トランプ政権の要求: GDP比5%の防衛費支出を同盟国に要求 ― 2026-01-21 17:42
【概要】
トランプ政権は同盟国に対してGDP比5%の防衛費支出を要求している。この要求に対して韓国は、2026年度予算でGDP比2.45%(約7兆円)の防衛予算を計上し、特に「防衛力改善費」を前年比11.9%増の約20兆ウォンに拡大した。韓国は米国の圧力を契機として、米国依存の深化ではなく自主能力の強化へと舵を切り、防衛産業の成長を加速させている。一方で、この防衛力増強は東アジア地域全体の安全保障環境に影響を及ぼし、周辺国からの脅威認識を高める可能性がある。日本も同様の要求を受けており、韓国の対応は重要な参照例となる。
【詳細】
トランプ政権の要求
2025年12月発表のトランプ政権の国家安全保障戦略(NSS)は、「米国がアトラスのように世界秩序を独りで支える時代は終わった」と明記した。2025年6月5日、ピート・ヘグセス米国防長官は日本・韓国を含む同盟国に対し、GDPの5%を国防費として支出すべきだと表明した。新NSSはアジアにおいて「第1列島線」防衛を核心に据える一方、北朝鮮には一度も言及しなかった。これは朝鮮半島防衛の優先順位が後退し、対北朝鮮抑止の一次的責任が韓国へ移譲されつつある現実を示している。
韓国の防衛予算の動向2026年度の韓国防衛予算はGDP比2.45%水準の65.9兆ウォン(約7兆円)である。5%基準を満たすには予算を2倍以上に増やす必要がある。韓国の国防予算は2015年から2026年まで75.7%増加した。特に2025-2026年の増加率7.5%は2008年以降で最高水準である。防衛に係る間接費用まで合わせると(NATO基準)、GDP比は3.5%を超えている。防衛力改善費の拡大2026年の防衛力改善費は前年比11.9%増の約20兆ウォンに達し、戦力運営費の5.8%増を大きく上回った。その結果、防衛力改善費比率は国防予算の30%以上へと回復している。これは韓国が「防衛力の構造的強化」へ舵を切ったことを意味する。3つの優先分野への配分増額された防衛力改善費は以下の3分野に集中配分された。
第1に、韓国型3軸体系への投資(8.8兆ウォン)である。「3軸体系」とは、キルチェーン(先制打撃)、韓国型ミサイル防衛、大量応懲報復からなる。従来は米軍の拡大抑止に依存してきた核・ミサイル対応を、韓国独自で完結させようとする体系である。
第2に、航空機分野の予算増加(2.4兆ウォン)であり、KF-21ボラメ(国産戦闘機)の初量産着手が牽引した。2030年代までに120機以上を配備し、米国製装備への依存度を相対的に低減することで、トランプ政権の「米国製武器購入増加要求」に対する交渉余地を生み出す可能性を秘めている。
第3に、AI基盤有・無人複合戦闘体系への拡大(2161億ウォン)である。これはウクライナ戦争の教訓を反映したものである。人口減少で兵力削減が不可避な韓国にとって、AI・無人体系による戦力代替は構造的課題への対応として位置づけられる。韓国の戦略的意図韓国の2026年防衛予算を精査すると、トランプ政権のNSSが明言した「富裕で発展した同盟国が自国地域に対する一次的責任を負うべき」という構想を一定程度受け入れつつも、増額分を「米国依存の深化」ではなく「自主能力の強化」へと振り向け、自立の契機として再認識する意図が透けて見える。脅威対応における同盟負担拡大という米国の戦略には合致させながらも、戦時の作戦統制権転換・技術自立を達成するための投資として予算を設計し、完全に米国の意図に従属させられることは避け、今後の交渉発言力を確保しようとしている。
防衛産業への波及効果防衛予算、特に防衛力改善費の拡大は、韓国防衛産業に複合的な波及効果をもたらしている。まず内需拡大が生産基盤を強化している。KF-21、K-2戦車、K-9自走砲、天弓ミサイルなど、主要事業は国産であり、防衛力改善費20兆ウォンの大部分が国内企業へ発注される構造である。韓国政府は「防産地域連携・生態系基盤構築」関連予算を倍増し、中小の防衛関連企業の育成にも注力している。この生産能力の底上げは、輸出競争力を生み出している。
韓国の防衛産業輸出は2021年の73億ドルから2022年に173億ドルへ急増し、ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)の統計で世界シェア2.2%(10位圏)、NATO向けシェア6.5%(米国に次ぐ2位)を記録した。特に、2025年7月のポーランド「K-2戦車2次契約」(65億ドル)は単一輸出として韓国史上最大となった。内需で量産体制を確立し、コストを低減し、実戦配備で信頼性を実証した装備が輸出市場で競争力を持つという好循環が生まれている。東アジア安全保障環境への影響トランプ政権のNSSは、韓国が巧妙に維持してきた「戦略的曖昧性」を許さないという米国の意思を含んでいる。
従来、韓国は米国との強固な同盟関係を保ちながらも、中国との経済関係を深化させ、「安保は米国、経済は中国」というバランシングを試みてきた。米中対立の激化とトランプ政権の「負担共有」要求は、この曖昧性の維持コストを急速に引き上げることとなる。韓国が選択した「自主国防能力強化」は、それに対する妥協案とも考えられる。ただし、
韓国軍の戦力向上は、結果として韓国が「望まない紛争」に巻き込まれる可能性を高める。韓国が強化しているいくつかの兵器体系は、原則的には「北朝鮮の核・ミサイル脅威への対抗」を名目としている。しかし、玄武シリーズ弾道ミサイルの進化は最も象徴的である。射程1000km級の玄武4型、改良すれば射程5000kmを超える玄武5型は、北朝鮮はもとより、中国の首都圏や沿海部、日本の全地域をも射程に収める。従来の対北朝鮮限定の理由では、この開発経緯を周辺国に納得させることが困難になってきている。
2025年10月のトランプ大統領訪韓の際にも話題となった原子力推進潜水艦(SSN)保有推進も、その使い方の説明は簡単ではない。韓国は従来型潜水艦でも充分な対北朝鮮作戦能力を持つ。あえてSSNを追求することは、作戦海域が朝鮮半島沿岸から第一列島線を越えて西太平洋へ拡張される可能性を含むので、従来の半島防衛という限定的な戦略目標とは異なる。李在明大統領がトランプ大統領にSSNの必要性を訴える際に「中国牽制」に言及したことは、その真意はともかく、周辺国が疑うに足る十分な理由となる。「脅威とは能力と意思の乗積である」という国際政治の基本定理がある。
韓国政府は対北朝鮮のみと強調するが、周辺国の脅威認識は、韓国の表面的意図ではなく、実在する攻撃能力に基づいて形成される。よって、韓国の防衛力増強は、米国の要求に応じる形ながら、周辺国にとって「攻勢的シグナル」として受け取られてもおかしくない。中国にしてみれば、海空軍、ミサイル戦力によるA2/AD(接近阻止・領域拒否)戦略のさらなる強化を図ることが当然ということになる。ロシアは北朝鮮への軍事技術提供、中国との連携強化を通じて、地域内の戦力バランシングを試みると考えられる。北朝鮮は従来型防衛が独自では不可能になる中、先制核使用ドクトリンの強化に向かい、ICBM(大陸間弾道ミサイル)の精密化、SLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)搭載原潜確保を加速するだろう。
日本への示唆
韓国はトランプ政権の「GDP5%の防衛費」要求に対して自主防衛能力強化を選択した。それは日本の安全保障政策にとっても示唆する点が多い。
第1に、防衛に対する米国依存の限界を認識する必要性である。トランプ政権による同盟国の防衛費増額要求は、米国の単独秩序維持の終焉を意味する。韓国が防衛力増強を対北朝鮮抑止の自立化として再認識したのと同様に、日本も東シナ海・台湾海峡における一次的防衛責任を再認識し、その能力を早期に完備することが求められよう。特に、その背景・意義・方向性を丁寧に説明し、国民と共有する努力が欠かせない。
第2に、日本の能力構築に独自性を高めることである。韓国が推進する国産弾道ミサイル、戦闘機開発や原子力潜水艦保有は、米国への依存軽減を目指すものである。日本は、最近「抜本的な防衛力強化」を目指しながらも、主な攻撃手段に関しては依然として米国への依存度が高い状況にある。それは同盟関係への配慮などを含んでの決定であると考えられるが、昨今の世界情勢を鑑みると日本が追求する防衛力の「強靭性」には繋がらない。
第3に、防衛予算増額がもたらす経済波及効果の極大化である。日本も防衛予算増額に伴い防衛産業に対する期待がますます高まっている。しかし、内需市場での低い利益率、輸出(装備移転)への過度な制限は防衛産業の体質改善を妨げる要因となる。防衛産業の効率性向上を伴う成長は、日本が目指す防衛力強化の根幹になり得る。
結論として、日本が今後取り組むべきは、防衛費増額の「質的設計」である。単なる米国製装備の購入増ではなく、①国産開発への配分拡大、②防衛産業の輸出環境整備、③地域安定を前提とした地域内の同志国、例えば韓国との防衛協力の制度化、この3つを同時に進める戦略的な予算編成が求められる。
【要点】
・トランプ政権の要求: GDP比5%の防衛費支出を同盟国に要求。新NSSは第1列島線防衛を核心とし、北朝鮮に言及せず、朝鮮半島防衛の責任が韓国へ移譲されつつある。
・韓国の予算対応: 2026年度予算はGDP比2.45%(65.9兆ウォン)で、5%には遠く及ばないが、防衛力改善費を前年比11.9%増(約20兆ウォン)に拡大し、予算比率を30%以上に回復させた。
・3つの優先投資分野: ①韓国型3軸体系(8.8兆ウォン)で対北抑止の独自化、②国産戦闘機KF-21の量産(2.4兆ウォン)で米国依存軽減、③AI・無人戦闘体系(2161億ウォン)で人口減少への対応。
・戦略的意図: 米国の要求を受け入れつつも、増額分を「自主能力強化」に振り向け、戦時作戦統制権転換と技術自立を達成し、交渉発言力を確保する「したたかさ」を示している。
