中日:人文交流ハイレベル協議メカニズムの会合開催2024年12月26日 17:46

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【概要】 
 
 2024年12月25日、中国の北京において、王毅中国外交部長と岩屋毅日本外務大臣が会談を行い、両国間の「人文交流ハイレベル協議メカニズム」の第2回会合が開催された。この会合において、両国は以下の10項目の重要な合意に達した。

 1.青少年交流の促進
 2.姉妹都市間の交流プラットフォームの拡充
 3.スポーツ交流と協力の強化
 4.映画、音楽、出版、アニメ、ゲーム産業における協力の継続支援
 5.メディアおよびシンクタンク間の協力強化
 6.女性組織間の交流を通じた男女共同参画推進の経験共有
 7.2025年大阪・関西万博を両国民間の交流と友好の場とするための協力
 8.文化的なイベントや展示の共同開催の推進
 9.環境および持続可能な発展に関する協力の深化
 10.災害対応や救援活動における経験と情報の共有

 背景と意義

 12月25日の会合は、同日中国の李強国務院総理と岩屋毅外務大臣の会談、および11月にリマで開催されたAPEC首脳会議の場での習近平国家主席と石破茂首相の会談の流れを受けて行われたものである。習主席と石破首相は、両国間の高水準な交流を維持し、経済や文化分野の対話メカニズムを有効に活用することで一致していた。

 李総理は、日本との関係が現在改善と発展の重要な局面にあると述べ、協力的パートナーシップを維持し、双方の実利的な協力の成果を拡大する意向を示した。一方、岩屋大臣は、両国間の交流をあらゆるレベルで強化し、戦略的互恵関係を前進させる決意を表明した。

 中国の立場

 王毅部長は、会談において中国は日本の福島原発処理水の海洋放出に反対する立場を改めて強調し、長期的な国際監視メカニズムの設立と、中国による独自のサンプリングおよび検査の実施を求めた。

 日中関係の展望

 専門家の意見では、岩屋大臣の訪中は日中関係の改善に向けた重要な一歩とみなされる。石破政権の下で日本は、中国との安定的かつ建設的な関係を構築しようとする現実的かつ柔軟な外交姿勢を示している。このような努力は、米国の政権交代に伴う不確実性への対応や、国内問題への対応策としての側面を持つ。

 両国の協力がアジア地域の安定と発展に寄与すると同時に、日中間の対話と実務的協力が今後も継続することが期待される。
 
【詳細】

 日中関係の現在の状況と背景

 日中関係は、近年安定的とは言い難い状況が続いていた。安倍政権および岸田政権下では、安全保障や歴史問題を巡る対立が深まり、関係が冷却化していた。しかし、石破茂政権の発足に伴い、現実的かつ柔軟なアプローチを取る動きが強まっている。特に、経済的相互依存の強い両国において、協力関係を再構築することが、地域的および国際的安定に不可欠であるという認識が共有されている。

 具体的な会談内容

 岩屋毅外務大臣の訪中は、2023年4月の林芳正外務大臣以来となるものであり、関係修復への意欲を示すものと評価される。岩屋大臣と王毅外交部長の会談では、以下のテーマが中心に議論された。

 1.青年および文化交流の促進

 中国と日本の若者間の交流を深めるための具体的なプログラムが提案された。これには、学生交換や合同ワークショップ、スポーツイベントの開催が含まれる。また、姉妹都市間の交流プラットフォームの整備も進められる予定である。

 2.経済的協力の強化

 両国は、映画、音楽、出版、アニメ、ゲームといった文化産業の分野で協力を深める意向を確認した。これにより、両国民間での理解を深め、経済的利益を相互に享受することを目指している。

 3.環境問題と持続可能性

 特に気候変動や再生可能エネルギー分野での協力が議題となった。中国は、日本が進める脱炭素化政策への支援を表明し、共同プロジェクトの可能性が模索された。

 4.歴史的懸案の緩和

 双方は歴史問題を巡る相違を認識しつつ、直接的な対話を通じて緊張を和らげる努力を進める方針を確認した。これにより、対立が日中関係全体に影響を及ぼさないようにする意図がある。

 石破政権の外交姿勢

 石破政権は、従来の一方向的な対米依存を修正し、中国とのバランスを取る外交戦略を模索している。アメリカの次期政権が1月に発足するというタイミングもあり、石破政権は、中国との関係改善を進めることで地域的リスクを分散する意図があるとみられる。ただし、日米同盟の重要性も依然として強調しており、中国との接近は完全な外交転換ではなく、「調整」の一環と位置づけられている。

 重要な合意事項の詳細

 今回の訪問で合意された10項目は、単なる文化交流にとどまらず、経済、環境、ジェンダー平等、災害対応といった多岐にわたる分野を包含している。これらの合意は、以下の目的を持つ。

