【概要】

　米ホワイトハウスは2025年1月10日、台湾の自衛力強化と台湾海峡の平和および安定の維持に向けた支援を改めて表明した。同声明では、バイデン政権が初めて「対外軍事融資(FMF)」や「緊急時大統領在庫引き出し権(PDA)」、「国際軍事教育訓練(IMET)」といった枠組みを活用し、台湾の防衛力を強化する方針を示している。

　外交部はこの声明を受け、米国に対し感謝の意を表明するとともに、台湾と米国との強固で友好的な関係を基盤に、トランプ次期政権とのさらなる協力を深化させる考えを示している。また、声明では、米国が台湾、日本、オーストラリア、ニュージーランドと連携して進めている「海底ケーブル敷設計画」にも言及されており、この計画が台湾の推進する「総合外交」戦略の好例であると評価されている。これにより台湾は、地域の平和と安定を支えるだけでなく、世界経済の安全保障と回復力を維持する信頼できるパートナーとして位置づけられている。

　バイデン政権はこれまでの任期中に19回の武器売却を発表しており、これは「台湾への武器売却常態化」政策の一環であるとされる。この政策は、台湾の安全が世界の安全に直結するという認識に基づいている。頼清徳総統も新年の談話において、台湾の安全が強化されるほど世界の民主的防衛線が強固になると強調している。また、アントニー・ブリンケン米国務長官は、台湾問題を中国の内政問題にとどまらず世界的な課題であると位置づけ、各国にその重要性を訴えている。

　過去数年にわたり、台湾、米国、その他の国々が協力して台湾海峡の平和と安定の重要性を国際的なコンセンサスとすることに成功してきた。米国が主導するインド太平洋地域におけるパートナーシップの成果は、より自由で開放的な未来を築くとともに、発展、安全保障、回復力の向上に寄与している。

　台湾政府は引き続き、防衛力を強化する決意を示しつつ、米国からの武器購入や国防改革を進め、社会全体の防衛回復力を高める方針である。また、米国との緊密な安全保障および経済・貿易パートナーシップを深め、台湾海峡および地域全体の平和、安定、繁栄の促進に努める意向である。
　
【詳細】
　
　2025年1月10日に発表された米ホワイトハウスの声明は、台湾の防衛力強化を支援し、台湾海峡の平和と安定を維持するという米国の決意を改めて示したものである。この声明は、インド太平洋地域への米国の強固な関与を背景にしたものであり、バイデン政権が台湾支援のために具体的な枠組みを利用する姿勢を明確にした。

　声明の詳細

　バイデン政権は以下のような主要な軍事支援の枠組みを活用し、台湾の防衛力を強化すると表明した：

　1.対外軍事融資(Foreign Military Financing, FMF)
各国に対する武器購入や軍備強化のための融資枠を提供するプログラムであり、これを台湾向けに初めて正式に適用する。

　2.緊急時大統領在庫引き出し権(Presidential Drawdown Authority, PDA)
米国が緊急時に国防総省の在庫から直接装備を引き出し、迅速に支援を行う仕組みである。

　3.国際軍事教育訓練(International Military Education and Training, IMET)
軍事分野における台湾の人的資源の能力向上を支援するプログラムである。

　これに加え、声明ではバイデン政権が任期中に19回にわたり台湾への武器売却を発表していることも強調されており、これが「台湾への武器売却常態化」政策の一環として実施されている点を示している。

　外交部の反応

　台湾外交部(日本の外務省に相当)はこの声明に対して高く評価し、次のような点を強調した。

　・米国への感謝
　
　バイデン政権に対する謝意を表し、声明内容を歓迎している。

　・トランプ新政権との協力深化の意向

　バイデン政権との協力基盤を活用し、トランプ次期政権とさらなる関係強化を目指す意向を示している。

　地域協力と「海底ケーブル敷設計画」

　声明には台湾、日本、オーストラリア、ニュージーランドが共同で進める「海底ケーブル敷設計画」にも言及されている。この計画は、南太平洋地域におけるデジタル通信インフラの改善を目的としており、以下の意義を持つ：

