「もちろん、何の疑問もない。絶対やる」2025-06-28 16:56

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【概要】

 【イランへの攻撃再開はためらわない、絶対やる=トランプ大統領】

 トランプ大統領は、イランがウラン濃縮を行っているという情報機関からの報告があった場合、ためらうことなく再びイランを攻撃すると述べた。

 ホワイトハウスでこの件に関して記者団から質問を受けた際、トランプ大統領は「もちろん、何の疑問もない。絶対やる」と明言した。

 トランプ大統領のその他のイランに関する発言は以下の通りである。

 ・イランの核施設は完全に破壊された。その証拠が米国にはある。

 ・濃縮ウランは核施設から事前に搬出されていなかった。濃縮ウランは非常に重量があり、これを搬出することは大変な危険を伴う。

 ・イランの核計画再開には数年かかる。

 ・イランに秘密の核施設があるとは考えていない。

 ・米国は濃縮ウランの提出をイランに要求する。

 ・対イランの制裁解除に向けて準備を進めていたが、最高指導者ハメネイ師の反米発言を受け、制裁解除は取りやめた。

 ・イランの町は破壊され、軍は弱体化し、経済は疲弊し、未来はない。

 ・イランが国際社会に復帰しない限り、国内状況は悪化の一途をたどる。
 
【詳細】  

 アメリカ合衆国大統領ドナルド・トランプ氏は、イランによるウラン濃縮活動に関して、もし米国の情報機関からその実施を裏付ける報告があれば、アメリカは直ちに軍事行動に踏み切る用意があると述べた。ホワイトハウスで記者団からこの件について質問を受けた際、トランプ大統領は「もちろん、何の疑問もない。絶対やる」と断言した。この発言は、イランに対するアメリカの軍事的圧力とその覚悟を強く印象づけるものである。

 【トランプ大統領によるその他のイラン関連発言の詳細】

 1.「イランの核施設は完全に破壊された。その証拠が米国にはある。」
 
 トランプ大統領は、アメリカ軍または同盟国による何らかの軍事行動により、イラン国内の核関連施設が物理的に破壊されたと主張している。また、その破壊の事実を裏付ける証拠がアメリカ政府の手中にあると明言している。証拠の具体的内容については発言されていないが、アメリカの監視能力と諜報の精度を示唆している。

 2.「濃縮ウランは核施設から事前に搬出されていなかった。濃縮ウランは非常に重量があり、これを搬出することは大変な危険を伴う。」
 
 濃縮ウランが核施設に留まっていたと述べ、そのため攻撃時に外部への搬出は行われなかったとしている。また、濃縮ウランの性質上、運搬には高い技術力と安全対策が求められることから、事前に搬出することは現実的ではなかったとも説明している。

 3.「イランの核計画再開には数年かかる。」
 
 核施設が破壊されたことにより、イランが再び核開発を進めるには相当な時間と資源が必要であると見積もっている。これは、核技術の復旧にかかる物理的・技術的制約を指している。

 4.「イランに秘密の核施設があるとは考えていない。」
 
 トランプ大統領は、イラン政府が非公開の秘密施設で核開発を行っているとの見解を否定している。これは米国の諜報活動に基づく分析結果を背景にした見解と推察される。

 5.「米国は濃縮ウランの提出をイランに要求する。」

 米国政府は、イランに対して保有する濃縮ウランの引き渡しを正式に要求している。これは核不拡散の観点から、イランの核物質を国際的管理下に置く意図があると解される。

 6.「対イランの制裁解除に向けて準備を進めていたが、最高指導者ハメネイ師の反米発言を受け、制裁解除は取りやめた。」

 一時は制裁解除の可能性を検討していたものの、イランの最高指導者アリー・ハメネイ師によるアメリカに対する敵対的発言があったことを受け、その方針を撤回したと説明している。これはアメリカの対外政策が言動によって大きく左右されることを示している。

 7.「イランの町は破壊され、軍は弱体化し、経済は疲弊し、未来はない。」

 トランプ大統領は、過去の制裁や軍事行動の結果として、イラン国内の都市インフラに深刻な被害が出ており、軍事力は低下し、経済活動も著しく悪化していると述べている。そして、こうした状況下ではイランには将来への展望が存在しないとの認識を示している。

 8.「イランが国際社会に復帰しない限り、国内状況は悪化の一途をたどる。」
 最後に、トランプ大統領は、イランが国際的な合意や外交の枠組みに復帰しない限り、経済・社会状況は更に悪化し続けると警告している。国際社会との連携こそがイラン再建の鍵であると示唆している。
 
【要点】
 
 ・イランのウラン濃縮活動に関して、情報機関から報告があれば、米国はためらうことなく再びイランを攻撃する。→ トランプ大統領は、軍事行動に躊躇はないと断言している。

 ・「もちろん、何の疑問もない。絶対やる」と、ホワイトハウスで記者団に明言した。→ 発言は断定的であり、攻撃の意思を強く示している。

 【その他のイラン関連発言】

 ・「イランの核施設は完全に破壊された。その証拠が米国にはある。」→ 米国は核施設の物理的破壊を実施し、その証拠を保有していると主張している。

 ・「濃縮ウランは核施設から事前に搬出されていなかった。」→ 濃縮ウランは攻撃時点で施設内にあったと述べている。

 ・「濃縮ウランは非常に重量があり、これを搬出することは大変な危険を伴う。」→ 濃縮ウランの運搬には高リスクがあるため、事前搬出は行われなかったとしている。

 ・「イランの核計画再開には数年かかる。」→ 核関連インフラの破壊により、再開には長期の時間が必要であると見積もっている。

 ・「イランに秘密の核施設があるとは考えていない。」→ 米国はイランによる隠された核活動の存在を否定している。

 ・「米国は濃縮ウランの提出をイランに要求する。」→ 米国はイランに対し、保有中の濃縮ウランを引き渡すよう求めている。

 ・「対イランの制裁解除に向けて準備を進めていたが、最高指導者ハメネイ師の反米発言を受け、制裁解除は取りやめた。」→ 制裁緩和の計画は、ハメネイ師の発言により中止された。

 ・「イランの町は破壊され、軍は弱体化し、経済は疲弊し、未来はない。」→ 米国の制裁と攻撃により、イランの国家機能が著しく損なわれているとの認識を示している。

 ・「イランが国際社会に復帰しない限り、国内状況は悪化の一途をたどる。」 → 国際協調を拒む限り、イランの内政・経済状況はさらに悪化すると警告している。

【桃源寸評】🌍

 トランプ大統領のイランに対する一連の発言は、冷静な外交判断や国際法への配慮を著しく欠いた、あまりにも自己中心的かつ粗暴なものである。

 「もちろん、何の疑問もない。絶対やる」と公言するその言葉には、戦争という最も重大な決断に対する慎重さのかけらもない。まるで武力行使がゲームの選択肢であるかのように語る姿勢は、民主主義国家の指導者としてはあまりにも軽薄である。

 核施設の破壊を「証拠がある」と一方的に断じ、さらに「濃縮ウランは危険だから搬出されなかった」などと自説を並べる態度は、国際原子力機関(IAEA)などの監視を無視し、独善的な解釈を押しつけるものであり、まともな国際協議を行う姿勢など皆無である。

 イランが「未来はない」と言い切る発言に至っては、国家元首としての節度も思慮も見られない。まるで他国の苦境を冷笑し、破壊を誇るかのような発言であり、これが「自由と人権の国」を自称するアメリカの大統領の口から出た言葉であるとは到底信じがたい。

 「イランの町は破壊された」ことを、まるで戦果であるかのように語る姿は、文明国の指導者というよりも、むしろ西部劇に登場する無法者のガンマンに近い。言論や対話ではなく、暴力と威嚇こそが正義と信じ込んでいるかのような言動は、まさに近代以前の精神性を象徴している。

 しかも、「制裁解除を準備していたが、反米発言を聞いて取りやめた」などという子供じみた報復措置は、国家間外交を個人的感情で左右する危うさの極致である。このような人物が一国の外交方針を握っているという事実自体、国際社会にとっては悪夢に等しい。

 国際社会の法と秩序、理性と協調を踏みにじり、自国の力のみを信じて他国を押さえつけるその姿勢は、まさに現代の国際社会が最も忌避するものであり、アメリカという国の信頼と尊厳を大きく損なうものである。

 このような暴力礼賛と不遜さに満ちた発言を平然と繰り返す人物は、リーダーではなく、扇動者であり、破壊者である。国際秩序に対する深い無知と無関心を武器にした横暴な言動は、いずれアメリカを国際社会から孤立させる結果となるであろう。

 トランプ大統領の発言を見れば明らかなように、国際社会における「ルール」や「合意」、「協調」といった基本的な原則を軽視しているのは、イランではなくむしろアメリカ、より正確には、その時のアメリカ政権であるトランプ政権である。

 本来、国際社会は武力による威嚇や一方的な制裁ではなく、国連憲章、核不拡散条約(NPT)、多国間合意(例:イラン核合意=JCPOA)などの枠組みに基づいて運営されるべきである。イランは少なくとも、JCPOAに加盟し、国際原子力機関(IAEA)の査察を受け入れていた。ところが、それを一方的に離脱し、合意を破り、さらには軍事行動をちらつかせて他国を屈服させようとする行為は、国際法そのものへの挑戦である。

 国際社会がルールに基づく秩序を保っているとするならば、まずその秩序を率先して壊してきたのはアメリカ側である。

 ・合意を破棄する。

 ・制裁を濫用する。

 ・武力による圧力を正当化する。

 ・国際機関の判断を無視する。

 これらはすべて、現代の国際社会において許されるべき行為ではない。つまり「ルールを破った者は誰か」と問うならば、その答えはイランではなく、国際合意を蹴散らしたトランプ政権のアメリカである。

 「イランが国際社会に復帰しない限り、国内状況は悪化の一途をたどる」とは、トランプ氏の言葉であるが、むしろ今、世界が突きつけるべきは以下のような反転した問いである。

 「国際的ルールに復帰しなければならないのは、アメリカ合衆国そのものである。独善と武力を手放し、法と合意の原則を再び尊重せよ。」

 このような逆説的批判こそ、トランプ的強権外交に対する最も適切な応答である。

【寸評 完】🌺

【引用・参照・底本】

【イランへの攻撃再開はためらわない、絶対やる=トランプ大統領】sputnik 日本 
2025.06.28
https://x.com/sputnik_jp/status/1938770517156340040

