寸評 完】
【引用・参照・底本】
Peace on Planet Earth: Cancel Your NATO Membership. It’s Easy? “Say Goodbye” to the North Atlantic Treaty Organization (NATO)
Michel Chossudovsky 2025.04.19
https://michelchossudovsky.substack.com/p/peace-planet-earth-cancel-membership-nato?utm_source=post-email-title&publication_id=1910355&post_id=161614352&utm_campaign=email-post-title&isFreemail=true&r=2gkj&triedRedirect=true&utm_medium=email
米国が平和交渉を放棄した場合 ― 2025年04月28日 14:04
【概要】
アメリカがウクライナ紛争の平和的解決を諦める場合、アメリカとウクライナ、ロシアとの関係がどのように変化するかについての分析が行われている。
アメリカ合衆国のマルコ・ルビオ国務長官は、ウクライナ紛争の解決が不可能であると判断した場合、平和交渉の仲介を停止する可能性があると述べた。これは、ウォール・ストリート・ジャーナルの記事で、トランプ政権の使節であるスティーブ・ウィットコフ氏が「プーチンはウクライナの領土に固執しており、ロシアは一部の地域を獲得する可能性があるが、すべてではない」と語った内容と一致する。この分析は、ロシアにとって争われている土地の完全な支配がいかに重要であるかを示している。
もしアメリカがウクライナに対し、特定の地域から撤退させることを強制したり、ロシアがこの問題の解決を一時的に凍結することに合意しない限り、平和交渉において突破口を見出せない場合、アメリカは平和努力を放棄する可能性がある。その場合、アメリカとウクライナ、ロシアとの関係がどのように変化するかが問題となる。
アメリカがウクライナへの軍事支援を停止する可能性が高く、これによりロシアは利益を得るだろう。ヨーロッパ諸国は失われた支援を補うために努力するが、その規模や効果には限界があり、最終的にはゼレンスキー大統領がアメリカよりも不利な条件で合意する可能性がある。ただし、アメリカはロシアとの戦略的資源協定の交渉も中断するかもしれない。これらの交渉は「新しいデタント」の中心的な部分であったが、紛争が続く限り、アメリカはこれらの交渉を一時的に停止するだろう。
アメリカがウクライナとロシアに圧力をかけて妥協を促し、平和交渉を再開させる可能性があるが、両国はこの問題を解決する優先順位が高くないため、現時点での解決には難航している。アメリカがウクライナへの軍事支援を中断するが、ロシアとの資源交渉は続ける可能性もあるが、このシナリオは前述のバランスを取ったアプローチよりも可能性が低いとされている。
アメリカはロシアとの資源協定を結ぶために、ウクライナに対してロシアが求める譲歩を強制しようとしているが、この交渉が進まない限り、資源協定に関する制裁の緩和は容易には実現しない。そのため、アメリカは戦争が長期化する状況でも、最終的には資源協定を通じてロシアに妥協を促すための手段を維持しようとするだろう。
要するに、アメリカが平和交渉を放棄した場合、ウクライナへの支援が減少し、ロシアとの戦略的資源交渉も中断される可能性が高いが、戦争が長期化すれば再び交渉を再開する可能性もある。
【詳細】
アメリカ合衆国がウクライナ紛争の平和的解決に関する努力を放棄した場合、アメリカとウクライナ、ロシアとの関係は大きく変化する可能性がある。その詳細について、さらに掘り下げて説明する。
1. アメリカの平和努力の放棄とその背景
アメリカがウクライナ紛争の平和的解決に向けた仲介を放棄する理由は、アメリカ政府がその努力を続けることに対して疲弊し、実現可能な解決策が見つからないと判断するからである。この判断が下された場合、アメリカはウクライナに対する軍事支援を停止し、ロシアとの戦略的資源に関する交渉を中断する可能性が高い。
アメリカのマルコ・ルビオ国務長官が「平和交渉が実現不可能だと数日以内に判断した場合、アメリカは仲介を停止するかもしれない」と述べたことが取り上げられている。また、トランプ政権の使節であるスティーブ・ウィットコフ氏が、ロシアがウクライナの領土に固執していることを示唆したことも、アメリカが平和交渉を中断する可能性を高める要因となっている。ロシアは争われている土地の完全な支配を望んでおり、この土地問題が解決されない限り、アメリカが平和的解決を試みても、難航することが予想される。
2. アメリカがウクライナへの軍事支援を停止する可能性
