Moonshot AI:2.8兆パラメータのオープンウェイトモデル「Kimi K3」を公開2026-07-22 17:23

Dolaで作成
【概要】

 中国のAI企業Moonshot AIが公開したオープンウェイト大規模言語モデル「Kimi K3」について、スイスのセキュリティ企業Aikido Securityが実施した評価では、サイバーセキュリティ上の脆弱性検出能力がOpenAIの最上位モデルに非常に近い性能を示したと報告された。

 同モデルは、既知の脆弱性検出においてOpenAIの中位モデルと同等の結果を示しながら、最上位モデルの約4分の1のコストで動作したとされる。この結果を受け、一部では米国AI企業に導入されている安全対策(ガードレール)が競争力に影響しているのではないかとの議論が紹介されている。

 記事では、Kimi K3の性能向上、米国企業による安全対策、中国と米国のAI競争に関する各関係者の発言を紹介している。
  
【詳細】 

 Kimi K3の評価

 Moonshot AIは先週、2.8兆パラメータのオープンウェイトモデル「Kimi K3」を公開した。

 スイスのAikido Securityは7月20日に公表した報告書で、Kimi K3はサイバーセキュリティ用途においてOpenAIの最上位モデル「GPT-5.6 Sol」に「極めて近い(extremely close)」性能を示したと評価した。

 同社は26件の既知のソフトウェア脆弱性を対象に、各AIモデルの脆弱性検出能力およびコスト効率を比較した。

 その結果、Kimi K3は26件中23件の脆弱性を検出した。

 この結果はOpenAIの中位モデル「GPT-5.6 Terra」と同等だった。動作コストは最上位モデル「GPT-5.6 Sol」の約4分の1とされた。

 Aikido Securityの研究者Philippe Dourassov氏は、評価に使用した脆弱性は非公開かつ最近発見されたものであったため、Kimi K3はそれらを学習済みではなかったと説明した。

 同氏はまた、Kimiシリーズの性能は大きく向上しており、オープンソースモデルはもはや遅れていない、との見解をSNS上で示した。

 さらにAikido Securityは、Kimi K3をサイバーセキュリティ用途では最も優れたオープンウェイトモデルと位置付け、北京のZhipu AIが先月公開したGLM-5.2よりも大幅に高性能であると評価した。

 他社からの評価

 クラウドAI開発基盤VercelのCEOであるGuillermo Rauch氏はSNS上で、GPT-5.6 Solは依然として一歩先を行く存在である。Kimi K3は価格を大きく抑えながらトップクラスのサイバーセキュリティ性能を備えている、との評価を示した。

 米国企業による安全対策

 記事では、AIによるサイバー脆弱性の発見・悪用能力が急速に向上している背景にも触れている。

 Anthropicは4月に「Claude Mythos」を公開した後、一部の米国パートナーに限定して提供。サイバーセキュリティ関連などの機微な要求については、自動的に旧モデルへ切り替える安全対策を導入したとしている。

 さらに、記事によれば、トランプ政権は先月、「Mythos」の一般向け版Fable 5」への外国からのアクセスを遮断する措置を講じた。このため同社は約3週間にわたり当該モデルへのアクセスを停止した。

 米国の安全対策を巡る議論

 記事では、中国の高性能なオープンウェイトモデルの登場により、米国の制限的な運用方針への疑問が生じていると述べている。

 元ホワイトハウスAI特別顧問のDavid Sacks氏は、FableおよびOpenAIのCodexは、安全対策(サイバーガードレール)によりソフトウェア脆弱性の修正を拒否した事例があった一方、Kimi K3は同じ脆弱性を修正し、コード品質も高かったとの利用者報告をSNS上で紹介した。

 また、Hugging Faceは自社インフラへのサイバー攻撃の分析時、米国のクローズドモデルは安全上の理由から要求を拒否した。そのため、自社環境上でZhipu AIのGLM-5.2を用いて分析を行った、と説明したという。

 Sacks氏は、中国のモデルで問題なく実行できる作業を米国モデルだけ制限する理由はなく、それは競争力を低下させるだけである、との見解を示した。

 米中AI競争に関する発言

 記事では、Kimi K3の性能向上によって米中間の先端AI競争が新たな段階に入ったとしている。

 xAI創業者のElon Musk氏は、xAIは2兆パラメータ規模の新モデルの初期学習を翌週完了予定。そのモデルはKimiを上回る可能性がある、と発言した。

 これに対し、Moonshot AIの企業向け事業責任者であるHuang Zhenxin氏は、結果を見ようではないか、と応じ、腕相撲で勝負することを歓迎すると述べたと記事は伝えている。

 また同氏は、中国のオープンウェイトモデルを低価格モデルとだけ評価すべきではないと述べ、最先端モデルを開発した以上、適正な商業価格に値するとの考えを示した。

【要点】

 ・Moonshot AIは2.8兆パラメータのオープンウェイトモデル「Kimi K3」を公開した。

 ・Aikido Securityの評価では、Kimi K3は26件中23件の脆弱性を検出し、OpenAIのGPT-5.6 Terraと同等の結果を示した。

 ・Kimi K3の動作コストは、GPT-5.6 Solの約4分の1と報告された。

 ・Aikido SecurityはKimi K3をサイバーセキュリティ用途で最も優れたオープンウェイトモデルと評価した。

 ・Anthropicは機微なサイバー関連要求について安全対策を導入していると記事は説明している。

 ・記事によれば、トランプ政権はFable 5への外国からのアクセスを遮断し、同社は約3週間アクセスを停止した。

 ・David Sacks氏は、米国AIモデルの安全対策が競争力を損なう可能性があるとの見解を示した。

 ・Hugging Faceは、米国のクローズドモデルが要求を拒否したため、GLM-5.2を用いてサイバー攻撃分析を実施したと記事は紹介している。

 ・Elon Musk氏は、新たな2兆パラメータモデルがKimiを上回る可能性があると述べた。

 ・Moonshot AIのHuang Zhenxin氏は、中国のオープンウェイトモデルは価格だけで評価されるべきではなく、最先端モデルとして適正な価格に値すると述べた。

【引用・参照・底本】

China’s Kimi K3 fuels fears safety curbs are holding back US AI SCMP 2026.07.21
https://www.scmp.com/tech/tech-trends/article/3361358/chinas-kimi-k3-fuels-fears-safety-curbs-are-holding-back-us-ai?utm_source=cm&utm_medium=email&utm_campaign=GME-O-enlz-uv&UUID=5147fda4-c483-4061-b936-ccd0eb7929aa&utm_content=20260722_Tech_FW&CMCampaignID=416006d9f185e134833a30e03c822311

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