三星堆博物館の文化財修復士・Guo Hanzhong氏2025年01月29日 17:47

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【概要】
 
 2024年12月18日、中国四川省広漢市の三星堆博物館において、Guo Hanzhong氏(右から3人目)が青銅の頭像を点検している。

 三星堆遺跡は1920年代後半に発見され、20世紀の世界的な考古学的発見の一つとされている。遺跡の面積は約12平方キロメートルに及び、約4500年から3000年前の古代蜀王国の遺構と考えられている。

 三星堆博物館の新館には、文化財の保護と修復を行うセンターが設置されており、一般市民が文化財修復の過程をより深く理解できるようになっている。

 Guo Hanzhong氏は、三星堆博物館の文化財収蔵部の副責任者であり、40年近くにわたり文化財の修復に従事している。Guo氏は文化財修復の技術に精通しており、これまでに6000点以上の文化財を修復してきた。また、三星堆遺跡で発見された8つの「祭祀坑」すべての発掘にも深く関与している。

【詳細】

 三星堆博物館の文化財修復士・Guo Hanzhong氏の業績

 遺跡の概要

 三星堆遺跡は、中国四川省広漢市に位置し、1920年代後半に発見された。面積は約12平方キロメートルに及び、約4500年から3000年前の古代蜀王国の遺構と考えられている。この遺跡からは、多くの青銅器、金器、玉器、象牙などが出土しており、その独特な造形や高度な鋳造技術から、長年にわたって国内外の考古学者の注目を集めている。特に1986年に発見された「祭祀坑」からは、大型の青銅仮面や黄金の仮面などが出土し、古代蜀文明の神秘性を象徴するものとなっている。

 文化財修復センターの設立と目的

 三星堆博物館は、新館の建設に伴い、文化財保護および修復センターを設置した。このセンターの目的は、文化財の修復作業を一般市民に公開し、文化財保護の重要性や技術的側面を広く理解してもらうことである。修復士が実際に作業を行う様子を見学できるほか、デジタル技術を活用した文化財の復元プロセスを体験できるコーナーも設けられている。

 Guo Hanzhong氏の経歴と技術

 Guo Hanzhong氏は、三星堆博物館の文化財収蔵部の副責任者であり、40年近くにわたり文化財修復に従事している。修復士としてのキャリアを通じて、青銅器、陶器、玉器、象牙など幅広い文化財の修復を手掛け、これまでに6000点以上の文化財を修復してきた。特に、青銅器の修復において高い技術を持ち、三星堆遺跡特有の複雑な鋳造技術に対応するため、独自の修復方法を確立している。

 祭祀坑の発掘とGuo氏の貢献

 Guo氏は、三星堆遺跡における8つの「祭祀坑」の発掘に深く関与している。1986年に発見された1号坑・2号坑に加え、2020年から2022年にかけて発見された6つの新しい祭祀坑の調査・修復にも携わった。これらの祭祀坑からは、黄金の仮面、大型青銅像、象牙、精巧な彫刻が施された玉器など、貴重な文化財が多数出土している。Guo氏は、これらの遺物の修復にあたり、微細な亀裂の補修や、化学的処理による金属の腐食防止など、最先端の技術を駆使している。

 修復技術の特徴

 Guo氏が用いる修復技術は、以下の点で特徴的である。

 1.非破壊分析技術の活用:X線、CTスキャン、赤外線分光法などを使用し、遺物の内部構造を詳細に分析する。これにより、損傷の程度を正確に把握し、最適な修復方法を決定する。

 2.伝統技法と最新技術の融合:古代の鋳造技術を研究し、それに基づいた修復手法を用いる一方で、3Dプリンティングやナノ材料を活用した補修技術も取り入れている。
 3.環境制御による保存:修復後の文化財は、温度・湿度管理が徹底された特別な保管施設で保存される。これにより、長期的な劣化を防ぐことができる。

 Guo Hanzhong氏の影響と今後の展望

 Guo氏は、文化財修復の分野において高い評価を受けており、多くの若手修復士の指導にも携わっている。彼の技術と経験は、三星堆博物館だけでなく、中国全土の文化財保護事業にも大きな影響を与えている。今後は、さらに高度なデジタル技術を取り入れ、三星堆文化財の3D復元や仮想展示など、新しい形での文化財保護活動にも貢献していくとみられる。

 三星堆遺跡の研究と修復が進むことで、古代蜀文明の謎が解明される可能性が高まっており、Guo氏のような熟練の修復士の存在が、その鍵を握っていると言える。
 
【要点】
 
 三星堆遺跡の概要

 ・所在地:中国四川省広漢市
 ・発見時期:1920年代後半
 ・面積:約12平方キロメートル
 ・時代:約4500年前~3000年前(古代蜀王国の遺跡と考えられる)
 ・出土品:青銅器、金器、玉器、象牙、大型青銅仮面、黄金の仮面など
 ・特筆すべき発見:1986年に「祭祀坑」1号坑・2号坑を発見、2020年以降に新たに6つの祭祀坑を発見

 三星堆博物館の文化財修復センター

 ・設立目的:文化財修復の過程を公開し、一般市民に文化財保護の重要性を伝える
 ・見学可能な施設:修復作業の公開エリア、デジタル復元体験コーナー
 ・修復対象:青銅器、陶器、玉器、象牙など

 Guo Hanzhong氏の経歴

 ・所属:三星堆博物館 文化財収蔵部 副責任者
 ・修復経験:40年近く
 ・修復した文化財:6000点以上
 ・専門分野:青銅器の修復技術に精通
 ・考古学的貢献:三星堆遺跡の8つの祭祀坑すべての発掘に深く関与
 
 祭祀坑の発掘とGuo Hanzhong氏の貢献
 ・関与した祭祀坑:1号坑・2号坑(1986年)、3~8号坑(2020~2022年)
 ・主な出土品

  ⇨ 青銅器:大型青銅像、仮面、器具
  ⇨ 貴金属:黄金の仮面、金箔装飾品
  ⇨ その他:象牙、玉器、陶器

 Guo Hanzhong氏の修復技術

 1.非破壊分析技術の活用

 ・X線、CTスキャン、赤外線分光法を使用し、内部構造を詳細に分析

 2.伝統技法と最新技術の融合

 ・古代鋳造技術の研究に基づく修復
 ・3Dプリンティングやナノ材料を活用

 3.環境制御による保存

 Guo Hanzhong氏の影響と今後の展望

 ・文化財修復分野での評価:国内外で高く評価され、多くの若手修復士を指導
 ・デジタル技術の導入:3D復元、仮想展示の発展に貢献
 ・今後の課題

  ⇨ より精密な修復技術の開発
  ⇨ AIやロボット技術を活用した修復作業の効率化
  ⇨ 古代蜀文明のさらなる解明への貢献

【引用・参照・底本】

Pic story of relic restorer at Sanxingdui Museum GT 2025.0128
https://www.globaltimes.cn/page/202501/1327656.shtml

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