イスラエルのイラン核施設への核攻撃の懸念2024年10月30日 13:14

Microsoft Designerで作成
【概要】

 イスラエルとイラン間の緊張が高まり、イスラエルがイランの核施設への核攻撃を検討しているとする元国連兵器査察官のスコット・リッター(SR)の発言を中心に述べている。

 1.イスラエルによる核攻撃の可能性

 リッター氏は、イスラエルがイランの核施設をターゲットにする可能性が高く、その手段として「秘密の核兵器」が使用される可能性を指摘している。特に、イランのフォルドウにある「平和的な核プロジェクトの一つ」である施設が標的になると述べた。

 2.米露間の緊張

 イスラエルとイランの対立が米国とロシアの直接対立に発展する可能性があると主張している。これに関連して、ロシアがイランにおける「レッドライン」を設定しているという情報も言及されている。

 3.NBCの報道に基づくイスラエルのターゲット選定

 NBCによると、イスラエルは軍事およびエネルギーインフラへの報復攻撃のための標的を特定しており、これがイランの石油やガス施設を含むかは不明である。もし含まれる場合、これはカマラ・ハリス副大統領の「グリーンアジェンダ」と相反する可能性がある一方で、トランプ前大統領には有利となる。

 4.イランの核技術の発展とその軍事的影響

 リッター氏は、イランが平和目的で進めている核技術が地域の戦略的均衡を変えつつあるとし、イランが核兵器の開発能力を持つ「潜在的な核保有国」として認識される状況になりつつあると分析している。

 5.ネヴァティム空軍基地への攻撃

 イランの「極超音速ミサイル」がイスラエルのネヴァティム空軍基地を攻撃し、最新鋭のF-35戦闘機が20機破壊されたと伝えられている。この攻撃がイスラエルの「Dimona」にある秘密の核施設から16キロの位置で行われたとしている。

 6.イスラエルへの潜在的な報復の影響

 リッター氏は、もしイスラエルがイランへの核攻撃を実行した場合、イランが報復に出ることでイスラエル全土が破壊される可能性があると予測している。また、報復による犠牲者が中東全域で1億人に及ぶ可能性についても言及している。

 7.米国のミサイル防衛システムの配備

 バイデン政権がイスラエルに「THAADミサイル防衛システム」を配備し、イランからのミサイル攻撃を防ごうとしているが、リッター氏によれば、このシステムではイランの「止められない極超音速ミサイル」を阻止するのは困難とされる。

 最後に、イスラエルとイランが核施設やエネルギーインフラに関する何らかの取引に向けた調整を行っている可能性にも触れているが、そのような推測が実際に成り立つかについては疑問が残ると結んでいる。

【詳細】

 イスラエルとイランの対立が非常に深刻化しており、特にイスラエルがイランの核施設に対して核攻撃を検討している可能性について、元国連兵器査察官スコット・リッター(Scott Ritter、SR)が警告しているという内容である。これにより、地域情勢は大きく変化し、米国とロシアの対立にも発展しかねない状況が描かれている。以下、主要な要素をさらに詳述する。

 1.イスラエルの核攻撃準備の可能性と標的

 リッター氏は、イスラエルがイランの核施設を攻撃するために「秘密裏に保有している核兵器」を使用する可能性を示唆している。特にイランのフォルドウ核施設が標的となる可能性が高く、この施設は山岳地帯に位置しており、通常兵器で破壊するのは難しいとされる。リッター氏は、イスラエルがこの施設に対して核攻撃を実行する場合、非常に大きな破壊力を持つ可能性があるとしている。

 2.米露関係と中東情勢への影響

 イスラエルとイラン間の緊張が高まる中で、米国がイスラエルを支援する一方で、ロシアがイランを支援する可能性があり、これは米露の直接的な衝突に発展する危険があるとされている。また、ロシアはイランにおける「レッドライン(軍事的な限界)」を設定しており、イランの核関連施設が攻撃されることを容認しない立場を取る可能性が高い。

 4.イスラエルの報復攻撃の可能性

 NBCニュースの報道によれば、イスラエルはイランへの報復攻撃の対象として、イランの軍事インフラやエネルギー施設を特定している。しかし、これがイランの石油やガス施設を含むかどうかは不明であり、もし含まれる場合には、石油業界に利益をもたらしつつも、気候変動対策を支持するアメリカのカマラ・ハリス副大統領にとっては政治的リスクとなる可能性がある。また、トランプ前大統領がこれに対して優位に立つと推測されている。