もしアメリカが平和的解決の努力を放棄し、ウクライナへの軍事支援を停止した場合、ウクライナは大きな困難に直面するだろう。ヨーロッパ諸国はアメリカに代わる支援を試みるが、その規模や能力には限界があり、ウクライナの軍事支援は完全に代替されることはない。最終的に、ゼレンスキー大統領はロシアに対して不利な条件で合意を強いられる可能性がある。ロシアはその戦争目的を達成するため、領土の拡張を進めるだろう。
アメリカがウクライナへの軍事支援を停止することは、ロシアにとって有利な状況を生むことになり、ロシアはウクライナ領土の一部を支配することで、戦争の目的を達成する可能性が高い。
3. アメリカのロシアとの戦略的資源交渉の中断
アメリカは、ウクライナへの軍事支援を停止するだけでなく、ロシアとの戦略的資源に関する交渉も中断する可能性がある。これらの交渉は、アメリカとロシアの関係を再構築し、「新しいデタント(緊張緩和)」を実現するための重要な枠組みとされていた。しかし、ウクライナ紛争が続く限り、アメリカはこの資源協定の交渉を一時停止するだろう。
アメリカはロシアに対し、ウクライナに対する譲歩を強制する見返りに、資源協定を締結することを目指していた。この資源協定は、ロシアにとって重要な経済的利益を提供するものであり、アメリカがロシアを譲歩させるための重要な道具として機能していた。しかし、アメリカはこの交渉を停止することで、ロシアに対する圧力を弱め、ウクライナ問題の解決がない限り、戦略的資源協定を進めることはできなくなる。
4. アメリカが採る可能性のあるシナリオ
アメリカがウクライナへの支援を停止し、ロシアとの資源交渉を一時中断した場合、いくつかのシナリオが考えられる。
4.1 アメリカが「バランスの取れたアプローチ」を採る場合
一つのシナリオとして、アメリカがウクライナとロシアの双方に圧力をかけ、妥協を引き出すという「バランスの取れたアプローチ」が考えられる。この場合、アメリカはウクライナに対し、領土問題を含む一定の譲歩を迫り、ロシアに対しては経済的利益を提供することで交渉を再開させることを目指す。このシナリオは、両国に対する均等な圧力をかけ、平和交渉を再開することを促進しようとするものだ。
4.2 アメリカが軍事支援を停止し、資源交渉は継続する場合
もう一つのシナリオとして、アメリカがウクライナへの軍事支援を停止しつつ、ロシアとの資源交渉を継続する可能性がある。このシナリオは、アメリカがウクライナに対する支援を終わらせ、ロシアとの経済的取引を維持し、ロシアに対してウクライナ問題を解決するためのインセンティブを提供し続けるというものだ。しかし、このシナリオは、アメリカの制裁が資源協定を結ぶ妨げとなっており、紛争が終わらなければ交渉が進まないという現実がある。
4.3 アメリカが一時的に資源交渉を停止する場合
最も可能性が高いのは、アメリカが一時的に資源交渉を停止するシナリオである。この場合、アメリカはウクライナへの軍事支援を停止し、ロシアとの戦略的資源交渉も中断するが、紛争が長期化すれば再開する可能性がある。これは、アメリカがロシアに対して妥協を引き出すための最も強力な手段を保持するための戦略である。
結論
アメリカがウクライナ紛争の平和交渉を放棄する場合、ウクライナへの軍事支援の停止とロシアとの資源交渉の中断が起こる可能性が高い。しかし、戦争が長引く中で、アメリカは再び資源交渉を再開する可能性があり、この交渉が紛争解決に向けた重要な手段となる可能性がある。
【要点】
1.平和的解決努力の放棄
・アメリカはウクライナ紛争の平和交渉を放棄する可能性がある。
・アメリカのマルコ・ルビオ国務長官は、交渉が不可能だと判断した場合に仲介を停止する可能性を示唆。
・ロシアはウクライナの領土支配に固執しており、領土問題が解決しない限り平和的解決は難航する。
2.ウクライナへの軍事支援の停止
・アメリカがウクライナへの軍事支援を停止した場合、ウクライナは困難な状況に直面。
・ヨーロッパ諸国は支援を試みるが、アメリカほどの規模では補えない。
・ゼレンスキー大統領はロシアに不利な条件で合意を強いられる可能性がある。
3.ロシアとの戦略的資源交渉の中断
・アメリカはロシアとの戦略的資源交渉を中断する可能性。
・これらの交渉は、アメリカとロシアの関係再構築の一環として重要だったが、紛争が続く限り進められない。
・資源協定を結ぶためにはウクライナ紛争が終わる必要があり、アメリカはこの交渉を一時停止する可能性が高い。
4.考えられるシナリオ
・バランスの取れたアプローチ
・アメリカはウクライナとロシアに圧力をかけ、妥協を引き出す可能性がある。
・双方に圧力をかけ、平和交渉の再開を促進する。
5.軍事支援停止、資源交渉継続
・アメリカはウクライナへの軍事支援を停止し、ロシアとの資源交渉を続ける可能性もある。
・しかし、このシナリオでは、アメリカの制裁が資源交渉の進展を妨げる。
6.資源交渉の一時停止
・アメリカは資源交渉を一時停止する可能性が高い。
・紛争が長期化すれば、交渉再開の可能性があり、アメリカはロシアに対して妥協を引き出す手段を保持する。
