「中国戦闘機による日本の哨戒機への異常接近」 ― 2025年06月12日 22:38
【概要】
2025年6月12日、午後の定例記者会見において、中国外交部の林剣報道官は、AFP記者からの質問に応じた。質問は、日本が主張する「中国戦闘機による日本の哨戒機への異常接近」についてのものであり、日本側はこの件に強い懸念を表明しているという内容であった。これに対し、林剣報道官は、中国の関連する海域および空域における活動は、国際法および国際的慣行に完全に合致していると述べた。
林報道官は、当該事案に関しては、両国の国防当局が既存のルートを通じて意思疎通を図っているとしたうえで、日本の艦艇や航空機による中国の通常の軍事活動に対する接近偵察こそが、海上および空中の安全保障上のリスクの根源であると指摘した。さらに中国は、日本に対してこのような危険な行動を中止するよう強く求めると述べた。
【詳細】
2025年6月12日午後に行われた中国外交部の定例記者会見において、報道官の林剣氏は司会を務めた。この場でAFP通信の記者が発言を求め、日本側が主張する事案――すなわち「中国の戦闘機が日本の軍用哨戒機に対して太平洋上空で異常接近した」とする件――について質問した。日本政府はこれに対し「深刻な懸念」を表明しているとされ、記者は中国外交部としての詳細な事実確認および見解を求めた。
これに対して林剣報道官は、まず中国の立場として、中国軍が関与した当該海域および空域における活動は、すべて国際法および国際的慣行に厳格に則って行われていると明言した。つまり、中国の軍事行動は合法かつ正当であり、国際社会のルールに照らしても非難されるべきものではないとの立場を強調したものである。
次に林報道官は、今回の具体的事案に関して、すなわち日中の軍用機が太平洋上空で接近したとされる事象について、両国の防衛当局間では既存のホットラインや対話ルートを通じて意思疎通を維持していると述べた。これにより、誤解や偶発的な衝突を避ける努力がなされていることを示唆している。
さらに、林報道官は、問題の根本的原因について論じ、日本の軍艦および航空機が中国の通常かつ正当な軍事活動に対して行っている「接近偵察」が、海空の安全保障上のリスクを生んでいると指摘した。すなわち、緊張を高めているのは中国側ではなく、日本側の行動に起因するとする認識を示したものである。
最後に林報道官は、中国政府として日本に対し、かかる「危険な行動」を即刻中止するよう強く求めた。ここで言及されている「危険な行動」とは、中国側が定義する、日本による対中接近偵察行為であり、中国軍の通常活動を不必要に刺激し、ひいては偶発的衝突の危険を高めるものと見なされている。
【要点】
・発言の場
2025年6月12日午後、中国外交部定例記者会見。
・質問内容
AFP記者より、日本政府が「中国戦闘機による日本の軍用哨戒機への異常接近」を主張し、「深刻な懸念」を表明している件について、中国外交部としての事実確認および見解を求める質問がなされた。
・中国側の基本的立場
林剣報道官は、中国の関連海域および空域における軍事活動は「国際法および国際的慣行に完全に合致している」と明言。
・事案に関する対応
該当する件については、日中両国の国防当局が「既存のルートを通じて意思疎通を維持している」と説明。具体的には、防衛当局間のホットラインや協議ルートなどが含まれると推察される(ただし原文では言及なし)。
・中国側の認識する問題の根源
日本の艦艇および航空機による「中国の通常の軍事活動に対する接近偵察」こそが、「海上および空中の安全保障上のリスクの根本原因」であると主張。
・日本への要求
中国は日本に対し、このような「危険な行動(接近偵察行為)」をただちに中止するよう強く求めた。
【桃源寸評】🌍
この種の国際的な軍事・安全保障に関する問題―特に領空・領海・接続水域・防空識別圏(ADIZ)などを巡る軍用機や艦船の接近や行動に関して―は、常に双方に言い分が存在する。
以下に一般的な背景と構図を箇条書きで示す。
国際的背景と構図
1.双方の立場の違い
・中国側は「自国の正当な軍事活動を近距離で監視・偵察されることは挑発的で危険」と認識。
・日本側は「国際空域・公海上での監視・警戒は合法かつ自衛的措置」と主張する傾向がある。
2.国際法の解釈差
・双方とも「国際法に則っている」と主張するが、解釈や適用範囲に違いがある。
・たとえば「接近の程度」や「行動の意図」に対する評価は一義的でなく、状況依存となる。
3.軍事的活動の「常態化」
・中国の空軍・海軍による西太平洋方面での活動は増加傾向にあり、それに対する日本・米国等の偵察活動も常態化している。
・このような「相互監視」体制は偶発的な衝突リスクを内包する。
4.外交的応酬のパターン
・こうした接近事案が起きた際、当事国は自国の行動の正当性を主張し、相手国に非を求める形の声明を発表することが通例である。
・これは国際世論へのアピールであると同時に、国内への説明責任を果たす意味も持つ。
留意点
1.第三者による中立的検証は困難
・事案の多くは軍事機密や防衛上の制約から詳細が公開されない。
・客観的証拠(映像・航跡データなど)が提示されることは稀である。
2.「異常接近」の基準は主観的
・「異常」かどうかの判断基準は国・状況によって異なる。
・片方にとっては正当な監視飛行でも、もう一方には挑発的行動と映ることがある。
要するに、このような問題では一方的な見方や断定は避けるべきであり、事実関係を慎重に見極めるとともに、双方の言い分を理解したうえで冷静な対応が求められる。
【寸評 完】🌺
【引用・参照・底本】
FM responds to Japan’s claim of ‘abnormal approach’ by Chinese fighter jet to Japanese military patrol aircraft GT 2025.06.12
https://www.globaltimes.cn/page/202506/1335966.shtml
