「ルールに基づいたグローバル秩序が必要だ」2024年12月15日 19:37

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【概要】
  
 2024年12月14日、元国連事務次長で元国連環境計画(UNEP)事務局長のエリック・ソールハイム氏は、北京で開催された「グローバルタイムズ年次会議2025」においてビデオスピーチを行った。会議のテーマは「パートナーシップの進展:中国と世界の価値観の共鳴」であり、初回セッションでは「大国間関係の道を探る:違いと共通点」という議題に関して専門家や学者が議論を交わした。

 ソールハイム氏は、「我々はルールに基づいたグローバル秩序を持つべきだが、すべての国に対して同じルールが適用されるべきだ」と述べた。彼は21世紀が多極化の時代になると予想する一方で、その時代が不安定なものになる可能性があると指摘した。その理由として、多くの問題を考慮しなければならないことを挙げた。21世紀の安定をどう作るかという点について、ソールハイム氏は「ルールに基づいたグローバル秩序が必要だ」と強調した。彼は、西側諸国では「西側には一つのルール、他の地域には別のルール」が適用されていると認識されることがあると述べ、具体例としてウクライナの主権は「神聖」であると言われる一方で、パレスチナの主権については無視されがちだと指摘した。

 このような西側諸国の二重基準に対する答えは、ルールに基づいたグローバル秩序を否定することではなく、すべての国に対して同じルールを適用することだと彼は強調した。

 ルールに基づくグローバル秩序の構築について、ソールハイム氏は二つの原則を提案した。第一の原則は「尊重」であり、彼は中国の「和合」文化に言及した。現代においてこれは、異なる国々が同じではなくても調和を保ち、共に協力することを意味すると述べた。第二の原則は「対話」であり、意見の違いがあった場合や、紛争解決、経済成長、エコロジー文明の創出に関して異なる見解がある場合には、どのようにそれを実現するかについて対話を重ねることが重要だと指摘した。

 「もし21世紀をこれら二つの原則、尊重と対話に基づいて築き、すべての国と人々に対して同じルールが適用されるグローバルルールを確立するならば、21世紀は人類にとってより良く、より成功した時代になるだろう」とソールハイム氏は締めくくった。

【詳細】
 
 エリック・ソールハイム氏は、2024年12月14日に開催された「グローバルタイムズ年次会議2025」において、ビデオスピーチを通じて、21世紀の国際秩序に関する自身の見解を述べた。会議は「パートナーシップの進展:中国と世界の価値観の共鳴」というテーマのもと、中国と世界の価値観の調和を目指す議論が行われた。ソールハイム氏は、国際社会における「ルールに基づく秩序」について、特に重要なメッセージを発信した。

 1. 21世紀の多極化と不安定性
 
 ソールハイム氏は、21世紀が多極化する時代であると予測している。多極化とは、世界の力関係が一極集中ではなく、複数の強力な国々が影響力を持つ状況を指す。しかし、この多極化の時代は必ずしも安定的なものではなく、さまざまな国際的な問題が絡み合っているため、不安定になる可能性があるとも述べた。これらの問題に対処するためには、より堅固で普遍的なルールが必要だと強調した。

 2. ルールに基づくグローバル秩序の必要性

 ソールハイム氏は、安定した21世紀を築くためには「ルールに基づいたグローバル秩序」を確立することが不可欠だと述べた。ただし、彼が指摘したのは、西側諸国がしばしば「西側には特別なルールがあり、他の国々には異なるルールが適用される」という二重基準を採用している点である。特に、ウクライナの主権が「神聖」とされる一方で、パレスチナの主権に関しては無視されることが多いと批判した。このようなダブルスタンダードに対して、彼は「ルールに基づいた秩序を作るべきだが、それはすべての国に対して同じルールを適用するべきだ」という立場を明確にした。

 3. 「尊重」と「対話」の二つの原則

 ソールハイム氏は、ルールに基づくグローバル秩序を実現するための基盤として、二つの重要な原則を提案した。第一の原則は「尊重」であり、これは各国が異なる文化や価値観を持っていることを理解し、他国の立場や意見を尊重するという考え方だ。特に中国の「和合(和)」文化に言及し、これは「異なるもの同士が調和し、協力して進むべきだ」という精神を表していると説明した。ソールハイム氏は、この考え方が現代の国際関係にも適用されるべきだと強調した。

 第二の原則は「対話」であり、国際問題や紛争の解決、経済成長、エコロジー文明の構築において、異なる意見やアプローチが存在することは当然であり、その場合には積極的に対話を通じて共通の解決策を見つけるべきだと述べた。対話こそが異なる国々や文化が協力して共通の目標に向かって進むための鍵であると考えている。

 4. 「尊重」と「対話」に基づく未来のグローバル秩序

 ソールハイム氏は、もし21世紀を「尊重」と「対話」の二つの原則に基づいて築き、すべての国と個人に対して平等に適用されるルールを確立するならば、その結果として、より良く、より成功した時代が築かれるだろうと確信している。この考え方は、単に理想的なビジョンを語るものではなく、現実的で実行可能な国際秩序の構築を目指している。

 彼のビデオスピーチは、現代の国際秩序が抱える矛盾や不平等に対する批判と、それを解消するための提案を含んでおり、国際社会が今後どのように協力し、調和の取れた秩序を築くかを考えるうえで重要な視点を提供している。

【要点】 

 1.21世紀の多極化と不安定性

 ・21世紀は多極化の時代になるが、複数の強力な国々の影響力が絡み合い、安定性を欠く可能性がある。

 2.ルールに基づくグローバル秩序の必要性

 ・安定した21世紀を築くためには「ルールに基づいたグローバル秩序」が必要。
 ・西側諸国ではしばしば「西側には特別なルールがあり、他国には異なるルールが適用される」という二重基準が見られる。
 ・ウクライナの主権は「神聖」とされるが、パレスチナの主権は軽視されることが多い。

 3.「尊重」と「対話」の二つの原則

 ・尊重

  ⇨ 各国の文化や価値観の違いを理解し、他国の立場を尊重する。
  ⇨ 中国の「和合」文化に言及し、異なるもの同士が調和して協力すべきだと強調。
 
 ・対話

  ⇨ 異なる意見やアプローチがある場合、対話を通じて共通の解決策を見つけるべき。
  ⇨ 紛争解決、経済成長、エコロジー文明構築において対話が重要。

 4.未来のグローバル秩序

 ・「尊重」と「対話」に基づく秩序を築けば、21世紀はより良く、成功した時代となる可能性がある。

【引用・参照・底本】

We should have a rules-based global order with same rules for everyone: former UN under-secretary-general GT 2024.12.14
https://www.globaltimes.cn/page/202412/1325027.shtml

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