 5.イランの核技術と潜在的核兵器開発

 リッター氏は、イランは現在、平和的な目的で核技術を発展させているとされるが、その技術力は核兵器の開発を可能にするものとされる。彼の分析によれば、イランは現時点で「潜在的な核保有国」と見なされており、ロシアの支援がなくとも独自に核兵器を開発する能力を持つ可能性が高い。

 6.ネヴァティム空軍基地への攻撃とその意味

 イランは「極超音速ミサイル」を使用してイスラエルのネヴァティム空軍基地を攻撃し、同基地に駐機していた最新鋭のF-35戦闘機が20機破壊されたとされる。ネヴァティム基地はイスラエルのDimona核施設から約16キロメートルの距離に位置しており、核施設に対する攻撃の可能性も考えられる。極超音速ミサイルの使用は、イランが高度な軍事技術を持っていることを示し、イスラエルの防衛戦略に対して深刻な脅威を与えるものとされる。

 7.核攻撃が引き起こす報復とその影響

 リッター氏は、もしイスラエルがイランに対して核兵器を使用した場合、イランが報復に出ることが確実であり、イスラエル全土が破壊される可能性があると警告している。リッター氏の試算によれば、この報復行動によってイスラエルとパレスチナ全域で約1,200万人が犠牲になるとされ、中東全域においては1億人の死者が出る可能性もあるとしている。このような甚大な被害が想定されるため、イスラエルが核攻撃を行うことは「自殺行為」であるとまで述べている。

 8.米国のミサイル防衛システム「THAAD」の配備とその限界

 米国は、イランからの報復を防ぐために「THAADミサイル防衛システム」をイスラエルに配備している。しかし、リッター氏によれば、このシステムはイランが保有する「止められない極超音速ミサイル」に対しては効果が薄いとされる。これは、イランがイスラエルの重要拠点であるDimona核施設を標的にした場合、THAADでは防ぎきれないことを意味し、イスラエルの安全保障にとって重大な懸念材料である。

 イスラエルとイランの「取引」の可能性

 最後に、イスラエルとイランが核施設やエネルギーインフラを攻撃しないという「取引」を行っている可能性にも言及されている。しかし、このような取引が実際に存在するかについては疑問が呈されており、事態がこのままエスカレートすれば、地域全体が戦争に突入する可能性も示唆されている。

 全体を通じて、イスラエルとイランの対立が核の脅威を伴って深刻化していること、米国とロシアの地政学的対立が背景にあることが強調されている。また、リッター氏の分析によると、両国の衝突が中東全域に大きな影響を与え、多大な犠牲を伴う結果に繋がるリスクがあることが強調されている。

【要点】

 ・イスラエルの核攻撃準備の可能性: スコット・リッター氏は、イスラエルがイランのフォルドウ核施設に対して秘密裏に保有する核兵器を使う可能性を警告している。

 ・米露の対立リスク: イスラエルとイランの衝突が米国とロシアの直接対立に発展する恐れがあり、ロシアはイランの「レッドライン」を設定している。

 ・イスラエルの報復攻撃: NBC報道によると、イスラエルはイランの軍事インフラやエネルギー施設への報復攻撃を検討中だが、石油・ガス施設も対象かは不明である。

 ・イランの核技術と潜在的核兵器開発: リッター氏はイランが独自に核兵器を開発できる技術力を持つ可能性を指摘している。

 ・ネヴァティム空軍基地への攻撃: イランの極超音速ミサイルがイスラエルのネヴァティム空軍基地を攻撃し、F-35戦闘機が破壊されたとされ、イスラエルの防衛に重大な影響を及ぼす。

 ・核攻撃が引き起こす報復の影響: イスラエルがイランに核攻撃を行った場合、イランの報復により中東全域で1億人の死者が出る可能性があり、イスラエルの存続も危ういとされる。

 ・米国のTHAADシステム配備の限界: 米国がイスラエルにTHAAD防衛システムを配備しているが、イランの極超音速ミサイルには効果が限定的である。

 ・イスラエルとイランの「取引」可能性: 核施設やエネルギーインフラの攻撃を避ける取引が存在する可能性があるが、信憑性は不明で、情勢の緊迫化が進むリスクがある。

 このように、イスラエルとイランの対立が核の脅威を伴い、地域全体に広がる深刻な結果をもたらす危険性が示されている。

【引用・参照・底本】

Israel Ready to Drop Nuclear Bombs on Iran’s Peaceful Nuclear Facilities, Scott Ritter Says Voltairenet.org 2024.10.15
https://www.voltairenet.org/article221381.html

