インドとパキスタンの間で緊張がさらに高まる ― 2025年05月11日 17:48
【概要】
2025年5月9日、インドとパキスタンの間で緊張がさらに高まり、カシミール地域における一連の衝突による死者数は50人を超えた。インドはパキスタンからの新たなドローンおよび砲撃攻撃を撃退したと発表したが、パキスタン側は攻撃を否定し、事態の非エスカレーションには応じないとの立場を示した上で、インドの「無謀な行動」が両国を「重大な衝突」に近づけたと非難した。
今回の衝突は、先月インド支配下のカシミール・パハルガームで発生した観光客襲撃事件(死者26人)を契機としている。インド政府はこの事件についてパキスタンが支援していると主張し、報復として5月8日に「テロリストの拠点」とされるパキスタン領内を空爆、これにより20人以上の民間人が死亡した。パキスタンはこの空爆を受けて、同国への損害に見合う「相応の報復」を行うと宣言した。
その後、両軍は連日交戦を続け、インド側はパキスタンのドローンおよび砲撃を「撃退」したと報告している。パキスタン側は、自国への攻撃で少なくとも5人(2歳児を含む)の民間人が死亡したと主張している。一方、インド側でも1人の女性が死亡、2人の男性が負傷したと伝えられている。
両国はそれぞれ、無人機の撃墜や航空機の撃墜を発表しており、パキスタン軍は過去2日間でインドのドローン77機を撃墜したと述べ、インド側は300~400機のドローンが領空侵犯を試みたと報告している。さらに、パキスタンはインドの戦闘機5機を撃墜したと主張しているが、インド側はこの件に対して公式な反応を示していない。
市民の声として、パキスタン支配下のカシミール・ムザファラバードに住む15歳の少年は「このような残虐行為をカシミールの若者は決して忘れない」と述べ、インド支配下のジャンムーに住む21歳の学生は「自国民に対する攻撃への正当な報復である」と語っている。
事態の悪化により、カシミール両側およびパンジャブ州では学校が休校となり、数千万の児童・生徒に影響が出ている。航空便の迂回・欠航が相次ぎ、インドでは24の空港が閉鎖された。国内最大のクリケット大会であるインド・プレミアリーグ(IPL)も、ダラムサラでの試合中止を受けて1週間の中断を発表した。
また、パキスタン・スーパーリーグ(PSL)もインドのドローンによるラーワルピンディ・スタジアムへの攻撃を受け、UAEへの移転が決定された。
国際的には、アメリカのJD・ヴァンス副大統領が両国に対し自制を呼びかける一方で、「この戦争はアメリカの関与すべき問題ではない」と明言した。イランのアッバース・アラーグチ外相は、パキスタン訪問に続き、ニューデリーでインドのジャイシャンカル外相と会談し、仲介の意向を示している。国際的な仲介や人道的介入への期待が高まる一方で、国際危機グループは「諸外国の対応には無関心さが見られる」と指摘している。アムネスティ・インターナショナルは「双方は民間人保護のためにあらゆる措置を講じるべきである」と声明を出している。
このように、カシミールをめぐる緊張は重大な軍事衝突の一歩手前にまで至っており、今後の展開に対する国際社会の注視が必要とされる。
【詳細】
1. 概要
2025年5月9日、インドとパキスタンの間で、カシミール地方における軍事的衝突が激化しており、死者数は50人を超えたと報告されている。双方がミサイル、無人機(ドローン)、砲撃による攻撃を繰り返しており、地域は事実上の準戦時状態にある。パキスタンはインドの行動を「無謀」と非難し、「核保有国同士を重大な衝突に近づけている」と述べている。
2. 事の発端
衝突の発端は、4月にインド支配下のカシミール地方・パハルガームで発生した襲撃事件である。この事件では、観光客26人が死亡しており、その多くはヒンドゥー教徒であった。インドは、この攻撃にパキスタンが関与していると主張し、パキスタンを拠点とする武装組織「ラシュカレ・トイバ(Lashkar-e-Taiba)」の犯行であると断定した。これに対してパキスタン政府は関与を否定した。
3. インドの報復措置
インドは5月8日にパキスタン領内の「テロリスト・キャンプ」を標的とした空爆を実施した。この空爆により、パキスタン側では20人以上の民間人が死亡したと報告されている。これが契機となり、両国の間で激しい交戦が始まった。
4. 軍事的応酬
5月9日時点で、以下の軍事的状況が確認されている:
・パキスタン側の発表によれば、インドによる空爆や砲撃により50人以上が死亡しており、うち子どもも含まれている。
・一方、インドはパキスタンの無人機攻撃や砲撃を「撃退した」と主張し、「相応の報復を行った」と述べている。
