2024年5月13日、台湾の呉釗燮外交部長がアメリカの「フォーリン・アフェアーズ」誌に寄稿し、「Defending Taiwan by Defending Ukraine：The Interconnected Fates of the World’s Democracies」というタイトルで、ウクライナと台湾を共同で守ることの重要性を訴えた。この寄稿文は9日に同誌の電子版で公開された。

　呉外交部長は、世界の民主主義国が団結してウクライナを支持することが、権威主義国家の無謀な行動を抑止するための鍵であると主張した。また、民主主義国は台湾海峡の平和と安定の重要性を直視する必要があると強調した。

　さらに、呉部長は、中国がロシアへの軍事的支援を続けている状況に触れ、民主主義陣営の団結がますます重要になっていると述べた。ウクライナへの軍事的・人道的支援の継続が必要であるとし、アメリカ議会がウクライナへの軍事支援を継続する決定を歓迎した。

　呉部長は、台湾を守ることが世界全体にとって重要であるとし、その安全保障が経済だけでなく地政学的な戦略問題でもあると指摘した。台湾海峡の現状維持が、アメリカの同盟体系、地域のバランス、核兵器の不拡散にとっても重要であると述べ、これがインド太平洋地域の長期的な繁栄につながるとした。

　また、台湾の自衛力強化の進展にも触れ、台湾は国際社会の責任あるメンバーとして、台湾海峡の現状維持の立場を変えないと述べた。オーストラリア、日本、アメリカとの安全保障関係、さらにAUKUSなど新たな安全保障の枠組みが地域の安定に重要であると期待を示した。

　さらに、呉部長は中国によるグレーゾーンでの脅しや認知戦への対抗、台湾が世界の経済システムに溶け込むための支援を求めた。台湾とアメリカの貿易協議の新たな枠組み「21世紀の貿易に関する台米イニシアチブ」の第2段階の交渉の進展、CPTPPへの台湾の加入などが挙げられた。また、国連第2758号決議に対する誤った解釈に共同で反対することや、台湾海峡における自由な航行の権利行使の増加にも言及した。

　「フォーリン・アフェアーズ」は、アメリカの外交問題評議会(CFR)が発行する隔月刊で、国際関係や外交政策に関する重要な刊行物の一つである。読者の多くは各国の政治関係者であり、アメリカの政策決定関係者や国際関係に関心を持つ人々にとって重要な情報源である。

【視点】

呉釗燮外交部長による「フォーリン・アフェアーズ」への寄稿は、ウクライナと台湾という二つの民主主義国が直面する共通の脅威と、それに対して国際社会が団結して行動することの重要性を力強く訴えている。

民主主義国にとって団結と行動が必要

権威主義国の横暴な行動を抑止するためには、民主主義国が団結して行動することが不可欠である。

ウクライナへの軍事・人道支援、台湾への防衛支援、経済連携の強化などが重要である。

台湾海峡の平和と安定は世界の利益

台湾海峡の現状維持は、地域の安定だけでなく、国際的な秩序にとっても不可欠である。

中国による台湾侵攻は、世界経済に甚大な被害を与え、国際社会全体の安全保障を脅かすだろう。

台湾は国際社会の責任ある一員

台湾は自衛力強化に努め、国際社会の一員として責任を果たしていく決意である。

米国、日本、オーストラリアなどの同盟国・友好国との協力を深め、地域の平和と安定に貢献していく。

国際社会の更なる行動が必要

中国のグレーゾーンでの脅威や認知戦に対抗し、台湾の国際社会への参加を支援する必要がある。

台湾海峡における自由な航行の権利を確保し、北京当局の誤った主張に共同で反対していくことが重要である。

呉外交部長は、ウクライナと台湾の運命は世界全体の民主主義の未来と密接に繋がっていると指摘している。国際社会が力を合わせ、これらの民主主義国を断固として守り抜くことが、自由と人権の価値を守るために不可欠なのである。

ウクライナ情勢と台湾情勢の類似性

呉外交部長は、ウクライナと台湾がどちらも権威主義国の侵攻に直面している点を強調している。

これは、国際社会が民主主義国の安全保障をどのように維持していくべきかについて、重要な示唆を与える。

民主主義陣営の結束

寄稿文は、民主主義国が結束して行動することの重要性を繰り返し訴えている。

ウクライナ支援や台湾支援における協調は、民主主義陣営の結束を示す好例と言えるだろう。

台湾の国際社会への貢献

呉外交部長は、台湾が国際社会の責任ある一員として貢献していくことを表明している。

台湾の経済力や技術力、民主主義の経験は、国際社会にとって貴重な資産である。

呉外交部長の寄稿は、国際社会が直面する重大な課題について、示唆に富んだ提言を与えてくれる。ウクライナと台湾の問題は、単一の国だけの問題ではなく、世界の民主主義国全体が関わる問題であることを認識することが重要である。

・民主主義国は団結してウクライナと台湾を支援すべき

ロシアのウクライナ侵攻と、中国による台湾への脅威は、世界の民主主義国にとって共通の課題です。これらの権威主義国の行動を抑止するためには、民主主義国が団結してウクライナと台湾を支援することが不可欠である。

・具体的には、ウクライナへの軍事・人道支援の継続、台湾の自衛力強化支援、中国によるグレーゾーンでの脅威や認知戦への対抗などが重要である。

・台湾海峡の平和と安定は世界の利益

台湾海峡の平和と安定は、世界の経済と安全保障にとって不可欠である。もし台湾が中国に侵攻された場合、世界経済に甚大な打撃を与え、地域の緊張を著しく高めることになる。

