中・比そして仁愛礁 ― 2023年12月16日 14:46
2023年12月15日に中国国防部が発表した内容に関するものである。
フィリピン武装部隊の行動に対する非難: 中国国防部は、フィリピン武装部隊の総参謀長らが仁愛礁に違法に「座礁」したとされる軍艦に乗船し、あおり立てる行動をとったことに対して、非難の態度を表明した。
中国の主張: 中国国防部の報道官である張暁剛は、フィリピンが再三の制止と警告を無視して仁愛礁付近に船舶を派遣し、不法に座礁させた軍艦に建築物資を搬入しようとしたと述べた。また、フィリピンの船舶が中国海警船に衝突し、フィリピン軍が不法座礁した軍艦に乗船してあおり立てる行動をとったと主張した。
中国の行動の合法性: 張暁剛は、中国海洋警察が法に基づいて必要な措置をとったとし、中国の対応は専門的、自制的、合理的であると述べた。中国は既にフィリピンに厳正な申し入れを行い、強く抗議したとされている。
中国の主権主張と警告: 中国は南沙諸島とその付近の海域において主権を有しており、フィリピンの挑発的な行動が南海の平和と安定を破壊するものであると主張した。中国は関係国に対し、権利侵害の挑発行為を即時に停止するよう忠告し、引き続き領土主権と海洋権益を守る姿勢を示すとしている。
【要点】
2023年12月15日、中国国防部は、フィリピン武装部隊の総参謀長らが、中国南沙諸島の仁愛礁に違法に「座礁」した軍艦に乗船した上、あおり立てる行動をとったことについて、非難する声明を発表した。
声明によると、フィリピンは10日、中国の再三の制止と警告を顧みず、仁愛礁付近の海域に船舶を派遣し、仁愛礁に不法に「座礁」した軍艦に建築物資を搬入しようと図った。その際、フィリピンの船舶が危険な方法で中国海警船に衝突して損傷を与え、さらに、フィリピン軍の一部がこの軍艦に乗船して、あおり立てる行動をとった。
これに対し、中国海洋警察は法に基づいて必要な措置をとり、現場での対応は専門的、自制的、合理的で、合法であるとしている。
中国は、仁愛礁を含む南沙諸島とその付近の海域に対して争う余地のない主権を有していると強調し、フィリピンの挑発行為は、「南海各方面行動宣言(DOC)」(註)の精神に深刻に背き、南海の平和と安定を深刻に破壊するものであると非難した。
また、関係国は事態のさらなるエスカレートと悪化を避けるために、権利侵害の挑発行為を即時に停止するよう忠告し、引き続き必要な措置をとり、領土主権と海洋権益を断固として守ると表明した。
この発表は、中国とフィリピンの南シナ海における領有権をめぐる緊張が再燃していることを示すものである。
中国は、南シナ海のほぼ全域に主権を主張しており、フィリピンやベトナム、マレーシア、台湾などの国々と領有権を争っている。近年、中国は南シナ海に軍事力を増強しており、フィリピンやアメリカなどの国々は警戒を強めている。
今回の発表は、中国が南シナ海における主権を強硬に主張する姿勢を改めて示したものといえる。
(註)
南海各方面行動宣言(Declaration on the Conduct of Parties in the South China Sea、略称: DOC)は、東南アジア諸国連合(ASEAN)と中国の間で2002年に採択された協定である。この宣言は、南シナ海における当事者国の間での対話、信頼の醸成、協力の促進を目的としている。主な内容として以下の点が挙げられる。
紛争の平和的解決: 当事者国は南シナ海での紛争を平和的に解決することを確認し、武力行使や脅迫を行わないことを合意している。
信頼醸成と協力: 南シナ海での信頼醸成と協力を進め、当事者国は友好的な関係を築くことを約束している。
自制と行動の標準: 当事者国は、南シナ海での自制と行動の標準を確立し、挑発的な行動を避けるよう努めることを確認している。
国際法の尊重: 当事者国は国際法、特に国際連合海洋法条約(UNCLOS)に基づいて、南シナ海の領土や海洋権益に関する問題を解決することを確認している。
信頼的な対話プロセスの構築: DOCは、南シナ海の問題に対する信頼性のある対話プロセスを確立することを提唱している。