・防衛産業の成長: 内需拡大で生産基盤を強化し、輸出競争力を獲得。2021年の73億ドルから2022年に173億ドルへ急増し、世界シェア2.2%、NATO向けシェア6.5%(米国に次ぐ2位)を記録。
・地域安保への影響: 韓国の防衛力増強は周辺国に「攻勢的シグナル」として受け取られる可能性がある。玄武ミサイルやSSN保有は対北朝鮮限定では説明困難で、中国・ロシア・北朝鮮の脅威認識を高め、地域の軍拡競争を誘発する恐れがある。
・日本への示唆: ①米国依存の限界を認識し一次的防衛責任を再認識すること、②能力構築の独自性を高めること、③防衛産業の経済波及効果を極大化すること。防衛費増額の「質的設計」として、国産開発への配分拡大、防衛産業の輸出環境整備、韓国など同志国との防衛協力制度化が必要である。
【引用・参照・底本】
【元韓国海軍将校が分析】トランプが迫る防衛費「GDP比5%」 したたかに対応する韓国、そして日本の選択 JBpress 2026.01.21
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/92778
トランプ政権は同盟国に対してGDP比5%の防衛費支出を要求している。この要求に対して韓国は、2026年度予算でGDP比2.45%(約7兆円)の防衛予算を計上し、特に「防衛力改善費」を前年比11.9%増の約20兆ウォンに拡大した。韓国は米国の圧力を契機として、米国依存の深化ではなく自主能力の強化へと舵を切り、防衛産業の成長を加速させている。一方で、この防衛力増強は東アジア地域全体の安全保障環境に影響を及ぼし、周辺国からの脅威認識を高める可能性がある。日本も同様の要求を受けており、韓国の対応は重要な参照例となる。
【詳細】
トランプ政権の要求
2025年12月発表のトランプ政権の国家安全保障戦略(NSS)は、「米国がアトラスのように世界秩序を独りで支える時代は終わった」と明記した。2025年6月5日、ピート・ヘグセス米国防長官は日本・韓国を含む同盟国に対し、GDPの5%を国防費として支出すべきだと表明した。新NSSはアジアにおいて「第1列島線」防衛を核心に据える一方、北朝鮮には一度も言及しなかった。これは朝鮮半島防衛の優先順位が後退し、対北朝鮮抑止の一次的責任が韓国へ移譲されつつある現実を示している。
韓国の防衛予算の動向2026年度の韓国防衛予算はGDP比2.45%水準の65.9兆ウォン(約7兆円)である。5%基準を満たすには予算を2倍以上に増やす必要がある。韓国の国防予算は2015年から2026年まで75.7%増加した。特に2025-2026年の増加率7.5%は2008年以降で最高水準である。防衛に係る間接費用まで合わせると(NATO基準)、GDP比は3.5%を超えている。防衛力改善費の拡大2026年の防衛力改善費は前年比11.9%増の約20兆ウォンに達し、戦力運営費の5.8%増を大きく上回った。その結果、防衛力改善費比率は国防予算の30%以上へと回復している。これは韓国が「防衛力の構造的強化」へ舵を切ったことを意味する。3つの優先分野への配分増額された防衛力改善費は以下の3分野に集中配分された。
第1に、韓国型3軸体系への投資(8.8兆ウォン)である。「3軸体系」とは、キルチェーン(先制打撃)、韓国型ミサイル防衛、大量応懲報復からなる。従来は米軍の拡大抑止に依存してきた核・ミサイル対応を、韓国独自で完結させようとする体系である。
第2に、航空機分野の予算増加(2.4兆ウォン)であり、KF-21ボラメ(国産戦闘機)の初量産着手が牽引した。2030年代までに120機以上を配備し、米国製装備への依存度を相対的に低減することで、トランプ政権の「米国製武器購入増加要求」に対する交渉余地を生み出す可能性を秘めている。
第3に、AI基盤有・無人複合戦闘体系への拡大(2161億ウォン)である。これはウクライナ戦争の教訓を反映したものである。人口減少で兵力削減が不可避な韓国にとって、AI・無人体系による戦力代替は構造的課題への対応として位置づけられる。韓国の戦略的意図韓国の2026年防衛予算を精査すると、トランプ政権のNSSが明言した「富裕で発展した同盟国が自国地域に対する一次的責任を負うべき」という構想を一定程度受け入れつつも、増額分を「米国依存の深化」ではなく「自主能力の強化」へと振り向け、自立の契機として再認識する意図が透けて見える。脅威対応における同盟負担拡大という米国の戦略には合致させながらも、戦時の作戦統制権転換・技術自立を達成するための投資として予算を設計し、完全に米国の意図に従属させられることは避け、今後の交渉発言力を確保しようとしている。
防衛産業への波及効果防衛予算、特に防衛力改善費の拡大は、韓国防衛産業に複合的な波及効果をもたらしている。まず内需拡大が生産基盤を強化している。KF-21、K-2戦車、K-9自走砲、天弓ミサイルなど、主要事業は国産であり、防衛力改善費20兆ウォンの大部分が国内企業へ発注される構造である。韓国政府は「防産地域連携・生態系基盤構築」関連予算を倍増し、中小の防衛関連企業の育成にも注力している。この生産能力の底上げは、輸出競争力を生み出している。
韓国の防衛産業輸出は2021年の73億ドルから2022年に173億ドルへ急増し、ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)の統計で世界シェア2.2%(10位圏)、NATO向けシェア6.5%(米国に次ぐ2位)を記録した。特に、2025年7月のポーランド「K-2戦車2次契約」(65億ドル)は単一輸出として韓国史上最大となった。内需で量産体制を確立し、コストを低減し、実戦配備で信頼性を実証した装備が輸出市場で競争力を持つという好循環が生まれている。東アジア安全保障環境への影響トランプ政権のNSSは、韓国が巧妙に維持してきた「戦略的曖昧性」を許さないという米国の意思を含んでいる。
従来、韓国は米国との強固な同盟関係を保ちながらも、中国との経済関係を深化させ、「安保は米国、経済は中国」というバランシングを試みてきた。米中対立の激化とトランプ政権の「負担共有」要求は、この曖昧性の維持コストを急速に引き上げることとなる。韓国が選択した「自主国防能力強化」は、それに対する妥協案とも考えられる。ただし、
韓国軍の戦力向上は、結果として韓国が「望まない紛争」に巻き込まれる可能性を高める。韓国が強化しているいくつかの兵器体系は、原則的には「北朝鮮の核・ミサイル脅威への対抗」を名目としている。しかし、玄武シリーズ弾道ミサイルの進化は最も象徴的である。射程1000km級の玄武4型、改良すれば射程5000kmを超える玄武5型は、北朝鮮はもとより、中国の首都圏や沿海部、日本の全地域をも射程に収める。従来の対北朝鮮限定の理由では、この開発経緯を周辺国に納得させることが困難になってきている。
2025年10月のトランプ大統領訪韓の際にも話題となった原子力推進潜水艦(SSN)保有推進も、その使い方の説明は簡単ではない。韓国は従来型潜水艦でも充分な対北朝鮮作戦能力を持つ。あえてSSNを追求することは、作戦海域が朝鮮半島沿岸から第一列島線を越えて西太平洋へ拡張される可能性を含むので、従来の半島防衛という限定的な戦略目標とは異なる。李在明大統領がトランプ大統領にSSNの必要性を訴える際に「中国牽制」に言及したことは、その真意はともかく、周辺国が疑うに足る十分な理由となる。「脅威とは能力と意思の乗積である」という国際政治の基本定理がある。
韓国政府は対北朝鮮のみと強調するが、周辺国の脅威認識は、韓国の表面的意図ではなく、実在する攻撃能力に基づいて形成される。よって、韓国の防衛力増強は、米国の要求に応じる形ながら、周辺国にとって「攻勢的シグナル」として受け取られてもおかしくない。中国にしてみれば、海空軍、ミサイル戦力によるA2/AD(接近阻止・領域拒否)戦略のさらなる強化を図ることが当然ということになる。ロシアは北朝鮮への軍事技術提供、中国との連携強化を通じて、地域内の戦力バランシングを試みると考えられる。北朝鮮は従来型防衛が独自では不可能になる中、先制核使用ドクトリンの強化に向かい、ICBM(大陸間弾道ミサイル)の精密化、SLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)搭載原潜確保を加速するだろう。
日本への示唆
韓国はトランプ政権の「GDP5%の防衛費」要求に対して自主防衛能力強化を選択した。それは日本の安全保障政策にとっても示唆する点が多い。
第1に、防衛に対する米国依存の限界を認識する必要性である。トランプ政権による同盟国の防衛費増額要求は、米国の単独秩序維持の終焉を意味する。韓国が防衛力増強を対北朝鮮抑止の自立化として再認識したのと同様に、日本も東シナ海・台湾海峡における一次的防衛責任を再認識し、その能力を早期に完備することが求められよう。特に、その背景・意義・方向性を丁寧に説明し、国民と共有する努力が欠かせない。
第2に、日本の能力構築に独自性を高めることである。韓国が推進する国産弾道ミサイル、戦闘機開発や原子力潜水艦保有は、米国への依存軽減を目指すものである。日本は、最近「抜本的な防衛力強化」を目指しながらも、主な攻撃手段に関しては依然として米国への依存度が高い状況にある。それは同盟関係への配慮などを含んでの決定であると考えられるが、昨今の世界情勢を鑑みると日本が追求する防衛力の「強靭性」には繋がらない。
第3に、防衛予算増額がもたらす経済波及効果の極大化である。日本も防衛予算増額に伴い防衛産業に対する期待がますます高まっている。しかし、内需市場での低い利益率、輸出(装備移転)への過度な制限は防衛産業の体質改善を妨げる要因となる。防衛産業の効率性向上を伴う成長は、日本が目指す防衛力強化の根幹になり得る。
結論として、日本が今後取り組むべきは、防衛費増額の「質的設計」である。単なる米国製装備の購入増ではなく、①国産開発への配分拡大、②防衛産業の輸出環境整備、③地域安定を前提とした地域内の同志国、例えば韓国との防衛協力の制度化、この3つを同時に進める戦略的な予算編成が求められる。
