ゼレンスキーの提案2025年01月24日 17:04

Ainovaで作成
【桃源寸評】

 絵空事を只云ってみただけか。

【寸評 完】

【概要】

 ウクライナのゼレンスキー大統領がダボスでのスピーチ後のパネルセッションにおいて、最低20万人のヨーロッパの平和維持部隊の派遣を求めたことが取り上げられている。この要求の背景には、フランス、ドイツ、イタリア、イギリスがウクライナの軍と合同でロシアとほぼ同規模の戦力を形成することを提案し、さらにトランプ元大統領がウクライナ問題に関してロシアおよび中国と取引をすることでヨーロッパを「見捨てる」可能性があるとの懸念がある。しかし、ヨーロッパがこの要求に応じる可能性は極めて低いと分析されている。

 その理由として、英国がウクライナでの軍事基地設立を「探る」との新たな100年パートナーシップ協定で合意したものの、実際に設立する見込みが低いことが挙げられている。これは、アメリカの支援なしにロシアとの戦争に巻き込まれるリスクを避けたいというヨーロッパ諸国の思惑に基づいている。特に、トランプ氏が第三国での軍隊に対してNATOの第5条による相互防衛を保証しない方針を取ると予想されていることが影響している。この方針は、ロシアとの戦争が引き起こされ、それがアメリカを巻き込む事態を防ぐ意図がある。

 トランプ氏の戦略的目標は、ウクライナ紛争をできるだけ早く終結させ、国内改革を優先するとともに、中国の封じ込めを目的としたアジア重視戦略に注力することである。このため、ロシアとの戦争を引き起こす可能性のある状況は極力避けられるべきであるとされる。

 また、ヨーロッパがポーランドやルーマニアの国境に大規模な軍隊を配備し、将来的な紛争に備える可能性はあるが、それにもいくつかの条件が伴う。具体的には、ポーランドとウクライナの関係改善、2025年5月に予定されているルーマニア大統領選の結果、そして「ミリタリー・シェンゲン」構想の進展が必要である。しかし、これらの条件が現時点で満たされていないため、大規模な部隊の配備や平和維持部隊の派遣の可能性は低い。

 さらに、トランプ氏がヨーロッパに負担を共有させる意図を持つ一方で、ロシアとの戦争を引き起こすことを避けるため、ヨーロッパが独自に平和維持部隊を派遣することを許可する可能性は極めて低いとされている。ただし、彼が交渉の一環としてこの提案を利用し、プーチン大統領との取引材料とする可能性は排除されていない。

 最後に、トランプ氏が軍産複合体やヨーロッパの政治家(特にポーランドのドゥダ大統領)によって誤った方向に誘導され、ウクライナを彼自身の「ベトナム戦争」のような状況に陥らせるリスクも考慮されている。しかし、この可能性について結論を下すには時期尚早であり、現時点ではヨーロッパの平和維持部隊派遣シナリオは非常に起こりにくいものであると結論付けられている。

【詳細】

 ウクライナのゼレンスキー大統領がヨーロッパに20万人規模の平和維持部隊を求めた背景と、その実現可能性について詳細に分析されている。この提案は、ロシアの軍事力に対抗するために、フランス、ドイツ、イタリア、イギリスが共同でウクライナ軍と同規模の戦力を形成することを目指している。しかし、この提案に対するヨーロッパ諸国の応答は消極的であり、その理由をいくつかの観点から検討している。

 ゼレンスキー大統領の提案の背景

 ゼレンスキー大統領は、ダボス会議でのスピーチ後に行われたパネルセッションで、ヨーロッパ諸国が結束して平和維持部隊を派遣する必要性を強調した。その主張には以下の要素が含まれる

 1.ロシアとの戦力均衡の必要性:ロシアの軍事的圧力に対抗するため、ウクライナ軍だけではなく、ヨーロッパの主要国(フランス、ドイツ、イタリア、イギリス)の軍隊を結集し、対等な戦力を形成する必要性を訴えた。
 2.アメリカの関与低下への懸念:トランプ元大統領が再び権力を握った場合、ウクライナ問題に関してロシアや中国と妥協し、ヨーロッパを「見捨てる」可能性があると警告した。このため、ヨーロッパ諸国がアメリカの支援を前提とせず独自に行動するべきだという考えがある。
 3.迅速な対応の必要性:ゼレンスキーは、トランプ氏の行動がヨーロッパにさらなるプレッシャーを与える前に、大規模な平和維持ミッションを準備する必要性を訴えた。

 ヨーロッパが応じない理由

 ゼレンスキーの提案に対して、ヨーロッパ諸国が応じる可能性は低いとされ、その主な理由は以下の通りである。

 1.アメリカの支援なしにロシアと対立するリスク

 ・トランプ氏は、ウクライナのような第三国に展開するヨーロッパ軍に対してNATOの第5条(集団的防衛義務)を適用しない方針であると考えられる。
 ・第5条が適用されなければ、ヨーロッパはロシアとの直接的な戦争に巻き込まれた場合、アメリカの軍事的支援を受けられない。そのため、イギリスやフランスのような核保有国ですら、このようなリスクを冒すことには消極的である。

 2.トランプ氏の戦略的目標

 ・トランプ氏はウクライナ紛争を迅速に終結させることで、国内改革や中国封じ込めに集中したいと考えている。ロシアとの戦争がアメリカの外交・内政を妨げる可能性は容認できないため、ヨーロッパが勝手に行動することは避けさせたい。
第三国での軍事行動がアメリカを巻き込む事態を防ぐため、トランプ氏はヨーロッパ軍の派遣計画を阻止する可能性が高い。

 3.ヨーロッパ内部の課題

 ・ポーランドとウクライナの関係悪化:ゼレンスキー大統領がダボス会議でポーランドを無視したことから、両国間の関係が改善されない限り、ポーランドが積極的に関与する可能性は低い。
 ・ルーマニアの政治的不安定性:ルーマニアでは2025年5月に予定されている大統領選挙の結果次第で、ウクライナ支援政策が変わる可能性がある。
 ・「ミリタリー・シェンゲン」の未整備:ヨーロッパ内で軍事物資や部隊を迅速に移動させるための「ミリタリー・シェンゲン」構想は、いまだに具体化していない。この状況では、大規模な軍事展開が困難である。

 トランプ氏の可能な対応

 1.交渉材料としての利用

 ・トランプ氏は、ゼレンスキーの提案をプーチン大統領との交渉材料として利用する可能性がある。例えば、ヨーロッパに平和維持部隊を派遣する考えを示唆し、それを撤回する代わりにプーチン氏から譲歩を引き出す戦術を取る可能性がある。

 2.条件付きでのヨーロッパ支援要求

 ・トランプ氏は、NATO加盟国に対し国防費をGDPの5%に引き上げることを条件に、ウクライナ西部(ポーランドやルーマニア国境)への大規模な軍事配備を提案する可能性がある。また、これに貿易政策の譲歩などの付加条件を加える可能性もある。

 3.軍事力の縮小を条件とする可能性

 ・トランプ氏は、ゼレンスキー大統領に対してウクライナ軍の規模を大幅に縮小することを条件に、ヨーロッパへの支援を求める可能性がある。このような条件は、2022年春に議論された条約案をモデルとしている。

 結論

 ゼレンスキー大統領の20万人規模の平和維持部隊派遣要求が実現する可能性は非常に低い。アメリカの支援が期待できない状況下で、ヨーロッパ諸国はロシアとの直接的な衝突を避けたいと考えている。また、ヨーロッパ内部の政治的・軍事的課題も、この計画の実現を阻む要因となっている。さらに、トランプ氏の戦略は、ヨーロッパに負担を転嫁する一方で、ロシアとの戦争を回避することを重視している。このため、ヨーロッパが独自に平和維持部隊を派遣する可能性は極めて低いままである。
 
【要点】
 
 ゼレンスキー大統領の提案の背景

 ・ロシアとの軍事力の均衡を図るため、ヨーロッパの主要国(フランス、ドイツ、イタリア、イギリス)が20万人規模の平和維持部隊を派遣することを要請。
 ・アメリカの支援が減少する可能性を見越し、ヨーロッパ独自の行動が必要と主張。
 ・トランプ氏の外交方針がウクライナ問題に悪影響を及ぼす前に対応を求めた。

 ヨーロッパが応じない理由

 1.アメリカの支援不足

 ・トランプ氏がNATO第5条の適用を制限する可能性があり、ヨーロッパ諸国はロシアとの直接対立を回避したい。

 2.トランプ氏の戦略

 ・ウクライナ紛争の迅速な終結を目指し、ヨーロッパの独自行動を妨げる可能性が高い。

 3.ヨーロッパ内部の課題

 ・ポーランドとウクライナの関係悪化が軍事協力に影響。
 ・ルーマニアの政治的不安定性や大統領選挙がウクライナ支援政策に影響。
 ・「ミリタリー・シェンゲン」が整備されておらず、迅速な軍事展開が困難。

 トランプ氏の可能な対応

 ・交渉材料として利用:ゼレンスキーの提案をロシアとの交渉材料に利用する可能性。
 ・条件付き支援要求:NATO加盟国に国防費増額を求める代わりにウクライナ周辺への軍事展開を提案する可能性。
 ・ウクライナ軍縮条件:ゼレンスキーに軍縮を条件として平和維持部隊を提案する可能性。

