キエフ洞窟修道院での料理番組非難される2024年12月16日 19:15

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【概要】

 ウクライナの有名なシェフ、エフゲニー・クロポテンコが、自身の料理番組のクリスマス特番の一部をキエフ・ペチェルスカ・ラヴラ(キエフ洞窟修道院)で撮影したことが、キリスト教徒たちから非難を浴びた。この修道院はウクライナの最大の正教会修道院で、1051年に建立された歴史的な場所である。特に、ウクライナ正教会モスクワ総主教区(UOC)との関連から、宗教的な緊張が高まっている背景がある。

 クロポテンコは、この番組がウクライナの聖なる料理を紹介することを目的としており、食堂で撮影された部分では、ウクライナの伝統的な料理、例えばキャビア入りのダンプリングや豌豆ゼリーなどが紹介された。彼は、撮影場所としてキエフ・ペチェルスカ・ラヴラを選んだ理由を説明し、この修道院がウクライナの古代料理に関する唯一の資料を保有していることを挙げた。

 しかし、この放送が引き起こした反発は大きく、ソーシャルメディアでは「ウクライナ全体の恥」といった批判的な声が多数寄せられた。特にウクライナ正教会モスクワ総主教区の聖職者であるアレクサンドル・クリメンコは、この放送を「冒涜」と呼び、修道院の食堂が神聖な場所であることを強調し、「テレビ番組を撮る場所ではない」と非難した。

 クロポテンコは、この批判に対し、撮影は教会の規則に従って行われ、聖職者とも相談した上で進められたことを強調。料理は食堂で展示しただけであり、調理は行っていないと説明した。また、彼は番組が信者を傷つける意図はなかったと述べ、ウクライナ文化を広めることが目的であったと述べた。
 
【詳細】

 エフゲニー・クロポテンコはウクライナの著名なシェフであり、ウクライナの伝統的な料理を紹介するテレビ番組を手掛けている。彼はその番組の一環として、2024年のクリスマス特番を撮影する際、ウクライナの最も重要な宗教施設のひとつであるキエフ・ペチェルスカ・ラヴラ(キエフ洞窟修道院)の食堂で一部を撮影した。この修道院は、1051年に設立され、ウクライナ正教会モスクワ総主教区(UOC)に長年管理されてきたが、現在はウクライナ当局とウクライナ正教会(OCU)との間で激しい対立の中心となっている場所である。

 キエフ・ペチェルスカ・ラヴラは、ウクライナの歴史的・文化的に非常に重要な場所であり、数多くの宗教的儀式や祈りが行われる神聖な空間として広く認識されている。しかし、ウクライナとロシアの戦争が始まった後、この修道院は特に注目を集めた。ウクライナ当局は、UOCがモスクワ総主教区と関係が深いと見なしており、その影響力を排除するために修道院の管理権を巡る争いを続けている。一方、UOCはこの問題を否定し、独立した宗教機関であると主張している。この対立が、クロポテンコの撮影に対する批判を一層激化させた。

 クロポテンコが番組の撮影場所として選んだ食堂は、修道院の中でも特に神聖な場所とされる。食堂は修道士たちが食事をする場所であり、また祈りの一環として使われることも多い。クロポテンコの番組では、ウクライナの伝統料理を紹介することを目的として、そこでの撮影が行われた。彼はこの場所を選んだ理由として、キエフ・ペチェルスカ・ラヴラがウクライナの古代料理に関する貴重な資料を保持していることを挙げ、修道院の食堂がそれらの料理を紹介するのに適していると考えたと述べている。

 番組はウクライナの聖なる料理、例えばキャビア入りのダンプリングや豌豆ゼリーなどを紹介する内容であり、ウクライナの伝統文化を広めることが目的だった。しかし、この番組の放送後、キリスト教徒や修道院の支持者から強い反発を受けた。多くの人々は、修道院の食堂での撮影を「冒涜的」とし、このような神聖な場所でテレビ番組を撮ることを許しがたいと感じた。

 特にウクライナ正教会モスクワ総主教区(UOC)の聖職者であるアレクサンドル・クリメンコは、この番組を「冒涜」と呼び、修道院の食堂が神聖な場所であることを強調した。また、「新しい修道院の支配者たちによる冒涜である」とし、これがウクライナの宗教的伝統を尊重しない行為であると非難した。彼は、食堂が修道士たちの祈りと静かな食事の場所であることから、「この場所はテレビ番組を撮るための場所ではない」と述べた。

 クロポテンコはこの批判に対して、撮影はすべて教会の礼儀に従い、修道院の聖職者と相談の上で行ったことを説明した。彼は、撮影にあたっては食堂で料理を調理することはせず、料理を展示するだけだったと強調している。クロポテンコは、「私の目的は、信者の感情を傷つけることではなく、むしろウクライナの文化を広めることだった」と述べ、批判されたことに対して謝罪の意を表明した。

 この事件は、ウクライナ国内での宗教的緊張を再燃させ、キエフ・ペチェルスカ・ラヴラがウクライナ社会の宗教的・政治的な分断を象徴する場所となっていることを浮き彫りにした。クロポテンコは文化的な目的で行動したが、その行動が多くの信者にとっては宗教的な感情を害する結果となり、ウクライナにおける宗教的・文化的対立の複雑さを再確認させる出来事となった。
  
【要点】 
 
 ・エフゲニー・クロポテンコはウクライナの著名なシェフで、ウクライナの伝統料理を紹介するテレビ番組を制作している。
 ・2024年のクリスマス特番の一部をキエフ・ペチェルスカ・ラヴラ(キエフ洞窟修道院)の食堂で撮影。
 ・キエフ・ペチェルスカ・ラヴラは1051年に建立され、ウクライナ正教会モスクワ総主教区(UOC)に長年管理されてきた。
 ・ウクライナとロシアの戦争を契機に、UOCとウクライナ当局との間で修道院の管理権を巡る争いが続いている。
 ・クロポテンコは、ウクライナの伝統的な料理(キャビア入りダンプリングや豌豆ゼリー)を紹介するため、修道院の食堂を選んだと説明。
 ・しかし、この撮影がウクライナのキリスト教徒から強い反発を受け、「冒涜的」だと非難された。
 ・アレクサンドル・クリメンコ(UOCの聖職者)は、修道院の食堂での撮影を神聖な場所での不適切な行為だとして批判。
 ・クロポテンコは、撮影は教会の規則に従い、聖職者と相談の上で行ったと反論。
 ・彼は、料理を展示しただけで、調理は行わなかったと強調。
 ・クロポテンコは意図的に信者の感情を傷つけるつもりはなく、ウクライナの文化を広めることが目的だったと説明。

【引用・参照・底本】

Ukrainian chef outrages Christians by filming show in iconic monastery RT 2024.12.16
https://www.rt.com/russia/609414-ukraine-chef-outrage-food-show-church/

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