グローバルサウス・パワー2024年06月03日 21:42

国立国会図書館デジタルコレクション「西川美人絵尽」を加工して作成
 【概 要】

 植民地支配の記憶と独自の地政学的視点

 多くのグローバルサウス諸国は、ヨーロッパによる植民地支配の歴史を共有しており、その経験が彼らの地政学的思考に影響を与えている。これにより、彼らは欧米の影響力に対する独自の視点と戦略を持つようになっている。

 経済的成長と賢明な戦略

 20世紀後半からの経済成長に伴い、多くのグローバルサウス諸国は豊かになり、経済的な自立を果たした。これにより、彼らはグローバルな経済システムの中での位置を強化し、自身の利益を守るための賢明な戦略を打ち立てることができるようになった。

 ウクライナ戦争と制裁への対応

 ウクライナ戦争において、グローバルサウス諸国の多くは西側の対ロシア制裁に同調せず、独自の外交方針を貫いた。これにより、彼らは西側諸国の影響力に対抗し、ロシアとの経済関係を強化することで自国の利益を最大化した。

 鉱物資源とサプライチェーンの重要性

 グローバルサウスの一部の国々は、世界的な成長や気候変動への対処に不可欠な鉱物資源やサプライチェーンを有している。これにより、彼らは国際的な交渉においてより大きな影響力を持つことができるようになった。

 国際システムへの不満と改革の要求

 グローバルサウス諸国は、世界の意思決定システムでの自分たちの扱いに対して強い不満を抱いており、国連システムなどの改革を求めている。このような要求は、国際舞台での彼らの存在感を高める要因となっている。

 多国間外交と国益重視のアプローチ

 グローバルサウスの国々は、主に自国の国益に基づいた政策を通じて国際的な影響力を発揮している。彼らは、気候変動対策や米ドル支配への対抗などの分野で特に強い発言力を持ち、国際社会における役割を拡大している。

 これらの要因により、グローバルサウス諸国は現代の国際政治と経済において重要なプレーヤーとなりつつある。彼らの影響力は今後も増大し、国際システムの変革を促進する可能性が高い。

 【視 点】

 1. 植民地支配の記憶と独自の地政学的視点

 多くのグローバルサウス諸国は、過去にヨーロッパの植民地支配を経験しており、その苦い記憶が現在の地政学的戦略に影響を与えている。これらの国々は、外部からの支配や干渉に対する強い抵抗感を持ち、独自の主権を尊重する姿勢を強調している。この歴史的背景は、彼らが西洋諸国の影響力に対して懐疑的であり、独自の外交政策を追求する動機となっている。

 2. 経済的成長と賢明な戦略

 20世紀後半から21世紀にかけて、多くのグローバルサウス諸国は急速な経済成長を遂げた。例えば、中国、インド、ブラジルなどは経済大国として台頭し、国際市場での存在感を高めた。これにより、彼らは経済的な自立を果たし、自国の利益を守るための戦略を策定できるようになった。

 3. ウクライナ戦争と制裁への対応

 ウクライナ戦争において、グローバルサウス諸国は西側諸国がロシアに対して課した制裁に同調しない姿勢を見せた。例えば、インドや中国はロシアとの経済関係を維持し、エネルギー取引を拡大することで自国のエネルギー安全保障を確保した。このような独自の外交方針は、彼らが西側の影響力に対抗し、独自の道を歩む能力を示している。

 4. 鉱物資源とサプライチェーンの重要性

 グローバルサウスの多くの国々は、重要な鉱物資源や戦略的サプライチェーンを掌握している。例えば、コンゴ民主共和国は世界のコバルト生産の主要な供給源であり、これは電気自動車のバッテリーなどに不可欠である。このような資源の豊富さは、彼らが国際交渉において強い交渉力を持つ要因となっている。

 5. 国際システムへの不満と改革の要求

 グローバルサウス諸国は、国連や国際通貨基金(IMF)などの国際機関において、自国の影響力が十分に反映されていないことに対する不満を抱いている。彼らは、これらの機関がより公平で包括的な形で運営されるよう改革を求めている。このような要求は、国際社会における彼らの声を強化する一方で、国際システムの変革を促進する圧力となっている。

 6. 多国間外交と国益重視のアプローチ

 グローバルサウスの国々は、多国間の協力関係を強化し、自国の国益を最優先するアプローチを取っている。例えば、BRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)やG77(発展途上国グループ)などの枠組みを通じて、彼らは共同で国際問題に対処し、共通の利益を追求している。また、気候変動対策や貿易協定などの分野で、彼らは積極的に発言し、国際的な影響力を強めている。

 7.具体例とケーススタディ

 ・中国の台頭

 中国は、改革開放政策以降、急速な経済成長を遂げ、世界第2位の経済大国となった。これにより、国際市場での影響力が増し、「一帯一路」構想などを通じて多くのグローバルサウス諸国と経済連携を強化している。

 ・インドの独自外交

 インドは、西側諸国やロシアとのバランスを取りながら独自の外交政策を展開している。ウクライナ戦争においても、インドはロシアとの経済関係を維持しつつ、西側諸国とも協力関係を保っている。

 ・ブラジルの資源外交

 ブラジルは豊富な天然資源を背景に、エネルギーや鉱物資源の供給国としての地位を確立している。これにより、国際市場での影響力を拡大し、気候変動対策においても重要な役割を果たしている。

 これらの要因により、グローバルサウス諸国は国際社会でますます重要な役割を果たすようになっており、その影響力は今後も拡大することが予想される。彼らの力が増すことにより、国際システムはより多極化し、公平な形で運営されることが期待される。

 【要 点】

グローバルサウス諸国が力を持った理由

・植民地支配の記憶と独自の地政学的視点

ヨーロッパによる植民地支配の経験から、外部からの支配や干渉に対する抵抗感が強い。
独自の主権を尊重する姿勢を持ち、西洋諸国の影響力に対する懐疑的な視点を形成。

・経済的成長と賢明な戦略

20世紀後半からの急速な経済成長により、経済的な自立を果たす。
中国、インド、ブラジルなどが経済大国として台頭し、国際市場での存在感を強化。

・ウクライナ戦争と制裁への対応

多くのグローバルサウス諸国が西側の対ロシア制裁に同調せず、独自の外交方針を貫く。
ロシアとの経済関係を維持・拡大し、西側諸国の影響力に対抗。

・鉱物資源とサプライチェーンの重要性

重要な鉱物資源や戦略的サプライチェーンを掌握。
例:コンゴ民主共和国のコバルト供給、中国のレアアース資源。

・国際システムへの不満と改革の要求

国連やIMFなどの国際機関での影響力が不十分と感じ、改革を求める。
より公平で包括的な運営を要求し、国際社会での声を強化。

・多国間外交と国益重視のアプローチ

BRICSやG77などの枠組みを通じて共同で国際問題に対処。
気候変動対策や貿易協定などで積極的に発言し、国際的な影響力を強化。

・具体例

中国の台頭

改革開放政策以降の急速な経済成長。
「一帯一路」構想を通じた経済連携の強化。

インドの独自外交

西側諸国とロシアとのバランスを取りつつ独自の外交政策を展開。
ウクライナ戦争においてロシアとの経済関係を維持。

ブラジルの資源外交

豊富な天然資源を背景にエネルギーや鉱物資源の供給国としての地位を確立。
気候変動対策における重要な役割。

引用・参照・底本

グローバルサウス諸国が力を持った理由 ParsToday 2024.06.01

https://parstoday.ir/ja/news/world-i124452

コメント

トラックバック