【桃源閑話】 五 日本の歷史と天皇の地位2024年07月08日 08:37

 以下の文は、『擾乱の日本 蜷川新評論集』蜷川 新著からの抜粋引用である。

 五 日本の歷史と天皇の地位 (107-111頁)

 明治二十三年以後の日本人は、正しい日本の歴史を教えられていない。そうして、天皇は、国初以来、終始一貫して、日本人民の崇敬し来つたもののように信ぜしめられている。それであるから、今日の民主日本においても、民主を軽侮したり、天皇制への復活を叫んだり、君ケ代の万歳を、全国学生に歌わしめたり、天皇へのあこがれを、公然として、公務員某が説いたりするのである。この事態は不合理の横行である。憎悪すべき一つの変態である。匡正を要する。あたかも、名人の名演奏会に馬鹿嚥しを飛込ませるような醜態といえる。排除を急務とする。

 日本人の間に、現に生じているこの狂態は、種々の原因があって、発生したものである。その原因は明治以後における曲解日本史の全国普及や、人民欺瞞の幾多の勅語や、虚偽の維新史の謀略的な宣伝が、その主なるものであると私は見ている。

 明治以前の学者は、正直に日本の歴史を説いた。林羅山、新井白石、僧円月、そのほか幾多の人がいる。林羅山は、天孫降臨を軽侮し、「もしも神が、天孫を日本に降すならば、国の中央に降すのが当然である」と嘲つている。羅山は神武を目して「呉か越から、日木に渡つた人であろう」と批判している。

 神武は、外国から渡来し、 日本の先住者、長髄彦を、奇計を用いて暗殺し、その策略の結果として、日本の中央部を占領し、そこに、小さな都を建てた人と見ることは、相当の理由もある史論である。日本の建国者と見るのは「過ぎたり」というべきである。長髄彦は、ゴールの英雄ヴェルサンジェトリックスに似た人物であつたに相違ない。戦争では神武は長髄彦の軍に討たれて、敗北したことは明白である。神武の「即位日」も当てにならないものと、今日は学者からいわれている。

 明治以後の歴史家は、正論を忌み唯だ天皇におもねることのみを書いていた。頗る卑怯の徒であつた。文部省編纂の「臣民の道」という官製の書物がある。昭和十六年八月の発行行である。その書などは、殆んど全部が、虛偽の宜伝であつきた。その中に、「我が国は、皇祖天照大神が、皇孫瓊瓊杵ノ尊に、神勅を授け、この豊葦原の瑞穂の国に降臨せしめ給いしより、万世一系の天皇、皇祖の神勅を奉じて、永遠にしろしめし給う。臣民は億兆心を一にして、忠孝の大道を履み、天業を翼賛し奉る。万古不易の我が国体は、ここに燦然として輝いている」との奇怪な文句が出ている。果して当時の文部大臣は、良心をもつていたものであろうか。このような嘘八百を竝べて、日本人を迷わしめていた罪は、到底、許さるべきものではないのである。終戦 直後、時の文相は、自殺して、その罪を天地に告げ、その責任をとつたのであつた。当然の帰結であつた。

 官製の史書をもつて、明治以後の天皇政府は、人民を欺むき、人民を奴隷化し、終いには、全世界の人類に対して、挑戦し、世界の平和を乱した。そうして、天皇の政府は、敵国に降伏し、永遠の耻を、世界にさらすにいたつたのである。明治以後における直後の勅語は、何れも、天皇本位であり、人民を奴隷化し、人民をして、迷謬の徒とならしめたものである。しかも、そのなかで、もつとも人民の心に、迷信を植えつけたものは、実に「教育勅語」であつた。

