【桃源閑話】

　出口戦略の無いNATO(EU)、泥濘に足を突っ込み二進も三進も行かない状況である。が、ストルテンベルグ事務総長、斯様な状況を顧みずロシアに対して「決意を挫くことはできない」という精神論を宣う。

　軍需物資についても十分に西側諸国対ロシアの総力戦に既に突入している。でも、何故か相手のロシアは其れを凌いでいる。<貧すれば鈍する>のNATO(EU)、堪え忍ぐことの出来ているのは、中国や北朝鮮の所為に託けて非難する。一向に批難は自己に向かないのだ。

　NATOの主たる目的が、
　①集団防衛: 加盟国に対する攻撃は、全ての加盟国に対する攻撃とみなされ、同盟全体で防衛に当たるという「集団防衛」の原則が核となっている。
　②危機管理: 軍事力以外の手段による危機の防止と管理に取り組む。
　③協調的安全保障: 加盟国間で安全保障に関する協力と対話を深め、国際社会の平和と安定に貢献する。
　ではあるが、③でも云うように、肝心なのは「国際社会の平和と安定に貢献する」ことであり、〝戦禍〟を態々招くことでもあるまい。米国の意を汲むのか、教唆されているのか…。

　彼は非常に好戦的・挑発的な発言が多いように見受けられる。
　
　少し年度別に挙げてみる。

　・2014年
　ロシアに対する姿勢(2014年10月)
　就任後すぐに、ロシアのクリミア併合とウクライナ東部への介入を強く非難し、NATOの東欧諸国への防衛力増強を表明。

　・2015年
　ワルシャワでの演説(2015年2月)
　ロシアの行動を「侵略行為」と明言し、NATOの東欧防衛力強化を発表。ロシアへの抑止力強化の姿勢を明確にした。

　・2016年
　ワルシャワサミット(2016年7月8-9日)
　ロシアへの対抗措置として、ポーランドやバルト三国へのNATO部隊の恒久配備を決定。

　・2018年
　トランプ大統領との会談(2018年1月)
　NATO加盟国に対して防衛費増加を強く求める姿勢を示し、米国の要求を支持。欧州各国に対する圧力と取られる。

　・2019年
　ロンドンサミット(2019年12月3-4日)
　中国の台頭を脅威と見なし、NATOの防衛力を強化する方針を表明。中国からの反発を招く。

　・2020年
　ロシアに対する圧力(2020年8月)
ロシアの野党指導者アレクセイ・ナワリヌイの毒殺未遂事件に対して、強い非難の声を上げ、追加制裁の可能性を示唆。
　
　・2021年
　サイバー攻撃への対策(2021年6月)
　ロシアや中国を名指しし、NATOのサイバー防衛力強化を訴える。特定国を名指しすることで緊張を高める。

　・2022年
　ロシアのウクライナ侵攻(2022年2月24日)
　ロシアの行動を「全面的な侵略」と呼び、NATOは強い反応を示すと表明。東欧諸国への即時的な防衛力増強を発表。

　・2023年
　ヴィリニュスサミット(2023年7月11-12日)
　フィンランドとスウェーデンのNATO加盟を推進し、ロシアに対してさらに圧力をかける姿勢を強調。

　5月には、NATOのストルテンベルグ事務総長は、日本の安全保障環境を踏まえ、東京への連絡事務所開設について検討していると表明した。これは、実現すれば、NATOがアジア地域で初めてとなる連絡事務所の設置となる。

　が、この提案に対しては、フランスが反対の立場を示している。その理由は、NATOの拡大が欧州の安全保障を弱体化させる懸念があることと、日本が正式なNATO加盟国ではないことが挙げられている。

　また当の日本政府は、NATOとの連携強化を歓迎しつつも、連絡事務所の設置については慎重な立場を保っている。これは、専守防衛を基本とする日本の安全保障政策との整合性や、国内の政治的配慮などが関係しているのだ。勿論、中国の反対・動向も視野に入る。
　
　今後も、NATO加盟国間での議論や、日本政府との協議が続くと考えられるが、2024年6月現在、NATO連絡事務所の東京設置については、まだ最終的な決定に至っていない。