7.結論
・アメリカが平和的解決努力を放棄すると、ウクライナへの支援停止とロシアとの交渉中断が起こる。
・長期化した場合、資源交渉の再開や平和的解決への再挑戦が行われる可能性がある。
【引用・参照・底本】
How Might The US’ Relations With Ukraine & Russia Change If It Abandons Its Peace Efforts? Andrew Korybko's Newsletter 2025.04.18
https://korybko.substack.com/p/how-might-the-us-relations-with-ukraine?utm_source=post-email-title&publication_id=835783&post_id=161601710&utm_campaign=email-post-title&isFreemail=true&r=2gkj&triedRedirect=true&utm_medium=email
アメリカがウクライナ紛争の平和的解決を諦める場合、アメリカとウクライナ、ロシアとの関係がどのように変化するかについての分析が行われている。
アメリカ合衆国のマルコ・ルビオ国務長官は、ウクライナ紛争の解決が不可能であると判断した場合、平和交渉の仲介を停止する可能性があると述べた。これは、ウォール・ストリート・ジャーナルの記事で、トランプ政権の使節であるスティーブ・ウィットコフ氏が「プーチンはウクライナの領土に固執しており、ロシアは一部の地域を獲得する可能性があるが、すべてではない」と語った内容と一致する。この分析は、ロシアにとって争われている土地の完全な支配がいかに重要であるかを示している。
もしアメリカがウクライナに対し、特定の地域から撤退させることを強制したり、ロシアがこの問題の解決を一時的に凍結することに合意しない限り、平和交渉において突破口を見出せない場合、アメリカは平和努力を放棄する可能性がある。その場合、アメリカとウクライナ、ロシアとの関係がどのように変化するかが問題となる。
アメリカがウクライナへの軍事支援を停止する可能性が高く、これによりロシアは利益を得るだろう。ヨーロッパ諸国は失われた支援を補うために努力するが、その規模や効果には限界があり、最終的にはゼレンスキー大統領がアメリカよりも不利な条件で合意する可能性がある。ただし、アメリカはロシアとの戦略的資源協定の交渉も中断するかもしれない。これらの交渉は「新しいデタント」の中心的な部分であったが、紛争が続く限り、アメリカはこれらの交渉を一時的に停止するだろう。
アメリカがウクライナとロシアに圧力をかけて妥協を促し、平和交渉を再開させる可能性があるが、両国はこの問題を解決する優先順位が高くないため、現時点での解決には難航している。アメリカがウクライナへの軍事支援を中断するが、ロシアとの資源交渉は続ける可能性もあるが、このシナリオは前述のバランスを取ったアプローチよりも可能性が低いとされている。
アメリカはロシアとの資源協定を結ぶために、ウクライナに対してロシアが求める譲歩を強制しようとしているが、この交渉が進まない限り、資源協定に関する制裁の緩和は容易には実現しない。そのため、アメリカは戦争が長期化する状況でも、最終的には資源協定を通じてロシアに妥協を促すための手段を維持しようとするだろう。
要するに、アメリカが平和交渉を放棄した場合、ウクライナへの支援が減少し、ロシアとの戦略的資源交渉も中断される可能性が高いが、戦争が長期化すれば再び交渉を再開する可能性もある。
【詳細】
アメリカ合衆国がウクライナ紛争の平和的解決に関する努力を放棄した場合、アメリカとウクライナ、ロシアとの関係は大きく変化する可能性がある。その詳細について、さらに掘り下げて説明する。
1. アメリカの平和努力の放棄とその背景
アメリカがウクライナ紛争の平和的解決に向けた仲介を放棄する理由は、アメリカ政府がその努力を続けることに対して疲弊し、実現可能な解決策が見つからないと判断するからである。この判断が下された場合、アメリカはウクライナに対する軍事支援を停止し、ロシアとの戦略的資源に関する交渉を中断する可能性が高い。
アメリカのマルコ・ルビオ国務長官が「平和交渉が実現不可能だと数日以内に判断した場合、アメリカは仲介を停止するかもしれない」と述べたことが取り上げられている。また、トランプ政権の使節であるスティーブ・ウィットコフ氏が、ロシアがウクライナの領土に固執していることを示唆したことも、アメリカが平和交渉を中断する可能性を高める要因となっている。ロシアは争われている土地の完全な支配を望んでおり、この土地問題が解決されない限り、アメリカが平和的解決を試みても、難航することが予想される。
2. アメリカがウクライナへの軍事支援を停止する可能性