 結論

 ・ゼレンスキー大統領の提案は、ヨーロッパ諸国がアメリカの支援なしに行動するリスクや内部の課題から実現困難である。
 ・トランプ氏の戦略もこの計画を妨げる要因となるため、実現可能性は極めて低い。

【参考】

 ☞ ミリタリー・シェンゲン

 「ミリタリー・シェンゲン(Military Schengen)」は、ヨーロッパ連合(EU)内で軍事物資や部隊の迅速な移動を可能にする仕組みを指す言葉である。これは、EU内の国境を越えて自由に移動できる「シェンゲン協定」を軍事用途に拡張した概念である。

 目的

 ・迅速な軍事対応

 ロシアの脅威など、ヨーロッパ東部での緊急事態に迅速に対応できるようにする。

 ・軍事連携の強化

 NATOやEU加盟国間の防衛協力を円滑化し、抑止力を高める。

 ・ロジスティクスの効率化

 部隊や装備品を各国間でスムーズに輸送できる環境を構築する。

 背景

 ・ロシアの脅威

 2014年のクリミア併合以降、ロシアの軍事活動がヨーロッパにとって安全保障上の懸念を引き起こしている。
 ・NATOの迅速な展開の必要性

 NATOが加盟国防衛のために部隊を迅速に移動させる必要性が増加しているが、現在の複雑な通関手続きが障害となっている。

 ・現状の課題

 現在、軍事物資や部隊をEU内で移動させる際、各国の国境で許可や検査が必要であり、時間がかかる。

 主な課題

 1.インフラ整備の不足

 ・鉄道や道路網が軍事物資輸送に十分対応できていない場合が多い。

 2.政治的調整の遅れ

 ・各国の主権や安全保障上の懸念から、統一したルールの制定が進んでいない。

 3.財政的負担

 ・インフラ整備や運用には莫大なコストがかかるため、各国の予算措置が課題となっている。

 現状

 ・ミリタリー・シェンゲンの構想は議論段階にとどまり、多くの具体的な進展は見られない。
 ・EU内での連携強化は進行中であるが、軍事展開における手続きの簡素化は限定的である。
 ・ロシアとの緊張が続く中、ミリタリー・シェンゲンの早急な実現が求められているものの、政治的障害や技術的課題が障壁となっている。

 今後の展望

 ・ミリタリー・シェンゲンの実現には、EU各国の協力とNATOの連携が不可欠である。
 ・ロシアの脅威が高まる中、ヨーロッパの防衛能力を高めるため、この構想が今後の政策議論の焦点となる可能性が高い。

【参考はブログ作成者が付記】

【引用・参照・底本】

The Europeans Are Unlikely To Accede To Zelensky’s Demand For 200,000 Peacekeepers Andrew Korybko's Newsletter 2025.01.24
https://korybko.substack.com/p/the-europeans-are-unlikely-to-accede?utm_source=post-email-title&publication_id=835783&post_id=155594947&utm_campaign=email-post-title&isFreemail=true&r=2gkj&triedRedirect=true&utm_medium=email

億万長者ブルームバーグ、UNFCCCへ資金提供2025年01月24日 18:32

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【概要】

 億万長者で元ニューヨーク市長のマイケル・ブルームバーグ氏は、アメリカのドナルド・トランプ前大統領がパリ協定から再度脱退を表明したことを受け、国連気候変動機関(UNFCCC)の予算を補填するために自身の財団が資金を提供することを発表した。ブルームバーグ氏のこの介入は、アメリカが拠出金を停止した後もUNFCCCが十分に資金を確保できるようにすることを目的としている。

 通常、アメリカはUNFCCC事務局の予算の22%を負担しているが、2024年から2025年の運営費は8,840万ユーロ(9,650万ドル)と見積もられている。ブルームバーグ氏は声明で、「2017年から2020年の連邦政府の無策の時期には、都市、州、企業、そして市民が力を合わせて、我が国の約束を守るために奮闘しました。そして今、再びそれを実現する準備ができています」と述べた。

 これは、アメリカ連邦政府の関与が減少した場合にブルームバーグ氏が資金提供を行うのは2度目である。2017年にトランプ政権が初めてパリ協定から脱退した際、ブルームバーグ氏はUNFCCCを支援するために最大1,500万ドルの提供を約束した。また、「アメリカの誓約(America's Pledge)」という取り組みを開始し、アメリカの非連邦政府による気候変動対策の進展を追跡・報告することで、世界がアメリカを依然として協定に完全に関与している国として認識できるよう支援した。

 今回もブルームバーグ氏は、アメリカの報告義務を果たすことへの支援を継続する意向を示した。国連気候変動機関の事務局長であるサイモン・スティール氏は、「このような貢献は、UNFCCC事務局が各国のパリ協定に基づく約束の履行を支援し、低排出で強靭かつ安全な未来を実現するために非常に重要である」と述べた。

【詳細】

 元ニューヨーク市長であるマイケル・ブルームバーグ氏が、アメリカのパリ協定からの脱退による影響を補うため、国連気候変動機関(UNFCCC)の資金を提供する決定を下した。この決定は、ドナルド・トランプ前大統領が2024年から2025年のパリ協定に対するアメリカの関与を再び撤回し、連邦政府がUNFCCCへの資金提供を停止したことを受けたものである。

 背景

 UNFCCCは、パリ協定の実施を支援するための国連の専門機関であり、その運営には加盟国からの拠出金が重要である。アメリカは従来、UNFCCCの総予算の22%を負担しており、これは国際的な取り組みの中で最大の貢献者の一つであった。しかし、トランプ前大統領は自身の政権の気候政策に基づき、アメリカのパリ協定からの脱退を再び宣言したため、UNFCCCの財政に大きな穴が生じる事態となった。

 2024年から2025年のUNFCCCの運営費は8,840万ユーロ(約9,650万ドル)と見積もられているが、アメリカが拠出金を停止したことにより、約2,100万ドル(予算の22%)が不足することになる。この不足を補うため、ブルームバーグ氏は自身の財団を通じて資金提供を行うことを発表した。

 ブルームバーグ氏の対応

 マイケル・ブルームバーグ氏は、過去にも同様の対応を取った実績がある。2017年、トランプ政権が最初にパリ協定から脱退を表明した際、ブルームバーグ氏はUNFCCCを支援するために最大1,500万ドルを提供すると約束した。この資金提供により、国際社会がアメリカの気候変動対策への進展を引き続き評価できるようにする取り組みが強化された。

 また、同時にブルームバーグ氏は「アメリカの誓約(America's Pledge)」というイニシアチブを立ち上げた。この取り組みは、アメリカ国内の州、都市、企業、およびその他の団体による気候変動対策の進捗状況を追跡し、それを国際社会に報告することで、アメリカが非連邦レベルでパリ協定の目標達成に取り組んでいることを示す役割を果たした。

 今回の発表に際し、ブルームバーグ氏は「2017年から2020年の連邦政府の不作為の時期においても、国内のさまざまな主体が協力し、アメリカの約束を守る努力をした。そして今、再びその取り組みを継続する用意がある」と述べ、国際的な気候変動対策への支援を表明した。

 国連および気候変動対策への影響

 国連気候変動機関(UNFCCC)の事務局長であるサイモン・スティール氏は、ブルームバーグ氏のこの決定を歓迎した。スティール氏は、「このような貢献は、国連気候変動事務局が各国のパリ協定に基づく目標を実現するための支援を継続するうえで極めて重要である」とコメントした。

 UNFCCCは、気候変動への影響を最小限に抑えるための各国の努力を調整し、技術支援や専門知識を提供する役割を担っている。ブルームバーグ氏の資金提供により、パリ協定の目標達成に向けた取り組みが継続されることが期待される。

 今後の展望

 ブルームバーグ氏は、アメリカが連邦政府レベルで気候変動対策から後退したとしても、非連邦政府や民間セクターによる努力が続くことを強調している。この動きは、アメリカ国内外における気候変動対策への支持を維持し、国際的な協力を後押しする重要なメッセージとなる可能性がある。

 ブルームバーグ氏の取り組みは、アメリカの気候変動政策が国際社会に与える影響を最小限に抑えることを目的としており、特にUNFCCCの財政的安定に寄与するものである。このような民間からの支援が、今後の気候変動対策の実施において重要な役割を果たすと考えられる。
 
【要点】
 
 背景

 ・アメリカはUNFCCCの予算の22%を拠出していたが、トランプ前大統領が再びパリ協定からの脱退を表明し、資金提供を停止した。
 ・UNFCCCの2024年から2025年の予算は約9,650万ドルであり、アメリカの不参加により約2,100万ドルが不足。

 ブルームバーグ氏の対応

 ・自身の財団を通じてUNFCCCの資金不足を補うことを発表。
 ・過去にも2017年に最大1,500万ドルを提供し、同様の支援を行った実績がある。
 ・「アメリカの誓約(America's Pledge)」を通じて、非連邦レベルの気候対策進捗を追跡・報告する取り組みを実施。

