「喧嘩を仕掛けておきながら被害者を装うことはできない」2026-07-21 20:56

Dolaで作成
【概要】

 2026年7月、南シナ海仁愛礁におけるフィリピン側と中国沿岸警備隊の衝突に関し、米国国務省は中国の行動を「危険かつ攻撃的」と非難し、同盟国フィリピンを支持する声明を発表した。これに対し中国側は、フィリピン軍事要員が先に挑発行為を行ったとする映像を公開し、米国の対応は事実を無視した二重基準であり、ASEAN外相会議を前に地域情勢を攪乱し、自国の影響力低下への懸念から介入を試みるものだと主張した。専門家は、米国が本件を二国間紛争から地域的・国際的規模の問題へ格上げし、中国のASEAN関係での影響力や行動規範(COC)交渉の推進を弱体化させる狙いがあるとの見方を示した。
  
【詳細】 

 事件の経緯

 中国側が入手した映像によると、仁愛礁に不法に係留されたフィリピン軍艦「シエラ・マドレ」号がゴムボート2隻を派遣し、中国沿岸警備隊の巡視船に危険な方法で接近・衝突させた。さらにフィリピン側要員が先にオールや長い棒などで中国の法執行要員を攻撃したため、中国側は口頭警告後に対抗措置を実施した。フィリピン沿岸警備隊広報担当者は「非武装の水兵が頭部を殴打された」と主張した。

 関係者の対応

 米国国務省は7月20日の声明で、中国の行動を非難し、フィリピン海軍要員の「専門性と自制」を称賛した。中国駐フィリピン大使館は反論として4本の映像を公開し、フィリピン側が再三の警告を無視し故意に紛争を引き起こした事実を明らかにし、「喧嘩を仕掛けておきながら被害者を装うことはできない」と指摘した。

 専門家の分析

 南シナ海研究センター世界海軍研究センター長のChen Xiangmiao氏は、フィリピン側は事件を故意に挑発し、メディア向けに語りを構築する「固定の手順」を用いていると指摘。米国が事実を踏まえた中国側の説明後も声明を出したことは二重基準であり、ASEAN外相会議の機会を利用して国際的に中国への圧力を形成し、地域安定を損なう意図があるとした。南京大学国際関係学院准教授のMa Bo氏は、米国が本件を「地域のルール」「国際秩序」の問題へ格上げしようとしているのは、COC交渉や地域協力の推進を妨げ、ASEAN諸国における中米の影響力競争で優位に立つためだと分析した。

 今後の予定と立場

 王毅中国外相はフィリピン・マニラで開催される中国ASEAN外相会議に出席する。その後7月23~25日にキルギスタンを訪問し、上海協力機構(SCO)加盟国外相理事会に出席する予定である。中国外務省報道官は、今年が中国ASEAN包括的戦略的パートナーシップ樹立5周年であることに触れ、ASEANを友好的な隣国かつ重要な協力パートナーと位置づけ、ASEANの中心性を支持し、東アジア協力が地域と世界の安定・発展に貢献することへの期待を表明した。

【要点】

 ・仁愛礁での衝突について、中国側はフィリピン側が先に衝突と攻撃を行ったとする映像を提示、米国は中国の行動を非難しフィリピンを支持した。

 ・中国側と専門家は、米国の対応は事実を無視した二重基準であり、ASEAN外相会議を前に地域情勢を攪乱するものだと主張。

 ・米国が本件を広域的な問題へ拡大しようとしているのは、中国のASEAN関係での影響力やCOC交渉の推進を弱体化させ、影響力競争で優位に立つ狙いがあるとされる。

 ・王毅中国外相は中国ASEAN外相会議、SCO外相会議に出席する予定。中国はASEANの中心性を支持し、地域協力を重視する立場を示している。

【引用・参照・底本】

US hypes China-Philippines dispute ahead of ASEAN meetings, showing its attempts to stir up regional affairs and its fear of waning influence GT 2026.07.21
https://www.globaltimes.cn/page/202607/1366453.shtml

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