沖縄の活動家・宮城秋乃氏 ― 2024年10月27日 21:49
【概要】
沖縄の活動家・宮城秋乃氏は、沖縄の米軍北部訓練場跡地における米軍廃棄物の問題を巡る抗議活動を通して、これまで3度の逮捕を経験している。彼女は浜比嘉島出身で、米軍の施設が2016年に返還されたのち、北部訓練場跡地で廃棄物が見つかったことをきっかけに、抗議活動を開始した。この地域は返還後、世界自然遺産に登録されているが、米軍による廃棄物が残されていると彼女は主張している。
最新の逮捕は、2024年9月に北谷町のホテルで行われた在沖米国総領事館主催の米独立記念日の祝賀会に関連して行われた。宮城氏はこの場で抗議活動を実施し、建造物侵入の容疑で逮捕されたが、逮捕されるリスクを承知の上で抗議を行う理由について、「米軍廃棄物の問題を公的に記録し、日本政府がその問題を隠蔽していると感じているため、多くの人にその実態を知ってもらいたい」と語っている。
宮城氏の抗議活動は、沖縄の環境保護と米軍の影響に対する問題提起を目的としており、今後も同様の活動を続ける意向を示している。彼女の活動の背景には、地域の環境保全と透明性の向上を目指し、米軍廃棄物問題が広く認識されることを願う姿勢があるといえる。
【詳細】
沖縄の活動家・宮城秋乃氏は、沖縄本島北部の旧米軍北部訓練場跡地における廃棄物問題に対して、強い問題意識を持ち、抗議活動を続けている。北部訓練場は、アメリカ軍により訓練場として使用されていましたが、2016年に一部が返還され、その後、ユネスコの世界自然遺産に登録された地域でもある。しかし、宮城氏は返還後も米軍による廃棄物が残存していることを問題視し、これが沖縄の環境や住民に及ぼす影響について懸念を表明している。
宮城氏の活動が注目を集めたきっかけは、北部訓練場跡地で発見した米軍廃棄物である。彼女は、廃棄物の存在が環境に与えるリスクや、日本政府がそれを十分に公表せず、むしろ隠蔽していると主張している。この問題に対し、宮城氏は現場での調査や抗議活動を通じて、廃棄物問題の存在を公的に記録し、広く社会に周知させることを目的としている。
特に最近の逮捕は、2024年9月に在沖米国総領事館が主催した米独立記念日の祝賀会に関連したものであった。この祝賀会は沖縄本島中部の北谷町のホテルで開催されており、宮城氏はこの場で抗議活動を行った。宮城氏によると、米国と日本政府に対し、米軍廃棄物の存在とその環境への影響について公に責任を問いただすことが彼女の抗議の動機であり、建造物侵入の容疑で逮捕されたものの、抗議を行う覚悟と必要性を感じていると述べている。
宮城氏の活動には、米軍基地の影響下にある沖縄の歴史や、地域住民としての責任感が深く関係している。沖縄は米軍基地の集中による環境や住民生活への影響を長年受けてきた地域であり、彼女はその被害と影響を軽減するためのアクションとして、抗議活動を続けている。逮捕されるリスクを伴ってでも活動を続ける理由として、宮城氏は、廃棄物問題を公的な記録として残し、今後の環境保護活動の一助とするだけでなく、沖縄の未来の世代に対してもこの問題を明らかにし、改善を訴えていく必要があると考えている。
さらに、彼女の抗議活動は、日本国内外の環境保護団体や市民団体からも注目を集め、沖縄の米軍基地問題とその影響を広く認識させる契機となっている。宮城氏は、沖縄の自然環境や住民生活の安全を守るため、今後も活動を続ける決意を表明しており、社会全体への問題提起や認識向上を目的とした啓発活動の強化も視野に入れていると述べている。
【要点】
・背景: 沖縄の活動家・宮城秋乃氏は、米軍北部訓練場跡地に残る廃棄物問題に強い関心を抱いている。
・訓練場返還と廃棄物発見: 2016年に米軍の北部訓練場が一部返還され、その後世界自然遺産に登録。しかし返還後も米軍廃棄物が残留していると宮城氏が指摘。
・抗議のきっかけ: 訓練場跡地で廃棄物を発見し、その影響を懸念したことから抗議活動を開始。
・最近の逮捕: 2024年9月、在沖米国総領事館が北谷町で開催した米独立記念日祝賀会で抗議活動を行い、建造物侵入の容疑で逮捕。
・抗議の目的: 米軍廃棄物問題を公的に記録し、日本政府がそれを隠蔽していると考え、多くの人にその実態を知ってもらうことが狙い。
・沖縄の環境保護: 地元沖縄の自然環境や住民の生活を守るため、基地の影響と環境リスクを軽減することが宮城氏の目的。
・逮捕リスクへの覚悟: 宮城氏は逮捕のリスクを伴ってでも抗議活動を続けることが必要だと考えている。
・今後の活動方針: 沖縄の未来世代に米軍廃棄物問題の実態を明らかにし、環境保護と改善を訴える意向。
・国内外からの注目: 宮城氏の活動は、沖縄の基地問題を社会全体に周知させる契機として、日本国内外の環境団体からも関心を集めている。
【引用・参照・底本】
3度の逮捕も抗議貫く理由 沖縄活動家・宮城氏が語る sputnik 日本 2024.10.10
https://sputniknews.jp/20241010/3-19191436.html
沖縄の活動家・宮城秋乃氏は、沖縄の米軍北部訓練場跡地における米軍廃棄物の問題を巡る抗議活動を通して、これまで3度の逮捕を経験している。彼女は浜比嘉島出身で、米軍の施設が2016年に返還されたのち、北部訓練場跡地で廃棄物が見つかったことをきっかけに、抗議活動を開始した。この地域は返還後、世界自然遺産に登録されているが、米軍による廃棄物が残されていると彼女は主張している。
最新の逮捕は、2024年9月に北谷町のホテルで行われた在沖米国総領事館主催の米独立記念日の祝賀会に関連して行われた。宮城氏はこの場で抗議活動を実施し、建造物侵入の容疑で逮捕されたが、逮捕されるリスクを承知の上で抗議を行う理由について、「米軍廃棄物の問題を公的に記録し、日本政府がその問題を隠蔽していると感じているため、多くの人にその実態を知ってもらいたい」と語っている。
