バイデン:「根本的な正義の行為」と称賛 ― 2024年12月11日 19:13
【桃源寸評】
<勝てば官軍負ければ賊軍>と云うが、シリアの石油を泥棒しながら、居座るだけの米軍ではないのか。
米国はいずれにしても、賊軍ではないのか。大体にして、勝敗の埒外にいるのである。
バイデン、吹聴のチャンスを見る目はまだ"健康"のようだ。
米国に正義を語る資格無し。
【寸評 完】
【概要】
バイデン大統領は2024年12月8日、元シリア大統領バシャール・アル=アサド政権がアル=カイダと関係のある武装勢力によって倒されたことを「根本的な正義の行為」と称賛した。また、米国がシリアで実施した多数の空爆についても言及した。バイデン大統領は、アサド政権を支援してきたロシア、イラン、ヒズボラが、米国がイスラエルやウクライナへの支援を行った結果、防衛することができなかったと述べた。
米国は、アサド政権に対して経済制裁やシリア東部での軍事駐留を通じて圧力をかけてきたことを挙げ、バイデン大統領はこの方針が過去4年間にわたり一貫して取られてきたことを強調した。また、米国はイスラエルの自由行動を支持し、イランのシリア内でのネットワークに対する空爆も行ってきた。
さらに、バイデン大統領はアサド政権の崩壊が新しいシリア政府に対する機会を提供するとし、その支援を約束した。ただし、アサド政権を倒した反乱グループの一部にはテロ行為や人権侵害の過去があることも認めた。主導的な役割を果たしたのは、アル=ヌスラ戦線と他のイスラム主義グループが統合して結成された「ハヤト・タフリール・アル=シャム(HTS)」であり、この組織は米国によってテロリスト組織に指定されている。
【詳細】
バイデン大統領は2024年12月8日に、シリアの元大統領バシャール・アル=アサド政権の崩壊を「根本的な正義の行為」と表現した。これは、シリア内戦における反政府勢力の勝利を指し、その結果としてアサド政権が倒れたことを祝う発言であった。バイデン大統領は、この出来事が米国の支援の成果であり、特にウクライナとイスラエルへの支援が、シリアでのアサド政権支持国(ロシア、イラン、ヒズボラ)を弱体化させる要因となったと強調した。
米国の政策
バイデン大統領は、アサド政権に対して米国が実施してきたさまざまな圧力政策を紹介した。特に注目すべきは以下の3つの方針である。
1.経済制裁: バイデン政権は、アサド政権に対して厳しい経済制裁を課し、政権の資金源や外部からの支援を制限し続けた。制裁はアサド政権が内戦を終結させるための政治的解決に向けて真剣に取り組むまで続ける方針を示していた。
2.シリア東部での軍事駐留: 米国はシリア東部に軍を駐留させ、ISIS(イスラム国)への対策や地域のパートナーの支援を行ってきた。この軍事的存在は、米国がシリア内戦での影響力を維持するための重要な手段であった。
3.イスラエルの支援: バイデン大統領は、イスラエルの「自由な行動」を支持すると述べ、特にシリアにおけるイランの支援ネットワークに対するイスラエルの空爆を支持した。イスラエルはシリア内でのイランの影響力拡大を阻止するため、何年にもわたり空爆を繰り返しており、これがアサド政権に対する圧力となった。
米国の空爆とシリア内の状況
バイデン大統領は、米国がシリア東部で実施した空爆についても言及した。この空爆は、米国の中央軍(CENTCOM)によるもので、75のISISターゲットに対する「数十回の空爆」が行われたと報じられている。空爆にはB-52爆撃機も使用され、米国は「シリアにおけるISISと協力する団体に対して責任を追及する」と警告した。バイデン大統領は、シリアのテロ組織に対して、米国が断固とした姿勢を取ることを再確認した。
反政府勢力とその背景
アサド政権を打倒した反政府勢力の中でも、特に「ハヤト・タフリール・アル=シャム(HTS)」が注目される。HTSは2017年にアル=ヌスラ戦線(アル=カイダ系)と他のイスラム主義グループが合併して形成された組織であり、米国はこの組織をテロリスト組織に指定している。HTSのリーダーであるアブ・ムハンマド・アル=ジュラニは、アル=ヌスラ戦線のリーダーとしても知られ、最近では西側の支持を得ようとする姿勢を見せている。ジュラニは、西側のメディアインタビューに応じるなどして「穏健派」を装うような発言をしているが、米国はその行動を注視しており、その行動が今後どう変化するかを評価すると述べている。
バイデン大統領の展望
