ルールに基づく国際秩序:覇権国家の恣意的なルール2025年01月02日 20:06

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【概要】

 アメリカが国際法を置き換える試みとして構築した「ルールに基づく国際秩序(rules-based international order)」は、国家間の平等を原則とする国際法とは根本的に異なり、国家間の不平等を前提としている。この秩序は、国際法と国際人権法を合わせたものとされ、一見すると善意的で進歩的に見える。しかし、これにより矛盾した原則と規則が導入され、統一されたルールのない状態が生じた。その結果、「力こそが正義」という構造が形成された。

 国際法とルールに基づく国際秩序の相違点

 国際法は国家の主権平等に基づいており、すべての国家が対等であることを原則とする。一方、ルールに基づく国際秩序は、特定の国家が他国に対して優越的地位を持つという「主権的不平等」に依存する。この秩序では、個人の権利を擁護する「人間中心の安全保障」と、国家の領土保全を重視する「国家中心の安全保障」が対立する場合がある。アメリカは、これらの基準を状況に応じて使い分け、自国の利益を優先している。例えば、ウクライナやジョージアにおいては領土保全を支持し、中国やロシアでは自己決定権を支持するという矛盾が見られる。

 ヘゲモニー構築のための秩序形成

 この秩序の形成は、1999年のNATOによるユーゴスラビアへの違法な侵攻に端を発する。この際、国連の承認なしに軍事行動を正当化するため、「自由主義的価値観」が利用された。その後、2003年のイラク侵攻でも類似の手法が用いられ、国連を迂回する新たな「正当性」の基準が模索された。さらに、「民主主義の同盟」や「民主主義の協調体」などの概念が提唱され、西側諸国が独自に行動を正当化できる仕組みが作られた。

 二層構造の国際秩序

 ルールに基づく国際秩序では、「正統な国家」と「非正統な国家」という二層構造が作られた。この秩序は、ジョージ・オーウェルの『動物農場』にある「すべての動物は平等であるが、ある動物は他の動物よりも平等である」という原則に似ている。このような矛盾した基準は、コソボ、南オセチア、クリミアなどで明確に見られる。コソボでは自己決定権が優先され、南オセチアやクリミアでは領土保全が優先されるという二重基準が適用された。

 国際的合意の欠如と批判

 この秩序は、統一された規則の策定ではなく、道徳的操作や宣伝に依存する傾向が強い。たとえば、1999年のユーゴスラビア紛争では、大量虐殺の疑惑が誇張され、介入を正当化するためにプロパガンダが使用された。中国やロシアはこの秩序を「二重基準を促進するための道具」として批判しており、国際法の代わりに一方的な行動が正当化されていると主張している。

 結論

 ルールに基づく国際秩序は、具体的な規則が欠如しており、国際的な承認もなく、秩序を提供することもできていない。この秩序は、国際法に代わる持続可能な解決策ではなく、むしろ国際的安定と平和を脅かす要因となっているため、解体されるべきである。
 
【詳細】

 国際法と「ルールに基づく国際秩序」の違い

 国際法は、国家の平等主権という概念に基づいている。これは、全ての国家が平等な主権を持ち、それぞれが独立して国際社会における行動のルールを共有することを意味する。一方、「ルールに基づく国際秩序(Rules-Based International Order)」は、西側諸国、特にアメリカが主導する体制であり、国家間の不平等な主権を基盤としている。この秩序は、表向きには国際法や人権法を含むものとされるが、実際にはその基準が一貫しておらず、支配的な国が独自の基準を適用するシステムとなっている。

 人間中心の安全保障と国家中心の安全保障

 国際法の基盤である国家中心の安全保障は、国家の領土保全を優先する。しかし、「ルールに基づく国際秩序」では、人間中心の安全保障が導入されており、個人の権利や自由を優先することが可能である。この二つの原則は矛盾する場合が多く、アメリカのような覇権国家は状況に応じてどちらを優先するかを選択できる。例として、アメリカはウクライナやスペインにおいて領土保全を強調する一方で、セルビアや中国、ロシアでは民族自決を支持する。これは、アメリカが敵対する国々において内政干渉を行うための手段となっている。

 覇権的「ルールに基づく国際秩序」の構築

 「ルールに基づく国際秩序」の構築は、NATOが1999年に国連の承認なしにユーゴスラビアを攻撃したことに始まる。この行為は国際法に違反していたが、リベラルな価値観の名の下に正当化された。その後も、2003年のイラク侵攻や「民主主義の連合」を提案する動きが続き、アメリカはリベラル民主主義を基盤とする独自の権威を形成しようとした。これにより、国際的な正統性の基準が二分化され、「自由民主主義国家」と「権威主義国家」に分けられるようになった。

 二重基準の適用

 「ルールに基づく国際秩序」は、国家を「正統な国家」と「非正統な国家」に分類する二層構造を形成する。この結果、統一されたルールではなく、西側諸国が恣意的に定めたルールが適用される。例えば、コソボでは民族自決が領土保全に優先された一方で、クリミアや南オセチアでは領土保全が民族自決に優先されると主張された。このような二重基準は、統一した国際ルールを破壊し、対立を助長している。

