パキスタンのバロチスタン地域での最近のテロ急増2024年09月07日 20:46

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【概要】

 アンドリュー・コリブコの記事は、CIAがパキスタンのバロチスタン地域での最近のテロ急増に責任があるという考えに反論している。彼は、ペペ・エスコバルが提供した時代遅れの説明を批判し、暴力はCIAが資金提供したアクターが中国-パキスタン経済回廊(CPEC)を混乱させたとしている。

 Korybko氏は、いくつかの重要なポイントを概説している。

 1.歴史的背景と最近の変化:バローチ紛争には深い歴史的ルーツがあり、その現在のダイナミクスは、CPECの経済的影響やタリバンとの緊張など、最近の動向によって形成されている。CIAが最近の攻撃の背後にいるという議論は、これらの複雑な要素を見落としている。

 2.2022年のクーデターの影響:2022年のパキスタンでのクーデター後、パキスタンは深刻な経済的困難を経験し、それが国際関係の変化とCPECの重要性の低下につながった。この経済の不安定性は、CPECの実行可能性に影響を及ぼし、パキスタンの戦略的連携を変えた。

 3.米国の影響力:この記事は、クーデター後のパキスタンに対する米国の影響力が、経済的および軍事的側面を含めて増大したと主張している。この影響は、現在のテロリズムとは直接関係ないが、パキスタンの国際関係と国内の安定に影響を与えている。

 4.タリバンとTTP同盟:パキスタンとタリバンの間の緊張と、タリバンがパキスタン・テフリク・タリバン(TTP)を支援していることが、現在の不安定化の一因となっている。TTPがバローチ解放軍(BLA)を含むバローチ分離主義者と同盟を結んでいることが、暴力をエスカレートさせている。

 5.バローチスタンの現状:BLAの最近の攻撃は、パキスタン国家に対する不満と、バローチスタンの利益を無視していると認識されていることに起因している。バローチ紛争の経済的側面は、CPECやその他の要因によって悪化し、現在の騒乱において重要な役割を果たしている。

 6.誤解と解決策:コリブコは、バローチ紛争の歴史的および政治的な複雑さを理解することが、それに対処するために重要であると強調している。CIAの関与のような過度に単純化された理論は、持続可能な解決策の開発を妨げる。それどころか、彼は紛争を解決するための微妙なアプローチを提唱し、関連する複数の側面を認識している。

 要するに、コリブコの記事は、バローチスタンでのテロの背後にCIAがいるという主張を反駁し、むしろ、紛争は歴史的な不満、経済問題、変化する地政学的力学の組み合わせによって引き起こされていることを示唆している。

【詳細】
 
 Andrew Korybkoの記事は、パキスタンのバロチスタン地域でのテロ活動の急増がCIAの仕業であるという見解を否定している。この記事では、CIAがCPEC(中国-パキスタン経済回廊)を妨害するためにテロリストを資金援助しているという主張が時代遅れであり、現在の状況を正確に反映していないと指摘している。以下に、記事の主な点をさらに詳しく説明する。

 1. 歴史的背景と最近の変化

 バロチスタン紛争の歴史的背景は深く、長年にわたる地域の政治的、経済的な問題が絡んでいる。CPECの登場により、紛争の経済的側面が強調されたが、CIAの関与が直接的な原因であるという主張は、これらの複雑な要因を無視している。

 2. 2022年のクーデターの影響

 2022年のパキスタンのクーデター(現代のクーデター)は、パキスタンの経済に深刻な影響を及ぼした。新しい政府はIMFからの支援を求め、その見返りとしてウクライナに武器を密かに供給するなどの条件を受け入れた。この経済危機はCPECの実行可能性に影響を与え、中国は代替の接続ルートを模索するようになった。

 3. アメリカの影響

 アメリカの影響力が増大した結果、パキスタンの内外政策に変化が生じた。この影響はテロ活動の直接的な原因ではないが、パキスタンの国際関係と内部の安定性に大きな影響を与えている。アメリカの影響力が増したことで、パキスタンは経済的な圧力に直面し、CPECの重要性が低下した。

 4. タリバンとTTPの関係

 タリバンとTTPの関係: タリバンはTTPを支持しているというより、TTPとの関係が強化されている状況である。この記事では、TTPがタリバンから支援を受けており、これはパキスタンのアメリカとの秘密裏の軍事協力に対する反発として説明されている。

