ウクライナ戦争:ロシアンルーレットの状況2024年09月22日 10:12

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【概要】

 ウクライナ戦争が「ロシアンルーレット」のような不確実な状況に移行しているという見解が示されている。イギリスの首相キア・スターマーがアメリカ大統領ジョー・バイデンと会談し、ウクライナがロシア国内を攻撃するための長距離ミサイルの使用について話し合ったものの、具体的な決定は公表されなかった。スターマーは、議論が「戦略」に重点を置いており、個別の戦術的な決定には至っていないと述べた。

 ロシアのプーチン大統領は、西側の長距離ミサイルがロシアを攻撃する場合、NATO諸国が戦争に直接関与しているとみなし、状況の本質が劇的に変わると警告した。ロシア側は、すでに決定がなされ、ウクライナに伝えられていると考えており、これに対する対応も準備しているとしている。

 ロシアの元大統領であるメドベージェフも、西側がロシアの忍耐を試しているが、その忍耐には限界があると警告し、核兵器や他の致命的な兵器の使用が最終的に起こりうると示唆した。プーチンは、ウクライナが西側の長距離兵器を使用できるのは、NATOの衛星情報や技術的支援があるためであり、実質的にはNATOが攻撃を指示していると主張した。

 アメリカやイギリスがStorm Shadowミサイルを用いてロシアを攻撃する場合、ロシアは英国との関係に深刻な影響を与えるとしている。また、バイデン政権が戦争をエスカレートさせ、NATOがウクライナ領内に恒久的に軍事拠点を設置することで、ロシアに対する不利な状況を作り出そうとしているとされている。

 最終的に、この戦争の行方は予測不可能であり、偶然によって決まる可能性があり、ウクライナ戦争がロシアとの「ロシアンルーレット」のような危険な局面に入っているとの見解が述べられている。

【詳細】

 ウクライナ戦争における最新の動向を背景に、西側諸国、特にアメリカとイギリスが、ウクライナに長距離ミサイルを供与する可能性が戦争全体に与える影響を分析している。ここでは、ウクライナへの軍事支援を巡る緊張が「ロシアンルーレット」のような危険な状況に発展しつつあるという主張が展開されている。記事は以下の要点を掘り下げている。

 1. 米英の会談とウクライナへの支援

 イギリス首相キア・スターマーはアメリカ大統領ジョー・バイデンとホワイトハウスで会談し、ウクライナがロシア国内深部を攻撃するための長距離ミサイルの使用について話し合った。この会談は公には具体的な結論を発表せず、共同記者会見も開かれなかった。スターマーは後に、「戦略」に焦点を当てた生産的な会談だったと述べたが、具体的なステップや戦術的な決定は示されていない。彼は、9月下旬に開催される国連総会(UNGA)でさらなる進展があるかもしれないとほのめかした。

 2. ロシアの反応:プーチンの警告

 ロシアのプーチン大統領は、ウクライナが西側から供与された長距離ミサイルを使ってロシアを攻撃した場合、それはNATO諸国、特にアメリカとヨーロッパ諸国が戦争に直接関与していると見なすことを明確に警告した。この発言は、戦争の本質が劇的に変わることを意味し、ロシアはそれに応じて「適切な」対応をするとしている。過去にもプーチンは類似の警告を発してきたが、今回の発言はより深刻な響きを持っている。

 3. NATOとウクライナの関係

 プーチンは、ウクライナ軍が西側の高度な精密長距離兵器を単独で使用することは不可能であり、実質的にはNATOの直接的な支援なしには運用できないと指摘している。特に、これらの兵器の運用にはNATOの衛星情報が不可欠であり、ウクライナ単独での使用は現実的でないとしている。したがって、ウクライナがこれらの兵器を使用してロシアを攻撃するということは、実質的にはNATOが攻撃を指揮しているということを意味するというのがプーチンの主張である。

 4. ロシア側の準備:メドベージェフの発言

 ロシアの元大統領であり現在は安全保障理事会副議長を務めるドミトリー・メドベージェフは、ウクライナがロシアに侵攻したこと自体がロシアに核兵器を使用する「法的根拠」を与えたと述べ、西側諸国がロシアの忍耐を試しているが、その忍耐には限界があると警告した。メドベージェフは、最終的にはロシアが核兵器を使用するか、核兵器ではないが致命的な新型兵器を使用する可能性があると示唆し、状況は深刻化している。

 5. Storm Shadowミサイルと英国の役割

 イギリスがウクライナに供与したStorm Shadow長距離巡航ミサイルの使用が、戦争の次の段階を決定づけるかもしれないとされている。ロシアは、これがロシア領内に使用された場合、英露関係に深刻な影響を与えると明確に警告している。すでにロシアは、イギリスの外交官6名をモスクワから追放しており、これは英国に対する強いメッセージである。

 6. バイデン政権の戦略的意図

 バイデン大統領は、戦争をエスカレートさせることで、新たな戦場の「既成事実」を作り、将来的にロシアを交渉で不利な立場に追い込むことを目指しているとされている。バイデン政権が長距離ミサイルを供与することで、ウクライナ領内にNATOの恒久的な軍事拠点を設置し、ロシアに対して不利な状況を作り出す意図があるという分析である。これにより、バイデン政権は自らの任期が終わった後でも、ロシアに対する圧力が持続するような戦略的な枠組みを残そうとしているのである。

 7. 戦争の不確実性と「ロシアンルーレット」

 この記事の核心は、ウクライナ戦争がもはや単純な戦略的対立ではなく、非常に不確実な「ロシアンルーレット」のような状況に突入しているという点である。ロシアを戦場で打倒することが現実的でないとする一方で、戦争の結果が偶然に左右される可能性があるとしている。西側諸国は、ロシアの軍事力の崩壊やロシア国内の混乱を期待しており、ロシアに対する長期的な弱体化を狙っていると分析されている。