 1.両国間の信頼構築と相互理解の深化
 2.国際的および地域的課題への共同対応
 3.経済的および文化的なつながりの強化

 将来への展望

 専門家の意見によると、岩屋外務大臣の訪中は日中関係の転機となる可能性が高い。特に、2025年の大阪・関西万博を契機に、両国間の交流がさらに活発化することが期待される。一方で、福島原発処理水問題や歴史認識の違いといった懸案事項も依然として存在するため、これらの問題を適切に管理しつつ、協力を拡大することが求められる。

 両国の関係改善は、日本と中国だけでなく、東アジア全体の安定と発展に寄与するものであり、国際社会における両国の役割を高めるものとなるであろう。
  
【要点】 

 日中関係の現状

 ・両国は安全保障や歴史問題で対立が続いていたが、石破政権の発足後、柔軟な関係改善を模索。
 ・経済的相互依存の重要性が認識され、関係修復が地域安定に不可欠とされている。

 岩屋毅外務大臣と王毅外交部長の会談内容

 1.青年および文化交流の促進

 ・学生交換やスポーツイベント、姉妹都市交流の強化。

 2.経済的協力の強化

 ・文化産業(映画、アニメ、音楽など)での協力推進。

 3.環境問題と持続可能性

 ・脱炭素化政策での協力や共同プロジェクトの模索。

 4.歴史的懸案の緩和

 ・歴史問題について対話を通じて緊張緩和を目指す。

 石破政権の外交姿勢

 ・対米依存の修正を図り、中国とのバランスを重視する政策。
 ・日米同盟を基盤としつつ、中国との接近は「調整」の一環。

 重要な合意事項

 ・10項目の合意内容には、経済、環境、ジェンダー平等、災害対応などが含まれる。
 ・両国間の信頼構築、国際課題への共同対応、経済・文化交流の強化を目指す。

 将来の展望

 ・2025年の大阪・関西万博を契機に交流拡大を期待。
 ・福島原発処理水問題や歴史認識の違いを適切に管理する必要性。
 ・東アジア全体の安定と発展に寄与する可能性が高い。

【引用・参照・底本】

China, Japan reach 10 important consensuses to boost exchanges GT 2024.12.26
https://www.globaltimes.cn/page/202412/1325769.shtml

「グリーンランドは売りに出されておらず、将来的にも売却されることはない」2024年12月26日 18:06

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【概要】 
 
 2024年12月25日にデンマーク政府はグリーンランドに対する国防支出を大幅に増加することを発表した。この発表は、アメリカの次期大統領であるドナルド・トランプ氏が再びグリーンランド購入の意向を示した数時間後に行われたものである。BBCによると、トランプ氏は12月22日に自身のSNS「Truth Social」で「グリーンランドの所有と支配はアメリカ合衆国にとって絶対的な必要性である」と述べた。また、彼は2019年の大統領任期中にも同様の発言をしていた。

 デンマークのトロールス・ルンド・ポールセン国防大臣は、今回の防衛強化措置は「二桁の十億クローネ」、すなわち少なくとも15億ドルに相当すると述べた。

 これに対し、グリーンランドのムテ・エゲデ首相は「グリーンランドは売りに出されておらず、将来的にも売却されることはない」と明言した。

 北京外国語大学の地域およびグローバルガバナンス学院に所属するCui Hongjian教授によれば、今回のデンマークによる国防費増加の背景には、ロシア・ウクライナ紛争が主な影響要因として存在すると分析している。また、トランプ氏が過去にグリーンランド購入を検討していた経緯を踏まえ、デンマーク側がトランプ氏の次期政権下での不確実性に対処する意図もあると指摘している。

 グリーンランドは米国にとって戦略的に重要な場所であり、北米とヨーロッパを結ぶ最短ルートに位置するほか、大規模な鉱物資源を有している。また、同地には重要な米国の宇宙施設も存在している。

 トランプ氏の発言は、2024年7月に発表された新たな米国北極戦略の一環としての発表後に行われたものである。同戦略は2019年以来初の更新であった。

 さらにトランプ氏は、パナマ運河についても「米国にとって重要な国家資産」とし、米国の統制を再主張する考えを示した。この発言に対し、パナマのホセ・ラウル・ムリノ大統領は「パナマ運河とその隣接地域のすべての平方メートルはパナマに属し、今後もそうである」と明確に反論した。

 また、トランプ氏は最近の一連の発言でカナダについても触れ、アメリカがカナダを「51番目の州」として吸収する可能性に言及し、カナダの当局者を挑発したとCNNが報じている。
 