 全国の青少年はこれに感化された。明治二十三年以来五十年にわたり、この勅語は教育の経典とせられ、人民の精神は、それにより、育成せられたものである。同勅語は、天皇自ら皇室を自画自讃している。「徳を樹つること深厚なり」ととなえている。古来稀れなる自家宣伝の文句である。それは既に、謙譲の道徳の無視である。「我が臣民克く忠に克く孝に、億兆心を一にして、世々厥の美を済せるは」と書いてある。日本の歴史によれば、そんな事実は見られないのである。それは人民への欺瞞である。神武崩じて直後、皇子二人は相続争いをして、弟は夜中、兄を襲い暗殺している。なんの忠もなく、孝も見られないのである。中興の祖、天智天皇の崩後、天智の弟と天智の子とは、兵力を用いて相争い、天皇の皇子は戦いに敗れて自殺している。そこに人倫はない。忠孝全く亡び去つている。(西暦六七二年)日本歴史が明白になつたのは、仏教渡来以後と云われている。

 その渡来当時には、(五七〇年)、物部の大族と、蘇我の大族とがあつて、強烈に争闘し、天皇の意思は無視され、天皇には、権力は金くなかつた。二族は十七年の久しきに亘つて相争い、終に物部氏は亡ぼされた。「億兆心を一にし」などは、虚偽であることを、証明している。

 蘇我氏は、一大族として、日本の主権を掌握し、天皇崇峻を殺した。(五九二年)蘇我氏は、王と称した。群臣ば蘇我氏に服従した。蘇我氏が主権者となつていたのは、西暦六四三年までも続いている。その統治は五十一年の長きに及んでいる。その事績は、仏教の上からいえば、頗る重大なるものがある。従来、この史実を、世人は注意していないのであつた。勤王諭の禍いである。

 その間、勅語にいう忠も孝も行われていなかつた。即ち教育勅語は偽りである。大和朝は二百年に亘って、日本の主権者であつた。併し藤原氏が摂政の地位をもつて主権を掌握することとなり、天皇は藤原氏の無力の婿となるに至つた。そこには、忠はなかつた。

道長は「この世をば我が世ぞと思う」と歌つている。そこにも忠はなかつた。

 その以後には平氏起り、天皇を院におしこめた。源氏はつぎに政府を鎌倉に設立した。次の北条氏は主権者となり、四人の天皇を反逆者として流刑に処した。時の人は、天皇を、反逆者と見ていた。

 ついで足利氏は主権者となり、天皇を討伐し天皇を山中に追いこめた。天下は足利氏を礼讃した。

 ついで織田信長は、足利を亡ぼし、一部的の権力者となつた。次いで豊臣氏が自立し織田氏を掃滅した。次いで徳川氏は 自力をもつて、主権者となり、日本の憲法を制定した。

 それが二百七十年の主権者として日本を統御していた。

 これらの史実は、後人として恣ままにこれを抹消し、改作することを許されない。

 要するに、日本国の主権は、大和朝の二百年以外には、天皇にはなかつたのである。それが日本の主権継承史であり、それが習慣法であつたのである。
 
 主権者の変更されるのを「革命」と称している。日本にも、古来、その革命は行われ来つた。支那にも西洋にも人類歴史上、どんな地域にも革命はあつた。教育勅語は虚偽を教えている。

 孔子は「君が非道ならば、争わざる可からず」と、教えている。孝経第二十章に明記してある。山崎闇斎の如きは此の理を悟り得なかった腐儒である。「武家政治は、天皇の権力を盜んだ」と、伊藤博文はいつたが、かれは佞人たるを免れない。
 
 六 維新史の歪曲宣傳

 明治政府は、「王政維新」を礼讃し、人民に宣伝した。彼らは「尊王攘夷」を救世のシンボルだと誇称し来つた。しかしながら、維新は孝明天皇の勅命を矮める大不忠に始まり、同天皇を暗殺して、幼帝を立て、岩倉、三条、西郷、大久保、木戸などが、その立身出世の欲望をみたしたのに過ぎない一大怪奇の事件である。西郷の如きは、五百人の強盜を江戸に放ち、人民の財産五十万両を強掠せしめている。彼は人民の敵であつた。人間らしさを欠いている。

 さらに大反逆を起して、日本民族に甚大な禍いを蒙らせている。長州人は京都の皇居に大砲をぶちこみ、皇太子を気絶せしめ、多くの民家を焼いている。忠もなく人道もそこにはなかつた。彼らの唱えた「尊王」は、虚偽であつた。また彼らの主張した「攘夷」は、亡国の道であつた。幕府方のおこなつた「開国」のみが文明であつた。愛国であつた。そして正判である。