もしアメリカが平和的解決の努力を放棄し、ウクライナへの軍事支援を停止した場合、ウクライナは大きな困難に直面するだろう。ヨーロッパ諸国はアメリカに代わる支援を試みるが、その規模や能力には限界があり、ウクライナの軍事支援は完全に代替されることはない。最終的に、ゼレンスキー大統領はロシアに対して不利な条件で合意を強いられる可能性がある。ロシアはその戦争目的を達成するため、領土の拡張を進めるだろう。
アメリカがウクライナへの軍事支援を停止することは、ロシアにとって有利な状況を生むことになり、ロシアはウクライナ領土の一部を支配することで、戦争の目的を達成する可能性が高い。
3. アメリカのロシアとの戦略的資源交渉の中断
アメリカは、ウクライナへの軍事支援を停止するだけでなく、ロシアとの戦略的資源に関する交渉も中断する可能性がある。これらの交渉は、アメリカとロシアの関係を再構築し、「新しいデタント(緊張緩和)」を実現するための重要な枠組みとされていた。しかし、ウクライナ紛争が続く限り、アメリカはこの資源協定の交渉を一時停止するだろう。
アメリカはロシアに対し、ウクライナに対する譲歩を強制する見返りに、資源協定を締結することを目指していた。この資源協定は、ロシアにとって重要な経済的利益を提供するものであり、アメリカがロシアを譲歩させるための重要な道具として機能していた。しかし、アメリカはこの交渉を停止することで、ロシアに対する圧力を弱め、ウクライナ問題の解決がない限り、戦略的資源協定を進めることはできなくなる。
4. アメリカが採る可能性のあるシナリオ
アメリカがウクライナへの支援を停止し、ロシアとの資源交渉を一時中断した場合、いくつかのシナリオが考えられる。
4.1 アメリカが「バランスの取れたアプローチ」を採る場合
一つのシナリオとして、アメリカがウクライナとロシアの双方に圧力をかけ、妥協を引き出すという「バランスの取れたアプローチ」が考えられる。この場合、アメリカはウクライナに対し、領土問題を含む一定の譲歩を迫り、ロシアに対しては経済的利益を提供することで交渉を再開させることを目指す。このシナリオは、両国に対する均等な圧力をかけ、平和交渉を再開することを促進しようとするものだ。
4.2 アメリカが軍事支援を停止し、資源交渉は継続する場合
もう一つのシナリオとして、アメリカがウクライナへの軍事支援を停止しつつ、ロシアとの資源交渉を継続する可能性がある。このシナリオは、アメリカがウクライナに対する支援を終わらせ、ロシアとの経済的取引を維持し、ロシアに対してウクライナ問題を解決するためのインセンティブを提供し続けるというものだ。しかし、このシナリオは、アメリカの制裁が資源協定を結ぶ妨げとなっており、紛争が終わらなければ交渉が進まないという現実がある。
4.3 アメリカが一時的に資源交渉を停止する場合
最も可能性が高いのは、アメリカが一時的に資源交渉を停止するシナリオである。この場合、アメリカはウクライナへの軍事支援を停止し、ロシアとの戦略的資源交渉も中断するが、紛争が長期化すれば再開する可能性がある。これは、アメリカがロシアに対して妥協を引き出すための最も強力な手段を保持するための戦略である。
結論
アメリカがウクライナ紛争の平和交渉を放棄する場合、ウクライナへの軍事支援の停止とロシアとの資源交渉の中断が起こる可能性が高い。しかし、戦争が長引く中で、アメリカは再び資源交渉を再開する可能性があり、この交渉が紛争解決に向けた重要な手段となる可能性がある。
【要点】
1.平和的解決努力の放棄
・アメリカはウクライナ紛争の平和交渉を放棄する可能性がある。
・アメリカのマルコ・ルビオ国務長官は、交渉が不可能だと判断した場合に仲介を停止する可能性を示唆。
・ロシアはウクライナの領土支配に固執しており、領土問題が解決しない限り平和的解決は難航する。
2.ウクライナへの軍事支援の停止
・アメリカがウクライナへの軍事支援を停止した場合、ウクライナは困難な状況に直面。
・ヨーロッパ諸国は支援を試みるが、アメリカほどの規模では補えない。
・ゼレンスキー大統領はロシアに不利な条件で合意を強いられる可能性がある。
3.ロシアとの戦略的資源交渉の中断
・アメリカはロシアとの戦略的資源交渉を中断する可能性。
・これらの交渉は、アメリカとロシアの関係再構築の一環として重要だったが、紛争が続く限り進められない。
・資源協定を結ぶためにはウクライナ紛争が終わる必要があり、アメリカはこの交渉を一時停止する可能性が高い。
4.考えられるシナリオ
・バランスの取れたアプローチ
・アメリカはウクライナとロシアに圧力をかけ、妥協を引き出す可能性がある。
・双方に圧力をかけ、平和交渉の再開を促進する。
5.軍事支援停止、資源交渉継続
・アメリカはウクライナへの軍事支援を停止し、ロシアとの資源交渉を続ける可能性もある。
・しかし、このシナリオでは、アメリカの制裁が資源交渉の進展を妨げる。
6.資源交渉の一時停止
・アメリカは資源交渉を一時停止する可能性が高い。