 ブルームバーグ氏の声明

 ・2017年から2020年のアメリカ連邦政府の不作為の時期に、国内の州や企業が協力して約束を守ったと強調。
 ・今回も非連邦主体が対応を継続すると述べた。

 国連気候変動機関(UNFCCC)の反応

 ・UNFCCC事務局長サイモン・スティール氏はブルームバーグ氏の貢献を歓迎。
 ・資金提供はパリ協定の目標達成を支援するうえで重要と評価。

 今後の展望

 ・アメリカ連邦政府の関与がなくても、州・都市・民間セクターの努力で国際的な気候変動対策を支援。
 ・民間支援の重要性が高まり、UNFCCCの財政的安定とパリ協定の実施を後押しする見込み。

【引用・参照・底本】

Bloomberg to fund UN climate agency after US exit from Paris accord FRANCE24 2025.01.23
https://www.france24.com/en/americas/20250123-bloomberg-us-climate-paris-agreement?utm_medium=email&utm_campaign=newsletter&utm_source=f24-nl-info-en&utm_email_send_date=%2020250123&utm_email_recipient=263407&utm_email_link=contenus&_ope=eyJndWlkIjoiYWU3N2I1MjkzZWQ3MzhmMjFlZjM2YzdkNjFmNTNiNWEifQ%3D%3D

バイデンの置土産2025年01月24日 18:53

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【概要】

 バイデン政権が退任間際に行った政策や行動は、次期大統領となるトランプ氏の政権運営に問題を残す意図があると指摘されている。特に、外交政策や国内政策において、意図的に摩擦や課題を残す形になっていると分析されている。

 外交政策では、ウクライナへの支援が継続される方針を打ち出している。これにより、トランプ氏が掲げている「ウクライナ支援の縮小」という公約を実現する際に困難が生じる可能性がある。この支援継続の方針は、経済・社会政策においてもトランプ氏の計画を阻む要因として働くと考えられている。

 エネルギー政策においては、バイデン政権が新たな対ロシア制裁の5日前に、自国の新規原油採掘を禁止する決定を下した。この政策により、米国のエネルギー供給が制限されることで、ガソリン価格が高騰する可能性が示唆されている。この措置は、トランプ氏が掲げているエネルギー政策、すなわち「原油価格の引き下げ」や「米国を石油市場で優位に立たせる」という目標に直接的な障害をもたらすものである。

 トランプ氏は、この決定について「馬鹿げている」と批判し、政権発足後に即座に解除する意向を示している。しかし、この政策が実際に施行されることで、次期政権がガソリン価格の高騰に対応せざるを得ない状況が生まれる可能性が高い。仮に、バイデン政権の新たな石油制裁が成功した場合、ガソリン価格は1ガロンあたり4.9ドルに達すると予測されており、これによる経済的影響の負担はトランプ氏の政権にのしかかるとみられている。

 以上のように、バイデン政権の退任前の動きは、トランプ次期政権の政策実現に多方面で課題を残す結果となる可能性が高い。

【詳細】

 バイデン政権の最後の動きについて詳しく見ると、その戦略がトランプ氏の次期政権に対していくつかの大きな問題を残すことに重点を置いていることがわかる。特に、バイデン大統領は、トランプ氏が掲げる政策や公約を進める上での障害となるような決定を下すことで、トランプ氏の政治的な立場を弱めようとしている。

 まず、制裁という手段に注目することができる。バイデン政権は、ウクライナ問題に関して一貫してウクライナ支援を強調してきた。これは、トランプ氏がウクライナへの支援を最小限にする意向を示していることと対照的である。バイデン氏は、ウクライナへの支援を続けることで、トランプ氏の政策に対して圧力をかけ、米国内での支持を分断する狙いがあると考えられる。さらに、バイデン政権は、ウクライナ問題に関する支持を維持することにより、トランプ氏の政策が実現しづらくなるように仕掛けている。

 次に、エネルギー政策が大きな焦点となる。トランプ氏は、アメリカを石油生産大国にし、世界市場での支配を目指す政策を掲げていた。その中で、トランプ氏の公約の一つは、原油価格を1バレルあたり50ドルに引き下げることであり、これによって米国の経済を強化し、世界市場での競争力を高めることを目指していた。また、トランプ氏は、米国内での石油採掘を促進するため、規制緩和を進めると予想されていた。しかし、バイデン大統領は、こうしたトランプ氏の政策とは正反対の方針を取っている。バイデン政権は、米国の太平洋および大西洋沿岸での新規原油採掘を公式に禁止するという措置を取った。この動きは、トランプ氏が推進しようとした石油産業の拡大を阻むものとなり、特にトランプ氏が期待していたエネルギー政策に対して大きな打撃を与えることになる。

 さらに、バイデン政権の制裁が成功した場合、ガソリン価格が大幅に上昇する可能性がある。バイデン大統領が取った石油採掘の禁止措置が実行されると、ガソリンの小売価格が急騰し、米国内での生活費に直結する問題となる。このような状況において、バイデン氏自身ではなく、次期大統領であるトランプ氏がその対応を迫られることになる。この状況は、トランプ氏にとっては非常に困難な立場となり、エネルギー価格の高騰に対する対策を講じなければならなくなる。もしガソリン価格が上昇し、社会的な不満が高まるようであれば、それはトランプ氏の政権にとって大きな政治的な障害となるだろう。

 こうした一連の措置は、バイデン政権がトランプ氏の次期政権に対して意図的に問題を残すための戦略的な行動であると解釈することができる。バイデン氏は、自身が退任する際に、トランプ氏に対して最大限の政治的な課題を残し、次期政権がその対応に追われるように仕向けている。これは、バイデン政権が自らの政策的成果を強調すると同時に、トランプ氏の政策が進行しづらい状況を作り出すための一つの手段となっている。
 
【要点】
 
 ・バイデン政権の最後の動き: トランプ氏の次期政権に対して最大限の問題を残すことを狙いとしている。

 ・制裁の使用: バイデン政権は、ウクライナ支援を継続し、トランプ氏のウクライナ支援縮小計画に対抗。この支援継続は、トランプ氏の政策に圧力をかける目的。

 ・エネルギー政策

 ➢トランプ氏は、米国を石油大国にし、原油価格を引き下げることで競争力を高める政策を掲げていた。
 ➢バイデン政権は、米国の太平洋および大西洋沿岸での新規原油採掘を禁止する措置を取る。これにより、トランプ氏のエネルギー政策に大きな障害を与える。

 ・石油制裁による影響

 ➢バイデン政権の制裁が成功すると、ガソリン価格が急騰する可能性が高い。
 ➢価格高騰は、トランプ氏が次期政権で対応しなければならない問題となる。

 ・トランプ氏への圧力

 ➢ガソリン価格の上昇に直面するのは、バイデンではなくトランプ氏。
 ➢ラトンプ氏は、この状況に対処しなければならず、政治的に困難な立場に立たされる。

 ・バイデン政権の狙い

 ➢トランプ氏に対して政治的な課題を残し、次期政権がその対応に追われるように仕向け る。
 ➢バイデン氏の政策的成果を強調し、トランプ氏の政策実行を難しくする。

【引用・参照・底本】

【視点】バイデン政権 トランプ氏に故意に最大限の「置き土産」 sputnik 日本 2025.01.20
https://sputniknews.jp/20250120/19514040.html

日露関係の悪化は日本側が率先2025年01月24日 19:07

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【桃源寸評】

 石破、岩屋の言辞は何の解決にもならないことを述べているだけだ。対立が"深化"するだけである。

 夜郎自大な振る舞いである。例示すれば、インドの"賢さ"を少しは見習うべきである。

【寸評 完】

【概要】

 2025年1月24日の衆議院本会議において、石破茂首相は、日露関係が厳しい状況にあることを認めつつも、領土問題の解決と平和条約の締結を目指すという日本の従来の方針を堅持することを明言した。また、岩屋毅外相は、ウクライナへの支援と対露制裁を強力に推進し、ウクライナの復旧復興支援に官民一体で取り組む方針を示した。さらに、関係悪化の責任を日本に転嫁することは受け入れられないとし、ロシア側の一方的な発信や措置に対しては毅然とした対応を取る意向を表明した。

 また、外交演説では、日露間には隣国として解決すべき課題があり、ロシアとの適切な意思疎通が必要であることが強調された。その中で、最優先事項として北方4島交流・訪問事業の再開が挙げられ、特に元島民による北方墓参の再開を強く求める姿勢が示された。

 ロシア外務省によると、元島民らの墓参や交流事業は1990年代から実施されてきたが、ウクライナ情勢を口実にした日本の一方的な対露制裁によって停止されている。ロシアのラブロフ外相は、2025年1月14日の年次記者会見で、露日関係における対話の崩壊は日本側のイニシアチブによるものであると指摘し、日本が米国の影響下にあると述べた。

【詳細】

 2025年1月24日、石破茂首相は衆議院本会議で施政方針演説を行い、日露関係の現状について言及した。首相は、「日露関係は厳しい状況にあるが、日本としては領土問題を解決し、平和条約を締結するという方針を堅持する」と述べ、従来の立場を改めて確認した。この発言は、日露関係が緊張している中でも、日本が長年抱えている領土問題、特に北方領土問題の解決を目指す姿勢を明確に示したものである。

 続いて、岩屋毅外相は、外交演説でウクライナへの支援について触れ、「ウクライナ支援と対露制裁を強力に推進し、ウクライナの復旧復興支援を官民一体で取り組む」と述べた。これは、日本がウクライナへの支援を続ける一方で、ロシアに対して強硬な立場を取る方針を維持することを示している。さらに、関係悪化の責任を日本に転嫁することは受け入れられないとし、ロシアの一方的な発信や措置に対しては毅然と対応する意思を表明した。

