中国のEV企業とテスラ2024年05月02日 09:24

国立国会図書館デジタルコレクション「十二月ノ内 文月廿六夜待 (十二月ノ内)」を加工して作成
 中国の自動運転車市場におけるイーロンマスクの取り組みは、確かに嵐を巻き起こしている。マスク氏の北京訪問後にテスラの株価が急騰する中、投資家の間では楽観的な見方が広がっている。しかし、大きな課題が待ち受けている。

 大きなハードルの1つは、低価格の代替品を提供する中国の電気自動車(EV)メーカーとの競争の激化である。この競争により、テスラの株価は年間で22%下落した。さらに、テスラの納車台数の減少は、供給の問題ではなく需要の減少によるものであるという懸念が、同社を取り巻く不確実性を高めている。

 マスク氏の最近の中国訪問は、これらの課題を克服し、中国市場におけるテスラの地位を確固たるものにするという彼の決意を示している。上海にテスラのギガファクトリーを設立する上で重要な役割を果たした中国の李強首相との個人的な関係は、テスラに有利に働く可能性がある。

 しかし、テスラは中国で大きな存在感を示しているにもかかわらず、現地のEV企業との激しい競争に直面しており、現地のEV企業は急速にテスラに追いつき、一部ではテスラを追い越している。現在開催中の北京国際モーターショーでは、テスラが中国の新エネルギー車小売販売台数で第3位に転落するなど、この傾向が浮き彫りになっている。

 さらに、地政学的な緊張、特に米国と中国の間の緊張は、テスラにさらなるリスクをもたらす。貿易障壁、関税、国家安全保障上の懸念の可能性は、両国におけるテスラの事業をさらに複雑にする可能性がある。

 マスク氏は、世界のEV市場におけるテスラの成長と競争力を確保しながら、これらの複雑なダイナミクスを乗り切るという課題に直面している。彼の能力は、中国内外でのテスラの将来の軌道を決定するだろう。

【視点】

イーロン・マスクが中国の自動運転車市場に進出しようとしており、これによりテスラの株価が上昇している。

しかし、中国の競合他社からの圧力や米中間の地政学的緊張など、様々な挑戦が存在する。

マスクの中国訪問は、テスラの中国市場での地位を強化する意思の表れであり、中国の指導者との個人的な関係がその助けとなる可能性がある。

一方で、中国の地元EVメーカーの台頭や米中間の貿易摩擦、国家安全保障上のリスクなどがテスラの事業を複雑にしている。

マスクはこれらの課題を乗り越え、グローバルなEV市場でのテスラの競争力を確保する必要がある。

引用・参照・底本

Elon Musk on collision course with China’s future ASAITIMES 2024.04.30
https://asiatimes.com/2024/04/elon-musk-on-collision-course-with-chinas-future/?mc_cid=5e63646f1a&mc_eid=69a7d1ef3c

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