 プロパガンダと世論操作の利用

 「ルールに基づく国際秩序」は、外交や法的手続きではなく、世論操作を通じて紛争を解決しようとする傾向が強い。例えば、1999年のユーゴスラビア空爆では、イギリスのトニー・ブレア首相が「ヒトラー式のジェノサイド」と極端な言葉でプロパガンダを展開し、介入を正当化しようとした。このような手法は、ルールがないシステムにおいて、正当性を主張するための手段となっている。

 結論

 「ルールに基づく国際秩序」は、普遍的な国際法を破壊し、代わりに覇権国家による一方的なルールを押し付ける試みである。この秩序は、共通のルールを提供せず、国際的な安定や平和の基盤とはなり得ない。そのため、真に持続可能な国際秩序を構築するためには、「ルールに基づく国際秩序」を解体し、国際法を復権させる必要がある。
  
【要点】 
 
 国際法と「ルールに基づく国際秩序」の違い

 ・国際法: 国家の平等主権を基盤とし、全ての国家に共通のルールを適用。
 ・ルールに基づく国際秩序: 西側諸国が主導し、支配的な国が独自に基準を設定する。

 人間中心の安全保障と国家中心の安全保障

 ・国家中心の安全保障: 国際法に基づき、国家の領土保全を優先。
 ・人間中心の安全保障: 個人の権利や自由を重視し、状況に応じて適用基準が変更可能。
 ・二重基準: アメリカはウクライナで領土保全を重視し、セルビアや中国では民族自決を支持。

 覇権的「ルールに基づく国際秩序」の形成
 
 ・1999年のNATOによるユーゴスラビア攻撃が発端。
 ・2003年のイラク侵攻や「民主主義の連合」提案が続き、リベラル民主主義を基盤とする秩序を構築。
 ・国家を「自由民主主義国家」と「権威主義国家」に二分。

 二重基準の具体例

 ・コソボ: 民族自決が領土保全より優先。
 ・クリミア・南オセチア: 領土保全が民族自決より優先。
 ・影響: 統一ルールの破壊と国際的対立の助長。

 プロパガンダと世論操作の利用

 ・紛争解決において外交や法的手続きより世論操作を重視。
 ・1999年のユーゴスラビア空爆では、「ヒトラー式のジェノサイド」といった極端な表現を使用。

 結論

 ・「ルールに基づく国際秩序」は覇権国家の恣意的なルールであり、普遍的な国際法を破壊する。
 ・持続可能な国際秩序には、「ルールに基づく国際秩序」の解体と国際法の復権が必要。

【引用・参照・底本】

How the US tried to replace international law with its own twisted creation RT 2024.12.31
https://www.rt.com/news/610007-us-tried-to-replace-international-law/

ロシア:現時点でトランプやそのチームと接触していない2025年01月02日 22:18

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【概要】

 アメリカの駐ロシア大使であるリン・トレイシー氏は、新年の挨拶の中で、ロシアとの「建設的な対話」に向けてアメリカは引き続きオープンであると述べた。トレイシー氏は、ウクライナ紛争に直接言及することを避けつつ、両国にとって「より平和な未来」を望む姿勢を示した。

 トレイシー氏は、火曜日に在ロシア米国大使館のX(旧Twitter)アカウントで公開された約2分間の動画の中で、「ロシア人とアメリカ人の間で古い絆を維持し、新たな絆を築く方法を見つけ続ける必要がある」と述べた。また、「多くの問題において深刻な意見の相違があるにもかかわらず、ロシア政府関係者との尊重と建設的な対話に向けた扉は引き続き開いている」と強調した。

 さらに、トレイシー氏は「外交の重要性」を強調し、「紛争と不確実性が世界中、特にこの地域において大きな犠牲をもたらし続けている」と述べた。この発言は、モスクワとキエフの間の紛争を示唆しているとみられる。アメリカはこの紛争においてウクライナ側を積極的に支援しており、軍事的および財政的支援を提供している。

 トレイシー氏は2023年1月に駐ロシア大使に就任したが、ロシア当局によればその時点で両国の関係はすでに歴史的に見て最低水準にあったとされる。就任のわずか1週間前、クレムリンの報道官であるドミトリー・ペスコフ氏は「ロシアとアメリカの関係はおそらく歴史的に見て最低の水準にある」と発言していた。

 2024年11月、ペスコフ氏は再び同様の評価を示し、「関係をさらに悪化させるのはほぼ不可能である」と述べた。また、アメリカを「我が国に対する戦争に直接的または間接的に関与する非友好的な国」と位置づけた。

 アメリカのバイデン政権はウクライナへの最大の支持者の一つであり、数十億ドル規模の軍事援助を提供するとともに、ロシアに「戦略的敗北」を与える必要性について議論してきた。