・パキスタン軍は、インドの無人機77機を撃墜したと発表しており、その残骸は国内各地で確認されているという。
・インドは、300~400機の無人機が領内に侵入しようとしたと主張し、パキスタン軍が軍施設3か所を標的にしたと非難した。
・パキスタン側は、5機のインド空軍機を撃墜したと発表したが、インド政府はこれに関する公式な応答をしていない。
5. 民間への影響
・両国のカシミール支配地域およびパンジャーブ州では、学校が閉鎖された。
・国際航空便はインド・パキスタン国境上空を避けるルートに変更され、多くの便が欠航または遅延している。
・インドは24か所の空港を閉鎖したが、5月10日には一部再開する見込みである。
・インド国内で開催中のインディアン・プレミアリーグ(IPL)は、爆発が報告されたダラムシャーラーでの試合中止を受け、1週間の中断が発表された。
・パキスタン・スーパーリーグ(PSL)は、ラーワルピンディーのスタジアムがインドの無人機攻撃を受けたことにより、UAEへの移転を決定した。
6. 国際社会の対応
・アメリカのJD・ヴァンス副大統領は「エスカレーションを回避すべき」と呼びかけたが、米国は「この戦争の当事者ではない」として直接的関与を否定した。
・イランの外相アッバース・アラグチは、パキスタン訪問に続き、ニューデリーでインドのジャイシャンカル外相と会談した。
・複数の国が仲介の意思を示しているが、国際危機グループは「主要国はこの戦争の可能性に無関心である」と警告した。
・アムネスティ・インターナショナルは、「全ての当事者は民間人を保護し、被害を最小限に抑える措置をとるべきである」と訴えている。
7. 歴史的背景と現状の重要性
カシミール地方は1947年のインド・パキスタン分離独立以降、両国間で三度の戦争の引き金となった係争地である。2019年、インド政府が同地域の特別自治権を撤廃したことにより、武装勢力の活動が活発化していた。今回の衝突は過去数十年で最悪の水準に達しており、双方の核保有国としての立場からも、世界的な注目が集まっている。
【要点】
発端と背景
・2025年4月、インド支配下のカシミール(パハルガーム)で襲撃事件発生
⇨ヒンドゥー教徒の観光客26人が死亡
・インドは、パキスタンを拠点とする武装組織「ラシュカレ・トイバ」による犯行と断定
・パキスタン政府は関与を否定
インドの報復措置
・インドは5月8日、パキスタン領内の「テロリスト拠点」を空爆
・パキスタンによると、民間人を含む20人以上が死亡
軍事的衝突の激化
・双方による無人機(ドローン)、空爆、砲撃が交錯
・パキスタンはインドのドローン77機を撃墜と発表
・インドは300~400機のパキスタン製無人機が領空に侵入と主張
・パキスタン軍はインドの軍施設3か所を攻撃したと述べた
・パキスタンはインド軍機5機を撃墜と主張(インドは認めていない)
・死者数は両国あわせて50人を超える
民間への影響
・インドとパキスタンの国境付近の学校が閉鎖
・インドは24の空港を一時閉鎖(一部は5月10日より再開予定)
・航空各社がインド・パキスタン上空を避ける航路に変更
・インドのIPL(インディアン・プレミアリーグ)が一時中断
・パキスタンのPSL(パキスタン・スーパーリーグ)はUAEへ移転
→ ラーワルピンディーのスタジアムが攻撃を受けたため
国際的対応
・米副大統領JD・ヴァンスは「エスカレーションを回避せよ」と発言
⇨ただし「米国は戦争の当事者ではない」と明言
・イラン外相アッバース・アラグチが両国を訪問し仲裁を試みる
・国際危機グループは「主要国は関心が薄い」と懸念表明
・アムネスティは「民間人保護」を各国に要求
歴史的背景
・カシミールは1947年の分離独立以来、印パ間の争点
・両国はこれまでにカシミールを巡って3度の戦争を経験
・2019年、インドはカシミールの特別自治権を撤廃し緊張が再燃
【桃源寸評】
1.プーチンが30日間の停戦を“偽装”と見なしているという見方について
・実際にプーチンは、欧米やウクライナによる「30日間の無条件停戦」要求を即座に拒否しており、それを「最後通牒」として退けている。
・また、彼は過去の停戦提案(復活祭停戦、5月記念停戦)を持ち出して、「ロシアこそ停戦を提案してきたが、相手側が応じなかった」と主張している。
・これは、ミンスク合意(2014・2015年)において停戦合意が十分に履行されず、結果的にウクライナ側が軍備強化の猶予を得たとされる経緯を想起させるとする見方もある。
➢ 欧州指導者自身の証言(重要)
・2022年以降、独元首相メルケル、仏元大統領オランド、そしてウクライナ元大統領ポロシェンコらは、次のような趣旨の発言を行っている:
「ミンスク合意はウクライナに時間を与えるためのものだった。軍を再建し、西側との協力を進める時間を稼ぐ意図があった。」
・これに対しロシア側は激しく反発し、「合意が西側の策略だった」との認識を強めた。
・よって、プーチンは停戦提案そのものを“相手の欺瞞”と捉え、自身は「根本原因の除去」を強調している。
2. ゼレンスキーがトランプの和平案に乗らない可能性について
・ゼレンスキー大統領は、「領土の割譲」や「NATO断念」を含む和平案にはこれまで一貫して反対してきた。
・トランプ大統領は、再選された場合には「24時間以内に戦争を終わらせる」と宣言していたが、その中身は不透明であり、実質的にロシア寄りの条件を容認する形になっているとの懸念もある。
・ゼレンスキーにとって、こうした和平案を受け入れることは、
⇨国家主権の放棄
⇨ロシアによる侵略の既成事実化
⇨国民からの強い反発
⇨自らの政治的正統性の崩壊
を意味するため、和平=政治生命の終わりという見方には一定の説得力がある。
・戦争指導者はしばしば、「戦争継続こそが自らの延命策」となりがちである。
・ロシア側も、「和平を望んでいるのは我々で、ウクライナが拒否している」との印象操作を継続している。
・逆にウクライナ側は、「和平交渉とはロシアによる再侵略の口実である」とみなしており、戦争継続=国家存続の条件と認識している。
【引用・参照・底本】
Pakistan blames India for 'reckless conduct' as death toll in Kashmir clashes tops 50 FRANCE24 2025.05.09
https://www.france24.com/en/asia-pacific/20250509-india-accuses-pakistan-of-launching-fresh-drone-and-artillery-attacks?utm_medium=email&utm_campaign=newsletter&utm_source=f24-nl-info-en&utm_email_send_date=%2020250509&utm_email_recipient=263407&utm_email_link=contenus&_ope=eyJndWlkIjoiYWU3N2I1MjkzZWQ3MzhmMjFlZjM2YzdkNjFmNTNiNWEifQ%3D%3D
2025年5月9日、インドとパキスタンの間で緊張がさらに高まり、カシミール地域における一連の衝突による死者数は50人を超えた。インドはパキスタンからの新たなドローンおよび砲撃攻撃を撃退したと発表したが、パキスタン側は攻撃を否定し、事態の非エスカレーションには応じないとの立場を示した上で、インドの「無謀な行動」が両国を「重大な衝突」に近づけたと非難した。
今回の衝突は、先月インド支配下のカシミール・パハルガームで発生した観光客襲撃事件(死者26人)を契機としている。インド政府はこの事件についてパキスタンが支援していると主張し、報復として5月8日に「テロリストの拠点」とされるパキスタン領内を空爆、これにより20人以上の民間人が死亡した。パキスタンはこの空爆を受けて、同国への損害に見合う「相応の報復」を行うと宣言した。
その後、両軍は連日交戦を続け、インド側はパキスタンのドローンおよび砲撃を「撃退」したと報告している。パキスタン側は、自国への攻撃で少なくとも5人(2歳児を含む)の民間人が死亡したと主張している。一方、インド側でも1人の女性が死亡、2人の男性が負傷したと伝えられている。
両国はそれぞれ、無人機の撃墜や航空機の撃墜を発表しており、パキスタン軍は過去2日間でインドのドローン77機を撃墜したと述べ、インド側は300~400機のドローンが領空侵犯を試みたと報告している。さらに、パキスタンはインドの戦闘機5機を撃墜したと主張しているが、インド側はこの件に対して公式な反応を示していない。
市民の声として、パキスタン支配下のカシミール・ムザファラバードに住む15歳の少年は「このような残虐行為をカシミールの若者は決して忘れない」と述べ、インド支配下のジャンムーに住む21歳の学生は「自国民に対する攻撃への正当な報復である」と語っている。
事態の悪化により、カシミール両側およびパンジャブ州では学校が休校となり、数千万の児童・生徒に影響が出ている。航空便の迂回・欠航が相次ぎ、インドでは24の空港が閉鎖された。国内最大のクリケット大会であるインド・プレミアリーグ(IPL)も、ダラムサラでの試合中止を受けて1週間の中断を発表した。
また、パキスタン・スーパーリーグ(PSL)もインドのドローンによるラーワルピンディ・スタジアムへの攻撃を受け、UAEへの移転が決定された。