宮城氏の抗議活動は、沖縄の環境保護と米軍の影響に対する問題提起を目的としており、今後も同様の活動を続ける意向を示している。彼女の活動の背景には、地域の環境保全と透明性の向上を目指し、米軍廃棄物問題が広く認識されることを願う姿勢があるといえる。
【詳細】
沖縄の活動家・宮城秋乃氏は、沖縄本島北部の旧米軍北部訓練場跡地における廃棄物問題に対して、強い問題意識を持ち、抗議活動を続けている。北部訓練場は、アメリカ軍により訓練場として使用されていましたが、2016年に一部が返還され、その後、ユネスコの世界自然遺産に登録された地域でもある。しかし、宮城氏は返還後も米軍による廃棄物が残存していることを問題視し、これが沖縄の環境や住民に及ぼす影響について懸念を表明している。
宮城氏の活動が注目を集めたきっかけは、北部訓練場跡地で発見した米軍廃棄物である。彼女は、廃棄物の存在が環境に与えるリスクや、日本政府がそれを十分に公表せず、むしろ隠蔽していると主張している。この問題に対し、宮城氏は現場での調査や抗議活動を通じて、廃棄物問題の存在を公的に記録し、広く社会に周知させることを目的としている。
特に最近の逮捕は、2024年9月に在沖米国総領事館が主催した米独立記念日の祝賀会に関連したものであった。この祝賀会は沖縄本島中部の北谷町のホテルで開催されており、宮城氏はこの場で抗議活動を行った。宮城氏によると、米国と日本政府に対し、米軍廃棄物の存在とその環境への影響について公に責任を問いただすことが彼女の抗議の動機であり、建造物侵入の容疑で逮捕されたものの、抗議を行う覚悟と必要性を感じていると述べている。
宮城氏の活動には、米軍基地の影響下にある沖縄の歴史や、地域住民としての責任感が深く関係している。沖縄は米軍基地の集中による環境や住民生活への影響を長年受けてきた地域であり、彼女はその被害と影響を軽減するためのアクションとして、抗議活動を続けている。逮捕されるリスクを伴ってでも活動を続ける理由として、宮城氏は、廃棄物問題を公的な記録として残し、今後の環境保護活動の一助とするだけでなく、沖縄の未来の世代に対してもこの問題を明らかにし、改善を訴えていく必要があると考えている。
さらに、彼女の抗議活動は、日本国内外の環境保護団体や市民団体からも注目を集め、沖縄の米軍基地問題とその影響を広く認識させる契機となっている。宮城氏は、沖縄の自然環境や住民生活の安全を守るため、今後も活動を続ける決意を表明しており、社会全体への問題提起や認識向上を目的とした啓発活動の強化も視野に入れていると述べている。
【要点】
・背景: 沖縄の活動家・宮城秋乃氏は、米軍北部訓練場跡地に残る廃棄物問題に強い関心を抱いている。
・訓練場返還と廃棄物発見: 2016年に米軍の北部訓練場が一部返還され、その後世界自然遺産に登録。しかし返還後も米軍廃棄物が残留していると宮城氏が指摘。
・抗議のきっかけ: 訓練場跡地で廃棄物を発見し、その影響を懸念したことから抗議活動を開始。
・最近の逮捕: 2024年9月、在沖米国総領事館が北谷町で開催した米独立記念日祝賀会で抗議活動を行い、建造物侵入の容疑で逮捕。
・抗議の目的: 米軍廃棄物問題を公的に記録し、日本政府がそれを隠蔽していると考え、多くの人にその実態を知ってもらうことが狙い。
・沖縄の環境保護: 地元沖縄の自然環境や住民の生活を守るため、基地の影響と環境リスクを軽減することが宮城氏の目的。
・逮捕リスクへの覚悟: 宮城氏は逮捕のリスクを伴ってでも抗議活動を続けることが必要だと考えている。
・今後の活動方針: 沖縄の未来世代に米軍廃棄物問題の実態を明らかにし、環境保護と改善を訴える意向。
・国内外からの注目: 宮城氏の活動は、沖縄の基地問題を社会全体に周知させる契機として、日本国内外の環境団体からも関心を集めている。
【引用・参照・底本】
3度の逮捕も抗議貫く理由 沖縄活動家・宮城氏が語る sputnik 日本 2024.10.10
https://sputniknews.jp/20241010/3-19191436.html
BRICSの「脱ドル化」:西側経済秩序への現実的対抗策 ― 2024年10月27日 22:20
【概要】
2024年10月22日にウィリアム・ペセックが執筆したもので、今週ワシントンで開催される国際通貨基金(IMF)の会議とロシア・カザンで同時期に開催されるBRICSサミットを比較している。ペセックは、BRICSサミットが西側主導の秩序に対する現実的な経済的挑戦を提示していると述べている。
IMF会議では、経済成長の減速に直面する中国や、景気後退に陥っているドイツ、その他の地政学的リスク、さらに米国の総選挙による不確実性など、複雑な問題が議論される見込みである。また、IMFは約100兆ドルに達する世界の公的債務にも警鐘を鳴らしている。これらの課題にもかかわらず、今週の経済会議で最も注目されるのは、ワシントンのIMF会議ではなくロシアでのBRICSサミットかもしれないとペセックは指摘している。
BRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)は、2001年にゴールドマン・サックスの経済学者ジム・オニールが最初に造語し、2010年に南アフリカが加盟したことから現在の形になった。しかし2019年頃には、BRICSの関連性が失われつつあるとされ、オニール自身もBRICSの経済的価値に懐疑的な発言をしている。特にブラジルとロシアは、当初の予測を大きく下回る経済成長となり、「IC(インドと中国)」と呼ぶ方がふさわしいと冗談を言うこともあった。
それでもBRICSは近年勢いを取り戻しており、2024年にはエジプト、エチオピア、イラン、サウジアラビア、アラブ首長国連邦の5カ国が新たに加わることになった。米国外交問題評議会(CFR)のアナリスト、マリエル・フェラガモは、アフリカの声を強化するためにエジプトとエチオピアが加わる意義を指摘している。エジプトは中国やインドとの商業関係、ロシアとの政治関係を持ち、またエチオピアも中国からの投資を受けていることから、両国の加入はBRICSにとって大きな意味を持つ。またサウジアラビアとUAEが加入することで、アラブ世界の2大経済国、そして石油生産において重要な役割を持つ両国がBRICSに加わることになる。