【詳細】

 2024年12月25日にデンマーク政府が発表したグリーンランドに対する大規模な国防費増額は、トランプ次期大統領の発言を受けた動きとして注目を集めている。トランプ氏は「グリーンランドの所有と支配はアメリカにとって絶対的な必要性である」と述べ、同地の地政学的重要性を強調した。このような発言は2019年にも行われており、彼のグリーンランド購入への関心が依然として続いていることが示されている。

 グリーンランドの戦略的価値

 グリーンランドは北極圏に位置し、北米とヨーロッパを結ぶ最短航路上にある。さらに、同地には豊富な鉱物資源が存在し、経済的なポテンシャルが非常に高い。具体的には、希少金属やエネルギー資源、そして海洋資源が豊富であるとされている。また、グリーンランドの周辺海域の排他的経済水域(EEZ)を支配する権利も含め、米国がこの地域を戦略拠点化すれば、北極圏全体に大きな影響を及ぼす可能性がある。

 米国はグリーンランドに重要な軍事施設を持ち、特にチューレ空軍基地がその中心である。この基地は、北極圏における米軍の監視能力を向上させる役割を果たしており、米国のミサイル防衛システムや北極圏戦略において重要な位置を占めている。

 デンマークの対応

 デンマークの国防相であるトロールス・ルンド・ポールセン氏は、今回の防衛支出増額が「二桁の十億クローネ」に相当すると述べ、少なくとも15億ドルにのぼる規模であることを明らかにした。この増額は、ロシア・ウクライナ紛争の影響を受けた北極圏の安全保障環境の変化に対応する目的があるとみられている。さらに、トランプ次期政権下での不確実性を見越した動きであるとも考えられる。

 デンマークは、グリーンランドの防衛に責任を負う立場にあるため、地域の安定を維持しつつ、外部からの影響力を抑制する必要がある。グリーンランドのムテ・エゲデ首相も、「グリーンランドは売りに出されておらず、将来的にも売却されることはない」と明言しており、島の主権と自立性を守る意志を強調している。

 トランプ氏の広範な主張

 トランプ氏の発言はグリーンランドに限らない。彼は同日にパナマ運河についても「米国にとって重要な国家資産」であると主張し、運河の統制を再主張する考えを示した。これに対し、パナマのホセ・ラウル・ムリノ大統領は、「パナマ運河はパナマの主権下にあり、これを脅かすことは受け入れられない」と明確に反論した。この発言は、パナマ政府が国家主権の侵害を強く警戒していることを反映している。

 また、トランプ氏はカナダについても「51番目の州」として吸収する可能性に言及したとされ、カナダの官僚や国民を挑発した。これらの一連の発言は、トランプ氏が北米および中南米地域におけるアメリカの影響力を拡大する意図を持っていることを示唆している。

 背景にある北極戦略の更新

 米国は2024年7月に新たな北極戦略を発表した。この戦略は2019年以来初めての更新であり、気候変動への対応、資源開発、地域の安全保障が主要なテーマである。トランプ氏の発言は、この北極戦略と連動している可能性が高い。特に、北極圏での覇権争いが激化する中、米国がグリーンランドを中心に戦略的地位を確保しようとする意図が見られる。

 結論

 トランプ氏の発言を受けたデンマークの迅速な対応は、北極圏における地政学的緊張の高まりを反映している。グリーンランドの戦略的重要性は、地域の安全保障と経済発展においてますます注目を集めており、デンマークと米国の間でこの地域を巡る駆け引きがさらに激化する可能性がある。
  
【要点】 

 1.デンマークの対応

 ・デンマーク政府はグリーンランドの防衛費を大幅に増額。規模は「二桁の十億クローネ」(少なくとも15億ドル)。
 ・トロールス・ルンド・ポールセン国防相は、ロシア・ウクライナ戦争およびトランプ次期政権の不確実性に備える目的を示唆。

 2.トランプ氏の発言

 ・グリーンランドについて「米国にとって所有と支配が必要」と発言(Truth Socialに投稿)。
 ・グリーンランド購入への関心を2019年に続き再び表明。
 ・パナマ運河を「米国の重要な国家資産」とし、支配権の再主張を示唆。
 ・カナダを「51番目の州」とする可能性についても言及。

 3.グリーンランドの戦略的重要性

 ・北米とヨーロッパを結ぶ最短航路上に位置。
 ・希少金属やエネルギー資源など豊富な鉱物資源を保有。
 ・チューレ空軍基地を含む重要な米軍施設が存在。
 ・排他的経済水域(EEZ)の支配権が地政学的に重要。