イスファハン核施設:地中貫通弾GBU-57の射程範囲外2025-06-28 18:10

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【概要】

 イスファハン核施設に関して、アメリカ軍高官であるケイン統合参謀本部議長(大将)は、同施設が地中深くに位置しているため、地中貫通弾GBU-57(いわゆるバンカーバスター)の射程範囲外であることを議員らに明かした。その結果、イスファハンに対する攻撃は、地中貫通弾を用いたものではなく、巡航ミサイルによる表面的な攻撃にとどまった。

 一方、報道によれば、米軍はフォルドゥの核施設には12発のバンカーバスターを投下し、ナタンズの核施設には2発のバンカーバスターを投下したとされる。これに対し、イスファハンの核施設には潜水艦から発射された巡航ミサイル「トマホーク」による攻撃が行われたが、バンカーバスターは使用されなかった。
 
【詳細】  

 イスファハン核施設に対する攻撃に関し、アメリカ軍のケイン統合参謀本部議長(大将)は、同施設が地中深くに建設されており、アメリカ軍が保有する地中貫通弾GBU-57、通称「バンカーバスター」の有効射程外に位置していたことを明らかにした。これにより、アメリカ軍はこの施設に対し、バンカーバスターを使用しての攻撃は実施できず、地表付近への攻撃に限られたと説明されている。

 GBU-57は、地中深部に埋設された堅牢な目標、たとえばコンクリートで強化された地下核施設などを破壊するために設計された兵器である。しかし、その貫通力にも限界があり、目標が射程深度を超えている場合には、十分な破壊効果を発揮できない。イスファハン核施設は、そのような深度に位置しているため、GBU-57では届かないことが確認された。

 報道によれば、アメリカ軍は代替手段として、イスファハン核施設に対して潜水艦から発射する巡航ミサイル「トマホーク」による攻撃を実施したとされる。トマホークは地上や建物の上部構造に対して高精度な攻撃を行うことができるが、地下深くの構造物に対しては効果が限定的である。そのため、同施設への攻撃は、核関連施設の深部にある主要インフラには十分な損害を与えることができなかったと考えられる。

 これに対して、フォルドゥおよびナタンズの核施設には、地中貫通弾が実際に投入された。具体的には、フォルドゥには12発のバンカーバスターが、ナタンズには2発が使用されたとされている。これらの施設はイスファハンに比べ、より浅い位置に核関連のインフラが存在していたため、バンカーバスターによる直接的な攻撃が可能であった。
 
【要点】
 
 発言者と内容

 ・アメリカ軍のケイン統合参謀本部議長(大将)が、議員らに説明。

 ・イラン中部のイスファハン核施設は、地中貫通弾GBU-57(バンカーバスター)の射程範囲外に位置していると明かした。

 攻撃手段の制限

 ・GBU-57は地下深部にある強化施設を破壊可能な兵器だが、射程限界を超える深度には対応不可。

 ・そのため、イスファハン核施設には地中貫通弾を使用した攻撃は行われなかった。

 代替手段としての攻撃

 ・イスファハンに対しては、**潜水艦から発射された巡航ミサイル「トマホーク」**による攻撃のみが実施された。

 ・トマホークは地上目標には有効だが、地下深部の施設には十分な破壊力を持たない。

 他の核施設への攻撃状況

 ・フォルドゥ核施設には、バンカーバスター12発が使用された。

 ・ナタンズ核施設には、バンカーバスター2発が投下された。

 ・これらの施設は、イスファハンと比べてより浅い場所に位置しているため、バンカーバスターによる攻撃が可能だった。

【桃源寸評】🌍

 米国の戦争報道と軍・政界発言への批判的考察

 戦争における情報は、古今東西、常に権力によって操作されてきた。日本の大本営発表がその象徴であるように、国家は戦時において情報を「管理」し、国民や国際世論にとって都合の良い物語を構築しようとする。今日のアメリカも、第二次世界大戦中の日本と本質的に変わらない情報統制の構造を持っている。

 1. ケイン統合参謀本部議長の発言の不自然さ

 イスファハン核施設に対して「地中貫通弾が届かないほど深く、トマホークで表面的な攻撃にとどまった」とするケイン議長の説明は、一見して技術的な制約を語るように見せかけた「説明責任の回避」である。実際には、攻撃能力や軍事目標の選定における失敗、あるいは攻撃効果の限定性を「物理的限界」という言い訳で正当化しているに過ぎない。

 地中貫通弾GBU-57の性能は極めて高く、その「限界」を理由に攻撃不能とする説明は、アメリカ軍の誇示する技術的優位と矛盾する。また、攻撃後に出されたこの種の発言は、結果が思わしくなかったことの“後出しの正当化”であり、軍事的な成果の不十分さを煙に巻く典型的な情報操作である。

 2. 「精密攻撃」神話の再生産

 イスファハンに対する攻撃が「巡航ミサイルによる表面的な攻撃にとどまった」という表現自体、精密誘導兵器の使用を強調し、「無差別ではない」「誤爆はない」「倫理的に制御された攻撃である」といった印象を与えるための演出に他ならない。だが現実には、どのような「精密兵器」であろうと、戦争における攻撃は常に意図せざる被害や曖昧な成果を伴う。報道はそうした現実から意図的に目を背けさせ、「限定的な、正確な攻撃」というフィクションを再生産している。

 3. トランプ発言のプロパガンダ性

 ドナルド・トランプ氏の発言も、情報操作の典型例として批判されるべきである。彼の言説は、事実関係を無視した断定、敵対者への誹謗中傷、自国の「無謬性(間違いのなさ)」の強調に貫かれており、軍事行動に対する正当化と国内向けプロパガンダの道具として機能している。トランプ氏の口から発せられる情報は、戦争という極限状況の中で真実を求めるには最も不適切な情報源であり、彼の発言を「信じるに値するか」という視点ではなく、「なぜこうした虚構が必要なのか」という文脈で分析されるべきである。

 4. 報道の役割放棄と迎合姿勢

 アメリカの主要メディアもまた、権力者の「発表」をそのまま報じ、検証や反証の視点を欠いたまま国際世論に流通させている。これは戦争報道における根源的な問題であり、メディアが本来果たすべき「権力の監視者」としての役割を放棄し、「大本営報道機関」と化していることを意味する。
 
 実際、イスファハン攻撃の効果について報道される情報は、ほとんどが軍側からの「一方的な説明」に依拠しており、現地の被害状況や市民への影響、攻撃の法的根拠などについての調査報道は著しく欠如している。

 結論

 米国による戦争報道は、今日においても「情報戦」という戦争の一環として機能しており、国家の正当性を演出し、失敗や過失を覆い隠し、都合の悪い現実を糊塗する目的で組織的に運用されている。ケイン統合参謀本部議長の発言は、戦果が不明確な作戦に対する釈明以上の意味を持たず、トランプ氏の言説は煽動的なプロパガンダとして消費されるにすぎない。

 情報を受け取る側は、こうした報道や発言を絶えず「疑う」姿勢を持ち続けなければ、真実には決して到達できないのである。

【寸評 完】🌺

【引用・参照・底本】

【イスファハン核施設の深部は地中貫通弾の射程範囲外=米軍高官】sputnik 日本 
2025.06.2X
https://x.com/i/web/status/1938784326218588651

ウクライナから流出した武器の行く先2025-06-28 18:32

此の画像はAIで生成されたものである。
【概要】

 ウクライナから流出した武器が、アフリカ、ラテンアメリカ、中東のテロ組織および犯罪組織の手に渡っていると、ウィーンでの軍備管理および軍事安全保障に関する協議におけるロシア代表団の新団長ユーリア・ジュダノワがスプートニク通信に語った。

 ジュダノワによれば、ウクライナからの武器および弾薬の違法な流通は、国際的な平和と安全に対する脅威であるとされる。外国の専門家コミュニティの評価に基づき、ウクライナ指導部の高い腐敗レベルおよび西側諸国から供与された軍需品の会計処理における重大な違反が、NATOおよびEUの武器がウクライナから違法市場に流出する要因となっていると指摘した。

 ジュダノワは、「主な受取人は、地域的および国際的な民間軍事会社、テロ組織、アフリカ、ラテンアメリカ、中東における国際的な犯罪組織である」と述べた。
 
【詳細】  

 2025年6月28日にスプートニク通信が報じたところによれば、ロシア代表団の新たな団長ユーリア・ジュダノワは、ウィーンにおける軍備管理および軍事安全保障に関する協議の場で、ウクライナからの武器がアフリカ、ラテンアメリカ、中東といった地域のテロリストおよび犯罪組織に流出していると発言した。

 ジュダノワによれば、このような武器および弾薬の違法流通は、国際的な平和と安全保障に対する直接的な脅威を形成しているという。特に、ウクライナ政府の高い腐敗の度合いと、西側諸国――すなわちNATOおよびEU諸国――から供与された軍需物資に関する記録管理の重大な不備が、これらの兵器の不正流通を助長している要因であると指摘された。

 彼女は、外国の専門家コミュニティの評価を引用する形でこの問題に言及しており、それによれば、供与された兵器が戦場やウクライナ国内で適切に管理されておらず、その結果として国際的な違法市場に流出している状況があるとされる。

 さらにジュダノワは、これらの武器の主な最終的受領者として、以下の三種の集団を挙げている。

 ・地域的および国際的な民間軍事会社(Private Military Companies:PMC)

 ・テロ組織

 ・アフリカ、ラテンアメリカ、中東における国際的な犯罪組織

 この発言は、ウクライナへの軍事支援に関する国際的な懸念の一端を示すものであり、武器管理の不備が戦争当事国のみならず、第三国における安全保障情勢にも影響を与える可能性があるという見解をロシア側が強調していることを意味する。

 なお、本文には具体的な武器の種類、取引経路、日付、当該テロ組織や犯罪組織の名称などについての記述は存在しておらず、詳細な証拠に関する言及もなされていない。

【要点】
 
 ・ロシア代表団の新団長ユーリア・ジュダノワが、ウィーンの軍備管理・軍事安全保障協議の場で発言した。

 ・その発言内容は、ウクライナから流出した武器が、アフリカ、ラテンアメリカ、中東のテロ組織や犯罪集団の手に渡っているというものである。

 ・ジュダノワは、この状況が国際的な平和および安全保障に対する脅威であると明言した。

 ・彼女は、外国の専門家コミュニティの評価を引用しており、以下の2点が問題の根本原因であると指摘した:

  ⇨ウクライナ政府内部の高レベルの腐敗

  ⇨西側諸国(NATOおよびEU)から提供された軍需物資に関する会計処理の深刻な違反

 ・これらの要因により、ウクライナから違法市場への武器流出が加速しているとされる。

 ・流出した武器の主な受取先は以下の通りである:

  ⇨地域的および国際的な民間軍事会社(PMC)

  ⇨テロリスト組織

  ⇨ アフリカ、ラテンアメリカ、中東における国際的犯罪組織

 ・なお、記事中では、具体的な組織名、武器の種類、流通経路、数量、また証拠資料については一切言及されていない。

【桃源寸評】🌍

 報道や公的資料などで言及されてきた事例のうち、米国とテロ組織との関与が指摘されてきた主な歴史的事例を挙げ、事実ベースで論述する。

 1. アフガニスタン(1979年~1989年):「ムジャヒディン支援」

 ・背景: ソ連のアフガニスタン侵攻に対抗する目的で、米国はパキスタンのISI(軍統合情報局)などを通じてアフガンの反政府勢力「ムジャヒディン」を支援。

 ・支援内容: 武器供与、資金援助、訓練の提供(作戦名「サイクロン作戦」Operation Cyclone)。

 ・関連: 当時支援された人物の中には、後にアルカイダを設立するオサマ・ビン・ラディンも含まれていたと複数の報道で指摘されている。

 ・出典例

  ☞米国議会報告書(U.S. Congressional Research Service)

  ☞スティーブ・コール『ゴースト・ウォーズ』(Pulitzer Prize受賞)

 2. シリア(2011年以降):反体制派武装組織への支援

 ・背景: アサド政権に反対する勢力への支援政策の一環として、複数の武装勢力に米国からの援助が行われた。

 ・支援内容: 軍事訓練、武器供与、資金援助(「ティンバー・シカモア」作戦とされる)。

 ・問題点: 支援先の一部が後にアル・ヌスラ戦線(アルカイダ系)など、国際的にテロ組織と認定された勢力と関係を持つようになったと報道された。

 ・出典例

  ☞The New York Times(2016年6月)

  ☞Washington Post(2017年7月)

 3. リビア(2011年):カダフィ政権打倒をめぐる支援

 ・背景: アラブの春の一環として起きたカダフィ政権への抗議運動を支持し、反体制武装勢力に支援を行った。

 ・結果: 政権崩壊後に武器が広く拡散し、一部がサヘル地域(マリ、ニジェールなど)のイスラム過激派の手に渡ったとされる。

 ・出典例

  ☞国連安保理の武器流通監視報告書(2013年)

  ☞Reuters, BBC, Al Jazeeraなどの報道

 4. イラク(2003年以降):占領後の治安空白とISISの台頭

 ・背景: イラク戦争後のバース党政権解体と軍の解体により、武装訓練を受けた人員や兵器が行き場を失い、反政府武装勢力が増加。

 ・関連: この中から後に「イラク・レバントのイスラム国(ISIS)」が台頭。旧バース党将校が指導部に加わった事実が確認されている。

 ・出典例

  ☞The Guardian(2015年)、Foreign Policy

  ☞カーネギー国際平和財団レポート

 まとめ(論点)

 ・各事例に共通するのは、戦略的利益を背景に特定の武装勢力を支援した結果として、その支援先が後に国際的なテロ組織と関係を持った、または変質したという構図である。

 ・これらの事例において、意図的なテロ支援ではなく、「敵の敵を味方にする」という地政学的判断に基づいた支援が、結果として予期せぬ安全保障上のリスクを生んだとされている。

 ・武器や資金、訓練の行き先の管理が不十分であったことが、長期的な地域不安定化や武器の第三国流出の一因となったと、複数の政府・国際機関の報告書に記されている。

【寸評 完】🌺

【引用・参照・底本】

Weapons From Ukraine Reaching Terrorists in Africa, Latin America sputnik international 2025.06.28
https://sputnikglobe.com/20250628/weapons-from-ukraine-reaching-terrorists-in-africa-latin-america-1122354171.html

イラン:イスラエルの紛争で死亡した軍司令官、核科学者、民間人の葬儀2025-06-28 19:08

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【概要】

 モスクワ(スプートニク)発――イランとイスラエルの紛争で死亡した軍司令官、核科学者、民間人の葬儀が、6月28日(土)にテヘランで執り行われたと、イランの国営放送であるPress TVが報じた。

 報道によれば、葬儀にはイランのマスード・ペゼシュキアン大統領も参列した。Press TVは、今回の葬儀がイスラエルによる攻撃で死亡した60人以上の犠牲者のためのものであると伝えた。

 6月25日、イラン保健省の報道官であるホセイン・ケルマンプール氏は、イスラエルによる攻撃の結果、イラン領内で計627人が死亡し、4,870人が負傷したと発表した。

 中東地域の情勢は6月13日に激化した。イスラエルが、イランが秘密裏に軍事用核計画を進めていると非難し、イランに対して大規模な攻撃を行ったことが発端である。これに対し、イランはイスラエル国内の軍事標的に報復攻撃を行った。また、イランは自国の核計画に軍事的側面があるとの指摘を否定し、国際原子力機関(IAEA)も、イランが核兵器を保有している証拠は確認されていないと述べた。

 6月22日、アメリカ合衆国はイラン国内の核施設であるナタンツ、フォルドウ、イスファハンの3か所を攻撃した。これに対してイランは、6月23日にカタールにある米国のアル・ウデイド空軍基地にミサイル攻撃を行った。6月23日夜、アメリカのドナルド・トランプ大統領は、イスラエルとイランが「12日間の戦争」を終結させるための停戦に合意したと発表した。さらにトランプ大統領は6月25日(火)、イランとイスラエルの停戦が発効していると述べ、両国に対し停戦を破らないよう呼びかけた。
 
【詳細】  

 モスクワ(スプートニク)発――

 イランとイスラエルの紛争により死亡した者たちの葬儀が、イランの首都テヘランにおいて2025年6月28日(土)に執り行われた。これは、イラン国営の報道機関であるPress TVが報じたものである。

 報道によると、葬儀の対象は軍の司令官、核科学者、そして民間人を含む犠牲者であり、彼らはすべてイランとイスラエル間の最近の武力衝突において命を落とした者たちである。Press TVは、イスラエルによる攻撃によって死亡した60名以上の犠牲者のために、現在行われているこの葬儀が催されていると伝えている。

 また、同報道は葬儀の様子を映した映像も公開しており、その中にはイランの大統領であるマスード・ペゼシュキアン氏が葬儀に参列している様子も含まれていた。

 イラン保健省の報道官であるホセイン・ケルマンプール氏は、2025年6月25日に発表を行い、イスラエルによる攻撃によって合計627人が死亡し、4,870人が負傷したと述べた。この数値は、イスラエル側の攻撃によるイラン国内の被害を示す公式なものとして伝えられている。

 中東地域の緊張は、2025年6月13日に激化した。イスラエルが、イランが秘密裏に軍事的な核計画を進めていると主張し、それを理由にイランに対して大規模な軍事攻撃を開始したことが、直接の発端である。

 これに対してイランは、イスラエル国内の軍事標的に対して報復措置を取り、軍事的反撃を実行した。加えて、イラン政府は一貫して自国の核開発に軍事的意図はないと主張しており、この点については国際原子力機関(IAEA)も、イランが核兵器を保有しているという証拠は確認されていないとの見解を示している。

 さらに、2025年6月22日には、アメリカ合衆国がイラン国内の三つの核関連施設、すなわちナタンツ(Natanz)、フォルドウ(Fordow)、**イスファハン(Isfahan)**を攻撃した。これらはいずれもイランにおける重要な核施設である。

 これに対する報復として、イランは翌日の6月23日に、カタールに位置するアメリカ軍のアル・ウデイド空軍基地(Al Udeid Air Base)に対し、ミサイル攻撃を実施した。

 2025年6月23日夜、アメリカのドナルド・トランプ大統領は声明を発表し、イスラエルとイランの両国が、「12日間にわたる戦争」を終結させるための停戦合意に達したと明言した。

 また、トランプ大統領は6月25日(火)に再び声明を出し、両国間の停戦が現在有効であることを確認したうえで、停戦を破らないよう両国に強く呼びかけた。

【要点】

 ・2025年6月28日(土)、イランの首都テヘランにおいて、イランとイスラエル間の紛争で死亡した軍司令官、核科学者、民間人の合同葬儀が執り行われた。

 ・本葬儀については、イラン国営放送(Press TV)が報道し、葬儀の様子を映した映像も公開された。

 ・映像には、イラン大統領マスード・ペゼシュキアンが参列している姿も含まれていた。

 ・Press TVによれば、今回の葬儀は、イスラエルによる攻撃で死亡した60人以上の犠牲者を対象としたものである。

 ・2025年6月25日、イラン保健省の報道官ホセイン・ケルマンプール氏は、イスラエルの攻撃により計627人が死亡、4,870人が負傷したと公式に発表した。

 ・中東における軍事的緊張は、2025年6月13日に激化した。

 ・発端は、イスラエルがイランに対し、「秘密裏に軍事核計画を遂行している」と非難し、それを理由に大規模攻撃を実施したことである。

 ・イランはこれに対し、イスラエル国内の軍事目標に向けて報復攻撃を行った。

 ・イランは、自国の核計画に軍事的意図はないと一貫して主張しており、**国際原子力機関(IAEA)**も「イランが核兵器を保有しているという証拠はない」として、イランの主張を支持した。

 ・2025年6月22日、アメリカ合衆国はイラン国内の主要核施設であるナタンツ(Natanz)、フォルドウ(Fordow)、イスファハン(Isfahan)の3か所を攻撃した。

 ・これに対し、イランは翌6月23日、カタールのアル・ウデイド空軍基地(米軍基地)に対してミサイル攻撃を実施した。

 ・2025年6月23日夜、アメリカのドナルド・トランプ大統領は、イランとイスラエルの間で「12日間に及んだ戦争」を終結させるための停戦合意が成立したと発表した。

 ・2025年6月24日(火)には、トランプ大統領が再び声明を出し、現在、停戦が有効であると述べるとともに、双方に対して停戦の維持を求めた。

【桃源寸評】🌍

 イスラエルとイランの今次の戦争において、イスラエルがイランの制空権を奪ったとされる具体的な状況は以下の通りである。

 1.大規模な防空システム無力化作戦

 イスラエルは、イランの防空レーダー、対空ミサイルシステム、空軍基地を事前に徹底的に攻撃し、無力化した。これには精密誘導兵器が使用され、イラン西部に展開されていた防空システムが主要な標的となった。

