日本の半導体産業の復活なるのか2025年01月03日 19:26

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【桃源寸評】

 <膾を吹く>積りはないが、市場を如何様に見込んでいるのであろうか。
 それに、「2030年度までに10兆円以上の公共支援」とあるが、投資に見合うのか。天井知らずの市場が控えているとも思えないし、特にこの世界、儲けながら、革新を求められるのだ。

 つまり、陳腐化も早い。それに地政学的争いが、仲間と見做す某国からも仕掛けられる。

【寸評 完】

【概要】

 かつて世界を支配していた日本の半導体産業は、生成的人工知能の普及や地政学的リスクの増大により、半導体の重要性が増す中で再興を果たす兆しを見せている。今年、ラピダスをはじめとする日本の半導体メーカーは、パイロットラインの稼働を開始するか、新工場での生産を始める予定である。

 ラピダスは、北海道千歳市で建設中の工場に極紫外線(EUV)リソグラフィ装置を設置する式典を12月に開催した。EUVリソグラフィは、先進的な半導体製造のための主要技術の一つである。ラピダスのCEOであるAtsuyoshi Koike氏は、「日本から世界へ先進的な半導体を届けるための確固たる第一歩である」と述べた。同社は、2027年に2ナノメートルの回路線幅を持つ先進的な半導体の量産を開始する計画であり、今年4月にはパイロットラインが稼働する予定である。

 ラピダスの株主には、トヨタ自動車やソニーグループが含まれており、日本政府はラピダスに最大9200億円(59億ドル)の財政支援を行い、同社に1000億円の資本注入を行う計画である。

 キオクシアホールディングス(旧・東芝メモリ)は、岩手県北上市に新工場を建設し、2023年9月からデータセンターでの使用が見込まれるメモリーチップの製造を開始する予定である。

 三菱電機は、熊本県菊池市にパワー半導体の工場を建設しており、同社は自動車や産業機械メーカーからの需要増に応じて、2026年から2023年11月への生産開始予定を前倒ししている。

 外国企業では、世界最大の契約半導体製造企業である台湾の台湾積体電路製造(TSMC)が、熊本県菊陽町にある工場でデータ処理用のロジック半導体の量産を開始しており、同社は2025年3月までにそこに2番目の工場を建設する計画である。

 アメリカの半導体メーカーであるマイクロン・テクノロジーは、広島県東広島市に新工場を建設し、今年中に先進的なメモリーチップの製造を開始する予定である。

 日本政府は、半導体産業の支援を強化し、経済安全保障の強化に向けた努力の一環として、今後も手厚い支援を続ける計画である。政府の2023年11月の包括的経済対策には、半導体やAI分野に対して2030年度までに10兆円以上の公共支援を提供することが盛り込まれている。

 また、2025年度の予算には、次世代半導体の量産支援に3328億円の資金を計上することが含まれている。
 
【詳細】

 日本の半導体産業は、かつて世界市場で圧倒的な存在を誇ったが、1990年代以降、競争激化や技術革新の波に乗り遅れたことから、その地位を徐々に失った。しかし、生成的人工知能(AI)の急速な発展と、それに伴う半導体需要の増加、さらには地政学的なリスクが高まる中で、再び注目が集まっている。日本政府は半導体産業を支援するための政策を強化しており、国内企業も新たな工場の建設や技術開発に力を入れている。

 ラピダスは、2021年に設立された日本の半導体企業で、国内外の大手企業が出資している。2023年12月、ラピダスは北海道千歳市で極紫外線(EUV)リソグラフィ装置の設置式典を行った。EUVリソグラフィは、最先端の半導体製造において不可欠な技術であり、微細化を進めるための鍵となる技術である。ラピダスは、2027年には2ナノメートルの回路幅を持つ先進的な半導体を量産する計画であり、2024年4月にはパイロットラインを稼働させる予定である。この新工場は、最先端の半導体を製造する拠点となることが期待されている。

 ラピダスの出資者にはトヨタ自動車やソニーグループが含まれており、日本政府も同社に対して大規模な支援を行う予定だ。政府はラピダスに対して最大9200億円(約59億ドル)の財政支援を行うほか、1000億円の資本注入を予定している。これは、日本の経済安全保障を強化するための戦略的な支援となる。

 また、キオクシアホールディングス(旧・東芝メモリ)も、半導体産業の成長を牽引する企業の一つである。キオクシアは、岩手県北上市に新工場を建設しており、2023年9月にメモリーチップの生産を開始する予定だ。このメモリーチップは、主にデータセンターで使用されることが予想されており、今後の需要拡大に対応するための重要な生産拠点となる。