BRICSは「脱ドル化」を主要戦略の一つとし、2024年2月には「BRICS Bridge」と呼ばれるマルチラテラルなデジタル決済プラットフォームを発表した。これはBRICS諸国間の金融市場を連携させ、貿易を増進させることを目指している。今週のサミットでは、このプラットフォームの強化と米ドルに代わる新たな戦略が提案される可能性があるとされている。Gavekal Dragonomicsのアナリスト、ウディス・シカンドは、BRICSが金に裏付けられた新通貨単位の導入を検討している可能性があると述べている。
要約すると、このBRICSサミットは、IMFの会議と並行して、世界経済に対する新しい影響力を発揮するための試みを象徴している。特に新たなメンバーの加入と脱ドル化戦略の推進が注目されている。
【詳細】
ウィリアム・ペセックの記事では、BRICSサミットが国際通貨基金(IMF)会議と並んで開催され、BRICSが世界経済においてより影響力を高めようとしている状況が強調されている。ここでは、BRICSの成り立ちや現在の経済戦略、新規加盟国の意義、さらに米ドル依存からの脱却を目指す取り組みについて、さらに詳しく説明する。
1. BRICSの歴史的背景と意義
BRICSは2001年にゴールドマン・サックスの経済学者ジム・オニールが提唱した経済用語で、当初は「BRIC」としてブラジル、ロシア、インド、中国の4カ国を指していた。オニールは、この4カ国が2050年までに世界経済の主要な牽引力になると予測し、特に発展途上国の中での成長ポテンシャルを評価した。2010年には南アフリカが加わり、「BRICS」となった。
しかしながら、2010年代に入ってからはBRICS諸国の経済成長が予想よりも鈍化し、特にブラジルとロシアは低成長や経済危機に見舞われたため、BRICSの意義や影響力が疑問視されるようになった。2019年にはスタンダード&プアーズも「BRICSの関連性が失われつつある」とするレポートを発表した。オニール自身も、ブラジルやロシアの成長が期待を下回ったことから「BRICSというより、実際には『IC』と呼ぶべきかもしれない」との見解を示し、BRICS全体の一体感や成長戦略が希薄であるとの批判も多くあった。
2. BRICSの勢いを取り戻す試みと新規加盟国の意義
BRICSは近年、再び勢いを増しており、2024年にはエジプト、エチオピア、イラン、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)という5つの新規加盟国が加わることとなった。これにより、BRICSの国際的な影響力や経済的多様性が大幅に強化されると期待されている。
米国外交問題評議会(CFR)のアナリスト、マリエル・フェラガモは、特にアフリカの二大経済国であるエジプトとエチオピアがBRICSに加わることが意義深いと指摘している。エジプトはすでに中国やインドと商業的な関係が深く、ロシアとも政治的なつながりを持っている。エチオピアもまた、中国の「一帯一路」構想の一環として多額の投資を受け、アフリカ地域における経済的なハブとしての役割が期待されている。これにより、BRICSはより多様な地域と市場にアクセスできるようになり、アフリカや中東の声を国際経済フォーラムでより強く反映することが可能となる。
さらに、サウジアラビアとUAEの加盟により、BRICSにはアラブ地域の二大経済国が加わり、特に石油供給において重要な位置を占めることになる。サウジアラビアとUAEはそれぞれ世界第2位と第8位の石油生産国であり、このエネルギー資源の影響力をBRICS全体の戦略に組み込むことで、エネルギー市場や価格に対しても影響力を行使できる可能性が高まる。
3. 脱ドル化戦略と「BRICS Bridge」構想
BRICSは、米ドル依存からの脱却、いわゆる「脱ドル化」を長期的な目標として掲げている。特に近年、米国の制裁措置やドルに依存した国際金融システムのリスクが高まる中、BRICSは独自の通貨システムの確立に向けた戦略を強化している。2024年2月には「BRICS Bridge」と呼ばれるデジタル決済プラットフォームの構想が発表された。このプラットフォームは、BRICS諸国内の金融市場を結び付け、通貨交換や貿易の円滑化を目指すものである。これにより、米ドルを介さずに貿易決済を行うことが可能となり、国際的な米ドル支配からの脱却を促進する役割が期待されている。
さらに、Gavekal Dragonomicsのアナリスト、ウディス・シカンドは、BRICSが金に裏付けられた新しい通貨単位の導入を検討している可能性があると指摘している。金に裏付けられた通貨を導入することで、従来のドルベースの国際通貨システムからの独立性を確保し、経済的な安定性を高めることが狙いである。これが実現すれば、国際貿易におけるドルの支配力に対抗する力をBRICSが持つ可能性が高まる。
4. IMFへの挑戦とBRICSの新たな位置付け
今週、ワシントンで開催されるIMFの会議は、世界的な経済問題や地政学的リスクが議題に上る見込みである。特に、米国の巨額債務、ドイツの景気後退、中国の成長鈍化、そして米国の大統領選挙に伴う不確実性が懸念されている。一方、BRICSサミットは、これらの課題に対する独自の対応策として注目されている。
BRICSが推進する「脱ドル化」戦略や新規加盟国による経済ブロックの多様化は、IMF主導の西側経済秩序に対する現実的な対抗策を示しており、特に経済政策や通貨政策において独自の影響力を強化する意図が明確である。
【要点】
1.BRICSの成立と背景
・2001年にゴールドマン・サックスのジム・オニールが提唱し、ブラジル、ロシア、インド、中国を指す「BRIC」として登場。