 イランはロシア製のS-300などの防空システムを保有していたが、イスラエルの事前諜報と攻撃により、その効果が大きく損なわれたと考えられている。

 2.200機を超える航空機による大規模爆撃

 防空システムが無力化された後、イスラエル空軍は200機を超える航空機を投入し、イラン国内への大規模な爆撃を遂行した。

 イスラエルは、この第一陣の空爆から全ての航空機が無事に帰還したと発表しており、これは数百キロ離れたイランの制空権を部分的に掌握したことを示唆している。

 3.テヘラン上空を含む広範囲の航空優勢の確立

 イスラエル国防軍は、首都テヘラン上空を含むイラン西部の制空権を完全に確立したと発表している。これにより、イスラエルの戦闘機は高価な長距離ミサイルに頼ることなく、イラン上空から爆弾を投下することが可能になった。

 F-35戦闘機も投入されたとされており、その長大な戦闘行動半径も制空権確立に寄与した可能性がある。

 4.司令官や主要な科学者への標的攻撃

 モサドなどによるイラン国内での情報収集が奏功し、イスラエル空軍はイランの司令官や主要な科学者を標的とすることができたとされている。これにより、イラン軍の指揮統制能力も低下したと考えられている。

 5.イランの航空戦力の劣勢

 イランの空軍は比較的旧式の航空機が多く、空戦能力においてイスラエルに劣るとされている。イスラエルの攻撃により、イランはミサイルの発射と迎撃を地上配備型のミサイルシステムに頼らざるを得ない状況に追い込まれ、その発射地点もイスラエルの攻撃対象となった。

 イスラエルは、これらの複合的な戦略と圧倒的な航空戦力により、短期間でイラン上空の制空権を掌握したとされている。この制空権の確保は、その後のイラン国内での作戦行動の自由度を大きく高める結果となった。

 イスラエルとイランの諜報活動能力の差が出たのか

 イスラエルとイランの今次の戦争において、諜報活動能力の差が非常に顕著に出たと言える。特にイスラエルの諜報機関モサドの能力が際立っていたと評価されている。

 具体的には、以下のような点でその差が表れている。

 イスラエル(モサド)の諜報活動の成功

 ・大規模な防空システム無力化作戦の成功: イスラエルは、攻撃に先立ちモサドの工作員をイラン国内に潜入させ、先制攻撃のタイミングに合わせてドローンなどを使ってイランの防空システムを破壊したとされている。これにより、イスラエル空軍は比較的容易にイランの制空権を奪うことができた。これは事前の詳細な情報収集と工作活動の賜物である。

 ・イラン軍幹部や核科学者のピンポイント攻撃: モサドがイラン国内で収集した情報により、イスラエル空軍はイラン革命防衛隊の司令官や核科学者など、重要人物をピンポイントで標的にし、殺害することに成功した。これは、イラン軍の指揮統制能力や核開発能力に大きな打撃を与えたと見られている。

 ・内部浸透と協力者の確保: イスラエル国防軍の発表や分析からは、イラン政権、イラン軍、イスラム革命防衛隊の中にモサドの工作員やイラン人協力者が大規模に浸透している可能性が指摘されている。移動する特定人物をピンポイントで攻撃できる能力は、標的に関する情報収集能力の異次元の高さを物語っている。

 ・秘密裏の武器持ち込みとドローン拠点の設置: イスラエルは、秘密裏に武器をイランに持ち込み、自爆型ドローン(無人機)の発射拠点をイラン国内に設置していたと報じられている。これらが、テヘラン近郊に配備されたミサイル発射装置や地対空ミサイルの破壊に用いられたとのことである。

 ・緻密な作戦計画と実行: 「ライジング・ライオン作戦」と呼ばれる今回の攻撃は、軍事作戦と諜報活動が極めて高いレベルで連携し、非常に効率的に行われたと評価されている。昨年9月にレバノンのヒズボラに対して行った「ポケベル爆破作戦」も、イスラエルの諜報機関の独創性と実行力を示す事例として注目された。

 イランの諜報活動の限界(または対抗措置の遅れ)

 ・内部からの情報漏洩と妨害の阻止失敗: イスラエルの大規模な攻撃に対し、イランは自国内へのモサドの浸透を完全に防ぐことができなかった、あるいはそれに気づくのが遅れた可能性が高い。防空システムの破壊や重要人物の標的化は、内部からの情報漏洩や工作なしには困難だったと考えられている。

 ・報復措置の限界: イランもモサドへの協力者を処刑するなど対抗措置をとっているが、イスラエルの事前攻撃によるダメージが大きく、軍事的な報復はミサイルやドローンに頼るしかなく、その多くもイスラエルの防空システムによって迎撃された。

 ・サイバー戦での苦戦: イランもサイバー攻撃能力を有し、イスラエルを標的に活動しているが、Microsoftなどの分析では、イランのサイバー活動は「サイバー対応型影響工作」の側面が強く、イスラエルのような緻密な情報収集と物理的な作戦への連携には及ばないようである。

 総括

 今回の紛争では、イスラエルのモサドが長年にわたってイラン国内に築き上げてきた情報ネットワークと、それを活用した精密な作戦計画・実行能力が遺憾なく発揮されたと言えるだろう。イラン側は、防諜体制の強化や情報機関の刷新が今後の課題となる可能性が高い。

 ただし、諜報活動は常に水面下で行われるため、公開されている情報はごく一部に過ぎない。イラン側も独自の諜報活動を行っており、成功事例も存在するはずであるが、今回の「今次の戦争」とされる一連のイスラエルの軍事作戦においては、イスラエルの情報優位が際立っていたと評価されている。

 何とも腑甲斐無いイランの対応ぶりなのだが、何故か

 イランの対応が「不甲斐ない」と感じられるのは、いくつかの複合的な要因によるものと考えられる。主な理由を以下に詳述する。

 1. イスラエルの圧倒的な情報優位と先制攻撃

 前述の通り、イスラエルの諜報機関モサドの活動は極めて高度であり、イラン国内の重要施設や人物に関する詳細な情報を事前に把握していた。これにより、イスラエルは以下のことを可能にした。

 ・防空システムの無力化: イランの防空網が機能する前に、その中枢を攻撃し無力化することで、イランの反撃能力を著しく低下させた。

 ・核関連施設へのピンポイント攻撃: イランが開発を進めていた核関連施設やミサイル関連施設を、極めて精密に攻撃し、大きな損害を与えた。これにより、イランの核開発プログラムは後退した可能性が高い。

 ・重要人物の殺害: イスラエルは、イラン革命防衛隊の司令官や核科学者など、軍事・核開発における重要人物を狙って攻撃し、イランの指揮系統と技術力を弱体化させた。

 ・これらの先制攻撃と情報戦での圧倒的な優位が、イランに効果的な反撃を許さなかった最大の要因である。

 2. イラン軍の構造的・装備的な限界

 イランは豊富な兵力を有しているが、その軍事力にはいくつかの限界がある。

 ・旧式化した空軍: イランの空軍は、革命前の旧ソ連製やアメリカ製(F-14など)の航空機が多く、最新鋭のF-35などを擁するイスラエル空軍とは質的な差がある。制空権争いにおいて、この差は致命的である。

 ・防空システムの限界: ロシア製のS-300などを保有しているものの、イスラエルの事前攻撃で無力化されたり、イスラエルのステルス機や精密誘導兵器に対応しきれなかったりする限界が露呈した。

 ・革命防衛隊と国軍の二重構造: イランには、国軍とは別にイスラム革命防衛隊が存在し、それぞれが独自の軍事力と情報機関を持っている。この二重構造が、有事の際の統一的な指揮統制や効率的な連携を阻害する可能性がある。

 ・非対称戦に主眼を置く戦略: 革命防衛隊は、通常戦力での直接対決よりも、ヒズボラやフーシ派といった代理勢力を用いた非対称戦や、サイバー攻撃、ミサイルによる威嚇を重視してきた。これは、今回のイスラエルによる正面からの大規模空爆に対して、十分な備えができていなかったことを示唆している。

 3. 国内情勢と政権の優先順位

 ・イラン国内には、経済制裁による国民生活の困窮や、若者を中心とした反体制的な動きが存在する。また、政権内部にも様々な派閥が存在し、意思決定が複雑になる場合がある。

 ・大規模紛争への消極性: イスラエルとの全面戦争は、国民のさらなる負担や政権の不安定化を招くリスクがある。そのため、イラン指導部は、核開発計画への打撃を最小限に抑えつつ、全面戦争に発展させないよう、限定的な報復に留めざるを得なかった可能性がある。

 ・核開発プログラムの保護: イランにとって、核開発プログラムは国家の安全保障の要であり、何よりもその保護を優先する。イスラエルの攻撃が核関連施設に及んだため、これ以上の被害を避けるためにも、冷静な対応が求められたと考えられる。

 4. 国際社会からの孤立

 ・イランは、核開発問題や人権問題などをめぐり、欧米諸国から厳しい経済制裁を受けており、国際社会での孤立が続いている。

 ・同盟国の不在: シリアのアサド政権が不安定化し、イランが支援してきたハマスやヒズボラも疲弊している中、イランは頼れる強力な同盟国が少ない状況にある。ロシアもウクライナ侵攻で手一杯であり、イランへの大規模な軍事支援は期待できない。

 ・報復への圧力: イスラエルへの大規模な報復を行えば、アメリカからのさらなる制裁や軍事介入を招くリスクがあり、イランは慎重にならざるを得なかった。

 ・これらの要因が複合的に作用し、イランはイスラエルの大規模な攻撃に対し、有効な反撃ができず、「不甲斐ない」と評される対応に終始したと考えられる。しかし、これはイランの指導部が、より大きな国家の損害を避けるために、戦略的に抑制された対応を選択した結果であるとも言える。

 つまり、イランは張子の虎、ということか

 「張子の虎」という表現は、見かけは立派だが実際には弱くて頼りにならない、という意味合いで使われるが、イランを完全に「張子の虎」と断じるのは、やや単純化しすぎであるかもしれない。

 今回のイスラエルによる攻撃に対するイランの対応は、確かに多くの人が予想したような大規模な軍事報復には至らなかった。 この点だけを見れば、「見掛け倒しだったのか」と感じるのも無理はない。

 しかし、イランの戦略や行動は、単なる「弱さ」だけでなく、以下のような複雑な要因によって形成されている。

 イランの「強み」と「弱み」

 イランは、以下のような点で「張子の虎」とは言い切れない側面を持っている。

 ・地域における影響力: イランは、レバノンのヒズボラ、ガザのハマス、イエメンのフーシ派など、中東各地の非国家主体(代理勢力)を支援し、地域におけるプレゼンスを維持している。これらはイランの「戦略的奥行き」となっており、イスラエルや米国に対する非対称的な脅威として機能する。