〔改造〕昭和二十七年七月

【参考】

・ゴールの英雄ウェルキンゲトリクスについて

ヴェルキンゲトリクス(Vercingétorix)は、古代ローマのガリア侵略に対し、ガリア人(ケルト人)をまとめ上げ、抵抗した英雄である。フランス最初の英雄と称される人物で、その勇猛な姿は、現代においてもフランス人の誇りとなっている。

ウェルキンゲトリクスの生涯と活躍

出自: ガリアのアルウェルニ族出身。

若き日のリーダーシップ: 父のあとを継ぎ、若くして族長となる。

ガリア統一への動き: ローマ軍のガリア侵攻に対し、バラバラだったガリア諸部族を一つにまとめ、統一戦線を築いた。

ゲリラ戦とローマ軍への打撃: ローマ軍に対して、ゲリラ戦や兵站線の寸断など、巧みな戦術を用いて大きな打撃を与えた。

アレシアでの敗北: 最終的には、アレシアという都市に追い詰められ、ローマ軍に包囲されてしう。突破を試みるも失敗し、部下の命を守るために降伏した。

その後: ローマに連行され、凱旋パレードの後、処刑されたと伝えられている。

ウェルキンゲトリクスが英雄と呼ばれる理由

ガリア統一の試み: 分裂していたガリア諸部族を一つにまとめ、ローマ帝国に対抗しようとしたこと。

勇猛な戦いぶり: ローマ軍相手に巧みな戦術を用い、幾度も勝利を収めたこと。

民族の誇り: ガリア人の独立のために戦い、その命を捧げたこと。

ウェルキンゲトリクスの影響

ヴェルキンゲトリクスは、フランス人の民族意識の形成に大きな影響を与えた。彼の勇猛な姿は、フランスの歴史の中で繰り返し語り継がれ、フランス人の誇りとなっている。

ヴェルキンゲトリクスに関する更なる情報

アレシアの戦い: ウェルキンゲトリクスがローマ軍に敗れた最後の戦い。

ガリア戦争: カエサルがガリアを征服した戦争。ヴェルキンゲトリクスの活躍はこの戦争の中で描かれている。

画像

ヴェルキンゲトリクスの像: フランスのクレルモン=フェランにあるヴェルキンゲトリクスの像は、彼の偉業を象徴するものである。[画像: ヴェルキンゲトリクスの像]

ヴェルキンゲトリクスは、単なる軍事的な英雄にとどまらず、民族の独立のために戦い、その命を捧げた人物として、後世に語り継がれている。

・『臣民の道』,文部省教学局,昭和16. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/1039435で読める。

・昭和16年(1941年)当時の日本の文部大臣は、橋田邦彦である。1945年(昭和20年)9月14日服毒自殺。

【参考はブログ作成者が付記】

【引用・参照・底本】

『擾乱の日本 蜷川新評論集』蜷川 新著 昭和廿七年十一月一日初版発行 千代田書院

註:引用に際し、読み易さを考慮し原文にない段落を附した。

バヌアツ、ソロモン諸島、バングラデシュ首脳の訪中2024年07月08日 16:32

【概要】

 中国は、バヌアツ、ソロモン諸島、バングラデシュの首脳のハイレベル訪問を主催する予定で、グローバルサウスとの外交的関与の強化を強調している。今回の訪問により、協力関係がさらに強化され、中国の外交政策戦略に対する西側諸国の批判に反論することが期待されている。

 バヌアツ・ソロモン諸島

 ・バヌアツのシャルロット・サルワイ首相は、7月7日から12日まで中国を訪問する。
 ・ソロモン諸島のジェレミア・マネレ首相が7月9日から15日まで訪問する。
 ・これらの訪問は、太平洋島嶼国(PICs)との深い協力を促進するという中国のコミットメントを強調するものである。

 バングラデシュ

 ・シェイク・ハシナ首相は7月8日から10日まで訪問する。
 ・バングラデシュは、中国の協力を得て、道路、鉄道、港湾、エネルギー供給に重点を置いたインフラの拡充を目指している。