 2024年11月の大統領選挙でドナルド・トランプ氏が勝利したことを受け、ロシアとウクライナ間での和平交渉に関する憶測が広がったが、クレムリンは現時点でトランプ次期大統領やそのチームと接触していないと否定している。

 トレイシー氏の駐ロシア大使としての任期は緊張を伴うものとなっており、ロシア外務省に何度も召喚されている。その主な理由は、ウクライナ紛争に対するアメリカの関与の拡大や、ロシアが「内政への露骨な干渉」と表現した行動である。

【詳細】

 アメリカの駐ロシア大使リン・トレイシー氏は、2025年におけるロシアとの「尊重と建設的な対話」の可能性を示唆した。この発言は、新年を迎えるタイミングで公開された彼女のメッセージによるもので、彼女は両国間の対立の深刻さを認識しつつも、関係改善の希望を持ち続ける姿勢を示した。

 トレイシー氏は動画メッセージの中で、ロシアとアメリカの人々が「古い絆を維持し、新しい絆を築く」必要性を強調した。この背景には、長年にわたる文化的、経済的、学術的交流が両国間の緊張を緩和する可能性があるという考えがあるとみられる。また、彼女はロシア政府との「尊重と建設的な対話」に向けた扉を開いたままにしておくと述べ、現在の対立にもかかわらず、外交努力を進める意志を示した。

 トレイシー氏が言及した「紛争と不確実性」は、ウクライナ紛争を暗に指していると推測されるが、彼女は直接的にこの紛争に触れることを避けた。アメリカはこの紛争においてウクライナを強く支援しており、これまでに数十億ドル規模の軍事援助と財政的支援を行っている。この支援は、ロシア政府によって「アメリカが戦争に直接関与している」と見なされており、両国間の緊張を一層深めている要因の一つである。

 トレイシー氏の任期中の状況

 トレイシー氏は2023年1月に駐ロシア大使に就任した。当時、ロシアとアメリカの関係はロシア政府によれば「歴史的に最低の水準」にあり、外交的な協力がほとんど途絶えていた状態であった。クレムリンの報道官ドミトリー・ペスコフ氏はトレイシー氏の就任直前、「ロシアとアメリカの関係は史上最低の水準にある」と述べており、その後の発言でもアメリカを「非友好的な国」として位置づけた。

トレイシー氏はその後も緊張の中で職務を遂行しており、ロシア外務省から度々召喚を受けている。その理由としては、ウクライナ紛争へのアメリカの関与の拡大や、ロシア内政に対する「露骨な干渉」とされる行動が挙げられる。この「干渉」とは、主にアメリカがロシア国内の反体制派や市民社会の活動を支援する姿勢に関連しているとされる。

 米露関係の現状

 2024年11月、ペスコフ氏は「両国関係をさらに悪化させるのはほぼ不可能である」と発言し、アメリカをロシアに対して直接的および間接的に敵対行動を取る国と見なしていることを明確にした。これに加えて、アメリカのバイデン政権はウクライナへの軍事支援に加え、ロシアに「戦略的敗北」を与える必要性を公然と述べている。

 一方、2024年11月のアメリカ大統領選挙でドナルド・トランプ氏が勝利したことで、ロシアとウクライナの和平交渉に関する期待が一部で高まった。しかし、クレムリンは現時点でトランプ次期大統領またはそのチームと接触していないと公式に表明しており、具体的な進展は確認されていない。

 トレイシー氏の外交的立場

 トレイシー氏の発言には、緊張関係の中での外交的な柔軟性を保つ意図が見られる。彼女が述べた「建設的な対話」と「外交の必要性」は、ロシアとの直接対話の可能性を模索するアメリカ政府の姿勢を示しているが、現実にはその実現は容易ではないとみられる。

 ロシアとアメリカの間で深まる対立の中、トレイシー氏の発言は関係改善へのわずかな希望を示しているが、両国の深刻な意見の相違が解消されない限り、大きな進展を期待することは難しい状況である。
  
【要点】 
 
 1.トレイシー大使の新年の発言

 ・2025年に向けた「尊重と建設的な対話」をロシアと模索する姿勢を表明。
 ・「古い絆の維持と新しい絆の構築」を通じた関係改善を強調。
 ・ウクライナ紛争を暗示しつつも、直接言及は避ける。