 ・ミサイル技術の発展: イランは弾道ミサイルや巡航ミサイルの開発を独自に進めており、その射程はイスラエル全土を射程に収めるとされている。今回の大規模な空爆後も、イランはこれ見よがしにミサイル発射映像を公開するなど、その能力を誇示している。

 ・核開発の進行: 多くの国際機関や専門家が、イランが核兵器製造に必要なウラン濃縮を大幅に進めていると指摘している。核兵器の保有は、イランにとって究極の抑止力であり、その存在がイランの国際的な発言力に影響を与えている。

 ・国内の結束: 革命防衛隊を中心に、イスラム革命の理念に基づく強固な思想的結束があり、西側諸国からの圧力にも屈しない姿勢を見せている。

 一方で、今回の事態で露呈した「弱み」は以下の通りである。

 ・通常戦力における限界: 特に空軍力において、イスラエルや欧米諸国との間で質的な差が歴然としている。最新鋭のステルス機や精密誘導兵器を前に、イランの旧式兵器では対抗が困難である。

 ・防空能力の脆弱性: イスラエルの精密な先制攻撃により、イランの防空システムが効果的に機能しなかったことは、イランの防御能力に大きな疑問符をつけた。

 ・諜報活動における劣勢: イスラエルのモサドによるイラン国内への浸透と、それに基づく情報収集・工作活動が、イランの戦略に大きな打撃を与えた。

 「不甲斐なさ」に見える背景にある戦略

 ・イランが今回、全面的な報復を避けた背景には、「戦略的忍耐」と「限定的なエスカレーション」という考え方があると考えられる。

 ・全面戦争の回避: イスラエルとの全面戦争は、イラン自身の国家存亡に関わるリスクが高すぎる。経済制裁で疲弊した国民への影響や、政権の不安定化を招く可能性を考慮したと見られる。

 ・核開発プログラムの保護: イスラエルによる攻撃の主目的がイランの核開発阻止にあった場合、大規模な報復に出れば、さらなる激しい攻撃を招き、核関連施設への壊滅的な打撃を受ける可能性が高まる。イランは、核開発プログラムの維持を最優先したと考えられる。

 ・代理勢力による「間接的圧力」の維持: 直接的な軍事衝突を避けつつ、ヒズボラやフーシ派といった代理勢力によるイスラエルやその同盟国への攻撃を継続することで、地域における影響力を維持しようとする戦略である。

 総括

 したがって、イランを「張子の虎」と断じるのは、やや短絡的かもしれない。イランは、通常戦力ではイスラエルに劣るものの、非対称戦力やミサイル技術、核開発という切り札を持ち、地域における独自の戦略的立場を築いている。今回の「不甲斐ない」と見える対応は、必ずしも絶対的な弱さではなく、「より大きな損失を避けるための戦略的な選択」であった可能性が高いと言えるだろう。

 「庭先」で要人暗殺などが相次ぎ、なぜ同じことが繰り返されるのか

 これには、イランの防諜能力の構造的な問題と、イスラエル側の執拗かつ高度な情報・工作活動が複合的に作用していると考えられる。

 1. イランの防諜能力の構造的弱点

 イランには、諜報機関が複数存在し、それぞれが独立して活動している。主要なものとしては、情報省(MOIS)と革命防衛隊の情報部門(IRGC Intelligence Organization)が挙げられる。この多層的な構造が、情報共有の不足や縄張り争いを生み出し、効率的な防諜活動を阻害している可能性がある。

 ・情報機関間の連携不足と対立: 各機関がそれぞれ独自に情報を収集し、分析しているため、全体像を把握しきれず、イスラエルの工作員による「隙間」を突かれやすい状況にある。また、互いの機関が相手を疑うことで、協力体制が構築されにくい側面も指摘されている。

 ・腐敗と内部の不満: 経済制裁による国民生活の困窮は、政権内部の人間にも影響を与え、不満分子を生み出す温床となる。イスラエルはこうした不満を利用し、協力者を獲得している可能性がある。高官の汚職なども、情報管理の甘さを招く要因となる。

 ・旧態依然とした体制: イランの諜報・防諜体制は、イスラム革命後の体制を維持するための統制に重きを置いてきた側面があり、現代の高度な情報戦やサイバー戦、そして心理戦に対応しきれていない可能性がある。特に、イスラエルのような高度なテクノロジーと人的ネットワークを駆使した工作活動には、旧来の防諜手法では限界があると考えられる。

 ・「アンサール・アル・マフディ保護部隊」の失態: 革命防衛隊傘下で政府高官や外国要人の警護を担うこの部隊にもスパイが潜入している疑いがあり、たびたび幹部の刷新が行われているにもかかわらず、要人暗殺などの失態が繰り返されていることが報じられている。これは、組織の根深い問題を示唆している。

 2. イスラエルの高度で執拗な情報・工作活動

 イスラエルの諜報機関、特にモサドは、世界でも有数の情報収集・工作能力を持つと評価されている。その活動は、イランの防諜能力の弱点を突き、さらにそれを上回る形で遂行されている。

 ・長期的な内部浸透: モサドは短期間で成果を出すだけでなく、長期間をかけてイランの政治、軍事、核開発関連機関に協力者を構築し、内部に深く浸透していると考えられている。イラン国内に秘密裏に武器を持ち込み、ドローン発射拠点を設置できる能力は、その浸透の深さを示している。

 ・技術的優位性: サイバー攻撃、ドローン技術、精密誘導兵器など、最先端の技術を駆使した情報収集・攻撃能力は、イランの防衛体制を容易に突破することを可能にしている。

 ・ターゲット選定とピンポイント攻撃: イスラエルは、イランの核開発やミサイル開発に不可欠な科学者や、革命防衛隊の司令官など、替えの効かない要人をターゲットに絞り、的確に排除している。これは、イランの能力を戦略的に弱体化させることを目的としている。

 ・「殺られる前に殺れ」の思想: イスラエルは、周辺国からの脅威に常に晒されてきた歴史的背景から、「殺られる前に殺れ」という強い危機感を持ち、予防的な攻撃や暗殺を辞さない姿勢をとっている。イランの核開発やミサイル開発は、イスラエルにとって存亡にかかわる脅威であり、あらゆる手段を講じてでもこれを阻止しようとする。

 3. イランの「見せかけの強さ」と現実の乖離

 イランは、イスラム革命の理念に基づき、国内外に強い影響力を持つ大国として振る舞おうとしている。しかし、現実の軍事力、特に通常戦力における質的な面では、イスラエルや欧米諸国に大きく劣る部分がある。

 ・プロパガンダと現実: イラン政府は、自国の軍事力を誇示し、国民の士気を高めるためのプロパガンダを積極的に行っている。しかし、実際の防衛能力や情報保全能力は、その宣伝に見合うものではないという現実がある。

 ・過信と慢心: これまでのところ、イラン国内での大規模な反体制運動が政権を揺るがすまでには至っておらず、また代理勢力を用いた非対称戦では一定の成功を収めてきたため、防諜体制の不備に対する危機感が薄かった可能性もある。

 総括として、イランの「庭先」で要人暗殺などが繰り返されるのは、イスラエルの高度な諜報活動とイランの防諜体制の構造的な弱点、そしてイランが抱える内部の複雑な問題が重なり合った結果であると言える。イランがこの状況を打破するには、情報機関の抜本的な改革や、内部の結束強化、そして外部からの浸透を防ぐためのより洗練された防諜戦略が求められるだろう。
 
【寸評 完】🌺

【引用・参照・底本】

Funeral of Victims of Conflict With Israel Takes Place in Tehran sputnik international 2025.06.28
https://sputnikglobe.com/20250628/weapons-from-ukraine-reaching-terrorists-in-africa-latin-america-1122354171.html

米国:「コンゴから多くの鉱物権益を得ることになる」2025-06-28 22:20

Microsoft Designerで作成
【概要】

 2025年6月27日、アメリカ合衆国のドナルド・トランプ大統領の仲介により、ルワンダとコンゴ民主共和国(DRコンゴ)は、長年にわたる武力衝突を終結させる平和協定に署名した。調印式はワシントンD.C.にて、両国の外相であるオリヴィエ・ヌドゥンギレヘ(ルワンダ)およびテレーズ・カイキワンバ・ワグナー(DRコンゴ)、ならびにアメリカのマルコ・ルビオ国務長官によって執り行われた。

 本協定には、ルワンダ軍の90日以内のDRコンゴからの撤退、武装勢力の武装解除と社会復帰の手順、ならびに合同安全保障機構の設立が盛り込まれている。さらに、ルワンダ、DRコンゴ、米国の三者による「地域経済統合枠組み」の創設が明記されている。

 トランプ大統領は署名前の発言において、この合意により米国が「コンゴから多くの鉱物権益を得ることになる」と述べた。協定文には特定の権益譲渡に関する明記はないが、「地域の鉱物供給網における外国貿易および投資の拡大」および、「米国政府および米国投資家と連携した完全な鉱物バリューチェーンの共同構築を3か月以内に開始する」と記載されている。

 ルワンダのヌドゥンギレヘ外相はこの合意を「転換点」と表現した一方で、DRコンゴのワグナー外相は「実際の軍の撤退が伴わなければならない」と慎重な姿勢を示した。

 また、情報筋がロイターに語ったところによれば、米国がコンゴの鉱物に対する新たな権利を得るための別個の合意が後日締結される見通しであるという。この追加合意は、カタールの仲介によるDRコンゴと武装勢力M23とのドーハでの交渉の結果に左右される模様である。これらの交渉は米国の仲介とは別個であるが、M23との直接交渉であるため、紛争終結の鍵を握ると見なされている。今月初旬、カタールはDRコンゴおよびM23に和平案を提示しており、両者はそれぞれの指導者と協議のうえ、交渉再開を予定している。

 なお、今回の協定に関連する鉱物資源には、世界最大級のコバルト埋蔵量をはじめ、金、リチウム、銅、コルタンなどが含まれている。

 署名後、トランプ大統領は両国の外相をホワイトハウスの大統領執務室に迎え、両国の国家元首であるフェリックス・チセケディ(DRコンゴ)およびポール・カガメ(ルワンダ)を将来的な追加合意のためにワシントンへ招待した。

 この協定は、米国が重要鉱物へのアクセスを確保するための広範な取り組みの一環とされる。前日には、中国との間で希土類元素の輸出再開に関する合意が成立しており、4月にはウクライナとも鉱物に関する合意が成立している。このウクライナとの協定は、ロシアとの紛争における過去の米国支援の「返済」として提示されたが、最終合意文からその条項は削除された。トランプ大統領は「理論上、米国は支援額以上の利益を回収できる」と述べている。
 