山本氏:貧困と格差の問題・平和の選択2024年10月30日 18:46

Microsoft Designerで作成
【概要】

 れいわ新選組の山本太郎氏は、今次衆議院選挙を通じ、国内の貧困と格差、そして平和の選択を有権者に呼びかけている。山本氏の街頭演説では、現行の政治が経済格差や貧困問題をさらに悪化させてきたことを指摘し、政治への不信感を訴えつつ、国会内外での積極的な改革を求めている。長期にわたる経済停滞の原因を緊縮財政や増税、そして富の一極集中と捉え、これに対抗するための消費税廃止や賃金上昇政策を主張している。

 また、山本氏は政治の主体を「有権者自身」にあると強調し、選挙を通じた変革を実現することができると呼びかける。

【詳細】

 れいわ新選組の山本太郎代表は、2024年10月25日の演説において、政治が国民生活に与える深刻な影響について強い危機感を訴え、れいわが掲げる政策の重要性を力説した。その主張は「貧困か繁栄か」「戦争か平和か」という二つのテーマに集約され、特に貧困問題とそれに連なる経済政策の改革を中心にしている。山本は、日本が過去30年間にわたる緊縮財政と増税により経済的に疲弊しているとし、現政権の政策では根本的な改善が見込めないと強調した。以下に演説の主なポイントを詳述する。

 1. 経済政策の重要性と「消費税の廃止」

 山本氏は、れいわ新選組が掲げる政策の中心に「消費税の廃止」があると述べた。彼は消費税を大企業の減税分の穴埋めとして利用されてきたとし、その結果、国民全体の消費が抑えられ、経済全体が停滞していると指摘している。さらに、消費税増税が直接的に法人税減税につながっており、これにより所得格差が拡大し、経済の悪循環が生じていると主張している。

 2. 非正規雇用と労働環境の問題

 山本氏は、非正規雇用の増加によって実質賃金が下がり、個人の購買力が低下している点も強調した。1990年代から進行する労働環境の悪化は、企業がコスト削減を優先するあまり、安定した雇用の提供が難しくなっている背景にあめ。これにより、一人ひとりの消費が減少し、さらに国内経済が萎縮する悪循環が続いていると述べた。

 3. 現政権批判と「空気を読まない」野党の必要性

 山本氏は、自民党および一部の野党が「茶番」に終始し、根本的な政策改革に踏み込んでいないと非難した。多くの野党が一見与党に反対するように見せかけているが、実際には妥協し、抜本的な改革には関わっていないと指摘した。この状況を打破するためには、空気を読まずに徹底的に抵抗する政党が必要であり、その役割をれいわ新選組が担うと訴えた。

 4. 国民の意思が変革の鍵

 山本氏はまた、日本の最高権力者は総理大臣ではなく、有権者であると主張した。選挙によって国の未来を決める力が国民にあるとし、投票率の低さが現状の停滞に寄与していると指摘した。投票によって社会は変えられるため、諦めずに政治参加を呼びかけ、れいわ新選組は改革の先頭に立ちたいとの意欲を示した。

 5. 緊急性を伴う貧困の拡大

 山本氏は、日本で貧困問題が拡大し、高齢者や単身女性、ひとり親家庭に深刻な影響を及ぼしている現状を詳細に語った。彼は、現政権の政策がこの問題の解決に寄与しておらず、貧困が拡大するばかりであると批判している。彼の見解では、現在の政策では経済災害と呼べる状況を改善することは難しく、れいわ新選組が掲げる大胆な経済政策が必要であるとしている。

 総括

 山本氏の演説は、れいわ新選組が掲げる政策が単なる表面的なスローガンではなく、国民一人ひとりの生活に直結した問題に取り組むための具体的な提案であることを強調している。経済と生活の再生を掲げるれいわ新選組の主張は、現政権および従来の野党のあり方に対する根本的な批判を含みつつ、国民に選挙への積極的な参加を促している。