　・2024年
　プラハでの外相会議(2024年5月31日)
ウクライナ支援を「必要な限り」継続することを強調し、ロシアに対して「私たちの決意を挫くことはできない」と明言。複数年にわたる財政支援の提案もロシアへの対抗策として捉えられる。

　これらの発言や行動は、しばしばロシアや中国といった国々から挑発的と見なされ、国際的な緊張を引き起こしているのだ。　
　
　さて、恐らく、参ってしまうのはEUの方かも知れない。なぜなら、その思考にある。中国もロシアも〝考え方〟に好い展望を持ち、その計画に基づいて進んでいる。

　が、NATO(EU)は〝滅び行く〟思考形式を〝最善〟考え違いをしているのだ。

　米国の悪しき政策(マイナス思考)に引き摺られている面が大きいせいもあるが、その思考形式から脱出できない主権国家としての矜恃が見られない。云わば〝子分肌〟である
　
　EUは<団栗の背競べ>状態である。

　【閑話完】

【大　要】

NATOのイェンス・ストルテンベルグ事務総長は、プラハでのNATO外相との会談で、ウクライナへの継続的な支援の重要性を強調した。2日間の会談の締めくくりとして、焦点は来たるワシントン・サミットの準備と、ロシアの侵略が続くウクライナを支援するというコミットメントの再確認でした。

ストルテンベルグ事務総長は、ウクライナへの軍事装備品の供与と訓練の調整において、予測可能性を高め、当面と長期の両方のニーズに対応することを目指し、NATOがより重要な役割を果たす計画の概要を説明しました。彼は、ウクライナへの軍事援助のほぼすべて、約99%がNATO同盟国から来ていることを強調し、NATOの関与拡大の背後にある論理を補強した。

ストルテンベルグ事務総長は、2022年のロシアの全面侵攻以降、NATO同盟国がウクライナに年間約400億ユーロの軍事支援を提供してきたことを強調し、すでに提供されている広範な支援を強調した。ロシアは、NATOの決意が弱まるのをただ待っているだけではダメだと理解しなければならないと強調した。ストルテンベルグ事務総長は、紛争の終結を早めるため、NATO加盟国に対し、少なくとも現在のウクライナ支援レベルを「必要な限り」維持するよう呼びかけた。これには、長期的な安定と強靭性を確保することを目的とした、ウクライナに対する複数年にわたる財政的コミットメントの提案が含まれています。
　
【視　点】

2024年5月31日、プラハで行われたNATO外相会議において、NATO事務総長のイェンス・ストルテンベルグは、ウクライナへの支援を「必要な限り」継続することの重要性を強調した。この会議では、7月に予定されているワシントン・サミットに向けた準備が進められ、ウクライナ支援が最優先事項として確認された。

ストルテンベルグ事務総長は、NATOがウクライナへの軍事装備と訓練の提供において、より大きな調整役を果たす計画を明らかにした。これにより、ウクライナへの支援がより予測可能になり、即時的かつ長期的なニーズに対応できるようになると述べた。現在、ウクライナへの軍事援助のほぼ99%がNATO加盟国から提供されており、NATOがその支援をより一元的に管理することは理にかなっていると強調した。

ストルテンベルグ氏は、ロシアに対して「私たちの決意を挫くことはできない」とのメッセージを発信した。2022年にロシアがウクライナに対して全面的な侵攻を開始して以来、NATO加盟国は毎年約400億ユーロ相当の軍事援助をウクライナに提供している。戦争を早期に終結させるためには、NATO加盟国が現在の支援レベルを維持することが必要不可欠であると強調した。

さらに、ストルテンベルグ事務総長は、ウクライナに対する複数年にわたる財政支援を提案した。これは、ウクライナの長期的な安定と回復力を確保するためのものであり、NATOとしての持続的なコミットメントを示すものである。NATOは、ウクライナの即時的な軍事ニーズだけでなく、将来的な復興や再建にも支援を提供することで、ウクライナの防衛力を強化し、ロシアの侵略に対抗する能力を高めることを目指している。