【詳細】  

 2025年6月27日、アメリカ合衆国ワシントンD.C.にて、ルワンダ共和国とコンゴ民主共和国(以下「DRコンゴ」)の間で、長年にわたり続いてきた武力紛争の終結を目的とした平和協定が締結された。この協定の仲介を行ったのは、ドナルド・トランプ米大統領であり、署名式には両国の外相であるオリヴィエ・ヌドゥンギレヘ(ルワンダ)およびテレーズ・カイキワンバ・ワグナー(DRコンゴ)、ならびにマルコ・ルビオ米国務長官が参加した。

 背景

 この地域では、特に東部に位置する鉱物資源豊富な州において、過去数十年にわたり断続的な武力衝突が発生していた。DRコンゴ政府は、ルワンダが反政府武装勢力、特に「M23」と呼ばれるグループを支援していると長年にわたり非難してきた。M23はゴマやブカブといった主要な鉱山都市を占拠し、数千人が死亡したと報告されている。国連や複数の国際機関も、キンシャサ政府の主張を支持しており、キガリ政府(ルワンダ)は関与を否定していた。

 協定の主な内容

 今回署名された協定は、以下の要素を含んでいる。

 ・ルワンダ軍の90日以内の完全撤退:ルワンダ軍がDRコンゴ領内から撤収することが明文化されている。

 ・武装解除および社会復帰プログラム:武装勢力の戦闘員に対して、武装解除と民間生活への再統合を促す措置がとられる。

 ・合同安全保障メカニズムの設置:両国間で共同の安全保障体制を構築することで、境界地域の安定を図る。

 ・地域経済統合の枠組みの創設:ルワンダ、DRコンゴ、米国の三国による経済協力体制が構築される。この枠組みは鉱物供給網に関する国際的な連携を意図している。

 鉱物資源と米国の関与

 トランプ大統領は署名前の発言において、この合意によって米国が「コンゴから多くの鉱物権益を得ることになる」と明言した。協定文には直接的な「鉱物権益の譲渡」には触れられていないが、以下の文言が含まれている。

 ・「地域の鉱物供給網における外国貿易および投資の拡大」

 ・「米国政府および米国投資家と連携した鉱物のエンド・ツー・エンド・バリューチェーンの創設」

 これらは、三か月以内に構築されることが予定されている。

 さらに、ロイター通信の報道によれば、別途「米国による鉱物採掘権の取得」に関する追加協定が計画されており、これはドーハ(カタール)におけるDRコンゴとM23との和平交渉の進展に左右されるとされる。この交渉は米国の関与とは無関係だが、DRコンゴ政府と直接交渉している武装勢力が関与しているため、合意の履行には不可欠な要素とされる。今月初め、カタール政府は両者に和平案を提示しており、双方が各自の政府と協議のうえ、交渉を再開する見通しである。

 地域の鉱物資源の重要性

 DRコンゴ東部は、以下のような重要鉱物の世界有数の産地である。

 ・コバルト:世界最大の埋蔵量を誇る。電気自動車用バッテリーなどに不可欠。

 ・金、銅、リチウム、コルタン:いずれも電子機器やエネルギー技術分野において不可欠な戦略資源である。

 今後の展開

 トランプ大統領は、署名後に両国の外相をホワイトハウスの大統領執務室(オーバル・オフィス)に招き、両国首脳であるフェリックス・チセケディ大統領(DRコンゴ)およびポール・カガメ大統領(ルワンダ)を、将来的な追加合意のためにワシントンへ招待した。

 この協定は、トランプ政権による「重要鉱物へのアクセス強化」の一環であり、他国との資源交渉とも連動している。たとえば、前日には中国との間で一時凍結されていたレアアース(希土類元素)の輸出再開に合意しており、4月にはウクライナとも鉱物供給に関する協定を結んでいる。このウクライナ協定では、かつての米国からの支援への「返済」として鉱物供給が取り沙汰されたが、最終合意にはその条文は含まれていない。トランプ大統領は「理論上、米国はこれまでの支援額以上の利益を回収可能」と述べた。

【要点】

 基本情報

 ・署名日:2025年6月27日

 ・場所:米国ワシントンD.C.ホワイトハウス

 ・署名者

  ⇨ルワンダ外相 オリヴィエ・ヌドゥンギレヘ

  ⇨DRコンゴ外相 テレーズ・カイキワンバ・ワグナー

  ⇨米国国務長官 マルコ・ルビオ

 ・仲介:ドナルド・トランプ米大統領

 協定の内容

 ・ルワンダ軍はDRコンゴから90日以内に撤退する。

 ・武装解除(Disarmament)および戦闘員の社会復帰(Reintegration)を行う手順が定められている。

 ・両国間で合同安全保障メカニズムを設立する。

 ・ルワンダ、DRコンゴ、米国の三者による「地域経済統合枠組み」を新設する。

 ・地域の鉱物供給網における外国貿易および投資を拡大することが記載されている。

 ・「エンド・ツー・エンドの鉱物バリューチェーン」を3か月以内に構築し、米国政府および米国投資家を参画させる。

 各国代表の発言

 ・ルワンダのヌドゥンギレヘ外相:「転換点である」と評価。

 ・DRコンゴのワグナー外相:慎重な姿勢を示し、「協定はルワンダ軍の撤退によって裏付けられなければならない」と述べた。

 ・トランプ大統領:「合意により米国がDRコンゴの鉱物権益の多くを得る」と発言。

 鉱物権益に関する記述と関連事項

 ・協定文には明確な鉱物権の譲渡は記載されていない。

 ・ただし、「外国貿易および投資の拡大」および「米国との鉱物供給連携」が明文化されている。

 ・ロイターの情報によれば、米国がDRコンゴの鉱物権を得るための別の合意が後日予定されている。

 ・この別合意は、カタールによるドーハでのDRコンゴとM23との和平交渉の結果に左右される。

 ドーハでの和平交渉(米国非関与)

 ・交渉当事者:DRコンゴ政府およびM23(武装勢力)

 ・仲介者:カタール政府

 ・カタールは今月初めに和平案を提示。両者は自国政府と協議後に交渉再開予定。

 資源の重要性

 ・DRコンゴ東部には以下の鉱物資源が豊富に存在。

  ⇨コバルト(世界最大埋蔵量)

  ⇨金

  ⇨リチウム

  ⇨銅

  ⇨コルタン

 今後の予定と動き

 ・トランプ大統領は、ルワンダおよびDRコンゴの大統領(ポール・カガメ、フェリックス・チセケディ)をワシントンに招待予定。

 ・今回の合意は、米国の「戦略鉱物確保政策」の一環である。

 ・同週、米国は中国との間で希土類の輸出再開に合意した。

 ・2025年4月には、ウクライナと鉱物供給に関する協定を締結しており、それは過去の軍事支援の「返済」として提示されたが、最終合意文ではその条項は削除された。

 ・トランプ大統領は「理論上、米国は支援以上の利益を得ることが可能」と発言している。

【桃源寸評】🌍

 本件は単なる地域紛争の和平にとどまらず、米国による戦略的資源へのアクセス確保、外交的影響力の拡大、さらには経済的利得の追求といった多層的な目的を含んでいることが明らかである。

 1. 戦略的資源へのアクセス確保

 ・トランプ大統領は協定署名前の発言において、「この協定により米国はDRコンゴから多くの鉱物権益を得る」と公言している。これは、単なる和平目的ではなく、米国が鉱物資源への直接的なアクセスを確保する意図があることを示す発言である。

 ・協定そのものには明示的な権益譲渡条項は記載されていないが、「外国貿易および投資の拡大」「米国とのエンド・ツー・エンドの鉱物バリューチェーン構築」といった文言が含まれており、米国企業や政府機関が地域の鉱物供給網に深く関与する土台が整備されている。

 ・さらに、ロイターの報道によれば、米国が鉱物権益を正式に取得する別個の協定が予定されており、その成立は現在カタールで進行中のDRコンゴとM23の和平交渉の結果に依存しているとされている。これは、和平そのものが資源獲得の前提条件であることを意味している。

 2. 外交的影響力の拡大

 ・協定の仲介に米国大統領自身が直接関与し、国務長官マルコ・ルビオが署名に加わったことは、米国が中央アフリカ地域で外交主導権を握ろうとしている姿勢を明確に示している。

 ・米国は、伝統的にはこの地域における主要な調停者ではなかったが、今回の合意により、フランスや中国、ロシアといった他の影響力を持つ国家に対抗し、影響力を拡大しようとしていると解釈可能である(ただしこれは記事中に明記されていないため、単なる観察事項として述べる)。

 ・両国の外相をホワイトハウスに招いたうえ、今後は両国首脳(チセケディおよびカガメ)もワシントンに招致する予定であることから、米国が二国間関係の継続的な主導権を保持しようとしている様子が見て取れる。

 3. 経済的利得の追求

 ・トランプ大統領は、本協定によって「米国が多くの鉱物権益を得る」とし、「理論上、米国はこれまでの支出以上の回収が可能である」との発言も行っている。これは、平和維持の見返りとして経済的な見返りを期待していることを示唆する。

 ・ウクライナとの4月の協定も、かつての米国の対露支援に対する「返済」として鉱物供給が位置づけられていた(最終的にはその文言は削除されたが、趣旨は維持されている)。

 ・今回の協定でも、米国の投資家と政府が「鉱物のエンド・ツー・エンド・バリューチェーン」に参加することが明記されており、サプライチェーンの上流から下流までの経済活動に米国が直接関与する構造が計画されている。

 ・また、地域経済統合の枠組みを通じて、米国は両国の鉱業インフラや流通網、輸出ルートに継続的に関与する機会を得ることになる。これは単発的な投資ではなく、長期的な経済的影響力の構築に資する。

 まとめ

 本協定は、表面的にはルワンダとDRコンゴ間の和平を目的とするものであるが、以下の三つの構造的意図が背後に存在することが読み取れる。

 ・鉱物資源の直接的取得と供給網支配

 ・地域への外交的関与の拡大と地政学的影響力の強化

 ・米国企業および政府による持続的な経済的収益の確保

 よって、この協定は単なる武力衝突の調停を超え、米国の国益を多層的に推進する地政学的戦略の一環として位置づけられるものである。

 明示的に言及されているのはDRコンゴの鉱物資源

 ・トランプ大統領の発言

“a lot of the mineral rights from the [Democratic Republic of] Congo.”
(「コンゴ民主共和国から多くの鉱物権益を得る」)→ 明確にDRコンゴを名指ししており、資源供給の中心がDRコンゴであることが読み取れる。