 4.グリーンランド側の反応

 ・ムテ・エゲデ首相は「グリーンランドは売却されない」と明言。
 ・デンマークはグリーンランドの主権を守る立場を堅持。

 5.パナマおよびカナダへの影響

 ・パナマのホセ・ラウル・ムリノ大統領は「運河はパナマの主権下にある」と反論。
 ・カナダの官僚および国民からの反発を招く挑発的発言。

 6.米国の北極戦略との関連性

 ・2024年7月に発表された新北極戦略が背景。
 ・気候変動、資源開発、地域安全保障を重視する方針と一致。

 7.結論

 ・トランプ氏の発言はグリーンランドや北極圏の地政学的重要性を改めて浮き彫りにした。
 ・デンマークは防衛費増額を通じて地域の主権と安全を確保する姿勢を示した。
 ・今後、北極圏を巡る国際的な緊張が一層高まる可能性がある。

【引用・参照・底本】

Denmark boosts defense spending for Greenland hours after Trump repeats desire to purchase island GT 2024.12.25
https://www.globaltimes.cn/page/202412/1325757.shtml

中国と日本の関係改善と発展について2024年12月26日 18:43

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【概要】 
 
 中国と日本の関係改善と発展について、Global Timesは以下のように述べている。2024年12月25日、中国は日本の外務大臣である岩屋毅氏を招待し訪中させた。この訪問は、11月にペルーで行われた中国の習近平国家主席と日本の石破茂首相の会談で合意された「戦略的互恵関係の包括的な推進」と「新時代にふさわしい建設的かつ安定的な中国-日本関係の構築」という共通認識に基づくものである。岩屋外相との会談で、中国の李強首相は、この重要な合意を実行するために日本と協力する意思を表明した。また、中国共産党中央政治局委員であり外交部長でもある王毅氏と岩屋氏が参加した「第2回中日間の人的・文化的交流に関するハイレベル協議メカニズム」の会合において、両国は若者交流の推進や観光客相互訪問の促進に向けた措置など、10項目の重要な合意に達した。

 これは岩屋氏が外相に就任してから初めての訪中であり、昨年4月の林芳正外相の訪中以来、日本の外相による訪中としては初めてである。日本国内では岩屋氏への期待が特に高まっており、石破政権が発足して以降、中国政策が実務的協力を重視する方向に転じており、中日間の二国間対話が徐々に再開されている。石破首相は自らを、1972年の日中国交正常化を進めた田中角栄元首相の弟子であると称しており、岩屋氏の訪中を中日関係改善の機会と捉えていることが伺える。

 「建設的」および「安定化」というキーワードが両国の共通認識として浮上したのは偶然ではない。近年、中日関係は国交正常化以来見られないほどの困難な時期を経験し、両国間の交流や信頼関係が大きく損なわれてきた。こうした教訓から、日本側では反省の声が上がっている。

 訪中前のインタビューで岩屋外相は、中国は日本にとって非常に重要で永遠の隣国であると述べ、過去の歴史問題に関する日本の公式声明を継承することの重要性を強調した。また、台湾への侵攻を想定した発言を繰り返すべきではないと指摘しており、これらは中日関係の改善に向けた真摯な姿勢を示している。一部の日本国内の声も、従来の「米国一辺倒」から「日米同盟と日中協調」の路線に戻るべきだと主張している。

 さらに、中日関係の安定的発展の基盤は、両国間および地域全体における交流と協力の実際的な必要性に根ざしている。例えば、中国が日本の一般旅券保持者に対してビザ免除措置を導入した直後、ラオスを旅行中の日本人観光客が中国ラオス鉄道を利用して中国に入国した事例が報じられている。この政策は地域統合の「高速道路」に日本が含まれることを示している。

 日本企業も中国での活動を継続しており、例えばトヨタ自動車は中国に新たな電気自動車工場を設立する計画を報じられている。また、中国社会科学院などが共同で発表した日本経済に関する報告書によれば、大手日本企業は中国市場での事業継続を選択し、「デカップリング」や供給網分断といった動きには現実的な可能性がないことが明らかになっている。

 中日間の相互理解と協力の基盤は、両国が「互いの脅威ではなく協力のパートナーであるべき」という四つの政治文書に基づいている。短期的で功利的な視点ではなく、長期的な視点で正しい方向性を確立することが重要であり、これにより具体的な問題の解決が容易になるとされている。

 中国の対日政策は一貫して安定しており、今後の関係の鍵は、日本が現在の実務的な対中政策を着実かつ継続的に実行し、両国関係の発展に向けたこの重要な時期を活用できるかどうかにかかっていると述べられている。「千里の道も一歩から」という両国のことわざのように、今こそ中日関係を改善・発展させる絶好の機会であると記事は締めくくっている。
 
【詳細】

 Global Timesの社説によると、2024年12月25日の岩屋毅外相の訪中は、近年冷え込んでいた中日関係の改善と発展に向けた重要な契機である。この訪中は、11月にペルーで行われた中国の習近平国家主席と日本の石破茂首相の会談で確認された「戦略的互恵関係の包括的な推進」という合意に基づくものである。特に、今回の訪問では次のような重要な要素がある。