【要点】

 1.消費税廃止の提案

 ・山本氏は消費税が大企業の減税を補填するための手段とされ、経済の停滞と格差拡大を招いていると指摘。

 2.非正規雇用と労働環境の問題

 ・非正規雇用の増加により、実質賃金が低下し、国内経済が悪循環に陥っていると述べる。

 3.現政権および野党への批判

 ・自民党および一部の野党が政策改革に積極的でないとし、茶番に終始していると非難。れいわ新選組が「空気を読まない」姿勢で抜本改革を目指す必要性を強調。
 
 4.有権者の重要性と政治参加の呼びかけ

 ・国の変革のカギは有権者にあり、特に投票率の向上が停滞打破に不可欠であると訴える。

 5.貧困問題の緊急性

 ・高齢者、単身女性、ひとり親家庭などの貧困が拡大しており、現状の政策では改善が難しいと主張。

【引用・参照・底本】

「貧困か繁栄か、戦争か平和か」 れいわが訴える2つの争点 山本太郎×伊勢崎賢治 衆院選中盤の演説から 長周新聞 2024.10.25
https://www.chosyu-journal.jp/seijikeizai/32423

43兆円もの防衛費増額を「異次元の軍拡」と批判2024年10月30日 19:43

Microsoft Designerで作成
【概要】

 れいわ新選組の山本太郎参議院議員と衆院選候補の伊勢崎賢治氏が、沖縄での街宣で平和外交と国際的な人権問題を強調し、日本の防衛・外交政策に疑問を呈している。両氏は、日本の軍備拡大の背後にウクライナ戦争が利用され、立憲や共産を含む主要野党も政府の防衛路線に同調する姿勢が強まっていると指摘した。また、ガザでの紛争状況についても触れ、イスラエル政府の行為を「ジェノサイド」と批判。西側主要国もこれに加担しているとし、日本も含めた国際社会の役割が問われると述べた。特にUNRWAに対する資金停止措置を解除した経緯を語り、日本政府に対してパレスチナ国家承認を求めるべきとする議論を超党派で進めてきたことを明らかにした。

【詳細】

 今回の街宣では、れいわ新選組の山本太郎氏と東京外国語大学名誉教授の伊勢崎賢治氏が、特にガザでの状況と沖縄における防衛政策について強く訴えた。両氏は、日本の軍事拡大に反対し、平和外交を通じた安全保障の再構築を主張した。

 ガザ問題に対する立場

 伊勢崎氏は、ガザで進行中のイスラエルによる行動を「ジェノサイド(大量虐殺)」と呼び、その背後にはアメリカ政府からの支援があると指摘している。ガザは、人口密度が高い狭い地域において、日々一般市民が大量の爆撃にさらされており、その大半が女性や子どもであると述べている。また、この一連の行動が国際法上「戦争犯罪」の中でも最も重い「ジェノサイド」として認定される可能性が高いとしている。

 加えて、イスラエル政府がパレスチナの人道支援を担う国連機関UNRWAに圧力をかけて支援を停止させるよう求めた件についても触れ、アメリカや西側諸国がこれに同調したことが、ガザにとって生命線を断ち切る兵糧攻めに等しいと批判した。これに対し、日本がアメリカの意向に従った点を強く非難している。

 超党派議連と日本の役割

 伊勢崎氏らは、イスラエル政府に対する外交的圧力を強化するため、超党派で議員連盟を結成した。この議連には、れいわ新選組の山本太郎氏が唯一党として関与し、石破茂元防衛大臣や中谷元氏も参加している。特に中谷氏は「日本イスラエル友好議員連盟」の会長でもあり、その立場からもUNRWAへの資金停止措置解除に関与した。

 さらに伊勢崎氏は、日本政府がパレスチナを国家として承認することで、国際的な平和構築に寄与するよう働きかけているが、解散総選挙の影響で進展が遅れている現状を指摘している。

 日本の軍拡と沖縄の防衛政策への反対

 山本太郎氏は、日本がウクライナ情勢を理由に軍備拡大を進めていることに反対し、43兆円もの防衛費増額を「異次元の軍拡」と批判している。特に沖縄や先島諸島の軍事要塞化について、「台湾有事」を理由に進められているが、これは日本国内の平和と安全を脅かすものであり、むしろ対話を通じた平和外交が求められると主張している。