【要点】
・トランプ政権の要求: GDP比5%の防衛費支出を同盟国に要求。新NSSは第1列島線防衛を核心とし、北朝鮮に言及せず、朝鮮半島防衛の責任が韓国へ移譲されつつある。
・韓国の予算対応: 2026年度予算はGDP比2.45%(65.9兆ウォン)で、5%には遠く及ばないが、防衛力改善費を前年比11.9%増(約20兆ウォン)に拡大し、予算比率を30%以上に回復させた。
・3つの優先投資分野: ①韓国型3軸体系(8.8兆ウォン)で対北抑止の独自化、②国産戦闘機KF-21の量産(2.4兆ウォン)で米国依存軽減、③AI・無人戦闘体系(2161億ウォン)で人口減少への対応。
・戦略的意図: 米国の要求を受け入れつつも、増額分を「自主能力強化」に振り向け、戦時作戦統制権転換と技術自立を達成し、交渉発言力を確保する「したたかさ」を示している。
・防衛産業の成長: 内需拡大で生産基盤を強化し、輸出競争力を獲得。2021年の73億ドルから2022年に173億ドルへ急増し、世界シェア2.2%、NATO向けシェア6.5%(米国に次ぐ2位)を記録。
・地域安保への影響: 韓国の防衛力増強は周辺国に「攻勢的シグナル」として受け取られる可能性がある。玄武ミサイルやSSN保有は対北朝鮮限定では説明困難で、中国・ロシア・北朝鮮の脅威認識を高め、地域の軍拡競争を誘発する恐れがある。
・日本への示唆: ①米国依存の限界を認識し一次的防衛責任を再認識すること、②能力構築の独自性を高めること、③防衛産業の経済波及効果を極大化すること。防衛費増額の「質的設計」として、国産開発への配分拡大、防衛産業の輸出環境整備、韓国など同志国との防衛協力制度化が必要である。
【引用・参照・底本】
【元韓国海軍将校が分析】トランプが迫る防衛費「GDP比5%」 したたかに対応する韓国、そして日本の選択 JBpress 2026.01.21
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/92778
フランス:グリーンランドでのNATO演習の実施を要請 ― 2026-01-21 18:03
【概要】
フランスは2026年1月21日、グリーンランドでのNATO演習の実施を要請し、これに参加する用意があることを表明した。この提案は、ドナルド・トランプ米大統領がグリーンランドの「買収」や「支配」を主張し続けていることを背景としている。世界経済フォーラム(ダボス会議)にて、エマニュエル・マクロン仏大統領がこの演習要請を行ったことが、仏大統領府により発表された。欧州各国はトランプ大統領のグリーンランドに対する関税脅迫や併合発言に対して強く反発しており、フランスの提案はNATO同盟国としての結束を示す動きである。
【詳細】
グリーンランド情勢の経緯
トランプ大統領は2026年1月、デンマークの自治領であるグリーンランドを米国が「必要としている」として買収・支配の意向を繰り返し表明した。1月15日には複数のNATO加盟国(フランス、ドイツ、スウェーデン、ノルウェー、オランダ、フィンランドなど)が、デンマークの要請に応じて少数の軍事要員をグリーンランドに派遣し、「アークティック・エンデュランス作戦(Operation Arctic Endurance)」と呼ばれる合同軍事演習に参加し始めた。
関税脅迫と欧州の反発
トランプ大統領は1月中旬、デンマーク、スウェーデン、フランス、ドイツ、オランダ、フィンランド、英国、ノルウェーの8カ国に対し、米国がグリーンランドを「買収」できるまで2月1日から段階的に関税を課すと発表した。オーストリア中央銀行の試算では、これらの関税がEU経済成長を短期的に0.1%、長期的に0.5%押し下げると予測されている。
フランスの対応
フランスは1月21日、NATO主導のグリーンランド演習を正式に要請し、参加準備があることを表明した。マクロン大統領はダボス会議で、「国際法が無視され、強者の論理だけが支配する世界になりつつある」と警告し、「いじめっ子」に立ち向かう姿勢を示した。既に1月15日時点でフランス軍要員15名がグリーンランドに到着しており、今後「陸海空の構成要素」で増強される予定である。
欧州首脳の発言
EU委員長ウルズラ・フォン・デア・ライエン: 同盟国間の緊張が「西側の敵対勢力を勢いづけるだけ」と警告し、トランプの関税脅迫を「誤り」と批判。
EU理事会議長アントニオ・コスタ: EUは「いかなる形の強制に対しても自らを守る用意がある」と述べ、「最強者の法が最弱者の権利に優先することは容認できない」と強調。
ECB総裁クリスティーヌ・ラガルド: 欧州経済は「新たな国際秩序の夜明け」に直面しており、「深い見直し」が必要と指摘。
米国側の反応
スコット・ベッセント米財務長官は、欧州が「反射的な怒り」を示さず、トランプ大統領の「論拠を聞く」よう促した。しかし、グリーンランド問題を巡る対立により、ウクライナ戦後復興のための8000億ドル規模の経済支援パッケージ発表が延期されたと、フィナンシャル・タイムズ紙が報じている。
デンマークとグリーンランドの立場
デンマークのメッテ・フレデリクセン首相は、米国によるグリーンランド攻撃は「NATOの終わり」を意味すると警告。グリーンランドのイェンス=フレデリク・ニールセン首相は、「我々はデンマーク王国の一部である今日のグリーンランドを選ぶ」と述べ、米国の支配を拒否した。世論調査では、グリーンランド住民の圧倒的多数が米国による支配に反対している。
【要点】
・フランスの提案: フランスは2026年1月21日、グリーンランドでのNATO演習を要請し、参加準備を表明した。
・背景: トランプ米大統領がグリーンランドの買収・支配を主張し、欧州8カ国に対して関税で脅迫していることが発端である。
・既存の軍事展開: 1月15日以降、フランス、ドイツ、スウェーデン、ノルウェー、オランダ、フィンランドなどが「アークティック・エンデュランス作戦」の一環として軍事要員をグリーンランドに派遣している。
・経済的影響: オーストリア中央銀行の試算では、トランプの関税がEU経済成長を長期的に0.5%押し下げる。
・欧州の結束: EU首脳は強制に対して団結して対抗する姿勢を示し、国際法と同盟の原則を守ることを強調している。
・グリーンランドの意思: グリーンランド住民と政府は米国による支配を拒否し、デンマーク王国の一部であり続けることを選択している。
・NATO内の緊張: NATO最大の加盟国である米国が別の加盟国(デンマーク)の領土を脅かすという前例のない事態により、同盟の結束が試されている。
【引用・参照・底本】
Live: France calls for NATO exercise in Greenland France24 2026.01.21
https://www.france24.com/en/europe/20260121-live-trump-heads-for-davos-maelstrom-over-greenland?utm_medium=email&utm_campaign=newsletter&utm_source=f24-nl-quot-en&utm_email_send_date=%2020260121&utm_email_recipient=263407&utm_email_link=contenus&_ope=eyJndWlkIjoiYWU3N2I1MjkzZWQ3MzhmMjFlZjM2YzdkNjFmNTNiNWEifQ%3D%3D
フランスは2026年1月21日、グリーンランドでのNATO演習の実施を要請し、これに参加する用意があることを表明した。この提案は、ドナルド・トランプ米大統領がグリーンランドの「買収」や「支配」を主張し続けていることを背景としている。世界経済フォーラム(ダボス会議)にて、エマニュエル・マクロン仏大統領がこの演習要請を行ったことが、仏大統領府により発表された。欧州各国はトランプ大統領のグリーンランドに対する関税脅迫や併合発言に対して強く反発しており、フランスの提案はNATO同盟国としての結束を示す動きである。
【詳細】
グリーンランド情勢の経緯
トランプ大統領は2026年1月、デンマークの自治領であるグリーンランドを米国が「必要としている」として買収・支配の意向を繰り返し表明した。1月15日には複数のNATO加盟国(フランス、ドイツ、スウェーデン、ノルウェー、オランダ、フィンランドなど)が、デンマークの要請に応じて少数の軍事要員をグリーンランドに派遣し、「アークティック・エンデュランス作戦(Operation Arctic Endurance)」と呼ばれる合同軍事演習に参加し始めた。
関税脅迫と欧州の反発
トランプ大統領は1月中旬、デンマーク、スウェーデン、フランス、ドイツ、オランダ、フィンランド、英国、ノルウェーの8カ国に対し、米国がグリーンランドを「買収」できるまで2月1日から段階的に関税を課すと発表した。オーストリア中央銀行の試算では、これらの関税がEU経済成長を短期的に0.1%、長期的に0.5%押し下げると予測されている。
フランスの対応
フランスは1月21日、NATO主導のグリーンランド演習を正式に要請し、参加準備があることを表明した。マクロン大統領はダボス会議で、「国際法が無視され、強者の論理だけが支配する世界になりつつある」と警告し、「いじめっ子」に立ち向かう姿勢を示した。既に1月15日時点でフランス軍要員15名がグリーンランドに到着しており、今後「陸海空の構成要素」で増強される予定である。
欧州首脳の発言
EU委員長ウルズラ・フォン・デア・ライエン: 同盟国間の緊張が「西側の敵対勢力を勢いづけるだけ」と警告し、トランプの関税脅迫を「誤り」と批判。
EU理事会議長アントニオ・コスタ: EUは「いかなる形の強制に対しても自らを守る用意がある」と述べ、「最強者の法が最弱者の権利に優先することは容認できない」と強調。