 2.外交の必要性の強調

 ・世界的な紛争や不確実性がもたらす影響に言及。
 ・ロシア政府との対話の扉を開き続ける意志を表明。

 3.アメリカのウクライナ支援

 ・数十億ドル規模の軍事・財政支援を実施。
 ・ロシアからは「戦争への直接的関与」とみなされ、関係悪化の要因に。

 4.トレイシー氏の任期中の状況

 ・2023年1月に駐ロシア大使に就任。
 ・就任時、ロシア政府は米露関係を「歴史的に最低」と評価。
 ・外務省から度々召喚され、主にアメリカの行動が批判される。

 5.ロシアの公式見解

 ・2024年11月、ペスコフ報道官は「関係がさらに悪化するのはほぼ不可能」と発言。
 ・アメリカを「非友好的な国」と見なし、戦争への直接的・間接的関与を非難。

 6.アメリカ政権交代の影響

 ・2024年11月、トランプ氏の選挙勝利により和平交渉の期待が一部で浮上。
 ・クレムリンはトランプ氏側との接触を否定。

 7.トレイシー氏の発言の意図

 ・建設的対話を模索する姿勢を維持しつつ、現実的な進展は困難。
 ・緊張関係の中でも外交努力を進める必要性を強調。

 8.米露関係の展望

 ・関係改善への希望を示すものの、深刻な意見の相違が障壁に。
 ・両国の対立が続く中で具体的な進展は依然不透明。

【引用・参照・底本】

Washington ready for ‘respectful & constructive’ dialogue with Moscow – US envoy RT 2025.01.01
https://www.rt.com/news/610313-washington-constructive-dialogue-russia/

米国で「テロ行為」発生2025年01月02日 22:34

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【概要】

 2025年1月1日にルイジアナ州ニューオーリンズで発生した事件は、米国連邦当局によって「テロ行為」として捜査されている。この事件では、15人が死亡し、数十人が負傷した。以下はこの事件に関する詳細である。

 事件の経緯

 2025年1月1日午前3時15分頃、ニューオーリンズのフレンチ・クオーターにおいて、新年を祝う群衆に白いフォードF-150ライトニングのピックアップトラックが突入した。この車両は高速度で移動し、歩行者を巻き込みながらクレーンに衝突した。

 その後、運転手は車から降り、アサルトライフルで応答した警察官に発砲した。これにより警察官2名が負傷したが、最終的に警察によって射殺された。運転手は42歳のシャムスディン・ジャバールと特定された。

 車内および事故現場近くには武器や爆発物が発見され、計画性と共犯者の可能性が疑われている。

 被害者と負傷者
 
 この事件で15人が死亡し、うち12人は現場で、3人は病院で命を落とした。犠牲者には地元住民や観光客が含まれていた。また、35人が負傷し、その中には銃撃戦で負傷した警察官2名も含まれる。負傷者の多くは入院中であり、数名は重体である。

 容疑者の背景

 容疑者のシャムスディン・ジャバールは、2007年から2015年まで米軍に所属していた退役軍人であり、アフガニスタンへの派遣歴もあった。車内からイスラム国(IS)の旗が発見されたことから、事件はISに影響を受けたテロ行為と見なされている。

 ジャバールは事件の数時間前にSNSで「ISISに触発された」と述べる動画を投稿し、殺害の意図を表明していた。しかし、現時点ではISISとの直接的な通信は確認されていない。

 共犯者の捜索

 当局はジャバールが単独で行動した可能性が低いと考えており、共犯者の有無を調査している。車内からは無線式の起爆装置と繋がるパイプ爆弾が見つかっており、共謀の疑いが強まっている。

 FBIは、ジャバールの知人や協力者を特定するための捜査を進めている。

 ラスベガスの事件との関連性

 同日にネバダ州ラスベガスで発生したテスラ・サイバートラックの爆発事件との関連性も調査されている。この爆発事件では1人が死亡し、7人が負傷した。両事件で使用された車両が同じアプリを通じてレンタルされていたことから、連携した攻撃の可能性が示唆されているが、決定的な証拠はまだ得られていない。

【詳細】

 2025年1月1日のニューオーリンズで発生したテロ事件について、より詳しく説明する。

 事件の詳細な経緯

 ニューオーリンズの観光名所であるフレンチ・クオーターのバーボンストリートにおいて、新年を祝う人々で混雑している中、午前3時15分頃に白いフォードF-150ライトニングのピックアップトラックが突如現れた。車両は猛スピードで群衆に突っ込み、歩行者を次々とはねた後、建設用クレーンに衝突して停止した。

 運転手であるシャムスディン・ジャバールは事故後、車両から降りてアサルトライフルを取り出し、現場に急行した警察官に対して発砲した。この銃撃で警察官2名が負傷したが、応戦した警察によってジャバールは射殺された。車内には武器や爆発物が複数確認され、計画的なテロ行為である可能性が高いとされた。

 被害者の状況

 事件による死亡者は合計15人である。現場で12人が即死し、3人が病院で死亡した。犠牲者の中には地元住民と観光客の双方が含まれており、その国籍や身元の特定が進められている。
負傷者は35人にのぼり、うち数名が重体である。負傷者には事件の際に巻き込まれた一般市民のほか、銃撃戦で負傷した警察官2名も含まれる。

 容疑者シャムスディン・ジャバールの背景

 ジャバールはテキサス州ボーモント出身の42歳の男性で、2007年から2015年まで米陸軍に在籍し、アフガニスタンに派遣された経験を持つ退役軍人であった。彼は2015年に現役を退き、その後2020年まで予備役として活動していた。最終階級は上級軍曹(Staff Sergeant)であった。