　・価値外交の推進

　民主主義や自由の価値観に基づく外交の実践。

　・地域連携の強化

　各国間のインフラ協力を通じて、地域全体の発展と安定に寄与する。

　台湾政府はこれを「総合外交」戦略の成功例として挙げ、台湾が国際社会における信頼できるパートナーであると改めて強調している。

　台湾の安全保障と経済的役割

　頼清徳総統は、台湾の安全が世界の民主主義防衛線を強固にするとの見解を示し、台湾の防衛力強化がグローバルな安全保障の一環であると訴えている。また、アントニー・ブリンケン米国務長官は、台湾問題が単なる中国の内政問題ではなく、世界全体に影響を与える重要な課題であると国際社会に訴えかけた。

　台湾は、防衛力強化の一環として

　・米国からの武器購入を継続。
　・社会全体の防衛回復力の強化に取り組む。
　・国防改革を推進し、より強固な防衛体制を構築する。

　米国と台湾の連携の意義

　米国と台湾の協力はインド太平洋地域における平和、安定、繁栄を支える重要な基盤となっている。これには次の意義がある：

　・自由で開放的なインド太平洋の実現
経済的および軍事的協力を通じて、地域の自由と安定を維持する。
　・安全保障の回復力強化
台湾海峡および周辺地域における脅威に対抗するための多国間の協力。
　・経済・貿易関係の深化

　台湾が世界経済のサプライチェーンにおける信頼できる一翼を担い続ける。
台湾政府は引き続き、米国との緊密な連携を基盤に、台湾海峡およびインド太平洋地域の平和と繁栄を促進する方針である。この協力は、地域全体の安定に寄与するだけでなく、国際社会における台湾の重要性をさらに高めるものである。

【要点】
　
　1.米ホワイトハウス声明の内容

　・台湾の防衛力を強化するために、対外軍事融資(FMF)、緊急時大統領在庫引き出し権(PDA)、国際軍事教育訓練(IMET)などの支援策を通じて支援を行う。
　・台湾への武器売却を継続し、台湾の自衛力向上を支える米国の政策を実践。
　・インド太平洋地域への米国の強固なコミットメントを示し、地域の平和と安定を維持する姿勢を明確にする。

　2.台湾外交部の反応

　・バイデン政権に対して心からの謝意を表明。
　・米国との強固な関係を基盤に、トランプ新政権との今後の協力をさらに強化する意向を示す。

　3.「海底ケーブル敷設計画」への言及

　・台湾、日本、オーストラリア、ニュージーランドが協力して南太平洋地域のデジタル通信インフラ改善を進める計画。
　・この計画は、価値外交や地域連携の強化を示す「総合外交」戦略の一環。

　4.台湾の防衛力強化と経済的役割

　・台湾の安全が世界の民主主義防衛線を強固にし、グローバルな安全保障に寄与するという立場。
　・米国との武器購入や防衛改革を通じて、国防力を強化し、社会全体の防衛回復力を強化する。

　5.米国と台湾の連携の意義

　・自由で開放的なインド太平洋の実現と、地域の平和と安定を維持するための重要な協力。
　・台湾の安全保障体制を強化し、経済・貿易関係を深化させ、地域全体の安定に寄与する。

【引用・参照・底本】

米ホワイトハウス、「台湾の自衛力強化を支援」との声明 TAIWAN TODAY 2025.01.13
https://jp.taiwantoday.tw/%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%B9/%E5%A4%96%E4%BA%A4/264333/%E7%B1%B3%E3%83%9B%E3%83%AF%E3%82%A4%E3%83%88%E3%83%8F%E3%82%A6%E3%82%B9%E3%80%81%E3%80%8C%E5%8F%B0%E6%B9%BE%E3%81%AE%E8%87%AA%E8%A1%9B%E5%8A%9B%E5%BC%B7%E5%8C%96%E3%82%92%E6%94%AF%E6%8F%B4%E3%80%8D%E3%81%A8%E3%81%AE%E5%A3%B0%E6%98%8E