この会議を通じて、NATOは引き続きウクライナ支援を最優先事項とし、ウクライナの主権と領土保全を守るために団結して行動する意志を再確認した。

【要　点】

・2024年5月31日、プラハでNATO外相会議が開催され、ウクライナ支援の継続が議論された。

・NATO事務総長イェンス・ストルテンベルグは、ウクライナへの支援を「必要な限り」続けることが重要だと強調。

・会議では、7月のワシントン・サミットに向けた準備が進められ、ウクライナ支援が最優先事項として確認された。

・NATOがウクライナへの軍事装備と訓練の提供において、より大きな調整役を果たす計画を発表。

・ストルテンベルグ事務総長は、支援をより予測可能にし、即時的および長期的なニーズに対応することの重要性を強調。

・ウクライナへの軍事援助の約99%がNATO加盟国から提供されている。

・ロシアに対して「決意を挫くことはできない」というメッセージを発信。

・2022年のロシアの全面侵攻以来、NATO加盟国は毎年約400億ユーロ相当の軍事援助をウクライナに提供。

・戦争を早期に終結させるため、NATO加盟国が現在の支援レベルを維持することが重要。

・複数年にわたる財政支援を提案、ウクライナの長期的な安定と回復力を確保するため。
NATOはウクライナの即時的な軍事ニーズだけでなく、将来的な復興や再建にも支援を提供する方針。

・会議を通じて、NATOはウクライナ支援を最優先事項とし、ウクライナの主権と領土保全を守るために団結して行動する意志を再確認。

引用・参照・底本

NATO Secretary General in Prague: Allies must maintain support to Ukraine “for as long as necessary”NATO Update 2024.05.31

https://www.nato.int/cps/en/natohq/news_225833.htm?utm_medium=email&utm_campaign=NATO%20Update%20-%20week%2022&utm_content=NATO%20Update%20-%20week%2022+CID_34eb1651182c83330df4d2ce01e5e933&utm_source=Email%20marketing%20software&utm_term=NATO%20Secretary%20General%20in%20Prague%20Allies%20must%20maintain%20support%20to%20Ukraine%20for%20as%20long%20as%20necessary

【概　要】

　中国がインドとの係争中の国境沿いに「xiaokang」村を建設したことは、この地域の領有権主張を強固にし、軍事力を強化するための戦略的な動きである。これらの村落は、軍事インフラや軍民両用インフラが組み込まれており、紛争に発展することなく優位を主張する中国の「グレーゾーン」戦術において重要な役割を果たしている。

　村の拡大と軍事インフラ

　中国はZhuangnan地域を大幅に開発し、兵舎、大型建物、通信塔を備えた城壁に囲まれた複合施設を作った。このインフラは、国境地域の監視と安全確保を目的としている可能性が高い、軍または準軍事組織の存在を示している。
マジドゥンクン村では、新しい建物、道路、ヘリポートなど、大幅な改善が見られました。大型トラックと衛星放送受信アンテナを備えた軍事施設の存在は、軍事活動が進行中であることを示唆している。

　厳しい環境での迅速な建設

　ヤラオ村は急速に建設され、1年足らずで65以上の新しい建物と道路やヘリポートなどのインフラが建設された。これは、ヒマラヤの厳しい地形でも迅速にインフラを整備する中国の能力を反映している。

　クイチョンメンでは、新しい道路と軍事基地の建設が進められており、国境沿いにおける中国の戦略的位置付けがさらに浮き彫りになっている。

　戦略目標

　こうした動きは、国境防衛を強化するために民間インフラと軍事能力を統合するという中国の広範な軍事民融合戦略に沿ったものである。

　中国は、こうした僻地の人口を増やし、インフラを充実させることで、領有権主張を正当化し、軍事作戦を支援することを狙っている。

　インドの取り組みとの比較

　インドも中国の動きに対抗するため、国境沿いにインフラを整備しているが、中国の開発の規模とスピードに見合うだけの課題に直面している。

　影響

　係争中の国境沿いで進行中の中国のインフラプロジェクトは、領有権を主張し、戦略的・軍事的プレゼンスを強化するという中国の長期的なコミットメントを強調している。　
　
　これらの活動は、この地域における中国の進化する能力と意図を理解するために、継続的な監視を必要とする。

