ドイツ:ロシアの新型極超音速ミサイル「オレシュニク」に無力 ― 2024年12月29日 17:45
【概要】
ドイツの大衆紙「ビルト」は、ロシアの新型極超音速ミサイル「オレシュニク」に対して、ドイツの防空システムが無力であるとのドイツ外務省の分析結果を報じた。このミサイルは、中距離弾道ロケットであり、核弾頭を含む複数の弾頭タイプを搭載可能である。初めて使用されたのは2024年11月21日で、ウクライナのドニプロ市にある軍需工場「ユージュマシュ」を攻撃した。ロシアのプーチン大統領は、このミサイルが音速の10倍で飛行し、現存する防空システムでは迎撃が不可能であると主張している。
「ビルト」の報道によれば、ドイツ外務省はベルリンとキーウの防空能力に関する内部調査を実施した。この調査には、軍の連絡将校や防空専門家の協力が含まれていた。その結果、ドイツは「オレシュニク攻撃に対して無防備である」との結論に至ったとされる。特に、米国製のパトリオット防空システムについては、「オレシュニクのような長距離弾道ミサイルには対応できない」と警告されている。報告書は、このミサイルの速度と機動性を考慮すると、「迎撃は事実上幸運によるものにすぎない」と指摘している。
ただし、「ビルト」は、昨年ベルリンが発注したイスラエル製の「アロー防空システム」がこの問題を部分的に解決する可能性があるとも述べている。
プーチン大統領は今月、オレシュニクの開発は米国が中距離ミサイルを西ヨーロッパに配備したことに対する対応であったと説明している。また、12月下旬の記者会見では、同ミサイルが既に量産体制に入っており、ロシアの同盟国であるベラルーシにも配備される予定であると発表した。ベラルーシのルカシェンコ大統領も、現在10基の配備が予定されており、今後さらに増加する可能性があると述べている。
さらにプーチン大統領は、西側諸国に対して「ハイテクの決闘」を提案し、オレシュニクミサイルを使用してキーウの特定の標的を攻撃し、西側の防空システムがそれを迎撃できるかどうかを試すという挑発的な意見を述べた。このように、オレシュニクミサイルの能力を誇示しつつ、西側諸国に対する抑止力を高める姿勢を示している。
【詳細】
「ビルト」の報道によると、ドイツの外務省はロシアの新型極超音速ミサイル「オレシュニク」に対する防衛能力に関して内部調査を実施した。この調査では、ドイツの現在の防空システムが、オレシュニクに対して効果的な防御を提供できないとの結論が出された。
オレシュニクミサイルの特性
オレシュニクは、中距離弾道ミサイルで、核弾頭を含む複数の種類の弾頭を搭載できる。また、極超音速の特性を持ち、音速の10倍という非常に高い速度で飛行する。このミサイルは、その速さと機動性のため、現存する防空システムでは迎撃が難しいとされている。ロシアのプーチン大統領は、オレシュニクが音速の10倍で飛行し、現代の防空システムではそれを迎撃することができないと強調している。
ドイツ外務省の調査
外務省が実施した調査では、ドイツとウクライナの防空能力を比較した結果、オレシュニクに対する有効な防御手段がないことが確認された。特に、ドイツが運用している米国製のパトリオット防空システムが、オレシュニクのような中距離弾道ミサイルに対応できないとの評価がなされた。パトリオットは比較的短距離向けの防空システムであり、オレシュニクのような極超音速ミサイルには効果的に対処できないとされる。
調査の結果、オレシュニクの迎撃は「幸運による一発の命中」となりかねないと指摘された。つまり、このミサイルはその速度と機動性により、現行の防空システムではほとんど迎撃が不可能だと考えられている。
イスラエル製アローシステム
一方で、報道はイスラエル製の「アロー防空システム」についても言及しており、これがオレシュニクに対する防御手段として一定の効果を期待できるとの見解を示している。アローシステムは長距離ミサイルの迎撃に特化しており、ドイツは昨年、このシステムを導入する決定を下している。このシステムがオレシュニクに対する防御を部分的に補完する可能性があるとされているが、完全にミサイルの脅威を排除できるわけではない。
プーチン大統領の発言
プーチン大統領は、オレシュニクミサイルが量産に入ったことを発表しており、これがロシアの軍事戦力を強化する重要な要素となることを示唆している。また、オレシュニクはロシアの同盟国であるベラルーシにも配備される予定であることを確認した。ベラルーシのルカシェンコ大統領は、当初は10基が配備され、その後の展開については見守ると述べている。
