核汚染水と深圳事件 ― 2024年09月25日 21:16
【概要】
2024年9月23日、ニューヨークで中国の外交部長・王毅と日本の外務大臣・上川陽子が会談を行った。この会談では、福島の核汚染水の放出に関する合意や、深圳での日本人学生襲撃事件など、最近の日中間の問題が議論された。
王毅は、福島の核汚染水放出に対する中国の正当な反対を強調し、長期的な国際監視を受け入れるという日本の約束を守り、問題を曖昧にしないよう求めた。また、深圳での事件は個別のケースであり、中国は法に基づいて調査・処理を行い、引き続き外国人の安全を保障すると述べた。さらに、日本側にこの問題を政治化せず、冷静かつ理性的に対処するよう促した。
一方、上川は日本人の安全確保が日中関係の重要な基盤であり、中国側に適切な対応を期待していると述べた。また、日中が各分野で対話を維持し、地域の平和と発展を共に守ることが重要だと強調した。
同日、中国の副外相・Sun Weidongは日本の副外相・Yoshifumi Tsugeとも会談し、日本が最近のクアッド首脳会議や日米首脳会談で取った行動に対して懸念を示した。特に、台湾問題や海洋関連問題での発言に注意し、日中関係における「一つの中国」原則を行動で示すよう求めた。
また、専門家の意見として、一部の日本のメディアや政治家が深圳での事件を過度に誇張し、日中間の緊張を煽る可能性があると警告し、多くの中国国民はこの事件に衝撃を受け、被害者に対して哀悼の意を表していると指摘している。
【詳細】
2024年9月23日、ニューヨークにおいて、中国の外交部長・王毅と日本の外務大臣・上川陽子が会談を行い、日中両国間の重要な問題について議論しました。今回の会談の主要なテーマは、福島第一原子力発電所からの核汚染水の放出問題と、深圳で発生した日本人学生への襲撃事件であった。
福島核汚染水放出問題
王毅は、福島の核汚染水放出に対する中国の立場を強く表明した。彼は、中国がこの放出に正当な理由で反対していることを強調し、日本が国際社会と約束した長期的な国際監視の枠組みと、中国などの利害関係者による独立したサンプリング監視を受け入れるといった約束を守るよう求めた。王毅は、日本がこの問題に対して責任ある態度を示し、問題を曖昧にせず、誠実に対応するよう促した。
深圳での日本人学生襲撃事件
深圳で発生した日本人学生に対する襲撃事件について、上川は日本政府としてこの事件を重く見ており、日本人の安全が日中関係の基盤であると指摘した。彼女は、中国側に対して、事件を適切に処理し、日本国民の安全を確保するよう求めた。この要求に対し、王毅は、襲撃事件が個別の案件であり、中国政府は法に基づいて厳正に調査し、処理を行うと回答した。また、中国政府は一貫して外国人の安全を法に基づいて守る姿勢を示しており、日本側に対しては、この事件を政治問題化せず、冷静かつ理性的に対処するよう求めた。
その他の議論
日中の高官同士の対話は、両国が相互の立場を理解し、現在の課題に対して客観的で前向きな世論形成を促すために重要だとされている。特に、日中両国が戦略的かつ互恵的な関係を維持し、二国間関係の進展に向けて協力することが必要だと強調された。
日中副外相の会談
また、同日、中国の副外相・Sun Weidongと日本の副外相・Yoshifumi Tsugeも会談を行った。この会談では、日本が最近行ったクアッド(米国、オーストラリア、インド、日本の安全保障対話)首脳会議や日米首脳会談における行動が議論された。Sunは、日本が台湾問題や南シナ海関連の問題に関して慎重に発言し、「一つの中国」原則を政策や具体的な行動に反映するよう強く求めた。また、日本が南シナ海問題において問題を引き起こす存在にならないよう警告した。
日中間の緊張の要因
専門家の意見として、深圳での日本人学生襲撃事件が一部の日本メディアや政治家によって過度に誇張され、日中間の緊張を煽る可能性が指摘されている。特に、自由民主党(LDP)の総裁選に立候補している一部の候補者がこの事件を利用して政治的な主張を展開していることが問題視されている。一方で、中国国内の多くの人々はこの事件に驚きと悲しみを表明し、被害者に対して哀悼の意を示している。
さらに、日米首脳会談やクアッド首脳会議における中国を取り巻く議論が、日中間の政治的・外交的な摩擦を生じさせており、これが両国の貿易や人的交流、地域の平和と安定にも悪影響を及ぼす可能性があるとされている。
総じて、今回の会談では、両国間の現在の問題に対処しつつ、今後の日中関係を健全な方向に導くための協力と対話の重要性が確認された。