・2010年に南アフリカが加わり「BRICS」となったが、その後ブラジルやロシアの成長鈍化などから意義が疑問視されることもあった。
2.再活性化と新規加盟国の追加
・2024年にエジプト、エチオピア、イラン、サウジアラビア、UAEが加入し、BRICSの経済的・地域的影響力が大幅に拡大。
・エジプトとエチオピアの加入でアフリカの声が強化され、中国の「一帯一路」構想における投資も活用。
サウジアラビアとUAEの加入により、エネルギー供給力や石油市場への影響力が強化。
3.脱ドル化戦略
・米ドル依存を減らすため、独自の決済プラットフォーム「BRICS Bridge」を構想。これによりドルを介さない貿易決済が可能に。
・金に裏付けられた新たな通貨単位を検討中で、米ドルに対抗する国際的な通貨システムの確立を目指す。
4.IMFへの対抗とBRICSの新たな位置付け
・ワシントンで開催されるIMF会議では、米国の債務問題やドイツの景気後退、中国の成長鈍化などが議題となるが、BRICSは独自の経済戦略を推進。
・BRICSの脱ドル化や新規加盟国の影響により、IMF主導の西側経済秩序への現実的な対抗策として注目される。
【引用・参照・底本】
BRICS summit gives IMF gang a run for its money ASIATIMES 2024.10.22
https://asiatimes.com/2024/10/brics-summit-gives-imf-gang-run-for-its-money/?utm_source=The+Daily+Report&utm_campaign=905a2e85ff-DAILY_22_10_2024&utm_medium=email&utm_term=0_1f8bca137f-905a2e85ff-16242795&mc_cid=905a2e85ff&mc_eid=69a7d1ef3c
2024年10月22日にウィリアム・ペセックが執筆したもので、今週ワシントンで開催される国際通貨基金(IMF)の会議とロシア・カザンで同時期に開催されるBRICSサミットを比較している。ペセックは、BRICSサミットが西側主導の秩序に対する現実的な経済的挑戦を提示していると述べている。
IMF会議では、経済成長の減速に直面する中国や、景気後退に陥っているドイツ、その他の地政学的リスク、さらに米国の総選挙による不確実性など、複雑な問題が議論される見込みである。また、IMFは約100兆ドルに達する世界の公的債務にも警鐘を鳴らしている。これらの課題にもかかわらず、今週の経済会議で最も注目されるのは、ワシントンのIMF会議ではなくロシアでのBRICSサミットかもしれないとペセックは指摘している。
BRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)は、2001年にゴールドマン・サックスの経済学者ジム・オニールが最初に造語し、2010年に南アフリカが加盟したことから現在の形になった。しかし2019年頃には、BRICSの関連性が失われつつあるとされ、オニール自身もBRICSの経済的価値に懐疑的な発言をしている。特にブラジルとロシアは、当初の予測を大きく下回る経済成長となり、「IC(インドと中国)」と呼ぶ方がふさわしいと冗談を言うこともあった。
それでもBRICSは近年勢いを取り戻しており、2024年にはエジプト、エチオピア、イラン、サウジアラビア、アラブ首長国連邦の5カ国が新たに加わることになった。米国外交問題評議会(CFR)のアナリスト、マリエル・フェラガモは、アフリカの声を強化するためにエジプトとエチオピアが加わる意義を指摘している。エジプトは中国やインドとの商業関係、ロシアとの政治関係を持ち、またエチオピアも中国からの投資を受けていることから、両国の加入はBRICSにとって大きな意味を持つ。またサウジアラビアとUAEが加入することで、アラブ世界の2大経済国、そして石油生産において重要な役割を持つ両国がBRICSに加わることになる。
BRICSは「脱ドル化」を主要戦略の一つとし、2024年2月には「BRICS Bridge」と呼ばれるマルチラテラルなデジタル決済プラットフォームを発表した。これはBRICS諸国間の金融市場を連携させ、貿易を増進させることを目指している。今週のサミットでは、このプラットフォームの強化と米ドルに代わる新たな戦略が提案される可能性があるとされている。Gavekal Dragonomicsのアナリスト、ウディス・シカンドは、BRICSが金に裏付けられた新通貨単位の導入を検討している可能性があると述べている。
要約すると、このBRICSサミットは、IMFの会議と並行して、世界経済に対する新しい影響力を発揮するための試みを象徴している。特に新たなメンバーの加入と脱ドル化戦略の推進が注目されている。
【詳細】
ウィリアム・ペセックの記事では、BRICSサミットが国際通貨基金(IMF)会議と並んで開催され、BRICSが世界経済においてより影響力を高めようとしている状況が強調されている。ここでは、BRICSの成り立ちや現在の経済戦略、新規加盟国の意義、さらに米ドル依存からの脱却を目指す取り組みについて、さらに詳しく説明する。
1. BRICSの歴史的背景と意義
BRICSは2001年にゴールドマン・サックスの経済学者ジム・オニールが提唱した経済用語で、当初は「BRIC」としてブラジル、ロシア、インド、中国の4カ国を指していた。オニールは、この4カ国が2050年までに世界経済の主要な牽引力になると予測し、特に発展途上国の中での成長ポテンシャルを評価した。2010年には南アフリカが加わり、「BRICS」となった。