 専門家は、こうした外交的動きを、西側諸国の冷戦時代のメンタリティと対決的アプローチに挑戦する互恵的なパートナーシップの証拠として称賛している。彼らは、中国の支援は平和的共存と平等な待遇の原則に基づいていると主張し、攻撃的な行動や主権の無視に対する非難に対抗している。

 一部の西側メディアは、特に「債務の罠」とされるものについて批判しているが、中国のオブザーバーは、中国の援助は被援助国にとって必要かつ有益であると主張している。彼らは、中国の地域社会への投資、インフラと全体的な生活の質の向上のプラスの影響を強調している。

 要約すると、バヌアツ、ソロモン諸島、バングラデシュの指導者による中国訪問は、搾取と強制という西側の言説に対抗しながら、共同開発と繁栄を目指す中国とグローバルサウスの間の継続的かつ深化している協力を反映している。

【詳細】

 中国は2024年後半の始まりにあたり、バヌアツ、ソロモン諸島、バングラデシュの首脳を迎えて一連のハイレベルな外交訪問を予定している。これらの訪問は、中国とグローバルサウスとの協力関係を一層深めることを目的としている。以下に詳しく説明する。

 バヌアツとソロモン諸島

 バヌアツ

 ・訪問期間: 2024年7月7日から12日
 ・首相: シャーロット・サルワイ
 ・目的: 中国との経済協力やインフラプロジェクトの強化

 ソロモン諸島

 ・訪問期間: 2024年7月9日から15日
 ・首相: ジェレマイア・マネレ
 ・目的: 双方の経済協力の拡大と政治的な結びつきの強化

 中国はこれらの太平洋諸島国(PICs)との協力を通じて、西側の旧来の冷戦思考に対抗し、相互尊重と理解、支援を実現しようとしている。中国外務省の李海東教授や清華大学国家戦略研究所の研究部長であるQian Feng氏によれば、中国とこれらの国々の協力は平和共存の原則に基づいており、力の差に関係なく平等に対応することが強調されている。
 
 バングラデシュ

 ・訪問期間: 2024年7月8日から10日
 ・首相: シェイク・ハシナ
 ・目的: 経済協力とインフラ開発の強化

 バングラデシュのシニアリサーチフェロー、モハマッド・サイエイドゥル・イスラム氏によれば、この訪問は中国とバングラデシュの協力関係を新たな段階に進めるものであり、特にインフラ建設分野での協力が期待されている。具体的には、新しい道路や鉄道の建設、港湾の拡張、エネルギー供給能力の向上などが含まれる。

 バングラデシュの地理的位置から、中国とインドの間でバランスの取れた政策を維持する必要があり、今回の訪問はその一環として重要視されている。中国とバングラデシュの協力は、一帯一路(BRI)イニシアチブの下で進行しており、これによりバングラデシュのインフラと経済発展が促進されている。

 西側の批判と中国の反論

 西側メディアは、中国がこれらの国々に対して「債務の罠」を仕掛けていると批判しているが、中国側はこれを否定している。特に、オーストラリアやアメリカのメディアは、中国がこれらの国々に過度な負債を押し付けていると非難しているが、これに対して中国の専門家は、中国の支援は平等な協議に基づいており、相互利益を追求するものであると強調している。

 中国は、これらの国々の経済困難が主に西側の経済減速と金利上昇に起因していると指摘し、中国の支援はこれらの困難を解決するためのものであると述べている。

 結論

 これらの高レベルな訪問は、中国とグローバルサウスとの協力関係を一層強化し、相互利益を追求するための重要な機会となる。中国は、平等な立場での協力と発展を強調し、西側の批判に対しても冷静かつ論理的に反論している。

【要点】

 バヌアツとソロモン諸島

 1.バヌアツ

 ・訪問期間: 2024年7月7日~12日
 ・首相: シャーロット・サルワイ
 ・目的: 経済協力やインフラプロジェクトの強化

 2.ソロモン諸島

 ・訪問期間: 2024年7月9日~15日
 ・首相: ジェレマイア・マネレ
 ・目的: 経済協力の拡大と政治的な結びつきの強化

 3.バングラデシュ

 ・訪問期間: 2024年7月8日~10日
 ・首相: シェイク・ハシナ
 ・目的: 経済協力とインフラ開発の強化
 ・期待される協力分野
  ・新しい道路や鉄道の建設
  ・港湾の拡張
  ・エネルギー供給能力の向上