 パキスタンとの秘密裏の軍事協力: 2022年のクーデター以降、パキスタンがアメリカとの秘密裏の軍事協力を再開し、これがTTPの活動に影響を与えている。具体的には、パキスタンのアメリカとの協力がTTPの攻撃を増加させ、バロチスタンでのテロ活動が激化しているとされている。

 5. バロチスタンの現状

 バロチスタンでのBLA(バロチ解放軍9による攻撃は、パキスタン政府に対する不満から来ている。BLAは、CPECがバロチスタンの利益を十分に考慮せず、地域の資源を搾取するだけだと考えている。バロチスタンの経済的、政治的な側面がテロ活動を引き起こす要因となっている。

 6. 誤解と解決策

 Korybkoは、バロチスタン紛争の歴史的および政治的な複雑さを理解することが重要だと強調している。CIAの関与を単純に主張することは、紛争の根本的な原因を理解するのに役立たず、持続可能な解決策の策定を妨げる。記事では、テロリスト指定された勢力に対しては暴力を否定し、政治的な解決策を模索する必要があると述べているが、そのためには問題の本質を理解することが前提となる。

 結論

 この記事は、CIAがバロチスタンでのテロ活動の直接的な原因ではないとし、バロチスタン紛争の複雑な歴史的背景と現在の経済的、地政学的要因を理解することが、問題解決の鍵であると主張している。

【要点】

 Andrew Korybkoの記事の主要な点を箇条書きで説明したものである。

 1.CIAの関与に対する反論

 ・記事は、CIAがバロチスタンでのテロ活動を引き起こしているという主張を否定している。
 ・この主張は、現在の状況を正確に反映していないとしている。

 2.歴史的背景と最近の変化

 ・バロチスタン紛争は長い歴史があり、CPECの経済的影響が最近の展開に関係している。
 ・CIAの関与を単純化することは、複雑な要因を無視することになる。

 3.2022年のクーデターの影響

 ・2022年のクーデター後、パキスタンは経済危機に見舞われた。
 ・この危機がCPECの重要性を低下させ、中国は代替ルートを模索するようになった。

 4.アメリカの影響

 ・アメリカの影響力が増し、パキスタンの経済や国際関係に変化が生じている。
 ・これにより、テロ活動の直接的な原因とは言えないが、パキスタンの安定性には影響がある。

 5.タリバンとTTPの同盟

 ・タリバンはTTPを支持し、パキスタンとの軍事協力再開に反発している。
 ・この同盟がバロチスタンでのテロ活動を加速させている。

 6.バロチスタンの現状

 ・BLA(バロチ解放軍)は、CPECがバロチスタンの利益を十分に考慮しないと考えている。
 ・経済的不満と政治的な問題がテロ活動を引き起こしている。

 7.誤解と解決策

 ・紛争の歴史的および政治的な複雑さを理解することが重要である。
 ・CIAの関与を単純に主張することは、問題解決を妨げる可能性がある。

 8.結論

 ・バロチスタンでのテロ活動の原因は、CIAの関与だけでなく、歴史的背景や現在の経済的、地政学的要因に起因している。

【参考】

 ☞ 2022年のパキスタンのクーデターの原因については、以下の要因が考えられる。

 1.経済的困難

 ・経済危機: 2022年にはパキスタンが深刻な経済危機に直面していた。高いインフレーション、財政赤字、通貨の急落、外貨準備の減少などが原因で、経済の安定が脅かされていた。

 ・国際的援助: 政府は国際通貨基金(IMF)からの支援を求める一方で、その条件が厳しく、経済政策の失敗と財政問題が悪化した。

 2.政治的対立

 ・政権の不安定さ: 当時のイムラン・カーン首相の政権は、与党と野党の間での対立や政治的な争いが激化していた。政府の政策や決定に対する不満が高まり、政治的不安定さが増していた。
 ・野党の動き: 野党が政府に対して反対運動を強化し、政権の信任を失わせる動きを見せていた。これがクーデターの背景となる政治的な緊張を生み出した。

 3.軍の介入

 ・軍の影響力: パキスタンでは歴史的に軍が強い影響力を持っており、政治的な安定に影響を与えることがある。2022年のクーデターでは、軍が政治的な動きをサポートする形で介入したとされている。
 ・軍と政府の対立: 軍と政府の間に緊張が高まり、特に経済政策や安全保障問題に対する意見の相違がクーデターの一因とされている。