・紛争が長期化すれば、交渉再開の可能性があり、アメリカはロシアに対して妥協を引き出す手段を保持する。
7.結論
・アメリカが平和的解決努力を放棄すると、ウクライナへの支援停止とロシアとの交渉中断が起こる。
・長期化した場合、資源交渉の再開や平和的解決への再挑戦が行われる可能性がある。
【引用・参照・底本】
How Might The US’ Relations With Ukraine & Russia Change If It Abandons Its Peace Efforts? Andrew Korybko's Newsletter 2025.04.18
https://korybko.substack.com/p/how-might-the-us-relations-with-ukraine?utm_source=post-email-title&publication_id=835783&post_id=161601710&utm_campaign=email-post-title&isFreemail=true&r=2gkj&triedRedirect=true&utm_medium=email
米国のウクライナとロシアのパイプライン支配 ― 2025年04月28日 14:34
【概要】
アメリカ合衆国がウクライナを通るガスパイプラインとノードストリームパイプラインに対する支配を通じて、EUに対して多大な影響力を行使できる可能性について述べられている。具体的には、アメリカがウクライナとの資源契約の一環として、ロシアとEUを結ぶ国際的なガスパイプラインの管理権を獲得することで、EUに対する交渉のレバレッジを得る意図があるとされている。この管理権獲得の背景には、EUとの貿易戦争でアメリカに有利な譲歩を引き出すこと、またアメリカの輸出市場を安定させる目的がある。
さらに、ロシアのパイプラインガス輸出の管理をアメリカが掌握することで、ロシアに対して停戦合意を促すための財政的なインセンティブを提供し、失われた収入を回復させる狙いもある。アメリカはまた、ノードストリーム1および2の4本のパイプラインを支配することも視野に入れており、これにはEUの支配下にあるロシア資産の一部をアメリカが取得することが鍵となると考えられている。
具体的には、アメリカがロシアから押収した約50億ドルの資産を手に入れることができれば、ノードストリームパイプラインの約200億ドルのコストを補うために必要な追加の資金、15億ドル以上をEUに対して要求し、EUの拒否を受けて新たな金融取引を構築する可能性がある。こうした資産移転が進むことで、アメリカはEUに対して強力な交渉カードを手に入れることができ、貿易戦争における有利な立場を確保することができるとされている。
また、ロシアがアメリカとの経済的な協力関係を構築する意向を示す中で、アメリカがロシアに対してこれらの資産を活用することが提案されており、この資産の利用はロシアにとっても利益をもたらす可能性があると指摘されている。特に、アメリカとロシアの新たなデタント(緊張緩和)を築くための手段として、押収された資産のアメリカへの移転が有効であるとされている。
最後に、これらのエネルギー外交および金融取引を通じて、アメリカがEUに対して多大な影響力を行使できる状況が生まれると論じられており、これによりアメリカはEUに対する譲歩を引き出すための強力なレバレッジを得ることができるとされている。
【詳細】
アメリカ合衆国がウクライナを通るガスパイプラインやノードストリームパイプラインを支配することによって、EUに対して影響力を強め、その貿易戦争における交渉を有利に進める可能性について詳述されている。以下、さらに詳細にその内容を説明する。
1. アメリカのウクライナとロシアのパイプライン支配
アメリカがウクライナを通るガスパイプラインの管理権を得るために、トランプ大統領とウクライナとの間で結ばれた資源契約が重要な役割を果たす。この契約の中には、「イースターエッグ」と呼ばれる特典があり、アメリカの国際開発金融公社(IDFC)が、ロシアとEUを結ぶ国際的なガスパイプラインの管理権を握ることが含まれている。このガスパイプラインは、ロシアからEUへの重要なエネルギー供給路であり、アメリカがこのパイプラインの運営に関与することで、EUに対して強力なレバレッジを持つことができると考えられている。
2. アメリカの目的と意図
アメリカがこのような支配権を獲得する背景には、いくつかの目的がある。
・貿易戦争での有利な立場: アメリカとEUの間では、現在貿易戦争が続いており、アメリカはこの状況を利用してEUに譲歩を引き出そうとする。ガスパイプラインを支配することにより、アメリカはEUのエネルギー供給に対して影響を及ぼし、貿易戦争における交渉を有利に進めることができる。
・アメリカ経済の安定化: この支配を通じて、アメリカの輸出市場を安定させることも目指されている。EUに対する影響力を行使することで、アメリカ製品をより安定した市場で販売できるようにし、経済的な利益を得ようとする。