 西側の批判と中国の反論

 ・西側の批判

  ・「債務の罠」を仕掛けているとの非難
  ・特にオーストラリアやアメリカのメディアが批判

 ・中国の反論

  ・支援は平等な協議に基づく相互利益の追求
  ・経済困難の主因は西側の経済減速と金利上昇
  ・中国の支援は経済困難を解決するためのもの

 訪問の意義

 ・中国とグローバルサウスの協力強化

  ・相互尊重と理解、支援の実現
  ・西側の冷戦思考に対抗

 ・バングラデシュの立場

  ・中国とインドの間でバランスの取れた政策
  ・一帯一路(BRI)イニシアチブによるインフラと経済発展の促進

 ・総括

  ・高レベルな訪問を通じて中国とグローバルサウスの協力関係を深化
  ・西側の批判に対する冷静かつ論理的な反論

【引用・参照・底本】

China to host high-level visits from two Pacific Island countries, Bangladesh GT 2024.07.07
https://www.globaltimes.cn/page/202407/1315578.shtml

SCOの枠組みの下:「イーグル・アサルト2024」2024年07月08日 16:45

【概要】

 中国軍とベラルーシ軍は、ベラルーシが最近上海協力機構(SCO)に加盟したことを受けて、合同の対テロ演習「イーグル・アサルト2024」を実施する予定だ。演習は7月上旬から中旬にかけてベラルーシのブレスト市近郊で行われる。これは、人質救出や対テロ作戦などの混合訓練演習とタスクを通じて、参加部隊の訓練レベルと相互運用性を向上させることを目的としている。

 この演習は、地域の平和と安定に対する両国のコミットメントを浮き彫りにするものである。また、合同軍事訓練の分野でのベラルーシと中国の関係強化も意味する。人民解放軍部隊は演習のためにすでにベラルーシに到着しており、Y-20戦略輸送機で到着している。これは、ベラルーシ解放80周年を記念するミンスクでの軍事パレードへの人民解放軍の参加に続くものである。

 SCOの枠組みの下で、この協力は中国とベラルーシの間の安全保障と防衛の協力を深めることが期待されている。

【詳細】

 中国とベラルーシの軍隊は、ベラルーシが正式に上海協力機構(SCO)に加入した直後に、共同で対テロ演習「イーグルアサルト-2024」を実施する予定である。この演習は、中国国防省のプレスリリースによると、両国の合意に基づき、年次計画の一環として行われる。場所はベラルーシのブレスト市付近で、日程は7月8日から19日までである。

 演習の目的と内容

 ・背景: 演習は対テロミッションを背景にしており、参加する軍隊は混成訓練を行い、人質救出や対テロ作戦などの任務を実践する。

 ・目的: 訓練レベルと相互運用性を向上させること、および両国の軍隊間の実務的な協力を深めることを目指している。

 ・参加者: 中国人民解放軍(PLA)とベラルーシ軍の軍人が参加する。

 ベラルーシ側の視点

 ベラルーシ国防省のプレスリリースによると、PLAの軍人がY-20戦略輸送機でベラルーシに到着した。この共同対テロ演習は、経験の交換、ベラルーシと中国の部隊の調整、および共同軍事訓練分野での両国関係のさらなる発展の基盤を築くことを目的としている。

 演習の重要性

 ・地域の平和と安定: この演習は、東欧地域における非伝統的な安全保障脅威からの平和と安定に寄与するとされている。
 ・SCOの枠組み内での協力強化: SCOの枠組みの下で、中国とベラルーシは安全保障と防衛の分野でより深い協力を享受することが期待されている。

 過去の関連イベント

 この演習は、PLAが今月初めにベラルーシで行われたイベントに参加した後に行われる。具体的には、PLAの儀仗隊がミンスクで行われたベラルーシ解放80周年記念軍事パレードに参加した。これらのイベントは、緊急時に迅速な部隊輸送が可能であることを示している。