 三菱電機は、熊本県菊池市にパワー半導体の工場を建設しており、ここで製造されるパワー半導体は、特に自動車や産業機械における需要が高い。この工場の生産開始は当初2026年を予定していたが、需要の急増に対応するため、生産開始を2023年11月に前倒しすることとなった。

 台湾の台湾積体電路製造(TSMC)は、世界最大の契約半導体製造企業として、日本にも進出している。TSMCは、熊本県菊陽町にある工場で、データ処理に使用されるロジック半導体の量産を開始しており、さらに2025年3月までに第二工場の建設を計画している。TSMCの進出は、日本の半導体産業の競争力向上に貢献するものと期待されている。

 アメリカの半導体メーカー、マイクロン・テクノロジーは、広島県東広島市に新工場を建設しており、今年中に先進的なメモリーチップの製造を開始する予定だ。マイクロンは、データセンターやクラウドコンピューティングにおける需要増に対応するため、最先端のメモリーチップを生産する予定である。

 日本政府は、これらの企業への支援を強化しており、半導体産業を経済安全保障の一環として位置付けている。2023年11月に政府が発表した包括的経済対策には、半導体やAI分野に対して2030年度までに10兆円以上の公共支援を提供することが盛り込まれている。これにより、政府は日本の半導体産業を再び世界市場で競争力を持つ産業へと育成することを目指している。

 さらに、2025年度の予算には、次世代半導体の量産支援に3328億円の資金を計上することが決定されており、これは国内企業の研究開発や生産体制の強化に充てられる予定である。
  
【要点】 
 
 ・日本の半導体産業は、生成的AIの普及と地政学的リスク増大を背景に再興を果たす兆しを見せている。
 ・主要な半導体企業が新工場の建設や技術開発を進めており、ラピダスやキオクシアがその代表例である。

 ラピダスの活動

 ・2023年12月、北海道千歳市でEUVリソグラフィ装置の設置式典を開催。
 ・EUVリソグラフィは先進的な半導体製造に必須の技術。
 ・2027年に2ナノメートルの半導体の量産を予定、2024年4月にはパイロットライン稼働。
 ・株主にはトヨタ自動車とソニーグループがあり、日本政府は最大9200億円の財政支援を予定。

 キオクシアの活動

 ・岩手県北上市に新工場を建設し、2023年9月にメモリーチップの生産を開始予定。
 ・メモリーチップはデータセンターで使用され、需要拡大に対応。

 三菱電機の活動

 ・熊本県菊池市にパワー半導体の工場を建設中。
 ・自動車や産業機械向けの需要増加に対応するため、生産開始を2023年11月に前倒し。

 TSMCの活動

 ・熊本県菊陽町にある工場でロジック半導体の量産を開始。
 ・2025年3月までに第二工場の建設予定。

 マイクロンの活動

 ・広島県東広島市に新工場を建設し、先進的なメモリーチップを生産予定。

 政府の支援

 ・日本政府は半導体産業に対し、2030年度までに10兆円以上の公共支援を提供予定。
 ・2025年度の予算に3328億円を計上し、次世代半導体の量産支援を強化。

【引用・参照・底本】

Japanese chip industry poised for a comeback the japantimes 2025.01.03
https://www.japantimes.co.jp/business/2025/01/03/tech/japan-chipmakers-stage-comeback/?utm_source=pianodnu&utm_medium=email&utm_campaign=72&tpcc=dnu&pnespid=6o7nmy1f5q6f8a2u_h6zs.ivtqguqhbthqbzru8.r0_vwalzsk6x21a2taf_lwkboapyt6k

中国の新型強襲揚陸艦「Type 076」2025年01月03日 21:30

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【概要】

 中国の新型強襲揚陸艦「Type 076」は、ドローン戦争、航空戦力、及び水陸両用作戦を融合させ、遠くからの軍事力投射を可能にする画期的な艦船である。この艦船は、上海のHudong-Zhonghua造船所で2024年12月27日に進水式が行われた。Type 076は、約4万トンの排水量を持ち、固定翼機やドローン(例えば、GJ-11シャープソード無人攻撃機)を発着艦させる能力を備えている。艦内にはHQ-10対空ミサイルシステムや、Type 1130近接防空システム(CIWS)などの防御システムも搭載されている。