国際的には、アメリカのJD・ヴァンス副大統領が両国に対し自制を呼びかける一方で、「この戦争はアメリカの関与すべき問題ではない」と明言した。イランのアッバース・アラーグチ外相は、パキスタン訪問に続き、ニューデリーでインドのジャイシャンカル外相と会談し、仲介の意向を示している。国際的な仲介や人道的介入への期待が高まる一方で、国際危機グループは「諸外国の対応には無関心さが見られる」と指摘している。アムネスティ・インターナショナルは「双方は民間人保護のためにあらゆる措置を講じるべきである」と声明を出している。
このように、カシミールをめぐる緊張は重大な軍事衝突の一歩手前にまで至っており、今後の展開に対する国際社会の注視が必要とされる。
【詳細】
1. 概要
2025年5月9日、インドとパキスタンの間で、カシミール地方における軍事的衝突が激化しており、死者数は50人を超えたと報告されている。双方がミサイル、無人機(ドローン)、砲撃による攻撃を繰り返しており、地域は事実上の準戦時状態にある。パキスタンはインドの行動を「無謀」と非難し、「核保有国同士を重大な衝突に近づけている」と述べている。
2. 事の発端
衝突の発端は、4月にインド支配下のカシミール地方・パハルガームで発生した襲撃事件である。この事件では、観光客26人が死亡しており、その多くはヒンドゥー教徒であった。インドは、この攻撃にパキスタンが関与していると主張し、パキスタンを拠点とする武装組織「ラシュカレ・トイバ(Lashkar-e-Taiba)」の犯行であると断定した。これに対してパキスタン政府は関与を否定した。
3. インドの報復措置
インドは5月8日にパキスタン領内の「テロリスト・キャンプ」を標的とした空爆を実施した。この空爆により、パキスタン側では20人以上の民間人が死亡したと報告されている。これが契機となり、両国の間で激しい交戦が始まった。
4. 軍事的応酬
5月9日時点で、以下の軍事的状況が確認されている:
・パキスタン側の発表によれば、インドによる空爆や砲撃により50人以上が死亡しており、うち子どもも含まれている。
・一方、インドはパキスタンの無人機攻撃や砲撃を「撃退した」と主張し、「相応の報復を行った」と述べている。
・パキスタン軍は、インドの無人機77機を撃墜したと発表しており、その残骸は国内各地で確認されているという。
・インドは、300~400機の無人機が領内に侵入しようとしたと主張し、パキスタン軍が軍施設3か所を標的にしたと非難した。
・パキスタン側は、5機のインド空軍機を撃墜したと発表したが、インド政府はこれに関する公式な応答をしていない。
5. 民間への影響
・両国のカシミール支配地域およびパンジャーブ州では、学校が閉鎖された。
・国際航空便はインド・パキスタン国境上空を避けるルートに変更され、多くの便が欠航または遅延している。
・インドは24か所の空港を閉鎖したが、5月10日には一部再開する見込みである。
・インド国内で開催中のインディアン・プレミアリーグ(IPL)は、爆発が報告されたダラムシャーラーでの試合中止を受け、1週間の中断が発表された。
・パキスタン・スーパーリーグ(PSL)は、ラーワルピンディーのスタジアムがインドの無人機攻撃を受けたことにより、UAEへの移転を決定した。
6. 国際社会の対応
・アメリカのJD・ヴァンス副大統領は「エスカレーションを回避すべき」と呼びかけたが、米国は「この戦争の当事者ではない」として直接的関与を否定した。
・イランの外相アッバース・アラグチは、パキスタン訪問に続き、ニューデリーでインドのジャイシャンカル外相と会談した。
・複数の国が仲介の意思を示しているが、国際危機グループは「主要国はこの戦争の可能性に無関心である」と警告した。
・アムネスティ・インターナショナルは、「全ての当事者は民間人を保護し、被害を最小限に抑える措置をとるべきである」と訴えている。
7. 歴史的背景と現状の重要性
カシミール地方は1947年のインド・パキスタン分離独立以降、両国間で三度の戦争の引き金となった係争地である。2019年、インド政府が同地域の特別自治権を撤廃したことにより、武装勢力の活動が活発化していた。今回の衝突は過去数十年で最悪の水準に達しており、双方の核保有国としての立場からも、世界的な注目が集まっている。
【要点】
発端と背景
・2025年4月、インド支配下のカシミール(パハルガーム)で襲撃事件発生
⇨ヒンドゥー教徒の観光客26人が死亡
・インドは、パキスタンを拠点とする武装組織「ラシュカレ・トイバ」による犯行と断定
・パキスタン政府は関与を否定
インドの報復措置
・インドは5月8日、パキスタン領内の「テロリスト拠点」を空爆
