ピーター・マンデルソン氏が駐米英国大使に就任するにあたり ― 2026-05-28 19:45
【概要】
ピーター・マンデルソン氏が駐米英国大使に就任するにあたり、英国安全審査機関(UKSV)が同氏の対外的な人脈や資金面の事項に懸念を示し、保安審査の認定を拒否すべきと勧告していたにもかかわらず、当時の外務省事務次官が認定を与えていた事実が関係者の証言で明らかになったことを報じたものである。審査では中国・ロシア・イスラエルの有力者との関係や、イスラエル企業への投資に関する 100 万ポンドの融資などが問題視されていた。この問題をめぐって議会では政府による関連文書の隠蔽や過度な黒塗りが批判されており、今後追加の文書公表が予定されている。
【詳細】
2025 年 1 月に作成された UKSV の 9 頁にわたる審査要約書には、マンデルソン氏に関する複数の懸念事項が記載されていた。まず人脈面では、中国の財務大臣である藁仏安氏、制裁対象となったロシアの大富豪オレグ・デリパスカ氏、イスラエルの元軍事情報トップであるタミール・ハイマン氏との交流が挙げられていた。藁仏安氏とは年に数回連絡を取り合う関係であり、デリパスカ氏とは長年の友人関係にあったが、審査時点で約 10 年間連絡はなかったとされる。ハイマン氏とは 2 か月に 1 度程度連絡を取っていたとされるが、ハイマン氏側は関係性を否定し、シンクタンクでの限定的な交流に過ぎないと主張している。また、英国の個人との極めて近い関係が機密保持上のリスクになり得る点も指摘されていた。
資金面では、イスラエルのモバイルゲーム企業への投資に充てられた 100 万ポンドの融資が問題視されていた。マンデルソン氏は当該企業への出資を貴族院の利益登録簿に記載していたが、この融資に関する記載はなされておらず、開示規則の遵守に疑問が生じている。このほか、過去の人間関係が悪用される可能性への認識が甘い点も懸念事項とされた。
UKSV はこれらの事項から、マンデルソン氏のリスク評価を「高」とし、審査認定の拒否を勧告した。しかし、当時の外務省事務次官であるオリー・ロビンズ氏は、審査結果の報告を受けた同日に同氏への認定を付与した。ロビンズ氏は後に議会で、審査結果は「境界線上の事例」だったと主張し、リスク管理措置を講じたと説明したが、具体的な懸念内容については明らかにしなかった。なお、審査の対象には、後にマンデルソン氏の解任理由となったジェフリー・エプスタイン氏との関係は含まれていなかった。
この問題が発覚した背景には、議会が政府に対し、マンデルソン氏の任命に関する全ての文書の公表を求める決議を採択したことがある。だが情報安全保障委員会(ISC)は、政府が文書の一部を隠蔽し、黒塗りを過度に行っていると主張。議会審議では与野党問わず政府の対応が批判され、隠蔽工作や議会の主権への挑戦との指摘も出た。政府側は決議の要件を完全に遵守すると表明する一方、機密性や国際関係、第三者の営業上の秘密などを理由に一部文書の非公表や黒塗りを正当化しており、2026 年 6 月に追加の文書が公表される予定となっている。
また、キア・スターマー首相は、審査で不認定となった事実を自分に伝えられていなかったとして、ロビンズ氏を解任。同氏の在任中に国家安全保障上の損害が生じたかどうかや、中国・ロシアの関係者との交流が政府間協議に影響を与えたかどうかなどについて、今後さらなる説明が求められる見込みである。
【要点】
・UKSV は 2025 年 1 月の審査で、マンデルソン氏の対外要人との人脈、100 万ポンドの融資、リスク認識の不足などを懸念し、審査認定拒否を勧告した。
・ロビンズ氏は UKSV の勧告に反して認定を付与。スターマー首相はこの事実を知らなかったとし、ロビンズ氏を解任した。
・議会は政府に対し関連文書の全公表を求めているが、ISC は文書の隠蔽や過度な黒塗りが行われていると批判している。
・政府は決議への遵守を表明しつつ、一部文書の非公表や黒塗りを正当化しており、2026 年 6 月に追加文書が公表される予定である。
・マンデルソン氏の人脈や資金関係がもたらす国家安全保障上の影響や、利益相反の管理状況について、今後さらなる説明が求められている。
【引用・参照・底本】
Revealed: Mandelson vetting warned of ties to senior figures in China, Russia and Israel The Guardian 2026.05.27
https://www.theguardian.com/politics/2026/may/27/mandelson-vetting-warned-ties-senior-figures-china-russia-israel?CMP=GTUK_email