 Type 076の設計は双胴構造(ツインアイランド配置)を採用しており、広い飛行甲板には電磁カタパルトが設置され、ドローンの発進や回収が行える。船体はまた、最大1,000名の海兵隊員を搭載可能で、ドローン、揚陸艇、及び水陸両用作戦を支援するための装備を備えている。

 Type 076は、固定翼機やドローンを活用した大規模な作戦遂行能力を高め、従来の水陸両用作戦と並行して、無人機を使用した戦術を強化する。特に、GJ-11無人攻撃機は、敵の防空網を突破し、精密攻撃を行う能力を有しており、台湾周辺地域での空中優位性確保や対空防御の突破に貢献する可能性が高い。このドローンは、戦闘機や他の有人航空機と連携し、戦場の情報収集や偵察、精密攻撃を担当する役割を担う。

 さらに、中国のUR6000傾斜回転翼ドローンも、Type 076の運用をサポートする重要な技術とされている。このドローンは、垂直離着陸が可能で、1,500キロメートルの航続距離を持ち、迅速な補給任務や監視活動を実行できるため、台湾海峡などの争奪地での支援作戦に役立つ。

また、中国の水陸両用作戦能力は、近年の訓練や共同演習を通じて進化しており、海兵隊の増強や遠征能力の向上が図られている。特に、海軍の大型強襲揚陸艦の配備が進み、台湾危機に備えるための力の投射能力が強化されている。このような技術革新により、中国海軍は地域の主権問題や世界的な安全保障に対する影響力を拡大しようとしている。

 アメリカ海軍の老朽化した水陸両用艦船に対して、中国海軍は新型艦船を活用することで、競争力を維持し、急速に進化する軍事環境に対応しようとしている。
 
【詳細】

 中国の新型強襲揚陸艦「Type 076」は、従来の水陸両用作戦の枠組みを超え、無人機技術を統合することで、次世代の海軍戦争のあり方を示唆する革新的な艦船である。この艦船は、航空戦力、ドローン、そして水陸両用作戦能力を兼ね備え、特に台湾海峡や南シナ海のような戦略的に重要な地域での軍事力投射を強化することを目的としている。

 1. Type 076の基本設計と能力

 Type 076は約4万トンの排水量を誇り、従来型の強襲揚陸艦(LHA)としての機能を超えて、航空機やドローンの運用能力を強化している。艦船の設計は、双胴構造(ツインアイランド配置)を採用しており、これにより艦内の運用効率が向上し、搭載機やドローンの発着艦を円滑に行うことができる。この配置は、艦橋が前後に分かれて配置されることで、操縦の視界が広がり、発進・着艦の際の安全性が増す利点がある。

 広い飛行甲板には電磁カタパルトが設置されており、これにより従来の蒸気カタパルトに比べて機動性が向上し、より多くの機体を効率的に発進させることが可能となる。これにより、無人機(ドローン)や固定翼機の運用がよりスムーズに行える。

 2. ドローン運用の強化

 Type 076は、無人機の運用に特化した設計となっており、特にGJ-11「シャープソード」無人攻撃機(UCAV)の搭載能力が注目される。GJ-11は、ステルス性と高い機動性を持ち、敵の防空網を突破し、精密攻撃を行う能力を持つ。このドローンは、台湾周辺や南シナ海のような争奪地で、敵の防空システムを無力化するための先導的な役割を果たすことが期待されている。

 さらに、GJ-11は「忠実な翼手」としてJ-20ステルス戦闘機などの有人機と連携する能力を有しており、これにより無人機と有人機の協力による新しい戦闘形態が可能となる。この「有人機と無人機の協働(MUM-T)」は、複雑な戦場での情報収集、精密攻撃、そして偵察活動において、戦闘機単体では得られない効果を生むと考えられている。

 3. 水陸両用能力と航空支援

 Type 076は、ドローン以外にも、従来の水陸両用作戦を支援するための能力を持つ。艦船には、複数の揚陸艇を搭載するための設備が整っており、最大1,000名の海兵隊員を搭載可能である。このため、特に上陸作戦や、敵地への急襲部隊の展開において高い柔軟性を発揮する。

 また、Type 076にはヘリコプターやローターウィング型ドローンも搭載できるため、航空支援任務が可能であり、例えば敵の海上拠点や上陸地点への攻撃、さらには補給物資の輸送や救援活動など、多岐にわたる任務に対応できる。このような能力は、特に島嶼戦や沿岸防衛作戦において重要である。