 ジャバールはイスラム教に改宗したとされ、過去1年以内にインターネットを通じて過激思想に触れ、急速に過激化したと考えられている。事件当日、SNSに「ISISに影響を受けた」とする声明を投稿し、暴力行為を示唆する内容を発信していた。車内から発見されたISISの旗は、この動機を裏付ける証拠の一つとされている。

 事件の組織的な要素

 事件の計画性が疑われる点として、車両内に発見された爆発物や、無線起爆装置との関連が挙げられる。当局は、これらの爆発物が群衆への更なる被害を狙ったものである可能性を指摘している。また、ジャバールが単独で計画を遂行したのではなく、協力者や共犯者の存在が推測されている。

 FBIは、ジャバールの過去の交友関係や通信履歴を調査しており、計画の背後にある人物や組織の特定を進めている。

 ラスベガスでの事件との関連性

 同日、ラスベガスのトランプ・インターナショナル・ホテルの外でテスラ・サイバートラックが爆発し、1人が死亡、7人が負傷する事件が発生した。この車両は、ニューオーリンズの事件で使用されたフォードのピックアップトラックと同じレンタルアプリを通じて借りられていた。このため、両事件が関連している可能性が浮上している。
 現時点で両事件の間に直接的な関係を示す証拠は得られていないが、捜査当局は引き続き関連性を精査している。

 政府の対応と声明

 事件を受けてジョー・バイデン大統領は、国民に向けてテレビ演説を行い、「我が国に対する卑劣なテロ行為」として非難した。また、ジャバールがISISと直接通信していた証拠はないとしながらも、事件がオンラインでの過激思想の拡散による影響を強く受けた可能性を指摘した。

 当局は今後もジャバールの行動歴や通信履歴、そして両事件の関連性について徹底的に調査を進める方針である。
  
【要点】 
 
 1.2025年1月1日にニューオーリンズで発生したテロ事件についての詳細を箇条書きで説明したものである。

 事件の概要

 1.発生日時と場所: 2025年1月1日午前3時15分頃、ニューオーリンズのフレンチ・クオーター、バーボンストリート。

 2.事件の流れ

 ・白いフォードF-150ライトニングのピックアップトラックが群衆に突入。
 ・建設用クレーンに衝突後、運転手が車外で警察に対して発砲。
 ・警察官2名が負傷するも、運転手はその場で射殺された。

 被害者

 ・死者: 合計15人(現場で12人、病院で3人死亡)。
 ・負傷者: 35人(うち数名が重体、警察官2名が銃撃で負傷)。
 ・犠牲者の属性: 地元住民と観光客が含まれる。

 容疑者の背景

 1.氏名: シャムスディン・ジャバール(42歳)。

 2.経歴

 ・米陸軍に2007年から2015年まで在籍、アフガニスタン派遣経験あり。
 ・2015年に現役を退き、2020年まで予備役として活動。

 3.思想的背景:

 ・過去1年以内にイスラム教に改宗。
 ・SNSでISISに影響を受けた声明を投稿。
 ・車内からISISの旗が発見される。

 計画的要素

 ・発見物: 車内から武器、爆発物、無線起爆装置が見つかる。
 ・組織的関与の可能性: 捜査当局は共犯者や協力者の存在を調査中。

 ラスベガス事件との関連性

 ・概要: 同日、ラスベガスのトランプ・インターナショナル・ホテルでテスラ・サイバートラックが爆発(死者1人、負傷者7人)。
 ・関連性: 両事件で使用された車両が同じレンタルアプリで借りられていたことが判明。直接的な関係は未確認。

 政府の対応

 ・声明: ジョー・バイデン大統領が「卑劣なテロ行為」として非難。
 ・捜査方針: 捜査当局は事件の背景、共犯者の存在、ラスベガス事件との関連性を引き続き調査中。

【引用・参照・底本】

New Orleans terrorist attack: What we know so far RT 2025.01.01
https://www.rt.com/news/610328-new-orleans-terrorist-attack/

ウクライナ軍で脱走者が増加2025年01月03日 17:06

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【概要】

 ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、2024年においてウクライナ軍で脱走者が増加していることを認めた。ゼレンスキー氏は、戦争が長期化する中で兵士の疲労が深刻化しており、十分な予備部隊が補充されないことが主要な要因であると説明している。

 報道によれば、最近数か月間、ロシア軍がドンバス地域で攻勢を強化する中、脱走の報告が増加している。2024年11月には、AP通信が10万人のウクライナ兵士が公式に脱走の罪で起訴されたと報じたが、実際の数字はその倍以上である可能性があると推測されている。

 ゼレンスキー氏はウクライナのテレビ番組「テレマラソン」のインタビューで、2024年に脱走が顕著に増加したものの、秋以降には減少傾向にあると述べた。「脱走件数は2024年に増加したが、9月または10月以降には減少している。長期戦争は長期戦争であり、人々は耐えているが、疲労が広がっている」と彼は述べた。また、予備部隊の不足について「予備部隊を補充するためのすべての供給が到着していないため、予備が少ない」と述べた。