 4.外部要因

 ・国際的な圧力: パキスタンの経済問題や政治的な混乱に対して、国際社会からの圧力や要求が影響を与えた可能性がある。これが国内の政治的な動きを複雑にし、クーデターの背景となったかもしれない。

 これらの要因が組み合わさり、2022年のパキスタンでのクーデターが引き起こされたと考えられる。

 ☞ 2022年にパキスタンで発生したクーデターは、一般的に「クーデター」として正式に認識されているわけではないが、事実上の「ポストモダンクーデター(post-modern coup)」と形容される出来事があった。この出来事の首謀者として、明確に個人名が挙げられるわけではないものの、イムラン・カーン元首相がアメリカや国内の政治・軍事勢力の陰謀により政権を追われたという主張がある。

 具体的には、イムラン・カーンは2022年4月に不信任決議によって首相の座を追われた。カーンとその支持者は、この不信任決議が「アメリカ主導の陰謀」として計画されたものだと主張している。彼によれば、アメリカは彼の「独立した外交政策」、特にロシアや中国との関係強化に不満を抱いており、それが彼の政権を崩壊させる要因になったとされている。

 一方、軍の関与についても指摘されている。パキスタンの軍は国内政治に大きな影響力を持っており、イムラン・カーン政権との間で意見の相違が表面化していた。特に、軍とカーンとの間で人事や政策に関する緊張が高まっていたことが、政権交代の背景にあると見られている。

 ただし、この「クーデター」の責任者が誰であるかについては、明確な証拠や公式な発表はなく、カーンと彼の支持者の主張に依拠する部分が大きい。

 ☞ 2024年9月現在、イムラン・カーン元首相は依然として投獄されている。彼は、国家の贈り物の違法な販売に関連する汚職や国家機密の漏洩など、いくつかの罪で有罪判決を受けた。これらの容疑は政治的な動機によるものだと主張しているにもかかわらず、彼はまだ刑務所に収監されている。彼の投獄は国際的な懸念を呼び起こし、国連を含む一部の団体は、彼の拘禁は恣意的であり、彼の政治的復帰を防ぐことを意図していると主張し、彼の即時釈放を求めている。

 カーンは、パキスタンにおける軍の支配に異議を唱え続けており、それが彼の進行中の法的問題の背後にある主要な要因である。また、2022年の追放には、米国の支援を受けた軍が関与したと主張しているが、両党とも否定している。これらの課題にもかかわらず、カーンの人気は多くのパキスタン人の間で依然として強く、彼の政党であるPTIは依然として大きな支持を得ている。

 ☞ パキスタン・テヘリーク・エ・インサフ(PTI)は、1996年にイムラン・カーンによって設立された政党である。汚職防止、社会正義、法の支配に焦点を当てたプラットフォームで、長年にわたって人気を博した。PTIは「新しいパキスタン」を提唱し、制度の改革、不平等の削減、経済成長の促進を目指している。

 PTIは、特に2018年にイムラン・カーンが首相に選出された後、パキスタン政治において重要な勢力として浮上した。同党は汚職対策に重点を置き、カーン氏はガバナンスの透明性と説明責任を強調した。

 しかし、2022年4月、カーンは議会の不信任決議により権力の座から追放され、これは外国の陰謀の一部、特に米国とパキスタン軍が関与していると説明した。それ以来、PTIは増大する政治的および法的課題に直面している。イムラン・カーンの法的な問題と投獄にもかかわらず、PTIは人口のかなりの部分、特に都市部の有権者と中産階級の間で人気を保っている

 ☞ 現在のパキスタンの政権は軍事政権ではないが、以下の点が重要である。

 1.政権の背景

 ・現在のパキスタンの政権は、2022年のクーデターによって樹立された政府である。このクーデターは、イムラン・カーン元首相の政権に対するものであり、その後、軍が大きな影響力を持つ新しい政権が登場した。

 2.軍の影響

 ・軍が政治的に強い影響力を持っていることは確かである。パキスタンの政治では、軍がしばしば重要な役割を果たしており、現政権も軍の支持を受けているとされている。
 ・軍の影響力は、政権の政策決定や国内外の戦略に大きな影響を与えているが、これは必ずしも軍事政権のような形態ではない。

 3.政治体制

 ・現政権は民間の政府として存在しているが、軍の影響力が強い状況である。これはパキスタンの政治における長年の伝統であり、軍の影響が常に存在している。
 ・政府の構成は、民間のリーダーシップと軍の影響が組み合わさった形になっている。