ECB総裁クリスティーヌ・ラガルド: 欧州経済は「新たな国際秩序の夜明け」に直面しており、「深い見直し」が必要と指摘。
米国側の反応
スコット・ベッセント米財務長官は、欧州が「反射的な怒り」を示さず、トランプ大統領の「論拠を聞く」よう促した。しかし、グリーンランド問題を巡る対立により、ウクライナ戦後復興のための8000億ドル規模の経済支援パッケージ発表が延期されたと、フィナンシャル・タイムズ紙が報じている。
デンマークとグリーンランドの立場
デンマークのメッテ・フレデリクセン首相は、米国によるグリーンランド攻撃は「NATOの終わり」を意味すると警告。グリーンランドのイェンス=フレデリク・ニールセン首相は、「我々はデンマーク王国の一部である今日のグリーンランドを選ぶ」と述べ、米国の支配を拒否した。世論調査では、グリーンランド住民の圧倒的多数が米国による支配に反対している。
【要点】
・フランスの提案: フランスは2026年1月21日、グリーンランドでのNATO演習を要請し、参加準備を表明した。
・背景: トランプ米大統領がグリーンランドの買収・支配を主張し、欧州8カ国に対して関税で脅迫していることが発端である。
・既存の軍事展開: 1月15日以降、フランス、ドイツ、スウェーデン、ノルウェー、オランダ、フィンランドなどが「アークティック・エンデュランス作戦」の一環として軍事要員をグリーンランドに派遣している。
・経済的影響: オーストリア中央銀行の試算では、トランプの関税がEU経済成長を長期的に0.5%押し下げる。
・欧州の結束: EU首脳は強制に対して団結して対抗する姿勢を示し、国際法と同盟の原則を守ることを強調している。
・グリーンランドの意思: グリーンランド住民と政府は米国による支配を拒否し、デンマーク王国の一部であり続けることを選択している。
・NATO内の緊張: NATO最大の加盟国である米国が別の加盟国(デンマーク)の領土を脅かすという前例のない事態により、同盟の結束が試されている。
【引用・参照・底本】
Live: France calls for NATO exercise in Greenland France24 2026.01.21
https://www.france24.com/en/europe/20260121-live-trump-heads-for-davos-maelstrom-over-greenland?utm_medium=email&utm_campaign=newsletter&utm_source=f24-nl-quot-en&utm_email_send_date=%2020260121&utm_email_recipient=263407&utm_email_link=contenus&_ope=eyJndWlkIjoiYWU3N2I1MjkzZWQ3MzhmMjFlZjM2YzdkNjFmNTNiNWEifQ%3D%3D
インドは、ポーランド外相のパキスタン接近と発言態度を問題視 ― 2026-01-21 19:04
【概要】
インドがポーランドとパキスタンの接近に対して強い懸念を抱く正当な理由があることを論じている。背景には、ポーランドが関与していると報じられるパキスタンによるウクライナへの間接的な武器供与、ならびにポーランド外相のパキスタン訪問と発言態度がある。これらの動きは、インドのみならず、将来的にはロシアの利害にも影響を及ぼす可能性があると指摘されている。
【詳細】
インドの外相スブラマニヤム・ジャイシャンカルは、ポーランド外相ラデク・シコルスキとの記者会見において、シコルスキの「最近の地域訪問」、すなわち前年秋のパキスタン訪問について議論したいと述べた。また、ポーランドに対し、テロリズムに対して「ゼロ・トレランス」を示し、インド周辺地域のテロ基盤を助長すべきではないと警告した。これに関連し、シコルスキはパキスタンによる対インド・テロについて問われたインタビューを途中で打ち切ったとされている。
インドが懸念を抱く理由は、こうした外相の対応だけでなく、ポーランドがパキスタンによるウクライナへの間接的な武器供与を支援しているとの報道にある。ロシア駐パキスタン大使はこれらの報道を証拠不十分として否定したが、インド側はこれを信じている可能性があるとされる。実際、この問題はインド・メディアだけでなく、フランスのメディアや米国の調査報道媒体『The Intercept』も報じている。
『The Intercept』は、米国がウクライナ向け武器供与の秘密取引と引き換えに、パキスタンのIMF救済を支援したとするリーク文書の存在を報じた。パキスタンは財政難に直面しており、防衛産業を有し、かつ「主要非NATO同盟国」であるため、この取引は現実的であると論じられている。
さらに、パキスタンの外相イシャク・ダールは、シコルスキとの会談後、貿易、エネルギー、インフラ、防衛、対テロ、科学技術、教育分野での協力拡大に合意したと発表した。これにより、防衛協力がウクライナへの間接支援にとどまらず、将来的にはポーランドへの直接的な武器供与に発展する可能性が示唆されている。
ポーランドはロシアへの防衛を名目に大規模な軍拡を進めているが、軍需産業基盤は未発達であり、主に米国と韓国から装備を調達している。そのため、供給先の多角化としてパキスタンとの軍事技術協力を模索する合理性があるとされる。こうした動きは、インドにとっては宿敵への資金流入となり、ロシアにとっても、エネルギー・インフラ分野での対パキスタン協議と並行して進む軍事協力である点から不快なものとなり得る。
加えて、パキスタンとポーランドはいずれも自国地域における米国の主要パートナーであり、相互関係強化の一環として、米国に対して相手国の利益を擁護する可能性も指摘されている。
【要点】
・インドは、ポーランド外相のパキスタン接近と発言態度を問題視している。
・ポーランドが関与する形で、パキスタンがウクライナに間接的に武器供与しているとの報道が複数存在する。
・パキスタンとポーランドは、防衛分野を含む幅広い協力拡大に合意している。
・将来的に、パキスタンからポーランドへの直接的な武器供与に発展する可能性が示唆されている。
・これらの動きは、インドのみならずロシアにとっても懸念材料となり得る。
【引用・参照・底本】
India Has Good Reason To Be Concerned About Poland’s Close Ties With Pakistan Andrew Korybko's Newsletter 2026.01.21
https://korybko.substack.com/p/india-has-good-reason-to-be-concerned?utm_source=post-email-title&publication_id=835783&post_id=185278149&utm_campaign=email-post-title&isFreemail=true&token=eyJ1c2VyX2lkIjoxMTQ3ODcsInBvc3RfaWQiOjE4NTI3ODE0OSwiaWF0IjoxNzY4OTg2MTg2LCJleHAiOjE3NzE1NzgxODYsImlzcyI6InB1Yi04MzU3ODMiLCJzdWIiOiJwb3N0LXJlYWN0aW9uIn0.A6RW_Z387uVtKKpo4WGvH8spOSrcvT7yytDLc34FWAM&r=2gkj&triedRedirect=true&utm_medium=email
インドがポーランドとパキスタンの接近に対して強い懸念を抱く正当な理由があることを論じている。背景には、ポーランドが関与していると報じられるパキスタンによるウクライナへの間接的な武器供与、ならびにポーランド外相のパキスタン訪問と発言態度がある。これらの動きは、インドのみならず、将来的にはロシアの利害にも影響を及ぼす可能性があると指摘されている。
【詳細】
インドの外相スブラマニヤム・ジャイシャンカルは、ポーランド外相ラデク・シコルスキとの記者会見において、シコルスキの「最近の地域訪問」、すなわち前年秋のパキスタン訪問について議論したいと述べた。また、ポーランドに対し、テロリズムに対して「ゼロ・トレランス」を示し、インド周辺地域のテロ基盤を助長すべきではないと警告した。これに関連し、シコルスキはパキスタンによる対インド・テロについて問われたインタビューを途中で打ち切ったとされている。
インドが懸念を抱く理由は、こうした外相の対応だけでなく、ポーランドがパキスタンによるウクライナへの間接的な武器供与を支援しているとの報道にある。ロシア駐パキスタン大使はこれらの報道を証拠不十分として否定したが、インド側はこれを信じている可能性があるとされる。実際、この問題はインド・メディアだけでなく、フランスのメディアや米国の調査報道媒体『The Intercept』も報じている。
『The Intercept』は、米国がウクライナ向け武器供与の秘密取引と引き換えに、パキスタンのIMF救済を支援したとするリーク文書の存在を報じた。パキスタンは財政難に直面しており、防衛産業を有し、かつ「主要非NATO同盟国」であるため、この取引は現実的であると論じられている。
さらに、パキスタンの外相イシャク・ダールは、シコルスキとの会談後、貿易、エネルギー、インフラ、防衛、対テロ、科学技術、教育分野での協力拡大に合意したと発表した。これにより、防衛協力がウクライナへの間接支援にとどまらず、将来的にはポーランドへの直接的な武器供与に発展する可能性が示唆されている。
ポーランドはロシアへの防衛を名目に大規模な軍拡を進めているが、軍需産業基盤は未発達であり、主に米国と韓国から装備を調達している。そのため、供給先の多角化としてパキスタンとの軍事技術協力を模索する合理性があるとされる。こうした動きは、インドにとっては宿敵への資金流入となり、ロシアにとっても、エネルギー・インフラ分野での対パキスタン協議と並行して進む軍事協力である点から不快なものとなり得る。