【要点】
1.福島核汚染水放出問題
・中国の王毅外交部長は、福島第一原子力発電所からの核汚染水の放出に対して中国が正当な理由で反対していると主張。
・日本が国際社会に約束した長期的な国際監視枠組みと、中国などの利害関係者による独立したサンプリング監視を守るように求めた。
・日本に対して、問題を曖昧にせず誠実に対応するよう促した。
2.圳での日本人学生襲撃事件
・日本の上川陽子外相は、この事件に対して日本側が深刻な懸念を持っており、日本国民の安全確保を重要視していると表明。
・王毅は、この事件が個別のケースであり、中国政府が法に基づいて厳正に調査・処理すると回答。
・事件を政治化せず、冷静かつ理性的に対処するよう日本側に求めた。
3.日中関係の全般的な課題
・両国が相互の立場を理解し、現在の問題に対して客観的で前向きな世論形成を促すための対話の重要性を確認。
・日中が戦略的かつ互恵的な関係を維持し、関係の進展に向けて協力することが強調された。
4.副外相同士の会談
・中国の孫衛東副外相は、日本がクアッド首脳会議や日米首脳会談で行った行動に懸念を表明。
・特に台湾問題や南シナ海問題で、日本が「一つの中国」原則を政策や行動で示すよう求めた。
5.日中間の緊張の要因
・一部の日本メディアや政治家が深圳の事件を過度に誇張し、日中間の緊張を煽っているとの指摘。
・多くの中国国民は事件に対して驚きと哀悼の意を表明。
・クアッド首脳会議や日米首脳会談での議論が、日中間の政治的・外交的摩擦を悪化させ、貿易や人的交流、地域の平和と安定に悪影響を与える可能性があるとされている。
6.総合的な結論
・両国間の問題に対処しつつ、今後の日中関係を健全な方向に導くため、対話と協力の継続が重要であると確認された。
【引用・参照・底本】
Discharge of nuclear-contaminated water, Shenzhen schoolboy attack case discussed by Chinese, Japanese senior diplomats GT 2024.09.24
https://www.globaltimes.cn/page/202409/1320285.shtml
2024年9月23日、ニューヨークで中国の外交部長・王毅と日本の外務大臣・上川陽子が会談を行った。この会談では、福島の核汚染水の放出に関する合意や、深圳での日本人学生襲撃事件など、最近の日中間の問題が議論された。
王毅は、福島の核汚染水放出に対する中国の正当な反対を強調し、長期的な国際監視を受け入れるという日本の約束を守り、問題を曖昧にしないよう求めた。また、深圳での事件は個別のケースであり、中国は法に基づいて調査・処理を行い、引き続き外国人の安全を保障すると述べた。さらに、日本側にこの問題を政治化せず、冷静かつ理性的に対処するよう促した。
一方、上川は日本人の安全確保が日中関係の重要な基盤であり、中国側に適切な対応を期待していると述べた。また、日中が各分野で対話を維持し、地域の平和と発展を共に守ることが重要だと強調した。
同日、中国の副外相・Sun Weidongは日本の副外相・Yoshifumi Tsugeとも会談し、日本が最近のクアッド首脳会議や日米首脳会談で取った行動に対して懸念を示した。特に、台湾問題や海洋関連問題での発言に注意し、日中関係における「一つの中国」原則を行動で示すよう求めた。
また、専門家の意見として、一部の日本のメディアや政治家が深圳での事件を過度に誇張し、日中間の緊張を煽る可能性があると警告し、多くの中国国民はこの事件に衝撃を受け、被害者に対して哀悼の意を表していると指摘している。
【詳細】
2024年9月23日、ニューヨークにおいて、中国の外交部長・王毅と日本の外務大臣・上川陽子が会談を行い、日中両国間の重要な問題について議論しました。今回の会談の主要なテーマは、福島第一原子力発電所からの核汚染水の放出問題と、深圳で発生した日本人学生への襲撃事件であった。
福島核汚染水放出問題
王毅は、福島の核汚染水放出に対する中国の立場を強く表明した。彼は、中国がこの放出に正当な理由で反対していることを強調し、日本が国際社会と約束した長期的な国際監視の枠組みと、中国などの利害関係者による独立したサンプリング監視を受け入れるといった約束を守るよう求めた。王毅は、日本がこの問題に対して責任ある態度を示し、問題を曖昧にせず、誠実に対応するよう促した。
