億万長者ブルームバーグ、UNFCCCへ資金提供2025年01月24日 18:32

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【概要】

 億万長者で元ニューヨーク市長のマイケル・ブルームバーグ氏は、アメリカのドナルド・トランプ前大統領がパリ協定から再度脱退を表明したことを受け、国連気候変動機関(UNFCCC)の予算を補填するために自身の財団が資金を提供することを発表した。ブルームバーグ氏のこの介入は、アメリカが拠出金を停止した後もUNFCCCが十分に資金を確保できるようにすることを目的としている。

 通常、アメリカはUNFCCC事務局の予算の22%を負担しているが、2024年から2025年の運営費は8,840万ユーロ(9,650万ドル)と見積もられている。ブルームバーグ氏は声明で、「2017年から2020年の連邦政府の無策の時期には、都市、州、企業、そして市民が力を合わせて、我が国の約束を守るために奮闘しました。そして今、再びそれを実現する準備ができています」と述べた。

 これは、アメリカ連邦政府の関与が減少した場合にブルームバーグ氏が資金提供を行うのは2度目である。2017年にトランプ政権が初めてパリ協定から脱退した際、ブルームバーグ氏はUNFCCCを支援するために最大1,500万ドルの提供を約束した。また、「アメリカの誓約(America's Pledge)」という取り組みを開始し、アメリカの非連邦政府による気候変動対策の進展を追跡・報告することで、世界がアメリカを依然として協定に完全に関与している国として認識できるよう支援した。

 今回もブルームバーグ氏は、アメリカの報告義務を果たすことへの支援を継続する意向を示した。国連気候変動機関の事務局長であるサイモン・スティール氏は、「このような貢献は、UNFCCC事務局が各国のパリ協定に基づく約束の履行を支援し、低排出で強靭かつ安全な未来を実現するために非常に重要である」と述べた。

【詳細】

 元ニューヨーク市長であるマイケル・ブルームバーグ氏が、アメリカのパリ協定からの脱退による影響を補うため、国連気候変動機関(UNFCCC)の資金を提供する決定を下した。この決定は、ドナルド・トランプ前大統領が2024年から2025年のパリ協定に対するアメリカの関与を再び撤回し、連邦政府がUNFCCCへの資金提供を停止したことを受けたものである。

 背景

 UNFCCCは、パリ協定の実施を支援するための国連の専門機関であり、その運営には加盟国からの拠出金が重要である。アメリカは従来、UNFCCCの総予算の22%を負担しており、これは国際的な取り組みの中で最大の貢献者の一つであった。しかし、トランプ前大統領は自身の政権の気候政策に基づき、アメリカのパリ協定からの脱退を再び宣言したため、UNFCCCの財政に大きな穴が生じる事態となった。

 2024年から2025年のUNFCCCの運営費は8,840万ユーロ(約9,650万ドル)と見積もられているが、アメリカが拠出金を停止したことにより、約2,100万ドル(予算の22%)が不足することになる。この不足を補うため、ブルームバーグ氏は自身の財団を通じて資金提供を行うことを発表した。

 ブルームバーグ氏の対応

 マイケル・ブルームバーグ氏は、過去にも同様の対応を取った実績がある。2017年、トランプ政権が最初にパリ協定から脱退を表明した際、ブルームバーグ氏はUNFCCCを支援するために最大1,500万ドルを提供すると約束した。この資金提供により、国際社会がアメリカの気候変動対策への進展を引き続き評価できるようにする取り組みが強化された。

 また、同時にブルームバーグ氏は「アメリカの誓約(America's Pledge)」というイニシアチブを立ち上げた。この取り組みは、アメリカ国内の州、都市、企業、およびその他の団体による気候変動対策の進捗状況を追跡し、それを国際社会に報告することで、アメリカが非連邦レベルでパリ協定の目標達成に取り組んでいることを示す役割を果たした。

 今回の発表に際し、ブルームバーグ氏は「2017年から2020年の連邦政府の不作為の時期においても、国内のさまざまな主体が協力し、アメリカの約束を守る努力をした。そして今、再びその取り組みを継続する用意がある」と述べ、国際的な気候変動対策への支援を表明した。

 国連および気候変動対策への影響

 国連気候変動機関(UNFCCC)の事務局長であるサイモン・スティール氏は、ブルームバーグ氏のこの決定を歓迎した。スティール氏は、「このような貢献は、国連気候変動事務局が各国のパリ協定に基づく目標を実現するための支援を継続するうえで極めて重要である」とコメントした。

 UNFCCCは、気候変動への影響を最小限に抑えるための各国の努力を調整し、技術支援や専門知識を提供する役割を担っている。ブルームバーグ氏の資金提供により、パリ協定の目標達成に向けた取り組みが継続されることが期待される。

 今後の展望

 ブルームバーグ氏は、アメリカが連邦政府レベルで気候変動対策から後退したとしても、非連邦政府や民間セクターによる努力が続くことを強調している。この動きは、アメリカ国内外における気候変動対策への支持を維持し、国際的な協力を後押しする重要なメッセージとなる可能性がある。

 ブルームバーグ氏の取り組みは、アメリカの気候変動政策が国際社会に与える影響を最小限に抑えることを目的としており、特にUNFCCCの財政的安定に寄与するものである。このような民間からの支援が、今後の気候変動対策の実施において重要な役割を果たすと考えられる。
 
【要点】
 
 背景

 ・アメリカはUNFCCCの予算の22%を拠出していたが、トランプ前大統領が再びパリ協定からの脱退を表明し、資金提供を停止した。
 ・UNFCCCの2024年から2025年の予算は約9,650万ドルであり、アメリカの不参加により約2,100万ドルが不足。

 ブルームバーグ氏の対応

 ・自身の財団を通じてUNFCCCの資金不足を補うことを発表。
 ・過去にも2017年に最大1,500万ドルを提供し、同様の支援を行った実績がある。
 ・「アメリカの誓約(America's Pledge)」を通じて、非連邦レベルの気候対策進捗を追跡・報告する取り組みを実施。

 ブルームバーグ氏の声明

 ・2017年から2020年のアメリカ連邦政府の不作為の時期に、国内の州や企業が協力して約束を守ったと強調。
 ・今回も非連邦主体が対応を継続すると述べた。

 国連気候変動機関(UNFCCC)の反応

 ・UNFCCC事務局長サイモン・スティール氏はブルームバーグ氏の貢献を歓迎。
 ・資金提供はパリ協定の目標達成を支援するうえで重要と評価。

 今後の展望

 ・アメリカ連邦政府の関与がなくても、州・都市・民間セクターの努力で国際的な気候変動対策を支援。
 ・民間支援の重要性が高まり、UNFCCCの財政的安定とパリ協定の実施を後押しする見込み。

【引用・参照・底本】

Bloomberg to fund UN climate agency after US exit from Paris accord FRANCE24 2025.01.23
https://www.france24.com/en/americas/20250123-bloomberg-us-climate-paris-agreement?utm_medium=email&utm_campaign=newsletter&utm_source=f24-nl-info-en&utm_email_send_date=%2020250123&utm_email_recipient=263407&utm_email_link=contenus&_ope=eyJndWlkIjoiYWU3N2I1MjkzZWQ3MzhmMjFlZjM2YzdkNjFmNTNiNWEifQ%3D%3D

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