しかしながら、2010年代に入ってからはBRICS諸国の経済成長が予想よりも鈍化し、特にブラジルとロシアは低成長や経済危機に見舞われたため、BRICSの意義や影響力が疑問視されるようになった。2019年にはスタンダード&プアーズも「BRICSの関連性が失われつつある」とするレポートを発表した。オニール自身も、ブラジルやロシアの成長が期待を下回ったことから「BRICSというより、実際には『IC』と呼ぶべきかもしれない」との見解を示し、BRICS全体の一体感や成長戦略が希薄であるとの批判も多くあった。
2. BRICSの勢いを取り戻す試みと新規加盟国の意義
BRICSは近年、再び勢いを増しており、2024年にはエジプト、エチオピア、イラン、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)という5つの新規加盟国が加わることとなった。これにより、BRICSの国際的な影響力や経済的多様性が大幅に強化されると期待されている。
米国外交問題評議会(CFR)のアナリスト、マリエル・フェラガモは、特にアフリカの二大経済国であるエジプトとエチオピアがBRICSに加わることが意義深いと指摘している。エジプトはすでに中国やインドと商業的な関係が深く、ロシアとも政治的なつながりを持っている。エチオピアもまた、中国の「一帯一路」構想の一環として多額の投資を受け、アフリカ地域における経済的なハブとしての役割が期待されている。これにより、BRICSはより多様な地域と市場にアクセスできるようになり、アフリカや中東の声を国際経済フォーラムでより強く反映することが可能となる。
さらに、サウジアラビアとUAEの加盟により、BRICSにはアラブ地域の二大経済国が加わり、特に石油供給において重要な位置を占めることになる。サウジアラビアとUAEはそれぞれ世界第2位と第8位の石油生産国であり、このエネルギー資源の影響力をBRICS全体の戦略に組み込むことで、エネルギー市場や価格に対しても影響力を行使できる可能性が高まる。
3. 脱ドル化戦略と「BRICS Bridge」構想
BRICSは、米ドル依存からの脱却、いわゆる「脱ドル化」を長期的な目標として掲げている。特に近年、米国の制裁措置やドルに依存した国際金融システムのリスクが高まる中、BRICSは独自の通貨システムの確立に向けた戦略を強化している。2024年2月には「BRICS Bridge」と呼ばれるデジタル決済プラットフォームの構想が発表された。このプラットフォームは、BRICS諸国内の金融市場を結び付け、通貨交換や貿易の円滑化を目指すものである。これにより、米ドルを介さずに貿易決済を行うことが可能となり、国際的な米ドル支配からの脱却を促進する役割が期待されている。
さらに、Gavekal Dragonomicsのアナリスト、ウディス・シカンドは、BRICSが金に裏付けられた新しい通貨単位の導入を検討している可能性があると指摘している。金に裏付けられた通貨を導入することで、従来のドルベースの国際通貨システムからの独立性を確保し、経済的な安定性を高めることが狙いである。これが実現すれば、国際貿易におけるドルの支配力に対抗する力をBRICSが持つ可能性が高まる。
4. IMFへの挑戦とBRICSの新たな位置付け
今週、ワシントンで開催されるIMFの会議は、世界的な経済問題や地政学的リスクが議題に上る見込みである。特に、米国の巨額債務、ドイツの景気後退、中国の成長鈍化、そして米国の大統領選挙に伴う不確実性が懸念されている。一方、BRICSサミットは、これらの課題に対する独自の対応策として注目されている。
BRICSが推進する「脱ドル化」戦略や新規加盟国による経済ブロックの多様化は、IMF主導の西側経済秩序に対する現実的な対抗策を示しており、特に経済政策や通貨政策において独自の影響力を強化する意図が明確である。
【要点】
1.BRICSの成立と背景
・2001年にゴールドマン・サックスのジム・オニールが提唱し、ブラジル、ロシア、インド、中国を指す「BRIC」として登場。
・2010年に南アフリカが加わり「BRICS」となったが、その後ブラジルやロシアの成長鈍化などから意義が疑問視されることもあった。
2.再活性化と新規加盟国の追加
・2024年にエジプト、エチオピア、イラン、サウジアラビア、UAEが加入し、BRICSの経済的・地域的影響力が大幅に拡大。
・エジプトとエチオピアの加入でアフリカの声が強化され、中国の「一帯一路」構想における投資も活用。
サウジアラビアとUAEの加入により、エネルギー供給力や石油市場への影響力が強化。
3.脱ドル化戦略
・米ドル依存を減らすため、独自の決済プラットフォーム「BRICS Bridge」を構想。これによりドルを介さない貿易決済が可能に。
・金に裏付けられた新たな通貨単位を検討中で、米ドルに対抗する国際的な通貨システムの確立を目指す。
4.IMFへの対抗とBRICSの新たな位置付け
・ワシントンで開催されるIMF会議では、米国の債務問題やドイツの景気後退、中国の成長鈍化などが議題となるが、BRICSは独自の経済戦略を推進。
・BRICSの脱ドル化や新規加盟国の影響により、IMF主導の西側経済秩序への現実的な対抗策として注目される。
【引用・参照・底本】
BRICS summit gives IMF gang a run for its money ASIATIMES 2024.10.22
https://asiatimes.com/2024/10/brics-summit-gives-imf-gang-run-for-its-money/?utm_source=The+Daily+Report&utm_campaign=905a2e85ff-DAILY_22_10_2024&utm_medium=email&utm_term=0_1f8bca137f-905a2e85ff-16242795&mc_cid=905a2e85ff&mc_eid=69a7d1ef3c
「ミートグラインダー戦術」 ― 2024年10月27日 22:46
【【桃源寸評】
基本的には、何れの側に立った内容(記事)であるのかを見抜くことが〝コツ〟である。