 イギリスの「フィナンシャル・タイムズ」紙によると、脱走率の高まりの主な要因はローテーションの欠如であり、一部の兵士は脱走を唯一の休息手段と見なしていると報じられている。この問題に対処するため、ウクライナ政府は2024年1月1日までに復職した兵士に対して初回の脱走を非犯罪化する措置を講じた。

 さらに、徴兵キャンペーンの困難も状況を悪化させている。キエフは徴兵年齢を25歳に引き下げ、徴兵忌避に対する罰則を強化した。今年初めには、徴兵官が男性を捕らえるために強引な手段を用いる様子を捉えた動画がソーシャルメディア上で拡散し、反発を招いた。

 アメリカはウクライナ最大の軍事支援国として、徴兵年齢を18歳に引き下げるようキエフに要請している。一部のウクライナメディアやロシアの外交官は、ゼレンスキー氏がこの措置を交渉のための手段として考えている可能性を指摘しているが、この点に関しては確証が得られていない。
 
【詳細】

 ウォロディミル・ゼレンスキー大統領が認めたウクライナ軍の脱走問題は、2024年に入ってから顕著に表面化した。戦争が長期化する中で、兵士たちの疲労が蓄積し、予備部隊の不足という課題が状況をさらに悪化させている。以下に、この問題の詳細な背景と対策について説明する。

 1. 脱走の増加とその原因

 2024年、ウクライナ軍における脱走は大幅に増加した。11月時点で、AP通信の報道によると、公式に10万人の兵士が脱走の罪で起訴された。しかし、軍関係者や専門家の推測では、実際の脱走者数はこの倍以上に達する可能性がある。主要な要因として以下が挙げられる。

 ・戦争の長期化による精神的・肉体的疲労

  戦場での緊張状態が長期間続き、多くの兵士が精神的に追い詰められている。

 ・ローテーションの欠如

 「フィナンシャル・タイムズ」によると、ローテーション不足が深刻な問題となっている。一部の兵士は、長期間前線に留まることを強いられており、これが脱走に繋がっているとされる。

 ・予備部隊の不足

 ゼレンスキー氏自身も、補充のための部隊が十分に供給されていないことを認めている。これにより、既存の兵士への負担が増大している。

 2. 政府の対応策

 ウクライナ政府は、脱走問題への対応として以下のような措置を講じた。

 ・脱走の非犯罪化

 2024年1月1日までに復職した兵士に対して、初回の脱走を非犯罪化する法律を施行した。この措置は、兵士たちの復帰を促すことを目的としている。

 ・徴兵制度の改革

 キエフは徴兵年齢を25歳に引き下げ、徴兵忌避者に対する罰則を強化した。しかし、この強硬な措置は社会的な反発を招いている。ソーシャルメディア上では、徴兵官が若い男性を無理やり連行しようとする動画が拡散し、国内外で議論を呼んでいる。

 ・国際的な助言

 アメリカは、ウクライナの最大の軍事支援国として、徴兵年齢をさらに引き下げて18歳にするよう勧告している。ただし、これは国内でのさらなる反発を引き起こす可能性がある。

 3. 兵士たちの心理と社会的影響

 兵士たちの間では、戦争の目的や将来の展望に対する不安が高まっている。特に以下の点が問題として指摘されている。

 ・兵士たちの士気低下

 長期間の前線勤務や家族と離れた生活が士気を削いでいる。

 ・社会的な不満

 国内では、徴兵キャンペーンに対する不満が高まっており、政府に対する批判が強まっている。一部の地域では、徴兵官の活動に抗議するデモも発生している。

 4. 今後の展望

 ゼレンスキー大統領がインタビューで述べたように、脱走は秋以降減少傾向にあるが、根本的な問題は解決されていない。特に予備部隊の補充と兵士たちのローテーションの確保が、長期的な課題として残っている。さらに、アメリカや他の支援国との連携を強化しながら、国内の徴兵制度をどのように改革していくかが、政府の信頼回復において重要である。