バイデン大統領は、アサド政権が倒れたことにより、シリアに新たな政府が樹立されるチャンスが生まれると述べ、そのプロセスを支持すると表明した。しかし、反政府勢力が過去に行ったテロ行為や人権侵害についても認識しており、その行動が今後どのように展開するかを注視する必要があると警告した。バイデン大統領は、反政府勢力のリーダーたちが「正しいことを言っている」と評価しつつも、彼らの言葉だけでなく、行動を評価する必要があると強調した。
このように、バイデン大統領の発言と行動は、シリア内戦の後の政権交代や新しいシリア政府に向けた米国の支援の方向性を示しているが、反政府勢力の過去の行動や現在の態度については慎重な評価が求められる。
【要点】
1.バイデン大統領の発言
・アサド政権の崩壊を「根本的な正義の行為」と称賛。
・アサド政権の支援国(ロシア、イラン、ヒズボラ)は、米国のイスラエルおよびウクライナ支援によって防衛できなかった。
2.米国の政策
・経済制裁
⇨ アサド政権への厳しい経済制裁を維持し、内戦終結のための政治的プロセスを促進。
・シリア東部での軍事駐留
⇨ 米軍はISIS対策としてシリア東部に駐留し、地域パートナーを支援。
・イスラエルの支援
⇨ イスラエルの行動を支持し、特にシリア内のイランの支援ネットワークへの空爆を支援。
3.米国の空爆
・米国はシリア東部で75のISISターゲットに対して「数十回の空爆」を実施。
・米国は、ISISと協力する団体に対して責任を追及すると警告。
4.反政府勢力の役割
・ハヤト・タフリール・アル=シャム(HTS)
⇨ アル=ヌスラ戦線と他のグループが合併して形成したテロリスト組織。
⇨ 米国はHTSをテロ組織に指定し、そのリーダーに10百万ドルの懸賞金をかけている。
5.バイデン大統領の展望
・アサド政権崩壊後、シリアに新政府が樹立されるチャンスが生まれたと表明。
・反政府勢力に対しては、言葉だけでなく行動を評価する必要があると警告。
【引用・参照・底本】
Biden Says Fall of Assad Is a ‘Fundamental Act of Justice’ANTIWAR.com 2024.12.08
https://news.antiwar.com/2024/12/08/biden-says-fall-of-assad-is-a-fundamental-act-of-justice/
<勝てば官軍負ければ賊軍>と云うが、シリアの石油を泥棒しながら、居座るだけの米軍ではないのか。
米国はいずれにしても、賊軍ではないのか。大体にして、勝敗の埒外にいるのである。
バイデン、吹聴のチャンスを見る目はまだ"健康"のようだ。
米国に正義を語る資格無し。
【寸評 完】
【概要】
バイデン大統領は2024年12月8日、元シリア大統領バシャール・アル=アサド政権がアル=カイダと関係のある武装勢力によって倒されたことを「根本的な正義の行為」と称賛した。また、米国がシリアで実施した多数の空爆についても言及した。バイデン大統領は、アサド政権を支援してきたロシア、イラン、ヒズボラが、米国がイスラエルやウクライナへの支援を行った結果、防衛することができなかったと述べた。
米国は、アサド政権に対して経済制裁やシリア東部での軍事駐留を通じて圧力をかけてきたことを挙げ、バイデン大統領はこの方針が過去4年間にわたり一貫して取られてきたことを強調した。また、米国はイスラエルの自由行動を支持し、イランのシリア内でのネットワークに対する空爆も行ってきた。
さらに、バイデン大統領はアサド政権の崩壊が新しいシリア政府に対する機会を提供するとし、その支援を約束した。ただし、アサド政権を倒した反乱グループの一部にはテロ行為や人権侵害の過去があることも認めた。主導的な役割を果たしたのは、アル=ヌスラ戦線と他のイスラム主義グループが統合して結成された「ハヤト・タフリール・アル=シャム(HTS)」であり、この組織は米国によってテロリスト組織に指定されている。
【詳細】
バイデン大統領は2024年12月8日に、シリアの元大統領バシャール・アル=アサド政権の崩壊を「根本的な正義の行為」と表現した。これは、シリア内戦における反政府勢力の勝利を指し、その結果としてアサド政権が倒れたことを祝う発言であった。バイデン大統領は、この出来事が米国の支援の成果であり、特にウクライナとイスラエルへの支援が、シリアでのアサド政権支持国(ロシア、イラン、ヒズボラ)を弱体化させる要因となったと強調した。
米国の政策
バイデン大統領は、アサド政権に対して米国が実施してきたさまざまな圧力政策を紹介した。特に注目すべきは以下の3つの方針である。