 このような文脈で、両氏は国際的な紛争の背景にある人権問題や平和維持の必要性を訴え、特に日本が平和外交を主体とすることで真の安全保障が実現されると説いている。また、自衛隊員に対する思いやりとともに、日本が他国の戦争や軍拡に巻き込まれない立場を目指すべきだと強調した。

 伊勢崎氏は最後に、議員となって自らの理想を実現することを決意し、これからの平和外交の担い手として、選挙を通じて日本の外交政策を変える覚悟を示した。

【要点】

 1.ガザ問題

 ・伊勢崎氏はイスラエルのガザへの攻撃を「ジェノサイド」と批判し、一般市民が犠牲になっていると指摘。
 ・イスラエルの行動が戦争犯罪と認定され得る可能性を示唆。
 ・日本がアメリカに同調し、ガザへの人道支援停止に関わった点も非難。

 2.超党派議連と日本の役割

 ・伊勢崎氏と山本太郎氏は超党派でイスラエルへの外交的圧力を強化する議員連盟を結成。
 ・中谷元氏や石破茂氏も参加し、UNRWAへの支援再開を促進。
 ・日本政府に対しパレスチナ国家承認を求めるが、解散総選挙で進展が遅れている。

 3.日本の軍拡と沖縄の防衛政策

 ・山本氏は日本の軍備増強(防衛費43兆円)を「異次元の軍拡」と批判。
 ・沖縄や先島諸島の軍事要塞化が「台湾有事」を理由に進められている点を問題視し、対話による平和外交を主張。

 4.平和外交の重要性と自衛隊員への思いやり

 ・日本が平和外交を重視し、他国の戦争に巻き込まれない立場を確立すべきと訴え。
 ・伊勢崎氏は、自らが議員となって平和外交を推進する意志を表明。

【引用・参照・底本】

戦時翼賛化の流れに抗う 平和外交が育む真の防衛力とは れいわ・山本太郎×伊勢崎賢治 軍備拡大が進む沖縄で街宣 長周新聞 2024.10.26
https://www.chosyu-journal.jp/seijikeizai/32467

新しい野党勢力の形成を目指す2024年10月30日 20:06

Microsoft Designerで作成
【概要】

 れいわ新選組の街宣活動において、多くの聴衆が山本太郎代表の訴えに共感を示している。物価高騰や消費税、貧困問題など、現代日本が抱える問題を取り上げ、現体制の政治構造を批判するれいわ新選組の姿勢が、若年層から高齢者まで幅広い層に響いているようだ。

 特に、れいわの主張が「第二自民党」と揶揄される既存の野党とは一線を画し、既得権益や外国資本に流れる政治の流れに抗する姿勢を見せている点が、支持者の間で評価されている。また、社会福祉の充実や消費税廃止といった具体的な政策提案に対しても支持が集まり、「全世代の底上げ」を目指す政策に対する期待も高まっている。れいわの街宣現場では、聴衆が日常の不安や生活への不満を山本氏に託すことで、既存政治への失望感と新たな変革への希望が浮き彫りになっているといえるだろう。

【詳細】

 れいわ新選組が2024年の衆院選で展開している訴えや支持者の反応について、さらに詳細に解説する。

 1. れいわ新選組の政策と主張

 ・経済政策:れいわ新選組は「失われた30年」を取り戻すためとして、消費税の廃止や物価高に対する現金給付を提案している。この政策は日本経済の格差是正と中小企業支援に焦点を当て、富裕層優遇から庶民の生活支援へと転換を図るものである。
 ・軍事費の見直し:れいわ新選組は43兆円の防衛費増額に強く反対している。山本代表は防衛費が優先される一方で、福祉や災害支援が疎かにされていると批判し、軍拡の是非について有権者に問題提起している。
 ・既存政治の構造批判:「政治の私物化」「利権の固定化」という点にも強い批判を向け、企業や宗教団体、既得権集団が政治に影響を与え続けている現状に対抗する姿勢を示している。

 2. 支持者の反応と共感の理由

 ・若年層と中年層の経済への絶望感:特に30代から50代の支持者からは、デフレや増税の中で苦しい生活が続き、経済的に明るい展望が見えないとする声が多く聞かれる。経済不況が政治・税制の影響であるとする認識が広がっており、れいわ新選組が主張する消費税廃止や経済的底上げの政策に共感が集まっている。
 ・中小企業経営者の厳しい状況:中小企業の倒産が増加するなか、れいわの政策が地域経済や小規模事業者の立場に立っていると評価されている。特に「消費税廃止」や「法人税改革」が利益を蓄積する大企業と困窮する中小企業の格差を縮める手段として支持されている。
 ・社会的弱者への共感:障害児を持つ親やフリーランスで生活の不安定さに悩む層は、れいわ新選組の「弱者救済」の姿勢に強い共鳴を示している。福祉政策の拡充と共に、自己申告を求められる日本の福祉制度の問題点を訴え、れいわ新選組がより包括的な支援体制の整備を求めている点が評価されている。