加えて、パキスタンとポーランドはいずれも自国地域における米国の主要パートナーであり、相互関係強化の一環として、米国に対して相手国の利益を擁護する可能性も指摘されている。
【要点】
・インドは、ポーランド外相のパキスタン接近と発言態度を問題視している。
・ポーランドが関与する形で、パキスタンがウクライナに間接的に武器供与しているとの報道が複数存在する。
・パキスタンとポーランドは、防衛分野を含む幅広い協力拡大に合意している。
・将来的に、パキスタンからポーランドへの直接的な武器供与に発展する可能性が示唆されている。
・これらの動きは、インドのみならずロシアにとっても懸念材料となり得る。
【引用・参照・底本】
India Has Good Reason To Be Concerned About Poland’s Close Ties With Pakistan Andrew Korybko's Newsletter 2026.01.21
https://korybko.substack.com/p/india-has-good-reason-to-be-concerned?utm_source=post-email-title&publication_id=835783&post_id=185278149&utm_campaign=email-post-title&isFreemail=true&token=eyJ1c2VyX2lkIjoxMTQ3ODcsInBvc3RfaWQiOjE4NTI3ODE0OSwiaWF0IjoxNzY4OTg2MTg2LCJleHAiOjE3NzE1NzgxODYsImlzcyI6InB1Yi04MzU3ODMiLCJzdWIiOiJwb3N0LXJlYWN0aW9uIn0.A6RW_Z387uVtKKpo4WGvH8spOSrcvT7yytDLc34FWAM&r=2gkj&triedRedirect=true&utm_medium=email
上野動物園のパンダ2頭は協定に基づき中国へ返還予定 ― 2026-01-21 19:20
【概要】
中国外務省は、日本にいる最後のジャイアントパンダ2頭が日中間の合意に基づき中国へ返還される予定であることを説明した。また、中国は日本に多くのパンダファンがいることを認識しており、日本の人々が中国を訪れてパンダを見ることを歓迎する姿勢を示した。
【詳細】
中国外務省報道官のGuo Jiakunは、東京・上野動物園で飼育されているジャイアントパンダ「Xiao Xiao」と「Lei Lei」が、日中間の協定に従い、2026年2月以前に中国へ戻る予定であると述べた。返還に関する具体的な手配については、関係する中国当局に問い合わせるよう案内した。また、日本への新たなパンダ貸与や、その有無が日中関係に与える影響についての質問に対し、直接的な言及は避けつつ、中国は日本に多くのパンダファンが存在することを理解しており、日本の来訪者が中国でパンダを見ることを歓迎すると述べた。
【要点】
・上野動物園のパンダ2頭は協定に基づき中国へ返還予定である。
・具体的な返還手続きは関係当局が担当する。
・中国は日本のパンダファンを認識しており、中国訪問を歓迎している。
【引用・参照・底本】
China welcomes Japanese fans to come to China and see giant pandas: FM on whether to loan new pandas to Japan GT 2026.01.21
https://www.globaltimes.cn/page/202601/1353809.shtml
中国外務省は、日本にいる最後のジャイアントパンダ2頭が日中間の合意に基づき中国へ返還される予定であることを説明した。また、中国は日本に多くのパンダファンがいることを認識しており、日本の人々が中国を訪れてパンダを見ることを歓迎する姿勢を示した。
【詳細】
中国外務省報道官のGuo Jiakunは、東京・上野動物園で飼育されているジャイアントパンダ「Xiao Xiao」と「Lei Lei」が、日中間の協定に従い、2026年2月以前に中国へ戻る予定であると述べた。返還に関する具体的な手配については、関係する中国当局に問い合わせるよう案内した。また、日本への新たなパンダ貸与や、その有無が日中関係に与える影響についての質問に対し、直接的な言及は避けつつ、中国は日本に多くのパンダファンが存在することを理解しており、日本の来訪者が中国でパンダを見ることを歓迎すると述べた。
【要点】
・上野動物園のパンダ2頭は協定に基づき中国へ返還予定である。
・具体的な返還手続きは関係当局が担当する。
・中国は日本のパンダファンを認識しており、中国訪問を歓迎している。
【引用・参照・底本】
China welcomes Japanese fans to come to China and see giant pandas: FM on whether to loan new pandas to Japan GT 2026.01.21
https://www.globaltimes.cn/page/202601/1353809.shtml
中国は国連憲章に基づく国際秩序と国際法を重視する立場である ― 2026-01-21 19:32
【概要】
中国外務省は、米国のトランプ大統領が国連に代わり得ると主張した「ボード・オブ・ピース(Board of Peace)」に関する発言に対し、中国は一貫して国連を中心とする国際体制を支持しているとの立場を改めて表明した。国際情勢がどのように変化しても、中国は真の多国間主義を実践し、国連憲章の目的と原則に基づく国際秩序を擁護すると強調したものである。
【詳細】
中国外務省の報道官であるGuo Jiakunは、水曜日の記者会見で、トランプ米大統領が「国連は存続すべきだが、新たに発表した『ボード・オブ・ピース』が国連に取って代わる可能性がある」と述べたこと、ならびに中国が同組織に参加するかどうかについて問われた。
これに対しGuo報道官は、中国はこれまでも真の多国間主義を実践してきたと述べ、国連を中心とする国際システム、国際法に基づく国際秩序、そして国連憲章の目的と原則に支えられた国際関係の基本規範を断固として支持する立場に変わりはないと説明した。
また、トランプ大統領がスイス・ダボスで「ボード・オブ・ピース」を正式化する署名式を開催する計画があり、中国側代表が出席するかどうかという別の質問に対しては、この件については前日にすでに中国側の見解を示しており、これ以上付け加える情報はないと述べるにとどめた。
【要点】
・中国は国連を中心とする国際体制を一貫して支持している。
・中国は国連憲章に基づく国際秩序と国際法を重視する立場である。
・「ボード・オブ・ピース」への参加や関連行事について、中国外務省は新たな情報を示していない。
【引用・参照・底本】
China firmly upholds UN-centered intl system, says Chinese FM in response to Trump's claim that 'Board of Peace' may replace UN GT 2026.01.21
https://www.globaltimes.cn/page/202601/1353811.shtml
中国外務省は、米国のトランプ大統領が国連に代わり得ると主張した「ボード・オブ・ピース(Board of Peace)」に関する発言に対し、中国は一貫して国連を中心とする国際体制を支持しているとの立場を改めて表明した。国際情勢がどのように変化しても、中国は真の多国間主義を実践し、国連憲章の目的と原則に基づく国際秩序を擁護すると強調したものである。
【詳細】
中国外務省の報道官であるGuo Jiakunは、水曜日の記者会見で、トランプ米大統領が「国連は存続すべきだが、新たに発表した『ボード・オブ・ピース』が国連に取って代わる可能性がある」と述べたこと、ならびに中国が同組織に参加するかどうかについて問われた。
これに対しGuo報道官は、中国はこれまでも真の多国間主義を実践してきたと述べ、国連を中心とする国際システム、国際法に基づく国際秩序、そして国連憲章の目的と原則に支えられた国際関係の基本規範を断固として支持する立場に変わりはないと説明した。
また、トランプ大統領がスイス・ダボスで「ボード・オブ・ピース」を正式化する署名式を開催する計画があり、中国側代表が出席するかどうかという別の質問に対しては、この件については前日にすでに中国側の見解を示しており、これ以上付け加える情報はないと述べるにとどめた。
【要点】
・中国は国連を中心とする国際体制を一貫して支持している。
・中国は国連憲章に基づく国際秩序と国際法を重視する立場である。
・「ボード・オブ・ピース」への参加や関連行事について、中国外務省は新たな情報を示していない。
【引用・参照・底本】
China firmly upholds UN-centered intl system, says Chinese FM in response to Trump's claim that 'Board of Peace' may replace UN GT 2026.01.21
https://www.globaltimes.cn/page/202601/1353811.shtml
トランプ大統領の「ボード・オブ・ピース」構想 ― 2026-01-21 19:58
【概要】
米国のドナルド・トランプ大統領は、いわゆる「ボード・オブ・ピース」構想について問われた際、「国連は存続させなければならない」と述べ、同構想が国連に取って代わるものではないとの考えを示した。
この構想は、当初ガザ地区の安定化を目的としていたが、トランプ大統領は世界的な紛争解決へと拡大する意向を示している。一方で、各国政府や専門家の間では、国連の役割を損なう可能性や、その性質に対する懸念が示されている。