1.経済制裁: バイデン政権は、アサド政権に対して厳しい経済制裁を課し、政権の資金源や外部からの支援を制限し続けた。制裁はアサド政権が内戦を終結させるための政治的解決に向けて真剣に取り組むまで続ける方針を示していた。
2.シリア東部での軍事駐留: 米国はシリア東部に軍を駐留させ、ISIS(イスラム国)への対策や地域のパートナーの支援を行ってきた。この軍事的存在は、米国がシリア内戦での影響力を維持するための重要な手段であった。
3.イスラエルの支援: バイデン大統領は、イスラエルの「自由な行動」を支持すると述べ、特にシリアにおけるイランの支援ネットワークに対するイスラエルの空爆を支持した。イスラエルはシリア内でのイランの影響力拡大を阻止するため、何年にもわたり空爆を繰り返しており、これがアサド政権に対する圧力となった。
米国の空爆とシリア内の状況
バイデン大統領は、米国がシリア東部で実施した空爆についても言及した。この空爆は、米国の中央軍(CENTCOM)によるもので、75のISISターゲットに対する「数十回の空爆」が行われたと報じられている。空爆にはB-52爆撃機も使用され、米国は「シリアにおけるISISと協力する団体に対して責任を追及する」と警告した。バイデン大統領は、シリアのテロ組織に対して、米国が断固とした姿勢を取ることを再確認した。
反政府勢力とその背景
アサド政権を打倒した反政府勢力の中でも、特に「ハヤト・タフリール・アル=シャム(HTS)」が注目される。HTSは2017年にアル=ヌスラ戦線(アル=カイダ系)と他のイスラム主義グループが合併して形成された組織であり、米国はこの組織をテロリスト組織に指定している。HTSのリーダーであるアブ・ムハンマド・アル=ジュラニは、アル=ヌスラ戦線のリーダーとしても知られ、最近では西側の支持を得ようとする姿勢を見せている。ジュラニは、西側のメディアインタビューに応じるなどして「穏健派」を装うような発言をしているが、米国はその行動を注視しており、その行動が今後どう変化するかを評価すると述べている。
バイデン大統領の展望
バイデン大統領は、アサド政権が倒れたことにより、シリアに新たな政府が樹立されるチャンスが生まれると述べ、そのプロセスを支持すると表明した。しかし、反政府勢力が過去に行ったテロ行為や人権侵害についても認識しており、その行動が今後どのように展開するかを注視する必要があると警告した。バイデン大統領は、反政府勢力のリーダーたちが「正しいことを言っている」と評価しつつも、彼らの言葉だけでなく、行動を評価する必要があると強調した。
このように、バイデン大統領の発言と行動は、シリア内戦の後の政権交代や新しいシリア政府に向けた米国の支援の方向性を示しているが、反政府勢力の過去の行動や現在の態度については慎重な評価が求められる。
【要点】
1.バイデン大統領の発言
・アサド政権の崩壊を「根本的な正義の行為」と称賛。
・アサド政権の支援国(ロシア、イラン、ヒズボラ)は、米国のイスラエルおよびウクライナ支援によって防衛できなかった。
2.米国の政策
・経済制裁
⇨ アサド政権への厳しい経済制裁を維持し、内戦終結のための政治的プロセスを促進。
・シリア東部での軍事駐留
⇨ 米軍はISIS対策としてシリア東部に駐留し、地域パートナーを支援。
・イスラエルの支援
⇨ イスラエルの行動を支持し、特にシリア内のイランの支援ネットワークへの空爆を支援。
3.米国の空爆
・米国はシリア東部で75のISISターゲットに対して「数十回の空爆」を実施。
・米国は、ISISと協力する団体に対して責任を追及すると警告。
4.反政府勢力の役割
・ハヤト・タフリール・アル=シャム(HTS)
⇨ アル=ヌスラ戦線と他のグループが合併して形成したテロリスト組織。
⇨ 米国はHTSをテロ組織に指定し、そのリーダーに10百万ドルの懸賞金をかけている。
5.バイデン大統領の展望
・アサド政権崩壊後、シリアに新政府が樹立されるチャンスが生まれたと表明。
・反政府勢力に対しては、言葉だけでなく行動を評価する必要があると警告。
【引用・参照・底本】
Biden Says Fall of Assad Is a ‘Fundamental Act of Justice’ANTIWAR.com 2024.12.08
https://news.antiwar.com/2024/12/08/biden-says-fall-of-assad-is-a-fundamental-act-of-justice/