2025年6月12日、午後の定例記者会見において、中国外交部の林剣報道官は、AFP記者からの質問に応じた。質問は、日本が主張する「中国戦闘機による日本の哨戒機への異常接近」についてのものであり、日本側はこの件に強い懸念を表明しているという内容であった。これに対し、林剣報道官は、中国の関連する海域および空域における活動は、国際法および国際的慣行に完全に合致していると述べた。
林報道官は、当該事案に関しては、両国の国防当局が既存のルートを通じて意思疎通を図っているとしたうえで、日本の艦艇や航空機による中国の通常の軍事活動に対する接近偵察こそが、海上および空中の安全保障上のリスクの根源であると指摘した。さらに中国は、日本に対してこのような危険な行動を中止するよう強く求めると述べた。
【詳細】
2025年6月12日午後に行われた中国外交部の定例記者会見において、報道官の林剣氏は司会を務めた。この場でAFP通信の記者が発言を求め、日本側が主張する事案――すなわち「中国の戦闘機が日本の軍用哨戒機に対して太平洋上空で異常接近した」とする件――について質問した。日本政府はこれに対し「深刻な懸念」を表明しているとされ、記者は中国外交部としての詳細な事実確認および見解を求めた。
これに対して林剣報道官は、まず中国の立場として、中国軍が関与した当該海域および空域における活動は、すべて国際法および国際的慣行に厳格に則って行われていると明言した。つまり、中国の軍事行動は合法かつ正当であり、国際社会のルールに照らしても非難されるべきものではないとの立場を強調したものである。
次に林報道官は、今回の具体的事案に関して、すなわち日中の軍用機が太平洋上空で接近したとされる事象について、両国の防衛当局間では既存のホットラインや対話ルートを通じて意思疎通を維持していると述べた。これにより、誤解や偶発的な衝突を避ける努力がなされていることを示唆している。
さらに、林報道官は、問題の根本的原因について論じ、日本の軍艦および航空機が中国の通常かつ正当な軍事活動に対して行っている「接近偵察」が、海空の安全保障上のリスクを生んでいると指摘した。すなわち、緊張を高めているのは中国側ではなく、日本側の行動に起因するとする認識を示したものである。
最後に林報道官は、中国政府として日本に対し、かかる「危険な行動」を即刻中止するよう強く求めた。ここで言及されている「危険な行動」とは、中国側が定義する、日本による対中接近偵察行為であり、中国軍の通常活動を不必要に刺激し、ひいては偶発的衝突の危険を高めるものと見なされている。
【要点】
・発言の場
2025年6月12日午後、中国外交部定例記者会見。
・質問内容
AFP記者より、日本政府が「中国戦闘機による日本の軍用哨戒機への異常接近」を主張し、「深刻な懸念」を表明している件について、中国外交部としての事実確認および見解を求める質問がなされた。
・中国側の基本的立場
林剣報道官は、中国の関連海域および空域における軍事活動は「国際法および国際的慣行に完全に合致している」と明言。
・事案に関する対応
該当する件については、日中両国の国防当局が「既存のルートを通じて意思疎通を維持している」と説明。具体的には、防衛当局間のホットラインや協議ルートなどが含まれると推察される(ただし原文では言及なし)。
・中国側の認識する問題の根源
日本の艦艇および航空機による「中国の通常の軍事活動に対する接近偵察」こそが、「海上および空中の安全保障上のリスクの根本原因」であると主張。
・日本への要求
中国は日本に対し、このような「危険な行動(接近偵察行為)」をただちに中止するよう強く求めた。
【桃源寸評】🌍
この種の国際的な軍事・安全保障に関する問題―特に領空・領海・接続水域・防空識別圏(ADIZ)などを巡る軍用機や艦船の接近や行動に関して―は、常に双方に言い分が存在する。
以下に一般的な背景と構図を箇条書きで示す。
国際的背景と構図
1.双方の立場の違い
・中国側は「自国の正当な軍事活動を近距離で監視・偵察されることは挑発的で危険」と認識。
・日本側は「国際空域・公海上での監視・警戒は合法かつ自衛的措置」と主張する傾向がある。
2.国際法の解釈差
・双方とも「国際法に則っている」と主張するが、解釈や適用範囲に違いがある。
・たとえば「接近の程度」や「行動の意図」に対する評価は一義的でなく、状況依存となる。
3.軍事的活動の「常態化」
・中国の空軍・海軍による西太平洋方面での活動は増加傾向にあり、それに対する日本・米国等の偵察活動も常態化している。
・このような「相互監視」体制は偶発的な衝突リスクを内包する。
4.外交的応酬のパターン
・こうした接近事案が起きた際、当事国は自国の行動の正当性を主張し、相手国に非を求める形の声明を発表することが通例である。
・これは国際世論へのアピールであると同時に、国内への説明責任を果たす意味も持つ。
留意点
1.第三者による中立的検証は困難
・事案の多くは軍事機密や防衛上の制約から詳細が公開されない。
・客観的証拠(映像・航跡データなど)が提示されることは稀である。
2.「異常接近」の基準は主観的
・「異常」かどうかの判断基準は国・状況によって異なる。
・片方にとっては正当な監視飛行でも、もう一方には挑発的行動と映ることがある。
要するに、このような問題では一方的な見方や断定は避けるべきであり、事実関係を慎重に見極めるとともに、双方の言い分を理解したうえで冷静な対応が求められる。
【寸評 完】🌺
【引用・参照・底本】
FM responds to Japan’s claim of ‘abnormal approach’ by Chinese fighter jet to Japanese military patrol aircraft GT 2025.06.12
https://www.globaltimes.cn/page/202506/1335966.shtml