【視　点】

中国がインドとの紛争地域に沿って建設している「小康」村は、中国の戦略的な目的を果たすための重要な手段となっている。

開発の詳細

1. Zhuangnan

・位置：実効支配線(LAC)からわずか7キロメートル北西。

・施設：壁で囲まれた複合施設には少なくとも11棟の建物があり、その後、複数の建物が新たに建設された。これらの建物には兵舎、大型建物、レドームまたは通信塔が含まれる。

・目的：これらの施設は中国人民解放軍(PLA)または人民武装警察(PAP)の使用を示唆しており、国境付近の活動を監視するための拠点として機能する可能性が高い。

2. Majiduncun

・位置：Zhuangnanから2キロメートル北、LACから10キロメートル未満。

・施設：新しい建物群、舗装された道路、2つのヘリパッドを含む。北部にはゲート付きの入口、衛星アンテナ、軍用トラックがある施設も存在。

・目的：この村はPLAまたはPAPの活動をサポートするための拠点として機能する。特にヘリパッドは物資や人員の迅速な移動を可能にし、緊急時の対応能力を高める。

3. Yarao

・位置：LACから約26キロメートル北西。

・施設：2018年から2022年初頭にかけて約30棟の建物が建設され、さらに65棟の新しい建物が短期間で建設された。新しい道路と2つのヘリパッドも追加された。

・目的：この村の急速な建設は、中国が過酷な環境下でもインフラを迅速に整備できる能力を示している。

4. Kuiqiongmen

・位置：馬及墩村と亞繞村の間。

・施設：険しい丘陵地帯に沿って新しい道路が建設され、小さな建物と中庭が設けられた。建物は2020年に解体され、その後、さらなる工事が行われている。

・目的：この場所は、軍事または警察の前哨基地として機能する可能性が高い。

戦略的意図

1.軍民融合(Military-Civil Fusion)

・概要：中国は経済発展と軍事力を統合する戦略を推進しており、これにより民間のインフラが軍事活動をサポートする。

・例：xiaokangの建設は、民間の村落が軍事拠点としても機能するよう設計されている。
灰色地帯戦術(Gray Zone Tactics)

・概要：武力衝突に至らない形で戦略的な目的を達成するための手段。これには民間インフラを利用して領土主張を強化する方法が含まれる。

・例：国境地域の人口増加とインフラ整備により、中国は領土の正当性を主張し、軍や警察の活動を支援する。

影響

1.インドの反応

・対策：インドもまた国境地域にインフラを整備し、中国の動きに対抗している。
・課題：しかし、中国の開発規模とスピードに追いつくのは難しい。

2.国際関係

・緊張の高まり：これらの動きは中印間の緊張を高め、地域の安定に影響を与える可能性がある。

・監視の重要性：これらの開発動向を継続的に監視することが、中国の戦略的意図を理解し、適切な対応をとるために重要である。

これらの動きを通じて、中国はインドとの国境における軍事的および戦略的優位性を確保しようとしており、これが地域の緊張を一層高める可能性がある。

【要　点】

開発の詳細

1.Zhuangnan

位置：実効支配線(LAC)から7キロメートル北西
施設：壁で囲まれた複合施設、兵舎、大型建物、通信塔
目的：PLAまたはPAPによる国境監視と防衛

2.Majiduncun

位置：Zhuangnanから2キロメートル北、LACから10キロメートル未満
施設：新しい建物群、舗装された道路、ヘリパッド、軍用施設
目的：軍事活動と物資・人員の迅速な移動の支援

3.Yarao

位置：LACから約26キロメートル北西
施設：短期間で65棟の新しい建物、道路、ヘリパッド
目的：迅速なインフラ整備能力の示威

4.Kuiqiongmen

位置：MajiduncunとYaraoの間
施設：新しい道路、小さな建物、建設中の前哨基地
目的：軍事または警察の前哨基地

戦略的意図

1.軍民融合(Military-Civil Fusion)

概要：経済発展と軍事力の統合
例：民間村落が軍事拠点としても機能

2.灰色地帯戦術(Gray Zone Tactics)

概要：武力衝突なしで戦略的目標達成
例：国境地域の人口増加とインフラ整備で領土主張強化

影響

1.インドの反応

対策：インドも国境地域のインフラ整備を進める
課題：中国の開発規模とスピードに追いつくのは困難

2.国際関係

緊張の高まり：中印間の緊張が増加
監視の重要性：中国の戦略的意図を理解するための継続的な監視の必要性

引用・参照・底本

China Is Upgrading Dual-Use Villages Along Its Disputed Indian Border ChinaPower 2024.05.16

https://chinapower.csis.org/analysis/china-upgrading-dual-use-xiaokang-villages-india-border/