 日露間の課題として、特に重要視されたのが北方領土問題である。岩屋外相は、「日露間には隣国として解決しなくてはならない懸案事項もあり、ロシアとの意思疎通を適切に行う必要がある」と述べ、その中でも「北方4島交流・訪問事業の再開」を最優先事項のひとつとして挙げた。特に、を「北方墓参」に重点を置き、事業再開強く求めていく姿勢を示した。これは、北方領土を巡る争いの中で、元島民による墓参や交流活動が長年続けられてきた背景がある。

 一方、ロシア外務省は、1990年代から行われてきた元島民の墓参や交流事業が、ウクライナ情勢を理由にした日本側の一方的な対露制裁によって停止されたと述べている。この制裁により、日露間の人道的な交流が途絶えることになった。

 ロシアのラブロフ外相は、2025年1月14日に行った年次記者会見で、露日関係の悪化について言及し、「マイナスの動き、対話の崩壊は日本側のイニシアチブによるものだ」と述べ、日露関係の悪化の原因を日本側にあると指摘した。また、ラブロフ外相は、日本が独自の発言力を持たず、アメリカの影響下で行動していると批判した。この発言は、日本がロシアとの関係を強化しようとする一方で、アメリカの対露政策に沿って動いていることに対するロシアの不満を反映している。

 総じて、日本政府は、ウクライナ支援と対露制裁の強化を進める一方で、北方領土問題を解決するためにロシアとの交渉を続け、元島民の墓参事業再開を求めている。一方で、ロシアは日本の立場に反発し、日露関係の改善には日本の政策の見直しが必要だと主張している。
 
【要点】
 
 1.石破茂首相の発言

 ・日露関係は厳しい状況にあるが、日本の方針は変わらず、領土問題を解決し平和条約を締結することを目指す。

 2.岩屋毅外相の発言

 ・ウクライナ支援と対露制裁を強力に推進。
 ・ウクライナの復旧復興支援に官民一体で取り組む。
 ・関係悪化の責任を日本に転嫁することは受け入れられず、ロシアの一方的な発信や措置に毅然と対応。

 3.北方領土問題への対応

 ・日露間の懸案事項として北方4島交流・訪問事業の再開を最優先事項に挙げる。
 ・特に元島民の「北方墓参」の再開を強く求める。

 4.ロシア外務省の立場

 ・元島民の墓参や交流事業は、日本側の一方的な対露制裁によって停止された。

 5.ラブロフ外相の批判

 ・日露関係の悪化は日本側のイニシアチブによるものであると指摘。
 ・日本が独自の発言力を持たず、アメリカの影響下で行動していると批判。

【引用・参照・底本】

日本政府、強力な対露制裁推進も墓参再開を要求 sputnik 日本 2025.01.24
https://sputniknews.jp/20250124/19525335.html

日本が独自の発言力を持たず、アメリカの影響下で行動2025年01月24日 19:07

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【桃源寸評】

 石破、岩屋の言辞は何の解決にもならないことを述べているだけだ。対立が"深化"するだけである。

 夜郎自大な振る舞いである。例示すれば、インドの"賢さ"を少しは見習うべきである。

【寸評 完】

【概要】

 2025年1月24日の衆議院本会議において、石破茂首相は、日露関係が厳しい状況にあることを認めつつも、領土問題の解決と平和条約の締結を目指すという日本の従来の方針を堅持することを明言した。また、岩屋毅外相は、ウクライナへの支援と対露制裁を強力に推進し、ウクライナの復旧復興支援に官民一体で取り組む方針を示した。さらに、関係悪化の責任を日本に転嫁することは受け入れられないとし、ロシア側の一方的な発信や措置に対しては毅然とした対応を取る意向を表明した。

 また、外交演説では、日露間には隣国として解決すべき課題があり、ロシアとの適切な意思疎通が必要であることが強調された。その中で、最優先事項として北方4島交流・訪問事業の再開が挙げられ、特に元島民による北方墓参の再開を強く求める姿勢が示された。

 ロシア外務省によると、元島民らの墓参や交流事業は1990年代から実施されてきたが、ウクライナ情勢を口実にした日本の一方的な対露制裁によって停止されている。ロシアのラブロフ外相は、2025年1月14日の年次記者会見で、露日関係における対話の崩壊は日本側のイニシアチブによるものであると指摘し、日本が米国の影響下にあると述べた。

【詳細】

 2025年1月24日、石破茂首相は衆議院本会議で施政方針演説を行い、日露関係の現状について言及した。首相は、「日露関係は厳しい状況にあるが、日本としては領土問題を解決し、平和条約を締結するという方針を堅持する」と述べ、従来の立場を改めて確認した。この発言は、日露関係が緊張している中でも、日本が長年抱えている領土問題、特に北方領土問題の解決を目指す姿勢を明確に示したものである。

 続いて、岩屋毅外相は、外交演説でウクライナへの支援について触れ、「ウクライナ支援と対露制裁を強力に推進し、ウクライナの復旧復興支援を官民一体で取り組む」と述べた。これは、日本がウクライナへの支援を続ける一方で、ロシアに対して強硬な立場を取る方針を維持することを示している。さらに、関係悪化の責任を日本に転嫁することは受け入れられないとし、ロシアの一方的な発信や措置に対しては毅然と対応する意思を表明した。

 日露間の課題として、特に重要視されたのが北方領土問題である。岩屋外相は、「日露間には隣国として解決しなくてはならない懸案事項もあり、ロシアとの意思疎通を適切に行う必要がある」と述べ、その中でも「北方4島交流・訪問事業の再開」を最優先事項のひとつとして挙げた。特に、を「北方墓参」に重点を置き、事業再開強く求めていく姿勢を示した。これは、北方領土を巡る争いの中で、元島民による墓参や交流活動が長年続けられてきた背景がある。

 一方、ロシア外務省は、1990年代から行われてきた元島民の墓参や交流事業が、ウクライナ情勢を理由にした日本側の一方的な対露制裁によって停止されたと述べている。この制裁により、日露間の人道的な交流が途絶えることになった。

 ロシアのラブロフ外相は、2025年1月14日に行った年次記者会見で、露日関係の悪化について言及し、「マイナスの動き、対話の崩壊は日本側のイニシアチブによるものだ」と述べ、日露関係の悪化の原因を日本側にあると指摘した。また、ラブロフ外相は、日本が独自の発言力を持たず、アメリカの影響下で行動していると批判した。この発言は、日本がロシアとの関係を強化しようとする一方で、アメリカの対露政策に沿って動いていることに対するロシアの不満を反映している。

 総じて、日本政府は、ウクライナ支援と対露制裁の強化を進める一方で、北方領土問題を解決するためにロシアとの交渉を続け、元島民の墓参事業再開を求めている。一方で、ロシアは日本の立場に反発し、日露関係の改善には日本の政策の見直しが必要だと主張している。
 
【要点】
 
 1.石破茂首相の発言

 ・日露関係は厳しい状況にあるが、日本の方針は変わらず、領土問題を解決し平和条約を締結することを目指す。

 2.岩屋毅外相の発言

 ・ウクライナ支援と対露制裁を強力に推進。
 ・ウクライナの復旧復興支援に官民一体で取り組む。
 ・関係悪化の責任を日本に転嫁することは受け入れられず、ロシアの一方的な発信や措置に毅然と対応。

 3.北方領土問題への対応

 ・日露間の懸案事項として北方4島交流・訪問事業の再開を最優先事項に挙げる。
 ・特に元島民の「北方墓参」の再開を強く求める。

 4.ロシア外務省の立場

 ・元島民の墓参や交流事業は、日本側の一方的な対露制裁によって停止された。

 5.ラブロフ外相の批判

 ・日露関係の悪化は日本側のイニシアチブによるものであると指摘。
 ・日本が独自の発言力を持たず、アメリカの影響下で行動していると批判。

【引用・参照・底本】

日本政府、強力な対露制裁推進も墓参再開を要求 sputnik 日本 2025.01.24
https://sputniknews.jp/20250124/19525335.html

日銀の金融政策2025年01月24日 21:18

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【桃源寸評】

 ・物価の安定

 日銀(日本銀行)の存在目的はいくつかあるが、其の中でも、物価の安定は日銀の最も重要な目標であろう。が、それは高値の物価の安定を維持することであるまい。

 具体的には、2%の物価上昇率を目指しており、これを達成することが経済の健全な成長に寄与するとされているが、現状を見る限り何の意味も持たない。つまり、無策の"お祈り"が続いているのである。
 
 そしてゼロ金利政策の導入で国民から搾り取るのである。以下振り返ってみる。

 日本の普通預金金利がほぼ0%となる状況は、1990年代後半から続いている。この現象にはいくつかの重要な背景と歴史的な出来事が影響している。

 1. バブル崩壊とその後の景気低迷(1990年代初頭)

 1980年代後半、日本はバブル経済の絶頂にあり、株価や不動産価格が急激に上昇していた。しかし、1990年を過ぎるとバブルが崩壊し、経済は深刻な低迷に突入した。
この景気後退を受けて、日銀は金融政策を緩和し、金利を引き下げて経済回復を目指した。

