ロシアのTenetメディア作戦?2024年09月07日 22:20

Microsoft Designerで作成
【概要】

 ロシアのTenetメディア作戦は、もし報告が事実であれば、失敗に終わったとされている。約1,000万ドルが費やされたにもかかわらず、ロシアは関与した保守的なインフルエンサーに影響力を及ぼすことができなかったという主張がなされている。このため、メディアによる「介入」という見方は信用できないとされている。

 FBIは、ロシアがTenet Mediaに資金を提供し、保守的なインフルエンサー(例:Tim Pool)にその資金が流れたと主張しているが、ほとんどのインフルエンサーはロシアとの関係に気づいていなかったと言われている。Chenと彼女の夫で共同創設者のLiam Donovanだけが「ロシア」とのつながりを認識していたかもしれないが、その詳細は不明である。

 ChenやTenetが雇ったインフルエンサーは、トランプに対しても批判的な立場を取っており、ロシアがトランプを支援するために資金を提供したという主張を否定している。むしろ、ロシアの資金提供はカマラ・ハリスを間接的に支援する結果になった可能性があるが、これもあくまで推測に過ぎない。

 全体的に、この作戦はロシアにとって有益ではなく、特にインフルエンサーの思想やライフスタイルはロシアの保守的な価値観と矛盾していることから、効果的な影響力作戦とは言えない。

【詳細】
 
 ロシアのTenetメディア作戦についての報告によれば、ロシアはこのメディアを通じて、米国の保守派インフルエンサーに約1,000万ドルを提供したが、その影響力はほとんど見られなかった。この作戦はFBIによる告発から明らかになったが、内容を詳しく検討すると、ロシアが意図していた「影響力行使」が実現しなかったということが示唆されている。

 まず、Tenet Mediaの共同創設者であるLauren Chenとその夫Liam Donovanだけが、ロシアとのつながりを認識していた可能性がある一方で、他の関与したインフルエンサー(例:Tim Pool)はロシアの関与に気づいていなかったとされている。さらに、告発文書でも、Chenがロシアの支援を認識していたかどうかは明確にされておらず、ロシアの資金提供者とされるEduard Grigoriannが架空の人物だった可能性も指摘されている。このため、ロシアの資金提供が直接的に影響を与えたという証拠は乏しい。

 次に、Tenet Mediaがインフルエンサーに提供した話題やテーマの例として、ウクライナに関連したテロ事件や、タッカー・カールソンのモスクワ訪問中のビデオが挙げられているが、これらが1,000万ドルの価値に見合うものかどうかは疑問視されている。インフルエンサーたちが制作したコンテンツに目立った変化が見られず、彼らの意見やスタンスも資金提供以前と変わっていないことが指摘されている。この点からも、ロシアの影響力が彼らの活動に大きな影響を与えていないことが明らかである。

 さらに興味深いのは、Tenet Mediaを通じてロシアが資金提供したインフルエンサーの中には、ロシアの保守的な価値観に矛盾するライフスタイルを持つ人物が含まれていた点である。例として、Dave Rubinは同性愛者であり、同性婚や養子縁組を行っているが、これらの行為はロシア国内では禁止されている。このことは、ロシアが保守的な価値観を推進する国としてのイメージと明らかに矛盾しており、Rubinに対する資金提供がロシアの利益を促進するとは考えにくい状況である。

 また、Chen自身やTenetが雇ったインフルエンサーの中には、トランプに対して批判的な人物も含まれており、これもまた「ロシアがトランプを支援するために資金を提供した」という一般的な主張を否定する要素である。むしろ、この資金提供が結果的にカマラ・ハリスを利する形になっている可能性があり、ロシアが行ったとされる影響力作戦が実際には目的と逆の結果を生んだ可能性がある。

 最後に、この作戦が「影響力作戦」であったかどうかも疑問視されている。ロシアがTenet Mediaを通じて資金を提供していたことは事実かもしれないが、ほとんどのインフルエンサーがその事実を知らなかったため、「ロシア寄りの」コンテンツが意図的に作られたわけではない。彼らの考え方や意見が資金提供後に変わっていないことも、その証拠となっている。

 これらの点から、ロシアがTenet Mediaに約1,000万ドルを投入したにもかかわらず、目立った影響力を行使できなかったため、この作戦は失敗に終わったと評価されている。それにもかかわらず、メインストリームメディアはこの事件を利用して、オルタナティブメディアやトランプを攻撃し、信用を失わせるためにこのスキャンダルを報じていると考えられる。

【要点】

 ・ロシアはTenet Mediaに約1,000万ドルを資金提供したが、ほとんどのインフルエンサーはロシアの関与に気づいていなかった。
 ・FBIの告発によれば、Tenet Mediaの共同創設者Lauren Chenとその夫Liam Donovanだけがロシアとのつながりを認識していた可能性がある。
 ・提供されたトピック(ウクライナ関連のテロやタッカー・カールソンのモスクワ訪問)に対して1,000万ドルの価値があるかは疑問。
 ・インフルエンサーたちの意見やスタンスは資金提供前後で変わっておらず、ロシアの影響力が及んでいない。
 ・Dave Rubinのようなロシアの保守的な価値観に反する人物にも資金が提供されており、ロシアの目的と矛盾する。
 ・Chenや他のインフルエンサーの中にはトランプに対して批判的な人物もおり、ロシアがトランプ支援を目的に資金提供したという説を否定。
 ・結果的に、この作戦はロシアの利益を促進せず、むしろ効果がほとんどなかったと評価される。
 ・メインストリームメディアはこのスキャンダルを利用してオルタナティブメディアやトランプを攻撃し、信用を失わせようとしている。

【引用・参照・底本】

Russia’s Tenet Media Operation Was A Total Flop If The Reports Are True Andrew Korybko's Newsletter 2024.09.07
https://korybko.substack.com/p/russias-tenet-media-operation-was?utm_source=post-email-title&publication_id=835783&post_id=148608029&utm_campaign=email-post-title&isFreemail=true&r=2gkj&triedRedirect=true&utm_medium=email

コメント

トラックバック