 3. 既存野党への批判と「第二自民党」批判

 ・既存野党の「翼賛化」批判:「第二自民党」との言葉に象徴されるように、現在の野党が自民党と大きな政策の違いを見せていないとする批判が多くある。特に、維新や立憲民主党が自民党と同じく軍拡や防衛費増額に賛成姿勢を示していることから「偽装野党」として批判され、既存政治に変革を求める層からの不満がれいわ新選組への支持に繋がっている。
 ・立憲民主党への失望:一部の支持者は、過去に立憲民主党を支持していたものの、現在ではれいわ新選組を応援する理由について、立憲民主党が結局は自民党と変わらない存在となったことを挙げている。これはれいわ新選組が与党・野党どちらにも妥協しない姿勢を見せている点が評価されているからである。

 4. れいわ新選組の選挙戦略

 ・街頭演説での共感訴求:山本太郎代表は全国各地で街頭演説を行い、聴衆の関心を直接集めている。彼の演説は、政治不信や既存政党への絶望感を抱く人々に向けられたもので、演説の熱量と具体的な政策提言によって、多くの支持を集めている。
 ・新しい野党勢力の形成:「与党と既存野党に緊張感を与える新しい勢力」の育成を目指し、れいわ新選組は、既存の野党支持者だけでなく、無党派層や政治に絶望してきた人々の関心も集めようとしている。

 れいわ新選組の選挙運動は、従来の政治体制を変革しようとするメッセージが強調されており、経済的不満、社会的な格差の是正、そして既存の政治構造に対する批判が支持を集める要因となっている。

【要点】

 1.経済政策

 ・消費税廃止を主張。物価高対策として現金給付を提案。
 ・富裕層優遇から庶民生活支援への転換を図る。

 2.軍事費増額への反対

 ・43兆円の防衛費増額に反対。福祉や災害支援が軽視されていると批判。

 3.既存政治の構造批判

 ・企業や宗教団体など既得権層による政治の私物化に対抗する姿勢。

 4.支持層の特徴と共感理由

 ・若年層・中年層:長期的な経済不況への不満から支持。
 ・中小企業経営者:経済的格差縮小政策に共感。
 ・社会的弱者:福祉支援の強化に共鳴。

 5.既存野党への批判

 ・「第二自民党」批判:維新や立憲民主党の軍拡容認姿勢に不満。

 ・特に立憲民主党が与党と変わらないとして離れる支持者が増加。

 6.選挙戦略

 ・山本代表が全国で街頭演説し、庶民の不満に直接訴えかける。
 ・新しい野党勢力の形成を目指し、無党派層の関心を集める。

【引用・参照・底本】

れいわの訴え 聴衆は何を思う? 衆院選の街宣現場で聞く 翼賛野党に代わる勢力求める声 長周新聞 2024.10.25
https://www.chosyu-journal.jp/shakai/32408

EU・NATOと移民問題2024年10月30日 21:44

Microsoft Designerで作成+
【概要】

 ティエリー・メイサンによって執筆されたもので、EUにおける移民問題、NATOの戦略、そしてトランスニストリアにおける潜在的な戦争に関する考察が述べられている。彼は、EUがNATOの一種の監視所であるとし、ルクセンブルクのEU裁判所が移民問題に関する判決を通じてこれを示したとしている。

 2024年10月4日のEU裁判所による判決により、イタリアはエジプトやバングラデシュからの移民をアルバニアの収容施設に移送することが認められなくなったと説明されている。これは、移民を国外に送還する際、実際の安全性が保証されない地域に送還することは違法であるとする考え方が背景にあるとされている。この決定は、英国のボリス・ジョンソンによる移民再配置の計画に影響を与えるものであり、同様の考えがイタリアによる移民のアルバニア移送にも適用されるというものである。