 2. ゼロ金利政策の導入(1999年)

 1990年代末、経済の低迷が続き、日銀は金利を低下させ、最終的に1999年に「ゼロ金利政策」を導入した。これは、政策金利をほぼ0%に設定することにより、金融機関が預金者に提供する金利もほぼ0%となった。
 ゼロ金利政策は、銀行が低金利で貸し出しを行いやすくすることを狙いとしており、企業や個人に対する融資を促進する目的があった。

 3. 量的緩和政策(2001年)

 2001年、日銀はさらに強化された金融緩和措置として、量的緩和(QE)政策を導入した。この政策は、日銀が国債やその他の資産を大量に購入することで、市場に資金を供給し、金利を更に引き下げることを目的としていた。
 
 量的緩和が続いたことで、金融機関の貸し出し環境が緩和され、普通預金金利は依然として低水準のままとなった。

 4. 金融緩和の継続と超低金利政策(2010年代)

 2008年のリーマンショック後、日本経済は一層厳しい状況に陥り、日銀は超低金利政策を維持することを決定した。政策金利は依然として0%に近い水準で推移し、普通預金金利もほぼ0%の状態が続いた。
 
 2013年からは、安倍晋三政権の下で「アベノミクス」政策が実施され、日銀は「2%の物価上昇」を目指して、量的・質的緩和(QQE)をさらに強化した。これにより、金融市場の流動性は増加し、普通預金金利は長期間にわたり0%のままとなった。

 5. 現在の状況(2020年代)

 現在も日本銀行は政策金利を0%近くに設定しており、普通預金金利は0%前後で推移している。金融機関が提供する預金金利はほぼゼロに近く、特に普通預金の金利はほとんど変動しない状況が続いている。

 日銀はインフレ率2%を目指して金融緩和を継続しているが、物価上昇率は長期間低迷しており、利上げを行うタイミングが見定められずにいる。

 6. 金利の低迷が続く背景

 日本の経済は長期間にわたる低成長と人口減少の影響を受けており、これが金利の低迷に繋がっている。

 また、政府の巨額な債務問題も金利引き上げの障壁となり、日銀は長期間にわたって低金利政策を維持せざるを得ない状況が続いている。

 このように、日本の普通預金金利が0%に近い状態が続いている背景には、1990年代のバブル崩壊から始まり、その後の景気低迷や日銀の緩和的な金融政策が深く関わっている。

 結果としては、消費税率での国民への負担と合せ、大企業等の内部留保を"しこたま溜めさせる"結果なっている。ある意味では"バブルの再来"であり、国の借金を減らすのに寄与している。

 消費税率も見てみよう。

 日本の消費税率の変遷は次の通りである。

 1.1989年 – 消費税導入

 ・日本では消費税が初めて導入され、税率は3%であった。これにより、消費税は日本の税制に組み込まれることとなった。

 2.1997年 – 消費税率引き上げ

 ・消費税率が5%に引き上げられた。この引き上げは、景気の回復を支えるための財源確保を目的としたものであった。

 3.2014年 – 消費税率引き上げ

 ・消費税率が8%に引き上げられた。これにより、消費税の負担が増し、社会保障の充実や財政再建を目的とした税収増が図られた。

 4.2019年 – 消費税率引き上げ

 ・消費税率が10%に引き上げられた。この時、軽減税率制度(飲食料品や新聞などは8%)が導入され、消費税の税率は物品やサービスによって異なるものとなった。

 5.将来の予定

 ・現時点での消費税率は10%であり、次回の引き上げ計画はない。日本政府は社会保障制度の充実と財政健全化を目的に、今後も消費税率を維持する方針をとっている。
消費税の引き上げは、主に財政再建や社会保障の充実を目的としており、その度に景気への影響や国民の生活負担の増加が議論されてきた。

 ・金融システム

 金融システムの安定を確保することも重要な役割の一つであり、金融機関の健全性を維持し、金融市場の安定を図ることが求められる。

 ・円の価値の安定

 日本円の価値を安定させ、対外的にも信頼性を保つことが目標である。これにより、国内外の経済活動がスムーズに行われるようになる。が、資源の無い国が、資源の有る国に制裁するという逆立ちした日本政府、米国追随一辺倒の無策の極みを行き円の価値を更に下げることだろう。結果は物価高による国民窮乏化が進む。

 ・経済の健全な成長の促進

 経済の成長を促進するために、適切な金融政策を実施し、景気の過熱や冷え込みを防ぐことを目指す。何処が健全なのか全く不明なまま時は過ぎゆく。地べた這いずり回るような成長率の国に成り下がり、辛うじて4,5位にとどまる。

 単位 : 百万US$ 出典:IMFデータ更新日:2024年10月28日(年度更新日2024年4月19日):https://www.globalnote.jp/p-data-g/?dno=8860&post_no=1409

 1.アメリカ合衆国:27兆7,207億ドル
 2.中国:17兆7,580億ドル
 3.ドイツ:4兆5,270億ドル
 4.日本:4兆2,375億ドル
 5.インド:4兆1,053億ドル
 6.イギリス:3兆5,877億ドル
 7.フランス:3兆1,835億ドル
 8.イタリア:2兆2,840億ドル
 9.ブラジル:2兆2,651億ドル
 10.カナダ:2兆2,386億ドル

 ・政府の金融政策の支援

 日銀は政府の経済政策を支援する立場にあり、特に財政政策と連携して経済の安定化を図る。これらの目標は、日銀の独立性を保ちながら達成されるべきであり、その実現のために金利操作や資産購入(量的緩和など)を行うはずであるが、独立性は国民を忘れたときに捨てた。

 今の日銀、正に<下手の考え休むに似たり>というべきだろう。

【寸評 完】

【概要】

 植田総裁は、トランプ大統領の再任後も国際金融市場は全体として安定していると述べた。具体的には、トランプ関税や他国の報復関税が影響を及ぼす可能性があるものの、現状ではその影響が確定していないため、不確実性が高いと指摘した。米国の経済政策が今後の経済に与える影響が最大の注目点であることも強調された。

 また、植田総裁は、日本の経済や物価の動向が予想通り進行すれば、引き続き金利を引き上げ、金融緩和の程度を調整する意向を示した。ただし、利上げのペースやタイミングについては、情勢によって判断するため予断を持っていないと述べている。利上げの効果については事前に明確に分かるわけではないため、段階的にその影響を確かめながら進めることが適切だとした。

 さらに、円安による輸入物価の上昇があることや、人件費や物流費の上昇が販売価格に反映される動きが広がっていることにも触れた。日本銀行の金利引き上げ後、三菱UFJ銀行は普通預金の金利を0.2%に引き上げると発表し、3月3日から適用される。また、他の銀行も金利引き上げに踏み切ると予測されている。

 日銀の政策については、現在の金利水準は緩和的でも引き締め的でもなく、中立的な水準にはまだ相当な距離があるとされている。

【詳細】

 植田総裁は、トランプ大統領が再選後に示す政策の方向性が、今後の経済や市場にどのような影響を与えるかに注目していることを述べた。特にトランプ大統領が実施する可能性のある関税政策、例えば他国への追加関税や報復関税については、経済への影響が懸念されるものの、現時点では具体的な実施の有無やその影響は不確定であると強調している。このため、国際金融市場は一時的な不安定さを見せることも考えられるが、全体としては安定しているとの認識を示した。

 次に、日銀の金融政策についても言及され、植田総裁は日本経済における物価や経済成長が、事前の予測に沿って進展している場合、金利を引き上げる方針を維持する意向を示した。具体的には、経済と物価の変化が見込み通りに進むのであれば、引き続き金利の引き上げとともに、金融緩和の度合いを調整する必要があると述べた。金利引き上げのタイミングやペースについては、情勢によって柔軟に対応することを強調し、予断を持たずに進めていくと述べている。

 また、金利引き上げの影響については、事前にその効果を完全に予測することは難しく、経済の実際の反応を見ながら段階的に対応していく方が適切であるという姿勢を示した。この点で、金利の変動が経済全体に及ぼす影響は時間をかけて明らかになるため、その結果を確かめながら政策を調整することが重要であると強調している。

 円安についても言及されており、円安が続くことで輸入物価が上昇する圧力が強まり、それが消費者物価に反映されることが予想されている。特に、輸入品の価格が上がるとともに、国内の人件費や物流費の上昇が企業の販売価格に反映される動きが広がってきていると説明した。これにより、インフレ圧力が強まる可能性があるため、金利引き上げがその緩和策として機能することが期待されている。

 さらに、日銀の金利政策については、「緩和的でも引き締め的でもない」として、現在の金利水準があくまで中立的な水準であり、日銀が目指す金利引き上げにはまだ相当の距離があるとされている。この点について、日銀は物価安定を目指し、経済の実態に即した政策を展開していく意向を示している。

 また、日銀の金利引き上げに伴い、三菱UFJ銀行は普通預金の金利を0.2%に引き上げると発表した。この金利改定は、2025年3月3日から適用される予定であり、その他の銀行も金利を引き上げる可能性が高いと予測されている。金利引き上げは、預金者にとっては利回りの向上を意味する一方で、企業の借り入れコストや消費者の負担が増加する可能性があり、経済全体に与える影響についても注視する必要がある。