【概　要】

　スティーブン・ブライエンの分析は、ウクライナ情勢の悲惨な状況と、NATOの関与に対するより広範な影響を描いている。彼は、NATOの行動、特にロシア領土への深い攻撃の検討は危険であり、紛争をさらにエスカレートさせる可能性があると示唆している。また、ウクライナが直面している課題として、多くの死傷者を出していることや、防衛のためのドローンへの依存などについても強調している。

　ブライエンの評価は、NATOの戦略の有効性と、さらなる軍事的エスカレーションの潜在的な結果について重要な疑問を提起している。彼は、NATOの軍事力がロシアと比較して限界があることを、特に通常の地上戦のシナリオで指摘している。

　さらに、ブライエンは、NATOがロシアとの交渉と外交的解決を見出せなければ、さらなる損失を招き、NATOの全体的な立場を弱体化させる可能性があると示唆している。彼は、NATOの行動が、一部の加盟国に同盟以外の安全保障上の代替案を模索するよう促す可能性があることを示唆している。

　ブライアンの分析は、ウクライナ紛争とそれに対するNATOの対応に伴う複雑さとリスクを強調している。あらゆる選択肢を慎重に検討する必要性と、さらなるエスカレーションを防ぐための外交努力の重要性を強調している。

【視　点】

Stephen Bryenの分析は、ウクライナの状況とNATOの関与の広範な影響について厳しい状況を描写している。彼は、特にロシア領内への深刻な攻撃を検討していることが、紛争をさらにエスカレートさせる可能性があり、その行動がリスキーであると指摘している。また、ウクライナが直面している課題、特に大きな戦死者数や防衛のためのドローンへの依存についても強調している。

Bryenの評価は、NATOの戦略の効果や、軍事的なエスカレーションの可能性に関する重要な問題を提起している。彼は、特に従来の陸上戦争シナリオにおけるNATOの軍事能力とロシアの軍事能力の比較について、NATOの軍事的な制約を指摘している。

さらに、BryenはNATOがロシアとの交渉をせず、外交的な解決策を見つけることができない場合、さらなる損失を招き、NATOの全体的な立場を弱体化させる可能性があると示唆している。彼は、NATOの行動が一部の加盟国を同盟外での安全保障の選択肢を模索する方向に押しやる可能性があると示唆している。

Bryenの分析は、ウクライナ紛争とNATOの対応に関する複雑さとリスクを強調している。彼は、すべての選択肢を慎重に考慮し、さらなるエスカレーションを防ぐための外交的な取り組みの重要性を強調している。

【要　点】

・NATOは、ウクライナ情勢に関してロシアとの対立を拡大させる行動を検討しており、特にロシア領内への深刻な攻撃を含む。

・ウクライナは戦死者や負傷者を大勢出しており、その軍の弱体化が進んでいる。

・NATOの軍事的な能力は、ロシアのそれと比較して限られており、従来の陸上戦争において不利な状況にある。

・NATOはロシアとの交渉を行わず、外交的な解決策を見つけることができない場合、さらなる損失を被り、その立場が弱体化する可能性がある。

・NATOの行動は一部の加盟国を同盟外での安全保障の選択肢に追いやる可能性がある。
複雑なウクライナ情勢とNATOの対応には、慎重な考慮と外交的な取り組みが必要である。

引用・参照・底本

NATO flirting with war and extinction in Ukraine ASIATIMES 2024.06.03

https://asiatimes.com/2024/06/nato-flirting-with-war-and-extinction-in-ukraine/

【概　要】

　中国の強襲揚陸艦076型の開発は、中国の海軍戦略の進化、特に台湾に関する野心を浮き彫りにしている。中国は、無人機やその他の無人システムを支援する能力を統合することで、海上攻撃能力を強化し、海上輸送能力の主要なギャップに対処することを目指している。