国際社会は、台湾海峡の現状維持を支持し、平和的な解決に向けて努力する必要がある。

・台湾は国際社会の責任あるメンバー

台湾は、世界の民主主義国の一員として、国際社会の平和と安定に貢献する責任があります。台湾は、自衛力強化、経済発展、国際社会との交流などに積極的に取り組んでいる。

国際社会は、台湾の国際的な活動への参加を支援し、台湾の貢献を認めるべきである。

・ウクライナと台湾の問題は、世界の民主主義国にとって試練である。しかし、団結して行動することで、これらの課題を克服し、より良い未来を築くことができるだろう。

・呉外交部長の寄稿は、国際社会における台湾の重要性を改めて示したものです。今後は、呉外交部長が訴えた具体的な行動が実行に移されることが期待される。

・呉釗燮外交部長は、米外交誌「フォーリン・アフェアーズ」に寄稿し、ウクライナと台湾の防衛が世界の民主主義国にとって不可欠であると訴えた。

・呉氏は、中国とロシアの連携を念頭に置き、民主主義国は団結して権威主義の拡大を阻止しなければならないと主張した。

・台湾海峡の平和と安定は、地域の繁栄と国際秩序にとって重要であり、国際社会は台湾の自衛力強化を支援すべきだと訴えた。

・寄稿文では、ウクライナと台湾は共に権威主義による侵略の脅威に直面していると指摘されている。

・呉氏は、ウクライナへの軍事支援と人道支援の継続を呼びかけると共に、台湾に対する同様の支援も必要だと訴えた。

・台湾海峡の現状維持は、米国の同盟体系、地域のバランス、核兵器の不拡散にとって重要であると強調されている。

・呉氏は、台湾が国際社会の責任あるメンバーとして、自衛力強化に努めていると述べている。

・国際社会は、台湾海峡の平和と安定を維持するために、グレーゾーンでの脅威や認知戦への対抗、台湾の経済参加の支援など、より多くの行動をとるべきだと訴えている。

・寄稿の重要性

この寄稿は、台湾問題が国際問題であることを改めて示すものである。

呉氏は、外交部長として台湾の立場を国際社会に発信し、支持を呼びかける重要な役割を果たしている。

彼の主張は、米国の政策決定者や国際社会関係者に大きな影響を与える可能性がある。

・今後の展望

呉氏の主張が、国際社会による台湾への支援強化につながるかが注目される。

ウクライナ情勢と台湾情勢は、互いに影響を与えながら展開していく可能性がある。

国際社会は、権威主義の拡大を阻止し、民主主義の価値を守るために、引き続き協調していくことが求められる。

【参考】
定義

権威主義とは、国家権力が集中し、個人の自由や権利が制限されている政治体制を指す。権威主義体制では、指導者や政党が強力な権力を持っており、反対意見や批判を許さない。選挙制度が存在する場合でも、形式的なものであり、政権交代は事実上不可能である。

特徴

権威主義体制には、以下のような特徴がある。

国家権力の集中: 国家権力は指導者や政党に集中し、議会や司法などの他の機関は形骸化していることが多い。

個人の自由・権利の制限: 言論、集会、結社の自由などの基本的な人権が制限されている。

反対意見・批判の弾圧: 反対意見や批判を表明する者は、逮捕、拘留、拷問などの弾圧を受ける可能性が高い。

情報統制: メディアは国家によって厳しく統制され、国民は限られた情報しか得られない。

人権侵害: 人権侵害が日常的に行われている。

権威主義体制の例

過去のソ連や東ドイツ
現代の中華人民共和国、ロシア、北朝鮮など
権威主義体制と民主主義

権威主義体制は、民主主義とは対照的な政治体制である。民主主義では、主権は国民にあり、国民は選挙を通じて代表者を選び、政府を構成する。また、言論、集会、結社の自由などの基本的な人権が保障されている。

近年における権威主義の台頭

近年、世界各地で権威主義体制が台頭しているという指摘がある。その背景には、経済格差の拡大、政治的不満の高まり、グローバル化の進展などが挙げられている。

権威主義の危険性

権威主義体制は、人権侵害、戦争、経済停滞などの危険性を伴う。国際社会は、権威主義体制の台頭を阻止し、民主主義の価値を守るために、協調していくことが求められている。

(【参考】はブログ作成者が付記した。)

　【桃源寸評】

　形骸化された民主主義が如何に人権侵害を、否、民主主義の名のもとに殺戮を繰り返していることだろう。その代表が米国であり、其の追随者である。

　最早、地に堕ちた民主主義であり、また真の民主主義など此の地球上で実現した例はないであろう。民主主義は〝単なるお題目〟にしか過ぎない。

　苟も国家及びその他の類を持つ組織であるならば、民主主義は〝お飾り〟となろう。

　米国の民主主義の本質は、自己のみの民主主義または自由主義に過ぎず、他者の他国の其れではないのである。

　はっきり云って、呉釗燮外交部長は自分で何を言っているのかを理解しているのだろうか。もっと国際社会で起きていることを学んだらよい。

　要らぬ煽りをするでない。

　なお、そもそも民主主義対権威主義の二極対立など存在しないのだ。

　台湾の好きな米国について云うならば。世界一の梟雄なる国であり、国際法等を無視し、奸計を以て阿鼻叫喚地獄を世に生み出しているのだ。

　覇権のためでり、利己のためである。

引用・参照・底本

呉外交部長が米誌に寄稿、「ウクライナと台湾を共同で守れ」と呼びかけ TAIWAN TODAY 2024.05.13

https://jp.taiwantoday.tw/news.php?post=252561&unit=149&utm_source=Taiwan+Today+JP+9&utm_medium=email&utm_content=%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%B9+textlink