 訪問の背景と意義

 岩屋外相の訪中は、石破政権の対中政策がこれまでの路線から転換し、実務的な協力を重視する方向に進んでいることを象徴している。石破首相は自らを田中角栄元首相の弟子であると位置付け、日中国交正常化を推進した田中政権の政策を参考にしていると見られる。また、岩屋外相の訪中は、日本国内での期待も高く、特に対中政策を「日米同盟と日中協調」のバランスを取る路線へと戻すべきだという意見が強まっている。

 訪中での成果

 訪中中、岩屋外相と中国政府の間で行われた「第2回人的・文化的交流に関するハイレベル協議メカニズム」では、次のような10項目の重要な合意が達成された。

 1.若者交流を活性化するための施策を推進。
 2.双方の観光客の相互訪問を促進するための措置を導入。
 3.双方向のビザ免除政策をさらに拡大。
 4.文化的、学術的な交流事業の強化。
 5.双方の民間交流の促進。

 これらの合意は、中日関係の基盤をさらに強化することを目的としており、特に人的交流の拡大が注目されている。例えば、中国が日本の一般旅券保持者に対してビザ免除を開始したことで、ラオスを訪れていた日本人観光客が中国ラオス鉄道を利用して中国に入国するという象徴的なエピソードが報じられている。

 経済協力の現状と展望

 経済面でも、中日関係の安定的発展が重要視されている。例えば、トヨタ自動車が中国に新たな電気自動車工場を設立する計画があることや、大手日本企業が中国市場での事業継続を選択していることが挙げられる。これは、「デカップリング」やサプライチェーンの分断が現実的ではないことを示しており、日中経済が相互に依存している現状を反映している。

 また、中国社会科学院が発表した報告書によれば、日本企業は中国市場での利益を引き続き見込んでおり、撤退や縮小の動きは少ない。このように、両国の経済的な結びつきは依然として強固であり、地域の経済統合にも寄与している。

 政治的基盤の強化

 中日関係の安定的発展には、両国が「互いの脅威ではなく協力のパートナーであるべき」という基本原則を再確認することが必要である。この原則は、1972年の日中国交正常化以来の四つの政治文書に明確に記されているものであり、両国の相互信頼を築く土台となっている。

 石破首相は、台湾問題についても慎重な姿勢を示しており、「侵攻を想定した発言を繰り返すべきではない」と述べている。この発言は、両国関係を刺激せずに安定させるための意識を示していると考えられる。また、日本国内では「米国一辺倒」から脱却し、中国との協調を重視する路線への転換を求める声も増えている。

 長期的な視点の必要性

 中国側の主張として、中日関係の改善は短期的で功利的な視点ではなく、長期的かつ戦略的な視点に基づくべきであるとされている。これにより、具体的な問題の解決が容易になるだけでなく、両国関係の全体的な質を向上させることが可能となる。

 結論

 中国政府の対日政策は一貫して安定しており、今後は日本がこの流れをいかに維持し、信頼関係を築いていけるかが重要である。記事は最後に、「千里の道も一歩から」ということわざを引用し、両国にとって現在が関係改善の絶好のタイミングであると強調している。
  
【要点】 

 1.訪問の背景と意義

 ・岩屋毅外相が訪中し、中日関係改善の契機となる。
 ・石破首相は田中角栄元首相を手本とし、実務的協力を重視する政策を展開。
 ・日本国内では「日米同盟と日中協調」のバランスを取るべきとの意見が高まっている。

 2.訪中での成果

 ・第2回「人的・文化的交流ハイレベル協議メカニズム」で10項目の合意を達成。
 ・例として、若者交流の活性化、観光客の相互訪問促進、ビザ免除拡大などが挙げられる。

 3.象徴的なエピソード

 ・中国のビザ免除政策で、日本人観光客が中国ラオス鉄道を利用し、迅速に中国に入国。

 4.経済協力の現状と展望

 ・トヨタが中国に新EV工場を設立する計画。
 ・日本企業は引き続き中国市場での利益を見込む動きを維持。
 ・「デカップリング」やサプライチェーンの分断が現実的でないことを示唆。

 5.政治的基盤の強化

 ・両国は「互いの脅威ではなく協力のパートナーである」という基本原則を確認。
 ・台湾問題について、石破首相は慎重な姿勢を示す。

 6.長期的視点の重要性

 ・中日関係は短期的功利主義ではなく、長期的・戦略的視点での発展が必要。
 ・両国関係の基盤を強化することが、具体的問題解決の鍵となる。

 7.結論

 ・中国の対日政策は一貫して安定的。
 ・日本がこの流れを維持し、信頼関係を築くことが今後の課題。
 ・「千里の道も一歩から」という言葉で、関係改善の好機を強調。

【引用・参照・底本】

Now is the right time for China-Japan relations to improve and develop: Global Times editorial GT 2024.12.25
https://www.globaltimes.cn/page/202412/1325771.shtml