 総じて、植田総裁は日本経済の見通しについて慎重な姿勢を保ちつつも、金利政策の調整が経済の安定に寄与するという認識を示している。
 
【要点】
 
 1.トランプ再選後の影響

 ・トランプ大統領の再選後、関税政策(他国への追加関税や報復関税)が経済に影響を与える可能性がある。
 ・しかし、現時点では関税の実施について不確定であり、国際市場は全体として安定している。

 2.日銀の金利引き上げ方針

 ・日本経済の物価や経済成長が予測通りに進むなら、金利を引き上げ、金融緩和を調整する方針を維持。
 ・金利引き上げのタイミングやペースは情勢に応じて柔軟に決定する。

 3.金利引き上げの影響

 ・利上げの効果は事前に完全に予測できず、段階的に経済の反応を見ながら調整する方針。

 4.円安と輸入物価の上昇

 ・円安による輸入物価の上昇が予想され、国内の人件費や物流費の上昇も販売価格に反映されている。

 5.中立的な金利水準

 ・現在の金利水準は「緩和的でも引き締め的でもない中立的な水準」であり、日銀はまだ目標とする金利引き上げには相当の距離があると述べている。

 6.三菱UFJ銀行の金利引き上げ

 ・三菱UFJ銀行は普通預金の金利を0.2%に引き上げると発表。金利改定は2025年3月3日から適用される。
 ・他の銀行も金利引き上げを検討する見通し。

 7.金融政策の目指す方向

 ・日銀は物価安定を目指して金利政策を調整し、経済実態に即した対応を続ける方針。

【引用・参照・底本】

トランプ再来後も「国際市場は安定」=植田総裁 追加利上げの見通しは sputnik 日本 2025.01.24
https://sputniknews.jp/20250124/19525335.html

トランプ:ゼレンスキーの行動が紛争解決の妨げ2025年01月24日 21:35

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【概要】

 ドナルド・トランプ前米大統領は、ウクライナ紛争の解決についてFOXニュースの取材に応じ、ゼレンスキー大統領を非難した発言を行った。トランプ氏によれば、紛争当事国が停戦合意に達することができなかったのはゼレンスキー氏が戦闘を望んでいたためであると述べている。

 トランプ氏は次のように発言した。「我々は合意を結ぶこともできたはずだ……そしてゼレンスキー氏は戦いたいと決意した」と述べ、ゼレンスキー氏の行動が紛争解決の妨げになったとの見解を示した。また、ゼレンスキー氏について「天使」ではないとし、「ロシアによる特別軍事作戦を引き起こすべきではなかった」と非難した。

 さらにトランプ氏は、ゼレンスキー氏が現在では紛争の解決を望んでいるが、彼自身とその行動がこの事態を許したものであると主張した。「この男は天使ではない。この戦争開始を許すべきではなかった」と述べ、ウクライナ側の責任にも言及した。

 トランプ氏は紛争の即時終結を求め、ウクライナがすでに「壊滅的打撃」を受けていると指摘した。その上で、ロシア軍が猛攻を止めない場合には制裁を発動する可能性を示唆し、状況改善を訴えた。

【詳細】

 ドナルド・トランプ前米大統領は、ウクライナ紛争におけるゼレンスキー大統領の役割について、FOXニュースのインタビューで具体的な批判を展開した。この発言は、ゼレンスキー氏およびウクライナ政府の立場に対して厳しい評価を示しており、紛争の解決が実現しなかった要因をゼレンスキー氏に帰する内容である。

 トランプ氏はまず、ウクライナ紛争が停戦や解決に至らなかった理由として、ゼレンスキー大統領が戦闘を継続したいという強い意志を持っていたことを挙げた。「我々は合意を結ぶこともできたはずだ……そしてゼレンスキー氏は戦いたいと決意した」と述べ、紛争の進展においてゼレンスキー氏の責任を強調した。この発言は、ウクライナが交渉や妥協を行う余地を自ら狭めたとの見方を示している。

 また、トランプ氏はゼレンスキー大統領に対して、「天使」などと美化するような評価を否定した上で、彼の行動がロシアによる特別軍事作戦を誘発したとの見解を示した。「ゼレンスキー氏は天使ではなく、この戦争開始を許すべきではなかった」と述べ、ロシアとの対立を激化させたゼレンスキー氏の決断が問題であると批判した。特に、「彼にはうんざりだ」という言葉で、ゼレンスキー氏の戦争に対する姿勢に強い不満を表明している。

 さらに、トランプ氏はゼレンスキー氏が現在では紛争を終わらせることを望んでいることに言及しつつも、それが遅すぎるとの立場を示した。「ゼレンスキー氏はもうすべてを解決したいと考えている」と述べる一方で、彼が「これを許すべきではなかった」と強調し、戦争を回避するための責任を果たさなかったと主張した。

 トランプ氏はまた、紛争が続くことでウクライナがすでに「壊滅的打撃」を受けていることを指摘し、戦争を即時に終結させる必要性を訴えた。その上で、ロシア軍が攻撃を続けた場合には制裁を発動する可能性を示唆した。この発言は、トランプ氏が紛争当事国双方に圧力をかけつつ、平和的解決を目指す姿勢を取っていることを示唆している。

 総じて、トランプ氏の発言は、ゼレンスキー大統領およびウクライナ政府の行動が紛争の拡大と長期化を招いたとする立場を明確に示しており、その中で自身が合意を実現可能だったと主張することで、紛争解決における自身の手腕をアピールしている。
 
【要点】
 
 ・紛争解決の失敗要因について

 トランプ前大統領は、ゼレンスキー大統領が戦闘を継続したいという強い意志を持っていたため、停戦合意が成立しなかったと主張している。

 ・ゼレンスキー氏への批判

 ゼレンスキー氏を「天使ではない」と表現し、ロシアによる特別軍事作戦を引き起こした要因の一部が彼の行動にあると述べた。

 ・ゼレンスキー氏の現在の立場について

 トランプ氏は、ゼレンスキー氏が現在では紛争を終わらせたいと考えていることを認めつつ、戦争を許した過去の行動に対して強い非難を示した。

 ・ウクライナの現状への懸念

 トランプ氏は、紛争が長期化したことでウクライナが「壊滅的打撃」を受けていると述べ、戦争の即時終結を求めた。

 ・ロシアへの牽制

 ロシア軍が攻撃を続ける場合には制裁を発動する可能性を示唆し、状況改善に向けた圧力をかける姿勢を示した。

 ・自身の手腕に対する主張

 トランプ氏は、自分であれば停戦合意を実現できたと述べ、紛争解決の可能性を強調した。

【引用・参照・底本】

ゼレンスキーは天使ではない……紛争が終わらなかったのはこの男が原因=トランプ大統領 sputnik 日本 2025.01.24
https://sputniknews.jp/20250124/19524913.html?rcmd_alg=collaboration2

ルビオとルッテ:ウクライナ危機の平和的解決の議論2025年01月24日 22:01

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【概要】

 ルビオ米国務長官は、ルッテNATO事務総長とウクライナ危機の平和的解決について議論した。米国務省の発表によれば、両者は「ロシアの対ウクライナ戦争を終結させる重要性」および「平和的解決の必要性」について協議したとされる。

 また、両者は欧州大西洋地域とインド太平洋地域が相互に深く関連していることを確認し、これらの地域間で緊密な協力を強化する必要性についても一致した。この協力の具体的な内容については明らかにされていないが、地域間の安全保障や経済的つながりの重要性を含む広範な議題が議論された可能性がある。

 今回の協議は、ウクライナ紛争の長期化が国際的な安全保障に与える影響を踏まえたものであり、平和的解決の模索が国際社会の主要課題となっていることを示している。

【詳細】

 ルビオ米国務長官とルッテNATO事務総長が行った協議の主なテーマは、ウクライナ危機の平和的解決であった。この議題は、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が国際的な秩序と安全保障に及ぼしている深刻な影響を踏まえたものである。

 国務省の発表によれば、両者は「ロシアの対ウクライナ戦争を終結させる重要性」について意見を交換し、軍事的な対立ではなく、外交的手段を通じて平和を実現する必要性について一致した。この「平和的解決」には、停戦合意の確立、双方による対話の再開、国際的な調停の枠組みの強化などが含まれると考えられる。具体的な手段については詳細が明らかにされていないが、これらの要素は国際社会が採用してきた和平努力の枠組みに基づいている可能性が高い。

 また、欧州大西洋地域とインド太平洋地域の相互関係に関しても議論が行われた。両者は、これら二つの地域が安全保障面だけでなく経済や外交の分野でも密接に結びついているという認識を共有した。例えば、ロシアのウクライナ侵攻が欧州の安全保障に直接的な影響を与える一方で、インド太平洋地域でも中国の動きや安全保障上の課題が深刻化している。こうした状況の中で、NATOがインド太平洋地域のパートナー国(日本、韓国、オーストラリア、ニュージーランドなど)との連携を強化し、地域間協力を促進する必要性が強調されたと見られる。

 これに関連して、議論ではロシアと中国の連携が欧州とインド太平洋の双方に及ぼす戦略的リスクについても触れられた可能性がある。特に、ロシアが欧州での軍事行動を強化する一方で、中国がインド太平洋で影響力を拡大していることは、両地域の安全保障環境にとって共通の課題である。このため、NATO加盟国とインド太平洋地域の主要国が協力してこれらのリスクに対処するための枠組みを構築する必要性が強調されたと考えられる。