【詳細】
トランプ大統領は、記者から「ボード・オブ・ピースが国連に取って代わるのか」と問われた際、「そうなるかもしれない」としつつも、「国連は続けさせる必要がある」「潜在力は非常に大きい」と述べ、国連の存続自体は支持する姿勢を示した。
一方で、国連はこれまでその潜在力を十分に発揮してこなかったとの不満も表明した。
この構想に対し、各国政府は慎重な反応を示しており、外交官の間では国連の活動を損なう恐れがあるとの指摘が出ている。
ホワイトハウスは、マルコ・ルビオ国務長官、特使スティーブ・ウィトコフ、元英国首相トニー・ブレア、トランプ大統領の娘婿ジャレッド・クシュナーらが同ボードのメンバーになると発表した。
国連安全保障理事会は11月中旬、この「ボード・オブ・ピース」と協力国に対し、ガザ地区に国際安定化部隊を設置することを認める決議を採択した。
この枠組みは、イスラエルとハマスが合意したトランプ案に基づくものであり、ガザ地区の暫定的な統治を監督する役割を担うとされていた。その後、トランプ大統領は同ボードを世界の紛争に対応する組織へ拡大すると述べた。
しかし、専門家や人権擁護団体の一部は、このボードが国連の権威を弱める可能性や、外国領土の統治を監督する形が植民地主義的であるとの懸念を示している。
また、ブレア元首相の参加については、イラク戦争や中東における英国の帝国主義的歴史を理由に批判が出ている。
ガザ地区では10月に停戦が始まったものの状況は不安定であり、停戦開始以降、パレスチナ人460人以上(そのうち100人以上が子ども)とイスラエル兵3人が死亡したと報告されている。
【要点】
・トランプ大統領は「ボード・オブ・ピース」構想について、国連は存続させるべきだと述べた。
・同構想は当初ガザ地区向けであったが、世界的な紛争対応へ拡大する意向が示された。
・各国政府や専門家は、国連の役割を損なう可能性や統治構造への懸念を表明している。
・国連安保理は、ガザ地区における国際安定化部隊設置を認める決議を採択した。
・ガザ地区の停戦は脆弱であり、停戦開始後も多数の死者が報告されている。
【桃源寸評】🌍
ドナルド・トランプが提唱する「ボード・オブ・ピース」構想は、表向きには国際紛争の解決と平和の実現を掲げている。しかし、その語り口や構想の背景、そして彼自身の過去および同時代的行動を総合的に見れば、この構想が孕む矛盾と危険性は極めて深刻であると言わざるを得ない。
第一に、この構想は国連の「機能不全」を批判しつつ、その代替あるいは上位に位置づけられかねない枠組みを、米国大統領の主導で構築しようとする点に本質的な問題を抱えている。トランプ自身は「国連は続けさせるべきだ」と述べているが、同時に「国連は役に立ってこなかった」と断じ、自らの構想を事実上の実効的解決装置として提示している。この態度は、国際社会が長年かけて形成してきた多国間主義や制度的正当性を軽視し、個人と少数の側近による裁量を過度に正当化するものである。
第二に、トランプの外交・安全保障政策の実績を振り返ると、「平和」を語る資格そのものが厳しく問われる。ベネズエラに対しては、経済制裁の強化のみならず、政権転覆を公然と志向する圧力政策が取られ、武装勢力による侵入や拘束事件が発生したことも国際的に報じられてきた。これらは直接的・間接的を問わず、主権国家の安定を破壊し、暴力的混乱を助長した行為として理解されている。また、移民や外国人に対する拉致同然の拘束や強制移送も、法の支配と人権の観点から強い批判を浴びてきた。
第三に、グリーンランドを「購入」するという発言に象徴されるように、トランプの世界観には領土や人々の自己決定を軽視し、国家や地域を取引の対象として扱う発想が色濃く存在する。この感覚は、国際社会が植民地主義の反省の上に築いてきた規範と根本的に相容れない。そうした人物が、外国地域の統治や安定化を監督する「ボード」を率いること自体が、権力の非対称性と支配構造を再生産する危険を孕んでいる。
第四に、ガザを端緒として世界的紛争解決へと拡張されるとされるこの構想は、現実には紛争当事者の声や地域社会の自律性よりも、米国の政治的意向と影響力を優先する仕組みとなる可能性が高い。停戦後も多くの犠牲者が出ている事実は、「安定化」や「管理」が必ずしも平和を意味しないことを示している。それにもかかわらず、結果への省察や責任の所在を曖昧にしたまま、新たな枠組みを拡張しようとする姿勢は、マッチポンプ的であるとの批判を免れない。
結局のところ、「ボード・オブ・ピース」構想は、国連の欠陥を補うための慎重な制度改革ではなく、トランプ個人の権力観と取引主義的世界観を国際秩序に投影する試みである。その背後には、自省や過去の介入への責任認識よりも、「自分ならできる」という自己正当化が透けて見える。平和とは、力を持つ者が一方的に設計し管理するものではない。多国間の合意、法の支配、当事者の尊厳の上にのみ成り立つものである。この構想は、その基本原理を危うくする点で、鋭く批判されるべきである。
【寸評 完】 💚
【引用・参照・底本】
Trump says 'you got to let the UN continue' when asked about so-called 'Board of Peace' Reuters 2026.01.21
https://www.reuters.com/world/trump-says-you-got-let-un-continue-when-asked-about-so-called-board-peace-2026-01-20/?utm_source=chatgpt.com
米国のドナルド・トランプ大統領は、いわゆる「ボード・オブ・ピース」構想について問われた際、「国連は存続させなければならない」と述べ、同構想が国連に取って代わるものではないとの考えを示した。
この構想は、当初ガザ地区の安定化を目的としていたが、トランプ大統領は世界的な紛争解決へと拡大する意向を示している。一方で、各国政府や専門家の間では、国連の役割を損なう可能性や、その性質に対する懸念が示されている。
【詳細】
トランプ大統領は、記者から「ボード・オブ・ピースが国連に取って代わるのか」と問われた際、「そうなるかもしれない」としつつも、「国連は続けさせる必要がある」「潜在力は非常に大きい」と述べ、国連の存続自体は支持する姿勢を示した。
一方で、国連はこれまでその潜在力を十分に発揮してこなかったとの不満も表明した。
この構想に対し、各国政府は慎重な反応を示しており、外交官の間では国連の活動を損なう恐れがあるとの指摘が出ている。
ホワイトハウスは、マルコ・ルビオ国務長官、特使スティーブ・ウィトコフ、元英国首相トニー・ブレア、トランプ大統領の娘婿ジャレッド・クシュナーらが同ボードのメンバーになると発表した。
国連安全保障理事会は11月中旬、この「ボード・オブ・ピース」と協力国に対し、ガザ地区に国際安定化部隊を設置することを認める決議を採択した。
この枠組みは、イスラエルとハマスが合意したトランプ案に基づくものであり、ガザ地区の暫定的な統治を監督する役割を担うとされていた。その後、トランプ大統領は同ボードを世界の紛争に対応する組織へ拡大すると述べた。
しかし、専門家や人権擁護団体の一部は、このボードが国連の権威を弱める可能性や、外国領土の統治を監督する形が植民地主義的であるとの懸念を示している。
また、ブレア元首相の参加については、イラク戦争や中東における英国の帝国主義的歴史を理由に批判が出ている。
ガザ地区では10月に停戦が始まったものの状況は不安定であり、停戦開始以降、パレスチナ人460人以上(そのうち100人以上が子ども)とイスラエル兵3人が死亡したと報告されている。
【要点】
・トランプ大統領は「ボード・オブ・ピース」構想について、国連は存続させるべきだと述べた。
・同構想は当初ガザ地区向けであったが、世界的な紛争対応へ拡大する意向が示された。
・各国政府や専門家は、国連の役割を損なう可能性や統治構造への懸念を表明している。
・国連安保理は、ガザ地区における国際安定化部隊設置を認める決議を採択した。
・ガザ地区の停戦は脆弱であり、停戦開始後も多数の死者が報告されている。
【桃源寸評】🌍
ドナルド・トランプが提唱する「ボード・オブ・ピース」構想は、表向きには国際紛争の解決と平和の実現を掲げている。しかし、その語り口や構想の背景、そして彼自身の過去および同時代的行動を総合的に見れば、この構想が孕む矛盾と危険性は極めて深刻であると言わざるを得ない。
第一に、この構想は国連の「機能不全」を批判しつつ、その代替あるいは上位に位置づけられかねない枠組みを、米国大統領の主導で構築しようとする点に本質的な問題を抱えている。トランプ自身は「国連は続けさせるべきだ」と述べているが、同時に「国連は役に立ってこなかった」と断じ、自らの構想を事実上の実効的解決装置として提示している。この態度は、国際社会が長年かけて形成してきた多国間主義や制度的正当性を軽視し、個人と少数の側近による裁量を過度に正当化するものである。
第二に、トランプの外交・安全保障政策の実績を振り返ると、「平和」を語る資格そのものが厳しく問われる。ベネズエラに対しては、経済制裁の強化のみならず、政権転覆を公然と志向する圧力政策が取られ、武装勢力による侵入や拘束事件が発生したことも国際的に報じられてきた。これらは直接的・間接的を問わず、主権国家の安定を破壊し、暴力的混乱を助長した行為として理解されている。また、移民や外国人に対する拉致同然の拘束や強制移送も、法の支配と人権の観点から強い批判を浴びてきた。
第三に、グリーンランドを「購入」するという発言に象徴されるように、トランプの世界観には領土や人々の自己決定を軽視し、国家や地域を取引の対象として扱う発想が色濃く存在する。この感覚は、国際社会が植民地主義の反省の上に築いてきた規範と根本的に相容れない。そうした人物が、外国地域の統治や安定化を監督する「ボード」を率いること自体が、権力の非対称性と支配構造を再生産する危険を孕んでいる。