中国と日本の関係改善と発展について2024年12月26日 18:43

Microsoft Designerで作成
【概要】 
 
 中国と日本の関係改善と発展について、Global Timesは以下のように述べている。2024年12月25日、中国は日本の外務大臣である岩屋毅氏を招待し訪中させた。この訪問は、11月にペルーで行われた中国の習近平国家主席と日本の石破茂首相の会談で合意された「戦略的互恵関係の包括的な推進」と「新時代にふさわしい建設的かつ安定的な中国-日本関係の構築」という共通認識に基づくものである。岩屋外相との会談で、中国の李強首相は、この重要な合意を実行するために日本と協力する意思を表明した。また、中国共産党中央政治局委員であり外交部長でもある王毅氏と岩屋氏が参加した「第2回中日間の人的・文化的交流に関するハイレベル協議メカニズム」の会合において、両国は若者交流の推進や観光客相互訪問の促進に向けた措置など、10項目の重要な合意に達した。

 これは岩屋氏が外相に就任してから初めての訪中であり、昨年4月の林芳正外相の訪中以来、日本の外相による訪中としては初めてである。日本国内では岩屋氏への期待が特に高まっており、石破政権が発足して以降、中国政策が実務的協力を重視する方向に転じており、中日間の二国間対話が徐々に再開されている。石破首相は自らを、1972年の日中国交正常化を進めた田中角栄元首相の弟子であると称しており、岩屋氏の訪中を中日関係改善の機会と捉えていることが伺える。

 「建設的」および「安定化」というキーワードが両国の共通認識として浮上したのは偶然ではない。近年、中日関係は国交正常化以来見られないほどの困難な時期を経験し、両国間の交流や信頼関係が大きく損なわれてきた。こうした教訓から、日本側では反省の声が上がっている。

 訪中前のインタビューで岩屋外相は、中国は日本にとって非常に重要で永遠の隣国であると述べ、過去の歴史問題に関する日本の公式声明を継承することの重要性を強調した。また、台湾への侵攻を想定した発言を繰り返すべきではないと指摘しており、これらは中日関係の改善に向けた真摯な姿勢を示している。一部の日本国内の声も、従来の「米国一辺倒」から「日米同盟と日中協調」の路線に戻るべきだと主張している。

 さらに、中日関係の安定的発展の基盤は、両国間および地域全体における交流と協力の実際的な必要性に根ざしている。例えば、中国が日本の一般旅券保持者に対してビザ免除措置を導入した直後、ラオスを旅行中の日本人観光客が中国ラオス鉄道を利用して中国に入国した事例が報じられている。この政策は地域統合の「高速道路」に日本が含まれることを示している。

 日本企業も中国での活動を継続しており、例えばトヨタ自動車は中国に新たな電気自動車工場を設立する計画を報じられている。また、中国社会科学院などが共同で発表した日本経済に関する報告書によれば、大手日本企業は中国市場での事業継続を選択し、「デカップリング」や供給網分断といった動きには現実的な可能性がないことが明らかになっている。

 中日間の相互理解と協力の基盤は、両国が「互いの脅威ではなく協力のパートナーであるべき」という四つの政治文書に基づいている。短期的で功利的な視点ではなく、長期的な視点で正しい方向性を確立することが重要であり、これにより具体的な問題の解決が容易になるとされている。

 中国の対日政策は一貫して安定しており、今後の関係の鍵は、日本が現在の実務的な対中政策を着実かつ継続的に実行し、両国関係の発展に向けたこの重要な時期を活用できるかどうかにかかっていると述べられている。「千里の道も一歩から」という両国のことわざのように、今こそ中日関係を改善・発展させる絶好の機会であると記事は締めくくっている。
 
【詳細】

 Global Timesの社説によると、2024年12月25日の岩屋毅外相の訪中は、近年冷え込んでいた中日関係の改善と発展に向けた重要な契機である。この訪中は、11月にペルーで行われた中国の習近平国家主席と日本の石破茂首相の会談で確認された「戦略的互恵関係の包括的な推進」という合意に基づくものである。特に、今回の訪問では次のような重要な要素がある。

 訪問の背景と意義

 岩屋外相の訪中は、石破政権の対中政策がこれまでの路線から転換し、実務的な協力を重視する方向に進んでいることを象徴している。石破首相は自らを田中角栄元首相の弟子であると位置付け、日中国交正常化を推進した田中政権の政策を参考にしていると見られる。また、岩屋外相の訪中は、日本国内での期待も高く、特に対中政策を「日米同盟と日中協調」のバランスを取る路線へと戻すべきだという意見が強まっている。