 4. UR6000傾斜回転翼ドローン

 Type 076に搭載される可能性のあるUR6000ドローンは、垂直離着陸が可能であり、最大6,100キログラムの自重と2,000キログラムのペイロードを持つ。このドローンは、台湾海峡のような制圧された空域での迅速な補給や監視、情報収集の任務において重要な役割を果たす。特に、航空基地の確保が難しい状況でも運用可能であり、戦闘機やヘリコプターの補完的な役割を担う。

 UR6000の傾斜回転翼は、従来のヘリコプターよりも高速で長距離の飛行が可能であり、これにより後方支援の効率が大幅に向上する。また、垂直離着陸能力を活かして、離島奪取作戦や孤立した地域でのオペレーションにおいても、高い運用柔軟性を発揮する。

 5. 戦略的意義と台湾への影響

 中国が進める水陸両用作戦能力の強化は、台湾に対する圧力を高めるための重要な要素である。Type 076のような大型強襲揚陸艦は、台湾近海における軍事的緊張を一層高め、もし台湾との紛争が起きた場合、空軍と海軍の協力により、空中・海上・陸上の多面的な攻撃が可能となる。

 特に、ドローンの運用能力が増すことで、敵の防空網を突破するだけでなく、精密攻撃を行い、台湾を包囲するための戦術的な優位性を確保することができる。ドローン群を使った戦術的な圧力は、従来の戦闘機や艦艇に比べてコスト効率が高く、リスクの低い手段として注目されている。

 6. 中国海軍の現状と将来

 中国海軍(PLAN)は、近海防衛から遠洋作戦へとその戦略を進化させており、Type 076をはじめとする新型艦船の配備は、海軍の遠征能力を飛躍的に高めるものとされている。中国の水陸両用作戦能力の進化は、単に台湾問題にとどまらず、南シナ海やインド洋、さらには遠洋における中国の影響力拡大に貢献する。

 また、アメリカ海軍は老朽化した艦船や訓練の不足に直面しており、これに対して中国海軍は迅速に新型艦船の導入を進めている。このギャップは、地域での海軍力の均衡を変える可能性を秘めている。

 総じて、Type 076の登場は、無人機を中心にした新しい戦術と海上戦力投射の時代を象徴しており、中国の海軍戦力における重要な転換点となることが予想される。
  
【要点】 
 
 1.Type 076の基本設計

 ・約4万トンの排水量を持つ強襲揚陸艦(LHA)
 ・双胴構造(ツインアイランド配置)で運用効率が向上
 ・広い飛行甲板に電磁カタパルトを設置し、効率的な機体発進が可能

 2.ドローン運用の強化

 ・GJ-11「シャープソード」無人攻撃機(UCAV)の搭載能力
 ・ドローンと有人機の協働(MUM-T)による戦闘形態の進化
 ・無人機を使った精密攻撃と偵察能力の向上

 3.水陸両用能力と航空支援

 ・最大1,000名の海兵隊員を搭載可能
 ・揚陸艇やヘリコプターによる上陸作戦や航空支援が可能
 ・特に島嶼戦や沿岸防衛作戦に有効

 4.UR6000傾斜回転翼ドローン

 ・最大6,100キログラムの自重と2,000キログラムのペイロードを搭載
 ・垂直離着陸能力で、遠距離飛行と後方支援が効率的に行える
 ・戦闘機やヘリコプターの補完的な役割を担う

 5.台湾への影響

 ・水陸両用作戦能力の強化が台湾への圧力となる
 ・ドローンによる精密攻撃が台湾の防空網を突破し、包囲作戦が可能に
 ・ドローン群を使用したコスト効率の良い戦術的圧力

 6.中国海軍の現状と将来

 ・近海防衛から遠洋作戦へのシフト
 ・Type 076の配備により、中国海軍の遠征能力が飛躍的に強化
 ・アメリカ海軍の老朽化と訓練不足に対して、中国海軍の新型艦船導入が進む

 7.戦略的意義

 ・Type 076は無人機技術を活用した新しい海軍戦争のあり方を示唆
 ・中国の海軍力が増強され、台湾問題や南シナ海、インド洋における影響力拡大が進む

【引用・参照・底本】

China’s Type 076 ship heralds new naval warfare era ASIATIMES 2025.01.03
https://asiatimes.com/2025/01/chinas-type-076-ship-heralds-new-naval-warfare-era/?utm_source=The+Daily+Report&utm_campaign=5cabd9cc57-DAILY_03_01_2025&utm_medium=email&utm_term=0_1f8bca137f-5cabd9cc57-16242795&mc_cid=5cabd9cc57&mc_eid=69a7d1ef3c