深圳での日本人学生襲撃事件
深圳で発生した日本人学生に対する襲撃事件について、上川は日本政府としてこの事件を重く見ており、日本人の安全が日中関係の基盤であると指摘した。彼女は、中国側に対して、事件を適切に処理し、日本国民の安全を確保するよう求めた。この要求に対し、王毅は、襲撃事件が個別の案件であり、中国政府は法に基づいて厳正に調査し、処理を行うと回答した。また、中国政府は一貫して外国人の安全を法に基づいて守る姿勢を示しており、日本側に対しては、この事件を政治問題化せず、冷静かつ理性的に対処するよう求めた。
その他の議論
日中の高官同士の対話は、両国が相互の立場を理解し、現在の課題に対して客観的で前向きな世論形成を促すために重要だとされている。特に、日中両国が戦略的かつ互恵的な関係を維持し、二国間関係の進展に向けて協力することが必要だと強調された。
日中副外相の会談
また、同日、中国の副外相・Sun Weidongと日本の副外相・Yoshifumi Tsugeも会談を行った。この会談では、日本が最近行ったクアッド(米国、オーストラリア、インド、日本の安全保障対話)首脳会議や日米首脳会談における行動が議論された。Sunは、日本が台湾問題や南シナ海関連の問題に関して慎重に発言し、「一つの中国」原則を政策や具体的な行動に反映するよう強く求めた。また、日本が南シナ海問題において問題を引き起こす存在にならないよう警告した。
日中間の緊張の要因
専門家の意見として、深圳での日本人学生襲撃事件が一部の日本メディアや政治家によって過度に誇張され、日中間の緊張を煽る可能性が指摘されている。特に、自由民主党(LDP)の総裁選に立候補している一部の候補者がこの事件を利用して政治的な主張を展開していることが問題視されている。一方で、中国国内の多くの人々はこの事件に驚きと悲しみを表明し、被害者に対して哀悼の意を示している。
さらに、日米首脳会談やクアッド首脳会議における中国を取り巻く議論が、日中間の政治的・外交的な摩擦を生じさせており、これが両国の貿易や人的交流、地域の平和と安定にも悪影響を及ぼす可能性があるとされている。
総じて、今回の会談では、両国間の現在の問題に対処しつつ、今後の日中関係を健全な方向に導くための協力と対話の重要性が確認された。
【要点】
1.福島核汚染水放出問題
・中国の王毅外交部長は、福島第一原子力発電所からの核汚染水の放出に対して中国が正当な理由で反対していると主張。
・日本が国際社会に約束した長期的な国際監視枠組みと、中国などの利害関係者による独立したサンプリング監視を守るように求めた。
・日本に対して、問題を曖昧にせず誠実に対応するよう促した。
2.圳での日本人学生襲撃事件
・日本の上川陽子外相は、この事件に対して日本側が深刻な懸念を持っており、日本国民の安全確保を重要視していると表明。
・王毅は、この事件が個別のケースであり、中国政府が法に基づいて厳正に調査・処理すると回答。
・事件を政治化せず、冷静かつ理性的に対処するよう日本側に求めた。
3.日中関係の全般的な課題
・両国が相互の立場を理解し、現在の問題に対して客観的で前向きな世論形成を促すための対話の重要性を確認。
・日中が戦略的かつ互恵的な関係を維持し、関係の進展に向けて協力することが強調された。
4.副外相同士の会談
・中国の孫衛東副外相は、日本がクアッド首脳会議や日米首脳会談で行った行動に懸念を表明。
・特に台湾問題や南シナ海問題で、日本が「一つの中国」原則を政策や行動で示すよう求めた。
5.日中間の緊張の要因
・一部の日本メディアや政治家が深圳の事件を過度に誇張し、日中間の緊張を煽っているとの指摘。
・多くの中国国民は事件に対して驚きと哀悼の意を表明。
・クアッド首脳会議や日米首脳会談での議論が、日中間の政治的・外交的摩擦を悪化させ、貿易や人的交流、地域の平和と安定に悪影響を与える可能性があるとされている。
6.総合的な結論
・両国間の問題に対処しつつ、今後の日中関係を健全な方向に導くため、対話と協力の継続が重要であると確認された。
【引用・参照・底本】
Discharge of nuclear-contaminated water, Shenzhen schoolboy attack case discussed by Chinese, Japanese senior diplomats GT 2024.09.24
https://www.globaltimes.cn/page/202409/1320285.shtml