 これらの状況は、ウクライナ政府と軍にとって非常に困難な課題であり、今後の対応が戦争の展開や国民の支持に大きな影響を及ぼすことが予想される。
  
【要点】 
 
 脱走問題の背景と要因

 ・脱走の増加

 2024年、ウクライナ軍での脱走件数が大幅に増加し、11月時点で10万人が公式に起訴されたと報告されている(推定実数は倍以上の可能性)。

 ・戦争の長期化

 戦争が長期化し、兵士たちが精神的・肉体的に疲弊している。

 ・ローテーションの欠如

 長期間前線に留まる兵士が多く、これが脱走の大きな原因となっている。

 ・予備部隊の不足

 必要な予備部隊が補充されておらず、既存の兵士への負担が増加している。

 政府の対応策

 ・脱走の非犯罪化

 2024年1月1日までに復職した兵士に対して初回脱走を非犯罪化する措置を導入。

 ・徴兵制度の改革

 徴兵年齢を25歳に引き下げ、徴兵忌避に対する罰則を強化。

 ・国際的助言の対応

 アメリカは徴兵年齢を18歳に引き下げるよう要請。ゼレンスキー大統領はこれを交渉手段として保持している可能性がある。

 社会的影響と兵士の心理

 ・士気低下

 長期の前線勤務や家族との分離が兵士の士気を低下させている。

 ・国内の不満

 徴兵官の強硬な活動に反発が広がり、一部地域では抗議デモも発生。

 ・動画の拡散

 徴兵官が男性を強制的に連行しようとする映像がソーシャルメディアで拡散し、国内外で議論を呼んでいる。

 今後の課題

 ・予備部隊の確保

 予備部隊を迅速に補充し、兵士の負担軽減を図る必要がある。

 ・ローテーション体制の構築

 長期間前線にいる兵士を休ませる仕組みを整えることが重要。

 ・国際支援の活用

 アメリカや他国からの支援を効果的に活用し、軍事体制を強化する必要がある。

 ・国民の信頼回復

 国内の不満を緩和し、政府の信頼を取り戻すための包括的な対応が求められる。

【引用・参照・底本】

Zelensky admits more troops are deserting RT 2025.01.03
https://www.rt.com/russia/610372-zelensky-admits-more-of-kievs/

核施設及び設備に対する攻撃の禁止に関する協定2025年01月03日 17:55

Ainovaで作成
【概要】

 インドとパキスタンは、1988年に締結され1991年に批准された「核施設及び設備に対する攻撃の禁止に関する協定」に基づき、2024年1月1日に核施設のリストを交換した。この協定は30年以上にわたり継続されており、両国が核施設を攻撃しないことを約束している。今回の交換は、1992年1月1日に初めて行われて以来、34回目の交換である。

 インド外務省は、「本日、インドとパキスタンは、ニューデリーとイスラマバードで同時に外交ルートを通じて、核施設及び設備のリストを交換した」と発表している。

 ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)の推計によれば、2024年時点でインドは172発、パキスタンは170発の核弾頭を保有している。さらに、SIPRIの報告では、「インド、パキスタン、北朝鮮は、ロシア、フランス、英国、米国、そして最近では中国がすでに有しているような複数弾頭を弾道ミサイルに搭載する能力を追求している」としている。

 また、核軍縮・不拡散センター(ACA)の報告によると、パキスタンは現在、短距離(1000km未満)および中距離(1000-3000km)の6つの核弾頭搭載可能な地上発射型弾道ミサイルシステムを保有し、3つの中距離弾道ミサイルを開発中である。そのうちの1つである「アバビール」は、多弾頭独立目標再突入体(MIRV)を搭載できるとされている。さらに、短距離弾道ミサイル「Nasr(Hatf-9)」については、その射程がインド国内の目標に到達するには短すぎるため、インド軍の侵攻に対する戦場使用を意図しているとの分析もある。

 報道によれば、パキスタンの地上発射型核戦力は、道路移動式発射システムを採用しており、近年、固体燃料ロケットの試験や新型導入を含む大幅な拡大が行われている。専門家は、2025年までにパキスタンの核弾頭保有数が約200発に達し、世界で5番目に大きい核兵器保有国になる可能性があると予測している。

 インドとパキスタンは、1947年のイギリスからの独立以来、緊張関係が続いている。特にカシミール地方は両国が領有権を主張する争点であり、インドはパキスタンが越境テロや過激派を支援していると非難し、パキスタンはインドがカシミール住民の人道的権利を侵害していると批判している。

 2019年には、カシミール地方で40人のインド軍兵士が死亡したプルワマ攻撃を受けて、インドはパキスタン国内のバラコートにあるテロ組織の拠点に「外科手術的攻撃」を実施した。同年後半には、インド政府がカシミール地方に対する特別憲法上の特権を撤廃したことを受け、パキスタンはインドとの外交関係を格下げし、両国間の外交および経済関係はさらに悪化している。
 
【詳細】

 インドとパキスタンの間で毎年行われている核施設リストの交換は、1988年に署名され、1991年に批准された「核施設及び設備に対する攻撃の禁止に関する協定」に基づいている。この協定は、両国間の核施設に対する攻撃の防止を目的としており、相手国の核施設や設備を明確にし、攻撃の可能性を排除する信頼醸成措置として機能している。この取り決めは、両国の緊張が高まる中でも維持されており、2024年1月1日に行われた交換は34回目にあたる。

 この協定では、核施設や設備が対象とされ、その具体的な範囲には原子力発電所、研究用原子炉、核燃料貯蔵施設、廃棄物処理施設などが含まれる。このリストは、毎年1月1日に外交ルートを通じて交換される。2024年も、インドのニューデリーとパキスタンのイスラマバードで同時に交換が行われた。これにより、両国は協定遵守の継続を国際社会に示している。