　この艦艇は、中国最大の水陸両用艦と最新鋭の空母の間のギャップを埋める、中国の海軍構造における重要な進歩を表している。076型は、より広い飛行甲板を持ち、電磁カタパルトやアレスティングギアを搭載する可能性を秘めており、無人機中心の海軍戦略への移行を示唆している。

　台湾が関与する潜在的な紛争シナリオでは、中国が076型などの無人機空母を使用することで、長距離での無人航空機作戦が可能になり、戦術的および戦略的可能性が拡大する可能性がある。ただし、ドローンは特定のミッションに対してコストと実現可能性の点で利点を提供するが、特に強力な防空システムを備えた環境では制限もあることを認識することが重要である。

　さらに、中国が海軍航空能力を複数の小型艦艇に分散させる「雷空母」構想を重視していることは、運用の柔軟性と生存性を高めることを目的とした戦略を反映している。しかし、これらの軽量空母は、航空翼が小さいことや敵軍に対して脆弱であることなどの課題に直面しており、陸上の飛行場と比較して戦略的価値が制限される可能性がある。

　海南省、南シナ海、カンボジアなどの地域に海軍と空軍の基地を強化する中国が現在取り組んでいる取り組みは、これらの制限の一部を緩和する可能性がある。しかし、台湾シナリオにおける中国の海軍戦略の有効性は、地域のアクターの対応や軍事力の進化など、さまざまな要因に左右されるだろう。

【視　点】

中国のType 076強襲揚陸艦は、台湾に関する潜在的な紛争シナリオにおける中国の海軍戦略の進化を象徴している。この艦艇は、ドローンや他の無人システムの支援能力を統合することで、中国が海上打撃能力を強化し、シールフト能力(【参考】)の重要なギャップを解消しようとする意図を示している。

この艦船は、中国最大の強襲揚陸艦と最も先進的な空母の間のギャップを埋める重要な進展を表している。Type 076は、より広い飛行甲板や電磁カタパルト、着艦装置を備える可能性があり、ドローン中心の海軍戦略への転換を示している。

台湾を含む紛争シナリオでは、中国のドローンキャリアの活用により、遠隔地での無人航空作戦が可能となり、そのための戦術的および戦略的な可能性が拡大する。ただし、ドローンはコストや実現可能性の面で利点を持つ一方で、強力な防空システムが存在する環境では限界がある。

また、中国の「ライトニングキャリア」コンセプトに対する重点も、海軍航空能力を複数の小型艦船に分散させることで、運用上の柔軟性と生存性を向上させる戦略を反映している。ただし、これらのライトキャリアは、小さな航空群や敵勢力への脆弱性などの課題に直面しており、陸上基地と比較して戦略的価値が制限される可能性がある。

中国が海南や南シナ海、カンボジアなどの地域で海軍および空軍基地を強化している取り組みは、これらの制約の一部を緩和する可能性がある。ただし、中国の海軍戦略の効果は、地域の関与する者の反応や軍事力の進化など、さまざまな要因に依存することに留意する必要がある。

【要　点】

・Type 076は、中国が台湾を含む紛争シナリオにおいて海軍戦略を進化させようとする重要な一環である。

・この艦艇は、ドローンや他の無人システムの支援能力を統合することで、海上打撃能力を強化し、シールフト能力のギャップを解消しようとする中国の意図を示している。

・Type 076は、中国の最大の強襲揚陸艦と最も先進的な空母の間のギャップを埋める重要な進展を表している。

・この艦船は、広い飛行甲板や電磁カタパルト、着艦装置などを備える可能性があり、ドローン中心の海軍戦略への転換を象徴している。

・中国のドローンキャリアの活用により、遠隔地での無人航空作戦が可能となり、そのための戦術的および戦略的な可能性が拡大する。

・ライトニングキャリアコンセプトにより、海軍航空能力を複数の小型艦船に分散させることで、運用上の柔軟性と生存性を向上させることが意図されている。

・ただし、これらのライトキャリアは、小さな航空群や敵勢力への脆弱性などの課題に直面しており、陸上基地と比較して戦略的価値が制限される可能性がある。

・中国が海軍および空軍基地を強化している取り組みは、これらの制約の一部を緩和する可能性があるが、効果は地域の関与する者の反応や軍事力の進化に依存する。

【参考】

シールフト能力(Sealift capability)は、軍事用語で、戦時において大量の軍隊、装備、物資を海上で輸送する能力を指す。これは、軍事作戦の展開や補給を支援し、遠隔地や海外への軍事力の迅速な移動を可能にする。特に、海上封鎖が行われている場合や陸路が不安定な場合など、海上輸送は戦略的に重要な役割を果たす。

