第二次世界大戦後の東京裁判開始から80年2026-05-23 20:26

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【概要】

 第二次世界大戦後の東京裁判開始から 80 年を迎える 2026 年に、歴史学者の戸谷由麻氏へのインタビューをまとめたものである。戸谷氏は、自身の研究に基づき、東京裁判に関する誤解や偏見を解き明かし、ニュルンベルク裁判との比較を通じてその歴史的位置づけを示すとともに、国際法や国際秩序への影響、日本における世論の状況、歴史修正主義が台頭する現在における意義について論じている。東京裁判が戦時史を理解するための重要な窓口であり、実証的研究の推進が歴史的正義の維持と歴史の逆行防止に資するとの見方を示している。
  
【詳細】 

 東京裁判に関する最大の誤解について、戸谷氏は「判決結果が予め決まっていた」とする見方を挙げている。同氏は、東京裁判は見せかけの裁判ではなく、裁判官、検察官、弁護人が証拠の精査や訴因への対応を正式な司法手続きに基づいて行った司法的手続きであったと主張し、この点が正しく理解されるべきであるとしている。

 ニュルンベルク裁判に比べ、東京裁判が世界の歴史的言説において周辺化・汚名化されてきた理由として、以下の四点を挙げている。

 第一に、ニュルンベルク裁判が前例となったのに対し、東京裁判はそれに続く二次的なものとみなされ、当初から影が薄くなったこと。

 第二に、ニュルンベルク裁判の判決が全会一致であったのに対し、東京裁判は判断が分かれ五つの個別意見が付随し、正当性に対する認識が弱まったこと。

 第三に、ドイツ国民が時間とともにニュルンベルク裁判を広く受け入れたのと異なり、日本の民族主義者が東京裁判の判決を強く拒否したこと。第四に、戦後の米国の政治的思惑から、米国と日本の関係を複雑にする可能性のある歴史的事件として、東京裁判が不都合なものとされたこと。ただし、法的原則は両裁判で同一であり、ニュルンベルク裁判を評価し東京裁判の意義を否定することには正当な根拠がないとされる。

 戦後の国際秩序構築と現代国際法の発展に及ぼした影響については、東京裁判は不完全な点はあるものの積極的かつ必要なものであり、ニュルンベルク裁判とともに現代の国際刑事司法の基礎を築いたとされる。ニュルンベルク裁判が前例を設定し、東京裁判がそれらの原則を再確認し、その後国際法委員会によるニュルンベルク原則として成文化され、国際刑事裁判所の設置根拠となったローマ規程にも盛り込まれた。これら二つの裁判に始まる国際刑事司法の仕組みが、現在の国際秩序の基礎となっていることを、若い世代が理解する必要があると強調している。

 日本の世論については、三つの立場に分類されると説明している。

 一つ目は、国際的な正義の普遍的原則を確立したとして裁判を支持する立場。

 二つ目は、日本を犯罪国家として烙印を押されたとして判決を拒否する立場で、自国の戦時行為を「聖戦」とみなしていた人々、特に愛国者や民族主義者に多く、外部の勢力による判決を受け入れていない。

 三つ目は、中間的な立場で、裁判の法的原則は認めつつも、昭和天皇が起訴されなかったことや、731 部隊による細菌兵器の開発・使用といった重大な戦争犯罪が取り上げられなかった点など、裁判の不完全さを批判する。

 また、現在の日本では東京裁判に関する記憶が薄れつつあり、歴史的記憶を保つために次世代への教育の重要性が高まっているとされる。さらに、中日間で歴史認識の隔たりが存在し、被害国側は裁判の意義を強調し続けている状況が記されている。

 日本における歴史修正主義の台頭が続く中での意義については、実証的研究を進めることで誤解を正し、日本国民が均衡の取れた政治的に見識のある世界観を形成することにつながるとされる。ドイツと異なり、日本では東京裁判に関する全国的な開かれた対話を行う政治的状況が整っておらず、戸谷氏は研究を通じてこの状況の変化を目指すとしている。また、戦後を通じて、日本の歴史認識と外交政策にはずれが存在し続けているのに対し、ドイツは歴史と向き合うことを国益と捉え両者を一致させている点が対比され、日本においても今後この関係性が構築される可能性があるとの見方を示している。
 
【要点】

 ・東京裁判に関する最大の誤解は「判決が予定されていた」とするもので、実際には正式な司法手続きに基づいて行われた。

 ・ニュルンベルク裁判に比べ東京裁判が周辺化された要因として、位置づけの差、判決の様式の違い、受け入れ状況の差、米国の戦後の政治的思惑が挙げられるが、法的意義は同等である。

 ・両裁判は国際刑事司法の基礎を築き、その原則は国際法の発展や国際刑事裁判所の設置につながるなど、現在の国際秩序の根幹を成す。

 ・日本の世論は、裁判支持、判決拒否、原則は認めつつ不完全さを批判する立場に大別され、現在は記憶の風化が進む一方、中日間の歴史認識の隔たりが存在する。

 ・歴史修正主義が台頭する中、実証的研究による誤解の解消が重要であり、日本は歴史認識と外交政策の整合性を課題としている。

【引用・参照・底本】

The Tokyo Trial serves as ‘a vital window into wartime history’: Japanese scholar GT 2026.05.23
https://www.globaltimes.cn/page/202605/1361693.shtml

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