プーチン大統領はまた、西側諸国に対して「ハイテクの決闘」を挑戦する発言をしており、具体的にはオレシュニクミサイルをキーウ(ウクライナの首都)の標的に使用し、西側諸国が提供する防空システムがそのミサイルを迎撃できるかを試すという形での対決を想定している。この発言は、西側の防空能力を試すだけでなく、ロシアの技術力を誇示する意図もあると考えられている。
結論
この一連の報道は、オレシュニクミサイルが持つ極超音速の特性とその戦略的な重要性を強調している。ドイツの防空システムは、現在のところこのミサイルに対して十分な防御能力を持たないとされ、今後の防空技術の強化が求められる可能性がある。ロシアはオレシュニクの使用を増やし、さらにベラルーシなどの同盟国にも配備する意向を示しており、今後の国際的な安全保障における重要な要素となるだろう。
【要点】
1.オレシュニクミサイルの特性
・中距離弾道ミサイルで、核弾頭を含む複数の弾頭タイプを搭載可能
・音速の10倍で飛行する極超音速ミサイル
・現行の防空システムでは迎撃が難しい
2.ドイツ外務省の調査結果
・ドイツの防空システム(特にパトリオット)はオレシュニクに対して無力
・オレシュニクの迎撃は「幸運による一発の命中」に頼ることになる
・現行の防空システムでは効果的な防御が不可能とされる
3.アロー防空システムの可能性
・イスラエル製のアロー防空システムが一定の防御効果を発揮する可能性
・ドイツは昨年、このシステムを導入決定
4.プーチン大統領の発言
・オレシュニクは量産され、ロシアの同盟国であるベラルーシにも配備予定
・ベラルーシに10基が配備され、その後の展開については不確定
・プーチン大統領は西側諸国に「ハイテクの決闘」を挑戦し、オレシュニクをキーウの標的に使用する可能性を示唆
5.結論
・現行の防空システムではオレシュニクミサイルに対して無防備
・ロシアはオレシュニクの使用を増加させ、同盟国に配備予定
・ドイツは防空能力の強化が必要とされる可能性がある
【引用・参照・底本】
Germany defenseless against Oreshnik missile – Bild RT 2024.12.28
https://www.rt.com/news/610110-bild-germany-defenseless-russian-oreshnik-missile/
ドイツの大衆紙「ビルト」は、ロシアの新型極超音速ミサイル「オレシュニク」に対して、ドイツの防空システムが無力であるとのドイツ外務省の分析結果を報じた。このミサイルは、中距離弾道ロケットであり、核弾頭を含む複数の弾頭タイプを搭載可能である。初めて使用されたのは2024年11月21日で、ウクライナのドニプロ市にある軍需工場「ユージュマシュ」を攻撃した。ロシアのプーチン大統領は、このミサイルが音速の10倍で飛行し、現存する防空システムでは迎撃が不可能であると主張している。
「ビルト」の報道によれば、ドイツ外務省はベルリンとキーウの防空能力に関する内部調査を実施した。この調査には、軍の連絡将校や防空専門家の協力が含まれていた。その結果、ドイツは「オレシュニク攻撃に対して無防備である」との結論に至ったとされる。特に、米国製のパトリオット防空システムについては、「オレシュニクのような長距離弾道ミサイルには対応できない」と警告されている。報告書は、このミサイルの速度と機動性を考慮すると、「迎撃は事実上幸運によるものにすぎない」と指摘している。
ただし、「ビルト」は、昨年ベルリンが発注したイスラエル製の「アロー防空システム」がこの問題を部分的に解決する可能性があるとも述べている。
プーチン大統領は今月、オレシュニクの開発は米国が中距離ミサイルを西ヨーロッパに配備したことに対する対応であったと説明している。また、12月下旬の記者会見では、同ミサイルが既に量産体制に入っており、ロシアの同盟国であるベラルーシにも配備される予定であると発表した。ベラルーシのルカシェンコ大統領も、現在10基の配備が予定されており、今後さらに増加する可能性があると述べている。
さらにプーチン大統領は、西側諸国に対して「ハイテクの決闘」を提案し、オレシュニクミサイルを使用してキーウの特定の標的を攻撃し、西側の防空システムがそれを迎撃できるかどうかを試すという挑発的な意見を述べた。このように、オレシュニクミサイルの能力を誇示しつつ、西側諸国に対する抑止力を高める姿勢を示している。
【詳細】
「ビルト」の報道によると、ドイツの外務省はロシアの新型極超音速ミサイル「オレシュニク」に対する防衛能力に関して内部調査を実施した。この調査では、ドイツの現在の防空システムが、オレシュニクに対して効果的な防御を提供できないとの結論が出された。