 結論

 この共同対テロ演習は、中国とベラルーシの軍事協力の深化と、地域の安定維持に向けた両国のコミットメントを示す重要なステップである。また、SCOの枠組みを通じて、両国の安全保障と防衛分野での協力が強化されることが期待される。

【要点】

 中国とベラルーシの共同対テロ演習「イーグルアサルト-2024」の概要

 演習の基本情報

 ・名称: イーグルアサルト-2024
 ・場所: ベラルーシのブレスト市付近
 ・日程: 2024年7月8日~19日
 ・背景: ベラルーシの上海協力機構(SCO)加入後に実施

 目的と内容

 目的

 ・訓練レベルと相互運用性の向上
 ・両国の軍隊間の実務的な協力の深化

 内容

 ・混成訓練
 ・人質救出や対テロ作戦の実践

 参加者

 ・中国人民解放軍(PLA)
  ・PLAの軍人がY-20戦略輸送機でベラルーシに到着
 
 ・ベラルーシ軍

 重要性と期待される効果

 ・地域の平和と安定の維持

  ・東欧地域における非伝統的な安全保障脅威からの保護

 ・SCOの枠組み内での協力強化

  ・安全保障と防衛分野での深い協力

 過去の関連イベント

 ・PLAの参加イベント

  ・ミンスクでのベラルーシ解放80周年記念軍事パレード(PLA儀仗隊が参加)

結論

 ・演習の重要性

  ・両国の軍事協力の深化と地域の安定維持に向けた重要なステップ
  ・SCOの枠組みを通じた安全保障と防衛分野での協力強化の期待

【引用・参照・底本】

Chinese, Belarusian armies to hold joint anti-terrorism exercise GT 2024.07.07

中印貿易の課題2024年07月08日 17:59

【概要】

 中印貿易には人材に加えて、より広範な政策開放性と二国間協力の改善が必要であることを強調している。インドは、戦略的セクターにおけるスキルギャップに対処するために中国人労働者にビザを付与することを検討しており、これは両国間の経済交流にとって前向きな動きと見なされている。しかし、この協力が十分に有益なものとなるためには、インドは投資制限など様々な問題を解決する必要がある。

 中国の熟練労働者は、インドの経済発展に大きな利益をもたらすことができる高度な技術と管理の専門知識をもたらす。インドの工場に中国人労働者がいることが、インドのスキルギャップと中国の専門知識の価値を強調していることを強調している。この人材の流れは、両国間の交流と協力を促進するために重要であるが、課題はビザにとどまらず、市場アクセスや投資制限など多岐にわたる。

 インドは中国からの投資を阻み、経済協力を妨げている。外国投資を誘致し、製造業の進歩を達成する能力を高めるために、インドはビジネス環境を改善し、中国企業を公正に扱う必要がある。さらに、二国間貿易が深まる中、インドにおける中国人労働者の権益を守るためには、両国の共同の努力が必要である。

【詳細】

 インドが中国の労働者にビザを発行し、特定の戦略的分野におけるスキルギャップを解消し、国内製造業を促進し、技術革新を推進する可能性について述べている。これにより、インド国内のグローバルメーカーが中国の技術者やエンジニアを容易に雇用できるようになり、中国の労働者がインドのビザを取得するのに苦労する現状を改善することが期待されている。

 しかし、相互に有益な協力を完全に進めるためには、ビザの問題だけでなく、投資制限などのさまざまな問題も解決する必要がある。中国の熟練労働者はインドの経済発展にとって非常に価値があり、先進技術や管理ノウハウを提供することで現地産業の高度化に貢献する。インドが中国の才能を最大限に活用するためには、特に中国の投資に対する制限を緩和するなど、より大きな政策的開放性を示す必要がある。

 インドは長年、巨大な消費市場、戦略的な立地、比較的低い労働コストを持つ有望な外国投資先と見なされてきたが、スキルギャップは外国投資を引き付ける上での主要な障害となっている。インドには中国の熟練労働者への大きな需要があり、これはインドが製造業や経済成長を進める上での課題を示している。