・ロシアに対する圧力: さらに、アメリカはロシアに対して停戦を促すインセンティブを提供しようとしている。ロシアに失われた収入を補う手段として、ガスパイプラインの管理権を握り、ロシアがエネルギー供給を再開することに見返りとして、停戦合意を取り付ける狙いがある。
3. ノードストリームパイプラインの支配
ノードストリーム1および2は、ロシアからEUへの重要なガス供給ルートであり、アメリカはこれらのパイプラインの支配をも視野に入れている。特に、ロシアの所有するこれらのパイプラインの支配を確立するためには、ウクライナのガスパイプラインを支配するための契約と異なり、異なる方法を講じる必要がある。
・EUに対する圧力: アメリカは、EUが保有するロシアの資産を利用して、ノードストリームパイプラインのコスト(約200億ドル)を補うために、追加の資金を引き出そうとする。この資金は、アメリカがEUに対して金融的なプレッシャーをかける手段として活用される可能性がある。
・押収されたロシア資産の移転: ロシアから押収された資産(約3000億ドル)の一部を、アメリカが受け取る形に転換することが提案されている。これにより、アメリカはEUの支配下にあるロシアの資産を自国に移転させ、それを大規模な購入に活用することができる。このプロセスは、アメリカとロシアの経済的な協力関係を深化させ、双方に利益をもたらすとされている。
4. EUとロシアの関係
EUは、ロシアからのエネルギー供給に依存しているが、ウクライナ戦争などを受けて、ロシアとの関係が冷え込んでいる。アメリカは、EUがロシアとの関係を見直す中で、アメリカのエネルギー供給を強化し、ロシアに対して経済的圧力をかける手段を講じている。また、EUがロシアの資産を解放することを拒否した場合、アメリカは新たな金融取引を通じてその資産をアメリカに移すことを計画している。
5. アメリカとロシアの「新たなデタント」
この記事の中で言及されている「新たなデタント」とは、アメリカとロシアが緊張を緩和し、新たな経済的パートナーシップを築く過程を指している。ロシアは、アメリカが押収した資産を完全には取り戻せないと認識しており、その一部をアメリカが利用することに対して受け入れる可能性がある。この過程で、アメリカはロシアに対して新たな経済的な協力関係を提供し、その見返りとして戦争の終結を促すことが目指されている。
結論
このように、アメリカがガスパイプラインやロシア資産の支配を通じてEUに対する影響力を強め、EUとの貿易戦争を有利に進める戦略が示唆されている。また、ロシアとの関係改善のために、アメリカがロシアに対して経済的なインセンティブを提供する形で、戦争の終結を促す可能性があると論じられている。
【要点】
1.アメリカの目的
・ウクライナを通るガスパイプラインの管理権を獲得: アメリカは、トランプ大統領とウクライナとの契約を通じて、ロシアからEUへのガス供給を支配することを目指す。
・EUとの貿易戦争での有利な立場確保: アメリカは、この支配権を利用してEUに対する交渉で有利な立場を確保し、譲歩を引き出すことを狙う。
・アメリカ経済の安定化: EUに対する影響力を行使して、アメリカ製品を安定した市場で販売できるようにする。
・ロシアへの圧力: ガスパイプラインの支配を通じて、ロシアに停戦を促し、エネルギー供給を再開させることで収入を補う。
2.ノードストリームパイプライン:
・ロシア所有のノードストリームの支配: アメリカは、ロシアからEUへのガス供給を行っているノードストリーム1・2の支配をも視野に入れている。
・EUからの圧力: EUが保有するロシアの資産を利用して、ノードストリームパイプラインのコスト(約200億ドル)を補うための資金を引き出す。
3.押収されたロシア資産:
・資産移転の提案: アメリカは、ロシアから押収した約3000億ドルの資産の一部をアメリカに移転し、それを大規模な購入に活用する計画。
・EUの支配下にあるロシア資産: EUがロシア資産の解放を拒否した場合、アメリカは新たな金融取引を通じてその資産をアメリカに移転させる。
4.新たなロシア-USデタント
・経済的協力の再構築: アメリカとロシアの間で緊張を緩和し、経済的な協力関係を築く「新たなデタント」が進行中。
・ロシアの受け入れ: ロシアはアメリカに押収された資産の完全な返還を期待していないが、一部をアメリカと共に利用することを受け入れる可能性がある。
5.戦争終結へのインセンティブ:
・ロシアへのインセンティブ提供: アメリカはロシアに対し、戦争終結のインセンティブとして経済的な提案を行い、停戦を促すことを目指している。
【引用・参照・底本】
Here’s How Gas Pipelines & Seized Russian Assets Could Give The US Lots Of Leverage Over The EU Andrew Korybko's Newsletter 2025.04.18
