アンソロピックの主張:指摘に技術的根拠がなく、米国の覇権維持と中国の発展妨害を目的とした主張2026-06-26 19:05

Dolaで作成
【概要】

 米国のAI企業アンソロピックは、中国のアリババ傘下のAI研究機関であるQwenが同社の大規模言語モデル「Claude」の性能を不正に抽出する「蒸留行為」を行ったと主張し、これが同社に対する過去最大規模の攻撃であると非難した。これに先立ち、同社は2026年2月にもDeepSeek、MoonshotAI、MiniMaxの3社に対し、不正なアカウントを多数作成してClaudeから情報を取得し自社モデルの開発に利用したと申し立てている。一方、中国側の専門家はこれらの指摘に根拠がなく、米国の技術覇権維持を目的とした主張であると反論。さらにアンソロピック自身が著作権者からトレーニングデータの不正使用を訴えられ、和解金を支払った事実も挙げられている。米国政府や複数の米国AI企業は同様の見方を示す一方、中国外務省は一連の非難を根拠のないものとして拒否している。
  
【詳細】 
 
 2026年6月、ロイターの報道によると、アンソロピックは文書の中で、アリババおよび同社のAI研究所Qwenと関連する事業者が、同社の高度なモデル「MythosPreview」の能力を加速的に模倣・再現するため、モデル蒸留と呼ばれる手法を不正に用いたと主張した。これは同社が中国企業に対して行った本年2度目の同種の申し立てである。

 同年2月23日付のウォール・ストリート・ジャーナルの報道によれば、アンソロピックはDeepSeek、MoonshotAI、MiniMaxの3社が計2万4,000件を超える虚偽のアカウントを作成し、Claudeに対し延べ1,600万回を超える問い合わせを実施、その結果得られた情報を自社システムの開発に流用したと非難している。

 これに対し、元シンセタイム知能産業研究所長のTian Feng氏はグローバル・タイムズの取材に対し、これらの指摘は技術覇権を維持しようとする不安に基づくものであり、中国のAI技術の発展を妨害するための「はしごを蹴落とす」戦略に過ぎないと述べた。同氏はまた、モデル蒸留自体はAI業界で広く用いられている技術であり、中国企業は適法なデータ源とアルゴリズムの改善により技術を進歩させていると主張している。

 一方、アンソロピック自身に関しては、2025年9月のロイター報道によると、複数の作家から許可なく著作をClaudeの学習データに使用したとして集団訴訟を起こされ、最終的に15億米ドルの和解金を支払うことで合意した。xAI最高経営責任者のイーロン・マスク氏もSNS上で、アンソロピック自身が大規模に学習データを盗用している事実があると発言している。

 ブルームバーグの報道によれば、OpenAI、アンソロピック、グーグルなど米国の主要AI企業は連携し、中国企業による米国最先端モデルからの技術抽出を抑止する方針を示している。米国科学技術政策局も2026年4月23日付の覚書で、主に中国を拠点とする外国組織が産業規模で米国の最先端AIシステムの蒸留を行っているとする情報があると表明した。

 これに対し中国外務省のGuo Jiakun報道官は翌24日、こうした主張は根拠のない中傷であり、中国のAI産業の発展を妨害する意図に基づくものであると反論。米国に対し、事実を尊重し偏見を排し、技術開発の封じ込めを停止するよう求めている。なお、記事掲載時点でアリババ側からの公式な回答は得られていない。

【要点】

 ・アンソロピックの主張:2026年2月にDeepSeek、MoonshotAI、MiniMax、同年6月にはアリババ傘下Qwenに対し、虚偽アカウントの作成や大量の問い合わせを通じてClaudeの性能を不正に抽出する「蒸留行為」を行ったと非難。

 ・中国側の反論:専門家はこれらの指摘に技術的根拠がなく、米国の覇権維持と中国の発展妨害を目的とした主張であると主張。モデル蒸留は一般的な技術であり、中国企業は法令に基づいた開発を行っていると説明。

 ・アンソロピック自身の問題:同社は2025年、著作権侵害を理由に15億米ドルの和解金を支払った経緯があり、外部からもデータ盗用の批判を受けている。

 ・米国側の対応:複数の米国AI企業が連携して技術抽出の抑止を図る方針を示し、政府も同様の認識を公表。

 ・中国政府の立場:外務省は一連の非難を根拠のないものとして拒否し、米国に対し客観的な立場での対応を求めている。

 ・共通の課題:本件はAIモデルの蒸留や学習データの扱いに関する国際的なルール整備の必要性を浮き彫りにしている。

【引用・参照・底本】

Anthropic's 'distillation' claims against Chinese firm lack substance, rooted in tech hegemony anxiety: Chinese expert GT 2026.06.25
https://www.globaltimes.cn/page/202606/1364418.shtml

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