 要するに、現政権は公式には軍事政権ではないが、軍の影響力が強く、パキスタンの政治と政策に重要な役割を果たしている。

 4.現時点でのパキスタンの首相

 ・アスム・シャ(Asim Sharif)である。彼は、2024年に発表された新しい政府のリーダーとして知られている。アスム・シャ首相は、パキスタンの政治の中で重要な役割を果たしており、国内外の様々な問題に対応している。
 ・パキスタンの首相に関する情報は随時変わる可能性があるため、最新の情報を確認する必要がある。

 ☞ Andrew Korybkoの記事に基づくと、CIAがバロチスタンでのテロ活動の直接的な原因であるという主張には反論している。しかし、TTPの反発やBLAの支援に関しては、以下のように整理できる。

 ・CIAの直接的な関与: Korybkoは、CIAがバロチスタンでのテロ活動の直接的な原因ではないとしている。CIAがこの地域でのテロリズムを煽るために直接的に関与しているという証拠はないとされている。

 ・TTPの反発: 記事では、TTPがパキスタンとの秘密裏の軍事協力に対して反発しているとしている。TTPは、パキスタンがアメリカとの協力を再開したことに対する反応として活動を活発化させている。

 ・BLAの支援: タリバンとTTPの関係が強化される中で、BLA(バロチ解放軍)がTTPと連携することがあり得る状況である。ただし、BLAへの支援がCIAによるものかどうかは明確にされていない。むしろ、BLAの活動はバロチスタンの経済的不満や政治的な問題に起因しているとされている。

 要するに、CIAが直接的にBLAを支援したり、テロ活動を引き起こしているわけではないとされているが、アメリカの影響力やパキスタンとの秘密裏の軍事協力が地域の不安定要因となっているとされている。TTPの活動やBLAとの連携は、これらの複雑な状況の結果として生じていると考えられる。

 ☞ タリバンとTTP(テリク・イ・タリバン・パキスタン)がパキスタンとの秘密裏の軍事協力に反発する理由は以下の通り。

 1.アメリカとの軍事協力

 ・背景: 2022年のパキスタンのクーデター後、パキスタンはアメリカとの秘密裏の軍事協力を再開した。これにより、パキスタンがアメリカの影響下にあるとされ、タリバンやTTPはこれに対する反発を強めている。
 ・影響: この軍事協力は、タリバンが反米戦線で戦っているため、アメリカとの協力がパキスタンにとって「裏切り行為」と見なされる可能性がある。

 2.TTPの活動とパキスタンの対応

 ・背景: TTPはパキスタン国内での活動を強化しており、パキスタン政府の軍事的な対応や弾圧に対抗している。パキスタンがアメリカと協力することで、TTPに対する弾圧が強化されると考えられている。
 ・影響: このような弾圧に対して反発し、パキスタンとの対立を深める要因となっている。

 3.パキスタンの対タリバン政策

 ・背景: パキスタン政府は、タリバンの影響を抑制するために、アメリカとの協力を強化しているとされている。タリバンにとって、これは自らの影響力や支配を脅かすものと受け取る。
 ・影響: タリバンは、自らの支配を強化するために、パキスタン政府に対抗する活動を強化し、パキスタンとの関係が緊張している。

 4.地域の権力闘争

 ・背景: タリバンとTTPは、パキスタンとアメリカの軍事協力が自らの地域的な権力闘争や影響力に悪影響を与えると考えている。
 ・影響: 自らの立場を強化するために、パキスタンとの協力を反発し、地域の不安定化を引き起こす要因となっている。

 れらの要因が重なり、タリバンとTTPはパキスタンとの秘密裏の軍事協力に対して反発し、バロチスタンを含む地域でのテロ活動を強化しているとされている。

 ☞ 中国はバロチスタンのテロ活動や紛争の影響を受けているとされている。以下の点が関係している。

 ・CPECの影響: 中国-パキスタン経済回廊(CPEC)は、バロチスタンを通る重要なインフラプロジェクトであり、中国にとって戦略的に重要である。バロチスタンでのテロ活動や不安定な状況は、CPECの運営や中国の投資に対してリスクをもたらしている。

 ・テロ活動の影響: バロチスタンでのテロ活動は、CPECの主要な拠点であるグワダー港などのインフラに対する攻撃を含んでいる。これにより、中国の投資やプロジェクトの安全が脅かされている。