ピーター・マンデルソン氏が駐米英国大使に就任するにあたり、英国安全審査機関(UKSV)が同氏の対外的な人脈や資金面の事項に懸念を示し、保安審査の認定を拒否すべきと勧告していたにもかかわらず、当時の外務省事務次官が認定を与えていた事実が関係者の証言で明らかになったことを報じたものである。審査では中国・ロシア・イスラエルの有力者との関係や、イスラエル企業への投資に関する 100 万ポンドの融資などが問題視されていた。この問題をめぐって議会では政府による関連文書の隠蔽や過度な黒塗りが批判されており、今後追加の文書公表が予定されている。
【詳細】
2025 年 1 月に作成された UKSV の 9 頁にわたる審査要約書には、マンデルソン氏に関する複数の懸念事項が記載されていた。まず人脈面では、中国の財務大臣である藁仏安氏、制裁対象となったロシアの大富豪オレグ・デリパスカ氏、イスラエルの元軍事情報トップであるタミール・ハイマン氏との交流が挙げられていた。藁仏安氏とは年に数回連絡を取り合う関係であり、デリパスカ氏とは長年の友人関係にあったが、審査時点で約 10 年間連絡はなかったとされる。ハイマン氏とは 2 か月に 1 度程度連絡を取っていたとされるが、ハイマン氏側は関係性を否定し、シンクタンクでの限定的な交流に過ぎないと主張している。また、英国の個人との極めて近い関係が機密保持上のリスクになり得る点も指摘されていた。
資金面では、イスラエルのモバイルゲーム企業への投資に充てられた 100 万ポンドの融資が問題視されていた。マンデルソン氏は当該企業への出資を貴族院の利益登録簿に記載していたが、この融資に関する記載はなされておらず、開示規則の遵守に疑問が生じている。このほか、過去の人間関係が悪用される可能性への認識が甘い点も懸念事項とされた。
UKSV はこれらの事項から、マンデルソン氏のリスク評価を「高」とし、審査認定の拒否を勧告した。しかし、当時の外務省事務次官であるオリー・ロビンズ氏は、審査結果の報告を受けた同日に同氏への認定を付与した。ロビンズ氏は後に議会で、審査結果は「境界線上の事例」だったと主張し、リスク管理措置を講じたと説明したが、具体的な懸念内容については明らかにしなかった。なお、審査の対象には、後にマンデルソン氏の解任理由となったジェフリー・エプスタイン氏との関係は含まれていなかった。
この問題が発覚した背景には、議会が政府に対し、マンデルソン氏の任命に関する全ての文書の公表を求める決議を採択したことがある。だが情報安全保障委員会(ISC)は、政府が文書の一部を隠蔽し、黒塗りを過度に行っていると主張。議会審議では与野党問わず政府の対応が批判され、隠蔽工作や議会の主権への挑戦との指摘も出た。政府側は決議の要件を完全に遵守すると表明する一方、機密性や国際関係、第三者の営業上の秘密などを理由に一部文書の非公表や黒塗りを正当化しており、2026 年 6 月に追加の文書が公表される予定となっている。
また、キア・スターマー首相は、審査で不認定となった事実を自分に伝えられていなかったとして、ロビンズ氏を解任。同氏の在任中に国家安全保障上の損害が生じたかどうかや、中国・ロシアの関係者との交流が政府間協議に影響を与えたかどうかなどについて、今後さらなる説明が求められる見込みである。
【要点】
・UKSV は 2025 年 1 月の審査で、マンデルソン氏の対外要人との人脈、100 万ポンドの融資、リスク認識の不足などを懸念し、審査認定拒否を勧告した。
・ロビンズ氏は UKSV の勧告に反して認定を付与。スターマー首相はこの事実を知らなかったとし、ロビンズ氏を解任した。
・議会は政府に対し関連文書の全公表を求めているが、ISC は文書の隠蔽や過度な黒塗りが行われていると批判している。
・政府は決議への遵守を表明しつつ、一部文書の非公表や黒塗りを正当化しており、2026 年 6 月に追加文書が公表される予定である。
・マンデルソン氏の人脈や資金関係がもたらす国家安全保障上の影響や、利益相反の管理状況について、今後さらなる説明が求められている。
【引用・参照・底本】
Revealed: Mandelson vetting warned of ties to senior figures in China, Russia and Israel The Guardian 2026.05.27
https://www.theguardian.com/politics/2026/may/27/mandelson-vetting-warned-ties-senior-figures-china-russia-israel?CMP=GTUK_email