SDGs(持続可能な開発目標)流に言えば、戦争そのものが、持続可能か不可能かの埒外にある。
差詰め、日本の先の大戦などでは、ミートグラインダー戦術というより、〝自殺戦術〟であったろうか。
【寸評 完】
【概要】
ロシアのウクライナ戦争における戦術について述べている。特に「ミートグラインダー戦術」と呼ばれる人海戦術と、消耗戦術を組み合わせたロシア軍の戦略に焦点を当てている。この戦術は、数の優位を活かして敵を圧倒し、精神的にも肉体的にも消耗させることで成果を得る戦略である。歴史的に、ナポレオンのロシア侵攻や第一次世界大戦、さらに第二次世界大戦においてスターリンの指導下で多用されてきた。
現在のロシア軍は、多くの若い徴兵者が前線に投入されており、経験が乏しいために多くの犠牲者が出ていると報告されている。アメリカの情報機関によると、ドンバス地域ではロシア軍の犠牲者数が日に1,000人にも達することがあるとされ、戦死者や負傷者が急増している。ロシア政府はさらなる兵員増強を図り、2025年の防衛予算に年間1,738億ドルを計上し、兵力をさらに増やす予定である。しかし、装備の質や医療ケアの不備、士気の低下が問題視されている。
一方、ウクライナも徴兵年齢を引き下げるなどして兵力の維持を図っており、首都や都市部では徴兵官による厳しい動員が行われている。ただし、ロシアのように兵士の命を消耗品とするような運用は行われていないとされている。
最終的に、ロシアの軍事体制が持続不可能になる可能性に言及している。無理な動員と過酷な戦場環境、そして帰還兵の社会復帰の難しさは、ロシア国内で社会的な問題を引き起こしており、長期的にはロシアの戦争遂行能力に限界が生じると見られている。
【詳細】
ロシアのウクライナ戦争における戦術、特に「ミートグラインダー戦術」と呼ばれる戦略に関する詳細な分析を行っている。この戦術は、数の力を重視し、敵に対して大量の兵士を投入することで圧倒し、消耗させることを目的としている。以下に、記事の主なポイントを詳しく説明する。
1. ミートグラインダー戦術の背景
・歴史的背景: 「ミートグラインダー」という言葉は、ロシアやソ連の歴史に根ざした戦術で、特に過去の大戦において用いられてきた。ナポレオンのロシア侵攻(1812年)や第一次世界大戦のロシア軍の防衛、第二次世界大戦におけるスターリンの指導の下での戦闘(例:スターリングラードやクルスクの戦い)で実践された。これらの戦闘では、膨大な数の兵士を動員し、敵を消耗させることが成功に繋がった。
・戦術の特徴: ミートグラインダー戦術は、敵を物理的および心理的に疲弊させることを狙い、波状攻撃で敵に圧力をかけ続ける。この戦術は、兵士の個々の命の価値を軽視している点が特徴で、特にロシア軍はこのアプローチを長年にわたって発展させてきた。
2. 現状のロシア軍と戦闘の実態
・若い徴兵者の投入: 現在、前線で戦っているロシア兵の多くは若い徴兵者であり、経験が不足している。これは特にドンバス地域で顕著で、ここでは報告されているように日々1,000人近い兵士が戦死または負傷している。
・兵士の質と犠牲者数: 記事によれば、ロシアの総兵力は増加しているものの、その多くは適切な訓練を受けていない民間人や初心者である。これにより、戦闘能力が低下し、結果的に犠牲者数が増加している。2022年以降、70,000人以上のロシア兵が死亡していると推定されている。
・士気と医療ケアの問題: ロシアのメディアは死者についての厳選された情報を流しているが、士気の低下が進んでおり、軍人の妻や母親たちが抗議活動を行うなど、内部からの不満も高まっている。また、医療や保護具の質が不十分であるため、兵士たちの生存率が低下している。
3. ウクライナの状況と対策
・ウクライナの徴兵法の変更: ウクライナ側も、兵力を維持するために徴兵年齢を引き下げ、徴兵官による厳しい取り締まりが行われている。例えば、夜の飲食店から兵士が強制的に連れ去られる事例もある。
・ウクライナ軍の質の向上: ウクライナ軍は、ロシア軍とは異なり、個々の兵士の命を重要視しており、訓練や資源の質が比較的高い。これにより、戦闘の効果を高めている。
4.4. 未来への影響と懸念
・ロシアの持続可能性: 記事は、ロシアの「ミートグラインダー」戦術が持続不可能である可能性を指摘しています。数の力で敵を圧倒することはできるものの、現代の戦争においてはリモートの偵察技術や精密攻撃が発展しているため、大規模な兵員が逆に大きな標的となる恐れがある。
・長期的な社会的影響: 兵士の健康管理や退役軍人へのケアが不十分な場合、長期的な障害やPTSDの問題が社会に現れることが懸念されている。ロシア国内では、帰還兵による重大犯罪が増加しているとの報告もあり、社会的な問題が深刻化している。
・プーチン政権の意向: 最後に、プーチン大統領が和平を求める意志を示していないことから、ロシアの戦争機械が自己消耗することを願うしかないと結論付けている。
このように、ロシアのウクライナ戦争における「ミートグラインダー戦術」は、歴史的な背景と現在の状況、さらには未来の懸念までを考慮した多面的な戦略であることが示されている。
【要点】
ミートグラインダー戦術の背景
・歴史的根源: ナポレオンのロシア侵攻や第一次・第二次世界大戦におけるロシアの戦略。
・戦術の特徴: 大量の兵士を投入し、敵を物理的・心理的に消耗させる。
現在のロシア軍の状況
・若い徴兵者の投入: 多くの前線兵士が未経験の若者である。
・高い犠牲者数: ドンバス地域では日々1,000人近い兵士が戦死または負傷。
・士気の低下: ロシア軍の内部不満が高まり、軍人の家族による抗議活動も発生。
・医療や装備の問題: 兵士に対する医療ケアや防護具の質が不十分で、生存率が低下。
ウクライナの状況
・徴兵法の改正: 徴兵年齢を引き下げ、厳しい動員が行われている。
・訓練された兵士: ウクライナ軍は訓練や資源が比較的充実しており、戦闘能力が高い。