 メイサンは、移民問題をめぐる二つの異なる視点についても触れている。一つは、欧州人権裁判所(ECHR)による、救助された移民を保護し、EU内での移動を許可するという「人権保護」の視点である。もう一つは、EUの裁判所(ルクセンブルク裁判所)による、EUの指令に基づき移民の扱いを行政的に判断する視点である。

 また、メイサンは「移民を戦争の手段として利用する」というNATOの戦略についても解説している。この戦略は、移民が単に戦争から逃げる手段ではなく、戦争そのものとして使用されるとしている。たとえば、ユーゴスラビア戦争では、NATOがコソボからマケドニアへの民間人の大規模な移動を利用し、スロボダン・ミロシェヴィッチ大統領が少数派を弾圧しているとの印象を与えた。メイサンは、この概念がベネズエラやシリアでも使用されたと述べ、移民を戦争準備として利用することが可能であると主張している。

 さらに記事は、モルドバとトランスニストリアの関係にも焦点を当てている。モルドバは1991年に独立したが、トランスニストリアは同年の独立以前から独自の存在を保っていた。1992年にはトランスニストリアがロシアの平和維持軍の戦車を奪い、CIAが支援するルーマニア軍と対抗したとされている。2024年10月には、モルドバ国民がEU加盟申請を憲法に含めるか否かについての国民投票を実施し、親EU派のマイア・サンドゥ大統領が再選されたが、EU加盟については反対票が多数を占めた。記事によれば、アメリカはこれを契機としてトランスニストリアとの戦争を誘発しようとしていると述べられている。

 最後に、メイサンは、RANDコーポレーションの報告を引用し、ロシアを戦略的に疲弊させるために、ウクライナやトランスニストリアでの紛争を引き起こす計画があったと主張している。彼は、この計画がウィキペディアなどの情報操作によってプロパガンダとして拡散されたことを指摘し、西側メディアによる報道も偏向していると批判している。

【詳細】

 「NATO, Migrants in the EU and the Coming War in Moldova」では、以下の主要なポイントについて詳しく説明している。

 1. EUとNATOの関係

 ・メイサンは、EUがNATOの戦略的な支点であることを強調している。EUの政策や法律は、NATOの軍事的な目標に沿って設計されていると彼は主張している。この背景には、EU内の移民政策がNATOの戦略に影響を受けているという考えがある。

 2. ルクセンブルク裁判所の判決

 ・移民の送還に関する判決: 2024年10月18日、イタリアの裁判所が、海で救助された12人のバングラデシュ人とエジプト人移民をアルバニアに移送することを違法と判断した。この判決は、EUが移民を安全でない国に送還することを許可してはいけないという法的原則に基づいている。

 ・ECHRとEU裁判所の違い: メイサンは、EUの人権法を扱うECHR(欧州人権裁判所)とEUの行政的な法律を扱うルクセンブルク裁判所の役割の違いを強調している。ECHRは、移民の人権を保護するための法律を適用する一方で、EU裁判所はEU指令の実施を監視する役割を果たす。

 3. 移民を戦争の武器とするNATOの戦略

 ・メイサンは、移民を戦争の手段として利用するNATOの戦略を説明している。この概念は、特にユーゴスラビア戦争の際に顕著に見られ、当時のCIAがコソボからの民間人の移動を促し、その映像を使って戦争を正当化した。

 ・過去の事例: 彼は、CIAがベネズエラでの政権転覆を試みるために、500万人以上のベネズエラ人を国外に逃がすように仕向けた事例を挙げている。移民は、政府の抑圧を指摘するための手段として使われることがあり、その結果、国が戦争に突入することもあると述べている。

 4. モルドバとトランスニストリアの背景

 ・歴史的背景: モルドバは1991年に独立したが、トランスニストリアは独自に存在しており、1992年にはロシアの平和維持軍とともにルーマニアの軍隊に対抗した。この地域は、1991年以降もモルドバの一部として国連に登録されているが、実際には独立した状態にある。

 ・RANDコーポレーションの計画: メイサンは、米国のシンクタンクであるRANDコーポレーションが2019年にロシアを疲弊させるための計画を策定し、ウクライナまたはトランスニストリアでの軍事的行動を推奨したと述べている。特に、モルドバとトランスニストリアの間の紛争を利用することが考えられている。