中国の新型戦闘機J-362025年01月03日 21:52

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【概要】

 中国の新型J-36ステルス戦闘機は、アメリカの空中優越性に対する新たな挑戦として注目されている。報告によると、この戦闘機は、従来の尾翼を持たず、修正されたデルタ翼デザインを採用している。J-36という名称は正式に確認されていないが、Chengdu Aircraft Corporation (CAC)によって開発されたと考えられている。これまでのJ-35に続く、Jianjiji戦闘機シリーズの中で最高の番号が確認されており、最新の戦闘機として位置づけられている。

 J-36のデザインは、ステルス性と長距離性能を重視しており、尾翼のない配置はレーダー反射を減少させ、空力効率を向上させることを目的としている。しかし、この設計は機動性に影響を与える可能性があると指摘されている。また、この戦闘機は三基のエンジンを搭載しており、高速飛行と高高度での運用に重点を置いていることが示唆されている。

 同時に、J-50という別の新型機も公開されており、これはShenyang Aircraft Corporation(SAC)によって開発されたとされている。J-50は双発エンジンを持ち、ステルス技術を取り入れたデザインで、レーダー反射を減少させるために尾翼を持たない構造となっている。

 これらの新型戦闘機は「第六世代戦闘機」として報じられているが、この呼称は厳密な定義がなく、軍事能力を誇張するための宣伝文句として用いられることもある。第六世代戦闘機は、極度のステルス性、適応性、技術的統合を特徴としており、例えば変形可能な機体、指向性エネルギー兵器、センサーを組み込んだ「スマートスキン」などが求められる。

 J-36の仕様について、専門家はこの戦闘機が航空技術において重要な飛躍を示していると評価している。J-36のダブルデルタ翼デザインは、超音速性能と全方位ステルス能力を高めるとされている。また、この戦闘機の武器搭載量も非常に大きく、最大で4発のPL-17空対空ミサイルを搭載可能であり、YJ-12の対艦ミサイルも搭載できる。

 これに対して、アメリカ空軍の次世代空中支配(NGAD)戦闘機プログラムは、予算制約や技術革新、無人機の進化により再評価されている。NGADプログラムは高額であるため、より費用対効果の高いアプローチが模索されており、既存のF-35やF-15EX、F-22に新技術を統合する方向で見直しが進んでいる。

 中国の空軍近代化は、地域的および世界的な安全保障において重要な影響を及ぼす可能性があり、アメリカやその同盟国にとっては、これらの新型戦闘機の導入が戦略的な見直しを迫る事態となるだろう。
 
【詳細】

 中国の新型戦闘機J-36は、アメリカの空中優越性に挑戦する新たな要素として注目されている。この戦闘機は、現在の技術的な限界を超える可能性を秘めており、将来的に空中戦のダイナミクスを変える可能性があると見られている。J-36の設計は、従来のステルス機に見られる特徴的な尾翼を省略し、代わりに修正されたデルタ翼を採用している。この設計は、レーダーに対する反射面積を最小化し、航空機の空力性能を向上させる目的がある。J-36の尾翼の不在は、機動性においてデメリットとなる可能性があるが、その代わりにステルス性能の向上を優先していると考えられている。

 J-36は、三基のエンジンを搭載しており、その一つはダイバーターレス・超音速吸気口(DSI)を使用している。これにより、超音速巡航(スーパークルーズ)能力を有し、後燃焼器(アフターバーナー)を使用することなく高速度を維持できることが期待される。この技術は、長時間にわたって高速度で飛行する能力を提供し、戦闘機が高高度での持続的な作戦において優位性を発揮することを可能にする。

 J-36の全体的な設計には、サイドベイやメインウェポンベイなど複数の兵器搭載庫が組み込まれており、これにより多様なミサイルを搭載できる。例えば、空対空ミサイル(PL-17)や対艦ミサイル(YJ-12)などが搭載可能で、これにより多様な戦闘シナリオに対応できることが期待される。

 一方、J-50という戦闘機も公開されており、これはShenyang Aircraft Corporation(SAC)によって開発されたとされる。J-50は、双発エンジンを搭載しており、ステルス性能を強化するための尾翼を持たない設計が特徴である。J-50は、J-36よりもやや小型であり、主に対空戦闘と対艦攻撃を目的としている。J-50の最大離陸重量は約40トン、最高速度はマッハ2、航続距離は2200キロメートルとされ、空中戦だけでなく、艦船攻撃能力も持ち合わせている。