オレシュニクミサイルの特性
オレシュニクは、中距離弾道ミサイルで、核弾頭を含む複数の種類の弾頭を搭載できる。また、極超音速の特性を持ち、音速の10倍という非常に高い速度で飛行する。このミサイルは、その速さと機動性のため、現存する防空システムでは迎撃が難しいとされている。ロシアのプーチン大統領は、オレシュニクが音速の10倍で飛行し、現代の防空システムではそれを迎撃することができないと強調している。
ドイツ外務省の調査
外務省が実施した調査では、ドイツとウクライナの防空能力を比較した結果、オレシュニクに対する有効な防御手段がないことが確認された。特に、ドイツが運用している米国製のパトリオット防空システムが、オレシュニクのような中距離弾道ミサイルに対応できないとの評価がなされた。パトリオットは比較的短距離向けの防空システムであり、オレシュニクのような極超音速ミサイルには効果的に対処できないとされる。
調査の結果、オレシュニクの迎撃は「幸運による一発の命中」となりかねないと指摘された。つまり、このミサイルはその速度と機動性により、現行の防空システムではほとんど迎撃が不可能だと考えられている。
イスラエル製アローシステム
一方で、報道はイスラエル製の「アロー防空システム」についても言及しており、これがオレシュニクに対する防御手段として一定の効果を期待できるとの見解を示している。アローシステムは長距離ミサイルの迎撃に特化しており、ドイツは昨年、このシステムを導入する決定を下している。このシステムがオレシュニクに対する防御を部分的に補完する可能性があるとされているが、完全にミサイルの脅威を排除できるわけではない。
プーチン大統領の発言
プーチン大統領は、オレシュニクミサイルが量産に入ったことを発表しており、これがロシアの軍事戦力を強化する重要な要素となることを示唆している。また、オレシュニクはロシアの同盟国であるベラルーシにも配備される予定であることを確認した。ベラルーシのルカシェンコ大統領は、当初は10基が配備され、その後の展開については見守ると述べている。
プーチン大統領はまた、西側諸国に対して「ハイテクの決闘」を挑戦する発言をしており、具体的にはオレシュニクミサイルをキーウ(ウクライナの首都)の標的に使用し、西側諸国が提供する防空システムがそのミサイルを迎撃できるかを試すという形での対決を想定している。この発言は、西側の防空能力を試すだけでなく、ロシアの技術力を誇示する意図もあると考えられている。
結論
この一連の報道は、オレシュニクミサイルが持つ極超音速の特性とその戦略的な重要性を強調している。ドイツの防空システムは、現在のところこのミサイルに対して十分な防御能力を持たないとされ、今後の防空技術の強化が求められる可能性がある。ロシアはオレシュニクの使用を増やし、さらにベラルーシなどの同盟国にも配備する意向を示しており、今後の国際的な安全保障における重要な要素となるだろう。
【要点】
1.オレシュニクミサイルの特性
・中距離弾道ミサイルで、核弾頭を含む複数の弾頭タイプを搭載可能
・音速の10倍で飛行する極超音速ミサイル
・現行の防空システムでは迎撃が難しい
2.ドイツ外務省の調査結果
・ドイツの防空システム(特にパトリオット)はオレシュニクに対して無力
・オレシュニクの迎撃は「幸運による一発の命中」に頼ることになる
・現行の防空システムでは効果的な防御が不可能とされる
3.アロー防空システムの可能性
・イスラエル製のアロー防空システムが一定の防御効果を発揮する可能性
・ドイツは昨年、このシステムを導入決定
4.プーチン大統領の発言
・オレシュニクは量産され、ロシアの同盟国であるベラルーシにも配備予定
・ベラルーシに10基が配備され、その後の展開については不確定
・プーチン大統領は西側諸国に「ハイテクの決闘」を挑戦し、オレシュニクをキーウの標的に使用する可能性を示唆
5.結論
・現行の防空システムではオレシュニクミサイルに対して無防備
・ロシアはオレシュニクの使用を増加させ、同盟国に配備予定
・ドイツは防空能力の強化が必要とされる可能性がある
【引用・参照・底本】
Germany defenseless against Oreshnik missile – Bild RT 2024.12.28
https://www.rt.com/news/610110-bild-germany-defenseless-russian-oreshnik-missile/