 今回の協議は、ウクライナ紛争が引き起こした地政学的な影響が単に欧州に留まらず、世界的な安全保障と安定に波及していることを示している。このため、ウクライナ問題の平和的解決を進める努力は、地域間の協力と連携を通じた包括的なアプローチが求められるという点で重要な意味を持つ。
 
【要点】
 
 1.協議の主題

 ・ウクライナ危機の平和的解決について議論。
 ・「ロシアの対ウクライナ戦争を終結させる重要性」と「平和的解決の必要性」を強調。

 2.平和的解決の具体的可能性

 ・停戦合意の確立。
 ・双方による対話の再開。
 ・国際的な調停枠組みの強化。

 3.地域間の協力についての議論

 ・欧州大西洋地域とインド太平洋地域の相互関係を確認。
 ・両地域の安全保障、経済、外交におけるつながりの重要性を共有。

 4.ロシアと中国の連携への懸念

 ・ロシアの欧州での軍事行動と中国のインド太平洋での影響力拡大が共通の課題。
 ・両地域が協力してこれらのリスクに対応する必要性を強調。

 5.NATOとインド太平洋地域の連携強化

 ・日本、韓国、オーストラリア、ニュージーランドなどとの協力の重要性を確認。
 ・地域間での連携を通じた安全保障の強化を模索。

 6.地政学的影響の認識

 ・ウクライナ危機が欧州だけでなく、世界的な安全保障と安定に影響を及ぼしていることを確認。
 ・包括的なアプローチを通じた平和的解決の努力が求められる。

【引用・参照・底本】

米国務長官とNATO事務総長がウクライナ危機の平和的解決を議論 sputnik 日本 2025.01.24
https://sputniknews.jp/20250124/nato-19524251.html?rcmd_alg=collaboration2

米国経済の孤立化を象徴する2025年01月24日 22:13

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【桃源寸評】

 希望的観測、つまり、日本は同盟国であらから云々という、日本的甘えの構造で米国に処するのは、現在の世界情勢と歴史を顧みずの、軽挙妄動に映る。

 米国にとって、同盟国などは一番手っ取り早い"鴨葱"であり、当然使いやすい"手駒"なのだ。

 互いに支え合う関係の中ではなく、自己利益最大化の追求する"捕食者-被食者"の関係なのだ。

 究極的には身内をも捕食するようになる。 
 
【寸評 完】

【概要】

 日本製鉄がUSスチールとの合併取引を進める中で、バイデン米大統領が国家安全保障上の理由からこの取引を禁止したことに対し、日本製鉄の森高弘副会長兼副社長は強い不満を表明している。森副会長は、米国政府のこの決定が同盟国の大手企業に与える影響を懸念しており、外国企業が今後の対米投資を再考する可能性を指摘している。同氏の意見は、米紙ウォールストリート・ジャーナルに寄稿されたものであり、国家安全保障上の懸念よりも、バイデン大統領が全米鉄鋼労働組合(USW)の支持を得るための政治的判断が背景にある可能性を指摘している。

 この件について、ロシアの専門家二人が意見を述べている。モスクワ国際関係大学のアレクセイ・ズディナ上席講師は、この取引が長期間にわたり準備され、多大な労力と資金が投入されてきたことを指摘し、森副会長の不満が理解できると述べている。また、ズディナ氏は、この件が孤立した事例にとどまるか、海外投資全体に影響を与えるトレンドとなるかが重要であると強調している。さらに、トランプ元大統領が掲げた「アメリカを再び偉大に」というスローガンの下で進められた経済保護主義や国家安全保障に基づく政策が、今回の決定と類似する方向性を示していると分析している。このような政策は外国企業に対する投資計画の見直しを促す可能性が高いとしている。

 一方、ロシア科学アカデミー経済研究所のボリス・ハイフェッツ教授は、今回の決定が米国経済の孤立化を象徴するものであり、「トランプノミクス2.0」の始まりを予兆するものであると考えている。同教授は、日本製鉄とUSスチールの取引中止はバイデン政権の下で行われたものの、トランプ政権下でも同様の結果が生じた可能性があると指摘している。また、米国は一方で、半導体メーカーなど特定の分野では外国企業を積極的に誘致しており、産業分野ごとの対応が異なることにも触れている。中期的には、特定の企業や産業に有利な免除措置が取られる可能性があるが、これは「経済ナショナリズム」と呼ばれる政策の一環であり、関税の導入や資本移動の制限などを通じて国が経済をコントロールすることを目的としていると述べている。

 しかし、ハイフェッツ教授は、こうした経済的孤立主義は長期的には持続不可能であると考えている。最終的には、国際分業と国際協力が経済的孤立よりも多くの利点をもたらすため、経済ナショナリズムの限界が明らかになるだろうと予測している。このように、米国の政策が外国企業や投資家に与える影響は今後の動向次第であり、国際的な経済協力の流れがどう変化するか注視する必要があると結論づけられる。

【詳細】

 日本製鉄とUSスチールとの合併取引をバイデン政権が禁止した件について、国家安全保障という名目が表向きの理由として提示されているが、日本製鉄の森高弘副会長兼副社長は、この決定の背景にある本質的な問題について指摘している。彼の主張によると、実際の理由は国家安全保障上の懸念よりも、2024年の大統領選挙において全米鉄鋼労働組合(USW)からの支持を得るための政治的配慮である可能性が高いとしている。この決定に対し、日本製鉄は多くの資金と労力を費やしてきたことから強い不満を表明しており、これが他の外国投資家にも波及効果を及ぼす可能性があると懸念を示している。

 背景と経緯

 USスチールは、米国内で重要な鉄鋼メーカーであり、その買収は日本製鉄にとって国際市場での競争力を強化するための重要な一手であった。合併が成功すれば、日本製鉄は製造能力の拡大や米国市場での足場を強化し、さらなる成長が見込まれていた。しかし、バイデン政権は国家安全保障に関する理由からこの取引を阻止した。この背景には、米国政府が「重要なインフラ産業」とみなす鉄鋼業を外国企業の影響から守る意図があるとされている。国家安全保障の名目での企業間取引への政府介入は、米国の経済政策における保護主義的な傾向をさらに強調するものである。

 森副会長は、今回の決定が同盟国である日本の企業に対して不公平であり、これが「米国がパートナーとして信頼できる国なのか、それとも政治的駒として扱われるのか」という疑問を生じさせると指摘している。同氏は、米国がこうした行動を続けることで、外国企業が米国への投資を再考する可能性を示唆している。

 ロシアの専門家による分析

 ロシアの経済専門家であるアレクセイ・ズディナ氏とボリス・ハイフェッツ氏は、この件についてそれぞれ異なる視点から分析している。

 ズディナ氏の見解

 ズディナ氏は、今回の日本製鉄とUSスチールの取引が長期的な計画に基づいて準備されてきたことを指摘している。日本製鉄がこの取引に注いだ資金や労力を考えると、取引中止がもたらす損失は非常に大きい。また、このような決定が外国投資家全体に与える影響は、今回のケースが孤立した例にとどまるのか、それとも今後のトレンドとなるのかに依存すると述べている。

 さらに、ズディナ氏はトランプ元大統領が掲げた「アメリカを再び偉大に」というスローガンに基づく政策との関連性を強調している。このスローガンの背後には、経済保護主義と国家安全保障を経済政策に取り込むアプローチがある。今回のバイデン政権の決定も、トランプ政権の政策を引き継いだものと見ることができると述べている。このような保護主義的な政策は、外国企業が米国での投資計画を見直す可能性を高める要因となり得る。

 ハイフェッツ氏の見解

 一方、ハイフェッツ氏は、今回の取引中止が米国経済の孤立化を象徴しており、「トランプノミクス2.0」の始まりを予兆すると述べている。バイデン政権が下した決定であっても、トランプ政権でも同様の結果が予測されたことから、米国が経済的孤立を志向する流れが継続していると分析している。

 また、ハイフェッツ氏は、米国が半導体など特定分野では外国企業の誘致を積極的に行っていることにも触れている。この矛盾する政策は、産業分野ごとの優先順位の違いを示しており、米国が自国の経済的利益を最大化するために柔軟なアプローチを採用していることを示唆している。中期的には、特定の外国企業に対して例外的な措置を取る可能性があるが、これもまた「経済ナショナリズム」と呼ばれる政策の一環であると述べている。この政策では、国家が関税や規制を通じて経済活動をコントロールし、自国の産業を優先することが目指されている。

 長期的な展望

 ハイフェッツ氏は、こうした経済的孤立主義が長期的に持続することは困難であると結論付けている。国際分業と国際協力がもたらす経済的利点は、孤立主義を上回るため、最終的には孤立政策の限界が明らかになると予測している。

 結論

 今回のバイデン政権の決定は、外国企業に対する米国の信頼性や投資魅力に疑問を投げかけるものである。短期的には、保護主義的な政策が特定の産業や企業に有利に働く可能性があるが、長期的には国際協力の重要性が再認識される可能性が高い。この事例が他の投資家の判断にどのような影響を与えるか、今後の米国の経済政策とその国際的な影響を注視する必要がある。
 