第四に、ガザを端緒として世界的紛争解決へと拡張されるとされるこの構想は、現実には紛争当事者の声や地域社会の自律性よりも、米国の政治的意向と影響力を優先する仕組みとなる可能性が高い。停戦後も多くの犠牲者が出ている事実は、「安定化」や「管理」が必ずしも平和を意味しないことを示している。それにもかかわらず、結果への省察や責任の所在を曖昧にしたまま、新たな枠組みを拡張しようとする姿勢は、マッチポンプ的であるとの批判を免れない。
結局のところ、「ボード・オブ・ピース」構想は、国連の欠陥を補うための慎重な制度改革ではなく、トランプ個人の権力観と取引主義的世界観を国際秩序に投影する試みである。その背後には、自省や過去の介入への責任認識よりも、「自分ならできる」という自己正当化が透けて見える。平和とは、力を持つ者が一方的に設計し管理するものではない。多国間の合意、法の支配、当事者の尊厳の上にのみ成り立つものである。この構想は、その基本原理を危うくする点で、鋭く批判されるべきである。
【寸評 完】 💚
【引用・参照・底本】
Trump says 'you got to let the UN continue' when asked about so-called 'Board of Peace' Reuters 2026.01.21
https://www.reuters.com/world/trump-says-you-got-let-un-continue-when-asked-about-so-called-board-peace-2026-01-20/?utm_source=chatgpt.com
ダボス会議:多国間主義と自由貿易を支持する中国の姿勢を強調 ― 2026-01-21 20:43
【概要】
2026年世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)が1月19日から23日までスイスのダボスで開催された。中国のHe Lifeng副首相は1月20日に特別演説を行い、多国間主義と自由貿易を支持する中国の姿勢を強調した。今年のフォーラムが「数十年で最も複雑な地政学的背景」と「断片化の高まり」に直面していると指摘し、中国に対する拍手が真摯なものであると主張している。中国が多国間主義と自由貿易を一貫して支持し、世界経済の安定的な推進力であることを強調している。
【詳細】
2026年のダボス会議は、史上最多の参加指導者と高級政府関係者を記録した。これは、単独主義と保護主義の潮流が強まる中で、多国間主義と国際秩序を維持する国際的な要請が高まっていることを示している。
He Lifeng副首相は演説の中で、2017年に習近平国家主席がダボスで行った重要演説に言及し、中国がそれを真剣に実行し、多国間主義と自由貿易への確固たる支持を示してきたと述べた。また、習近平主席が提起した四つの主要なグローバルイニシアティブが、世界が直面する共通の課題に対処するための中国の解決策を提供していると説明した。He副首相は、自由貿易の確固たる支持、多国間主義の堅持、ウィンウィン協力の堅持、相互尊重と平等な協議の促進という四つの要点を示した。中国の発展は脅威ではなく機会であり、中国は市場の優位性を活用して他国と機会を共有する意向があると強調した。
世界経済フォーラムが発表したGlobal Cooperation Barometerが、多国間主義への強い逆風にもかかわらず、グローバル協力が一定の回復力を示していることを指摘している。気候変動に関する国際協力、AI統治に関するグローバルな議論、開発途上国の公平な開発への要求など、すべてが一つの結論を指し示している。それは、団結と協力によってのみ、グローバルな課題に効果的に対処できるということである。
中国は世界第二位の経済大国として、約束を実行し、常に責任ある大国として行動し、多国間主義を確固として守り、経済グローバル化をより普遍的に有益で包摂的な方向に推進してきた。中国共産党中央委員会の国民経済社会開発第15次五カ年計画策定に関する提言は、ハイレベルな開放の拡大と制度的開放の着実な推進を明確に約束している。パイロット自由貿易区の拡大から海南自由貿易港の発展、中国国際輸入博覧会から中国国際サービス貿易交易会まで、中国の開放の扉はさらに広がり続け、世界企業に広大な市場機会を提供している。
世界経済フォーラムのボルゲ・ブレンデ会長は、中国が研究開発とイノベーションへの投資を倍増させていると指摘した。
フォーラムに先立ち、中国は2025年の経済データを発表した。世界情勢が継続的に混乱する中、中国経済の強い回復力と、グローバル経済ガバナンスなどの分野における積極的な役割が広く称賛された。複雑で厳しい国際環境と国内の改革、発展、安定維持の課題に直面する中、中国経済は着実な前進の信号を継続的に発信し、健全なグローバル発展を促進する重要な力となっている。
中国はグローバルガバナンスシステムの改革と建設に積極的に参加し、平和的発展の道を堅持している。中国の発展実践は、国家間関係を処理し、平和的手段による復興を達成でき、異なる社会システムと発展の道を持つ国々が互いに完全に尊重し、ウィンウィン協力を達成できることを十分に示している。
今年、フォーラムの開会式は、従来のゲストスピーチをコンサートに意図的に置き換えた。フォーラムの公式説明は、これが「対話の精神」を反映していると述べ、「音楽には国境がなく、単一の言語を話さない」としている。
人類文明の発展は、対立が破壊と後退しかもたらさず、対話と協力が繁栄と進歩を生み出すことを繰り返し証明してきた。戦後の国際秩序は平和への憧憬に基づいて確立され、世界に前例のない長期的な平和と発展の機会をもたらした。今日、この秩序が深刻な挑戦に直面している中、国際社会は原点に立ち返り、対立ではなく対話を通じて相違を解決し、圧力ではなく交渉を通じて対立に対処することを主張すべきである。
嵐と雪が強ければ強いほど、前進の道を導く者が必要であると主張する。不確実性に満ちた時代において、中国は安定した「バラスト」であり続けている。中国は排他的な「派閥」に関与せず、14億人以上の市場を開放し、技術とイノベーションの成果を世界と共有し、国際的な公正と正義を断固として守ることを約束している。
国際情勢の深刻な変化が、多国間主義が人類にとって正しい道であることを再び証明するであろうと結論付けている。
【要点】
・2026年ダボス会議は史上最多の指導者が参加し、単独主義への対抗として多国間主義への国際的支持が高まっていることを示している。
・He Lifeng中国副首相は1月20日の演説で、中国が自由貿易、多国間主義、ウィンウィン協力、相互尊重を堅持する姿勢を表明した。
・中国は世界第二位の経済大国として、開放政策を拡大し、グローバル企業に市場機会を提供している。
・中国の2025年経済データは、世界的混乱の中での強い回復力を示し、グローバル経済の安定力として評価されている。
・フォーラムは開会式をコンサートに変更し、「対話の精神」を象徴的に表現した。
・不確実性の時代における中国の役割を強調し、多国間主義が人類の正しい道であると主張している。
【引用・参照・底本】
The applause for China at Davos is sincere: Global Times editorial GT 2026.01.21
https://www.globaltimes.cn/page/202601/1353764.shtml
2026年世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)が1月19日から23日までスイスのダボスで開催された。中国のHe Lifeng副首相は1月20日に特別演説を行い、多国間主義と自由貿易を支持する中国の姿勢を強調した。今年のフォーラムが「数十年で最も複雑な地政学的背景」と「断片化の高まり」に直面していると指摘し、中国に対する拍手が真摯なものであると主張している。中国が多国間主義と自由貿易を一貫して支持し、世界経済の安定的な推進力であることを強調している。
【詳細】
2026年のダボス会議は、史上最多の参加指導者と高級政府関係者を記録した。これは、単独主義と保護主義の潮流が強まる中で、多国間主義と国際秩序を維持する国際的な要請が高まっていることを示している。
He Lifeng副首相は演説の中で、2017年に習近平国家主席がダボスで行った重要演説に言及し、中国がそれを真剣に実行し、多国間主義と自由貿易への確固たる支持を示してきたと述べた。また、習近平主席が提起した四つの主要なグローバルイニシアティブが、世界が直面する共通の課題に対処するための中国の解決策を提供していると説明した。He副首相は、自由貿易の確固たる支持、多国間主義の堅持、ウィンウィン協力の堅持、相互尊重と平等な協議の促進という四つの要点を示した。中国の発展は脅威ではなく機会であり、中国は市場の優位性を活用して他国と機会を共有する意向があると強調した。
世界経済フォーラムが発表したGlobal Cooperation Barometerが、多国間主義への強い逆風にもかかわらず、グローバル協力が一定の回復力を示していることを指摘している。気候変動に関する国際協力、AI統治に関するグローバルな議論、開発途上国の公平な開発への要求など、すべてが一つの結論を指し示している。それは、団結と協力によってのみ、グローバルな課題に効果的に対処できるということである。
中国は世界第二位の経済大国として、約束を実行し、常に責任ある大国として行動し、多国間主義を確固として守り、経済グローバル化をより普遍的に有益で包摂的な方向に推進してきた。中国共産党中央委員会の国民経済社会開発第15次五カ年計画策定に関する提言は、ハイレベルな開放の拡大と制度的開放の着実な推進を明確に約束している。パイロット自由貿易区の拡大から海南自由貿易港の発展、中国国際輸入博覧会から中国国際サービス貿易交易会まで、中国の開放の扉はさらに広がり続け、世界企業に広大な市場機会を提供している。