 核戦力の現状

 ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)の推計によれば、2024年時点でインドは約172発、パキスタンは約170発の核弾頭を保有している。両国は核兵器の近代化を進めており、特に弾道ミサイルへの多弾頭独立目標再突入体(MIRV)の搭載能力の開発を進めている。これにより、一度のミサイル発射で複数の目標を攻撃する能力が向上すると考えられる。この技術は、ロシア、米国、中国などがすでに実用化している。

 パキスタンの核ミサイルプログラムは、多様な地上発射型弾道ミサイルシステムを含み、短距離(1000km未満)から中距離(1000-3000km)まで幅広い射程をカバーしている。特に、固体燃料を使用する新型ミサイルが開発されており、従来の液体燃料ミサイルに比べて準備時間が短縮され、迅速な発射が可能となっている。パキスタンが開発中の「アバビール」ミサイルは、MIRVを搭載できるとされ、この技術により抑止力が大幅に向上すると見られている。

 また、パキスタンは短距離弾道ミサイル「Nasr(Hatf-9)」を配備しており、これは戦術核兵器として戦場での使用を想定している。射程が非常に短いため、従来の戦略的用途ではなく、インド軍の侵攻に対する防御的役割を果たすことが期待されている。

 一方、インドは核兵器の近代化においても着実に進展を見せており、特に海上発射型核兵器や潜水艦搭載型弾道ミサイル(SLBM)の開発が進行中である。このような開発は、「核の三本柱」(地上、空中、海上からの核攻撃能力)の実現に向けた一環と見られている。

 両国関係の背景

 インドとパキスタンの関係は、1947年のイギリスからの独立時に両国が分離されて以来、常に緊張関係が続いている。特にカシミール地方は、両国が領有権を主張する地域であり、たびたび衝突が発生している。インドはパキスタンがカシミールを拠点とする武装勢力や越境テロを支援していると非難し、パキスタンはインドがカシミール住民の人権を侵害していると主張している。

 2019年にカシミール地方で発生したプルワマ攻撃では、インド軍の兵士40人が死亡し、これを受けてインドはパキスタン国内のバラコートにある武装勢力の拠点を標的とした「外科手術的攻撃」を実施した。この一連の出来事を契機に、両国間の緊張はさらに高まり、インド政府は同年後半にカシミール地方の特別憲法上の地位を撤廃した。これに反発したパキスタンは、インドとの外交関係を格下げし、貿易や文化交流などの分野でも関係が冷却化している。

 国際的影響

 インドとパキスタンの核戦力とその増強は、地域の安全保障環境に大きな影響を与えている。特に、両国が核兵器の近代化を続けることで、南アジア全体の軍拡競争がさらに激化する懸念がある。また、両国の緊張が高まる中で、国際社会はこれらの動向を注視しており、信頼醸成措置としての核施設リストの交換が、地域の安定に一定の貢献を果たしていると見なされている。
  
【要点】 
 
 1.核施設リスト交換の背景

 ・インドとパキスタンは1988年に「核施設及び設備に対する攻撃の禁止に関する協定」を締結し、1991年に批准。
 ・毎年1月1日に核施設リストを交換しており、2024年で34回目となる。
 ・交換はニューデリーとイスラマバードで同時に行われ、両国間の信頼醸成措置として継続されている。

 2.核戦力の現状

 ・ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)の推計で、2024年時点でインドは172発、パキスタンは170発の核弾頭を保有。
 ・両国は多弾頭独立目標再突入体(MIRV)搭載能力を含む核兵器の近代化を推進中。
 ・パキスタンは短距離・中距離の地上発射型弾道ミサイルを運用中で、新型ミサイル「アバビール」はMIRV搭載可能とされる。
 ・インドは核の三本柱(地上、空中、海上からの核攻撃能力)を実現するため、海上発射型核兵器や潜水艦搭載ミサイルを開発中。

 3.両国関係の背景

 ・1947年の独立以来、カシミール地方をめぐる領有権争いが続き、両国関係は一貫して緊張している。
 ・インドはパキスタンが越境テロを支援していると非難し、パキスタンはインドによる人権侵害を主張。
 ・2019年のプルワマ攻撃を受けてインドはバラコートで武装勢力の拠点を攻撃し、パキスタンとの緊張がさらに高まった。
 ・同年、インドがカシミール地方の特別憲法上の地位を撤廃したことで、パキスタンは外交関係を格下げ。

 4.国際的影響

 ・両国の核戦力増強は地域の安全保障環境に深刻な影響を及ぼしている。
 ・核施設リストの交換は緊張緩和に一定の役割を果たしているが、軍拡競争の懸念は拭えない。
 ・国際社会は両国の動向を注視しつつ、信頼醸成措置の維持を支持している。

【引用・参照・底本】

India and Pakistan exchange lists of nuclear installations RT 2025.01.02
https://www.rt.com/india/610362-india-and-pakistan-exchange-nuclear/