未来への懸念
・持続可能性の限界: 数の力に依存した戦術は、現代戦において逆効果となる可能性。
・社会的影響: 兵士の健康管理や退役軍人への支援が不足しており、長期的な社会問題が懸念される。
・プーチン政権の姿勢: 和平への意志がないため、ロシアの戦争機械が自己消耗する可能性が高い。
【参考】
☞ 「ミートグラインダー戦術」は、主にロシアやソ連の軍事戦略に見られる、数の力を重視した戦術である。この戦術の主な特徴や背景を以下に示す。
ミートグラインダー戦術の特徴
1.大量動員
・敵に対して圧倒的な数の兵士を投入することで、物理的および心理的に消耗させる。
・兵士の個々の命の価値が軽視される。
2.波状攻撃
・連続的な攻撃を行い、敵の防衛線を破壊することを目指す。
・敵の兵力を疲弊させ、動揺させることが目的。
3.高い犠牲者数
・自軍の犠牲を厭わず、敵に与えるダメージを最大化する戦略。
・歴史的には、多大な人命が失われることが常態化している。
4.心理的圧力
・数の力による心理的な圧力を利用し、敵に恐怖や不安を植え付ける。
・士気を低下させるための戦術的手段としても機能する。
歴史的背景
・ナポレオン戦争: ロシア軍はナポレオンの侵攻において、敵を引きつけながら大規模な撤退を行い、後に反撃に転じた。
・第一次世界大戦: ロシア帝国は、膨大な兵員を投入し、多くの犠牲を出しながらも、戦局を有利に進めた。
・第二次世界大戦: スターリンの指導の下、膨大な数の兵士を動員し、戦局を有利に進めた結果、ナチスドイツに勝利した。
現代における適用
・ウクライナ戦争: 現在のロシア軍は、特に未経験の若い徴兵者を大量に前線に投入し、ミートグラインダー戦術を適用している。
・戦局の限界: 最新の戦争では、リモート偵察や精密攻撃の進展により、数の力だけでは成功が難しくなっている。
結論
・「ミートグラインダー戦術」は、歴史的には多くの成功を収めてきたものの、現代戦においてはその限界が明らかになっている。兵士の質や士気、適切な医療支援が重要視される時代において、この戦術は持続可能ではないとされている。
【参考はブログ作成者が付記】
【引用・参照・底本】
Russia’s ‘meat grinder’ tactics in Ukraine war perspective ASIATIMES 2024.10.22
https://asiatimes.com/2024/10/russias-meat-grinder-tactics-in-ukraine-war-perspective/?utm_source=The+Daily+Report&utm_campaign=905a2e85ff-DAILY_22_10_2024&utm_medium=email&utm_term=0_1f8bca137f-905a2e85ff-16242795&mc_cid=905a2e85ff&mc_eid=69a7d1ef3c
基本的には、何れの側に立った内容(記事)であるのかを見抜くことが〝コツ〟である。
SDGs(持続可能な開発目標)流に言えば、戦争そのものが、持続可能か不可能かの埒外にある。
差詰め、日本の先の大戦などでは、ミートグラインダー戦術というより、〝自殺戦術〟であったろうか。
【寸評 完】
【概要】
ロシアのウクライナ戦争における戦術について述べている。特に「ミートグラインダー戦術」と呼ばれる人海戦術と、消耗戦術を組み合わせたロシア軍の戦略に焦点を当てている。この戦術は、数の優位を活かして敵を圧倒し、精神的にも肉体的にも消耗させることで成果を得る戦略である。歴史的に、ナポレオンのロシア侵攻や第一次世界大戦、さらに第二次世界大戦においてスターリンの指導下で多用されてきた。
現在のロシア軍は、多くの若い徴兵者が前線に投入されており、経験が乏しいために多くの犠牲者が出ていると報告されている。アメリカの情報機関によると、ドンバス地域ではロシア軍の犠牲者数が日に1,000人にも達することがあるとされ、戦死者や負傷者が急増している。ロシア政府はさらなる兵員増強を図り、2025年の防衛予算に年間1,738億ドルを計上し、兵力をさらに増やす予定である。しかし、装備の質や医療ケアの不備、士気の低下が問題視されている。
一方、ウクライナも徴兵年齢を引き下げるなどして兵力の維持を図っており、首都や都市部では徴兵官による厳しい動員が行われている。ただし、ロシアのように兵士の命を消耗品とするような運用は行われていないとされている。
最終的に、ロシアの軍事体制が持続不可能になる可能性に言及している。無理な動員と過酷な戦場環境、そして帰還兵の社会復帰の難しさは、ロシア国内で社会的な問題を引き起こしており、長期的にはロシアの戦争遂行能力に限界が生じると見られている。
【詳細】
ロシアのウクライナ戦争における戦術、特に「ミートグラインダー戦術」と呼ばれる戦略に関する詳細な分析を行っている。この戦術は、数の力を重視し、敵に対して大量の兵士を投入することで圧倒し、消耗させることを目的としている。以下に、記事の主なポイントを詳しく説明する。
1. ミートグラインダー戦術の背景
・歴史的背景: 「ミートグラインダー」という言葉は、ロシアやソ連の歴史に根ざした戦術で、特に過去の大戦において用いられてきた。ナポレオンのロシア侵攻(1812年)や第一次世界大戦のロシア軍の防衛、第二次世界大戦におけるスターリンの指導の下での戦闘(例:スターリングラードやクルスクの戦い)で実践された。これらの戦闘では、膨大な数の兵士を動員し、敵を消耗させることが成功に繋がった。
・戦術の特徴: ミートグラインダー戦術は、敵を物理的および心理的に疲弊させることを狙い、波状攻撃で敵に圧力をかけ続ける。この戦術は、兵士の個々の命の価値を軽視している点が特徴で、特にロシア軍はこのアプローチを長年にわたって発展させてきた。
2. 現状のロシア軍と戦闘の実態