・パキスタンによると、民間人を含む20人以上が死亡
軍事的衝突の激化
・双方による無人機(ドローン)、空爆、砲撃が交錯
・パキスタンはインドのドローン77機を撃墜と発表
・インドは300~400機のパキスタン製無人機が領空に侵入と主張
・パキスタン軍はインドの軍施設3か所を攻撃したと述べた
・パキスタンはインド軍機5機を撃墜と主張(インドは認めていない)
・死者数は両国あわせて50人を超える
民間への影響
・インドとパキスタンの国境付近の学校が閉鎖
・インドは24の空港を一時閉鎖(一部は5月10日より再開予定)
・航空各社がインド・パキスタン上空を避ける航路に変更
・インドのIPL(インディアン・プレミアリーグ)が一時中断
・パキスタンのPSL(パキスタン・スーパーリーグ)はUAEへ移転
→ ラーワルピンディーのスタジアムが攻撃を受けたため
国際的対応
・米副大統領JD・ヴァンスは「エスカレーションを回避せよ」と発言
⇨ただし「米国は戦争の当事者ではない」と明言
・イラン外相アッバース・アラグチが両国を訪問し仲裁を試みる
・国際危機グループは「主要国は関心が薄い」と懸念表明
・アムネスティは「民間人保護」を各国に要求
歴史的背景
・カシミールは1947年の分離独立以来、印パ間の争点
・両国はこれまでにカシミールを巡って3度の戦争を経験
・2019年、インドはカシミールの特別自治権を撤廃し緊張が再燃
【桃源寸評】
1.プーチンが30日間の停戦を“偽装”と見なしているという見方について
・実際にプーチンは、欧米やウクライナによる「30日間の無条件停戦」要求を即座に拒否しており、それを「最後通牒」として退けている。
・また、彼は過去の停戦提案(復活祭停戦、5月記念停戦)を持ち出して、「ロシアこそ停戦を提案してきたが、相手側が応じなかった」と主張している。
・これは、ミンスク合意(2014・2015年)において停戦合意が十分に履行されず、結果的にウクライナ側が軍備強化の猶予を得たとされる経緯を想起させるとする見方もある。
➢ 欧州指導者自身の証言(重要)
・2022年以降、独元首相メルケル、仏元大統領オランド、そしてウクライナ元大統領ポロシェンコらは、次のような趣旨の発言を行っている:
「ミンスク合意はウクライナに時間を与えるためのものだった。軍を再建し、西側との協力を進める時間を稼ぐ意図があった。」
・これに対しロシア側は激しく反発し、「合意が西側の策略だった」との認識を強めた。
・よって、プーチンは停戦提案そのものを“相手の欺瞞”と捉え、自身は「根本原因の除去」を強調している。
2. ゼレンスキーがトランプの和平案に乗らない可能性について
・ゼレンスキー大統領は、「領土の割譲」や「NATO断念」を含む和平案にはこれまで一貫して反対してきた。
・トランプ大統領は、再選された場合には「24時間以内に戦争を終わらせる」と宣言していたが、その中身は不透明であり、実質的にロシア寄りの条件を容認する形になっているとの懸念もある。
・ゼレンスキーにとって、こうした和平案を受け入れることは、
⇨国家主権の放棄
⇨ロシアによる侵略の既成事実化
⇨国民からの強い反発
⇨自らの政治的正統性の崩壊
を意味するため、和平=政治生命の終わりという見方には一定の説得力がある。
・戦争指導者はしばしば、「戦争継続こそが自らの延命策」となりがちである。
・ロシア側も、「和平を望んでいるのは我々で、ウクライナが拒否している」との印象操作を継続している。
・逆にウクライナ側は、「和平交渉とはロシアによる再侵略の口実である」とみなしており、戦争継続=国家存続の条件と認識している。
【引用・参照・底本】
Pakistan blames India for 'reckless conduct' as death toll in Kashmir clashes tops 50 FRANCE24 2025.05.09
https://www.france24.com/en/asia-pacific/20250509-india-accuses-pakistan-of-launching-fresh-drone-and-artillery-attacks?utm_medium=email&utm_campaign=newsletter&utm_source=f24-nl-info-en&utm_email_send_date=%2020250509&utm_email_recipient=263407&utm_email_link=contenus&_ope=eyJndWlkIjoiYWU3N2I1MjkzZWQ3MzhmMjFlZjM2YzdkNjFmNTNiNWEifQ%3D%3D