2025年:米国以外の域外諸国の西太平洋における軍事活動 ― 2026-05-31 19:50
【概要】
本報告は、南シナ海戦略状況探知イニシアティブ(SCSPI)が 2026 年 5 月 25 日に発表したもので、2025 年の米国以外の域外諸国の西太平洋における軍事活動を体系的に分析・評価したものである。対象地域は南シナ海、東シナ海、日本海、フィリピン海を含み、対象国には英国・フランス・ドイツなどの欧州諸国、オーストラリア・カナダなどの米国の同盟国が含まれる。これらの国々の活動は米国のインド太平洋戦略との連携、影響力の投射、「ルールに基づく国際秩序」の維持を主な目的とする一方、常設展開や実効的な作戦能力には限界があり、基本的に戦略的・外交的性質が強いとされる。ただし一部の活動には攻撃的・非専門的な側面も見られ、地域の安全保障動向への影響は過小評価も過大視も適切でないと結論づけている。
【詳細】
活動規模
艦船:不完全な統計によると、計 18 カ国・約 200 隻の艦船が活動し、延べ滞在日数は約 1 万日。このうち米国が 109 隻・9,088 日を占め、その他の国々は計 48 隻・610 日、1 日平均約 2 隻が展開していた。
航空機:総出撃回数は 2 万回以上。米国以外はオーストラリア・カナダ・インドなどで計約 1,500 回。機種別では輸送機が約 900 回(50%超)と最も多く、偵察機・早期警戒機・給油機などが続いた。
展開形態:一時的な展開・演習参加・通過・飛行が中心で、通年の定常的な交代展開は主にオーストラリアに限られる。カナダ・インドは年間を通じ限定的な部隊を投入、英仏は大規模な一時展開または小規模な常時監視活動を行うが、規模・頻度は限られている。
主な特徴
大型プラットフォームの投入強化:英仏など伝統的な海洋国は、空母打撃群など大型艦船・部隊を派遣し、存在感を示す手法を主力とした。
宣言的活動の常態化:これらの国々は米国のいわゆる「航行の自由作戦」の概念を持たないが、2025 年は台湾海峡情勢の緊張化を背景に、国連海洋法条約に基づく国際水域での航行権の擁護を名目に同様の活動を活発化。統計では、オーストラリア・カナダ・英国・ニュージーランドの計 6 隻が台湾海峡を計 5 回通過し、いずれも公式に発表された。
演習への参加拡大:多国間演習への参加が大幅に増加。一部欧州国は空母部隊を活用し、大規模・参加国の多い演習を主導または参加し、部隊間の連携強化と集団的抑止力の向上を図った。
目的と動向
活動の目的:米国と根本的に異なり、多くは中国との実質的な地政学的紛争も、地域で軍事的挑戦を行う能力も持たない。米国の作戦との連携に加え、外交的目的の達成と「ルールに基づく国際秩序」の維持が主な狙いとされる。
今後の動向:ロシア・ウクライナ戦争や中東情勢などにより軍事資源が制約される中、対中関係の再評価が進む。ただし、これらの要因が今後の軍事活動を縮小・低調化させるかは不透明である。
安全保障上の影響
常設展開や強固な作戦能力を欠くため、軍事的脅威は限定的とされる一方、一部国の活動には攻撃的・非専門的な行動が含まれ、艦船・航空機の危険な接近事例が頻発。このため偶発的な衝突のリスクが存在し、地域の安全保障への影響を無視することはできないと指摘される。
【要点】
・2025 年の米国以外の域外 18 カ国の軍事活動は、艦船延べ 610 日・航空機約 1,500 回の規模で、いずれも米国の活動を大幅に下回る。活動形態は一時的・宣言的なものが中心。
・英仏は大型艦船派遣による存在感強化、オーストラリア・カナダ・英国などは台湾海峡通過や南シナ海での航行権擁護活動を活発化し、いずれも公式発表を伴う特徴が見られる。
・活動の主な目的は米国戦略との連携、外交的利益の獲得、国際秩序の維持であり、地域での軍事的挑戦を行う能力・意図は基本的に持たない。
・常設展開や実効的な作戦能力に限界がある一方、一部の非専門的・攻撃的な活動により偶発的な衝突リスクが生じており、安全保障上の影響は適切に評価する必要がある。
・軍事資源の制約や国際情勢の変化から今後の活動の規模・方針は流動的であり、動向を注視する必要がある。
【引用・参照・底本】
Report on the Military Activities of Non-US Extra-Regional Countries in the Western Pacific in 2025 Pekingnology 2026.05.30
https://www.pekingnology.com/p/report-on-the-military-activities?utm_source=post-email-title&publication_id=47580&post_id=199345943&utm_campaign=email-post-title&isFreemail=true&token=eyJ1c2VyX2lkIjoxMTQ3ODcsInBvc3RfaWQiOjE5OTM0NTk0MywiaWF0IjoxNzgwMTA2NTU0LCJleHAiOjE3ODI2OTg1NTQsImlzcyI6InB1Yi00NzU4MCIsInN1YiI6InBvc3QtcmVhY3Rpb24ifQ.RwFo3FhC59Lcnqmgag1NNCle5euMzKOP-jUy4V7X0PQ&r=2gkj&triedRedirect=true&utm_medium=email