 例えば、昨年、Appleの新しいフラッグシップiPhone 15の生産を改善するために、Foxconnは多くの中国人労働者をそのインドのiPhone工場に派遣した。このことはインドのスキルギャップを浮き彫りにするとともに、中国の熟練労働者の競争力と魅力を強調している。中国の技術者は、情報技術、製造、インフラ建設などの分野で価値ある専門知識と実務経験を提供し、インドの労働者のスキルを向上させ、知識共有と技術移転を通じてインドの製造業の近代化を加速させる。

 したがって、より便利な人材の流動性は、中国とインドの交流と協力を促進する重要な側面となる。しかし、両国間の課題はビザの問題にとどまらず、市場アクセスや投資制限も含まれる。インドは自国の利益だけに基づいて議題を選ぶのではなく、ビザ、市場の開放性、投資保護などの問題を一緒に解決する必要がある。

 インドは中国の投資に対していくつかの障害を設けており、これが経済協力を妨げ、外国投資先としてのインドの評判を損なっている。しかし、中国とインドの経済および貿易協力の補完性と相互利益は、差別的な慣行によって影を落とすことはできない。最近の二国間貿易の成長も、両国の実際の発展ニーズを反映している。インドがそのビジネス環境を改善し、中国企業に対して公正、透明、かつ非差別的な扱いを確保することによって、さらに多くの外国投資を引き付け、製造業の進歩を達成できるようになる。

 さらに、二国間貿易が深化する中で、より多くの中国人労働者がインドに来ることになるだろう。彼らの正当な権利と利益を保証し保護するためには、中国とインドの共同努力が必要である。

【要点】

 1.ビザの発行

 ・インド政府が特定の戦略的分野でのスキルギャップを解消するため、中国人労働者にビザを発行することを検討している。
 ・この政策は、中国の技術者やエンジニアがインドで働く際のビザ取得の困難を緩和し、経済交流を促進する。

 2.熟練労働者の重要性

 ・中国の熟練労働者はインドの経済発展において重要な役割を果たす。
 ・先進技術や管理ノウハウを提供することで、インドの産業の高度化に貢献する。

 3.政策的開放性の必要性

 ・インドが中国の才能を最大限に活用するためには、特に中国の投資に対する制限を緩和するなど、より大きな政策的開放性が必要。

 4.スキルギャップの問題

 ・インドは巨大な消費市場、戦略的な立地、低い労働コストを持つが、スキルギャップが外国投資を引き付ける上での障害となっている。
 ・中国の熟練労働者への需要が高く、これはインドの製造業や経済成長の課題を示している。

 5.中国の労働者の競争力

 ・中国の労働者は情報技術、製造、インフラ建設などの分野で価値ある専門知識と実務経験を提供。
 ・彼らはインドの労働者のスキルを向上させ、技術移転を通じて製造業の近代化を加速させる。

 6.人材の流動性の重要性

 ・便利な人材の流動性は、中国とインドの交流と協力を促進する重要な側面となる。

 7.その他の課題

 ・ビザの問題以外に、市場アクセスや投資制限も解決すべき課題。
 ・インドはビザ、市場の開放性、投資保護などの問題を一緒に解決する必要がある。

 8.中国投資への障害

 ・インドは中国の投資に対していくつかの障害を設けており、これが経済協力を妨げ、外国投資先としての評判を損なっている。

 9.ビジネス環境の改善

 ・インドはビジネス環境を改善し、公正、透明、非差別的な扱いを確保することで、外国投資を引き付け、製造業の進歩を達成できる。

 10.労働者の権利保護

 ・二国間貿易の深化に伴い、より多くの中国人労働者がインドに来ることになる。
 ・彼らの正当な権利と利益を保証し保護するためには、中国とインドの共同努力が必要。

【引用・参照・底本】

GT Voice: Apart from talent, what else does China-India trade need? GT 2024.07.07
https://www.globaltimes.cn/page/202407/1315585.shtml