 訪中での成果

 訪中中、岩屋外相と中国政府の間で行われた「第2回人的・文化的交流に関するハイレベル協議メカニズム」では、次のような10項目の重要な合意が達成された。

 1.若者交流を活性化するための施策を推進。
 2.双方の観光客の相互訪問を促進するための措置を導入。
 3.双方向のビザ免除政策をさらに拡大。
 4.文化的、学術的な交流事業の強化。
 5.双方の民間交流の促進。

 これらの合意は、中日関係の基盤をさらに強化することを目的としており、特に人的交流の拡大が注目されている。例えば、中国が日本の一般旅券保持者に対してビザ免除を開始したことで、ラオスを訪れていた日本人観光客が中国ラオス鉄道を利用して中国に入国するという象徴的なエピソードが報じられている。

 経済協力の現状と展望

 経済面でも、中日関係の安定的発展が重要視されている。例えば、トヨタ自動車が中国に新たな電気自動車工場を設立する計画があることや、大手日本企業が中国市場での事業継続を選択していることが挙げられる。これは、「デカップリング」やサプライチェーンの分断が現実的ではないことを示しており、日中経済が相互に依存している現状を反映している。

 また、中国社会科学院が発表した報告書によれば、日本企業は中国市場での利益を引き続き見込んでおり、撤退や縮小の動きは少ない。このように、両国の経済的な結びつきは依然として強固であり、地域の経済統合にも寄与している。

 政治的基盤の強化

 中日関係の安定的発展には、両国が「互いの脅威ではなく協力のパートナーであるべき」という基本原則を再確認することが必要である。この原則は、1972年の日中国交正常化以来の四つの政治文書に明確に記されているものであり、両国の相互信頼を築く土台となっている。

 石破首相は、台湾問題についても慎重な姿勢を示しており、「侵攻を想定した発言を繰り返すべきではない」と述べている。この発言は、両国関係を刺激せずに安定させるための意識を示していると考えられる。また、日本国内では「米国一辺倒」から脱却し、中国との協調を重視する路線への転換を求める声も増えている。

 長期的な視点の必要性

 中国側の主張として、中日関係の改善は短期的で功利的な視点ではなく、長期的かつ戦略的な視点に基づくべきであるとされている。これにより、具体的な問題の解決が容易になるだけでなく、両国関係の全体的な質を向上させることが可能となる。

 結論

 中国政府の対日政策は一貫して安定しており、今後は日本がこの流れをいかに維持し、信頼関係を築いていけるかが重要である。記事は最後に、「千里の道も一歩から」ということわざを引用し、両国にとって現在が関係改善の絶好のタイミングであると強調している。
  
【要点】 

 1.訪問の背景と意義

 ・岩屋毅外相が訪中し、中日関係改善の契機となる。
 ・石破首相は田中角栄元首相を手本とし、実務的協力を重視する政策を展開。
 ・日本国内では「日米同盟と日中協調」のバランスを取るべきとの意見が高まっている。

 2.訪中での成果

 ・第2回「人的・文化的交流ハイレベル協議メカニズム」で10項目の合意を達成。
 ・例として、若者交流の活性化、観光客の相互訪問促進、ビザ免除拡大などが挙げられる。

 3.象徴的なエピソード

 ・中国のビザ免除政策で、日本人観光客が中国ラオス鉄道を利用し、迅速に中国に入国。

 4.経済協力の現状と展望

 ・トヨタが中国に新EV工場を設立する計画。
 ・日本企業は引き続き中国市場での利益を見込む動きを維持。
 ・「デカップリング」やサプライチェーンの分断が現実的でないことを示唆。

 5.政治的基盤の強化

 ・両国は「互いの脅威ではなく協力のパートナーである」という基本原則を確認。
 ・台湾問題について、石破首相は慎重な姿勢を示す。

 6.長期的視点の重要性

 ・中日関係は短期的功利主義ではなく、長期的・戦略的視点での発展が必要。
 ・両国関係の基盤を強化することが、具体的問題解決の鍵となる。

 7.結論

 ・中国の対日政策は一貫して安定的。
 ・日本がこの流れを維持し、信頼関係を築くことが今後の課題。
 ・「千里の道も一歩から」という言葉で、関係改善の好機を強調。

【引用・参照・底本】

Now is the right time for China-Japan relations to improve and develop: Global Times editorial GT 2024.12.25
https://www.globaltimes.cn/page/202412/1325771.shtml

台湾と岩屋毅外相の発言2024年12月26日 19:15

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【概要】 
 
 2024年12月25日、岩屋毅外相は中国・北京で王毅外相と会談し、台湾周辺での中国軍の活動が活発化していることに対する深刻な懸念を伝えた。同時に、台湾海峡の平和と安定が日本および国際社会全体にとって非常に重要であるという見解を再度示した。