世界経済フォーラムのボルゲ・ブレンデ会長は、中国が研究開発とイノベーションへの投資を倍増させていると指摘した。
フォーラムに先立ち、中国は2025年の経済データを発表した。世界情勢が継続的に混乱する中、中国経済の強い回復力と、グローバル経済ガバナンスなどの分野における積極的な役割が広く称賛された。複雑で厳しい国際環境と国内の改革、発展、安定維持の課題に直面する中、中国経済は着実な前進の信号を継続的に発信し、健全なグローバル発展を促進する重要な力となっている。
中国はグローバルガバナンスシステムの改革と建設に積極的に参加し、平和的発展の道を堅持している。中国の発展実践は、国家間関係を処理し、平和的手段による復興を達成でき、異なる社会システムと発展の道を持つ国々が互いに完全に尊重し、ウィンウィン協力を達成できることを十分に示している。
今年、フォーラムの開会式は、従来のゲストスピーチをコンサートに意図的に置き換えた。フォーラムの公式説明は、これが「対話の精神」を反映していると述べ、「音楽には国境がなく、単一の言語を話さない」としている。
人類文明の発展は、対立が破壊と後退しかもたらさず、対話と協力が繁栄と進歩を生み出すことを繰り返し証明してきた。戦後の国際秩序は平和への憧憬に基づいて確立され、世界に前例のない長期的な平和と発展の機会をもたらした。今日、この秩序が深刻な挑戦に直面している中、国際社会は原点に立ち返り、対立ではなく対話を通じて相違を解決し、圧力ではなく交渉を通じて対立に対処することを主張すべきである。
嵐と雪が強ければ強いほど、前進の道を導く者が必要であると主張する。不確実性に満ちた時代において、中国は安定した「バラスト」であり続けている。中国は排他的な「派閥」に関与せず、14億人以上の市場を開放し、技術とイノベーションの成果を世界と共有し、国際的な公正と正義を断固として守ることを約束している。
国際情勢の深刻な変化が、多国間主義が人類にとって正しい道であることを再び証明するであろうと結論付けている。
【要点】
・2026年ダボス会議は史上最多の指導者が参加し、単独主義への対抗として多国間主義への国際的支持が高まっていることを示している。
・He Lifeng中国副首相は1月20日の演説で、中国が自由貿易、多国間主義、ウィンウィン協力、相互尊重を堅持する姿勢を表明した。
・中国は世界第二位の経済大国として、開放政策を拡大し、グローバル企業に市場機会を提供している。
・中国の2025年経済データは、世界的混乱の中での強い回復力を示し、グローバル経済の安定力として評価されている。
・フォーラムは開会式をコンサートに変更し、「対話の精神」を象徴的に表現した。
・不確実性の時代における中国の役割を強調し、多国間主義が人類の正しい道であると主張している。
【引用・参照・底本】
The applause for China at Davos is sincere: Global Times editorial GT 2026.01.21
https://www.globaltimes.cn/page/202601/1353764.shtml
米国提案:ザ紛争終結に向けた「ボード・オブ・ピース(平和理事会)」構想 ― 2026-01-21 22:39
【概要】
米国が提案したガザ紛争終結に向けた「ボード・オブ・ピース(平和理事会)」構想を厳しく批判する論考である。この構想は、米国大統領が主導し、参加資格や継続を恣意的に管理し、さらには「常任理事席」を金銭で販売するという点で、国際平和を商品化し、既存の国際秩序と国際法を著しく損なうものであると指摘する。とりわけ、当事者であるパレスチナ人が排除されている点を重大な問題として挙げ、真の平和は国連枠組みと「二国家解決」に基づかなければ実現しないと主張している。
【詳細】
米国大統領トランプが、フランスのマクロン大統領が「ボード・オブ・ピース」への参加に消極的であると報じられたことを受け、フランス産ワインとシャンパンに200%の関税を課すと脅した事例から論を起こしている。この理事会は、イスラエルとハマスの紛争を終結させるための米国の「20項目和平案」の一部であり、議長はトランプ大統領自身が務め、メンバーは議長の招待制で、任期更新や解任の権限も集中しているとされる。
さらに国際社会を驚かせたのは、理事会の「常任理事席」が1席10億ドルで事実上販売されている点である。筆者はこれを、国際問題の私物化、地域の平和の商業化であると断じ、パレスチナ人民の意思を無視し、国際ガバナンスの既存の枠組みに対する深刻な挑戦であると評価している。
ガザでは約30か月に及ぶ紛争が続き、人道危機が深刻化しているが、米国の構想は人道的緊急性よりも、戦後復興をめぐる資本運営に重点を置いていると批判する。また、理事会の構成には米国の政治家や関係者が並ぶ一方、最も重要な当事者であるパレスチナ人が排除されており、この点が「植民地主義的性格」を示しているとの国際的批判を紹介している。
この構想は、パレスチナ自治政府のガザにおける政治的役割を排除し、外部勢力が支配する理事会を、パレスチナの技術官僚委員会の上位に置くものであり、主権的統治を外部介入に置き換えるものだとされる。その結果、「二国家解決」の政治的基盤を損ない、ガザとヨルダン川西岸の分断を固定化し、恒久的で公正な和平を一層困難にするという。
加えて、もし平和の席が金で買えるのであれば、強国が既存の国際秩序を無視して独自の仕組みを作ることが正当化され、「力が正義」という無秩序な世界が拡大すると警告する。この「クラブ型統治」は国際法を大国間の私的契約へと貶め、世界を再び弱肉強食の状態に引き戻すと論じている。
【要点】
・米国提案の「ボード・オブ・ピース」は、平和を商品化し、国際問題を私物化する構想である。
・パレスチナ人が排除されており、当事者不在の「植民地主義的」性格を持つ。
・常任理事席を金銭で販売する仕組みは、国際秩序と国際法を深刻に損なう。
・この構想は「二国家解決」を弱体化させ、ガザと西岸の分断を固定化する。
・真の解決には、国連枠組みの下で「パレスチナ人がパレスチナを統治する」原則と公正・正義に基づく和平が不可欠である。
【引用・参照・底本】
‘Board of Peace’ resembles a club that turns the world into the ‘law of the jungle’ GT 2026.01.21
https://www.globaltimes.cn/page/202601/1353763.shtml
米国が提案したガザ紛争終結に向けた「ボード・オブ・ピース(平和理事会)」構想を厳しく批判する論考である。この構想は、米国大統領が主導し、参加資格や継続を恣意的に管理し、さらには「常任理事席」を金銭で販売するという点で、国際平和を商品化し、既存の国際秩序と国際法を著しく損なうものであると指摘する。とりわけ、当事者であるパレスチナ人が排除されている点を重大な問題として挙げ、真の平和は国連枠組みと「二国家解決」に基づかなければ実現しないと主張している。
【詳細】
米国大統領トランプが、フランスのマクロン大統領が「ボード・オブ・ピース」への参加に消極的であると報じられたことを受け、フランス産ワインとシャンパンに200%の関税を課すと脅した事例から論を起こしている。この理事会は、イスラエルとハマスの紛争を終結させるための米国の「20項目和平案」の一部であり、議長はトランプ大統領自身が務め、メンバーは議長の招待制で、任期更新や解任の権限も集中しているとされる。
さらに国際社会を驚かせたのは、理事会の「常任理事席」が1席10億ドルで事実上販売されている点である。筆者はこれを、国際問題の私物化、地域の平和の商業化であると断じ、パレスチナ人民の意思を無視し、国際ガバナンスの既存の枠組みに対する深刻な挑戦であると評価している。
ガザでは約30か月に及ぶ紛争が続き、人道危機が深刻化しているが、米国の構想は人道的緊急性よりも、戦後復興をめぐる資本運営に重点を置いていると批判する。また、理事会の構成には米国の政治家や関係者が並ぶ一方、最も重要な当事者であるパレスチナ人が排除されており、この点が「植民地主義的性格」を示しているとの国際的批判を紹介している。
この構想は、パレスチナ自治政府のガザにおける政治的役割を排除し、外部勢力が支配する理事会を、パレスチナの技術官僚委員会の上位に置くものであり、主権的統治を外部介入に置き換えるものだとされる。その結果、「二国家解決」の政治的基盤を損ない、ガザとヨルダン川西岸の分断を固定化し、恒久的で公正な和平を一層困難にするという。
加えて、もし平和の席が金で買えるのであれば、強国が既存の国際秩序を無視して独自の仕組みを作ることが正当化され、「力が正義」という無秩序な世界が拡大すると警告する。この「クラブ型統治」は国際法を大国間の私的契約へと貶め、世界を再び弱肉強食の状態に引き戻すと論じている。
【要点】
・米国提案の「ボード・オブ・ピース」は、平和を商品化し、国際問題を私物化する構想である。
・パレスチナ人が排除されており、当事者不在の「植民地主義的」性格を持つ。
・常任理事席を金銭で販売する仕組みは、国際秩序と国際法を深刻に損なう。
・この構想は「二国家解決」を弱体化させ、ガザと西岸の分断を固定化する。
・真の解決には、国連枠組みの下で「パレスチナ人がパレスチナを統治する」原則と公正・正義に基づく和平が不可欠である。
【引用・参照・底本】
‘Board of Peace’ resembles a club that turns the world into the ‘law of the jungle’ GT 2026.01.21
https://www.globaltimes.cn/page/202601/1353763.shtml