 バイデン政権は、戦争のエスカレーションによってロシアを交渉に引きずり込むための新たな「既成事実」を作り出す戦略に出ており、NATOがウクライナの領土内に軍事的なプレゼンスを確立することを目指しているとの見方が示されている。

 8. ヨーロッパの関与と経済的影響

 ヨーロッパでは、特にドイツやフランスの政治不安や経済危機がウクライナ戦争への関心を薄れさせており、戦争に対する支持が減少しつつある。記事では、ヨーロッパ経済の停滞がウクライナ支援に影響を与える可能性があると指摘している。

 結論として、この戦争はロシアとウクライナの対立を超えて、西側諸国、特にアメリカとイギリスが主導する対ロシア戦略の一環として位置づけられており、その不確実性と危険性が増しているという見解が強調されている。
 
【要点】

 ・米英の会談と長距離ミサイル問題: イギリス首相スターマーとアメリカ大統領バイデンがホワイトハウスで会談し、ウクライナがロシア国内を攻撃するための長距離ミサイルの使用について話し合ったが、具体的な決定は公表されなかった。

 ・プーチンの警告: ロシア大統領プーチンは、西側の長距離ミサイルがロシアを攻撃すれば、NATO諸国が戦争に直接関与したとみなすと警告し、状況が劇的に変わる可能性があると述べた。

 ・NATOとウクライナの関係: プーチンは、ウクライナ軍が西側から供与された高精度長距離兵器を独自に運用することは不可能であり、NATOの支援が必要であると主張。つまり、実質的にNATOがロシアを攻撃していると述べた。

 ・ロシアの反応と準備: ロシアのメドベージェフは、ウクライナの侵攻はロシアに核兵器を使用する法的根拠を与えると述べ、ロシアの忍耐には限界があり、核兵器や他の致命的な兵器の使用も視野に入れていると警告。

 ・Storm Shadowミサイルの脅威: イギリスがウクライナに供与したStorm Shadowミサイルがロシア領内で使用された場合、ロシアとイギリスの関係に深刻な影響を与えるとされ、すでにロシアは英国外交官を追放するなどの措置を取っている。

 ・バイデン政権の戦略: バイデン大統領は、ウクライナ領内にNATOの軍事拠点を確立し、ロシアに対する不利な状況を作り出すことで、戦争後もロシアに圧力をかけ続ける戦略を取っている。

 ・戦争の不確実性(ロシアンルーレット): 戦争の結果が偶然に左右される可能性があり、西側諸国はロシアの軍事的崩壊や混乱を期待しているが、戦況の予測は困難である。

 ・ヨーロッパの関与の低下: ドイツやフランスなどヨーロッパ諸国の政治的不安定や経済危機により、ウクライナ戦争への関心や支援が弱まりつつある。

【参考】

 ☞ Storm Shadowは、イギリスとフランスが共同開発した長距離空中発射巡航ミサイルである。もともとは対地攻撃用に設計され、主に高価値でよく守られた標的を攻撃する目的で使用される。以下は、このミサイルの主な特徴である。

 主な特徴

 ・射程: 約250〜560km。ウクライナに供与されたバージョンの射程は通常約250kmとされているが、標準バージョンはこれを大幅に超える能力を持っている。
 ・弾頭: 約450kgの徹甲弾や貫通弾頭を搭載。地下にある指揮センターや防護された施設を貫通して破壊できる設計。
 ・誘導システム: ミサイルはGPS、慣性航法、赤外線センサーを組み合わせた高度な誘導システムを備えており、高精度な攻撃が可能。
 ・プラットフォーム: イギリスのトーネードGR4やユーロファイター・タイフーン、フランスのラファールなど、さまざまな航空機から発射できる。
 
 ウクライナ戦争における役割

 Storm Shadowは、ロシア国内の重要な軍事インフラや後方支援拠点を攻撃するためにウクライナ軍に供与された。これにより、ウクライナはロシアの戦争遂行能力に大きな打撃を与えることが期待されている。しかし、ミサイルの使用がロシア領内で行われる場合、ロシアからの反発を招き、NATOとの直接的な対立の引き金となる恐れもある。

 ロシアは、このミサイルの使用について強い警告を発しており、ウクライナに対する支援がエスカレートすることで、戦争がさらに激化する可能性がある。

 ☞ 「ロシアンルーレット」とは、リスクの高い行動や選択をすることを指す比喩的な表現である。もともとは、実際のロシアンルーレットという危険なゲームに由来しており、1発だけ弾が入った回転式リボルバーを頭に向け、引き金を引くという命懸けの行動である。

 この文脈では、ウクライナ戦争が「ロシアンルーレット」に例えられている。すなわち、戦争の状況が予測不可能で、どのような結果が生じるか分からないまま、極めて危険な状況にエスカレートしていることを指している。特に、米英がウクライナに長距離ミサイルを供与することが、ロシアとの直接対立を引き起こす可能性があるため、このリスクはさらに高まっているという意味である。

 具体的には、戦争の結果が偶然に左右される可能性があり、ロシアとNATO諸国の間で意図せず深刻な衝突が起きるリスクが増大している状況を「ロシアンルーレット」に例えている。

【参考はブログ作成者が付記】

【引用・参照・底本】

Ukraine war turns into Russian roulette INDIAN PUNCHLINE 2024.09.16
https://www.indianpunchline.com/ukraine-war-turns-into-russian-roulette/

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