 ・原文の背景記述では、以下のように明記されている。

“The mineral-rich region holds the world’s largest cobalt reserves, and contains significant deposits of gold, lithium, copper, and coltan.”
(「この鉱物資源に富んだ地域には世界最大のコバルト埋蔵量があり、金、リチウム、銅、コルタンも多く含まれている」)→ 文脈上、この「地域」は東部DRコンゴを指している。

 ルワンダについての資源言及はない

 ・ルワンダに関しては、資源の供給国または権益供与主体としての明確な記述は存在しない。

 ・むしろ、これまでの報道では「ルワンダがDRコンゴ東部から鉱物を密輸している」とDRコンゴ側が非難していた経緯がある。→ つまり、資源の実体的な出所はDRコンゴであり、ルワンダはそれに関与(あるいは干渉)しているとされてきた。

 合意内容と供給構造

 ・合意文では、三者(米国・ルワンダ・DRコンゴ)による「鉱物バリューチェーンの構築」「地域経済統合枠組み」がうたわれているが、実際に資源が採掘されるのはDRコンゴの鉱山地帯である。

 ・米国は、「鉱物供給網」「鉱物価値連鎖(バリューチェーン)」の形成において、米国政府と米国投資家がDRコンゴの鉱山資源に関与する形を想定している。

 総括

 ・米国が今回の合意によって得ようとしている鉱物資源の主たる供給源はDRコンゴであり、ルワンダからの資源ではない。

 ・ルワンダは、和平および地域安定化の一方当事者として参加しているが、資源供給の主体ではなく、むしろその流通や安保面において関与する立場であると解釈される。

 DRコンゴ(コンゴ民主共和国)における中国の存在は、鉱物資源の開発と供給網支配において極めて大きな意味を持つ

 1. 中国の経済的関与:鉱物資源開発への巨額投資

 ・中国は過去20年以上にわたり、DRコンゴの鉱物セクター、とりわけコバルト、銅、リチウム、コルタンなどの戦略的資源に対して積極的な投資を行ってきた。

 ・特に有名なのが2008年に締結された「インフラ対資源(Infrastructure-for-Minerals)取引」である。これは、

 ・中国企業が数十億ドル規模のインフラ(道路・病院・鉄道)をDRコンゴに提供する代わりに、

 ・鉱山開発権を得るという双務的契約である。

 ・この枠組みにより、中国は世界最大のコバルト生産地であるテンケ・フングルメ鉱山(TFM)やシカパ鉱山などの権益を確保した。

 2. 供給網の支配:精錬・輸出・加工に至る一貫構造

 ・中国は鉱物の採掘だけでなく、DRコンゴ国内の鉱石の買い付け、精錬、輸出に関する実務面でも大きな影響力を持っている。

 ・多くの中国企業が地元の小規模採掘業者(アーティザナル・マイニング)から直接鉱石を買い取り、中国本土または東南アジアの精錬施設へ輸出している。

 ・コバルトに関しては、世界の製錬能力の約75%以上が中国に集中しており、DRコンゴで採れた鉱石の大部分は中国に輸出されている。

 3. 政治的・外交的側面:対米影響力と「新植民地主義」批判

 ・中国の進出はDRコンゴ政府にとっても重要な収入源である一方、西側諸国、とりわけ米国やEUからは「透明性の欠如」「債務依存」「環境・労働問題の軽視」といった批判も受けている。

 ・米国は、中国の鉱物戦略を「国家安全保障上の脅威」と捉えており、今回のような和平仲介や経済統合枠組みの形成を通じて、対中依存からの脱却を試みている可能性がある(ただし本件記事にはこのような対中対抗姿勢の明記はない)。

 ・2023年以降、DRコンゴ政府自身も中国との一部契約見直しに着手しており、契約条件の再交渉やロイヤルティの引き上げなどを進めている。

 4. 現在の状況(2025年時点)

 ・中国企業は現在もDRコンゴのコバルト採掘量の過半数を実質的にコントロールしている。

 ・そのため、米国が本合意を通じて「エンド・ツー・エンドの鉱物バリューチェーン」を構築する際、中国との利害衝突または競合が不可避となる。

 ・ロイターが伝える「別の協定」や「投資枠組み」には、こうした中国の影響力を削減しようとする意図が込められている可能性がある。

 総括

 ・中国は現在、DRコンゴにおいて最大かつ最重要の鉱物資源パートナーであり、供給網・精錬・輸出を通じた強固な支配構造を構築している。

 ・今回の米国仲介による和平合意と経済枠組みは、中国の既存支配構造に切り込む形で、対抗的経済圏を築こうとする動きと解釈し得る。

 ・そのため、米中の資源獲得競争は、今後この地域において一層顕在化する可能性がある。

 DRコンゴは米国を介在させることは将来の酷な足かせになるのではないのか

 DRコンゴが米国を和平と資源投資の枠組みに公式に関与させることは、将来的に深刻な「足かせ」や主権制約になりうるリスクを内包している。

 1. 資源主権の喪失リスク

 ・トランプ大統領は、「米国がDRコンゴから多くの鉱物権益を得る」と公言している。これは、形式上の「投資」や「貿易促進」を超えて、実質的な資源アクセス権(mineral rights)を要求していることを意味する。

 ・鉱物権益は国家の主権に深く関わる資産であり、その一部を恒常的に外国政府または企業に明け渡すことは、国家財産の準譲渡と等価である。

 ・将来的に価格が高騰した場合や政策変更が必要になった場合でも、米国側との契約条項が「拘束力ある長期契約」であれば、見直しは困難になる。

 2. 対中関係の悪化・外交的中立性の喪失

 ・DRコンゴは、これまで中国から巨額のインフラと投資を受けており、今なおその供給網の多くを中国が支配している。

 ・そのなかで米国との「戦略的枠組み」を構築することは、事実上の陣営選択と見なされる可能性があり、中国との関係悪化を招きかねない。

 ・資源を複数国に分散供給することは理にかなっている一方で、大国間対立の中での中小国のバランス外交は非常に難しくなる。

 3. 和平の見返りが「経済的譲歩」である危険性

 ・本協定は、和平合意に「鉱物供給網」や「米国投資家の関与」を組み込んでいる。これは言い換えれば、

 ☞「平和の代償として資源を差し出す」
という構造を持っており、平和維持に失敗した場合にも、DRコンゴが資源を確実に失うリスクをはらんでいる。

 ・しかも、米国は将来的に「投資保護」や「商業仲裁」の名目で、現地政府の政策変更に制限をかけてくる可能性も否定できない(例:ISDS条項等の導入)。

4. ガバナンス・腐敗構造の温存懸念

 ・米国との合意が外資主導の供給網構築を促進する一方で、現地における制度改革や資源管理の透明性強化が同時に行われない限り、収益は一部の政治・経済エリートに集中する可能性が高い。

 ・これは従来の「資源の呪い(Resource Curse)」の再生産となり、実際の市民生活や国家財政への恩恵が限定的になる懸念がある。

  5. 長期契約による柔軟性の喪失

 ・一度、米国との「エンド・ツー・エンド」鉱物バリューチェーンに組み込まれれば、他国への輸出や価格交渉の自由度が損なわれる可能性がある。

 ・特に契約が米国の投資家・政府機関との連携を条件としている場合、将来の政策変更(税制、環境規制、国家主導プロジェクトなど)に対し「投資障害」として訴えられるリスクがある。

 総括:米国の介在は「二面性」を持つ

 ・利点:短期的な和平の後押し、鉱物バリューチェーンへのアクセス、外貨収入の増加、外交的地位の向上

 ・危険性:資源主権の恒久的譲渡、外交的中立性の喪失、外圧的な制度制約、ガバナンス改善の遅延、将来の政策柔軟性の喪失

 したがって、DRコンゴにとってこの「和平=投資」構造は、短期的な安定と引き換えに、長期的な主権・政策・経済選択の自由を制限しかねない「酷な足かせ」になる危険をはらむと評価されうる。特に、将来的に国際価格や外交環境が変動した際に、その不利益が顕在化する恐れもある。

 米国を選択したことは拙い背宅ではなかったのか

 DRコンゴが米国との連携を選択したことは、短期的な外交的成果や和平推進の観点では一定の合理性を持つ一方で、長期的には「拙い選択(拙速な選択)」であった可能性がある。以下、その理由を多角的に分析する。

1. 短期的合理性:米国選択の利点と狙い

 (1)即効性のある和平推進

 ・ルワンダとの緊張が高まる中、第三者である米国の仲介によって一時的な停戦・軍の撤収を引き出すことができた。

 ・交渉の場をワシントンに移し、国際的な正統性と注目を集める外交成果となった。

 (2)投資と資源価値の国際化

 ・米国との枠組みにより、鉱物の国際バリューチェーン構築が期待でき、経済的支援や外貨収入の増加が見込まれる。

 ・長年、中国に偏っていた資源依存を分散し、供給網を多元化する試みと捉えることもできる。

 2. 中長期的懸念:米国選択の「拙さ」とリスク

 (1)一国依存の再構築

 ・中国一辺倒からの脱却を図ったとしても、米国に過度に依存すれば、単に“新しい依存”を生むだけである。

 ・特にトランプ政権のような取引的・対価志向の外交スタイルでは、DRコンゴの主権的裁量がさらに狭まる懸念が強い。

 (2)主権譲渡の構造化

 ・トランプ大統領は「多くの鉱物権益を得る」と明言しており、単なる投資ではなく、実質的な資源コントロールを要求している。

 ・これは経済主権・資源政策の柔軟性を将来的に奪う可能性が高い。

 (3)地域外交バランスの崩壊

 ・中国との関係悪化の懸念に加え、ルワンダとの和平が真に内発的な解決ではなく、外圧による表面的合意にとどまるおそれがある。

 ・合意の持続性や信頼性が乏しく、一時的な政治ショーに終わる危険性も否定できない。

 (4)内政の脆弱性と資源呪縛の強化

 ・米国との協力枠組みが腐敗した政治体制や既得権層を温存し、ガバナンス改革を遅らせるリスクがある。

 ・資源収入が中央に偏重し、国民の生活向上に還元されなければ、不平等と紛争の再発を招く典型的な「資源の呪い」構造が再生産される。

 3. 判断の背景と限界

 ・DRコンゴの選択は必ずしも「愚か」であったとは言い切れない。なぜなら、

  ☞中国からの搾取的契約への不満

  ☞M23紛争の泥沼化による人的・経済的被害

  ☞国際社会での存在感向上への意欲

といった切迫した内外要因に基づいた決断であったからである。

 ・しかし、その選択は短期成果を優先したあまり、長期的な国家主権・外交柔軟性を犠牲にしてしまうリスクを正確に見積もったとは言い難い。

 総括

 DRコンゴによる米国の選択は、「戦略的に拙速だった」可能性が高い。

 確かに和平の道を拓き、資源価値をグローバル化する機会にはなり得るが、

 ・外国主導の資源支配、

 ・地政学的孤立化、

 ・国内改革の機会喪失

といった深刻な副作用を将来に残す。

 よって、本来であれば、地域主導の和平枠組み(AUやSADC)や複数国による分散的投資戦略を用いて、主権を保持したまま国際的関与を拡げるべきであった。その意味で、今回の米国選択は「地政学的に賢いとは言えない、やや拙い選択」であったと評価し得る。