 5. モルドバの最近の選挙

 ・2024年10月20日、モルドバでは大統領選挙が行われ、親EU派のマイア・サンドゥ大統領が再選された。しかし、国民はEU加盟申請を憲法に盛り込むことに反対した。この結果は、アメリカが意図していた「2014年のマイダン革命」の再現を目指すものであり、トランスニストリアとの戦争を誘発する計画が含まれているとされている。

 ・サンドゥ大統領の発言: サンドゥは、選挙結果が「民主主義への前例のない攻撃」とされ、国外の犯罪グループが国に対して数千万ユーロの攻撃を行ったと非難した。彼女は、これがモルドバの安定を脅かすものであるとしている。

 6. 情報操作とプロパガンダ

 ・メイサンは、ウィキペディアや西側メディアによる情報操作について言及し、特に1992年の「ドニエストル戦争」に関する情報がCIAの役割を隠していると指摘している。これにより、西側の報道が偏向していると批判している。

 移民問題と戦争の関連性、NATOの戦略、モルドバの政治的状況についての複雑な相互関係を示しており、特に移民が戦争の道具として使われるという点に焦点を当てている。メイサンは、これらの問題がどのようにして現代の国際政治に影響を及ぼすかを考察している。

【要点】

 「NATO, Migrants in the EU and the Coming War in Moldova」の主要ポイントを箇条書きでまとめたものである。

 1. EUとNATOの関係

 ・EUの政策はNATOの軍事的目標に沿って設計されている。
 ・移民政策がNATOの戦略に影響を受けている。

 2. ルクセンブルク裁判所の判決

 ・移民の送還に関する判決: 海で救助された移民をアルバニアに送還することが違法と判断。
 ・ECHRとEU裁判所の違い: ECHRは人権保護に重点を置き、EU裁判所はEUの法律を監視。

 3. 移民を戦争の武器とするNATOの戦略

 ・過去の事例(ユーゴスラビア戦争など)では、移民が戦争を正当化する手段として利用された。
 ・CIAがベネズエラで政権転覆を試み、移民を国外に逃がすように仕向けた事例がある。
 
 4. モルドバとトランスニストリアの背景

 ・モルドバは1991年に独立し、トランスニストリアは独自に存在。
 ・RANDコーポレーションがモルドバでの軍事行動を推奨する計画を策定。

 5. モルドバの最近の選挙

 ・親EU派のマイア・サンドゥ大統領が再選されたが、EU加盟申請に反対する国民が多数。
 ・選挙結果は、アメリカが意図していた「2014年のマイダン革命」の再現を目指すものとされる。

 6. 情報操作とプロパガンダ

 ・ウィキペディアや西側メディアによる情報操作の指摘。
 ・1992年の「ドニエストル戦争」に関する情報がCIAの役割を隠している。

 この記事は、移民問題、NATOの戦略、モルドバの政治的状況の複雑な関係を探求している。

【参考】

 ☞ ティエリー・メイサンの主張は、以下のような趣旨を含む。

 1. EUとNATOの関係

 ・メイサンは、EUが実質的にNATOの「監視所」として機能していると述べており、EUの決定や政策がNATOの軍事的目的に従属していると主張している。

 2. 移民問題の政治的利用

 ・彼は、移民を「戦争の武器」として利用する NATO の戦略を指摘しており、移民の流れが国家間の緊張を高める手段として用いられることがあると主張している。

 3. 特定の移民政策の批判

 ・イタリアの裁判所の移民送還を制限したことを取り上げ、その背景にはNATOの影響があると考えている。彼は、移民問題がEUの政治的および軍事的戦略と結びついていると論じている。

 4. モルドバの状況

 ・モルドバとトランスニストリアの間の緊張関係が、移民流出を引き起こし、NATOの戦略に利用される可能性があると示唆している。彼は、モルドバにおける移民問題が国家の安全保障や政治に深刻な影響を及ぼすと考えている。

 5. メディアとプロパガンダ

 ・メイサンは、西側メディアが移民問題や国際紛争を報道する際に、真実を歪めることがあると批判している。特に、CIAやNATOの関与が隠蔽され、誤ったナラティブが広まることを懸念している。

 このように、メイサンの主張は、移民問題を通じてNATOやEUの政策を批判し、国際政治の中での彼らの役割を明らかにしようとするものである。

【参考はブログ作成者が付記】

【引用・参照・底本】

NATO, Migrants in the EU and the Coming War in Moldova Voltairenet.org 2024.10.23
https://www.voltairenet.org/article221421.html