アメリカ造船業の衰退2024年05月07日 17:27

国立国会図書館デジタルコレクション「勧進大相撲興行之図」を加工して作成
 米国の造船業界が直面している課題と、中国との競争に対応して米国政府が取っているアプローチについて、いくつかの重要なポイントを提起している。

 政府の注文への依存:アメリカの造船業の衰退は、商業造船補助金の終了により政府の注文に大きく依存するようになった1980年代にさかのぼる。この依存は、重大な雇用の喪失と商業部門の崩壊につながった。

 アジアの競合他社の台頭:日本と韓国は長年にわたって世界の造船市場を支配し、2010年頃に中国が主要なプレーヤーとして台頭した。この世界的なダイナミクスの変化は、アメリカの造船所の競争力をさらに侵食した。

 ジョーンズ法(註)と老朽化した船隊:米国の港湾間の貨物の水上輸送を米国製船舶に制限するジョーンズ法は、業界を活性化させるのに十分ではなかった。それどころか、米国の船主は、高コストと更新の遅さにより、老朽化した船隊の負担を強いられている。

 米国政府の対応:中国の造船業を取り締まるバイデン政権のアプローチは見当違いであり、米国の造船部門を悩ませている根本的な問題に対する理解の欠如を示していると見なされている。内部の課題に対処するのではなく、外部の非難に焦点が当てられている。

 業界のダイナミクスと政府の政策:中国を非難することは、造船業界が政府の支援を得るために使用する戦術である可能性があることを示唆している。しかし、このアプローチは、実際の業界の問題に対処し、持続可能な解決策を見つけることから注意をそらすものだと批判している。

 真の解決策の必要性:保護主義や責任のなすり合いに頼るのではなく、米国の造船業界が直面している真の問題に直面し、効果的な救済策を見つけることの重要性を強調している。

 米国の造船業界の暗い見通しを描いており、その課題に対処するためのより建設的なアプローチの必要性を強調している。

【視点】

米国の造船業界が直面している課題について議論し、中国の造船所に対する米国の調査を批判している。

米国の造船業界の苦境:米国の造船業は大幅に衰退しており、ほとんどの米国の船主は外国建造の船を選択している。

衰退の原因:1980年代に商業造船補助金が廃止されたことや、中国ではなく外国の造船所と比較した競争力の欠如などの要因を非難している。

米国の戦略に対する批判:中国の造船所に対する米国の調査は、外圧によって国内の問題を解決し、最終的に米国の海運会社に損害を与えようとする試みと見なされている。

中国の台頭:中国の造船業は繁栄しており、世界市場シェアの大部分を占めている。米国は中国を非難するのではなく、自国の造船業の競争力を向上させることに集中すべきだと主張している。

・米国産業界の課題米国の造船業界は、高コストと時代遅れの船隊のために競争力を欠いている。船主は、ジョーンズ法の保護にもかかわらず、国内での発注に消極的である。

・中国の台頭:中国は、世界の造船生産量と新規受注のはるかに大きなシェアで市場を独占している。

・衰退の原因:減少は1980年代に商業造船に対する政府の補助金の終了とともに始まった。中国を非難することは、こうした国内問題への対処から目をそらす戦術である。

・米国戦略の無益さ:中国を標的にしても、米国の問題は解決せず、米国の海運会社に損害を与える可能性がある。米国は、産業を活性化するために、自国の競争力に取り組む必要がある。

・米国のアプローチに対して批判的な立場をとっており、それが「覇権主義的な考え方」と「パラノイア」に基づいていることを示唆している。中国の成功は市場主導の現実であり、不公正な慣行の結果ではないことを強調している。

・効果がないとみられる米国の調査:中国を標的にしても、米国の造船所の競争力問題は解決しないと主張している。米国の海運会社のコストが上昇する可能性さえある。

・アメリカの造船業者は競争力に欠けている:米国での船舶建造コストの高さは、国内注文を思いとどまらせる。ジョーンズ法のような保護主義的な政策があっても、米国の船団は世界平均に比べて老朽化が進んでいる。

・中国に焦点をあてることで、現実の問題を回避できる。米国が自国の造船業界における高い生産コストなどの問題に対処する代わりに、責任をそらしていることを示唆している。

・米国の造船業の衰退を1980年代にさかのぼり、商業造船に対する政府の補助金が終了したことにまでさかのぼる。彼らは、中国に焦点を当てることは、アメリカの造船業者が直面している本当の問題の解決策を見つけることから注意をそらすと主張している。

【註】
ジョーンズ法、または正式には「ジョーンズ海事法」は、アメリカ合衆国の法律であり、1920年に制定された。この法律は、アメリカの海運業を保護し、促進することを目的としている。主な規定の一つは、アメリカの港の間での貨物輸送において、アメリカで建造された船舶を使用することを義務付けることである。つまり、アメリカの港の間での貨物輸送は、アメリカで建造された船舶に限定される。

ジョーンズ法は、アメリカの海運業や海運労働者を支援するために制定されたが、その一方で、船舶の建造や運航に関わるコストを高める結果となり、一部では議論の的となっている。

(註はブログ作成者が参考の為に付記した。)

引用・参照・底本

GT Voice: Probe of China’s shipyards sign of American peers’ bleak future GT 2024.05.06
https://www.globaltimes.cn/page/202405/1311777.shtml

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