ただし、DOCは法的拘束力を持っていないため、実際の状況や紛争解決に対して直接的な影響を与えることが難しい一方で、当事者国の合意に基づく自主的な行動が求められている。
・中国国防部は、12月10日にフィリピン軍が南沙諸島の仁愛礁に不法に「座礁」した軍艦に建築物資を搬入しようと試み、さらにフィリピン軍の一部が同艦に乗り込んであおり立てる行動をとったことについて、強く非難した。
・中国国防部は、フィリピン側の行動は、中国の再三の制止と警告を顧みず、また、中国海警船に危険な方法で衝突して損傷を与えたこともあって、極めて挑発的で、南海の平和と安定を深刻に破壊するものであると強調した。
・また、中国は仁愛礁を含む南沙諸島とその付近の海域に対して争う余地のない主権を有しており、フィリピンの挑発行為は「南海各方面行動宣言(DOC)」の精神に背き、南シナ海の緊張を高めるものであると指摘した。
・中国国防部は、関係国に対し、権利侵害の挑発行為を即時に停止するよう呼びかけ、引き続き必要な措置をとり、領土主権と海洋権益を断固として守るとの姿勢を示した。
・この問題は、中国とフィリピンの領有権をめぐる対立が再燃していることを示すものである。中国は、南沙諸島のほぼ全域を自国の領土と主張しているが、フィリピンやベトナム、マレーシアなど周辺国もそれぞれ領有権を主張している。
・近年、中国は南沙諸島への軍事拠点化を進めており、周辺国との緊張が高まっている。今後も、中国と周辺国との間で領有権をめぐる対立が激化することが懸念される。
・中国とフィリピンの間で南沙諸島をめぐる緊張が再燃していることを示すものである。中国は、仁愛礁を含む南沙諸島のほぼ全域を自国の領土であると主張しており、フィリピンは西沙諸島を除く南沙諸島の一部を領有権を主張している。両国はこれまでにも、南沙諸島の領有権をめぐって対立を繰り返し、2016年には、国際仲裁裁判所が中国の主張を否定する判決を下したことで、緊張が高まった。
引用・参照・底本
国防部 フィリピン武装部隊総参謀長らの仁愛礁の違法「座礁」軍艦への乗船を非難 CRI 2023.12.15
フィリピン武装部隊の行動に対する非難: 中国国防部は、フィリピン武装部隊の総参謀長らが仁愛礁に違法に「座礁」したとされる軍艦に乗船し、あおり立てる行動をとったことに対して、非難の態度を表明した。
中国の主張: 中国国防部の報道官である張暁剛は、フィリピンが再三の制止と警告を無視して仁愛礁付近に船舶を派遣し、不法に座礁させた軍艦に建築物資を搬入しようとしたと述べた。また、フィリピンの船舶が中国海警船に衝突し、フィリピン軍が不法座礁した軍艦に乗船してあおり立てる行動をとったと主張した。
中国の行動の合法性: 張暁剛は、中国海洋警察が法に基づいて必要な措置をとったとし、中国の対応は専門的、自制的、合理的であると述べた。中国は既にフィリピンに厳正な申し入れを行い、強く抗議したとされている。
中国の主権主張と警告: 中国は南沙諸島とその付近の海域において主権を有しており、フィリピンの挑発的な行動が南海の平和と安定を破壊するものであると主張した。中国は関係国に対し、権利侵害の挑発行為を即時に停止するよう忠告し、引き続き領土主権と海洋権益を守る姿勢を示すとしている。
【要点】
2023年12月15日、中国国防部は、フィリピン武装部隊の総参謀長らが、中国南沙諸島の仁愛礁に違法に「座礁」した軍艦に乗船した上、あおり立てる行動をとったことについて、非難する声明を発表した。
声明によると、フィリピンは10日、中国の再三の制止と警告を顧みず、仁愛礁付近の海域に船舶を派遣し、仁愛礁に不法に「座礁」した軍艦に建築物資を搬入しようと図った。その際、フィリピンの船舶が危険な方法で中国海警船に衝突して損傷を与え、さらに、フィリピン軍の一部がこの軍艦に乗船して、あおり立てる行動をとった。
これに対し、中国海洋警察は法に基づいて必要な措置をとり、現場での対応は専門的、自制的、合理的で、合法であるとしている。