イラン:「東方主義」政策堅持・西側との関係改善2024年07月08日 19:05

Microsoft Designerで作成
【概要】

 中印貿易には人材に加えて、より広範な政策開放性と二国間協力の改善が必要であることを強調している。インドは、戦略的セクターにおけるスキルギャップに対処するために中国人労働者にビザを付与することを検討しており、これは両国間の経済交流にとって前向きな動きと見なされている。しかし、この協力が十分に有益なものとなるためには、インドは投資制限など様々な問題を解決する必要がある。

 中国の熟練労働者は、インドの経済発展に大きな利益をもたらすことができる高度な技術と管理の専門知識をもたらす。インドの工場に中国人労働者がいることが、インドのスキルギャップと中国の専門知識の価値を強調していることを強調している。この人材の流れは、両国間の交流と協力を促進するために重要であるが、課題はビザにとどまらず、市場アクセスや投資制限など多岐にわたる。

 インドは中国からの投資を阻み、経済協力を妨げている。外国投資を誘致し、製造業の進歩を達成する能力を高めるために、インドはビジネス環境を改善し、中国企業を公正に扱う必要がある。さらに、二国間貿易が深まる中、インドにおける中国人労働者の権益を守るためには、両国の共同の努力が必要である。

【詳細】

 選出されたイラン大統領マスード・ペゼシュキアンの外交政策には、いくつかの重要な側面がある。

 1.「Look East」政策の継続
 
 ペゼシュキアン大統領は、中国とロシアとの関係を強化する「Look East」政策を継続する意向を示している。この政策は、イランが西側諸国との関係改善に取り組む一方で、東方の大国との戦略的なパートナーシップを深めることを目指している。イランは、2023年に上海協力機構(SCO)の完全メンバーとなり、2024年にはBRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカのグループ)のメンバーにも加わった。これにより、イランは国際的な経済と政治のネットワークにおいてより強固な立場を確立している。

 2.西側諸国との関係改善

 ペゼシュキアンは、イランの国際的な孤立を打破するために、西側諸国との関係改善を推進し、2015年の核合意(JCPOA)の再生を目指している。彼は西側との「建設的な関係」を求めており、これにより制裁を緩和し、イラン経済を改善しようとしている。しかし、イランの保守派やイスラム革命防衛隊(IRGC)がアメリカとの関係正常化に消極的であるため、ペゼシュキアンの外交努力には限界があると見られている。

 3.アメリカとの対立の継続

 イランとアメリカの対立は根深く、イランの保守派やIRGCはアメリカとの関係改善に対して抵抗を示している。また、アメリカの制裁が依然として続いており、アメリカ自身もイランとの関係改善に対してあまり前向きではない。アメリカの大統領選挙も、イランとの関係の不確実性を増す要因となっている。

 4.中国とロシアとの協力の強化

 ペゼシュキアン政権下でも、中国とロシアとの関係強化は継続される見込みである。これにより、イランは複雑な地域・国際環境の中で安定性を保ちつつ、経済の発展を図ることができる。中国とロシアとの協力は、イランにとって重要な経済的および戦略的な利益をもたらすと考えられている。

 総じて、ペゼシュキアン大統領は、西側諸国との関係改善を試みつつも、イランの外交政策における既存の戦略、特に中国とロシアとの協力を重視し続けると予想されている。

【要点】

 イランの新大統領マスード・ペゼシュキアンの外交政策に関するポイントである。

 1.「Look East」政策の継続

 ・中国とロシアとの関係強化を維持する意向。
 ・上海協力機構(SCO)とBRICSへの加盟により、国際的なネットワークを強化。

 2.西側諸国との関係改善

 ・2015年の核合意(JCPOA)の再生を目指す。
 ・西側諸国との「建設的な関係」を求め、制裁緩和と経済改善を図る。

 3.アメリカとの対立の継続

 ・イランの保守派やイスラム革命防衛隊(IRGC)のアメリカとの関係改善に対する抵抗。
 ・アメリカの制裁と大統領選挙の影響で関係改善の難しさ。

 4.中国とロシアとの協力の強化

 ・これらの国との協力を通じて、地域・国際環境の中での安定性を保ち、経済発展を目指す。

【引用・参照・底本】

Iran to continue to ‘Look East’ under new presidency: expert GT 2024.07.07
https://www.globaltimes.cn/page/202407/1315569.shtml