中国がシールフト能力のギャップを指摘されているのは、台湾への軍事侵攻を想定した場合、大規模な軍隊や装備を海上で迅速に輸送する必要があるためである。この能力の不足は、中国の海軍が台湾への侵攻作戦を成功させるために直面する重要な課題の1つである。Type 076強襲揚陸艦の開発は、このシールフト能力のギャップを埋める一環として位置づけられている。

【参考】はブログ作成者が付記した。

引用・参照・底本

米は日韓に中国との関係拡大を許すか？ ParsToday 2024.06.02

https://parstoday.ir/ja/news/world-i124454

【概　要】

　アメリカが日本と韓国の中国との関係拡大を許すかどうかは、複雑な地政学的および経済的要因に左右される。

　アメリカの戦略的利益

　アメリカは、アジア太平洋地域における影響力を維持することを重要視している。特に、中国の台頭を抑制するため、日本と韓国との緊密な同盟関係を重視している。そのため、日韓が中国との関係を急速に拡大することには慎重な姿勢を取る可能性が高い。

　経済的依存

　日本と韓国にとって中国は最大の貿易相手国であり、経済的な関係は非常に重要である。アメリカもこの事実を認識しており、経済的な協力関係を完全に否定することは現実的ではない。アメリカは、日韓が経済協力を進める一方で、安全保障面での協力を強化するバランスを求めるだろう。

　北朝鮮の脅威

　アメリカは北朝鮮の脅威を強調し、日本と韓国の防衛力強化を推進している。北朝鮮のミサイル開発や核実験は、日韓にとっても現実的な脅威であり、これに対処するためにアメリカとの協力は不可欠である。

　地域の安定

　日中韓首脳会談では、経済協力や地域の安定に向けた協力が議題に上ったが、これにはアメリカの理解が必要である。アメリカは地域の安定を望んでおり、過度な緊張を避けるため、一定の範囲内での日韓中の協力には同意する可能性がある。

　プロパガンダとメディアの影響

　アメリカのメディアは、中国や北朝鮮の脅威を強調することで、日韓の対中関係に心理的な制約を与えている。これにより、日韓が中国との関係を拡大する際には慎重な態度を取るよう仕向けている。

　総じて言えば、アメリカは日本と韓国が中国との経済関係を完全に断絶することを求めるわけではないものの、安全保障や戦略的利益を重視し、中国との関係拡大には一定の制約を課すだろう。日韓が中国との関係をどの程度拡大できるかは、アメリカとの協調とバランスを取りながら進める必要がある。

【視　点】

　アメリカが日本と韓国の中国との関係拡大を許すかどうかについて、さらに説明する。以下の要素に基づいて、アメリカの立場とその影響を考察する。

1. アメリカの戦略的利益

アメリカは、中国の影響力拡大を抑制し、インド太平洋地域での自国の覇権を維持することを重要視している。この地域における主要な同盟国である日本と韓国との関係は、その戦略の中核を成している。アメリカは、以下の理由から日韓の対中関係拡大に慎重な姿勢を取る可能性が高い。

軍事的プレゼンス: アメリカは日本に約5万、韓国に約3万人の兵士を駐留させている。これにより、地域の安全保障に関与し続けるとともに、中国の軍事的な台頭を牽制している。

インド太平洋戦略: アメリカは「自由で開かれたインド太平洋」戦略を推進しており、日本や韓国との協力が不可欠である。この戦略は、中国の海洋進出を制限し、貿易や航行の自由を守ることを目的としている。

2. 経済的依存

中国は、日本と韓国の最大の貿易相手国であり、経済的な関係は非常に深い。アメリカもこの現実を理解しており、以下のような対応を取るだろう。

経済的協力の容認: アメリカは日韓が中国との経済協力を完全に断念することを求めるのではなく、重要な経済活動を認めつつも、戦略的に重要な分野では制約を設ける可能性がある。