中国は、仁愛礁を含む南沙諸島とその付近の海域に対して争う余地のない主権を有していると強調し、フィリピンの挑発行為は、「南海各方面行動宣言(DOC)」(註)の精神に深刻に背き、南海の平和と安定を深刻に破壊するものであると非難した。
また、関係国は事態のさらなるエスカレートと悪化を避けるために、権利侵害の挑発行為を即時に停止するよう忠告し、引き続き必要な措置をとり、領土主権と海洋権益を断固として守ると表明した。
この発表は、中国とフィリピンの南シナ海における領有権をめぐる緊張が再燃していることを示すものである。
中国は、南シナ海のほぼ全域に主権を主張しており、フィリピンやベトナム、マレーシア、台湾などの国々と領有権を争っている。近年、中国は南シナ海に軍事力を増強しており、フィリピンやアメリカなどの国々は警戒を強めている。
今回の発表は、中国が南シナ海における主権を強硬に主張する姿勢を改めて示したものといえる。
(註)
南海各方面行動宣言(Declaration on the Conduct of Parties in the South China Sea、略称: DOC)は、東南アジア諸国連合(ASEAN)と中国の間で2002年に採択された協定である。この宣言は、南シナ海における当事者国の間での対話、信頼の醸成、協力の促進を目的としている。主な内容として以下の点が挙げられる。
紛争の平和的解決: 当事者国は南シナ海での紛争を平和的に解決することを確認し、武力行使や脅迫を行わないことを合意している。
信頼醸成と協力: 南シナ海での信頼醸成と協力を進め、当事者国は友好的な関係を築くことを約束している。
自制と行動の標準: 当事者国は、南シナ海での自制と行動の標準を確立し、挑発的な行動を避けるよう努めることを確認している。
国際法の尊重: 当事者国は国際法、特に国際連合海洋法条約(UNCLOS)に基づいて、南シナ海の領土や海洋権益に関する問題を解決することを確認している。
信頼的な対話プロセスの構築: DOCは、南シナ海の問題に対する信頼性のある対話プロセスを確立することを提唱している。
ただし、DOCは法的拘束力を持っていないため、実際の状況や紛争解決に対して直接的な影響を与えることが難しい一方で、当事者国の合意に基づく自主的な行動が求められている。
・中国国防部は、12月10日にフィリピン軍が南沙諸島の仁愛礁に不法に「座礁」した軍艦に建築物資を搬入しようと試み、さらにフィリピン軍の一部が同艦に乗り込んであおり立てる行動をとったことについて、強く非難した。
・中国国防部は、フィリピン側の行動は、中国の再三の制止と警告を顧みず、また、中国海警船に危険な方法で衝突して損傷を与えたこともあって、極めて挑発的で、南海の平和と安定を深刻に破壊するものであると強調した。
・また、中国は仁愛礁を含む南沙諸島とその付近の海域に対して争う余地のない主権を有しており、フィリピンの挑発行為は「南海各方面行動宣言(DOC)」の精神に背き、南シナ海の緊張を高めるものであると指摘した。
・中国国防部は、関係国に対し、権利侵害の挑発行為を即時に停止するよう呼びかけ、引き続き必要な措置をとり、領土主権と海洋権益を断固として守るとの姿勢を示した。
・この問題は、中国とフィリピンの領有権をめぐる対立が再燃していることを示すものである。中国は、南沙諸島のほぼ全域を自国の領土と主張しているが、フィリピンやベトナム、マレーシアなど周辺国もそれぞれ領有権を主張している。
・近年、中国は南沙諸島への軍事拠点化を進めており、周辺国との緊張が高まっている。今後も、中国と周辺国との間で領有権をめぐる対立が激化することが懸念される。
・中国とフィリピンの間で南沙諸島をめぐる緊張が再燃していることを示すものである。中国は、仁愛礁を含む南沙諸島のほぼ全域を自国の領土であると主張しており、フィリピンは西沙諸島を除く南沙諸島の一部を領有権を主張している。両国はこれまでにも、南沙諸島の領有権をめぐって対立を繰り返し、2016年には、国際仲裁裁判所が中国の主張を否定する判決を下したことで、緊張が高まった。
引用・参照・底本
国防部 フィリピン武装部隊総参謀長らの仁愛礁の違法「座礁」軍艦への乗船を非難 CRI 2023.12.15