 これらの戦闘機は「第六世代戦闘機」として報じられているが、この分類は非常に曖昧である。第六世代戦闘機は、従来のステルス機能に加え、極端な適応能力、技術の統合、そして未来的な武装技術(指向性エネルギー兵器や「スマートスキン」技術など)を備えているとされる。しかし、J-36やJ-50がこれに該当するかどうかは、現在のところ明確ではない。これらの戦闘機は、ステルス性、スーパークルーズ性能、長距離攻撃能力に優れた特徴を持ち、将来的には「第六世代戦闘機」に必要とされる要素を満たす可能性がある。

 中国の新型戦闘機は、アメリカの空中優越性を揺るがす可能性を秘めており、特にインド太平洋地域における空軍戦力の均衡に影響を与えると考えられている。アメリカは、次世代空中支配(NGAD)戦闘機プログラムを進めていたが、予算の制約や技術の進展により、このプログラムは見直しを余儀なくされている。NGADプログラムは、F-35やF-22といった既存の機体に新技術を統合することで空中優越性を維持しようとするもので、現在はその方向性を再評価している段階にある。この見直しには、無人機や新たな協調型戦闘機(CCA)の導入も含まれており、これにより、J-36のような新型戦闘機に対抗する新たなアプローチが模索されている。

 中国は、空軍の近代化を進める中で、これらの新型戦闘機を中心に、より効率的で高精度な戦闘能力を整備している。特に、ネットワーク中心の作戦、電子戦能力、ミサイルプラットフォームの強化が進められており、これによりアメリカやその同盟国にとって、空中戦力の優越性を維持することが一層困難になると予測される。

 また、2024年の米国防総省の中国軍事力報告書によれば、中国の空軍は高度なステルス技術や戦闘機の開発を通じて、アメリカやその同盟国との空中優越性を争うことを目指しており、これが地域の戦略的動向に大きな影響を与える可能性があることが示唆されている。特に、南シナ海や台湾海峡などの争われた空域においては、このような新型戦闘機の登場が、防衛計画を複雑化させる要因となるだろう。
  
【要点】 
 
 1.J-36の設計特徴

 ・修正デルタ翼設計:ステルス性を向上させ、空力性能を強化。
 ・尾翼なし:機動性に対するデメリットがあるが、ステルス性能を優先。
 ・三基エンジン:ダイバーターレス・超音速吸気口(DSI)を使用し、スーパークルーズ(超音速巡航)能力を持つ。

 2.兵器搭載能力

 ・空対空ミサイル(PL-17)や対艦ミサイル(YJ-12)を搭載可能。
 ・サイドベイやメインウェポンベイを有し、柔軟な兵器運用が可能。

 3.J-50との比較

 ・J-50は双発エンジン、尾翼なしの設計。
 ・主に対空戦闘と対艦攻撃に特化。
 ・最大離陸重量:約40トン、最高速度:マッハ2、航続距離:2200キロメートル。

 4.第六世代戦闘機の定義

 ・ステルス機能に加え、適応能力、技術統合、指向性エネルギー兵器や「スマートスキン」技術を含む可能性。
 ・J-36やJ-50がこれに該当するかは不明だが、将来的には要素を満たす可能性あり。

 5.アメリカの対応

 ・アメリカの次世代空中支配(NGAD)プログラムは、既存機体(F-35、F-22)に新技術を統合して空中優越性を維持しようとしている。
 ・無人機や協調型戦闘機(CCA)を導入する方向に進んでいる。

 6.中国の空軍近代化

 ・ステルス技術や戦闘機の開発により、空中優越性を争う力を強化。
 ・ネットワーク中心の作戦、電子戦能力、ミサイルプラットフォームの強化が進行中。

 7.戦略的影響

 ・J-36やJ-50の登場は、南シナ海や台湾海峡での空中戦力の優越性に影響を与える可能性が高い。
 ・米国防総省の報告書では、中国の空軍の進展がアメリカや同盟国にとって挑戦となると示唆されている。

【引用・参照・底本】

China’s J-36 stealth fighter another blow to US air superiority ASIATIMES 2025.01.02
https://asiatimes.com/2025/01/chinas-j-36-stealth-fighter-another-blow-to-us-air-superiority/