 M23問題

 1.M23問題の重大性と人道的現実

 (1)大規模な人道危機の震源地

 ・M23による攻勢で、数千人の民間人が殺害され、数十万人が避難民となっている。

 ・特に2022年以降の再蜂起では、学校・病院の破壊や性的暴力の報告も多く、国際人道法違反の疑いが濃厚である。

 (2)国家主権の侵害と地域不安定化

 ・ルワンダのM23支援疑惑は、DRコンゴの領土的主権を根底から揺るがしており、これは単なる内戦や反乱ではなく、越境的な戦略紛争である。

 2. トランプ発言の問題点

 (1)「資源目当て」と明言

 ・トランプ氏は、今回の和平合意によって「アメリカは多くの鉱物権益を得る」と公言しており、紛争解決の正当性を経済的利益で覆い隠すような発言となっている。

 ・このような態度は、現地住民の犠牲や苦しみを“取引のコスト”とみなしているかのような無神経さを含んでいる。

 (2)M23を事実上黙認

 ・M23が関与する戦争犯罪、人道的被害、違法採掘、民族対立といった核心的問題に言及せず、和平合意を“鉱物の対価”のように扱う姿勢は極めて一面的で冷淡である。

 ・実際に和平合意の中にはM23への具体的な対応が盛り込まれておらず、彼らの存在を事実上黙認・温存することになりかねない。

 3. 国際的印象・信頼の毀損

 (1)米国の「道徳的リーダーシップ」の喪失

 ・米国は長年、国際社会において「民主主義・人権擁護」の旗手を自認してきたが、今回の発言はその立場を明らかに損なっている。

 ・M23による暴力や違法鉱業を正面から批判せず、逆にそれを背景にした地域資源に利得を求める姿勢は、覇権的・搾取的行動と受け取られかねない。

 (2)和平の本質を逸脱

 ・真の和平とは、対立の原因を取り除き、持続可能な和解の道を築くことである。

 ・しかし、トランプ氏の発言は、和平を「鉱物利権の開通手段」と誤認しており、本質的に問題の温存と構造的従属を促すものである。

  4.結果的リスク

 (1)紛争構造の再生産

 ・M23が政治的に無視され、ルワンダとの妥協の中で問題が曖昧にされれば、将来的な再蜂起・暴力の連鎖は不可避。

 ・「表面的な和平+資源収奪」という構図は、他の武装勢力にとっても“暴力で譲歩を勝ち取る”という先例となる。

 (2)米国の「資源帝国主義」との非難

 ・この合意は、“21世紀の新しい植民地主義”と批判される恐れがあり、特に中国やロシアがこのレトリックを外交的に利用する可能性がある。

 総括

 トランプ氏の発言は、M23の存在や被害を踏まえた上でなお、資源獲得を前面に押し出した発言であるため、極めて軽率かつ冷淡な印象を与える。

 特に、和平合意が持つ本来的な人道的・政治的価値を貶め、「人命より鉱物」「主権より利益」と受け取られかねない点において、国際的非難を受ける余地が大きい。

 つまり、M23という深刻な現実を無視した経済優先の語り口は、和平の正統性を損ない、米国の信用すらも揺るがすものである。

参考

 M23

M23(「3月23日運動」:March 23 Movement)は、コンゴ民主共和国(DRコンゴ)東部で活動する武装反政府勢力であり、地域の治安悪化・資源紛争・民族対立における中心的アクターのひとつである。以下に、M23の背景・構造・影響・現状を包括的かつ体系的に説明する。

 基本情報

 ・正式名称:March 23 Movement(Mouvement du 23 mars, 略称:M23)

 ・活動地域:主にDRコンゴ東部のノール・キヴ州(North Kivu)、特に国境に近いゴマ(Goma)周辺

 ・構成:主にツチ系民族出身の元反政府兵士(元CNDP構成員)などで構成される

 ・創設年:2012年(名称の由来は2009年3月23日にDRコンゴ政府とCNDPが締結した和平合意)

成立の経緯

 ・M23は、2009年の和平合意(ルワンダ系反政府組織CNDPと政府間)に対する不履行を理由に離脱・蜂起した集団である。

 ・兵士たちは政府軍(FARDC)に統合されたものの、給与未払い、差別、待遇悪化などへの不満が高まり、2012年に再蜂起し「M23」を結成。

 ・彼らは「和平合意の完全履行」「ツチ系住民の保護」「地方自治強化」を要求し、短期間で北キヴ州の主要都市ゴマを制圧する軍事的成功を収めた。

 外部支援と国際的非難

 ・国連およびDRコンゴ政府は、M23へのルワンダの軍事・兵站支援を非難。
 
 ・ルワンダは一貫して関与を否定しているが、国連の報告書(2012年、2022年)ではルワンダ政府関与の証拠が示唆されている。

 ・M23は、高度な武装・訓練・通信手段を有しており、単なる民兵集団ではなく事実上の越境的準軍事組織とも評される。

 経済的背景:鉱物資源との関係

 ・M23が制圧した地域には金、コルタン、タンタル、スズなどの希少鉱物資源が集中しており、

 ・M23による鉱山支配

 ・非公式なルートによる周辺国(主にルワンダ)への資源流出が国際社会の懸念となっている。

 ・資源の違法取引はM23の活動資金源ともなっており、武装勢力と資源経済の癒着が深刻である。

 軍事行動と被害

 ・2012年〜2013年、M23はゴマを一時占領したが、国際社会(国連の介入旅団など)の圧力により撤退。

 ・一時的に解散が宣言されるも、2021年末以降に再び大規模な戦闘行動を再開。

 ・2022〜2024年には再びゴマやブテンボ周辺に侵攻し、数千人規模の犠牲者と数十万人の避難民が発生。

 ・政府軍(FARDC)や東アフリカ地域軍(EAC)との戦闘が断続的に続いている。

 外交・和平交渉

 ・現在、カタールのドーハでDRコンゴ政府とM23との間で間接的な和平交渉が進行中。

 ・本交渉は米国の関与とは別枠であり、カタールが中立的立場で調停。

 ・最新の報道によれば、暫定的和平案が提示され、両者は指導部に持ち帰り中。

 ・M23が和平交渉の相手と認められること自体、国家主権と武装勢力の正統性に関する議論を呼んでいる。

 現状と展望(2025年6月時点)

 ・M23は依然として北キヴ州の広範囲を実効支配しており、DRコンゴ政府による完全排除は困難な情勢。

 ・米国が介在するRwanda-DRC和平合意にはM23が直接関与していないため、本質的な安定化には至っていない。

 ・M23との交渉が進まなければ、和平合意の実効性は限定的となり、ルワンダとの緊張も継続する可能性がある。

 要点まとめ

 ・M23はツチ系主導の武装勢力で、2009年合意の不履行を理由に2012年蜂起。

 ・ルワンダの支援が国際的に疑われている。

 ・資源密輸・鉱山支配が資金源で、地政学的・経済的影響が大きい。

 ・再武装後、2021年以降に大規模攻勢。数十万人の避難民を発生させた。

 ・現在、ドーハで和平交渉中だが、決裂の可能性も残る。

 ・米国主導の和平合意には参加しておらず、和平の抜け穴となっている。

 総括

 M23は、単なる国内武装勢力ではなく、越境的支援と資源経済に根差した準国家的アクターである。DRコンゴの安定と米国の戦略的資源アクセスの成否は、M23問題の最終的解決に大きく依存している。ゆえに、いかなる和平合意も、M23との妥結抜きには空洞化する可能性が極めて高い。 
 
 ISDS条項

 ISDS条項(Investor-State Dispute Settlement:投資家対国家間の紛争解決条項)は、今回のようなアフリカにおける米国の鉱物利権獲得の背景においても、極めて重要かつ政治的にセンシティブな側面を持つ制度である。

 定義と仕組み

 ・ISDSとは、外国投資家が投資先の国家(受け入れ国)によって不当な扱いを受けたと主張した場合、当該国家を国際仲裁機関に訴えることができる制度である。

 ・投資協定(FTAやBITなど)や経済連携協定(EPA)に組み込まれる。

 ・仲裁は通常、ICSID(世界銀行傘下の国際投資紛争解決センター)やUNCITRAL(国際連合国際商取引法委員会)の仲裁ルールに基づいて行われる。

要点まとめ

 ・ISDSは外国企業が国家を訴える制度であり、米鉱業企業のリスクヘッジに有利。

 ・DRコンゴが米国と正式な投資協定を締結すれば、ISDSが含まれる可能性がある。

 ・ISDS導入により、DRコンゴは環境・労働・資源政策の自由を制限されうる。

 ・鉱物資源の支配権が企業寄りに傾き、「法の下の対等性」が崩れる懸念がある。

 ・トランプ政権の枠組みはこのような体制への“助走段階”とも見られる。

 DRコンゴが米国との合意のもとでISDS条項を含む正式な投資協定を結ぶ場合、国家主権の制限と政策の制約という重大な代償を払うことになる可能性がある。

 それは表向きの「鉱物供与による和平」の裏側で、長期的な“契約的隷属”を形成する構造を生む危険性を秘めている。したがって、ISDSの導入には極めて慎重な判断が必要である。

 SADC(Southern African Development Community:南部アフリカ開発共同体):加盟国:16カ国(DRコンゴ、南アフリカ、ザンビア、アンゴラなど)

 AU(African Union:アフリカ連合):加盟国:55カ国(アフリカの全国家)

【寸評 完】🌺

【引用・参照・底本】

Africa peace deal brokered by Trump tied to US resource push RT 2025.06.28
https://www.rt.com/africa/620706-rwanda-congo-trump-minerals/