 この発言について、中華民国外交部は歓迎の意を表し、感謝の意を示した。さらに、同部は日本政府が台湾と日本が共通の基本的価値観を共有しており、重要な友人関係にあることを強調し、台湾海峡の情勢に対する国際社会の関心を呼びかけていることを評価した。例えば、今年6月のG7首脳会議、9月の日米韓外相会合、10月の日・ASEAN首脳会議、11月の日中首脳会談などの重要な国際会議において、日本は一貫して台湾海峡の平和と安定の重要性を強調してきた。

 中華民国外交部は、国際社会が台湾海峡の情勢に関心を持ち、地域の平和維持に貢献する行動を取ることを歓迎しており、今後も理念を共有する国々と協力し、インド太平洋地域の平和、安定、繁栄を守ることを目指すと表明している。
 
【詳細】

 2024年12月25日、日本の岩屋毅外相は中国・北京で王毅外相と会談し、その中で台湾周辺での中国軍の活動が活発化していることについて深刻な懸念を伝えた。特に、近年、中国軍の台湾海峡周辺での活動が増加していることに対して、岩屋外相は懸念を表明し、台湾海峡の平和と安定が日本と国際社会全体にとって極めて重要であるという立場を再確認した。

 この発言に対して、中華民国(台湾)の外交部は歓迎の意を表し、感謝の意を示した。外交部は、台湾と日本が共に自由、民主主義、人権、法の支配といった基本的な価値観を共有し、相互に重要な友人関係を築いていることを強調した。さらに、外交部は、台湾海峡の情勢に対する国際社会の関心を引き続き呼びかけ、特にその平和と安定が地域の平和維持にとって不可欠であるという見解を示した。

 日本政府は、これまでも国際社会に対して台湾海峡の状況に関心を寄せるよう呼びかけており、その立場は一貫している。特に今年は、複数の国際会議で台湾海峡の平和と安定について言及した。例えば、2024年6月に行われた主要7カ国(G7)首脳会議では、日本が台湾海峡の平和の重要性を強調し、9月の日本、アメリカ、韓国の外相会合、10月の日本とASEANの首脳会議、11月の日中首脳会談でも同様の立場を表明した。これらの会議において、日本は台湾海峡の安定が地域の安全保障と繁栄にとって重要であるという点を強調し続けた。

 中華民国外交部は、日本政府が示す姿勢に感謝し、国際社会が台湾海峡の情勢に関心を持ち、平和を維持するための積極的な行動を取ることを歓迎する立場を取っている。また、台湾は今後も、自由で民主的な価値観を共有する国々との連携を強化し、インド太平洋地域全体の平和、安定、繁栄を共同で守っていく考えを示した。

 このような会談や声明は、日本と台湾が共に地域の安全保障を維持するために協力する意思を確認し、また、台湾海峡の情勢に対する国際的な関心が今後さらに高まることを意味している。
  
【要点】 

 ・会談の概要

 2024年12月25日、岩屋毅外相が中国・北京で王毅外相と会談。台湾周辺での中国軍の活動活発化に関して、深刻な懸念を表明。

 ・台湾海峡の平和と安定

 岩屋外相は、台湾海峡の平和と安定が日本および国際社会全体にとって極めて重要であると再確認。

 ・中華民国外交部の反応

 中華民国(台湾)の外交部は、日本の外相の発言を歓迎し、感謝の意を示す。

 ・日本と台湾の関係

 日本政府は、台湾と日本が共に自由、民主主義、人権、法の支配などの基本的価値を共有していると強調。

 ・国際社会への呼びかけ

 日本は、国際社会に対して台湾海峡の情勢に関心を持つよう呼びかけており、これまでの重要な会議で平和と安定の重要性を強調してきた。

 ・過去の重要な会議での発言

  ⇨ 2024年6月:G7首脳会議
  ⇨ 2024年9月:日米韓外相会合
  ⇨ 2024年10月:日・ASEAN首脳会議
  ⇨ 2024年11月:日中首脳会談
 これらの会議で、日本は台湾海峡の平和と安定を強調。

 ・今後の台湾の方針

 台湾は、自由で民主的な価値観を共有する国々との連携を強化し、インド太平洋地域の平和、安定、繁栄を共同で守る意向を示す。

【引用・参照・底本】

日本の岩屋外相、中国の王毅外相との会談で台湾海峡の平和と安定の重要性を指摘 TAIWAN TODAY 2024.12.26
https://jp.taiwantoday.tw/news.php?post=263602&unit=149&utm_source=Taiwan+Today+JP+9&utm_medium=email&utm_content=%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%B9+textlink