本報告は、南シナ海戦略状況探知イニシアティブ(SCSPI)が 2026 年 5 月 25 日に発表したもので、2025 年の米国以外の域外諸国の西太平洋における軍事活動を体系的に分析・評価したものである。対象地域は南シナ海、東シナ海、日本海、フィリピン海を含み、対象国には英国・フランス・ドイツなどの欧州諸国、オーストラリア・カナダなどの米国の同盟国が含まれる。これらの国々の活動は米国のインド太平洋戦略との連携、影響力の投射、「ルールに基づく国際秩序」の維持を主な目的とする一方、常設展開や実効的な作戦能力には限界があり、基本的に戦略的・外交的性質が強いとされる。ただし一部の活動には攻撃的・非専門的な側面も見られ、地域の安全保障動向への影響は過小評価も過大視も適切でないと結論づけている。
【詳細】
活動規模
艦船:不完全な統計によると、計 18 カ国・約 200 隻の艦船が活動し、延べ滞在日数は約 1 万日。このうち米国が 109 隻・9,088 日を占め、その他の国々は計 48 隻・610 日、1 日平均約 2 隻が展開していた。
航空機:総出撃回数は 2 万回以上。米国以外はオーストラリア・カナダ・インドなどで計約 1,500 回。機種別では輸送機が約 900 回(50%超)と最も多く、偵察機・早期警戒機・給油機などが続いた。
展開形態:一時的な展開・演習参加・通過・飛行が中心で、通年の定常的な交代展開は主にオーストラリアに限られる。カナダ・インドは年間を通じ限定的な部隊を投入、英仏は大規模な一時展開または小規模な常時監視活動を行うが、規模・頻度は限られている。
主な特徴
大型プラットフォームの投入強化:英仏など伝統的な海洋国は、空母打撃群など大型艦船・部隊を派遣し、存在感を示す手法を主力とした。
宣言的活動の常態化:これらの国々は米国のいわゆる「航行の自由作戦」の概念を持たないが、2025 年は台湾海峡情勢の緊張化を背景に、国連海洋法条約に基づく国際水域での航行権の擁護を名目に同様の活動を活発化。統計では、オーストラリア・カナダ・英国・ニュージーランドの計 6 隻が台湾海峡を計 5 回通過し、いずれも公式に発表された。
演習への参加拡大:多国間演習への参加が大幅に増加。一部欧州国は空母部隊を活用し、大規模・参加国の多い演習を主導または参加し、部隊間の連携強化と集団的抑止力の向上を図った。
目的と動向
活動の目的:米国と根本的に異なり、多くは中国との実質的な地政学的紛争も、地域で軍事的挑戦を行う能力も持たない。米国の作戦との連携に加え、外交的目的の達成と「ルールに基づく国際秩序」の維持が主な狙いとされる。
今後の動向:ロシア・ウクライナ戦争や中東情勢などにより軍事資源が制約される中、対中関係の再評価が進む。ただし、これらの要因が今後の軍事活動を縮小・低調化させるかは不透明である。
安全保障上の影響
常設展開や強固な作戦能力を欠くため、軍事的脅威は限定的とされる一方、一部国の活動には攻撃的・非専門的な行動が含まれ、艦船・航空機の危険な接近事例が頻発。このため偶発的な衝突のリスクが存在し、地域の安全保障への影響を無視することはできないと指摘される。
【要点】
・2025 年の米国以外の域外 18 カ国の軍事活動は、艦船延べ 610 日・航空機約 1,500 回の規模で、いずれも米国の活動を大幅に下回る。活動形態は一時的・宣言的なものが中心。
・英仏は大型艦船派遣による存在感強化、オーストラリア・カナダ・英国などは台湾海峡通過や南シナ海での航行権擁護活動を活発化し、いずれも公式発表を伴う特徴が見られる。
・活動の主な目的は米国戦略との連携、外交的利益の獲得、国際秩序の維持であり、地域での軍事的挑戦を行う能力・意図は基本的に持たない。
・常設展開や実効的な作戦能力に限界がある一方、一部の非専門的・攻撃的な活動により偶発的な衝突リスクが生じており、安全保障上の影響は適切に評価する必要がある。
・軍事資源の制約や国際情勢の変化から今後の活動の規模・方針は流動的であり、動向を注視する必要がある。
【引用・参照・底本】
Report on the Military Activities of Non-US Extra-Regional Countries in the Western Pacific in 2025 Pekingnology 2026.05.30
https://www.pekingnology.com/p/report-on-the-military-activities?utm_source=post-email-title&publication_id=47580&post_id=199345943&utm_campaign=email-post-title&isFreemail=true&token=eyJ1c2VyX2lkIjoxMTQ3ODcsInBvc3RfaWQiOjE5OTM0NTk0MywiaWF0IjoxNzgwMTA2NTU0LCJleHAiOjE3ODI2OTg1NTQsImlzcyI6InB1Yi00NzU4MCIsInN1YiI6InBvc3QtcmVhY3Rpb24ifQ.RwFo3FhC59Lcnqmgag1NNCle5euMzKOP-jUy4V7X0PQ&r=2gkj&triedRedirect=true&utm_medium=email