・若い徴兵者の投入: 現在、前線で戦っているロシア兵の多くは若い徴兵者であり、経験が不足している。これは特にドンバス地域で顕著で、ここでは報告されているように日々1,000人近い兵士が戦死または負傷している。
・兵士の質と犠牲者数: 記事によれば、ロシアの総兵力は増加しているものの、その多くは適切な訓練を受けていない民間人や初心者である。これにより、戦闘能力が低下し、結果的に犠牲者数が増加している。2022年以降、70,000人以上のロシア兵が死亡していると推定されている。
・士気と医療ケアの問題: ロシアのメディアは死者についての厳選された情報を流しているが、士気の低下が進んでおり、軍人の妻や母親たちが抗議活動を行うなど、内部からの不満も高まっている。また、医療や保護具の質が不十分であるため、兵士たちの生存率が低下している。
3. ウクライナの状況と対策
・ウクライナの徴兵法の変更: ウクライナ側も、兵力を維持するために徴兵年齢を引き下げ、徴兵官による厳しい取り締まりが行われている。例えば、夜の飲食店から兵士が強制的に連れ去られる事例もある。
・ウクライナ軍の質の向上: ウクライナ軍は、ロシア軍とは異なり、個々の兵士の命を重要視しており、訓練や資源の質が比較的高い。これにより、戦闘の効果を高めている。
4.4. 未来への影響と懸念
・ロシアの持続可能性: 記事は、ロシアの「ミートグラインダー」戦術が持続不可能である可能性を指摘しています。数の力で敵を圧倒することはできるものの、現代の戦争においてはリモートの偵察技術や精密攻撃が発展しているため、大規模な兵員が逆に大きな標的となる恐れがある。
・長期的な社会的影響: 兵士の健康管理や退役軍人へのケアが不十分な場合、長期的な障害やPTSDの問題が社会に現れることが懸念されている。ロシア国内では、帰還兵による重大犯罪が増加しているとの報告もあり、社会的な問題が深刻化している。
・プーチン政権の意向: 最後に、プーチン大統領が和平を求める意志を示していないことから、ロシアの戦争機械が自己消耗することを願うしかないと結論付けている。
このように、ロシアのウクライナ戦争における「ミートグラインダー戦術」は、歴史的な背景と現在の状況、さらには未来の懸念までを考慮した多面的な戦略であることが示されている。
【要点】
ミートグラインダー戦術の背景
・歴史的根源: ナポレオンのロシア侵攻や第一次・第二次世界大戦におけるロシアの戦略。
・戦術の特徴: 大量の兵士を投入し、敵を物理的・心理的に消耗させる。
現在のロシア軍の状況
・若い徴兵者の投入: 多くの前線兵士が未経験の若者である。
・高い犠牲者数: ドンバス地域では日々1,000人近い兵士が戦死または負傷。
・士気の低下: ロシア軍の内部不満が高まり、軍人の家族による抗議活動も発生。
・医療や装備の問題: 兵士に対する医療ケアや防護具の質が不十分で、生存率が低下。
ウクライナの状況
・徴兵法の改正: 徴兵年齢を引き下げ、厳しい動員が行われている。
・訓練された兵士: ウクライナ軍は訓練や資源が比較的充実しており、戦闘能力が高い。
未来への懸念
・持続可能性の限界: 数の力に依存した戦術は、現代戦において逆効果となる可能性。
・社会的影響: 兵士の健康管理や退役軍人への支援が不足しており、長期的な社会問題が懸念される。
・プーチン政権の姿勢: 和平への意志がないため、ロシアの戦争機械が自己消耗する可能性が高い。
【参考】
☞ 「ミートグラインダー戦術」は、主にロシアやソ連の軍事戦略に見られる、数の力を重視した戦術である。この戦術の主な特徴や背景を以下に示す。
ミートグラインダー戦術の特徴
1.大量動員
・敵に対して圧倒的な数の兵士を投入することで、物理的および心理的に消耗させる。
・兵士の個々の命の価値が軽視される。
2.波状攻撃
・連続的な攻撃を行い、敵の防衛線を破壊することを目指す。
・敵の兵力を疲弊させ、動揺させることが目的。
3.高い犠牲者数
・自軍の犠牲を厭わず、敵に与えるダメージを最大化する戦略。
・歴史的には、多大な人命が失われることが常態化している。
4.心理的圧力
・数の力による心理的な圧力を利用し、敵に恐怖や不安を植え付ける。
・士気を低下させるための戦術的手段としても機能する。
歴史的背景
・ナポレオン戦争: ロシア軍はナポレオンの侵攻において、敵を引きつけながら大規模な撤退を行い、後に反撃に転じた。
・第一次世界大戦: ロシア帝国は、膨大な兵員を投入し、多くの犠牲を出しながらも、戦局を有利に進めた。
・第二次世界大戦: スターリンの指導の下、膨大な数の兵士を動員し、戦局を有利に進めた結果、ナチスドイツに勝利した。
現代における適用
・ウクライナ戦争: 現在のロシア軍は、特に未経験の若い徴兵者を大量に前線に投入し、ミートグラインダー戦術を適用している。
・戦局の限界: 最新の戦争では、リモート偵察や精密攻撃の進展により、数の力だけでは成功が難しくなっている。
結論
・「ミートグラインダー戦術」は、歴史的には多くの成功を収めてきたものの、現代戦においてはその限界が明らかになっている。兵士の質や士気、適切な医療支援が重要視される時代において、この戦術は持続可能ではないとされている。
【参考はブログ作成者が付記】
【引用・参照・底本】
Russia’s ‘meat grinder’ tactics in Ukraine war perspective ASIATIMES 2024.10.22
https://asiatimes.com/2024/10/russias-meat-grinder-tactics-in-ukraine-war-perspective/?utm_source=The+Daily+Report&utm_campaign=905a2e85ff-DAILY_22_10_2024&utm_medium=email&utm_term=0_1f8bca137f-905a2e85ff-16242795&mc_cid=905a2e85ff&mc_eid=69a7d1ef3c