https://korybko.substack.com/p/heres-how-gas-pipelines-and-seized?utm_source=post-email-title&publication_id=835783&post_id=161594795&utm_campaign=email-post-title&isFreemail=true&r=2gkj&triedRedirect=true&utm_medium=email
アメリカ合衆国がウクライナを通るガスパイプラインとノードストリームパイプラインに対する支配を通じて、EUに対して多大な影響力を行使できる可能性について述べられている。具体的には、アメリカがウクライナとの資源契約の一環として、ロシアとEUを結ぶ国際的なガスパイプラインの管理権を獲得することで、EUに対する交渉のレバレッジを得る意図があるとされている。この管理権獲得の背景には、EUとの貿易戦争でアメリカに有利な譲歩を引き出すこと、またアメリカの輸出市場を安定させる目的がある。
さらに、ロシアのパイプラインガス輸出の管理をアメリカが掌握することで、ロシアに対して停戦合意を促すための財政的なインセンティブを提供し、失われた収入を回復させる狙いもある。アメリカはまた、ノードストリーム1および2の4本のパイプラインを支配することも視野に入れており、これにはEUの支配下にあるロシア資産の一部をアメリカが取得することが鍵となると考えられている。
具体的には、アメリカがロシアから押収した約50億ドルの資産を手に入れることができれば、ノードストリームパイプラインの約200億ドルのコストを補うために必要な追加の資金、15億ドル以上をEUに対して要求し、EUの拒否を受けて新たな金融取引を構築する可能性がある。こうした資産移転が進むことで、アメリカはEUに対して強力な交渉カードを手に入れることができ、貿易戦争における有利な立場を確保することができるとされている。
また、ロシアがアメリカとの経済的な協力関係を構築する意向を示す中で、アメリカがロシアに対してこれらの資産を活用することが提案されており、この資産の利用はロシアにとっても利益をもたらす可能性があると指摘されている。特に、アメリカとロシアの新たなデタント(緊張緩和)を築くための手段として、押収された資産のアメリカへの移転が有効であるとされている。
最後に、これらのエネルギー外交および金融取引を通じて、アメリカがEUに対して多大な影響力を行使できる状況が生まれると論じられており、これによりアメリカはEUに対する譲歩を引き出すための強力なレバレッジを得ることができるとされている。
【詳細】
アメリカ合衆国がウクライナを通るガスパイプラインやノードストリームパイプラインを支配することによって、EUに対して影響力を強め、その貿易戦争における交渉を有利に進める可能性について詳述されている。以下、さらに詳細にその内容を説明する。
1. アメリカのウクライナとロシアのパイプライン支配
アメリカがウクライナを通るガスパイプラインの管理権を得るために、トランプ大統領とウクライナとの間で結ばれた資源契約が重要な役割を果たす。この契約の中には、「イースターエッグ」と呼ばれる特典があり、アメリカの国際開発金融公社(IDFC)が、ロシアとEUを結ぶ国際的なガスパイプラインの管理権を握ることが含まれている。このガスパイプラインは、ロシアからEUへの重要なエネルギー供給路であり、アメリカがこのパイプラインの運営に関与することで、EUに対して強力なレバレッジを持つことができると考えられている。
2. アメリカの目的と意図
アメリカがこのような支配権を獲得する背景には、いくつかの目的がある。
・貿易戦争での有利な立場: アメリカとEUの間では、現在貿易戦争が続いており、アメリカはこの状況を利用してEUに譲歩を引き出そうとする。ガスパイプラインを支配することにより、アメリカはEUのエネルギー供給に対して影響を及ぼし、貿易戦争における交渉を有利に進めることができる。
・アメリカ経済の安定化: この支配を通じて、アメリカの輸出市場を安定させることも目指されている。EUに対する影響力を行使することで、アメリカ製品をより安定した市場で販売できるようにし、経済的な利益を得ようとする。
・ロシアに対する圧力: さらに、アメリカはロシアに対して停戦を促すインセンティブを提供しようとしている。ロシアに失われた収入を補う手段として、ガスパイプラインの管理権を握り、ロシアがエネルギー供給を再開することに見返りとして、停戦合意を取り付ける狙いがある。
3. ノードストリームパイプラインの支配
ノードストリーム1および2は、ロシアからEUへの重要なガス供給ルートであり、アメリカはこれらのパイプラインの支配をも視野に入れている。特に、ロシアの所有するこれらのパイプラインの支配を確立するためには、ウクライナのガスパイプラインを支配するための契約と異なり、異なる方法を講じる必要がある。