【要点】
 
 1.合併取引の背景

 ・日本製鉄とUSスチールの合併が進行中だった。
 ・合併成功で、製造能力の拡大と米国市場での競争力強化が期待された。

 2.バイデン政権の決定

 ・合併取引を国家安全保障の名目で禁止。
 ・米国政府は鉄鋼業を「重要なインフラ産業」として保護する意図を持つ。

 3.日本製鉄の反応

 ・取引停止に対して強い不満を示す。
 ・多くの資金と労力を費やしていたため、損失が大きい。
 ・今後の外国投資家への影響を懸念。

 4.森高弘副会長の指摘

 ・政治的な配慮(2024年大統領選挙)による決定と見解。
 ・USスチール労働組合(USW)の支持を得るための政治的理由が大きい。

 5.ロシアの経済専門家の見解

 ・アレクセイ・ズディナ氏: 米国の保護主義政策が外国投資家に与える影響を懸念。外国企業が米国への投資を再考する可能性がある。
 ・ボリス・ハイフェッツ氏: 米国経済の孤立化が進んでいると指摘。トランプ政権の影響を引き継いでいる可能性が高い。

 6.「アメリカを再び偉大に」政策:

 ・経済保護主義と国家安全保障を強調するトランプ政権の政策が影響を与えている。

 7.今後の展開:

 ・米国の孤立主義が持続することは難しいと予測。
 ・長期的には国際協力の重要性が再認識される可能性がある。

 8.結論

 ・米国の経済政策が外国企業に与える信頼性や投資魅力に影響を与える。
 ・米国の保護主義政策は短期的には有利に働くが、長期的には限界があるとされる。

【引用・参照・底本】

日鉄の買収に国家介入 この先、外国投資家は米国を忌避? sputnik 日本 2025.01.22
https://sputniknews.jp/20250122/19520206.html

米国の最新のエネルギー制裁2025年01月24日 23:14

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【概要】

 米国の最新のエネルギー制裁がロシアとインドの関係に与える影響について、特にインドのロシアからの割引石油の大規模輸入に関連して、制裁がその輸入に与える影響が懸念されている。しかし、インディアの情報筋は、ロシアが何らかの方法でインドに対して供給を続ける方法を見つけるだろうと予測し、さらなる割引で対応する可能性を示唆している。そのため、現時点では大きな懸念はないとされている。

 制裁措置は3月まで発効しないため、両国はそれまでに対策を講じる時間がある。インドはすでにロシアの保険会社のプールを拡大し、制裁を受けていない企業を加えることを決定しているが、ロシアの制裁を受けた「シャドウ艦隊」については、今後どのように対処するかは不明である。それでも、この対応はインドがロシアからの割引石油輸入を継続することを重視していることを示している。

 インドにとって、ロシアからの石油輸入は重要な戦略的意義を持つ。これにより、過去数年間にわたる複数の危機を回避することができ、インドの成長軌道も順調に保たれ、外国からの投資魅力も維持されている。さらに、インドはロシアが中国への依存を過度に深めることを防ぐために、エネルギー収入源の多様化を図り、ロシアが中国の準パートナーになるのを防いでいる。

 このようなインドの戦略的利益は、ロシアが中国の経済的影響下に入ることで、インディアが米国の準パートナーとなる可能性を防ぐことにある。もしロシアが中国の影響下に入れば、インドに対して軍事供給の制限を強化する可能性があり、それはインドにとって重大なリスクとなる。このため、インドはロシアからの石油輸入を継続することに力を入れている。

 米国がインドに対して二次制裁を課す可能性があるが、インディアはそれに対抗するための交渉を試みるかもしれない。もしインディアが米国の制裁を回避するために譲歩する場合、インディアはロシアに対して、トランプの和平案を受け入れさせる交渉を進める可能性がある。しかし、トランプがどのような妥協案を要求するかは不明であり、その受け入れの有無によって制裁の強化やウクライナへの支援が続く可能性がある。

 米国がインディアに制裁を強化し、ロシアとの関係を制限しようとする場合、インディアはその戦略的利益を守るために制裁を回避し、ロシアからの石油輸入を続ける可能性が高い。トランプがインディアに対する圧力をどれほど強めるか、そしてインディアがどのように対応するかが、両国間の関係に大きな影響を与える可能性がある。

【詳細】

 米国の最新のエネルギー制裁がロシアとインドの関係に与える影響について、さらに詳しく説明する。

 米国は、インドがロシアから割引価格で大量の石油を輸入していることを理由に、エネルギー制裁を強化する可能性があると報じられている。これにより、インディアは米国とロシアの間で「選択」を強いられるのではないかという懸念が生じている。しかし、インドの関係者は、ロシアがインドに対して供給を途切れさせないようにするための対策を講じるだろうと予測しており、現時点では過度に心配する必要はないとされている。ロシアは、割引価格の維持や、別の方法で石油供給を確保するために対応策を取る可能性が高い。

 インドの対応策

 米国の制裁は、2025年3月まで発効しないため、インドとロシアはそれまでに制裁回避の手段を模索できる時間がある。インドはすでに、ロシアの保険会社のプールを拡大し、制裁を受けていない企業を取り込むことで、制裁の影響を回避しようとしている。これは、ロシアからの石油輸入の継続を確保するための重要な手段である。

 さらに、インディアはロシアの「シャドウ艦隊」問題にどう対処するかが課題となる。この「シャドウ艦隊」とは、制裁対象となっているロシアのタンカーや船舶で、国際的に利用が制限されているが、それでも取引が行われることがある。インディアがこの問題をどう解決するかは、今後の課題であり、成功すれば制裁を回避する可能性が高まる。

 戦略的背景とエネルギーの重要性

 インドにとって、ロシアからの石油輸入は単なるエネルギー供給にとどまらず、戦略的にも重要な役割を果たしている。インディアは、ロシアからの割引石油の輸入によって、過去数年間にわたる国際的な経済的危機を乗り越えることができた。特に、石油供給の安定化がインディアの経済成長を支え、外国からの投資を引き寄せる要因となった。

 また、インディアはロシアが中国に過度に依存することを防ぐことにも注力している。ロシアが中国とエネルギー面での深い依存関係に陥ると、インディアは中国に対する軍事的優位性を失う可能性がある。さらに、ロシアが中国の「準パートナー」として位置付けられれば、インディアは米国の「準パートナー」として扱われる危険性があり、これがインディアの戦略的独立性に重大な影響を与える可能性がある。

 インディアは、このようなシナリオを避けるため、ロシアとのエネルギー取引を継続することが戦略的に不可欠であると考えている。

 米国の制裁とインディアの対応

 米国がインディアに対して二次制裁を課す場合、インディアはその圧力にどう対応するかが鍵となる。インディアは、ロシアからの石油輸入を維持することが、ロシアが中国の経済的支配下に入るのを防ぐために不可欠であると主張し、米国に対して制裁の緩和を求める可能性がある。

 もし米国がインディアに対して制裁を強化し、インディアがこれを受け入れなければ、インディアは自国の戦略的利益を優先し、制裁を回避するための手段を模索するだろう。その場合、インディアはロシアに対して、米国の和平案を受け入れさせる交渉を行うかもしれない。しかし、米国とロシアの間で交渉が進展しなければ、制裁が強化され、ウクライナへの支援が増加する可能性もある。

 最終的な結論

 米国の制裁がロシアとインディアの関係に与える影響は、まだ不確定であるが、インディアが米国の圧力に対してどれだけ強く対応するかにかかっている。インディアがロシアとのエネルギー取引を維持するために必要な戦略的措置を講じ、米国と交渉を行うことで、制裁の影響を最小限に抑えることができるだろう。
 
【要点】
 
 1.米国のエネルギー制裁: 米国がインディアのロシアからの割引石油輸入に対して制裁を強化する可能性があり、インディアはこれにどう対応するかが焦点となっている。

 2.インディアの対応策

 ・インディアはロシアの保険会社のプールを拡大し、制裁対象外の企業を取り込むことで、制裁回避を目指している。
 ・ロシアの「シャドウ艦隊」問題に対する対応が課題となるが、解決策を模索中。

 3.戦略的背景

 ・ロシアからの割引石油輸入はインディアの経済成長に重要な役割を果たしており、外国投資を引き寄せる要因となっている。
 ・インディアはロシアが中国に過度に依存しないようにすることを重要視し、これを防ぐためにロシアとのエネルギー取引を継続する必要がある。

 4.米国との関係

 ・米国がインディアに二次制裁を課す場合、インディアは自国の戦略的利益を守るために、米国に対して制裁の緩和を求める可能性がある。
 ・インディアは、ロシアが中国の経済的支配下に入るのを防ぐため、米国に対して交渉を行うことを検討するかもしれない。

 5.最終的な結論:

 ・米国の制裁がロシアとインディアの関係に与える影響は不確定であり、インディアがどう対応するかにかかっている。
 ・インディアは制裁回避のために戦略的措置を講じ、米国と交渉することで、制裁の影響を最小限に抑えることができる。

【引用・参照・底本】

What Impact Might The US’ Latest Energy Sanctions Have On Russo-Indo Relations? Andrew Korybko's Newsletter 2025.01.24
https://korybko.substack.com/p/what-impact-might-the-us-latest-energy?utm_source=post-email-title&publication_id=835783&post_id=155605527&utm_campaign=email-post-title&isFreemail=true&r=2gkj&triedRedirect=true&utm_medium=email