技術とサプライチェーン: 特に半導体や先端技術などの分野では、アメリカは日韓が中国に技術移転することを警戒し、制限を設けるだろう。例えば、米国の「チップ4」同盟(アメリカ、日本、韓国、台湾)は、半導体サプライチェーンにおける協力を強化し、中国への依存を減らすことを目的としている。

3. 北朝鮮の脅威

北朝鮮は、日韓にとって現実的な軍事的脅威であり、アメリカもこの点を強調してきた。

防衛協力: 北朝鮮の核・ミサイル開発に対処するため、アメリカと日韓の防衛協力は欠かせない。アメリカは、北朝鮮の脅威を理由に、日本と韓国が防衛力を強化し、アメリカとの同盟関係を維持することを促している。

軍事演習: アメリカと日韓は定期的に大規模な軍事演習を行っており、これにより北朝鮮の挑発行動に対する抑止力を維持している。

4. 地域の安定と経済協力

日中韓首脳会談では、経済協力や地域の安定に向けた取り組みが議題に上がった。アメリカは、以下のような理由でこのような協力に対して一定の理解を示す可能性がある。

経済回復: 新型コロナウイルスのパンデミック後の経済回復に向け、地域の経済協力は不可欠である。サプライチェーンの保護や貿易の促進は、アメリカの経済にもプラスの影響を与える可能性がある。

地域の安定: 経済協力が地域の安定をもたらすことを認識し、アメリカは一定の範囲内で日韓中の協力を容認するだろう。ただし、安全保障に直結する分野については慎重な態度を維持する。

5. メディアとプロパガンダ

アメリカのメディアは、中国や北朝鮮の脅威を強調することで、日本や韓国の対中関係に心理的な制約を与えている。

世論形成: メディアを通じて、中国や北朝鮮の脅威を強調することで、日韓の世論に影響を与え、政府が対中関係を慎重に進めるよう促している。

プロパガンダ戦略: アメリカは、中国の人権問題や軍事的な拡張を取り上げることで、日韓が中国に対して警戒心を抱くよう誘導している。

結論

アメリカは、日本と韓国が中国との経済関係を完全に断絶することを求めるわけではないが、安全保障や戦略的利益を重視し、中国との関係拡大には一定の制約を設けるだろう。日韓は、アメリカとの協調を維持しつつ、経済的利益を追求するために、慎重なバランスを取る必要がある。このバランスを保つことで、地域の安定と経済成長を図ることが期待される。

【要　点】

・アメリカの戦略的利益

軍事的プレゼンス: アメリカは日本と韓国に合計約8万人の兵士を駐留させ、地域の安全保障に関与。

インド太平洋戦略: 「自由で開かれたインド太平洋」戦略を推進し、中国の海洋進出を制限。

・経済的依存

経済的協力の容認: アメリカは日韓が中国との経済協力を完全に断念することを求めない。

技術とサプライチェーン: 半導体などの先端技術分野では中国への技術移転を警戒し、制限を設ける可能性。

・北朝鮮の脅威

防衛協力: 北朝鮮の核・ミサイル開発に対処するため、アメリカと日韓の防衛協力が重要。

軍事演習: 定期的な軍事演習で北朝鮮の挑発行動に対する抑止力を維持。

・地域の安定と経済協力

経済回復: 新型コロナウイルスのパンデミック後の経済回復に向けた地域の経済協力が不可欠。

地域の安定: 経済協力が地域の安定をもたらすことを認識し、一定の範囲内で日韓中の協力を容認。

・メディアとプロパガンダ

世論形成: メディアを通じて中国や北朝鮮の脅威を強調し、日韓の世論に影響を与える。

プロパガンダ戦略: 中国の人権問題や軍事的拡張を取り上げ、日韓が中国に警戒心を抱くよう誘導。

結論

・アメリカは、日本と韓国が中国との経済関係を完全に断絶することを求めず、安全保障や戦略的利益を重視し、中国との関係拡大には一定の制約を設ける。

・日韓は、アメリカとの協調を維持しつつ、経済的利益を追求するために慎重なバランスを取る必要がある。

引用・参照・底本

米は日韓に中国との関係拡大を許すか？ ParsToday 2024.06.02

https://parstoday.ir/ja/news/world-i124454