中国のコンパクト核融合プロジェクト2025年10月05日 22:45

Geminiで作成
【概要】

 核融合エネルギーは太陽の核融合過程を地上で再現する技術として、理想的な「究極のエネルギー源」と称されている。中国安徽省合肥市において建設中の燃焼プラズマ実験超伝導トカマク(BEST)は、世界初の核融合発電実証を目指すコンパクト核融合実験装置である。2025年10月1日、BESTプロジェクトは最初の主要構成部品であるデュワーベースの設置に成功し、重要な節目を迎えた。本稿では、この技術的達成の詳細とプロジェクトの現状について報告する。  

【詳細】 

 プロジェクトの特徴と進捗状況

 BESTは従来の核融合実験装置とは異なり、重水素-三重水素プラズマの実際の「燃焼」を実証するよう設計されている。本プロジェクトは2025年5月に本格的な組立作業が開始され、以降大きな注目を集めている。

 デュワーの機能と重要性

 BEST装置の中心には、デュワーと呼ばれる中核構成部品が配置されている。デュワーは巨大な高真空断熱容器として機能し、超伝導磁石の断熱を担う。超伝導磁石はマイナス269度で動作する必要があり、これにより1億度以上に加熱されたプラズマを閉じ込めることが可能となる。

 デュワーベースの仕様と技術的課題

 中国科学院プラズマ物理研究所のHuang Xiongyi准研究員は、デュワーベースがBESTの基礎として機能し、最終的には6,000トン以上の機器を支持することになると説明した。デュワーベースは重量が400トン超、直径約18メートル、高さ約5メートルであり、BEST主装置の単一構成部品として最重量であるだけでなく、中国の核融合研究分野においてこれまでに製造された最大の真空構成部品である。

 Huang准研究員によれば、デュワーベースの開発には複数の先進技術分野における突破が必要であった。具体的には、高精度成形と溶接、ミリメートル単位の変形制御、超高真空シーリングなどの技術的課題が含まれる。これらの課題は成功裏に克服され、設置時にはミリメートルレベルの精度が達成された。

 今後の展望

 デュワーベースの設置成功により、主装置の他の中核構成部品が段階的に組み立てられることになる。BEST装置全体の完成は2027年末までに予定されている。

【要点】

 中国のBESTプロジェクトは、デュワーベースの設置成功により重要な技術的マイルストーンを達成した。本構成部品は重量400トン超、直径18メートルの大規模構造物であり、中国の核融合研究における最大の真空構成部品である。

 高精度成形、ミリメートル単位の変形制御、超高真空シーリングといった先進技術における突破により、ミリメートルレベルの設置精度が実現された。デュワーは超伝導磁石をマイナス269度で動作させ、1億度以上のプラズマを閉じ込める重要な役割を果たす。

 今回の成功により、2027年末の装置完成に向けて、他の中核構成部品の組立作業が進められることとなる。BESTは重水素-三重水素プラズマの実際の燃焼実証を目指す装置として、世界初の核融合発電実現に向けた重要な一歩を記した。

【引用・参照・底本】

China achieves milestone in compact fusion project with key component installation GT 2025.10.03
https://www.globaltimes.cn/page/202510/1344896.shtml

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