・EUに対する圧力: アメリカは、EUが保有するロシアの資産を利用して、ノードストリームパイプラインのコスト(約200億ドル)を補うために、追加の資金を引き出そうとする。この資金は、アメリカがEUに対して金融的なプレッシャーをかける手段として活用される可能性がある。
・押収されたロシア資産の移転: ロシアから押収された資産(約3000億ドル)の一部を、アメリカが受け取る形に転換することが提案されている。これにより、アメリカはEUの支配下にあるロシアの資産を自国に移転させ、それを大規模な購入に活用することができる。このプロセスは、アメリカとロシアの経済的な協力関係を深化させ、双方に利益をもたらすとされている。
4. EUとロシアの関係
EUは、ロシアからのエネルギー供給に依存しているが、ウクライナ戦争などを受けて、ロシアとの関係が冷え込んでいる。アメリカは、EUがロシアとの関係を見直す中で、アメリカのエネルギー供給を強化し、ロシアに対して経済的圧力をかける手段を講じている。また、EUがロシアの資産を解放することを拒否した場合、アメリカは新たな金融取引を通じてその資産をアメリカに移すことを計画している。
5. アメリカとロシアの「新たなデタント」
この記事の中で言及されている「新たなデタント」とは、アメリカとロシアが緊張を緩和し、新たな経済的パートナーシップを築く過程を指している。ロシアは、アメリカが押収した資産を完全には取り戻せないと認識しており、その一部をアメリカが利用することに対して受け入れる可能性がある。この過程で、アメリカはロシアに対して新たな経済的な協力関係を提供し、その見返りとして戦争の終結を促すことが目指されている。
結論
このように、アメリカがガスパイプラインやロシア資産の支配を通じてEUに対する影響力を強め、EUとの貿易戦争を有利に進める戦略が示唆されている。また、ロシアとの関係改善のために、アメリカがロシアに対して経済的なインセンティブを提供する形で、戦争の終結を促す可能性があると論じられている。
【要点】
1.アメリカの目的
・ウクライナを通るガスパイプラインの管理権を獲得: アメリカは、トランプ大統領とウクライナとの契約を通じて、ロシアからEUへのガス供給を支配することを目指す。
・EUとの貿易戦争での有利な立場確保: アメリカは、この支配権を利用してEUに対する交渉で有利な立場を確保し、譲歩を引き出すことを狙う。
・アメリカ経済の安定化: EUに対する影響力を行使して、アメリカ製品を安定した市場で販売できるようにする。
・ロシアへの圧力: ガスパイプラインの支配を通じて、ロシアに停戦を促し、エネルギー供給を再開させることで収入を補う。
2.ノードストリームパイプライン:
・ロシア所有のノードストリームの支配: アメリカは、ロシアからEUへのガス供給を行っているノードストリーム1・2の支配をも視野に入れている。
・EUからの圧力: EUが保有するロシアの資産を利用して、ノードストリームパイプラインのコスト(約200億ドル)を補うための資金を引き出す。
3.押収されたロシア資産:
・資産移転の提案: アメリカは、ロシアから押収した約3000億ドルの資産の一部をアメリカに移転し、それを大規模な購入に活用する計画。
・EUの支配下にあるロシア資産: EUがロシア資産の解放を拒否した場合、アメリカは新たな金融取引を通じてその資産をアメリカに移転させる。
4.新たなロシア-USデタント
・経済的協力の再構築: アメリカとロシアの間で緊張を緩和し、経済的な協力関係を築く「新たなデタント」が進行中。
・ロシアの受け入れ: ロシアはアメリカに押収された資産の完全な返還を期待していないが、一部をアメリカと共に利用することを受け入れる可能性がある。
5.戦争終結へのインセンティブ:
・ロシアへのインセンティブ提供: アメリカはロシアに対し、戦争終結のインセンティブとして経済的な提案を行い、停戦を促すことを目指している。
【引用・参照・底本】
Here’s How Gas Pipelines & Seized Russian Assets Could Give The US Lots Of Leverage Over The EU Andrew Korybko's Newsletter 2025.04.18
https://korybko.substack.com/p/heres-how-gas-pipelines-and-seized?utm_source=post-email-title&publication_id=835783&post_id=161594795&utm_campaign=email-post-title&isFreemail=true&r=2gkj&triedRedirect=true&utm_medium=email