 ・中国の対策: 中国は、CPECの保護と地域の安定化に向けた対策を講じている。パキスタン政府と協力して、テロ活動の抑制や地域の治安維持に努めている。

 ・地域の不安定化: バロチスタンの不安定化は、CPECに関連する中国のプロジェクトだけでなく、中国の広範な地域戦略にも影響を及ぼす可能性がある。中国は、バロチスタンの安全と安定を確保するために努力しているが、地域の不安定さが中国の投資に対する脅威となっている。

 したがって、中国はバロチスタンでのテロ活動や紛争の影響を受けており、CPECの運営や地域の安定性を確保するためにさまざまな対応を行っている。

 ☞ 現政権は、CPEC(中国-パキスタン経済回廊)には反対していないとされているが、以下の点が関係している。

 1.CPECの重要性

 ・CPECはパキスタンにとって重要な経済プロジェクトであり、インフラ整備や経済発展に大きな影響を与えると見なされている。現政権もこのプロジェクトの重要性を認識しており、基本的には支持している。

 2.経済的利益

 ・現政権は、CPECがもたらす経済的利益や投資の増加を重視している。これにより、パキスタンのインフラが改善され、経済成長が促進されると期待されている。

 3.政治的背景

 ・現政権の支持基盤や政治的立場によって、CPECへの態度は異なる可能性がある。しかし、CPECのプロジェクト自体には反対する理由が少ないため、公式にはプロジェクトに対する反対姿勢は示されていない。

 4.地域の安全と安定

 ・CPECの運営に影響を与える地域の安全や安定も考慮されている。バロチスタンでのテロ活動などがCPECに影響を与えることがあるため、現政権は地域の安全対策にも力を入れている。

 要するに、現政権はCPECに対して基本的には支持的であり、プロジェクトの継続と発展を目指している。ただし、地域の安全問題や政治的な状況がプロジェクトに影響を与える可能性があるため、現政権はそれらの問題にも対処しながらCPECを進めていると考えられる。

 ☞ 米国とCPEC(中国-パキスタン経済回廊)の関係は複雑で、多面的です。以下の点が関連している。

 1.戦略的対立

 ・戦略的懸念: 米国はCPECを中国の「一帯一路」構想の一部と見なしており、中国の影響力の拡大に対して懸念を抱いている。CPECは中国の戦略的な投資プロジェクトであり、米国はこれがパキスタンと中国の関係を強化し、中国の経済的および地政学的影響力を増す要因となると見ている。

 2.影響力の競争

 ・経済的な影響: 米国は、中国の経済的影響力の拡大を抑制するためにさまざまな戦略を講じている。CPECは中国の影響力を直接的に強化するため、米国はこのプロジェクトに対して懸念を示している。

 ・投資と援助: 米国はパキスタンに対しても経済援助を提供しており、その中にはインフラ開発や経済支援が含まれているが、CPECのような大規模なプロジェクトとは異なる。

 3.外交的な対応

 ・公表された立場: 米国はCPECに対して公然と反対することは少ないものの、戦略的には中国の影響力拡大に対抗する姿勢をとっている。米国政府は、CPECが地域の安全保障や経済的利益に影響を与える可能性があると懸念している。

 ・対話と協力: 一方で、米国とパキスタンの関係においては、CPECに関連する問題に対する対話や協力の可能性もある。

 4.地域的な影響

 ・テロ活動や不安定化: CPECが関与する地域でのテロ活動や不安定化が米国の政策にも影響を与えている。米国は、地域の安全と安定を確保するための努力を行っており、CPECに関連する問題にも関心を持っている。

 要するに、米国とCPECの関係は、戦略的な懸念や地政学的な対立に基づいており、米国は中国の影響力拡大に対して警戒していると考えられる。ただし、米国はCPECそのものに対して直接的な対抗措置を講じるわけではなく、広範な戦略の一環としてこの問題に対応している。

【参考はブログ作成者が付記】

【引用・参照・底本】

The CIA Isn’t Responsible For The Upsurge Of Terrorism In Pakistan’s Balochistan Region Andrew Korybko's Newsletter 2024.09.01
https://korybko.substack.com/p/the-cia-isnt-responsible-for-the?utm_source=post-email-title&publication_id=835783&post_id=148363458&utm_campaign=email-post-title&isFreemail=true&r=2gkj&triedRedirect=true&utm_medium=email

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